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議会報告
REPORT

2025年第三回定例会 一般質問     有馬 豊(9月9日)

2025年 第3回定例会一般質問

2025年9月9日

日本共産党練馬区議団

                                                               有馬 豊

 私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

 初めに区長の基本姿勢として、美術館・図書館の再整備計画とサンライフ練馬についてです。

 現在進められている美術館・図書館の再整備計画やサンライフ練馬の取り扱いについては、地域住民から「見直しを求める声」や「現施設の存続を望む声」が寄せられ、理解や納得が十分に得られていないのが現状です。ところが、区は「期待感」や「わくわく感」を喚起する情報発信を進めてきましたが、これがかえって「住民の声を軽視している」と不信感を招くことに繋がっていたのではないでしょうか。

 こうした中、今定例会で区長は、美術館と図書館の再整備について来年度の着工見送りを表明しました。理由は、コンストラクション・マネジメントを実施し、区が想定していた工期では事業者確保が困難と判明したためです。しかし、建設資材の高騰や人手不足による入札不調は、これまでも私たちが繰り返し指摘してきた問題です。そもそもCM業務委託の期日は10月末まであり、サウンディング型市場調査の予定も10月末までになっています。そこで、今回の区長判断がなぜ業務途中でなされたのか、委託業務の現時点の到達を明らかにし、お答え下さい。また現時点での概算工事費はいくらになるのか。合わせて、これまでに掛かった費用の内訳を項目ごとにお示しいただきたい。以上3点答弁を求めます。

 また建設業界へのヒアリングの結果、施工が容易で利益率が高い事務所やマンションなどを優先的に受注する傾向が強まっているということです。このことは今回の美術館・図書館の施工は難易度が高く、利益率が低いということなのではないですか。それは実施設計業務委託特記事項に「難易度による補正の有無」という欄があり、構造について「特殊な形状の建築物」とハッキリ書かれており、設備についても「特別な性能を有する設備」と難易度を高めています。そうした特殊で複雑な計画が今回の着工を見送る事態に繋がったのではないですか。2点お答えください。

 さらに所信表明では再整備計画の基本方針に変更はないとしていますが、人手不足や物価高騰は今後も続く見込みの中、なぜ変更なしで進められると言えるのでしょうか。

 日本建設業連合会によれば、建設資材は2021年以降、鉄鋼や木材を中心に値上がりし、2025年8月時点で21年比約37%上昇しています。労務費も同様に上昇し、同じ時期の比較で22.9%増となっています。また、設備関連や一部資材では納期遅延も発生し、工期に影響が出ているとの報告もあり、今後さらに工期が遅れる場合、工事費がさらに増加する可能性もあります。

 他自治体でも同様の影響が見られ、目黒区では工事費高騰により入札困難と判断し、財政への影響と提案乖離の深刻化を理由に、大型複合施設の再整備事業を中止しています。北区でも同様の施設が資材高騰で改修費が当初の約2倍となり、計画は白紙・縮小されました。

 今回の着工見直しを機に、再整備計画が本当に正当かつ妥当なのか、改めて丁寧に検証する必要があります。同時に、このような状況でサンライフ練馬の廃止を前提に進められる現計画は、区民とともに根本から見直すべきであり、計画の白紙撤回を強く求めます。お答えください。

【前川燿男区長】 お答えいたします。

 美術館・貫井図書館の再整備については、コンストラクションマネジメントを実施しています。その一環として行った建設業界へのヒアリング調査等では、施工が容易で、かつ利益率が高い事務所やマンションなどを優先的に受注する傾向がこれまで以上に強まっていることが示されました。区が予定している工期では、事業者確保の見通しが立たず、本体工事契約の不調リスクが極めて高いとされています。これを受け、来年度の着工は見送ることとしました。

 美術館・貫井図書館の再整備計画は、練馬区の文化芸術振興を目指して、区民の皆様とともに作り上げてきたものであり、その方針に変更はありません。実現に向け、引き続き建設市場の動向を注視しながら、適切に判断してまいります。

