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議会報告
REPORT

2025年第二回定例会 一般質問     島田 拓(6月12日)

2025年 第2回定例会一般質問

2025年6月12日

日本共産党練馬区議団

                                                               島田 拓

  日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。                                                                                                                                                                       

  初めに区長の基本姿勢として物価高対策についてお聞きします。                                                           

  第1は、区内中小企業に対する賃上げ支援についてです。 

  長期にわたって、暮らしや経済が疲弊しているところに物価高が襲い掛かりました。物価高から暮らしを守り、経済の低迷から抜け出すには大幅な賃上げが必要です。特に雇用の6割を占める中小企業の賃上げが必要だと考えますが、区の見解をお聞きします。

 都内では中小企業のうち8割以上が、従業員20人以下の小規模企業です。東京商工会議所の昨年の調査では、7割以上の企業が賃上げを実施したと回答する一方で、従業員20人以下の企業では、企業業績の改善が見られない状況下でも、人材確保のために賃金を引き上げる、いわゆる「防衛的賃上げ」が64.1%にものぼっています。

 都は「魅力ある職場づくり推進奨励金」という、賃上げのための施策を実施していますが、賃上げ以外にもいくつものメニューの実施が求められ、さらに申請書類が多いため、支給まで1年~1年半もかかっています。そのため2023年度の実績は、応募数がのべ5,695社だったのに対し、受給できたのはわずか159社、2.8%に過ぎません。

    賃上げ支援が行われている岩手県や徳島県、今年度から実施する群馬県では、申請条件が賃上げのみであり、申請から支給まで4週間程度で行われています。こうした自治体に倣って条件を緩和し、支給までの期間の短縮を都に求めるとともに、区も上乗せして支援することを求めます。お答えください。

【前川燿男区長】お答えいたします。物価上昇への対応についてです。

 エネルギーや食料品を中心とする物価上昇が続き、区民の生活や事業者の活動に大きな影響を与えています。

    経済の大きな変動への対応は国が責任を持って行うべきことですが、区は、区民生活の安定を守るために、国や東京都が実施する対策を基本としながら、物価上昇の影響を緩和するための支援に取り組んでいます。

 今年度も、キャッシュレス決済ポイント還元事業を来月から実施するほか、物価上昇の影響を受ける教育・子育て施設や介護・障害者児サービス事業所に対する光熱費等補助などを実施しています。秋に編成を予定している補正予算においても、区内中小企業に対する支援策を検討してまいります。

 引き続き、国や都が進める経済対策の動向、区内経済の状況などを注視しながら、区民生活を支える上で、必要な施策を実行してまいります。私からは以上です。

 そのほかの質問につきましては、教育長、および関係部長から答弁いたします。

【佐古田企画部長】私から、事業者と医療機関の支援および消費税についてお答えします。

 はじめに賃上げに関する支援についてです。

    区内経済の活性化を図るためには、区内に多い中小企業の賃上げを進めることが必要です。練馬ビジネスサポートセンターでは、区内事業者に向けた経営に関する相談やセミナーを実施し、賃上げを含む国の補助制度を周知しています。

   働く方が安心して生活できる環境を総合的に整えることが重要です。都の「魅了ある職場づくり推進奨励金」は、賃上げに留まらず、中小企業等の職場環境の改善や人材育成などを支援し、企業の労働生産性を高め、持続的な成長を促進することを目的としており、専門家の助言を踏まえた勤務制度の導入等には、一定の時間が必要と聞いています。区が独自に奨励金を上乗せする考えはありません。

 

   第2は、公契約条例の制定についてです。

   公契約条例は、労働者の生活と権利を守ることや質の高い公共サービスの提供、地域経済の活性化のために、地方自治体が公共工事や業務委託などの契約で、労働者等の労働条件を定めるもので、区としてできる貴重な賃上げ促進策でもあります。

  すでに条例をもつ世田谷区では、区の高卒初任給に勤勉手当などを加えた金額をもとに、業務委託等の労働報酬下限額の目標を設定し、計画的に引き上げています。これを都に当てはめれば時給約1,600円になります。

  区が発注する工事や業務で働く人の賃金を、ただちに時給1,500円以上、そして、1,700円をめざし、いまこそ「公契約条例」を制定すべきです。お答えください。

【中田総務部長】私から、公契約条例についてお答えします。

 地方自治体が発注する契約においては、賃金や物価の上昇、週休二日制の徹底など労働環境の改善、慢性的な労働者不足等が課題となっています。区は、工事や委託事業の発注に当たり、十分な履行期間を確保するとともに、人件費や工事資材等の上昇分を反映した適正な予定価格を設定しています。

