陳情第101号生活困窮者への家賃補助制度の創設および現行制度の拡充を求めることについての願意に賛成の立場から討論
2025年10月10日
日本共産党練馬区議団
島田 拓
日本共産党練馬区議団を代表して、陳情第101号生活困窮者への家賃補助制度の創設および現行制度の拡充を求めることについての願意に賛成の立場から討論を行います。
この陳情は、高齢者向けの民間賃貸住宅の数を増やすこと、低所得者向けの家賃補助制度を創設すること、都営住宅の新規増設を都に働きかけること、公社住宅を都が借上げ、所得に応じた家賃で住みつづけられるよう都に働きかけることを求めるものです。
いま住まい確保に課題を抱える人たちが増えています。とくに高齢化が進行する中で、高齢者の単身世帯の住居確保が大きな課題となっています。一方で、そうした人たちの受け皿となる低廉な賃貸住宅の戸数は減少しており、仮に見つかったとしても、亡くなった故人の残置物処理などのリスクを嫌って、高齢者の入居を認めないといったケースも増えています。
それに加え、建設費の高騰や都心部における住宅への投機的な売買が、家賃の値上げを引き起こしており、公共住宅として位置づけられているURや公社住宅も所得に応じた十分な家賃減免が行われておらず、家賃がネックとなって退居せざるを得ない人たちが後を絶ちません。
国による家賃軽減策は、セーフティーネット住宅に対する、最大月額4万円の家賃補助制度があるのみで、その給付実績は2023年度で、全国でわずか27自治体630戸にとどまっています。区も公営住宅の入居を希望する高齢者世帯向けの家賃補助制度である高齢者優良居室提供事業を行っていますが、ミスマッチもあって、2024年度では、申し込み世帯数が68件に対して、新規の提供件数がわずか5件と十分とは言えません。
こうしたことから公営住宅への応募が殺到しており、区が示した資料でも、都営の高齢者集合住宅では倍率は50~60倍、単身者向けでは最高で163倍と、とても入れる状況ではありません。
こうした中で陳情が求めている都営住宅の増設は当然の要求であり、緊急に増設できない場合でも公社住宅を活用した借上げ住宅や高齢者向けの民間賃貸住宅を増やすことは喫緊の課題ではないでしょうか。
ところが区は、民間住宅の空き家が増加していることや区外の都営住宅に空きがあることなどを理由に公営住宅の増設は必要ないとしています。仮にそうであるなら、家賃を含め、物価が高騰している中で、少なくとも陳情が求めている家賃補助を行うことが必要ではないでしょうか。また生活の質を担保するという意味では、区外ではなく、住み慣れた地域で住みつづけられることが何より保障されるべきです。
そもそもこうした住まいの問題は、すべてを個人の問題として片づけることはできません。長年の持ち家政策による公営住宅の少なさに加え、低すぎる年金や賃金、医療や介護、教育費などの重い負担、そして、投機的な住宅売買による家賃の値上げなど、政治の責任大きいと言わなければなりません。
区が、住まい確保支援事業や、そのための家主への補助、転宅支援、福祉分野との連携などを行っていることは重要ですが、住まい確保支援事業における実績は直近11か月間で申込数が201件に対して、成約率がわずか10件と低い状況がつづいており、民間賃貸住宅頼みの施策だけでは限界があります。
今こそ住まい確保のために公が責任を果たすことが必要であり、住宅施策の抜本的な強化こそ求められています。そのために陳情101号を採択するよう求め、日本共産党練馬区議団を代表しての討論といたします。