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2024年第二回定例会一般質問     小松あゆみ(6月13日)

2024年 第2回定例会一般質問

2024年6月13日

日本共産党練馬区議団

小松 あゆみ

 

 日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

 初めに、練馬区立美術館・貫井図書館再整備についてです。

 第一回定例会で基本設計の概要が公表されました。区内在住の建築の専門家の協力のもと、情報公開請求で基本設計の図面と関連資料を入手し、様々な問題点があることを再確認しました。

 第一に、区の求める基準を満たしていない問題です。

 区側の要望として設計事業者に出されている諸室の面積や用途、機能・留意点等を示す諸室諸元表では、企画展示室の目安規模は1,200㎡のところ、3つの企画展示室の合計面積は1,062.14㎡と、2F、3Fと2フロアにまたがった上、130㎡狭くなっています。また共用部であり、講演会やワークショップ、コンサート映像上映会、展示等として利用する多目的室は、区と設計事業者との打ち合わせ議事録によると区側から、「サンライフの代替として多目的室があるので、大きな部屋の確保が重要」という意見が出されており、諸室諸元表では300㎡を要求していました。しかし、基本設計の図面を見ると、2つに分割した多目的室と多目的室倉庫を含んだ広さの合計は261.20㎡と、要望通りになっていません。

 諸室諸元表の面積は、あくまでも目安だとしても、要求する面積を満たしていない諸室がいくつもあっては、それぞれの運営や利用に支障をきたしてしまいます。区も諸元表を元に面積を満たしていない諸室について指摘していますが、少なくともサンライフの代替機能を確保できる面積とするため、諸室諸元表は守らせるべきではないでしょうか。区の見解を伺います。

 2022年4月に出された美術館再整備基本構想では、建物全体の延べ床面積は8,000㎡で計画されていましたが、基本設計では8,600㎡に増えていました。にもかかわらず、区側の要望として出されていた主な諸室の面積は要望通りには満たされていません。区と設計事業者との打ち合わせ議事録を読むと、区側から何度も面積確保について要望が出ているのに、設計者側からは「面積がオーバーしてしまうため、全体の調整が必要」と拒まれていることが分かります。

 新たな区立美術館・図書館の外観にはシェイドと呼ばれる富士塚をイメージしてつくられた階段状のひさしが多用されていますが、区側がシェイドに450㎡必要なのか考え直して欲しいと要望しているやり取りも議事録のなかにありました。つまり区の要望よりも、シェイドを多用するデザイン優位となってしまったのではないですか。そうしたシェイドの面積によるしわ寄せが図書館の不整形なフロアと多層階に分かれてしまうなど、区民も望まない設計となってしまっているのではないですか。お答えください。

 第二に、安全面に関わる問題です。ガラスの建築物は、地震等の災害時に破損して、落ちてくる懸念があります。金沢21世紀美術館では、能登半島地震により、全館で約800枚ある天井のガラスのうち約70枚が損傷し、床に落下するなどの被害が出ています。また、富山県総合福祉会館サンシップとやまは、三角屋根がシンボルの7F建ての建築物ですが、同じく能登半島地震により三角屋根の外装に使われていたガラス50枚が割れ、地上7Fから2Fまで繋がる吹き抜けを介して、敷地内の広い範囲にガラスの破片が飛散したとのことです。

 いずれも震災当日は元旦で休館日でしたが、開館しているときに地震が発生していたら、もっと甚大な被害となっていたことでしょう。地震が多発する日本において、ガラス使用時の安全性を検討することの重要性を突き付ける事例です。美術館・図書館の再整備では、耐震性能は通常より1.25倍の強度を持つ構造計画としているとのことですが、能登半島地震でも建物の構造は壊れなくてもガラスの破損や落下といった大規模な非構造部材の被害が起きました。

 まして、練馬の美術館の基本設計はシェイドのガラスが破損すれば、エントランスにガラスが降り注ぐ形状となっています。ガラスを使った建物の地震によるリスクについてどう考えるのか。ガラスの脱落と飛散の防止など安全性をどう担保するのか。2点、お聞きします。