 民間事業者の従業員の労働条件の基本的な事項は、法律で定めるべきものであり、これまでも繰り返しお答えしているように、区として、公契約条例を制定する考えはありません。私からは以上です。

 

    第3に、医療関連事業者に対する支援についてです。

   この間、医療関連事業者から診療報酬の引き下げと物価高、人材不足で経営が立ち行かなくなっていて、複数の病院では、閉院・診療停止に追い込まれていると言います。

   実際、東京都医師会が昨年行った都内の病院の運営状況調査では、一般病院で2022年までは赤字割合が3割程度だったものが、23年以降51.6%と上昇し、とくに300~400床未満の病院では、61.5%が赤字となっています。

   また、人材紹介会社の利用状況をみると84.3%が人材派遣会社を利用。医師の紹介手数料は300万円超、看護師も100万円を超えるなど高額となっています。その結果、医業収益に対する紹介手数料の割合が平均1.16%である一方、医業利益率は逆にマイナス1.1%という厳しい状況です。物価高や診療報酬の引き下げに加え、人材不足も医業を圧迫しています。

   都は、当初予算で321億円を組んで支援をしていますが、それで十分なのでしょうか。区内の病院の経営状況および都の支援の効果を調べ、必要に応じ、拡充を都に求めるとともに、区としても必要な手立てを取るべきです。2点お答えください。

【佐古田企画部長】次に、民間病院に対する支援についてです。

 都は、都内の物価高騰と人件費の上昇による病院経営への影響を考慮し、今年度、新たに321億円の予算を計上のうえ、地域医療確保緊急支援事業を実施しています。内容は、入院患者1人当たり1日580円、高齢者の入院患者受入に伴う病床確保料1床当たり、年629万円などを支援するものです。また、令和4年度から、医療機関等の負担軽減に向けた緊急対策として開始した、食材費や光熱費の支援も継続しています。

 令和6年度の診療報酬改定等の影響もあり、区医師会加入の診療所や、区内病院からは、厳しい経営状況が続いていると伺っています。引き続き、動向を注視し、必要に応じ国や都に要望してまいります。

 

   この項の最後に、消費税の廃止・減税についてお聞きします。この間、区は、消費税は社会保障を行う上で必要な財源として、消費税減税や廃止を国に求める考えはないと述べてきました。しかし、そもそも消費税は所得の低い人ほど負担が重く、税の公平性の観点から見て、社会保障財源としてはふさわしくありません。

 いま、2つの選挙を前に、各種世論調査で消費税減税や廃止求める声が7割を超える結果が出ていて、わが党だけではなく、多くの党が公約せざるを得ない状況となっています。それほど国民の生活が深刻だということです。いまこそ区民の生活を守るために国に消費税減税を求めるべきではないですか、お答えください。

【佐古田企画部長】次に、消費税についてです。

 消費税は、景気や人口構造の変化に左右されにくく、税収が安定していること、負担が特定の層に集中せず、あらゆる世代で公平に分かち合えることから、国民が広く受益する社会保障の財源とされています。低所得世帯等の負担に配慮する観点から、飲食料品等を対象に軽減税率が適用されています。

 税の公平性については、消費税のみに着目するのではなく、所得税等を含めた税制全体で考えるべきであり、国において議論されているものと認識しています。

 今後ますます需要増が見込まれる社会保障に対処するには、財源確保が不可欠であり、国に消費税減税を求める考えはありません。私からは以上です。

 

   次に学校給食と子ども食堂についてです。

   第1は学校給食についてです。4月の都と区部のコメの平均小売価格が5キロ4,770円と1年前に比べて倍以上になりました。区も1食当たりの金額を引き上げましたが、区立小中学校の給食においては、栄養士さんから「果物をこれまでの1/4カットから1/6カットに小さくした。肉は切り身をひき肉で代替し、ハンバーグやツクネにせざるを得ない。から揚げは鶏肉から大豆ミートにして、多くの野菜をモヤシに変えるなどしながら、1円でも安価な業者に発注している」ということでした。

   区は、昨年度一括購入したコメを各学校に配給しています。栄養士さんからは「非常に助かった」との声も出されており、今年度も下半期に向けて速やかな対応が必要だと考えますが、いかがでしょうか。また、1食あたりの食材費の引き上げを現場の要望をもとに実施することが急務だと考えます。2点にお答えください。

