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議会報告
REPORT

2024年第一回定例会一般質問 有馬豊(2月13日)

2024年 第1回定例会一般質問

2024年2月13日

日本共産党練馬区議団

有馬 豊

 私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

始めに、区長の基本姿勢として、防災対策についてです。

石川県能登地方を震源として発生した地震により、建物の倒壊が相次ぎ、津波や火災、土砂崩れなど大きな被害をもたらしました。亡くなられた方々、被災された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、1日も早い復旧、復興ができるよう政治が責任を果たすことを強く求めるものです。

地震は自然災害ですが、救命・救出に全力を尽くし、助かった命を守りぬくこと、そして生活再建や災害に強いまちづくりを進めることは政治、行政の責任です。

第1は、被災地支援についてです。今回の地震は、元旦に発災したことや能登半島の地理的条件が震災対応を困難にしたという声もありますが、初動体制の遅れを批判する声も上がっています。昨年5月に石川県珠洲市で震度6の地震が発生した時にも、行革による人手不足で自治体の災害対応が困難になったことが明らかになりました。

今回の能登半島地震の被災地でも、支援物資の仕分けや分配する人手が足りず被災者に行き届かない、罹災証明の交付業務や家屋の被害認定調査の人員が確保できていない、役場の職員が総出で応急作業や問い合わせに追われるなどマンパワー不足が課題だと指摘されています。

区は、災害時に群馬県前橋市や埼玉県上尾市、長野県上田市などと応援協定を結び、協力体制を取ること、大規模災害発生時には国の応急対策職員派遣制度に基づき対応するとしていますが、首都直下型地震や南海トラフ地震が起きた場合、応援派遣などが機能する補償はありません。

練馬区でもこの間、職員削減や民間委託、非正規化などが進められてきましたが、災害対策を考慮し、区民の命を第1に考えるならば、これまでの方針をいま一度、考え直す必要があるのではないでしょうか。区の見解を伺います。

【枚田危機管理室長】私から、災害対策についてお答えします。

 はじめに、職員体制についてです。

 災害発生時は、一時的に業務が急増します。区は、災害発生時の応急業務に対応するため、第一次344名から第四次まで、合わせて4,560名の全職員の非常配備態勢をあらかじめ定めています。また、避難所における良好な生活環境の確保や、速やかな復旧・復興を行うため、他自治体や民間事業者等と災害協定を締結するなど、受援体制を整備しています。

 現在策定中の「練馬区人事・人材育成改革プラン(案)」では、区民サービスの質の向上と効率的な執行体制を確立するため、委託・民営化等を推進することで生み出された職員を、多様化・複雑化する行政需要等に対応する職員増に充てることとしています。今後も、適切な職員定数の管理を行ってまいります。

 

第2に、避難所の環境改善についてです。被災地では、寒さと不安の中で厳しい避難生活を強いられ、断水でトイレが使えない深刻な状況や、感染症も広がりました。災害関連死を防ぎ、被災者の命と健康を守るため避難所環境の抜本的な改善が急がれます。

エコノミー症候群やほこりを吸い込むことによる健康被害を予防できる段ボールベッドは、事業者との災害協定を締結し、災害時2~3日で届くということですが、石川県では発災後1週間経っても、協定を結んだ団体から供給されない事態が起き、3週間経っても避難所に届かないところが多数ありました。また、プッシュ型支援で3,500台が物資拠点に着いたものの、被災者にどう届いているのか把握されていませんでした。こうした教訓を生かせば、区としても備蓄しておく必要があります。都内では足立区や渋谷区などが備蓄をしています。いかがですか。また区は、防災フェスタや水防訓練等において、日頃から災害協定団体と連携して訓練を行っていることは重要です。繰り返し訓練を行うことで、より協定内容の実効性を高めることが必要です。そして、災害協定を結ぶ団体を増やす、例えば、これまで水防訓練などに参加した団体とも協定を結んで、発災時の体制をさらに強化すべきです。2点区の見解を伺います。 ジェンダーの視点を含めた避難所の抜本的改善も急務です。わが党の国会議員が行った輪島市の避難所での調査では、女性の避難所生活に関し「間仕切りがなく、着替えができない」「トイレは男女共用で、夜は照明も少なく怖くて使えず、我慢して体調を壊す」などの切実な声が寄せられました。全国では災害対策の部署に女性が居ない市町村が6割もあるとのことですが、要となるのは、避難拠点の運営に関わる方たちです。運営の中にいかに女性を増やしていくか。女性防災リーダー育成講座の修了者への働きかけ、地域の女性が参加しやすい環境づくり、避難拠点運営の決定の場に女性が参加できる仕組みづくりが必要です。区の見解を伺います。

