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2024年第四回定例会一般質問     有馬 豊(12月3日)

2024年 第4回定例会一般質問

2024年12月3日

日本共産党練馬区議団

有馬 豊

 

 日本共産党練馬区議団を代表し一般質問を行います。

 初めに、区長の基本姿勢として性暴力をなくす取り組みと被害者支援についてです。

 性暴力は被害者の尊厳を深く傷つけ、人生に与える影響は極めて大きく許されない犯罪です。社会から性犯罪をなくすには、ジェンダーや人権の視点から性や人間関係について広く学ぶ包括的性教育が不可欠です。

 しかし、日本の学習指導要領には、「歯止め規定」があり、性行為や正しい避妊方法、性的同意など、学校現場では子どもたちに正しい性の知識を教えられない状況が続いてきました。私たちはこれまで包括的性教育の実現を求めてきましたが、区は、「児童・生徒の身体的・精神的発達や、それぞれがもっている性に関する知識の個人差に十分配慮すべきで、全校一律に実施を求める考えはない」として、実施する学校には、「校長の判断で、保護者に丁寧な説明をした上で理解・了承を得て実施するなど慎重な対応を促す」としてきました。

 こうした中、区では区内小中学校で教職員等による児童・生徒性暴力事件が3年連続で起きました。事件を受け、児童・生徒への性暴力等防止特別対策委員会を設置し、性暴力のない学校の実現のため方策を検討し、今年10月提言が出されました。提言では、性暴力をなくす、その解決には教育以外にない。「人権」を基盤に置いたものでなければ児童・生徒を性暴力から守ることにつながらないと指摘しています。具体的には、リプロダクティブヘルス・ライツや避妊、性的同意など、「歯止め規定」を乗り越える内容となっており、まさに包括的性教育が盛り込まれています。

 提言を受け区教育委員会は、人権を基盤にした教育・研修プログラムの作成と実施を対策方針に掲げています。提言にある通り包括的性教育を行うべきですが、区の見解を伺います。

 また、東京都が産婦人科医を都立高校へ派遣し性教育を行う事業に取り組んでいるように、区でも同様の取り組みを積極的に増やすよう求めており、取り組むべきですが、いかがですか。

 内閣府の2024年度調査によると、「無理やり性交等を受けた経験がある」と答えた女性は1,597人の回答者の8.1%にのぼり、そのうち55.4%がどこにも相談しなかったと答えています。

 しかし性暴力は、長期にわたり心身に深刻なダメージを与え、日常生活にも支障をきたします。性暴力被害者支援に取り組む団体のアンケートによると、被害の認識には平均で約7年半かかるほど、性被害に遭っても性暴力・性犯罪と認識しにくいことが明らかになっています。だからこそ被害からの回復や生活再建のために、被害者が早期に支援に繋がることは極めて重要です。

 性暴力の被害に遭った人が相談できる機関には、精神的ケア、警察や法律の相談、医療的な支援など、被害者に寄り添った様々な支援を担うワンストップ支援センターがあり、都道府県に1か所設置されています。しかし、国連の定義では女性20万人に1か所の設置が望ましいとされ、その指標には程遠い状態です。また予算や人員不足で、存続の危機に陥っているセンターもあります。センター存続と充実のため、国は抜本的に予算を拡充し、支援体制を強化すべきと求めていただきたい。いかがですか。

 区内には、第三者相談窓口や人権男女共同参画センター「えーる」で性暴力被害について相談が受けられますが、「えーる」の相談件数は5年間平均1.4件とわずかです。性暴力被害者への相談窓口として周知していないことも要因の1つと考えられますが、こうした施設をもっと活用すべきです。また、性暴力被害に遭った人の中には、生活保護を受給するなどすでに区の福祉と繋がり、過去の被害により精神を病み、生活に困難を抱えている人もいます。トラウマの理解に基づいた配慮やトラウマインフォームドケアの周知と啓発、福祉と連携して時間の経過した被害者の対応を行うなど、区として性暴力被害者への支援に更に努めるべきです。見解を伺います。