 わたくしからは以上です。その他の質問につきましては、教育長および関係部長から答弁いたします。

【大木地域文化部長】 私から、美術館・貫井図書館の再整備についてお答えします。

 コンストラクションマネジメントは、概算工事の妥当性や工事行程の検証、バリューエンジニアリング・コストダウンの実施とともに、建築業界へのヒアリング調査等による市場の受注意欲等の確認を目的として、今年の4月から実施しているものです。8月末にヒアリング調査等の報告を受け、解体工事着工時期を考慮し、9月に入り直ちに、来年度の着工見送りを判断しました。

 工事費については、コンストラクションマネジメント委託事業者から、建設業界へのリング調査や他自治体の事例、市場動向を踏まえると、当初想定の倍以上となる可能性もあり得ると、報告を受けているところです。

 実際の工事費は、実施設計完了後に積算することとなります。

 再整備にかかる費用のうち、支出済みの項目は、美術館再整備基本構想策定支援業務委託料2,224万円、設計にかかる委託料2億7,349万円、昇降機設備設置工事費前払い金1億860万円、中村橋駅周辺まちなみ整備総合監修業務委託料857万円、合計4億1,290万円です。

 建設業界へのヒアリング調査では、施工が容易で、かつ利益率が高い事務所やマンションなどを優先的に受注する傾向がこれまで以上に強まっていることが示されました。区が予定している工期では、事業者確保の見通しが立たず、本体工事契約の不調リスクが極めて高いとされています。これを受け、来年度の着工は見送ることとしたものです。設計を理由に工事見送りを判断したものではありません。わたくしからは以上です。

 

 次に、教育費の負担軽減についてです。

 練馬区では昨年から学校給食が完全無償化され、教育負担の軽減が前進しました。しかし、義務教育である小中学校では、隠れ教育費と呼ばれる多くの保護者負担がまだ残されています。

 文科省が行った「令和5年度子どもの学習費調査」では、給食費を除いても、保護者の負担は公立の小学校で年間8万1753円、前回令和3年の調査より1万5779円の増、中学校は年間15万747円で前回より1万8398円の増となっており、義務教育9年間でみると90万円超の保護者負担がかかることになります。

 こうした中、教育負担を軽減していくため、修学旅行・移動教室や学用品の無償化に踏み出す自治体が葛飾、品川、墨田など広がっています。練馬区でも「学用品公費・私費負担区分ガイドライン」をつくり、今年度約1億6千万円の予算をつけ、共用できる彫刻刀やそろばんなどの学用品や社会科見学のバス代を公費負担にしたことは前進です。それでも、ランドセルや制服、体操着、各種ドリル、書道セットなど数多くが保護者負担になっています。

 学校給食費を保護者が負担してきたことについては、学校給食法に一応の根拠がありましたが、学用品については、保護者がその費用を負担する法的根拠は何もありません。

 教育負担の軽減、ひいては全ての子どもたちが経済力に左右されず教育を受ける権利を保障するため、学用品等の全面無償化を目指すべきです。そうした施策は本来、国の責任で実施すべきですが、現に学校給食の無償化が国の取組むべき課題として検討が始まっているように、実施自治体が広がることで国を促すことになることは明らかです。区として全ての学用品等と修学旅行や制服代などの無償化に踏み出してしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

 「学校における補助教材及び学用品等に係る保護者等の負担軽減について」の文科省の通知では、「現下の物価高により、影響を受ける家計の負担軽減が一層重要となっている」としたうえで、学校指定物品に関して「より質が高く低価格の物品の指定に努める」ことや、「教材の学校備品化」、「制服の見直しによる安価化やレンタル制度の導入」などに言及しています。海老名市では市立中学校で、学校ごとにコンペを実施してジャージを安いものにしたということです。制服等の指定販売店を複数持つことを含め、区内全校でそうした取り組みが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 就学援助の拡充・改善も負担軽減の取組として重要ですが、まずは就学援助基準の見直しが求められています。2015年来の生活保護基準引き下げにともない、就学援助を利用できる対象世帯が大きく狭められ、2015年度は練馬区で25.39%の利用率だったものが、23年度は12.32%まで下がっています。しかし生活保護の引き下げは違法だとした裁判で、最高裁は「違法」とする判決を下し、国が敗訴しています。専門家委員会を設置するなど国としての対応が急がれますが、違法とされた生活保護引き下げを反映した就学援助の基準は、区として先ず見直すべきではありませんか。お答えください。

