2025年 第3回定例会一般質問
2025年9月10日
日本共産党練馬区議団
のむら 説
日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を行います。
初めに差別と排外主義についてです。2025年7月の参議院選挙では、一部の候補者や政党が外国人排除を主張する発言を行い、社会に深刻な影響を与えました。こうした発言は外国人に対する差別や偏見を助長し、地域社会の分断を招くおそれがあります。
練馬区においても外国人住民は増加しており、多文化共生の実現は喫緊の課題ですが、区議会でも排外的な発言が見られ、区としての明確な反差別の姿勢が十分に示されているとは言えません。
また、外国人への支援策も不十分であり、早急な改善が求められます。
今回の参院選期間中には「外国人が国民健康保険を乱用している」との発言がありましたが、厚生労働省による2023年の調査によれば、外国人加入者は全体の約4%であるのに対し、医療費の割合は1.39%、高額療養費は1.21%にとどまります。これは外国人加入者の多くが若年層で、医療利用が比較的少ないためです。
一方、練馬区議会の質疑のなかでは「外国人は保険料を未納にしているケースが多い」「外国人が住民税を申告していないため、税の徴収ができない」との主張もなされました。
こうした発言が事実に基づくものなのか、区として外国人の保険料納付状況および住民税の申告・徴収状況について、正確なデータに基づく説明を求めます。
また同じく今回の参院選中で、「外国人は生活保護を受けやすい」とのバッシングも見受けられましたが、2025年4月時点で外国人の生活保護受給世帯は全国で全体の約2.9%に過ぎず、過去10年以上大きな変動はありません。
受給率も人口比で見れば低く、世帯数も減少傾向です。これらの全国的傾向を踏まえ、練馬区における外国人の生活保護受給の実態について、具体的な現状を伺います。
自治体が差別的発言に対して沈黙を貫けば、差別を容認する姿勢と捉えられかねません。だからこそ区として「差別や排外主義を許さない」という強い姿勢を明確に打ち出し、人権侵害に対しては監視と毅然とした対応が不可欠です。区の見解を伺います。
練馬区では、外国人住民の相談対応を地域振興課、人権問題は人権・男女共同参画課が扱っています。
また、区民相談所の人権擁護員も相談を受け付けていますが、これまで外国人からの相談実績はないとのことです。これは窓口の周知不足が原因と考えられ、より効果的な広報活動が不可欠と考えますが、いかがですか。
全国では先進的な事例もあります。川崎市の「差別のない人権尊重のまちづくり条例」は、罰則を伴う条例として知られ、インターネット上の差別的表現に対して削除要請を行うなど、具体的な対策を講じ、職員研修や啓発活動も積極的に実施されています。
また、香川県観音寺市では公園での差別行為を禁止する条例、世田谷区では都の施策に加え独自の差別禁止条例を制定しています。これらの事例を参考に、練馬区でも差別的言動を抑制する条例の制定や通報制度の整備、ヘイトスピーチや人権侵害の実態を把握するための調査、公共空間での差別に対する啓発、職員向けの人権研修など、実効性ある対策を進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
7月に開かれた全国知事会議では、排外主義を否定し、多文化共生を目指す「青森宣言」が全会一致で採択されました。全国的にも多文化共生の推進する動きが広がるなか、地方自治体としての取り組みがこれまで以上に重要になっています。
東京都には人権尊重条例がありますが、原則的な内容にとどまり、実効性の高い施策には乏しい側面もあります。都の施策に任せるのではなく、区として独自の責任を果たし、地域全体で差別を許さない意識を共有し続けることが求められます。
練馬区としても先進事例を学び、差別のない地域社会の実現に向けて、積極的な具体策を検討・実行すべきです。区の見解を伺います。
【中田総務部長】 私から、外国人についてお答えします。
はじめに、賦課・徴収の状況についてです。
住民税は申告がなくても、給与支払報告書等の課税資料により賦課・徴収しています。
令和6年度末における住民税の滞納者数は全体で1万6,150人、このうち外国人が1,125人・7.0%、国民健康保険料の滞納世帯数は全体で1万8,534世帯、このうち外国人世帯が4,379世帯・23.6%となっています。