【中田総務部長】私から、性暴力被害者等への支援についてお答えします。

 国は、令和5年3月に「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」を策定し、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの運営の安定化と必要な人員の確保等を図るため、都道府県等に対し必要な支援の拡充を行うこととしています。来年度、国は交付金の増額を検討しており、今後、国の動向を注視してまいります。

 区では、男女共同参画センター「えーる」をはじめ、総合福祉事務所や保健相談所、区民相談所などで被害者からの相談を受け、ワンストップ支援センター等と連携した支援を実施しています。本定例会でお示しする第6次男女共同参画計画(素案)では、「困難な問題を抱える女性等を支援する」を目標の一つに掲げ、性暴力やハラスメントの防止に向けた啓発・支援を充実するとともに、女性自立支援施設や民間団体等との協働により、困難な問題を抱える若年女性のための居場所事業やLINE相談を新たに開始する予定です。

 引き続き、ワンストップ支援センターと連携を図りながら、被害直後から切れ目なく、被害者に寄り添った支援に努めてまいります。私からは以上です。

【三浦教育長】私から、教育についてお答えします。

 初めに性教育についてです。

 現在、区立小中学校では学習指導要領に基づき、主に保健分野の学習において、望ましい人間関係や体の発達など、発達段階に応じた性に関する正しい知識や考え方を身に付ける学習を行っています。

 また、子共たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、生命を大切にする考えや、自分や相手、一人一人を尊重する態度等を、発達段階に応じて身に付けることを目的に、「命の安全教育」を、令和5年度から全区立小中学校および幼稚園の全学級で実施しています。

 性暴力等防止特別対策委員会の提言では、これまでの区の取組を基本にその内容を充実させ、練馬区独自の人権を基盤とした教育・研修等プログラムを作成し、それに沿って繰り返し教育・研修を行うことが必要であると示されました。

 先月1日に、「人権を基盤とした教育・研修等プログラム作成委員会」を設置し、現在具体的な検討を進めています。産婦人科や助産師と連携した授業を実施している中学校もあります。外部講師を活用した効果的な指導についても検討していきます。

 

 次に、障がい者施策についてです。

 今年4月、改正障害者差別解消法が施行され、事業者にも障がい者に対する合理的配慮が義務化されました。そうしたもと障害者権利条約や憲法に基づき、障がい福祉への公的責任を果たすことが、練馬区にはより求められます。

 第1に、グループホームなど障がい者の住まいについてです。障がい者の高齢化も進み、親亡き後の住まいを含めた支援が重要になっています。区は旧石神井町福祉園あとに重度障がい者のグループホームを整備し、61室にする計画ですが、重度知的障がい者が区内に1500人以上いる中で、重度知的障がい者のグループホームが圧倒的に不足しています。整備目標を引き上げ、さらに促進すべきです。いかがですか。

 また、精神障がい者のグループホームは区内46ヶ所あり、その中には概ね3年で退去する通過型がありますが、3年で支援が不要になるとは限りません。期限のない滞在型の拡充が求められていると考えますが、いかがですか。また精神障がい者は日中、作業所等に通うことが入居条件ですが、それが困難な人もいます。入居条件の緩和を含め柔軟な対応を求めます。お答えください。

 また、聴覚障がい者で一人ぐらし高齢者は、日ごろ孤独感を感じている人が少なくありません。しかし聴覚障がい者のグループホームは区内になく、特養ホームなどに入所している人もいますが、手話のできる職員がいるわけではありません。特養などに聴覚障がい者が入所した場合、各種スタッフに研修を行い、手話で会話を可能にするなど適切な対応が確実に行えるようすべきです。また、聴覚障がい者のグループホームの整備も合わせて求めます。いかがですか。

 更に、グループホームの家賃ですが、知的障害で通過型の場合は69800円まで助成がありますが、滞在型の場合は最大24000円です。東京は家賃が高く光熱費等の上昇もあり、親の負担が増え、希望があっても入れなかったり、親が亡くなった場合、退去せざるを得なくなる事例もあります。杉並区では、独自に1万2000円の上乗せ支援をしていますが、練馬区でも入居者の収入に応じた独自の家賃助成を行うことを求めます。お答えください。