   第2に学校栄養士の処遇についてです。現在、区内98小中学校のうち直営調理校は4校で、栄養士さんの半分は会計年度任用職員です。会計年度だと、就業日数や就業時間が限定され、献立作りや事務作業に追われて、調理現場になかなかいられず、子どもとのかかわりが薄くなり、食育指導やきめ細かい成長・発達の把握にまで手が回らないとのことです。会計年度ではなく常勤化すべきと考えますが、いかがですか。

 第3に不登校児童への給食費相当分の助成についてです。不登校児童への対応では23区中6区で給食費相当分の助成を始めました。昨年度の練馬区の不登校は小学校では931人、中学校で716人となっています。特に小学校では5年で2.2倍にまで増加しており、比率にすると小学校で14%、中学校では7.8%となっています。不登校児童・生徒への給食費相当分の助成を行うべきと考えますが、いかがですか。

【佐川教育振興部長】私から、学校給食および栄養士についてお答えします。

 近年の物価上昇の動向を踏まえ、当初予算において既に学校給食の予算を増額しており、現時点で、給食の内容や質に影響は出ていません。昨年度は、米の大幅な価格上昇に対応するため、教育委員会で価格上昇相当分の米を一括調達し、各校に配布しました。今年度も、想定を超える食材費の上昇が見込まれる場合には必要な対策を講じ、安全で栄養バランスの取れた給食の提供に支障が出ないよう取り組んでまいります。

 学校給食費の無償化については、これまでも自治体の判断に委ねるのではなく、国が明確な方針を示すよう、特別区長会等を通じて要望してきました。令和6年度から、都が国に先行して公立小中学校の学校給食費の無償化を開始したことを受け、区は、都の補助制度を活用して学校給食費の全面無償化を実施しています。都の補助制度は不登校の児童生徒は不登校の児童生徒は対象としておらず、現時点で区が独自に補助を行う考えはありません。

 学校栄養士は、国が定める基準等に基づき都が配置することになっており、現在2校に1名配置されています。区は、それを補完するため、独自に会計年度任用職員を採用し、全校に栄養士を配置しています。区として常勤職員を採用する考えはありません。児童生徒への食育指導等については、学校として組織的に取り組んでおり、栄養士の業務に必要な勤務時間は適切に確保しています。以上となります

 

    第4に子ども食堂への助成についてです。区内では、区が把握している子ども食堂だけでも2021年に13カ所だったものが、現在では45カ所にもなっています。区は、こうした子ども食堂の需要増をどう捉えているのか、お聞きします。

    区が、今年度から国の制度を活用して子どもだんらん食堂支援事業補助金をスタートさせたことは重要です。区内の子ども食堂で話を聞いてきたところ、「支援の拡充はありがたいが、仕事をしながらなので手続きに時間が割けない食堂も多いのではないか。制度周知もふくめて職員が食堂に来てマンツーマンで説明や手続きに付き合ってほしい」との声も届いています。手続きの煩雑さを理由に助成を受けられないとの声に区は応えるべきだと考えますが、いかがですか。

    また現場からは「われわれの役割は、本来は行政の仕事だと思う。民間の善意にいつまで頼るのか」との声が出されています。子ども食堂の名付け親自身、こども食堂は行政の下請けではない、ボランティアでできる支援には限界があるとして、子どもの貧困の問題は国や自治体が取り組むべき問題だと訴えています。

    区自身が、子ども食堂が必要ない社会の実現のための施策の充実を行うこととあわせて、子ども食堂で困窮世帯を把握し、支援へつなげるための対策を行うべきと考えますが、区の所見をお聞かせください。

【吉岡福祉部長】私から、こどもだんらん食堂についてお答えします。

 地域で支援を必要とする方を支えるためには、区民や地域団体、民間事業者等との協働により取り組む必要があります。

 区は、本年4月から、「こどもだんらん食堂支援事業」を開始しました。本事業の目的は、食事提供や食材配送を通じて、支援が必要な子ども等たちを行政や地域団体につなぐことです。

 こども食堂マップに掲載する団体は、3月末から6団体増加し、51団体となりました。地域のつながりが希薄化する中、孤食の解消や多世代・地域交流などの課題に対し、多くの地域団体がこども食堂として取り組んでいただいているものと認識しています。