次に、生活保護受給世帯についてです。
区の生活保護受給世帯数は平成30年度末時点で、1万3,284世帯、令和6年度末時点で、1万3,631世帯とほぼ横ばいでした。
外国人の生活保護受給世帯は平成30年度末時点で、316世帯、割合は2.3%、令和6年度末時点で、312世帯、割合は2.2%とほぼ横ばいとなっています。
次に、人権侵害への対応についてです。
国籍・民族等を理由として地域社会から排除することを扇動する差別的言動は、許されるものではありません。
区は、人権侵害の経験やその対応について区民調査を実施するとともに、他自治体の取り組みも参考にして、本年3月、第6次男女共同参画計画を策定しました。計画では、「人権を尊重し、多様な生き方を認める意識の形成と啓発の強化」を重点取組に位置付けています。
具体的には、差別的言動の解消に向け、インターネット上での誹謗中傷やヘイトスピーチ等の解消に向けた講座やパネル展、区報掲載などでの啓発、差別落書きへの対応、人権侵害に関する相談、職員研修など、人権尊重に係る取り組みを実施しています。
区条例を制定する考えはありませんが、ヘイトスピーチ等の様々な人権問題に関して、引き続き啓発等の取組を進めてまいります。
区では、外国人の方についても、法律相談や区外国語相談窓口、各部署の窓口にお越しいただき相談に応じています。現在、外国人の人権相談の実績はありませんが、相談があった際には法務局の「外国人のための人権相談窓口」も紹介しています。
引き続き、各相談窓口について周知に努めます。私からは以上です。
つぎに学童・ねりっこについて質問します。2008年度に区内90カ所あった学童クラブ数が2025年度には89カ所に減少している一方、同期間の定員数は3470人から6720人まで1.93倍の増となり、入会実数は3834人から6538人に1.7倍の増となっています。
このことから1か所あたりの学童・ねりっこへの過度な詰め込みがいかに加速しているかがうかがえます。にもかかわらず、区は全小学校学童のねりっこ化を推進する一方で校外の単独学童を閉室し、いま残っている早宮さくら学童も無くそうとしています。
学童待機児数についても直近の2025年度は51人でした。事実上の学童待機児であるねりっこプラスの登録者は今年度748人となっており、保育園同様に待機児童の実態は依然深刻だとの認識です。
練馬区は現在、4年生以上の受け入れを児童館併設学童では定員に空きがあれば実施していますが、ねりっこなどではしていません。保護者からは「4年生で申し込みもできなかった」「やむなく民間の習い事学童に行かせているが月8万円かかっている」等の声もあがります。
直近7月31日の「子ども・子育て会議」では民間学童の施設長から「4年生以上も預けたいという保護者がたくさんいる。将来的に4年生以上も受け入れてほしい」との発言もありました。
国の規定では受け入れは6年生までとなっているのに、なぜ練馬区が原則4年生以上を入室不可としているのか理解できません。すみやかに国基準に則した仕組みに改めるよう求めますが、区の所見を求めます。
依然としてなくならない待機児の問題や4年生以上の強い入室要求に照らしても、これまでのねりっこへの詰め込み一辺倒ではなく、既存学童の運営維持と新規設置に向けた保育行政の抜本的な転換こそ必要だと考えますが、区の所見をうかがいます。
政府の定める「放課後児童クラブ運営方針」では、支援の単位として専用区画が児童1人あたり「おおむね1.65㎡」とされ、1人あたり1. 89㎡と定められた保育園2歳児以上の床面積よりも狭い基準となっています。
くわえて、ユニットあたりの定員についても、国は「おおむね40人以下」と定めているにもかかわらず、練馬区は独自基準によって45人と定めています。さらに実際には、区はみずから定めた45人という定数すら超えてねりっこを単位運営しています。
運営方針では「子どもが相互に関係性を構築したり、1つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築いたりできる」根拠として、「おおむね40人以下」という基準を設けているのもかかわらず、1ユニットに50人も60人も詰め込めば適切な保育を望めないのは当然です。
小学校では少人数学級が進んでいるのにもかかわらず、学童はあからさまに逆行しています。現場からも、「管理に重点が行かざるをえない」「顔と名前を一致させるのを諦めた」「同一クラブとしての一体性を損なう」等の声が指導員や保護者からあがっています。実態の調査報告と改善を求めますが、区の所見を聞かせてください。
