2024年度予算に対する反対討論
2024年3月15日
やくし 辰哉
私は日本共産党練馬区議団を代表して、議案第1号~第4号、2024年度練馬区一般会計、国民健康保険事業会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計の4予算に反対の立場から討論を行います。2024年度予算は、前年度から243億円増の3230億8800万円で過去最大となりました。区は、今予算を『練馬区の更なる発展に取り組む予算』であり、『区民生活をより豊かにする施策に力を入れていく』としていて、学校給食の完全無償化や耐震化助成の拡充など前進面もありますが、一方で区民にとって不利益となる問題が含まれています。
反対理由の第1は物価高騰から区民や事業者を守る予算になっていないことです。この間、消費者物価は3.1%増と41年ぶりの上昇率となり、実質賃金は21か月連続で前年割れとなりました。こうしたもと格差と貧困はさらに広がり、満足に食事もとれない人がいるなど深刻さは増すばかりで、これまで以上の支援策が求められています。国民健康保険料は、介護分を除いた均等割でも5500円増の65600円で、一人当たり1万3000円という過去にない大幅値上げです。世帯によっては年収200万円で保険料30万円、年収400万円で55万円など異常な高額になっています。これでは生活費が奪われ、暮らしが成り立ちません。政府が実施する一回限りの所得税減税も吹き飛んでしまいます。また介護保険料は、第4段階以下が負担減の一方、5段階以上は軒並み値上げです。後期高齢者医療制度の保険料も上がっています。こうした値上げを続けながら、差し押さえ件数は2年間で40%増と強化しており、区が区民生活を痛めつけていると言っても過言ではありません。国保も介護も一般財源からの公費投入で保険料を引き下げるべきです。
また予算総額は大きく伸びているのに、産業経済費は33億円で、全体の1%程度しかありません。物価高による厳しさが続くもと、予算を増やし、強く求められている直接支援に踏み出すなど地域経済の支え手である幅広い事業者への支援に力を入れるべきです。
反対理由の第2は、今後も多額の費用を必要とする開発事業を推進している事です。
区立美術館・貫井図書館の再整備では、当初76億円としていた工事費が約90億円に膨らみ、さらに膨らむ可能性もあります。改築にも関わらずゼブ化も不十分で、現在1フロアの貫井図書館は5フロアに分かれてしまい、利用者にも働く人にとっても利便性を損なうものです。サンライフ練馬をなくすことも含め、再整備計画は見直すべきです。
桜台東部地域では道路拡幅を軸としたお金も時間もかかる防災対策を進めようとしています。そして、これまで10年近くかけて50億円積み立ててきた大江戸線延伸推進基金に、一度に30億円も積み立てようとしており、さらに、財調基金は財政不安を強調し、600億円と過大な目標に引き上げましたが、区民生活がひっ迫しているときに、こうした予算のあり方は問題があります。
反対理由の第3は、区民の声に応えていないことです。石神井公園駅前再開発や稲荷山公園整備計画を住民合意もないまま推進し、区立谷原保育園の閉園計画は、区民の声を聞かず地域の保育需要も顧みずに推進しています。また区は建設キャリアアップシステムの普及状況が低いことを理由に総合評価に加えることを拒否し、公契約条例の制定にも背を向けています。会計年度任用職員制度のもと、男女で賃金格差が明らかに存在しています。格差の是正に取り組み、同時に専門職を大切にするべきです。三原台への生活介護事業所誘致に合わせ、大泉学園町福祉園を廃止する計画ですが、区直営で職員が現場に携わることは大事であり、今後の需要の面でも必要です。廃止は撤回するべきです。
いま、区民生活の困難は本当に深刻です。予算の使い方を見直し、従来の枠にとらわれない区民生活と事業者への支援に全力を傾けるとともに、区民の意見を区政に反映させることを求め、日本共産党練馬区議団を代表としての討論といたします。