 第2は、手話通訳者派遣についてです。先の決算委員会で、余暇活動などの利用回数の上限撤廃を求めましたが、区は「多くの方が利用できるよう」2回としている、官公庁の手続きは何度でも利用できると言います。しかし、手続きが生活の全てというわけでもなく、余暇活動の利用を増やすことが求められています。回数や時間の制限を見直すべきです。いかがですか。

 回数制限をするのは、手話通訳者が足りないこともあるのではないでしょうか。区は手話通訳者派遣の報酬を引き上げましたが、有償ボランティアのような待遇ではいずれ人材確保が困難になります。せめて生活できる待遇改善が不可欠です。そのため、報酬の深夜早朝の割増、タクシー代含めた交通費の支給、映像配信通訳は配信期間に応じた報酬にするなど改善を求めます。また、福祉事務所等における設置手話通訳者は雇用契約がなく、サービス残業もあると聞きます。雇用契約を締結し身分を保障して、交通費や残業代を支給するなど改善を行なうこと、合わせて設置回数を増やすことに取り組んでいただきたい、2点お聞きします。

【前川燿男区長】お答えいたします。障害者施策についてです。

 障害者児福祉は、私の行政に取り組む原点であり、ライフワークの一つです。

 昭和46年、福祉行政に従事しようと決心して東京都に入り、日本で初めて設置されたばかりの、都立障害者福祉センターに配属されました。

 リハビリの受付・相談からスタートして、肢体不自由者更生施設の運営、視覚障害者児の日常生活動作のリハビリ、知的障害と視覚障害が重複した子ども一人ひとりの成長を支援するプログラムなど、様々な障害者福祉の現場で仕事をしました。

 当たり前のことですが、障害者が地域から隔離された「特別な存在」であってはならない。自然にそう考えるようになり、今も身体に沁みついています。

 区長に就任して10年。こうした経験を踏まえ、障害特性に応じ、ライフステージに対応したサービスの充実に努めてきました。

 重度障害者グループホームや親亡き後を見据えた地域生活支援拠点、都内最多となる医療的ケアが必要な重度障害者の通いの場などを整備するとともに、区独自の障害児一時預かりなどを実施してきました。

 今後、医療的ケアにも対応した重度障害者の地域生活支援拠点を整備します。通いの場の提供、医療型ショートステイ、地域で医療的ケアを支える人材の育成などを実施します。障害者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、23区の障害者福祉を先導する施設の実現を目指します。

 私からは以上です。そのほかの質問につきましては、教育長および関係部長から答弁いたします。

【吉岡福祉部長】私から、グループホームなど具体的な障害者施策についてお答えします。

 区は、障害者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、住まいの確保に取り組んできました。

 令和5年度末の区内の中軽度障害者グループホームは712室であり、改定アクションプランの目標677室を上回る整備状況でした。また、前川区長就任以来、重度障害者グループホームの増設に積極的に取り組んでいます。平成28年に区内最初の重度障害者グループホームが開設し、その後も都有地の活用や施設の整備・運営の補助等により、現在は4施設46室に増設しています。令和8年にさらに1施設開設し、61室になる予定です。来年度、次期障害者計画の策定に向けた基礎調査を実施する予定です。基礎調査の結果を踏まえ、新たな整備目標を検討してまいります。

 次に、精神障害者のグループホームについてです。

 グループホームは、障害者が地域生活を送る上で重要な施設であり、区内に精神障害者を主な対象とした施設が404室あります。

 利用期間については、一定期間入居して賃貸住宅等での地域生活への移行を目指す通過型と長期間利用できる滞在型があります。また、日中の過ごし方についても、就労や他施設への通所などにより、グループホームの外で過ごす施設と、一日を通じグループホーム内で過ごす施設があります。区は、本人の希望を踏まえ、一人一人の障害特性やライフプランに合わせたグループホームの利用ができるよう、支援を行っています。

 グループホームの家賃助成は、都が本人の所得に応じて設定した基準をもとに実施しています。

 障害特性や生活状況は様々であることから、必要となるサービスも異なります。区は、家賃助成のほか、障害当事者等の声を伺いながら、グループホームの体験利用の場の整備や在宅生活あんしん事業の実施等に取り組んできました。