また、これに関連して2029年度からスタートする認証学童は、定数基準が「おおむね40人以下」から「40人以下」に規制強化されるとのことです。1人あたりの床面積も現在の1.65㎡から将来的には1.89㎡以上に規制強化される見通しです。
この定数と床面積基準について、区は現在のところ両方とも則っていませんが、今後、認証を受けるにあたって練馬区はどんな見通しを持っているのか教えてください。
また、小池都知事は2027年度末までに待機児解消を表明していますが、これについても区の展望を示してください。
練馬区はこの10年あまりで学童の委託化を推進してきました、現在、区内の児童館学童15施設のうち5施設が委託化され、ほとんどの小学校に設置されているねりっこはすべてが運営委託です。児童館併設学童で直営から委託化した場合、区の歳費は1日あたり20万円から16万円程度に減額されます。
区はこの理由として、委託化により「人件費の観点から指導員の年齢構成が若くなりがち」であることをあげています。指導員の年齢構成は新人からベテランまでのバランスが世代継承の観点から見ても重要です。しかし、経費削減のために若い人材ばかりが使い捨てにされる傾向は間違っていますし、区がそれを事実上推進してきたことも批判されなければなりません。
ねりっこ導入の前年となる2015年時に直営学童は64施設でしたが、今年度にいたっては直営は18学童のみで10年間で4分の1ちかくにも激減しています。国基準にもとづき1施設2人の配置とすれば、おおよそ100人近くの人的資源を10年で喪失している計算になります。
児童館学童や地区区民館学童の廃止にともない、経験豊富なベテラン指導員が少なくなるとともに、委託化によってベテラン指導員の割合が減ることは二重に保育の質低下をもたらすと考えますが、区の所見を聞かせてください。
【関口こども家庭部長】 私から、学童クラブについてお答えします。
はじめに、高学年の受入れについてです。
小学生になると登下校の送迎がなくなるなど、一日の過ごし方が大きく変化します。このため、低学年と高学年では、低学年の入会を優先する必要があります。高学年は、2月下旬の三次申請から、定員に一定の空きがある児童館等併設学童クラブで受付けることとしています。原則、入会不可としているものではありません。
区は、ねりっこクラブの早期全校実施を目指して、この十年間で実施校を62校まで拡大しました。2千500人以上の学童クラブ定員を新たに確保し、待機児童数は、ピーク時の387人から51人へと減少しています。引き続き学童クラブとひろば事業の充実によって、放課後の居場所づくりを推進し、待機児童の解消に取り組んでまいります。
次に、学童クラブの支援の単位ごとの受入れ人数についてです。全ての学童クラブは、条例で定めた支援の単位あたり45人以内の児童で運営しています。支援の単位ごとの有資格者の配置、在籍児童数などの詳細についても、毎年5月1日現在で調査し把握しています。現場の保育状況は、区職員であるコーディネーターが巡回して確認しています。
次に、都の認証学童クラブについてです。
新制度の創設にあたって設置された専門家委員会は、児童一人あたりの面積基準を1.98㎡としましたが、各自治体の意見を受けて、都は従来同様に1.65㎡を基準とする要綱を決定しました。区立学童クラブは、この基準を満たしています。
支援の単位あたりの「児童の数」は、国の参酌基準「おおむね40人以下」から「10人以上40人以下」へと見直されました。要綱における「児童の数」とは、在籍児童数ではなく、一定期間の出欠状況等から国が示す計算式により算定します。令和6年度の利用実績に基づき試算した結果、この基準も満たしています。
来年度開設するねりっこ学童クラブは、認証基準により事業者を公募し算定を進めています。既存の学童クラブ委託事業者に対しては、制度説明や認証取得に必要な職員配置等の協議を始めており、今後、認証取得に必要な人材確保ができるよう対応してまいります。
区は、学童クラブの委託化にあわせて、経験豊かな区職員を子育て支援課や児童館にコーディネーターとして配置しています。担当のねりっこクラブを巡回してスタッフの相談に応じるとともに運営全般への助言等を担っています。