 区は、申請方法を分かりやすく記載した手引きを作成し、区ホームページで周知するとともに、オンライン申請もできるようにしています。

 団体の広報やネットワークづくりを支援する練馬区社会福祉協議会、こども食堂と区が連携して、継続的かつ包括的な支援を行います。私からは、以上です。

 

    次に学校統廃合についてお聴きします。

    区教委は、小規模校のデメリット「交友関係が固定化しやすく、多様なものの見方・考え方にふれる機会が少なくなる」などを強調し、学校の統廃合を正当化しています。しかし、この間、こうしたデメリットを覆す声がいくつも出されています。

    豊渓中に子どもを通わせていたある保護者からは、「私の息子は、どちらかというと前に出たくないタイプですが、色々な役割を与えてもらい、自分に自信がつきました。マンモス校であれば、たぶん埋もれてしまっていた」との声が寄せられています。区教委が発行している学校案内でも豊渓中の紹介ページの中で、「人数は少ないですが、委員会などで活躍できる機会が多く、自分の個性を生かして、主役になれるメリットがあります」と生徒会長の言葉が紹介されています。実際、学区外や区外から豊渓中を希望して入学してくる子どもたちもいます。こうした小規模校の良さを区教委はなぜ評価しないのか。お答えください。

    区教委は小規模校のデメリットについて、平成21年の中教審の部会の報告書を根拠にしています。しかし、当時は小中ともに40人学級であり、不登校の数もここまで多くありませんでした。20年前とでは大きく状況が異なっているのに、実態を見ずに、報告書をまるで錦の御旗のようにして統合を推進すること自体、本気で教育環境を良くしようなどとは思っていないことの現れです。現に豊渓中学校も光八小も20年以上にわたって、課題があるとする小規模な状況が放置されてきました。結局、教育環境のためではなく、建物の老朽化と改築費用の削減が目的ではありませんか。いかがですか。

    仮に統合した場合、その影響が心配されます。1つは特別支援学級への影響です。光八小には知的固定学級である「わかば学級」があります。わかば学級は区内の知的固定学級では一番人数の多い学級です。3月に策定した練馬区特別支援教育実施方針では、障害児学級と通常学級との交流を実施するとしています。仮に統合すれば子どもたちの数は170人規模から一気に650人規模になり、学級数も22学級と区の言う適性規模をも上回ります。環境が大きく変わるだけでなく、学校の規模が大きくなることで、きめ細かな対応ができるでしょうか。しかも、実施方針では、今後、知的固定学級の教室数が不足する可能性があることが指摘されています。こうした中で学校を減らしていいのか。2点お答えください。

    2つ目はねりっこクラブへの影響です。光八小ねりっこクラブは現在50人規模ですが、今後、統合されれば一気に160人規模になります。今でも田柄小の指導員からは子どもの数が100名を超えていて、名前が覚えらず、子どもたちをしっかりと見ることができないとの声が寄せられています。秋の陽小ねりっこクラブも待機児がいる状況で移ることはできません。

    区教委は、建て替えに際して、2ユニット90名分のねりっこクラブの専用室を確保する方向であるとしていますが、すでにその規模を大きく超えています。建て替えによって、すべての子どもたちの専用室を確保することができるのか、セカンドスペースとなれば、既存の教室が使われることになり、子どもたちが思い切り体を動かすことが難しくなるのではありませんか、大規模化によって環境が良くなるのか、悪化することはないのか、お聞きします。

    3つ目は通学への影響です。光八小の保護者からは、交通量の多い豊島園通りを通ることに不安の声が寄せられています。小学校低学年ではただでさえ荷物が多く、子どもたちにとって大きな負担ではないでしょうか。こうした不安にどうこたえるのか、お聞きします。

    豊渓中については、2回目の説明会の中で、区は自転車通学をできるようにすると述べました。そうなると学校選択制を導入している関係もあって通学距離が2キロ程度になる子どもたちに自転車通学を認めるということなのでしょうか。その際の安全性確保や駐輪スペースはどうなるのか。認めない場合、その理由が何かをお示しください。これまで部活動の試合等の遠征では、どんなに遠くとも安全性の観点で自転車利用を認めてきませんでした。こうした対応とも矛盾するのではありませんか。お答えください。