 基本設計で区側が要求する諸室の面積も満たされず、安全面でも課題が多く、事業費で100億円近い費用を費やそうとしています。しかしそこまでして進める計画なのでしょうか。工事に着手する前の今ならまだ、設計を大幅に見直し諸室の面積を増やすこと、経費を抑えることなど見直せるはずです。

 私たちは、再整備計画は中止すべきと考えていますが、少なくとも一旦立ち止まって、再検討するべきです。

【池上施設管理担当部長】私から、美術館・図書館でのガラスの使用についてお答えします。

 能登半島地震により被害を受けた金沢21世紀美術館などのガラス部材の損傷は、いずれも屋根や天井など、ほぼ水平に使用した部分におけるものです。ガラスを垂直に設置している外装材については、今回の地震による被害はなかったとのことでございます。

 区立美術館・図書館の再整備においては、ガラスを外装材として使用しますが、垂直部分のみとしています。ガラス等の非構造部材の脱落や飛散防止については、関係法令で基準が示されています。区では法令基準よりも地震力を割り増しして設計するなど、より安全に配慮した設計を行っています。

 今後も、関係規定に則り、安全性に配慮し実施設計を進めていきます。私からは、以上です。

【大木地域文化部長】私から、美術館と貫井図書館の再整備についてお答えします。

 基本設計は、限られた床面積をどのように配置・配分するか、諸室諸元表を基本としつつも、新たな機能追加も含め、関係部署と用途や機能などについて、検討・調整を重ね、取りまとめてきました。とりわけ、誰もが楽しめる施設となるよう、バリアフリー設備を追加・充実して設計しています。

 企画展示室は、2階と3階の展示室に加え、1階ギャラリーを展示スペースとし、魅力的な企画展を実施します。多目的室を地下に設置することにより、他の部屋への振動や音の影響が軽減され、地域の方々の多様な活動が可能となります。いずれも、各室の機能を充実し、広さと空間を確保しています。

 建物の延床面積には、各フロアの床面積を合計した総延床面積と、建築基準法で規定する「容積対象床面積」があります。基本構想では、「容積対象床面積」として、8,000㎡を目安として示したものであり、基本設計における「容積対象床面積」は8,170㎡となっています。

 シェードは、美術品や図書資料を日差しから保護する効果があります。さらに、まちと施設をつなぎ、人々の交流の場となる空間を創出し、この施設の特徴的な魅力となるものです。

 図書館は、複数フロアを設けることにより、読み聞かせをする、話しながら調べ学習をする、集中して本を読むなど、それぞれのニーズに応える場を設けることが可能となっています。フロアを巡りながら新たな本との出会いを楽しめる、貫井図書館ならではの魅力的な排架を行います。

 基本設計を進めるにあたっては、区民の皆さまの参加による5回の設計ワークショップと報告会を開催してきました。お子様から高齢の方まで幅広い層からいただいたアイデアを形にしており、区民の望まない設計というご指摘は全く当たりません。

 年齢や障害の有無に関わらず、誰もが文化芸術を楽しめる新たな拠点として、美術館・図書館の再整備を推進してまいります。私からは以上です。

 

 次に、公共交通についてです。

 公共交通の1つであるコミュニティバスは、地域住民の足であり、鉄道駅が遠い地域や路線バスがない地域では、都市部においてもその存在は重要です。「交通は基本的な人権」と語る交通専門家は、コミュニティー形成には市民の移動の確保が欠かせず、安心して暮らすには命の交通網を築くことが大切であると言います。

この間、私たち含め全会派は、住民の暮らしに直結する足であるみどりバスの利便性の向上等のため、30分に1便の増便を求めてきました。しかし今年4月、バス運転手の時間外労働の規制の強化に伴い、みどりバス事業でも運転手不足がさらに進み、ダイヤを維持できないという理由から、北町と氷川台ルートで朝夕4便減便されました。確かに運転手不足の問題は深刻です。全国的にも路線バスの減便・廃止や、各自治体が運行するコミュニティバスの事業者が撤退を表明するなど相次いでいます。23区内では足立区で3月に2路線廃止、荒川区でも3月に大幅な減便を実施しました。区内では国際興業バスの光が丘―土支田循環路線が廃止され、福祉事務所や区民事務所のある光が丘へ出にくくなり不便になるという声が出ています。これまで区は、課題である運転手の確保について、賃金引上げなどはバス事業者が取り組むことだとしてきましたが、増便どころか現状維持もできなくなり、区民の生活に影響が出ている状況について、どう考えていますか。伺います。