また、区主催の研修は、委託学童クラブのスタッフも参加できる制度としており、毎年、多くの委託スタッフが区職員とともに研修を受講しスキルアップしています。こうした取り組みによって、学童クラブ運営の品質と区民サービスの向上を実現しています。私からは以上です。
つぎに特別支援学級について聞きます。特別支援学級に在籍している児童生徒の推移は区内小中学校ともにこの5年間で約1.5倍と著しく増えており、障害の重複化や支援の多様化、発達障害のある子どもの増加なども合わせて一層の支援充実が求められているところです。
区がこのたび初めて策定した「練馬区特別支援教育実施方針」では、これまでの取組みの成果や国・都の動向を踏まえ、これからの特別支援教育の推進にあたっての理念や基本的な考え方および具体的な取り組みについて定めています。
とくに、特別支援教育に関わる児童生徒や保護者、および教員にアンケート調査を実施しことは評価でき、それをもとに現場の声と向き合うことが求められています。アンケートからは情緒障害の固定級の新設を望む声が25.7%もあることから、区も学級設置に向けた検討を行うことが新規事業として記されています。
情緒障害の固定学級については、23特別区中すでに12区で設置されているとともに、かねてよりの要求であったことから練馬区でも早急に設置する必要があると考えます。当然、学級設置に伴って、専門性のある教員の確保や指導力の向上も課題だと考えますが、区の見通しをお答えください。
また、これまで知的障害のない自閉症や学習障害、ADHDの特性を持つ子どもへの対応として、区内全小中学校に特別支援教室を設けて、拠点校の教員が巡回する体制を取ってきましたが、現在の課題認識と今後の情緒障害固定学級のありようが、どのように変わるのかも含めてお答えください。
区内小学校は65校中16校に知的障害学級が設置され、中学校については33校中8校の設置となっています。かねてより支援学級を増やしてほしいとの要望は強く、実施方針では令和9年度に小学校1校、翌10年度に中学校1校を増やすと示されました。
区内北部や西部の一部地域など支援学級が設置されていない地域では、とりわけ登下校時の送迎対策は深刻であり、対策が求められています。区では、小学校では平成27年の谷原小学校、中学校では平成20年の谷原中学校、南が丘中学校に知的障害学級を開設して以来、学級設置がありません。このペースと増設数では当事者らの要求に応えられるとは到底思えません。
令和11年度以降の見通しでは、学校改築のペースや中学校の35人学級化、対象児童生徒や就学相談の増を見越して、どのような展望を持っているのかお答えください。
教員・支援員不足も課題です。現在、知的障害固定学級については子ども8人に対して教員1人と専任の支援員1人、加えて必要に応じて支援員をもう1人加配していますが、通常級を含めて児童生徒数や習熟に対して教員・支援員が不足しているとの声は強く、教員や支援員の欠勤・産育休の代替、児童生徒の教室からの飛び出し、校内徘徊、救護対応などの事態に陥ると途端に人手不足になります。
アンケートでも支援員の増員を望む声は50%にのぼり、教員の質向上を望む声も41.5%ありました。障害についての知識の蓄積、教育・指導する際の専門スキルの共有と向上をしながら、毎日の指導体制をどう担保していくのか、区の展望を聞かせてください。
さらに、専門家の巡回により、教員にも児童生徒にもより適切な教育・指導ができるようになると思いますが、この提案への受け止めもお答えください。
放課後および18歳以降の居場所についても聞きます。放課後デイサービスはこの間、民間の力を借りながら大幅に増やしてきた経緯があります。しかし、子どもの障害特性や保護者のライフスタイルに適合した居場所を、必ずしも安定的・将来的に確保できているとは言い難い状況です。知的・身体で障害を持つある子どもの保護者は、週2でそれぞれ2時間しか預けられず、「別の放課後デイのキャンセル待ちも就学時前から登録しているのに入れない。
世帯によっては何カ所も掛け持ちしなければならず、とりわけ長期休暇中は安心できる預け先に苦慮している」と話してくれました。区内私立の特別支援学校で教える職員からも、「保護者らの一番の悩みは放課後の居場所。特に母親はキャリアを諦めて付きっきりになるケースも多い。
実態は可視化しづらく、放課後デイの数だけ見て足りているという話にはならない。18歳以降、卒業後の居場所についても保護者が自己責任で対応せざるを得ないのが実情」と話してくれました。障害をもつ子どもの放課後の居場所を、区としてどう確保していくのか、課題意識も含めて答弁を願います。