【枚田危機管理室長】次に、災害協定等についてです。

 区では、緊急輸送、医療、福祉、衣食住など多岐にわたり、これまでに234団体と協定を締結しています。より万全なものとするため、現在、災害時の情報収集や緊急輸送等の分野で新たな災害協定の締結を検討しているところです。避難所における生活環境の確保に必要な物資の調達についても、多様な主体と協力関係を築いています。段ボールベッドや間仕切りについては、民間事業者およびNPO法人と協定を締結しています。民間事業者は関東圏内に6か所の製造工場を有しており、発災後概ね3日目から供給できるとしています。災害時の迅速かつ円滑な緊急輸送対策についても協議を重ねており、実効性の確保に努めています。現時点で、区が備蓄する考えはありまあせん。

 防災フェスタでは、災害協定を締結している東京都水道局や東京都トラック協会練馬支部による応急給水訓練、日本救助犬協会による捜索活動訓練などを実施しています。震災総合訓練では、練馬電設防災協力会と電気設備の応急点検を行う合同訓練を実施しています。水防訓練においても、練馬土木協会による水防工法訓練などを行っています。このほか、東京都トラック協会練馬支部は、都からの物資受入れを想定した訓練等も行っています。引き続き、協定団体と連携して、発災時の態勢を強化してまいります。

 区は、地域防災計画に基づき、男女共同参画の視点を取り入れた災害対策に取り組んできました。平成29年度から、ねりま防災カレッジの女性防災リーダー育成講座を開催し、避難拠点で活躍する人材の育成に取り組んでいます。講座のポイントや、受講者の皆様からの声をまとめた冊子を毎年発行し、配布しています。また、避難拠点運営連絡会で活動している女性委員にも、女性防災リーダー育成講座や、区民防災組織カリキュラムの受講を勧奨しています。引き続き、女性が参加しやすい仕組みづくりに取り組んでまいります。

 

第3に、災害に強いまちづくりについてです。

能登半島では、以前から群発地震が続き、耐震化を早急に進める必要があったにも関わらず、進まず、今回の地震により建物の倒壊で多くの犠牲を出しました。今回の地震を受け区は、木密地域を対象に耐震改修工事などの助成を拡充することや、2000年の新耐震基準に満たない木造住宅への耐震化助成の新設は重要です。しかし、震災時に倒壊を防ぐため、危険な建物を建て替える必要性をいうのであれば、助成拡充の対象を区内全域に広げるべきです。

また、区は延焼火災を防ぐため、防災道路を通す密集事業がなかなか進まない現状に、焦りを覚えるといいますが、沿道地権者から反対の声が出されている事業を住民の合意もなく進めることはできません。いつ震災が起きるか分からない中で、時間も多額の予算もかかる道路整備よりも、時間も予算も少なく効果の高い対策こそ進めていくべきです。今回、木密地域や避難行動要支援者を対象に感震ブレーカーの無償貸与や取り付け支援、消火用スタンドパイプを地区内の区立施設やコンビニなどに設置することは前進ですが、通電火災の危険性は木密地域以外でも想定されます。いずれの対策も対象を区内全域に拡大すべきです。 2点お答えください。

【前川燿男区長】お答えいたします。災害対策についてです。

首都直下地震は、何時発生してもおかしくないと言われて久しくなります。「首都直下地震等による東京の被害想定」では、マグニチュード7.3、区内の建物の全壊・半壊棟数は約12,500棟、焼失家屋は約11,000棟と想定されています。

区はこれまで、ハードとソフトの両面から「攻めの防災」を進めてきましたが、能登半島地震を受け、予算案での想定を超えて、更に強化、加速しなければならないと考えています。

桜台東部地区や貫井・富士見台地区などは、老朽木造住宅が密集し道路が狭隘です。この現状を放置することはできません。震災時の建物倒壊や延焼火災を防ぐため、危険な建物を建て替え、防災道路を通さなければなりません。反対している方々がいることは承知していますが、住民の皆さんと力を合わせ、根本的な災害対策として効果が高いものを優先し、具体的に目に見える形で、早急に進めていかなければならない、固く決意しています。