    4つ目は地域への影響です。今回の統廃合によって避難拠点がなくなることになりますが、計画では、そのことを全く考慮していません。すでに先行して統廃合が進められた光が丘地域では、備蓄倉庫があるものの、管理は区職員が行っており、校舎については基本的には使用しないとのことです。こうした影響があるにも関わらず、適正配置検討委員会では危機管理の委員は一人もいません。攻めの防災と言いますが、統廃合によって避難拠点の機能が低下してしまう可能性があるのに、まともな検証すら行っていないのです。これはあまりにも無責任ではないでしょうか。いかがですか。

    区教委は、「丁寧に御説明して、御理解いただけるよう努めてまいりたい」と述べ、今後は、全体説明会ではなく、個別相談会に切りかえていくとしています。しかし、本当の問題は、理解を得ると言いながら、実際には、地域から出された声を受け止めようとせず、計画を押し付けていることにあります。そうした姿勢が、住民の中に不信感を生み出しているのです。どうすれば教育環境を良くすることができるのか、ゼロベースから広く話し合いを行い、計画もそれに合わせて抜本的に見直していく、こうした姿勢こそ求められています。いかがですか。

【三浦教育長】私から、区立学校の適正配置についてお答えします。

 学校は、教科等の知識や技能を習得させるだけではなく、児童・生徒が集団の中で多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて思考力や表現力、判断力、問題解決能力などを育み、社会性や規範意識を

    身に付けさせる場でもあります。そうした教育を行うためには、一定の規模の児童・生徒が確保されていることや、経験年数、専門性、男女比率についてバランスのとれた教職員が配置されていることが望ましいと考えています。

    学校教育の充実を図り、児童・生徒に良好な教育環境を提供するため、昨年12月に、「区立学校適正配置第二次実施計画素案」をとりまとめました。

 小規模校のメリットについては認識していますが、過小規模化が進行するとデメリットの影響が大きくなり、学校運営に大きな課題が生じることが危惧されます。計画素案でお示ししたとおり、令和5年度に行った区の将来人口推計において、現在だけでなく20年後も過小規模の状況が見込まれること、学校の改築時期が迫り、長寿命化改修も不適であることなどに鑑み、選定したものです。平成27年に文部科学省が取りまとめた手引でも、クラス替えができる学年が少ない規模の学校については「教育上の課題を整理した上で、学校統合の適否も含め、今後の教育環境の在り方を検討することが必要である」とされています。学校の適正配置は、改築費用の削減を目的として行うものではありません。

 田柄小への特別支援学級の移設に当たっては、当然、改築に合わせて必要な教室数を確保するとともに、できるだけ児童への負担がないよう、教員の配置、指導法の継続などについて十分な配慮を行います。

 「特別支援教育実施方針」では、地域の支援学級在籍者数やニーズなどを踏まえて小学校に1校、知的障害学級を増設することとしています。

 ねりっこクラブについては、田柄小を改築する際、改築後の児童数推計に基づいて必要なスペースを確保します。これまでに開設したねりっこクラブでは、特別教室などをセカンドスペースとして基準以上の面積を確保するとともに、校庭や体育館などを活用して児童が放課後を過ごせる環境を整備しており、田柄小でも同様です。

 通学時の負担を軽減するため、他校と同様、重い荷物は学校に置いて帰れることを周知します。また、通学時の安全確保に向け、各学校での安全指導を徹底するとともに、通学路の安全点検を実施し、必要に応じて警察署や道路管理者などへの働きかけを、丁寧に行います。

 豊渓中の通学区域のうち、現在よりも通学距離が遠くなる生徒には、ヘルメットの着用などのルールを定め、統合先である光が丘第一中に駐輪スペースを用意し、自転車通学ができるようにします。統合・再編により通学距離が区内で最長になること、保護者からの強い要望を踏まえて実施するものであり、これまでの対応と矛盾するものではありません。

 避難拠点について、学校の適正配置にかかわらず、その機能を地域に確保することは当然のことです。これまで適正配置が行われた光が丘地域においても、避難拠点運営連絡会の統合や区要員の増員、跡施設の活用などを行い、必要な機能を確保しており、地域の避難者に適切に対応できると考えています。また、「地域防災計画」では、発災時の状況に応じて他の区立施設や周辺の都立高校などを臨時の避難所として活用できることとしています。学校の適正配置の検討に当たっては、防災関係部署とも綿密に協議しながら検討を進めています。地域における避難拠点の機能が低下するといった指摘は当たりません。