【三浦教育長】 私から、教育についてお答えします。
はじめに、特別支援教育についてです。
全国的に特別な支援を必要とする児童生徒が増加するなか、区内小中学校においても、知的・発達障害のある児童生徒の増加や、障害の重複化・多様化等が進んでおり、一層の支援の充実が求められています。
こうした状況に対応するため、本年3月、今後の特別支援教育推進にあたっての理念や基本的な考え方、具体的な取組を定めた、「練馬区特別支援教育実施方針」を策定しました。
実施方針では、現在の特別支援教室での指導では改善が難しい、情緒面で課題がある児童生徒に対応するため、新たに、自閉症・情緒障害固定学級を設置することとしています。
一人ひとりの障害特性に応じた就学先を選択できるようになり、より適切な支援に繋がるとともに、児童生徒の状況に応じて固定学級から特別支援教室に転学するなど、柔軟な支援も可能になると考えています。
知的固定学級については、令和9年度に1校、令和10年度に1校、新たに設置することとしています。学級の増設により、当面見込まれている需要増に対応できるほか、地域バランスや通学距離等の一定の改善が図られます。
令和11年度以降については、今後の児童生徒数や相談件数等の推移を見ながら、検討していきます。
特別支援教育の充実のためには、専門性の高い教員の確保・育成が不可欠です。都に対しては、引き続き、適切な人員配置を求めていきます。学校生活支援員の人材確保についても、短時間勤務の採用や募集回数を増やすなどの対策を継続的に実施します。
特別支援学級等の教員に対しては、専門家による継続的な研修を実施していきます。
また、支援員に対しては、障害特性に関する研修や実践的な研修などにより、障害理解の促進を図っています。児童生徒の指導計画等について、担任教諭と支援員が密に情報共有を図り、個々の状況に応じた支援体制を整えていきます。
個々の児童生徒の指導計画を検討するために各学校に配置している校内委員会には、特別支援教室の巡回指導教員や心理士等が参加しています。このほか、心理士や大学教授などを学校に招聘し、教員が講習や指導の助言を受けることができる専門家指導等を既に実施しています。
特別な支援が必要な児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、適切な対応ができるよう、特別支援教育実施方針に基づき、着実に取り組んでまいります。
【吉岡福祉部長】 私から、障害児の放課後の居場所について、お答えします。
障害児数の増加や就労を希望する家族の増加により、障害児が安心して充実した放課後を過ごすことができる場所への需要が高まっており、区としてもこうした場所を確保することは重要であると認識しています。
放課後等デイサービスは療育を行う場所ですが、保護者の就労支援や介護負担軽減の機能も担っています。
利用を希望する方々には、総合福祉事務所や地域生活支援センターの窓口で本人やご家族の状況をよく伺いながら相談に応じています。
都は都型放課後等デイサービス事業所として、職員体制やサービス提供時間の基準を定め、施設情報を公開しています。この情報も活用し、一人ひとりに合った支援につなげています。
放課後の居場所の一つである学童クラブは令和7年度当初入会申請において障害児受け入れ枠を344枠から379枠へ拡大しました。12月から実施する障害者基礎調査で障害児と家族のニーズを把握し、福祉と教育が連携して障害児の居場所づくりの充実に取り組んでまいります。私からは以上です。
次に、気候危機対策について伺います。気象庁の発表によると、今年6月~8月の国内平均気温は過去30年の平均値より2.36℃高く、1898年の統計開始以降で最も高かったとのことです。
気象庁と文部科学省がまとめた『日本の気候変動2025』では、温室効果ガス排出削減などの対策が不十分な場合、産業革命前には「100年に1回」しか起こらなかった高温現象が、ほぼ毎年発生すると推定しています。これまでよりも積極的な気候危機対策の推進が求められています。
「環境基本計画2023」では、区立施設の新築・改築時に一次エネルギー消費量を原則30~50%以上削減し、ZEB OrientedやZEB Ready水準相当を目指すとしています。