 引き続き、障害者が住み慣れた地域で安心して住み続けられるよう、住まいの支援を充実してまいります。

 次に、聴覚障害者への支援についてです。

 練馬区福祉人材育成・研修センターでは、障害福祉や介護分野に関わる事業者に対し、障害者の特性や対応方法について理解を深める研修を実施しています。引き続き、研修の受講を促進することで、区内の特別養護老人ホームやグループホーム等の事業所の職員の支援力が向上するよう取り組んでいきます。聴覚障害者専用のグループホームを整備する予定はありません。

 手話通訳者派遣事業の利用回数は、通訳者の人数が限られている中で、多くの方が利用できるよう、1か月につき2回としています。一方、通院や官公庁との連絡だけでなく、生活に必要なものは回数に関わらず利用いただけるよう、その都度利用者の事情をお聞きして柔軟に対応しています。また、毎年、手話通訳者養成講習会を開催し、手話通訳者の人材確保を図っています。

 手話通訳者の謝礼については、手話通訳者団体のご意見を受けて、今年度から活動時間2時間までの単価を3,600円から4,200円に、2時間を超える場合の加算額を600円から700円に増額しました。謝礼の中には交通費相当分を含めています。今後も障害当事者や手話通訳者の団体等、関係者のご意見を伺いながら、事業の充実に努めてまいります。

 手話通訳者設置事業については、令和2年度に福祉事務所4か所での実施から、地域生活支援センター4か所を加え、実施場所を8か所に拡大しました。これに加え、令和4年10月から、いつでもどこでも、手話を利用できる環境を目指し、遠隔手話通訳事業を開始しました、現在は本庁舎、総合福祉事務所、障害者地域生活支援センターなど40か所で遠隔手話通訳をご利用いただけます。さらに多くの窓口で遠隔手話通訳を利用できるよう、現在、検討を進めています。

 引き続き、聴覚障害者の意思疎通の支援の充実に取り組んでまいります。私からは以上です。

 

 次に、住まいの問題についてです。

 この間、高齢になって収入が減少し、住んでいる賃貸を退去せざるを得なかったり、生活に困窮する世帯が増えています。そうなると家賃の負担を減らすため、より低廉なアパートを探すことになりますが、高齢者が住むことが可能なバリアフリー化された低廉なアパートが少なく、年齢によって断られることも多く、住まい探しが難しくなっています。

 区も住まい確保支援事業を行ってはいますが、申請数に比べ成約率は6%と少なく、伴走型であっても24%と大きく改善されているとは言えません。なぜこれほど成約率が低いのか、今後どのように改善しようと考えているのか。お聞きします。

 住まい確保支援事業を利用する場合、申し込みを行ったとしても自動的に物件が見つかるわけではありません。区から物件情報が示され、当事者が直接申し込む必要があり、伴走型では、居住支援法人が主体となり、物件を紹介し、内見、申し込みなど、当事者とやり取りしながら進めていきますが、こうした支援だけでは成約が難しいケースがあります。

 この間の相談では、高齢者でURの賃貸にお住いでしたが、お金の管理が難しくなり、結果的に電気、携帯も止まってしまいました。これでは居住支援法人と連絡を取ることすらままなりません。介護保険など福祉サービスを受けていれば、地域包括を通じて、支援を受けることができますが、この方は、介護認定すら受けておらず、仕方なく近隣の方が援助し、何とか物件探しを後押していました。

 住まい確保に困窮される方は、多くの場合、年齢や障害など様々な困難を抱えている人が少なくありません。そうした要因で成約に至らないことが多いのではないでしょうか。

 そのため住まい確保支援事業を福祉として位置づけ、申請と同時に福祉的な支援を進めることが必要です。例えば、高齢者であれば、介護サービスや養護老人ホームにつなげるなど効果的な支援が可能になると考えます。いかがですか。