 また、入学準備金は事前の支給となりましたが、修学旅行は7~8万円かかるにも関わらず後払いです。「後払いでは負担が重く、修学旅行に行かせられない」という声も届いています。こうした金額の大きい費目についても前払いにするべきです。いかがですか。

 私たちはこの間、準要保護世帯へクラブ活動費等の拡充も求めてきました。例えば卓球はラケットの購入やメンテナンスだけでも年間数万円、試合などで遠征すれば交通費もかかります。子どもが経済的事情を心配せずクラブ活動に参加できるよう、就学援助の費目を拡充するべきです。お答えください。

【三浦教育長】 私から、教育費の負担軽減についてお答えいたします。

 義務教育であっても、一定の保護者負担は必要と考えています。生活が困窮する家庭に対しては、生活保護や就学援助などの仕組みにより支援をしています。

 義務教育に係る費用負担については、自治体任せではなく、本来、国が明確に考え方を示すべきものです。区として、昨今の無償化の競い合いに加わる考えはありませんが、学校間や学年間で不公平が生じないよう、見直しを行うことは必要と考えています。

 本年3月、「練馬区学用品公費・私費負担区分ガイドライン」を策定しました。学校で共用できるものなどは公費負担とし、児童生徒個人の所有物になるものなどは私費負担とすべきと定め、学校間等の経費の平準化を図った結果、公費負担の対象とする品目は大幅に拡大しました。また、社会科見学のバス代の公費負担を小学5・6年生に拡大しました。現時点で公費負担を更に拡充する考えはありません。

 令和5年に文部科学省から、通学用服等の適正な取り扱いに関する通知が送付されました。通学用服等の購入について、保護者等の経済的負担が過重なものとならないよう取り組むことなどが示されています。

 これを受け、教育委員会では、安価で良質な標準服等が提供されるよう、複数の販売店間の競争性が機能するよう取り組むこと、複数の販売店から自由に選択し購入できるよう努めることなどについて、毎年、校長会で周知をしています。

 次に、就学援助についてです。

 就学援助については、申請に基づき、毎年度、前年の所得を審査のうえ認定しているため、例年、7月ごろに認定結果が確定します。認定後であれば、保護者の要望に応じて、就学旅行費の前払いを行っています。認定前に支払うことはできませんが、前年に生活保護を受給していた世帯については、認定前でも前払いを行っています。

 授業の一環として実施している小学校のクラブ活動については、保護者負担が実費で数百円程度であるため、対象費目の算定根拠とはしていませんが、中学校の部活動については、算定根拠として算入し、学校行事費として支給しています。

 生活保護の減額を違法とした最高裁判決を受け、先月、厚生労働省は専門家会議を開催したとの報道があったところです。今後、国の動向を注視してまいります。わたくしからは以上です。

 

 次に「体験格差」についてです。

 近年、子どもの成長において「体験」の重要性が広く指摘されています。多様な体験は自己肯定感や好奇心を育み、主体性や協調性といった非認知能力の発達に関わり、将来の進路や社会生活を送る上での「生きる力」の基盤となります。楽しい体験は精神的な回復力を高めるなど、子どもの成長に短期的にも長期的にも大きな影響を与えるものです。

 しかし現実には、経済的格差や家庭事情によって体験の機会がすべての子どもに等しく保障されず、体験格差が広がっています。2023年に公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンが全国の小学生のいる世帯を対象にした全国調査によれば、年収300万円未満の家庭では、約3割が直近1年間で学校外での習い事や家族旅行、地域のお祭りなどへの参加も含めて「何もしていない」と回答しており、年収600万円以上の家庭と比べ2.6倍多い結果になっています。体験ができなかった理由は、経済的事情に加え、保護者の時間的制約も5割を超えており、送迎などの負担が大きな障害になっていることが明らかになりました。

 練馬区では、ひとり親家庭ニーズ調査で「子どもと過ごす時間が不十分」という回答が増加したことを踏まえ、今年度から「親子体験応援事業」を始めました。この取り組みを拡充するとともに、子どもだけでも参加できる体験支援を実施すべきです。また、ひとり親家庭に限らず、区内の子どもたちがどのような体験をし、どのような制約に直面しているのか、区として調査すべきです。見解を伺います。  