私たちはこれまでもZEB化を求めてきましたが、区は都市部では太陽光パネルの設置場所が限定されるため、区立施設の100%ZEB化の実現は困難としています。
一方で、環境省などが進めるペロブスカイト太陽電池は、軽量・柔軟で、窓や壁面など従来のシリコン型では設置が難しかった場所にも活用できる次世代技術です。企業の開発では2025年前後から市場投入が見込まれ、国のロードマップでも2030年頃の本格普及が目標とされています。
こうした動向を踏まえ、練馬区でもペロブスカイト太陽電池の導入を進め、区立施設の新築・改築時は100%ZEB化を目指すべきです。実証導入に向け、国の支援制度や企業との連携も検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。
また、近年の酷暑のもとで学校の断熱強化も求められています。区は改修・改築時に断熱改修を行うとしていますが、それでは時間がかかります。世田谷区では、校舎改築や空調設備の更新だけでなく、遮熱カーテンや断熱材、天井輻射熱反射シートの設置などで、校舎棟最上階の普通教室や体育館における断熱・遮熱対策を進めています。
練馬区においても、改修・改築時以外でも暑熱対策を行い、児童・生徒が安心して学べる環境づくりを早期に進めるべきではないでしょうか。区の考えを伺います。
さらに、練馬区のような住宅都市では、家庭での温室効果ガス削減も重要です。「カーボンニュートラル補助金」は対象が拡充されてきたことは重要で、区民や事業者の省エネ・再エネの取り組みを後押ししています。
一方で、太陽光発電設備への補助上限額は8万円ですが、他区の補助制度と比べると上限が低くなっているように感じます。杉並区では、1キロワットあたり4万円の補助で限度額12万円、葛飾区では1キロワットあたり8万円で上限40万円の補助を行っています。
また、台東区や北区などでは屋上などへの遮熱塗料の塗布工事にも助成しています。こうした事例も参考に、カーボンニュートラル補助金の対象や上限額の拡充を行う必要があるのではありませんか。区の考えを伺います。
また、住民一人ひとりの理解と行動変容を進めるため、「気候市民会議」のような仕組みを設けて、区民と行政がともに考え、提案し合える場をつくることも必要だと考えますが、区の考えを伺います。
最後に、環境基本計画2023では「みどり」も柱の一つです。夏の暑さ対策として高木による樹冠確保は重要です。
街路樹や公園樹木の樹冠は日陰をつくり、路面温度を数℃から10℃程度下げる効果があり、蒸散作用による気化熱で周囲の気温も和らげます。遮熱舗装による一時的な遮熱と比べ、緑は二重の冷却効果を発揮します。
以前の質問では、区は「みどりの豊かさを実感できる整備を目指しており、樹冠被覆率を目標とする考えはない」と答弁しました。しかし、緑視率や緑被率は木陰効果や樹木による冷却作用を十分に反映できません。
樹冠被覆率は、枝葉が地表を覆う割合を示す指標で、日射遮蔽や気温低減効果と直接結びつきます。都市の樹冠被覆率が10%上がるごとに熱中症リスクが有意に低下するとの研究もあります。改めて、樹冠被覆率による目標設定を行い、緑化を進めるべきと考えますが、区の見解を伺います。
【前川燿男区長】 お答えいたします。
地球温暖化とこれに伴う気候変動は、国境を越えて人間の安全を脅かす喫緊の課題です。
我が国においても、集中豪雨が頻発し、台風による風水害も激甚化しています。
今年の夏は、災害級の猛暑が続き、八月五日に都内3か所で40度を超え、練馬区でも8月にしては最高となる39.2度を記録しました。
住宅都市練馬区では、二酸化炭素の五割以上が家庭から排出されており、区民一人ひとりの行動が大きな意味をもちます。
総合的な環境施策を展開するため、環境基本計画2023に基づき区民・事業者と協働して、一歩一歩脱炭素を推進してまいります。
私からは以上です。その他の質問につきましては教育長、関係部長から答弁いたします。
【小暮環境部長】 私から、地球温暖化対策についてお答えします。
区は、環境基本計画2023を策定し、2030年度までに区内のCO2排出量を2013年度比で46%削減することを目標として定めています。
これまで、環境審議会において、区民や専門家の意見を伺いながら、省エネや3Rの個別施策を推進してきました。また、練馬区地球温暖化対策地域協議会をはじめ、リサイクルセンターの区民ボランティアなどの意見を伺いながら取り組んでいます。