 実施計画素案は、令和5年度に策定した基本方針に基づき策定したものであり、基本方針は素案の段階で、区民の皆様に幅広く周知し、ご意見を伺った上で、住民の代表である議会の皆様に説明して、成案としたものです。これまでに、学校での全体説明会に加え、保護者からのご要望を踏まえ、個別説明会を行ったほか、今月末にはオープンハウスの実施も予定しています。今後、様々なご意見を踏まえて、実施計画の策定に向けて進めていきます。

 私からは以上です。

 

    次に、地域公共交通についてです。

    高齢化社会を迎えるなか、多くの人が身近な地域で、通院や買い物など、不便なく暮らし続けるには、コミュニティバスなど地域公共交通の充実が不可欠です。しかし、現状は、バスの運転手不足や採算悪化などを理由とした路線の減便・廃止、事業者の撤退が各地で相次いでいます。

    練馬区でも、今年4月から、みどりバスのルート再編・減便となり、その影響は、氷川台ルートで1日当たり604人、関町ルートで354人、南大泉ルートで167人となりました。住民からは、30分に1便運行を求めていたのに、増便どころか減便という状況に怒りの声が上がっています。

 区は、バス会社と協議を重ね、現状の利便性の確保を強く求め、ダイヤの調整など、サービスの向上に努めたということですが、運転手不足という大きな壁を超えることはできませんでした。しかし、みどりバスは、区がバス事業者に委託して運行しているわけですから、再編・減便前のルートやダイヤを継続するには、「運転手は何人必要か」「継続への打開策はないか」について、もっと踏み込んで話し合うべきだったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

    民間の路線バスでも、西武バス泉38系統で、運行に欠かせない小型車両が老朽化し、その代替がないことや、運転手不足を理由に今年3月末に廃止となりました。必要性が高く、利用者が多い泉38系統であっても廃止という事態です。

    北区では、減便・廃止された民間バス路線をコミュニティバスとして復活させました。新規開通の浮間・赤羽コースでは、都営住宅やマンションなどの集合住宅や大型スーパー前を小まめに運行するなど工夫して、幅広い年齢の乗客が利用しているとのことです。

 北区のように一度廃止された民間バスを復活させ、多くの人に利用されている事例もあることから、泉38と同じルートをみどりバスとして復活させていただきたい。いかがですか。合わせてデマンドタクシーの対象エリアを拡大し、みどりバスの路線やダイヤを補完するような運行も必要と考えます。2点お答えください。

 バス運転手は、全産業平均より長時間労働で低賃金です。これに対し葛飾区では、バス運転手の住宅手当や借上住宅の費用を、一人当たり月2万円を上限として補助する独自の支援策を実施し、運転手の採用活動に関わる費用、女性運転手が働きやすい職場環境を整えるための費用の1/2補助を昨年7月から行い、今年度も継続しています。昨年度は4社がエントリーし、住宅手当補助を利用した1社では、運転手が増えているとのことでした。

 こうした事例からも処遇改善なしに運転手不足の改善はないということが分かります。バス路線の減便や廃止の原因となっている運転手不足を解決するために、事業者任せにせず、練馬区も補助すると同時に、国や都へも財政的支援を求めるべきと考えますが、いかがですか。

 同時にバス運転手を基盤的社会的サービス分野の職種と位置付け、運転手の賃金体系を準公務員として定めるといった社会全体でのサポートが不可欠と考えますが、区の見解を伺います。

 さらにすべての地域公共交通の事業者がよりよい住民サービスの充実に向けて、コスト削減競争から抜け出し、協力・連携を図るため都と区市町村、公共交通事業者の協議会を設置することが重要だと考えますが、区の見解をお聞きします。

【中沢都市整備部長】私から、地域公共交通およびマンションの災害対策についてお答えします。

 運転手の不足等により、全国的にバス路線が廃止・縮小となっています。区内の一般路線バスやみどりバスも同様です。

 区は、みどりバスの改編にあたり、バス事業者と、運行の維持や運転手の効率的な配置などについて協議を重ねてきましたが、今回の再編・減便はやむを得ないと判断いたしました。泉38系統の廃止についても同様です。

 運転手の不足等を背景としたバス路線の廃止・縮小は、社会全体の課題であり、その対策は必要であると考えています。区内を走る路線バスの多くは、周辺区市にまたがり運行していることから、バス事業者への運転手確保の取組支援は、国や都、関係自治体と連携して取り組むべきものです。現時点において、区単独で財政支援する考えはありませんが、引き続きバス事業者と協力の上、ホームページやSNS等による採用広報を支援していきます。