道路は、発災時の延焼火災の防止、避難、救援活動、物資輸送のために必要不可欠です。桜台東部地区、貫井・富士見台地区で防災道路の整備に取り組みます。また、防災まちづくり事業実施地区内で、新防火規制区域の指定や地区計画の策定を進め、建築物の倒壊対策を強化するため耐震化助成を拡充します。あわせて消火用スタンドパイプの設置、感震ブレーカーの無償貸与を開始して、初期消火体制を強化します。

 災害時に区民の生命と財産を守るのは基礎的自治体の最も重要で基本的な責務です。私は区長として、攻めの防災の先頭に立ち、万難を排して取り組む決意です。区議会の皆さん、区民の皆さんのご強力をお願いいたします。

私からは以上です。そのほかの質問につきましては、関係部長から答弁いたします。

【池上都市整備部長】私から建物の耐震化とまちづくりの進め方についてお答えします。

 はじめに、建物の耐震化についてです。

 区では、大規模地震の発生に備えて建物の耐震化を促進してきました。元日に発生した能登半島地震では、多くの建物が倒壊し、大きな被害をもたらしました。これまで進めてきた建築物の耐震化を、更に強化・加速する必要があります。

 とりわけ、密集事業をはじめとする「防災まちづくり事業」実施地区では、老朽木造住宅が密集し、狭あいな道路が多く、地震発生時に建物倒壊による火災の発生や延焼の危険性が高いことから、早急な対策が求められています。そのため、令和9年度末までを対象期間として、旧耐震基準の住宅の助成額を拡充し、集中的に取り組むものです。

 引き続き、早期に耐震化を促進するため、積極的に助成制度の活用を促してまいります。

【池上危機管理室長】次に、災害に強いまちづくりについてです。

 令和6年能登半島地震では、木造住宅密集地域での火災対策、建築物の倒壊対策、避難経路や緊急輸送経路など道路の確保、避難所機能の充実などが改めて課題として浮彫りとなりました。区では、これらの対策を含めて、ハード・ソフトの両面から、「攻めの防災」を進めてきましたが、更に強化・加速しなければならないと考えています。

 とりわけ、密集事業をはじめとする「防災まちづくり事業」を実施している地区では、大規模な地震発生の際、延焼の拡大により甚大な被害が発生する恐れがあります。このため、当該地区において、防災道路の整備、住宅への助成拡充による耐震化の促進、感震ブレーカーの無償貸与、街頭スタンドパイプの設置等に集中的に取り組んでいきます。

 現時点では、耐震化の助成拡充や感震ブレーカーの無償貸与、街頭スタンドパイプの設置を区内全域に広げる考えはありません。私からは以上です。

 

 次に、介護保険計画についてです。

 1つは、介護人材の不足への取り組みです。計画では「介護の現場を支える総合的な人材確保の推進」として、生産年齢人口の減少を背景に介護人材の確保が今後さらに厳しくなるとして、区は、これまで行ってきた元気高齢者に介護施設の業務を補助する事業の拡充や、光が丘に介護福祉士養成施設をつくり、卒業生を区内の事業所に就職し、定着を誘導する仕組みや、資格取得費用の助成など新規事業にも取り組むとされています。

 しかし、介護現場では、若い職員の離職や志望者の減少が続き、深刻な人手不足が起こっています。ホームヘルパーの年齢構成は60代以上が4割を占め、80代のヘルパーが現場の重要な戦力となる一方、20代のヘルパーは全体の4%に過ぎません。ケアマネジャーの資格試験の受験者は激減し、合格者は最高時の10分の1以下に減っています。

 こうした事態を引き起こした最大の要因は、介護従事者の過酷な労働環境と低い処遇にあります。介護職の平均給与は全産業平均より「月8万円低い」状況が続き、国が賃上げを行いましたが、「月9000円」にとどまっています。介護・福祉職員の賃金を「全産業平均」並みに引き上げ、雇用の正規化、長時間労働の是正など、労働条件の改善をこれまで以上に国に強く求めていく必要があります。同時に、施設や事業所の職員確保、人員配置に対する公的な助成制度をつくり支援することも必要です。

 また、計画には元気高齢者など無資格者や外国人を使って人材不足を補う中身も含まれていますが、これは介護の質や利用者の尊厳を守る事に逆行し、安上がりの労働力の拡大で、介護労働者の処遇改善の足を引っ張るものです。