無作為に抽出した区民からの意見を伺う形式の、いわゆる気候市民会議を設置する考えはありませんが、引き続き、地域で主体的に活動する区民や団体との連携、支援を強化してまいります。
新築住宅については、国や都の規制や補助制度により、環境性能の向上が見込まれます。
区は、既存住宅の省エネ化や再エネ導入に重点的に取り組んでおり、国や都の補助率が低いものや、補助の無いものへの取組を強化しています。
令和7年度は、窓の断熱改修について、補助上限額を12万円から20万円へ引き上げるとともに、マンション共用部の照明のLED改修について、補助上限額を大幅に引き上げるなど、見直しを随時行っています。
引き続き、補助実績や国・都の補助制度、今後の技術革新の動向を踏まえ、効果的な補助について、適時適切に見直してまいります。
国は、昨年5月に、学識経験者、民間団体・事業者、地方公共団体等で構成する「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」を設置し、検討を進めており、区は協議会に参加しています。
協議会における検討の動向を注視し、避難拠点となる区立小中学校への次世代型太陽電池と蓄電池の導入を研究してまいります。
次に、みどりについてです。
練馬区の魅力は、大都市東京の都心近くに立地しながら豊かなみどりに恵まれているところです。
街路樹や公園のみどりは、緑陰や四季折々の景観の演出など区民生活に潤いを与える大きな役割を果たしています。また、地球温暖化対策など、都市環境の改善にも寄与しています。
区では、拠点となる公園やみどりの軸となる幹線道路を整備し、みどりのネットワークの形成を進めています。
整備に当たっては、成長後の樹形や周辺の土地利用、住民の要望等も踏まえ、地域の方々が楽しめる樹種を選び、植栽をしています。
みどりは高木に限らず、地球温暖化対策に効果をもたらすものです。樹冠被覆率を目標とする考えはありません。
引き続き、ゼロカーボンシティの実現に向けて、区民・事業者の皆様と協働して、取り組んでまいります。私からは以上です。
【三浦教育長】 次に、学校の断熱対策についてです。
学校の断熱対策は、基本的に改築や長寿命化改修の際に実施していますが、既存校舎の屋上防水改修の際には、断熱に配慮した改修を行うこととしています。また、各学校では、遮熱カーテンなどの配置を進めています。
このほか、普通教室の空調機の更新に合わせ、最上階の教室は空調機を2台に増設する方針です。今後も必要な対策に取り組んでまいります。私からは以上です。
最後に都市計画道路についてお聴きします。都と区市町村は、新たな「東京における都市計画道路の整備方針(仮称)」の中間まとめを公表しました。ところが、検討状況の要旨は公開されているものの、断片的な情報しか明らかにされていません。
情報公開を行なわない理由として、都は「公開することにより、率直な意見の交換や中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれそれがある」などとしています。
本来、住民生活にも大きな影響を与える都市計画道路の検討にあたっては、住民への情報公開を徹底し、よりオープンに議論することが求められると考えますが、区の認識を伺います。
中間まとめで示された都市計画道路の必要性や優先整備路線の選定項目を見ると、どちらも曖昧な基準にとどまっています。しかも、根拠となるデータが十分示されていません。これではどんな路線も自治体の判断次第で必要性ありや優先整備路線として位置付けることが可能となってしまいます。
住民の反対等で長期間事業化できていない路線や他自治体をまたいで交通ネットワークとして機能することが事実上難しい場合、現道の改善や代替機能を確保できる場合、現道の有無、地域コミュニティーや環境に与える影響が大きいなど、具体的な検証項目を設定し、必要性を判定すべきです。
また、その根拠となるデータもしっかりと示していただきたい。2点お答えください。
第四次事業化計画の策定の際、当時資料によれば、計画検討の初期に都として「策定の際のポイント」に「人口減少、交通量減少時代の到来に備えた道路整備のあり方」をあげていました。しかし、「社会的に、道路はこれ以上不要なのではという意見につながりかねない」などの意見が出され、削除されました。