 練馬区では10月から「ひとり親家庭向け学習支援事業」を開始します。この事業は、児童扶養手当受給世帯等の中学と高校の1・2年生に学習塾や家庭教師などが利用できる電子クーポンを支給し、学習面での体験格差の解消を図るというものです。しかしクーポンの利用先は学習塾等に限られ、水泳やサッカー教室などは対象外となっています。

 実態調査では、経済的な要因だけでなく親の体験の有無も子どもの体験に影響を与えることが浮き彫りとなりました。親自身が子ども時代に体験を持たなかった場合、その子どもも体験が「ゼロ」となる割合が5割を超えるとされ、経済的な支援にとどまらず、子どもが多様な体験に触れ、自ら「楽しい」と思える体験を見つけられるサポートを行うことも必要です。長野市ではチャンス・フォー・チルドレンと連携し、小・中学生を対象に学習だけでなくスポーツや文化芸術、自然体験などで使える電子クーポンを発行し、経済的困難を抱える家庭の子どもにも多くの体験機会を保障する取り組みを行っています。

 さらに、子ども支援・福祉の分野などで地域に根ざして活動するNPOなどに「地域コーディネーター」の役割を担ってもらい、体験の場の開拓や子どもに対する利用先の提案を行い、子ども達と学びや体験をつないでいます。

 こうした先行事例を参考に、練馬区でも学習だけでなく多様な体験活動もクーポンの対象に加え、民間団体と連携し、地域ぐるみで子どもの体験機会を支える体制を構築していくことも重要だと考えます。区の見解を伺います。

【吉岡福祉部長】 私から、子どもの体験支援について、お答えします。

 令和4年度ひとり親家庭ニーズ調査では、「子どもの教育・学力に悩みがある」「子どもと過ごす時間が不十分」が平成28年度の調査に比べ10ポイント以上増加しています。また、令和5年度に実施した、第3期子ども・子育て支援事業計画の策定に向けたニーズ調査では、子どもの体験活動について、保護者から、金銭的な理由や時間の制約などにより、「子どもと一緒に自然体験などの活動ができない」との回答が一定数見られました。

 既にこうした子どもの体験に係る実態把握に努めており、現時点で、改めて調査を実施する考えはありません。

 貧困による子どもの体験格差が社会問題化するなか、相対的に貧困率が高いひとり親に対しては、多面的できめ細やかな支援が必要です。

 区では、今年度、子どもの体験格差解消プロジェクトを開始し、親子体験支援や学習支援を充実しています。

 親子体験応援事業では、歌舞伎鑑賞やスポーツ体験、野菜や果物の収穫体験や職業体験など、文化、自然、社会体験をこれまでの2事業から18事業に充実しました。事業の参加者からは、「久々に親子で楽しい時間を過ごせた」「なかなか経験させられないことを、子どもに経験させてあげることができた」などの声をいただいております。

 来月から、学習の機会を確保するため、中学、高校の1、2年生を対象に、主要五科目の学習塾などに利用できる、クーポン方式の助成事業を開始します。

 今年度の事業について、子どもや保護者の意見を伺いながら、事業を充実してまいります。わたくしからは以上です。

 

 次に、分譲マンションについてお聞きします。

 分譲マンションは私有財産ですが、適正に管理が行われない場合、周辺にも悪影響を与え、場合によっては公費による解体など、多額の税金を投入することすらあります。こうした状況を避けるには適正な管理が行われるよう行政が支援することが必要です。

 この間、区は分譲マンション実態調査を行い、そこでは管理組合がないマンションが1.2%、長期修繕計画が作成されていないマンションが7.5%あることが分かりました。とくに昭和58年以前に建設されたマンションでは管理組合が義務化されておらず、そうしたところに東京都は管理状況の届出を求めていますが、未だ届出がされていないマンションは昨年度末で8件残されています。区はこうしたところにマンション管理士を派遣していますが、責任の所在がはっきりせず、なかなか進まないと言います。今回の調査結果を受け、今後どのようなアプローチをしようと考えているのでしょうか。

 文京区では、マンションの劣化診断の助成を行っています。財政負担なく劣化診断ができれば、建物の状況を区分所有者が認識することで管理を促すことができ、行政側も建物の状況をより正確につかむことができます。こうした助成を練馬区でも実施してはどうでしょうか。お答えください。