 受け入れてくれる住宅がない場合、公営住宅がその受け皿となるべきですが、倍率が高く、とても入れる状況ではありません。特に単身世帯の場合、倍率が300倍を超えるケースがあるなど深刻です。区営住宅では単身世帯向けにリフォームを実施していますが、12戸と全体のわずか1.5%です。公営住宅を増やすこと、特に都営住宅の増設を都に求めていただきたい、いかがでしょうか。

 私たちが家賃補助制度を求めると、区はセーフティーネット専用住宅があることを理由に実施を拒み続けてきました。しかし、これまで指摘してきた通り、専用住宅は区内に1戸しかありません。住居確保給付金も利用できるのは最長9か月で充分とは言えません。区として家賃補助制度を実施すべきです。23区でも8区で実施しています。いかがですか。

 専用住宅を増やすことも重要です。ネックになっているのは10年に限定された家賃補助制度と、要支援者しか入居できない条件や孤独死した時の負担の重さにあります。国や都に対し専用住宅に対する助成拡充と期限の見直しを求めるべきです。いかがでしょうか。

【中沢都市整備部長】私から、住まい確保および都市計画道路についてお答えします。

 初めに住まい確保についてです。

 住まい確保支援事業では、高齢者等の入居を拒まない住宅の情報提供を行っています。申込者には、情報提供した物件へ転居した方の他、別の手段により情報を得て転居した方や情報提供を受けても、引き続き現住所にお住いの方も少なからずいます。本事業を物件探しの選択肢の一つとして活用している方も多いと考えます。

 一方で、紹介物件情報を増やしていくことが必要です。家主は、孤独死等の不安により物件の提供をためらうことがあることから、区で実施する高齢者在宅生活あんしん事業の利用を周知しています。家主の負担が軽減できるよう、さらなる支援の充実を検討していきます。

 また、情報提供だけでなく、見学や契約手続きに同行し、転居後の生活相談を行う伴走型支援を令和3年度から実施しています。住まいに関する相談が増加してきており、相談にきめ細かく対応できるよう、新たに住まいサポーター制度を設け、不動産事業者への同行や入居後の見守り支援を行う対象の拡充について検討しています。

 令和4年4月、練馬区営住宅長寿命化計画を改定しました。改定にあたり、公営住宅への入居を必要とする世帯数の将来推計を行った結果、区内の公営住宅は必要戸数を満たしています。このため、新たな区営住宅の建設や、都に都営住宅の増設を求める考えはありません。

 区では、セーフティーネット住宅の専用住宅には、家賃の低廉化補助制度を設けているほか、公営住宅への入居を希望する高齢者が、公営住宅に入居できるまで、一定期間家賃補助をしています。新たな家賃補助をすることは考えていません。

 区は、国の居住支援機能等のあり方に関する意見聴取に際して、住宅確保要配慮者に対する施策について様々な意見を提出しています。今後も機会を捉え、より使いやすい制度となるよう国や都に要望してまいります。

 引き続き居住支援協議会の意見を伺いながら、現行の取組の充実を図り、住宅確保要配慮者の支援を行ってまいります。

 

 次に、教育についてです。

 第1は、第2次学校適正配置実行計画についてです。

 区長は、所信表明で児童生徒の良好な環境のため、適正配置計画をもとに過小・過大規模の学校や、改築に課題がある学校を抽出し、統合・再編等の対象校を選定するとしています。これは築65年で区内一古く改築せず放置している小竹小学校などを考えているのでしょうか。

 そもそも適正配置という考え方は、教育予算の削減、延べ床面積の削減が目的であり、小規模校では教育がうまくゆかないとする考え方に基づいて統廃合を進めようというものです。この考え方に教育学的根拠はありません。むしろ小規模な学校は子ども一人ひとりに目が行き届くなど優れた面が多くあります。また、改築に課題がある学校として校庭にトラック競技や短距離走ができる面積の確保が必要として、確保できない学校を統廃合の対象にしようとしています。しかし、そのことで廃校を選ぶほどの理由にするのは無理があり、むしろ、地域にとって学校はその維持と発展に重要な役割を担っており、統廃合は地域の教育力の衰退、子どもの長時間通学、安全面の不安などデメリットが少なくありません。逆に合併すれば過大校を増やすことに繋がりかねません。このように教育予算を減らすことを目的にした適正配置に基づいた統廃合はやめるべきです。お答えください。