 警視庁の運転免許統計によると、大型2種免許所持者は、2013年100万7,743人でしたが、2023年では78万2,694人と、バスを運転できる人が10年間で22万人も減少しています。バス運転手の仕事は、労働時間では2022年の全産業平均2,124時間に対し、バス運転手は2,316時間、年間賃金では全産業平均497万円に対し運転手は399万円と、長時間労働に加え、早朝・深夜勤務が多く、賃金も大きく落ち込み全産業平均にまで至っていません。労働環境の改善や給与アップなどを行い、職業自体のやりがいを向上するなど、根本的な取り組みが必要です。

横浜市営バスでは、運転手不足のため367便も減便する事態となりました。しかし、横浜市は「本気の人材確保大作戦!」と銘打ち、給与を平均6.65%アップさせ、1万9,600円だった住宅手当を月5万円にして5年間支給するとしています。また、中央区のコミュニティバス江戸バスを運行する日立自動車交通は、晴海とJR東京駅を結ぶ晴海ライナーを昨年9月から減便しました。江戸バスへの影響が懸念されるなか、党中央区議団は、区独自に運転手の処遇改善のための予算措置や運転手の確保策を求めたところ、区は安定運行に向け、必要な経費を補助すると答弁しました。

運転手不足の問題解決のためには、事業者任せではなく、横浜市や中央区の事例のように自治体が補助を出すなど、バス運転手の処遇改善に区の積極的な関与が求められていると考えますが、いかがですか。同時に、地域を支える国の支援も必要です。公共交通機関のバスの運転手も生活インフラの維持に関わる職種で、社会を支える仕事、エッセンシャルワーカーです。同じようにエッセンシャルワーカーである保育士や介護職には、十分とはいえないものの国や自治体から補助や処遇改善の手当が支給されています。しかし、バス運転手には賃上げ策は取られていません。これまで事業者任せにしてきた姿勢を改め、地域公共交通を守るため、区として運転手の処遇改善を目的とした新たな財政的措置を国に求めていただきたい。区の見解を伺います。

 運転手が減少しているもとで、より早く運転手不足に対応した方法として、工夫をしている自治体があります。山形県鶴岡市では、定員25人のコミュニティバスを12人乗りの小型バスに変更し、1日48便と便数を5.6倍にしたところ、利用者が3倍の6万8,000人に増加しました。小型バスであれば、大型2種免許が要らない場合もあるため、より運転手を確保しやすくなります。このような従来の枠に捉われない方法を検討するべきと考えますが、いかがですか。区は2026年度を目途に、公共交通空白地域改善計画に代わる新たな地域公共交通計画を策定し、練馬区の特性に合った、誰もが移動しやすい交通体系を構築するとしていますが、みどりバス30分1便運行などこれまでの計画を引き継ぐものとなるのでしょうか。区の見解を伺います。また今年度、デマンド交通の実証実験を行う予定ですが、住民と話し合い課題を出し合うことが大切であると考えます。住民が安全で文化的な生活を送るために、住民主体の生活交通システムとなるよう、次期計画に位置付けていただくことを要望します。

【前川燿男区長】お答えします。地域公共交通についてです。

 私は、これまで、交通インフラの整備に尽力し、大江戸線の延伸は着工に向けて本格的に動き出しました。外環はトンネル工事が進み、西武新宿線の立体化は事業認可を取得しました。

 交通インフラは練馬区の弱点であり、引き続き、これを整備することが区の発展のために欠かせません。大江戸線の延伸や外環など都市計画道路の整備、西武新宿線の立体化を促進し、鉄道・バスのネットワークを充実させ、区民の利便性を飛躍的に向上させていきます。

 令和八年度の地域公共交通計画策定に向けて、法に基づく協議会を設置しました。今年度は、南大泉地域で予定しているデマンド交通の実証実験を具体化するため、地域の方々と勉強会を開始します。

