議案第96号「練馬区立保育所設置条例の一部を改正する条例」および、議案第115号「財産の無償譲渡について」に反対する討論
2024年12月13日
日本共産党練馬区議団 のむら説
日本共産党練馬区議団を代表して、議案第96号「練馬区立保育所設置条例の一部を改正する条例」および、議案第115号「財産の無償譲渡について」に反対の立場から討論を行います。区立初となる高野台保育園の民営化にともなう議案ですが、同園は2011年に直営から委託化され、3度の契約更新を経てきました。問題は大きく3点あります。
1点目は公的保育が後退する可能性があるということです。公定価格を決める政府は、施設運営費のうち8割程度を人件費に充てることを想定していますが、区内の私立認可園の経費に占める人件費率は50%未満が全体の43.4%にのぼります。
保育の質は保育士の処遇に直結します。障害や母子保健、実践を踏まえた専門知識と技術の蓄積、くわえて賃金・労働時間の保証、研修を受ける権利の保障など、保育士にとって安定した労働条件は欠かせません。利益追求でない公的保育こそ安定した労働条件と人材育成が可能になるし、世代を超えた専門性の継承と向上につながります。
なぜ区はこれほど委託・民営化を推進しようとするのか。6月14日の文教委員会で示された高野台保育園民営化後の試算が如実に語っています。現在の委託園では区の持ち出しは年間2億3200万円ですが、民営化後はそれが半分以下の9700万円になるそうです。
それは国や都から1億1900万円の助成が新たに加算されるからです。「民間の知恵と経験」等さまざま理屈をつけても、財政負担の削減こそ区にとって最大のインセンティブであると私たちは確信しています。そのとき、子どもの権利は置き去りにされています。
2点目は区民の財産の明け渡しです。高野台保育園の土地評価額は5億6000万円。建物は同じく1億8000万円です。これら区民の共有財産をいち民間事業者に分け与えるなど、納税者を愚弄するものです。
さらに民営化後も10年先を目途とする改修費用の加算はなく、結局は人件費などを圧縮してそこから積立金を捻出しなければならないことになるのではないでしょうか。
3点目は豊かな子育ての環境づくりに逆行するということです。保育園は「あなたはサービスを提供する側、わたしはサービスを受ける側」という関係ではなく、よりよい子育ての環境づくりに父母が積極的に参加し、保育を両者の共同で担っていく関係が望まれます。保育園の委託・民営化はややもすると預ける側を受益者たるお客さんにしてしまい、こうした自覚と主体性を保護者からも保育園からも奪い、それがひいては子どもの不利益につながっていくと危惧しています。
練馬区の公的保育園のルーツは、1936年に貧困救済の事業を担う「保育部」が創設されたことに始まります。以来、区立保育園は日常の保育以外にも地域の子育て支援に積極的にかかわってきました。障害児保育、0歳児保育、緊急一時保育、園庭開放、ふれあい給食、育児相談、年末保育、中高生への体験保育、保育学生への実習の受け入れなど、まさに地域で子育ての中核を担ってきた歴史です。区立園の保育水準は、保護者と保育士が区民の要求を汲み上げながら練馬区とともに実現させてきた成果です。
練馬区は昨今、先輩がたが知恵と力を尽くしてきた不断の努力への敬意を忘れてはいないでしょうか。心配しています。
以上、区立保育園の委託・民営化に反対し、公的保育を守る立場から日本共産党練馬区議団を代表しての反対討論といたします。