 泉38系統の廃止は、運転手の不足等の理由によるものであり、バス事業者に運行をお願いしているみどりバスで代替することは困難です。

 バスに代わる地域公共交通の一つとして、本年、南大泉・東大泉で、デマンドタクシーの導入について、実証実験を行いました。延べ1200人と多くの方に利用されましたが、採算面に大きな課題があり、更なる検証が必要です。

 大泉町地域においては、大江戸線延伸が必要ですが、実現までの間の地域公共交通の確保策について、年内に地域の方々と話し合いの場を設けていく考えです。

 区は、こうした状況の中、持続可能な地域公共交通へと再構築するための計画検討を進めています。策定にあたっては、既に東京都、学識経験者、交通事業者などで構成する地域公共交通活性化協議会で意見を伺いながら進めています。

 

    次に、防災対策について伺います。

    第1に避難所の環境改善についてです。昨年12月、国は自治体向けの避難所に関するガイドラインを「スフィア基準」などをふまえ改定し、都も今年3月に策定した「避難所運営指針」で「スフィア基準」を用いて、避難所環境を改善していく方向性を示しました。

    避難所の食事を改善するという点では、能登半島地震でキッチンカーが力を発揮しました。キッチンカーは、水道や電気などが断たれた場合でも、まとまった量の食事を届けることができ、温かい食事が提供されることで避難所生活の改善につながります。

    国や都の見直しでは、キッチンカーなどの事業者と協定を締結するなど、平時から連携体制を築くことが盛り込まれ、江戸川区や小平市などでは、すでに事業者団体と災害時に避難所などで炊き出しを実施する協定を結んでいます。練馬区でもキッチンカー団体との協定締結など、災害発生時に被災者へ温かい食事を提供するための体制強化を行うべきではないでしょうか。区の考えを伺います。

    現在、区では食料や飲料水を1日分備蓄し、2日目以降は、都の責任で調達するとしています。しかし、発災時、道路の寸断などが起きれば計画通りに物資が届かない恐れがあり、すでに江東区や中野区は食料備蓄を2日分に増やしています。練馬区でも食糧備蓄を増やすべきではないでしょうか。お答えください。

    現在、区の地域防災計画では、災害時のトイレは避難者50人当たり1基、避難が長期化する場合は20人当たり1基の確保に努めるとしています。一方、スフィア基準では数だけでなく、男女比についても基準が定められていて、女性用トイレは男性用トイレの3倍必要とされています。男女比についても地域防災計画に位置づけて確保する必要があると考えます。お答えください。

    地震の際は区立小中学校が、風水害の際は地区区民館や地域集会所などが避難場所となります。公共施設のトイレの面積は男女で同じところが多く、全て個室である女性の便器数は逆に少なくなっています。ネクスコ中日本が行った調査では、女性の方がトイレにかかる時間が男性の2.5倍必要と分かり、同社は女性用個室を2倍以上に増やしました。山口県萩市では、「公共施設のトイレにかかる整備方針」で男性小便器数と女性便器数の比は概ね1:2とすることを目安としています。避難所で満たすべき基準は日常でも当然必要となるものであり、今後、区立施設の改修・改築の際にトイレの男女比を改善していくべきと考えますが、区の考えを伺います。

【後藤危機管理室長】私から避難所の生活環境等についてお答えします。

 避難所における食事の質の確保は重要な課題です。令和6年12月に改定された国の取組指針では、食事の提供にあたり、メニューの多様化や適温食の提供、要配慮者への対応の必要性等が示されています。

 国は、今月から、災害時に各種団体が所有するキッチンカーなど災害対応車両を各自治体で有効活用できるよう、登録制度を開始しました。国の指針等を踏まえ、学校施設の設備利用や民間事業者との災害協定なども含め、避難拠点における食事の質の確保に取り組んでまいります。

 災害時の備蓄については、都区間の役割分担に基づき、食料区がは1日分を、それ以降は都が備蓄、調達することとしています。

 区は、避難拠点1か所あたり700人の1日分の食料や飲料水等を備蓄しています。物資の不足が生じた場合には、区内24か所の区備蓄倉庫から輸送します。昨年度からアレルギー対応食を増量するなど充実を行っています。

 2日目以降は、国や都からの支援物資と協定事業者から調達した物資を、区の輸送拠点で受け入れ、各避難拠点に配送します。都や東京都トラック協会練馬支部等と定期的に訓練を実施しており、災害時に迅速に輸送が行えるよう、取り組んでまいります。