 私からは以上です。その他の質問につきましては、教育長及び関係部長から、答弁いたします。

【中沢都市整備部長】私から、地域公共交通についてお答えします。

 バス運転手の不足等により、全国的にバス路線が廃止・縮小となっています。労働法制の改正に伴い、運転手不足に拍車がかかり、区においても、一般路線バスの一部やみどりバスが減便となりました。バス交通を維持・改善する上で、運転手の確保は大きな課題です。

 バス事業者は、労働時間の短縮や賃金引上げなどの労働環境の改善、業務上の負担となっている接遇や狭隘道路の運転能力の養成に加え、入社後の大型二種免許の取得支援、採用広報の工夫など、様々に取り組んでいます。練馬区を走る路線バスは、周辺区市にまたがる系統が多数あり、運転手は区内外の営業所に広く配置されています。運賃改定や経営努力による対応も含め、バス事業の維持については、多角的に検討する必要があります。

 区は、現在、バス事業者に対し運転手確保に関する実態調査を実施しており、今後、区とバス事業者が連携・協力した取組について検討することとしています。したがって、現時点においては、区単独で必要な経費を補助したり、国に新たな財政措置を求めたりする考えはありません。

 バス協会の試算によると、全国的な運転手不足は今後も続く見通しであり、バスの系統数や便数を現在と同じ水準に維持することは困難です。持続可能な地域公共交通へと再構築する必要があります。

 区の特性にあった、誰もが移動しやすい公共交通を構築するため、みどりバス30分1便の計画も含めて、従来の都市交通マスタープラン、公共交通空白地域改善計画を検証し、これに代わる、新たな地域公共交通計画を策定します。

 2040年代の交通体系のあり方を見据えた上で、各地の取組やライドシェアの動向、自動運転技術の進展などを踏まえ、現段階で取り組むべき施策を検討します。そのひとつとして、新たな交通手段の導入に向けたデマンドタクシーの実証実験を南大泉地域において実施し、計画の実効性を高めていきます。先月、地域交通法に基づく協議会を設置し、計画の策定に着手しました。今後、実証実験を具体化するため、地域の方々と勉強会を開始します。

 子どもから高齢者まで誰もが心豊かに暮らせるまちの実現に向け、持続可能な交通の構築に取り組んでまいります。私からは以上です。

 

 次に、コロナ後遺症への対応についてお聞きします。

 新型コロナが感染症法の2類から5類に変更され1年。報道量が激減し、9波、10波の流行すら知らない人や、コロナやその後遺症は終わったと思っている人は少なくありません。しかし、国立国際医療研究センターの調査で、コロナ自体が軽症でも、感染1年半後の4人に1人が後遺症に苦しんでいることが明らかになっています。また、後遺症患者が再感染して病状が悪化する事例が増えていると言います。5類になったからといってコロナの危険性が変わったわけではありません。

 厚労省は新型コロナの累計感染者数を3380万人と発表し、民間の調査では9波、10波を加え5千万人と推計しています。同省は後遺症になった割合は成人で感染者の11.7%~23.4%と報告しており、都内で約7000人の後遺症患者を診療してきた医師によると外来での治療が必要なレベルの後遺症患者は感染者の1割ほどいて、さらにその1割がその影響で失職していると言います。練馬区では2022年9月までに約15万人の感染者がいたことを考えると少なくとも15,000人以上の治療を必要とする後遺症患者がいると推計できます。

 コロナ後遺症患者の総数も把握しようとしない政府のもと、日本共産党の吉良よし子参院議員事務所がコロナ後遺症とその家族を対象にアンケートを行い、1,172件の回答が寄せられました。

 この結果によると、後遺症で一番つらかった症状として最も多かったのは「疲労感、倦怠感」で77.4%、思考力が低下する「ブレインフォグ」「咳、息切れ」はそれぞれ4割超となっており、さらに、コロナ罹患から1か月ほどから1年後に突然ひどくなるケースもあり、ある40代の人は、「歩いているうちに倦怠感で崩れ落ちそうになり倒れてしまったり、全速力で走ったかのような息苦しさに包まれる」と言います。

