日本共産党練馬区議団を代表して陳情第56号「インボイス制度の経過措置、特例措置の無期限延長を求める意見書を政府に提出すること等」の願意に賛成の立場から討論を行います。
陳情趣旨のひとつ目は経過措置・特例措置の無期限延長です。政府は2026年秋まで「少額特例」や「2割特例」を設けましたが仕組みが複雑であり、商工団体からの聞き取りでも「特例」ということで申請したが「赤字決済であったために逆に出費だった」等の事例も出ています。陳情が求めるよう経過措置・特例措置の無期限延長と制度の拡充を政府に意見すべきです。
陳情要旨の2つ目は区独自に給付型の支援制度を創設することです。区の今年度予算の総額は過去最大の3230億円でしたが、うち産業経済費は33億円にとどまり全体の1%程度にすぎません。物価高が続くもと、地域経済の支え手である幅広い事業者事業者らから求められているのは何より直接支援です。
陳情要旨の3つ目は練馬ビジネスサポートセンターにおける税務相談周知の拡充です。同センターで実施している税務相談は週2日のみで回っている状況であり、区内2万事業者にくわえ、それに含まれないフリーランスが陥っている困難に十分に身を寄せているかと言えば決してそう思いません。
そもそも練馬区は区内の登録事業者数を把握しておらず、登録はしても確定申告できない事業者がこれからどれほど現れるのかという想定さえしていません。ビジネスサポートセンターが小規模・零細事業者にとって本当に役立つ施設として税務相談の体制を拡充したうえ、広報にも努めるべきです。
陳情要旨の4つ目は「消費税は預り税ではない」という周知についてです。いまでも年間売上1000万円未満の事業者らがお客さんから受けた消費税を「国に納めずネコババしている」というような誤解が広くあり、免税事業者らが肩身を狭くしているとの声が寄せられています。
小規模事業者のほとんどが実際には消費税分を価格転嫁できず、自腹を切っているという実態があります。このことの区民に丁寧に説明すべきです。
昨年秋のインボイス導入以降、現場は混乱を極めています。新規の課税登録者には税理士ですら難解であるという分厚いマニュアルが一冊自宅に届き、さらに納税額の算出方法も複数あり、それにより納税額も変わることもあるといいます。
「インボイスを考えるフリーランスの会」による今春のアンケート調査結果によれば、「経理作業・申告書作りで大変だったこと」のトップは「特例などの制度理解」だったといいます。こうした声に真摯に耳を傾け、援助を手厚くすることが大前提ではないでしょうか。
陳情理由にもあるように「アニメ・イチバンのまち」を標榜し、日本有数のアニメ産業集積地を誇る練馬区にいる事業者のうち41.7%が年間売上げ1,000万円未満の中小零細事業者です。
ここに含まれないフリーランスのクリエーターなども含めれば産業全体の死活にも関わります。91.9%がインボイス制度の見直し・中止を望んでいます。インボイスからアニメーターらの生業を守るのは練馬区の責任ではないでしょうか。
そもそもインボイス導入の目的が将来的な消費税増税と徴税強化の地ならしだということも忘れてはなりません。政府はインボイス導入で約2,500億円の税収増になるとしていますが、物価高騰と日本経済の停滞でこれほど生活が大変なときに、一層の増税などとんでもないことです。
以上、陳情願意に賛同し、インボイス廃止を強く訴え、日本共産党練馬区議団を代表しての陳情第56号の願意に賛成の討論といたします。