 第2は、学校施設の改修・改築の在り方です。

 区は、区立小・中学校の施設の半数が築50年以上で老朽化する中、学校施設管理実施計画の中間見直しを行いました。

 調査により改築と長寿命化に振り分けた学校は、優先順位を決め、改築は概ね年間2校、長寿命化のための改修は概ね年間1~2校ずつ進めるとしています。しかし、この考え方で進めても、終了までに20~30年かかると言います。

 今でも、体育館倉庫で雨漏りがあり、マットなど体育用具が濡れ、カビが生え使えないとした声があり、学校施設に関わる問い合わせが多く、すぐに対応できる状況ではありませんでした。現状教育に支障が出る施設は、予算も十分確保し、速やかに対応できるようにすべきです。

 また、入学式など式典で使うオルガンなど楽器類を、そのつど3階の音楽室から階段を使って教員と生徒で運んでおり、事故が起きてないことが不思議だとした声や、障がいで車いすの子どもへの対応でも昇降機はあるが時間がかかり過ぎ、実際には教員などが持ち上げて移動をさせており、エレベーターを早く付けてほしいと要求が出ています。

 50年以上を経過した学校の改築でも優先順位が最後の方では20年以上エレベーターは設置されず、それ以前の学校では40年設置されない学校も出ることになります。区内小中学校98校のうちエレベーターがあるのは16校しかありません。各学校は災害時の避難拠点であり、バリアフリー対応がされなければ運営上に問題があり、障がい者への合理的配慮の観点からも早く対応する必要があります。

 こうした現状を考えれば、改築を進める速度を引き上げるとともに、節目の改修時にエレベーター設置も加えるべきです。築39年でまだ使える美術館を建て替えるのに100億円を超えるような事業を進めようとしていることを考えると税金の使い方、優先順位が間違っています。基金1350億円余の活用や、美術館再整備、都市計画道路などを見直せば、十分対応できるはずです。お答えください。

 第3に、学校プールのあり方です。計画では、多くの学校プールが老朽化する中、改修・改築費用の高騰や改築時の運動場面積の縮小などを理由に1校1プール設置を見直し、近隣校同士の共同利用や民間のプール等の活用に向けモデル事業を実施し、本格実施に向け検証を行うとしています。

 これを実施すれば、これまで以上に移動時間がかかりますが、今でも教科をこなすのに時間が足りない状況がある中、どう対応するのか、バス利用でも2クラス合同で70人の子どもたちをどう運ぶのか、一つの施設を複数の学校が使用すれば、水泳時間が減るのではないかなど懸念が多く出されています。しかし、そうした課題に区は解決策を示していません。結局、子どもや教員に負担をかけることになるのではないですか。

 都内では、27自治体88校で屋内プールが設置されています。以前は、学校プールを改修・新築する際、国の補助がありましたが、多くの自治体から不十分とした声もありました。国に補助復活と拡充を、都にも支援を求め、昨今の猛暑による強い日差しも考慮し、学校プールの屋内化に踏み出すことも検討すべきです。2点お答え下さい。

【三浦教育長】次に、区立学校の適正配置についてです。

 集団活動や行事が活発に行われ、児童・生徒が様々な人との関わりの中で学び、成長していくためには、学校には一定の児童・生徒数と学級数が必要です。過小規模化が進むと、人間関係が固定化しやすく、多様なものの見方・考え方にふれる機会が少なくなるなどの懸念があり、中央教育審議会作業部会でも、同様の指摘がなされています。学校の適正配置は、教育予算の削減を目的として行うものではありません。基本方針に則り、着実に進めていきます。

 次に、学校の改築計画についてです。

 改築を概ね年2校、長寿命化改修を概ね年1校~2校実施することで、概ね築60年を目途に改築または長寿命化改修の着手が可能と考えていますが、前倒しの可能性についても今後検討していきます。必要な財源については、引き続き国や都に補助金の拡充を要望するとともに、起債や基金の活用も含め検討します。