 そして、深刻なのは実生活への影響です。後遺症患者の8割以上は、20代~50代で、その影響について「休業、休職」は69.2%、「退職、失職」は29.8%です。30代の人は、「休職から復帰するにあたり、後遺症について勤務先の認識、理解が不十分、勤務や業務内容の相談もできず精神的にも病んで退職になってしまった」という声もあり、後遺症への理解が不十分なことで更に被害が広がっていることも明らかになっています。

 10代以下の子どもの後遺症も、日常生活への影響では「休学」が79.1%、進学断念が25.3%となっており、それまでバスケットボールをやる元気な中学生も後遺症に苦しみ、ほぼ寝たきりになり、きついヘルメットで締め付けられるような頭痛、羽毛布団でも重たく感じる倦怠感があると言います。

 新型コロナは、風邪やインフルエンザなどと違い、深刻な後遺症が存在します。後遺症の発症や重症化を防ぐには、コロナ罹患後2か月程度の回復期に無理をしないことが重要など臨床現場の知見や配慮の必要性を区民、職場や学校に周知することを求めますが、いかがですか。

 また、後遺症のメカニズムこそまだ解明されていないものの、先に紹介したクリニックの医師は、この4年間様々な治療を模索、研究してきた結果、上咽頭に塩化亜鉛を塗るEAT、Bスポット療法と呼ばれる治療で、諸症状改善の効果が確かめられ、鼻うがいと併用が勧められており、漢方薬や呼吸器リハ、鍼灸を組み合わせることで効果が上がると言います。当該クリニックでは寝たきりやそれに近い約1,000人のうち84.5%の人の病状が改善したとのことです。これは東京都主催のセミナーでも紹介されていますが、そもそも後遺症の治療に取り組む医療機関が少ないうえ、医師の情報共有の場があまりにも少ないなかで、治療に繋がらない区民も多くいるのではないでしょうか。

 区は、区内で後遺症治療に取り組む医療機関を把握、周知しているようですが、吉良さんのアンケートでも後遺症で「治療に繋がった」人はわずか21.7%でした。周知の在り方を工夫して治療に繋がるよう力を入れるべきです。お答えください。

 また、東京感染症対策センターが医療従事者向けに後遺症研修会などを実施しています。医師会とも連携を取って対応できる医療機関を増やすことを求めます。お答えください。

 また、国が後遺症外来を公表した医療機関に対して昨年設けた特定疾患管理料の加算を1年でやめてしまっていますが、復活を求めるべきです。答弁を求めます。

 さらに吉良アンケートでは、「コロナ後遺症で支援が受けられなかった」との回答は63.4%に上りました。労災は職場での感染でなければ受けられず、傷病手当は個人事業主や学生は対象外で支給も1年半で打ち切られてしまうため、コロナ後遺症に特化した救済制度、支援制度が必要ではないでしょうか。国に支援策を求めるとともに、それまでの間、区としても何らかの支援策を実施すべきではないでしょうか。お答えください。

【石原練馬区保健所長】次に新型コロナウイルス感染症の後遺症についてお答えします。

 新型コロナウイルス感染症の後遺症については、厚生労働省が発生状況等を調査しており、現在のところ、後遺症の発生の仕組みは明らかになっておりません。各医療機関では、患者の症状を踏まえて治療を行っています。様々な治療法や予防策も流布されていますが、区として特定の治療法等を推奨する考えはありません。国の調査の動向を注視してまいります。

 後遺症を疑われる方々については、激しい運動や無理な活動は避けて、かかりつけ医等に相談するように案内しています。かかりつけ医等の受診が難しい方に対しては、後遺症対応医療機関を区のホームページで周知しています。また、専門医のコラムなども掲載しています。引き続き、治療を必要とする方が確実に受診できるよう、ホームページに加えて、SNS等でも発信し、区民の皆様への周知に努めます。

 区内には、現在15の後遺症対応医療機関があります。区医師会や区への後遺症に関する相談件数は、減少しており、引き続き、区医師会と連携しながら、適切に対応してまいります。

 国は、新型コロナウイルス感染症の5類移行後も継続していた診療報酬の臨時的取り扱いについて、令和6年度、季節性インフルエンザ等と同様に、一般の感染症と同じ扱いとしました。これにより、罹患後症状を診察した医療機関に認められていた特定疾患療養管理料の加算は廃止されました。診療報酬の取り扱いは、国において議論されるべきものであり、区から加算を求める考えはありません。