都自身が「交通量減少時代の到来」という認識がありながら、都民から道路不要論が出てこないよう意識的に記述を削除していたとしたら問題です。交通センサスを見ても全体として区内の交通量は減少傾向にあると思いますが、いかがでしょうか。
また、新たな「東京における都市計画道路の整備方針(仮称)」については、将来交通量の減少や人口減少等も踏まえた検討が必要と考えますが認識を伺います。
他の自治体では、都市計画道路の見直しが進んでいます。例えば、今年5月に奈良市において19の都市計画道路を廃止することが報道されました。
現在、未整備となっている都内の都市計画道路は、そのほとんどが終戦直後に戦災復興計画として決定されたもの、または、高度成長期に都市の拡大を前提に決定されたものであり、決定後70年から半世紀以上が経過しています。
まちの様相も社会経済状況も当時から大きく異なっています。整備率が低いと言った単純な論理だけで整備を進めていくというのは、時代遅れと言わなければなりません。
新たな「東京における都市計画道路の整備方針(仮称)」の検討の中で、他自治体のように思い切った見直しを行うことが必要と考えます。
とくに放射35号線と、大泉第二中学校を分断する135号・232号の見直しは急務です。放射35号線は、わずか2.8㎞の区間ながら、幅員が最大35mとまさに街とコミュニティーを破壊する大型道路です。
仮に整備したとしても、環状7号線と目白通りが近接しており、それほどの整備効果があるとは思えません。135号線と232号線も整備によって大泉第二中学校を分断し、長期間にわたって現道の安全が確保されないばかりか、住民の強い反対があり、長期間事業着手できていません。こうした道路計画は見直すべきです。
中間まとめでは、技術者や公務員などの担い手不足や土地の細分化などを理由に事業期間を15年にする長期化を行うとしています。
こうした状況を見ても、これまでと同じように都市計画道路整備の拡大を強力に推し進めるということは難しくなっていると思います。
これからは新規路線は思い切って精査し、八潮市での事故に見られるように、既存の公共インフラの維持管理と長寿命化を最優先にした施策に転換していくべきです。
以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【中沢都市整備部長】 私から都市計画道路についてお答えします。
都市計画道路は、交通の円滑化に資するだけではなく、防災機能の向上や、広幅員の歩道と街路樹等による緑豊かで快適な空間の創出など、多様な機能を有する重要な都市インフラです。
現行の東京における都市計画道路の整備方針は、計画期間が令和7年度までであることから、新たな整備方針の策定に向け、都および区市町が連携し、調査検討を進めています。
本年7月、現行の整備方針を検証したうえで、基本理念や基本目標など、道路整備の方向性を示した中間まとめを公表し、パブリックコメントを実施しました。
中間まとめでは、人口動態やポストコロナの状況など、東京を取り巻く社会情勢の変化を踏まえた、今後の道路整備の視点、都市計画道路の必要性の検証、優先整備路線を選定するための項目などを定めています。
都市計画道路の必要性の検証は、交通量に対応した交通処理機能のみならず、災害対応、みどり豊かな空間創出、拠点形成など、10の項目を設定して行います。
今後の検討に資する交通量については、直近の道路交通センサスに加えて、改めて将来交通量の推計を実施します。
中間まとめでは、今後の進め方も明らかにしており、区民の皆様に計画検討について、ご判断いただける内容であると考えています。
引き続き進める、新たな整備方針の策定にあたっては、検討の考え方や内容について、可能な限り公表し、広く意見を伺っていきます。
練馬区では、都市化が急激に進んだため、本来、先行して整備すべき都市インフラの整備が著しく遅れています。現状における整備率の高低は、優先整備路線の選定にあたり、道路の整備効果を評価する際の大きな要素になるものと考えています。
現行の整備方針で優先整備路線に選定されている、放射35号線や補助135号線・232号線については、道路ネットワークの形成や周辺道路の混雑緩和、防災性の向上などに資するものであり、引き続き、整備を進めることが必要です。関係する皆様のご理解に努めながら、事業を進めていきます。
区が将来に向け更に発展していくためには、必要な都市計画道路の整備が不可欠です。
引き続き、都や区市町と連携し、新たな整備方針の策定に向けて取り組んでいきます。私からは以上です。