 今回の調査結果では、築40年以上のいわゆる高経年マンションでは空き家率が高く、管理組合の総会の開催や出席率が低下していることが分かりました。役員も特定の区分所有者に偏り、管理費の滞納や長期修繕計画が未作成の割合も高くなっています。これでは十分な合意形成や適正な管理が難しくなります。

 区の調査では、今後こうした高経年マンションが増加し、20年後には4倍以上に上る27,140戸にも達するとされています。こうした状況を少しでも改善し、適正な管理を行うために何が必要でしょうか。

 1つは、マンション管理に関する情報を周知することです。管理組合の役員は1~2年の輪番制を取っているところが多く、専門的な知識が不足しがちで、長期的な視点での管理が難しくなっています。区も管理組合の登録を行って、マンションセミナー未来塾の開催情報を知らせしていますが、年3回の情報提供で、登録数も29組合にとどまっています。

 区分所有法の改正や標準管理規約・標準管理委託契約書の見直し、マンション管理計画認定制度やマンション管理適正評価制度についてなど、マンションに関する情報を定期的に提供し、管理に必要な情報を周知すべきです。

 また分譲マンションは、建物を共同で管理する住宅であり、一定の負担や制限は避けられません。分譲マンションの管理に必要な基本的な知識など、マンションの購入を検討している人たちに必要な情報を整理して、提供することも検討すべきです。

 2つは、管理組合間の情報交換を活発にすることです。光が丘団地でも光連協を中心に月に1回情報共有の会議が開かれています。区も未来塾でグループ別の交流会を開催していますが、年2回で43棟にとどまっています。より広いつながりをつくり、管理組合同士の情報共有を促すとともに、そうした情報を可能なかぎり区も発信すべきです。

 3つは、合意形成ための支援を行うことです。投機目的の区分所有者の場合、管理に関心を示さず、総会にも参加しないなど合意を得ることが難しくなります。千代田区では、こうした売買を防止するために 区として一般社団法人不動産協会にマンションの5年間の転売を禁止する特約に付すこと、同一建物において同一名義による複数の物件の購入を禁止することを要請しました。練馬でも実施できないでしょうか。

 また区分所有者の中で日本語でのコミュニケーションが難しい人たちも増えており、こうした人たちへの支援もぜひ強化していただくよう求めます。

 4つに、管理会社にヒアリングすることです。管理会社は継続的に管理にかかわっており、かなり深い情報まで把握しています。どういった支援が必要か、管理組合とは違った視点から情報を収集することも必要です。

 分譲マンションは今後様々な課題が出てくることが予想できます。それに対応する行政側の継続した取り組みが必要であり、区としてもマンションを専門にした課を立ち上げるべきです。以上4つの提案についてお答えください。

【伊藤建築・開発担当部長】 私から、分譲マンションについてお答えします。

 はじめに、管理状況届出制度についてです。マンションの適正な管理の促進を図るため、都は「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」を制定し、昭和58年12月31日以前に建築された6戸以上の分譲マンションについては、管理組合の有無、修繕の計画的実施の有無、総会開催の有無等を届け出ることを定めています。区は、届出の受付・処理を行っています。区内には、令和6年度末時点で、要届出マンションが321件あり、既に約98%の313件が届け出ています。区では、東京都マンション管理士会に委託し、未届の8件について、届け出るよう個別に働きかけるとともに、管理不全マンションに対して助言・指導を行っています。

 次に、マンションの管理適正化についてです。既存の高経年マンションでは、長期修繕計画の未作成による積立金不足や、区分所有者が高齢化し、改修工事等への合意形成が進まないなどの課題が指摘されています。令和6年10月に行った区内分譲マンション実態調査においても、同様の状況が見られました。

 管理組合等へ、計画的な管理の実施に向けて、早急な対応を行うよう、啓発を進めることが重要です。

 区は、マンションの管理運営、建物の修繕、建替え等についての必要な情報の提供や管理組合同士の情報交換を行う、ねりまマンションセミナー未来塾を実施しています。加えて、管理組合が抱える問題を円滑に解決できるように無料相談会を毎月2回開催しています。また、区内のマンションにおいて、管理および運営の工夫をされた好事例を集め紹介したマンション管理事例集を作成し、未来塾等で配布しています。