 コロナ後遺症により休業した方への補償は、他の疾病と同様に既存の労災補償や傷病手当金、障害年金など各制度において判断されるものであり、離職等により経済的に困窮した場合は、生活困窮者自立支援制度において相談支援等の対象となっています。

 区はこれまで、生活サポートサンターなどと連携し、相談者の状況を踏まえて、各支援制度を案内してきました。既に様々な制度があることから、国にコロナ後遺症に関わる救済制度や支援制度を求める考えはありません。また、区独自で新たな制度を設ける考えもありません。私からは以上です。

 

 次に子どもの権利条例についてお聞きします。

 子どもの権利条約は保障されるべき子どもの基本的人権を定めた条約です。条約は子どもの利益を最優先とし、子どもの意見表明を権利として保障するように求めています。日本は条約を批准して今年でちょうど30年の節目の年となりましたが、これまで区政のなかで、子どもの権利が守られてきたでしょうか。

 今回、アクションプランなどの改定に際して、子どもたちが持っているタブレットに計画素案がブックマークされ、その内容について一部子どもたちに説明する資料も作成されました。これ自体は前進であると思いますが、子どもたちの声が十分活かされているとは言えません。

 例えば、子どもたちから寄せられたパブコメの中で、区立谷原保育園の廃園や南田中保育園の委託化について、「つぶさないでほしい」「先生を変えないでほしい」との声が寄せられましたが、区はこうした声には答えず、区の方針を説明することに終始しました。校庭に遊具をつけてほしいという声については、遊具が古くなったり、壊れたり、学校を建て替える際に新しい遊具に更新すると、論点をすり替えています。

 結局子どもたちの声を形式的に聴いているだけで、実際には、本気でそうした声を反映させようという姿勢がないのではないでしょうか。

 この他にも区立谷原保育園の廃園、大泉第二中学校の教育環境を壊す2本の都市計画道路の整備推進など、子どもの最善の利益を考えれば実施できないであろう計画が次々進められています。

 私たちが視察を行った国立市では、子ども権利条例の必要性を認識し、子どもの権利条例の制定に向け、子どもたちから聴き取りを行っています。職員が学校や学童クラブに出向き、2時間程度じっくりと話を聴き、子どもたちの声を反映させようとしています。職員自身が子どもたちと接するなかで、子どもたちは自分の意見を言いたいし、知ってほしいと思っていると感じているそうです。

 国立市ではさらに子どもたちが行政に直接声を届けるオンブズマン制度を設けています。人権に関する弁護士が子どもたちの声に耳を傾け、いじめの相談があれば、そのクラスの授業を参観し、担任や副校長とも面談し、授業改善に一緒に取り組み、その後どうなったかフォローまで行うと言います。子どもたちが声を届け、その声に真剣に向き合おうとしているのです。子どもたちの声に基づいて行政の姿勢を見直していくことは、自分たちの声が大人に受け止められたという肯定的な理解を広げ、主権者としての意識を醸成するとともに、子どもたちの生きづらさを解消する大きな力になるのではないでしょうか。

 練馬区でも子どもたちの声を活かした施策を進めていくために、子ども権利条例を作るべきです。合わせて子どもたちの声を受け止めるオンブズマン制度を設けるべきではありませんか。2点お答えください。

 いま子どもたちの利益を侵害する法律が成立してしまいました。それは共同親権を認める民法の改定です。これは双方の親の合意がなくても共同親権を裁判所の判断で認められるというものです。DVなどがある場合は共同親権を認めないとされていますが、裁判所が正確な判断ができるのか危惧されています。むしろ実際にはDVなどがあってもその証拠がないとして共同親権が認められてしまうリスクが生まれ、別居している親からの干渉や支配を継続する手段に使われることになります。それは子どもの入院、進学などにも影響を与え、結果として子どもの最善の利益を損なうことになるのではないでしょうか。

 法案は成立してしまいましたが、施行まで2年残されています。これだけ問題の多い法律を施行させないよう国に求めるべきではありませんか。お答えください。

【堀教育長】私から、子どもの権利についてお答えします。

 区では、児童の権利に関する条約の理念を踏まえ、子どもの人権を尊重し、子どもの健やかな成長を保障することを基本として、教育・子育て大綱や子ども・子育て支援事業計画を策定しています。この大綱や計画に基づく施策を着実に実施することを通して、子どもの権利擁護を図っています。

