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陳情第68号「練馬区立美術館・貫井図書館の建て替え計画を白紙にし、再検討を求めることについて」の願意に賛成する討論 (小松あゆみ)

    陳情第68号「練馬区立美術館・貫井図書館の建て替え計画を白紙にし、再検討を求めることについて」の願意に賛成する討論

2025年6月2日

日本共産党練馬区議団 小松あゆみ

 

 日本共産党練馬区議団を代表して陳情第68号「練馬区立美術館・貫井図書館の建て替え計画を白紙にし、再検討を求めることについて」に賛成の立場から討論を行います。

 この陳情の願意は、サンライフ練馬を2025年に取壊した上で、練馬区立美術館・貫井図書館を建て替えるという計画を白紙にし、再検討を求めるものです。

 美術館・図書館再整備計画は、もともと大規模改修としていた計画が、サンライフ練馬の敷地も活用するため廃止し、建て替えとする計画に変わりました。しかもサンライフは2012年に5億円掛け大規模改修を行っていて多くの利用者の居る、まだ使える区立施設なのに、です。その過程での説明も議論もなされず、方針はいきなり大きく変わりました。

 基本設計が公表され驚いたことは、シェードと呼ばれる富士塚をイメージして造られた階段状のひさしが多用されており、そのシェードの面積によるしわ寄せで、美術館の主な諸室の面積が区側の要望どおりには満たされていませんでした。そして図書館においては共用部を除けば、いまの貫井図書館の床面積1,430㎡とほとんど変わらないのに、閉架図書を含む7階層と多層階に分かれた設計となっています。区は、複数フロアにすることで読み聞かせや集中して本を読むなど、それぞれニーズに応える場を設けることが可能と言いますが、本を探して、あっちに行ったりこっちに行ったりしなければならなかったり、バリアフリー化しても、とりわけ高齢者や障害者などの利用者の利便性や職員の働きやすさを損なうことになるのではと懸念の声が上がっています。

 そうした設計上の問題もさることながら、区民の心配は、工事費の増大です。当初、概算工事費の上限額は76億円でしたが、その約1年後には89.8億円に、さらに1年後には109億円と1.5倍に膨らみました。区は、建設資材の高騰や週休2日制への対応、新たな設備等の充実を理由としていますが、33億円の増額分については、実施設計の途中の金額だからと詳細を示しません。コンストラクション・マネジメントは概算工事費の妥当性の検証などの目的で行うとしながら、工事費を今よりも下げることやいくらまで下げるといった目的でないというのは、区民は到底納得できません。

 都内では建設資材や人件費の高騰などで計画の白紙や事業の延期、見直しされたところが中野サンプラザ再開発、北とぴあ改修計画、江戸川区の新庁舎建設など多数あります。区も建築資材の高騰は今後も上昇が続くと考えているにも関わらず、再整備計画を進めることに固執しています。先日の朝日新聞に掲載されたインタビュー記事で前川区長は、「美術館は、もっと大きく魅力的なものにするため、必要な経費はしっかりかける。中途半端が一番良くない。区長として、絶対成し遂げたい。」と答えていました。物価高に直面する区民の声を全く聴こうとしないこうした区長の姿勢が、この計画を強行させているのでしょう。

 先日の陳情質疑の際、与党会派の委員からも、「上限額を設定し、その上限を超えたら見直しをするという考え方も必要なのでは?」という意見も出ていましたが、それでも区は、上限設定は難しいが青天井ということは決してないと意味不明なことを繰り返しています。

 工事費が高騰し続けているなか、美術館・図書館の建て替え工事が確実に行えるのか見通せない段階で、解体工事のみ実施されることは、区民・利用者として不安だという声も出ています。だからこそ、「解体してしまえば、反対できないだろうというような進め方」と言われても仕方ありません。私たちは美術館・図書館再整備計画自体に反対の立場ですが、当初の予定よりも開館時期を2年延期するにも関わらず、解体工事をスケジュールありきで進めるべきではありません。

 練馬区を文化芸術の街にしていくこと、それ自体私たちは否定するものではありませんが、美術館・図書館再整備だけが地域文化の核や、区民生活を豊かにするプロジェクトなのでしょうか。練馬区内には音楽大学や芸術学部のキャンパスがあります。絵画やアニメといった作家も多く居住し活動しています。そうした文化芸術に関わる人たち、これから目指す人たちを支援することも、文化芸術の振興に力を尽くすことではないでしょうか。

 そしていま優先すべきは、物価高騰で苦しむ区民のための施策の充実であるというのが私たちの対案です。

 よって、美術館・図書館再整備は、一旦中止し、施設や設備の老朽化、バリアフリーなどの課題対応も含めて、初めから見直すことを求め、日本共産党練馬区議団を代表しての討論といたします。

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