 マンションの適切な維持管理は、所有者の責任において行うものです。都においては、マンションの建替え・改修を検討している管理組合に対し、マンション管理士を派遣する制度を設けています。区では、本制度を利用する際に要する経費を全額助成し、その活用を促しています。マンションの劣化診断調査に助成を行う考えはありません。

 今般、マンションの管理および再生の円滑化等のため、建替えや改修に際しての区分所有者の合意要件を緩和する法改正がなされ、令和8年4月から施行されます。今後、区ホームページ、無料相談会、未来塾などの機会を捉え、周知に努めてまいります。

 引き続き、管理組合が適切に維持管理を進められるよう、サポートしてまいります。

 次に、マンションの転売等特約についてです。千代田区では、投機目的によるマンション購入により、価格の高騰を招いているとのことから、物件を転売できないよう特約を付すこと等を不動産団体へ要請しています。練馬区においては、現在は、自らが居住されることを目的に購入されている方が多いと考えており、今後の区内マンションの価格や他の自治体の動向を注視してまいります。

 今年度、マンション管理士の協力を得て、マンション管理適正化推進計画を策定します。分譲マンション実態調査の結果を踏まえ、管理組合による自主的かつ適正な維持管理のための支援等について検討しています。令和8年度からは、本計画に基づく管理組合への助言・指導等を実施してまいります。わたしからは以上です。

 

 次に、大江戸線の延伸についてです。

 前定例会で区長は、大江戸線延伸について、2040年頃の開業を想定し、区が200億円の財政負担と鉄道施設整備への協力を行うことで、収支採算性が確保できると見込んでいること、延伸地域のまちづくりを更に進め、大江戸線延伸推進基金を計画的に積み増すなど、地元自治体としての責任を果たしていくと決意を示しました。

 大江戸線の延伸については、区内の鉄道空白地域の改善など必要な事業だと考えています。しかし、200億円を練馬区が負担するということについては、議会でも詳細が明らかにされておらず、区民の合意が得られたものではありません。

 そもそも都営地下鉄は都交通局の事業であり、基本的には「東京都の責任で整備・運営すべきインフラ」です。本来は都が主導して財源を確保するのが筋と言えます。

 更に言えば、東京都の財政規模は、一般会計だけを見ても約8.5兆円です。これはオーストリアやノルウェーなどの国家予算に匹敵します。一方、練馬区の一般会計は約3500億円であり、200億円はその6%にあたり、練馬区にとって極めて重い負担になりますが、都の財力から見た200億円は0.002%と誤差の範囲です。そうしたことからも負担割合のバランスは見直されるべきとの意見が専門家から出されています。

 確かに、他の鉄道延伸でも、自治体負担は一定割合で求められることが多く、23区でも地下鉄8号線延伸に関わり、総事業費2690億円のうち江東区が94億円負担することになっています。しかし、総事業費1600億円のうち200億円の負担は12.5%にあたり、江東区の3.5%と比べて規模も事業費に占める割合も大きすぎます。区の見解をお聞きします。

 また、区は、この間、区立施設の総合管理計画で、小中学校をはじめ多くの区立施設の建て替え時期が重なり、30年間で6450億円かかるため、年平均215億円を負担しなければならないと整備を進めてきました。ところが、まだ使える美術館・図書館の再整備は来年度の工事着工は見送られましたが、多額の費用をほぼ区の単費で進めようとしています。石神井庁舎は一部機能の移転と建て替え、総合体育館の建て替えなど合わせれば数百億円を超える出費が予想できます。そうした時に、本来業務でもない地下鉄延伸に200億円の予算をつぎ込むということになれば、教育や福祉、施設の建替えなど基礎的自治体の本来業務に支障をきたし、その予算が削られることになるのではありませんか。ならないというのであればその根拠をお示しください。

 さらに、東京都は近年、鉄道延伸や新線建設の採算性に厳しい条件を課し、「地元がどれだけ財政的にコミットするか」が事業化の鍵になっていると言います。これは「都内の他地域との公平性」を理由にし、特定の区だけ優遇するわけにはいかないという論理です。