 災害用トイレは、国の指針等に準拠し、区地域防災計画で、災害発生当初は約50人あたりに1基、避難が長期化する場合には約20人あたりに1基の確保に努めることとしており、マンホールトイレや携帯トイレ等も活用し、必要な数を確保します。

 区立施設は、労働安全衛生法など関係法など関係法令に基づき、利用人数に応じて男性小便器は30人あたり1基以上、女性用便器は20人あたり1基以上設置しています。学校では、休み時間における同時利用などを考慮のうえ、加算して設置しています。

 災害発生時には、国の指針等を踏まえ、男子トイレを女子トイレとして使用する等、避難者数や男女比に応じて弾力的な運用を行います。

 引き続き、避難所の良好な生活環境の確保に取り組んでまいります。私からは以上です。

 

 

    第2にマンションの耐震化について伺います。今年3月、区は分譲マンション実態調査を行い、区内の分譲マンション1,549件中321件から回答がありました。マンションの耐震化についての設問では、67.2%は耐震性があると回答している一方、1980年以前の旧耐震基準で建てられたマンションでは、耐震性があるとの回答は14.3%だけで、回答した旧耐震マンションの36.7%が耐震性に懸念があり、耐震診断を行っていないとの回答も38.8%ありました。

    耐震診断を実施していない理由については、「耐震改修工事を行う予算がないため」が37.5%と最も多く、耐震性が無いと判定されれば資産価値が下がるのではないかとの懸念があるとの報道もあります。

    千代田区では、旧耐震基準の分譲マンションの耐震化を促進するため、一般道路沿道のマンションで耐震診断・設計ともに助成率10/10で、限度額がそれぞれ700万円・750万円を補助し、耐震改修等は助成率1/3、限度額1億6,733万円の補助を行っています。練馬区でも耐震診断や設計、改修などへの支援の拡充が必要と考えますが、いかがでしょうか。

    これまで耐震改修は鉄骨で補強する工法が主流でしたが、壁と柱を切り離す「耐震スリット工法」など新しい工法が普及してきています。「耐震スリット工法」は従来の工法よりコストを大幅に抑えることができ、あるマンションでは10年ほど前には1億円以上かかる見込みだった耐震改修が耐震スリット工法に切り替えることで1,280万円まで工事費を抑えることができたとのことです。耐震化を行うことで資産価値の向上や税金の負担が軽減されることから、こうした情報を周知し、相談を促すことが必要と考えますが、いかかですか。

    また、阪神淡路大震災や熊本地震の際には、震災後のマンション復旧の際に、震災補修のノウハウを持っている事業者が少ないために不適切な補修となり多大な費用が発生する場合や、復旧か解体で意思決定に時間がかかり、住民に重い負担となってしまう問題も発生しました。耐震や発災時の対応だけでなく、復旧についても備える必要があると周知し、相談体制を準備すべきではありませんか。お答えください。

    以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【中沢都市整備部長】次に、マンションの災害対策についてです。

 マンションの耐震化を進めるにあたっての主な課題は、改修にかかる費用の確保と区分所有者間の合意形成です。

 費用負担を軽減するため、区では、耐震診断、設計、改修工事への助成を行っています。現在、マンションを含む緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に重点的に取り組んでおり、今年度から、沿道建築物への耐震設計助成を大幅に拡充しました。また、耐震スリット工法等による工事費の縮減や税の減免など、費用負担軽減につながる情報を、耐震セミナーや個別相談を通じて、広く周知しています。

 区分所有者間の合意形成を図るため、区職員やアドバイザーが個別訪問し、耐震化の必要性、耐震改修の工法や工事期間、想定費用等について具体的に説明、助言を行うなど、個々の状況に即した支援を実施しています。

 発災直後は、居住者や建物の被災状況を早急に把握する必要があります。今年度、全面改訂し、7月に全戸配布する「マンション防災ガイドブック」では、安否確認や建物の安全確認など、発災直後に必要な対応の記載を充実しました。

 マンションが被災した際は生活再建に向けて管理組合等を中心に、修繕または建替えの早期の意思決定や合意形成が必須となります。そのためには、区分所有者等の連絡先の把握や管理規約の整備など、迅速な復旧に向けた事前の準備が必要であり、ねりま防災カレッジ事業等の機会を通じて周知啓発を行います。

 引き続き、マンションの耐震化促進に取り組むとともに、防災マニュアルの作成や防災会の組織化などの活動支援を行っていきます。私からは、以上です。

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