 次に、エレベーターの設置についてです。

 教育委員会では、国の建築物移動等円滑化基準に適合するよう、学校を改築する際にエレベーターの設置を進めています。既存校舎へのエレベーター設置については、校舎の耐震強度に影響を与えること、現行の建築法令に基づく日影規制に抵触すること、設置のための十分なスペースを確保できないことなどから困難です。車いす利用者が在籍する学校には階段昇降機を設置しており、今後、長寿命化改修を行う学校への設置を進めます。

 次に、学校プールについてです。

 来年度、民間プールの活用に向けたモデル事業を実施します。その中で学校から施設までの移動方法、移動に要する時間と授業時間の確保、民間事業者の指導員と教員との連携等について課題を整理し、検証を進めていきます。屋内プールは、建設費だけでなく、その後の維持管理費も多額となり、大きな財政負担が生じます。今後、複数校による共同利用を見据え、具体的な整備の検討を進めていきます。必要な財源については、引き続き国や都に補助金の拡充を要望してまいります。私からは以上です。

 

 次に、保育についてです。

 第1は、私立保育園への欠員補助についてです。区は先の定例会で、「退園などによって空きが生じた場合、一定の条件で運営費減収分を補助している。昨年度は延べ88人分の空き定員分として、延べ60園が利用した」と答弁しました。23区中、欠員補助をしているのは練馬区含め15区で、そのうち多くの自治体がとりわけ負担の重いゼロ歳児欠員について公定価格の基本単価を基準に最大6カ月補助しています。これに対し、練馬区は「あらかじめ入園希望があった施設に、欠員が生じた月のみ要綱で定める年齢別の単価」の補助しかなく、欠員が出たクラスに待機児童がいることも条件になっています。現場からは、助成はありがたいが使いづらいとの声があり、補助要綱を公定価格に準じた基準単価に改めるとともに、助成期間もせめて6カ月間に延長するよう求めます。いかがですか。

 第2は、再来年度から本格導入される「子ども誰でも通園制度」についてです。本制度は「子ども未来戦略方針」の目玉として打ち出され、昨年度以降、都内でもいくつかの自治体で試行され、2026年から全自治体で導入されます。

 生後6カ月から3歳未満の未就園児童を対象に親の就労の有無を問わず保育園などを利用できるもので、月10時間までが給付対象になり、時間単位で利用できるとしています。ネットで空きのある施設と直接契約で予約できますが、事前の面接は必要なく短時間の不安定な保育条件にならざるを得ないなど、すでに現場から懸念の声があがっています。  

 区は、一時預かりをしている施設などに懸念や要望を聞き取りしていますが、どんな意見が出ているのか、また、私たちは一時預かりの現制度の経験と蓄積が、今後も尊重されるような扱いでなければならないと考えます。本制度が本格導入された場合に一時預かりやピヨピヨがどういう取扱いになるのか、更に都事業である「多様な他者との関わりの機会の創出事業」を導入した際、どう活用するのかも含めてお答えください。事業者からは、「子ども誰でも通園制度」が現在の一時預かり制度より劣ったものにされたくないと大変心配しています。こうした気持ちに区がしっかり向き合うことを要望します。

【関口こども家庭部長】私から、保育についてお答えします。

 はじめに、私立認可園への支援についてです。

 区では、私立認可園で退園などによって定員に空きが生じた場合は、一定の条件の下で運営費減収分の補助を実施しています。補助額は、既に、年齢ごとの公定価格に区独自の上乗せをして算出しています。この補助事業は、事業者の責によらない理由により、安定的な運営に支障が出ることを防ぐために実施するものです。引き続き、現在の補助内容で運営を支援してまいります。

 次に、こども誰でも通園制度についてです。

 区内事業者からは、国がモデル事業で定める利用時間では預かり時間が短く、慣れるのに時間がかかる子どもへの対応には不十分、国が給付する補助単価が低額であるなどの声を伺っています。都の補助事業の動向なども注視しながら、利用者や事業者が、より利用しやすい制度を検討し、7年度から試行実施します。

 国は、一時預かり事業の在り方について今後検討するとしています。国の検討状況を注視してまいります。私からは以上です。

 