 令和5年度に策定した第3次ビジョンをはじめ、計8本の計画の素案において、子どもを対象として意見募集を行い、200件を超える意見が寄せられました。児童生徒用タブレットについて、今より使いやすく、壊れにくいものにして欲しいという意見などを計画に反映しました。また、旭丘・小竹地域の新たな小中一貫教育校の統一学園名について、児童生徒による投票を実施し、「(仮称)みらい青空学園」としました。

 こうした様々な場面で子どもの意見を施策や事業へ反映しており、子どもの権利に関する区条例の制定やオンブズマン制度を設置する考えはありません。私からは以上です。

【関口こども家庭部長】私から、共同親権についてお答えします。

 離婚後に父母双方が子の親権を持つ共同親権は、教育費の支払いや進学先の選択など、親の養育責任を明確にし、子どもの権利利益を保護するものです。共同親権か単独親権かの選択は父母の協議で決めますが、合意できない場合は家庭裁判所が子の利益を考慮してどちらにするか判断します。DVや虐待の恐れがある場合、父母間の暴力などを背景に共同親権の行使が難しいと認められる場合は、単独親権にしなければならないとされています。

 民法改正案には付帯決議が付されており、親権の単独行使の対象となる緊急手術等の急迫の事情について、具体的な類型をガイドラインで明らかにすることや、DV・虐待など多様な問題に対応するため、裁判所職員の増員や専門性の向上など、必要な体制整備に努めること等が求められています。

 国および最高裁判所は、附帯決議事項について各段の配慮をすべきとされています。区が法律を施行しないよう国に求める考えはありません。私からは以上です。

 

 次に特別支援教育についてお聞きします。

 区は今年度特別支援教育に関わる方針を策定し、実施するとしています。そして、そのために有識者委員会を立ち上げるとしていますが、障害当事者と教育現場の声をどう吸い上げようと考えているのか、お答えください。

 いま通常学級でも小学校で教員の定数が3名足りず、さらに産休や病気などの代替教員確保も難しくなっています。こうしたなかで通常学級の担任を確保するために特別支援教員が回されています。特別支援の現場に負担を強いる、こうした状況を早急に改善するべきです。

 これまで情緒障がい学級については、通級となっていた在り方を見直し、教員が巡回する方式に見直されました。しかもその見直しと合わせ、学級編成基準が教員一人につき子ども10人から12人に引き下げられました。そもそも情緒障がい学級は他の障がいと比べても教員の配置基準は緩くなっています。

 配置基準をもとに戻すこと、また知的障がいの学級編成基準、教員一人につき8人という基準も30年変更されていないことから、早急に見直すよう都に求めるべきです。答弁を求めます。

 都は特別支援教室の指導期間について原則1年としています。区は指導目標を立て、その達成度を基準に校内委員会などで検討し、保護者の理解を得たうえで退室の有無を決定しているとしていますが、そうした在り方が、現場ではできるだけ早く退室させる圧力として強まっているとのことです。そもそも障がい自体は短期間に改善されるというものではなく、むしろ障がいに合わせたきめ細やかな学びが子どもたちの学習環境を保障しています。

 もしこうした機械的な対応があるとすれば早急に改善するべきです。お答えください。

 現場からは、特別支援学級について、子どもたち一人一人のペースにあった学びができるとその重要性が語られました。本当の意味でインクルーシブ教育を実現していくことは重要ですが、過度な競争教育によって通常学級でさえも不登校などの形で多くの子どもたちが生きづらさを抱えています。まして障がいのある子どもたちが教育を受けることは簡単ではありません。

 特別支援学級の課題である通学距離の長さやそれに伴う家族への負担を軽減することも踏まえ、区内の特別支援学級の設置校を増やすことが必要でないでしょうか。お聞きします。