 しかし、実際には、豊洲市場移転や臨海副都心開発には巨額の都費が投入されてきた経緯もあり、そもそも公平性が図られてはいません。実際は、交渉戦略の一環で区に負担を押し付けているようにしか見えません。

 練馬区は、これまで110億円の基金を積み立てるなど「都への誠意」を示している状況ですが、これは本来の制度設計からすると歪んだ状態であり、こうした都の姿勢こそ正す必要があると考えます。同時に、区が200億円も出せるのであれば、国がその分補助金を削ることになるのではありませんか、2点お答えください。

 いずれにしても、多額の財政負担を伴う事業であるだけに関係地域だけにとどまらず、

 区民全体に関わる問題です。区民の合意が得られるまで決めないなど、その在り方は十分議論して決められるべきです。区の見解をお聞きします。

  以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【中沢都市整備部長】 私から大江線延伸についてお答えします。

 大江戸線の延伸は、鉄道空白地域である区北西武の皆様の悲願です。これまで、区・区議会・沿線住民が大江戸線延伸促進期成同盟を結成し、長きにわたり一体となって促進活動をしてきたことは皆様もご存じのことと思います。期成同盟には、有馬議員を含め、全議員にご参加いただいており、区議会の皆様全員が一日も早い延伸の実現を望んでいるものと認識しています。今後の区の更なる発展に欠かせない重要なプロジェクトであり、早期実現は区の責務です。

 鉄道の新設や延伸事業においては、収支採算性の確保が重要です。都が大江戸線の整備を初めて事業化した時の担当課長は前川区長でしたが、後発で郊外に延びる大江戸線については、採算性の確保が極めて重要でした。そこで当初から、ロンドンの地下鉄に習った車両の小型化、リニアモーター駆動方式の採用などにより、大幅に建設費を抑えてきました。延伸区間の事業化にあたっては、収支採算性の確保が更に難しくなり、一層の工夫が必要になります。

 前川区長は就任直後から、都と実務的協議に入ることが肝要と考え、都への働きかけを重ねてきました。区長自らは、都知事と膝詰めで協議を行ってきました。

 その結果、副知事をトップとする都のプロジェクトチームが設置されました。本年3月に、2040年頃の開業を想定し、国庫補助のほか、都が補助金や出資金など、多額の負担をするとともに、区が200億円の財政負担と鉄道施設整備への協力を行うことで、収支採算性が確保できる見込みという報告が行われました。

 これまでの永い永い努力が実を結び、大江戸線の延伸は大きく前進しました。こうした経緯を鑑みると、区の多岐に渡る様々な努力の積み重ねを、有馬議員はどう考えていらっしゃるのでしょうか。

 また、大江戸線の延伸は、練馬区に多くの事業効果をもたらします。区が、受益に相応した一定の負担をすることは、当然のことであると考えています。

 大江戸線の延伸が区の本来業務ではないとのご指摘は、全く理解できません。有馬議員は、区がすみやかにその役割を果たすことなく、多くの区民が望む大江戸線の延伸の実現が遅れても構わないとお考えなのでしょうか。また、区の負担なくして、延伸を実現できるアイデアがあるのでしょうか。区では、具体化が進んできた大江戸線の延伸の動きを止めることなく、さらに加速して一日も早く実現できるよう、強い思いをもって取り組んでいます。

 区は、これまで、大江戸線延伸推進基金を110億円まで積み立ててきており、今年度の補正予算案では、更に15億円の積み増しを検討しています。延伸事業に際して、単年度に財政負担が集中することがないよう、計画的に積み立てを進めていきます。このために他の行政サービスの予算を削減することはありません。

 大江戸線の延伸の実現に向けては、期成同盟に加えて、区内の経済・産業団体、町会連合会等が参画する大江戸線延伸推進会議などの皆様と情報を共有し、共に活動しています。進捗状況を伝える大江戸線延伸ニュースは、区内全域の町会や区立施設に配布し、延伸の情報を広く周知しています。練馬まつりや延伸地域の地区祭等には、職員が現地におもむき、パネルなどを用いて丁寧に説明しています。延伸の早期実現への多くの期待の声をいただいているところです。

 引き続き、区民の皆様や区議会に、延伸の進捗状況等を適宣適切にご報告しながら、一日も早い延伸実現を目指してまいります。わたしからは以上です。

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