 次に、まちなかの「みどり」確保についてです。

 年々、夏の猛暑が深刻になり、気象庁は、6~9月の平均気温が昨年に並んで統計開始以来の高温と発表しました。

 こうした中、東京は舗装道路やコンクリート建造物が急増し、水路を埋め立て道路にしたことで過去100年の気温上昇は、ニューヨークやパリと比べ激しく、ヒートアイランド現象が夏の暑さをより深刻化しています。

 夏の暑さの緩和には、道路や建物に熱を「ためない」ことが重要です。道路に直射日光が当たれば夏場の路面温度は50℃を超えるが、街路樹の木陰では路面温度は約20℃低くなると言います。高木の枝や葉が茂っている部分である樹冠が大きくなれば緑陰効果も高くなり、都市のヒートアイランド現象の緩和や、雨水の吸収、大気汚染対策、熱中症予防など様々な効果が期待できます。

 欧米では樹冠被覆率を都市全体で増やす動きが広がっています。樹冠被覆率とは、土地の一定面積のうち高木の枝葉が覆う面積の割合を示すもので、気候変動や生物多様性の観点から国際的に重視される都市緑化の評価基準であり、アメリカ・ニューヨーク市は現状の22%から2030年までに30%へ引き上げることを決め、スペイン・バルセロナ市やカナダ・バンクーバー市も30%を目標にしています。

 一方、東京大学の研究チームが行った推計では、23区の樹冠被覆率は2022年の7.3%と9年間で約2割減少し、練馬区では15%から9.3%と約4割減少しました。その要因として、庭付き住宅の減少や道路整備による樹木の伐採などを挙げています。

 区の計画では、樹冠被覆率の記載はありません。区は地球温暖化対策としての街路樹の役割についてどのような認識か。また、樹冠被覆率について調査し、目標を設定し向上させるべきと考えますが、2点お答えください。

 また、区が整備しようとしている補助135号線には、田柄用水の跡があり、地域の貴重な資源である「けやき憩いの森」があります。道路を整備すれば貴重なみどりが失われます。今後、都と策定する都市計画道路の次期事業化計画では貴重な緑地にかかる路線は見直すべきです。お答えください。

 以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【小暮環境部長】私から、街路樹についてお答えします。

 練馬区の魅力は、大都市東京の都心近くに立地しながら、豊かなみどりに恵まれているところです。この貴重なみどりを未来につなぐため、樹林地や都市農地の保全に加え、拠点となる公園やみどりの軸となる幹線道路を整備し、みどりのネットワークの形成を進めています。

 連続性のある街路樹は、緑陰や四季折々の景観の演出など、区民生活に潤いを与える大きな役割を果たしています。また、地球温暖化対策など都市環境の改善にも寄与しています。

 街路樹の整備にあたっては、みどりの軸としてふさわしい、安定した緑量のある景観形成に向け、沿道の土地利用や住民の要望も踏まえ、地域の方々や歩行者が楽しめる樹種を選び植栽をしています。もどりの豊かさを実感できる整備を目指しており、樹冠被覆率を目標とする考えはありません。

 都市計画道路などの整備を新たなみどりの創出の機会として、みどりのネットワークの形成に取り組んでいきます。私からは以上です。

【中沢都市整備部長】次に都市計画道路についてです。

 都市計画道路は、交通の円滑化や防災機能の向上に資するだけでなく、街路樹等を新たに設置し、みどり豊かで快適な空間を創出する重要な都市インフラです。

 練馬区は、都市化が急激に進んだため、道路などのインフラ整備が著しく遅れています。区内の都市計画道路の整備率は約52%であり、23区平均の約66%を大きく下回っています。練馬区が、将来に向け、さらに発展するためには、都市計画道路の整備を積極的に進めることが必要です。

 第4次事業化計画では、将来の道路ネットワークの検証を行い、補助135号線を含め、区内全ての都市計画道路について、整備の必要正が確認されています。

 本年10月、新たな整備方針の検討に着手しました。都と区市町が連携し、社会経済情勢の変化や道路に対するニーズの多様化などをふまえ、検討していきます。私からは以上です。

 

 

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