 教員をサポートする体制の強化も必要です。区が2017年に示した「練馬区立小・中学校における特別支援教育充実の取組」の中で、スクールソーシャルワーカーや心のふれあい相談員などの教員を支援する体制の強化について、教育的効果があると評価しています。私たちは、特別支援教室専門員の方にお話を伺いましたが、ここでも1校1名の配置となっている現状から、学年ごとに配置することができれば、よりきめ細かく対応できるとの声が寄せられています。

 教員の負担を軽減する意味でも教員をサポートする体制を抜本的に強化するべきです。いかがですか。

 ハード面の整備も必要です。先ほど紹介した特別支援教育充実の取組の中で、「原則として肢体不自由以外の課題がないのであれば、通常の学級で学ぶことが望ましいと考えており、校舎の改修等で対応する」としています。「等」の中には階段昇降機なども含まれているようですが、昇降機は支援を必要とし、時間もかかることを考えればバリアフリーとは言えません。 やはりエレベーターの設置を検討すべきです。エレベーターの設置については、2004年以降建設された学校には整備されています。

 区は築50年を超えた学校について長寿命化を検討しており、実際に長寿命化を決定した学校については、様々な制約から設置できないとのことですが、築50年未満の建物については調査すらしていません。何が課題なのかしっかりと示し、直ちに調査すべきです。2点、お答えください。

 この間、策定された学校施設管理実施計画中間見直しの中では、35人学級編成による学級数の増等に伴う建築面積の拡大等によって運動場面積が小さくなってしまう懸念があり、改築後に望ましい運動場の面積が確保できない場合、統廃合の候補校として検討するとしています。しかし、統廃合を行えば、逆に面積が減少し、さらに狭小となってしまうのではありませんか。

 学校統廃合ではなく、拡充にこそ力を入れるべきです。

 以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【三浦教育振興部長】私から特別支援教育についてお答えします。

 はじめに、特別支援教育に係る新たな方針についてです。

 区は、第三次みどりの風吹くまちビジョンに基づき、今年度、新たな方針を策定することとしています。

 策定にあたっては、有識者や障害者団体の代表者、学校関係者等を委員とする特別支援教育推進委員会のほか、在籍児童生徒や保護者、教員にアンケートを実施し、広く意見を伺ってまいります。頂いたご意見を踏まえて検討し、方針の中で、多様化するニーズへの対応や特別支援教育の充実に必要な具体的な取組、特別支援学級の増設について示していく考えです。

 次に教員配置基準と教員のサポート体制についてです。

 教員の定数については、義務教育標準法で規定されており、特別区教育長会を通じて、特別な支援が必要な児童・生徒に指導を行うための教員定数の改善について、既に都に対し要望しています。

 教員のサポート体制については、特別支援教室専門員のほか、授業中の児童生徒の学習を補助する学校生活支援員、学習教材の準備など教員業務を補佐するスクールサポートスタッフを全校に配置しています。今後も、教員の負担軽減や児童生徒へのよりきめ細やかな指導ができるようサポート人材の配置の充実に取り組んでまいります。

 次に、特別支援教室における指導期間についてです。

 特別支援教室は、発達障害のある児童生徒を対象に全小中学校に設置しています。特別支援教室では、児童生徒個々の課題に応じた指導目標を設定し、個別の指導を行っています。都の運営ガイドラインでは、目標の達成状況や指導の振り返りを行うため、指導期間を原則1年間と定めています。各学校では、都のガイドラインに基づき、年度末に校内委員会において振り返りを行い、目標が達成できている場合には退室、できていない場合は支援延長の判断をしています。

 退室後も個々の状況に応じ、在籍学級における見守りなどの支援を継続するほか、新たな課題が見られた場合には、再度特別支援教室での指導を行っています。機械的な対応をしているとのご指摘はあたりません。

 次に、エレベーターの設置についてです。

 現在、区立小・中学校16校にエレベーターを設置しています。

 教育委員会では、国の建築物移動等円滑化基準に適合するよう、学校を改築する際にエレベーターの設置を進めています。既存校舎へのエレベーター設置については、校舎の耐震強度に影響を与えること、現行の建築法令に基づく日影規制に抵触すること、設置のための十分なスペースを確保できないことなどから困難です。

 車いす利用者が在籍する学校には階段昇降機を設置しており、今後、長寿命化改修を行う学校への設置を進めます。私からは以上です。

 

 

 

 

 

 

 

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