 介護労働の専門性を確保し、介護職の社会的地位の向上、それを正当に評価する処遇改善が図られてこそ介護分野への入職意欲も高まり、人材確保も前進すると考えますが、区の見解をお聞きします。

 2つは、地域包括ケアシステムについてです。計画では、現状4つの日常生活圏域を27圏域に設定し、地域包括ケアシステムを担わせるとしています。しかし、区の地域包括支援センターの現状は、1か所に7~8人前後の職員配置で、各地域平均6000人の高齢者の対応が求められ、各センターの相談員は1人当たり年間平均1242件で、多いところでは1820件の相談を担当し、どこも多忙を極めていると聞いています。生活支援コーディネーターを各所1人配置するとしていますが、それで十分なのか、区として実態を調べ、必要に応じた人員配置となるよう支援すべきです。

3つは、特養ホームの整備についてです。区は、この間、特養ホームの増設を進め、待機者は750人になったとのことです。待機者の9割を超える方が1年以内に入所している実態などから、今後は新規整備によらず、既存資源の転換等により定員の確保を図るとしています。しかし、今後、高齢者人口が増え、要介護1,2は原則入所ができない仕組みもあり、本当に入所が必要な人が入れない実態があるのではないでしょうか。

特養への入所を必要としている人が必要な時に入れるよう計画には待機者ゼロを目標に、その実現に向け、今後も増設を図るべきです。

また、特養では胃漏や痰の吸引など医療行為ができる施設がありますが、できる医療行為は施設によってまちまちです。必要な医療行為ができないことで入所できない人もいると考えます。施設によって対応できる医療行為に差が出ないよう区として手立てをとるべきです。

4つは、保険料についてです。保険料は、介護サービス利用者の増加等により、大幅に上昇することが予想されます。いま年金を始め社会保障は引き下げられ、物価の大幅な高騰により高齢者の暮しは大きな打撃を受けています。これ以上の値上げは許されません。保険料を下げるため一般財源の投入を始め、53億円の基金の活用や、合計所得が5,000万円以上の方の保険料を所得に応じ更に段階を増やすなど、できる手立てを尽くし、保険料を下げることを求めます。

関連して、加齢性難聴者への補聴器の補助についてもお聞きします。これまで区は都の包括補助制度を活用し、非課税世帯に対し1人当たり25,000円の補助を行っていますが、都は来年度から単独の補助制度をつくるとしています。この仕組みも活用し補助の対象を広げ、補助額も引き上げるべきです。以上5つの問題についてお答えください。

【吉岡高齢施策担当部長】私から、第9期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画についてお答えします。

 初めに、介護人材の確保についてです。介護保険制度は、利用者やその家族が生活を維持するうえで欠かせないものであり、従事する人材を確保し、資質向上を図る必要があります。介護職員の処遇改善については、制度を設計した国の責任において実施すべきものです。区は、これまで国に対し、労働条件の改善も含め、介護人材の確保・育成・定着の支援策を講じることを要請しています。

 国は、令和6年度から、多くの事業所に活用されるよう現行の3つの処遇改善加算を一本化し、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップに確実につながるよう加算率の引き上げを行うとしています。区は、引き続き、社会保険労務士による加算取得セミナー等を開催し、事業者が確実に処遇改善加算を取得できるよう支援していきます。

 これまで、練馬福祉人材育成・研修センターにおいて、介護従事者要請研修や資格取得費用助成など、区独自に介護人材の確保・育成・定着の支援に取り組んできました。介護従事者養成研修は、介護未経験者の介護分野への就労のきっかけづくりを目的としており、これまでに研修修了者の400人近くが区内介護サービス事業所に就職しました。就職後は資格取得費用助成や研修センター事業を活用しながら、多くの方が専門性の高い人材へステップアップしています。

 練馬光が丘病院跡施設において、令和7年4月の開設を目指し、介護福祉士養成施設の整備を進めています。養成施設では、国家資格の取得を目指す多くの外国人の入学も想定しています。入学者を確保し、卒業後に区内で就職して頂くため、都の就学資金貸付制度の活用に向けた情報提供や区内介護サービス事業所との面接会のほか、区独自に運営法人への宿舎借り上げ補助を行います。

 無資格者や外国人が介護現場で働くことが、介護の質や利用者の尊厳を守ることに逆行するとの発言は偏見であり、多くの介護職員の労働を踏みにじるものであります。

 次に地域包括支援センターの体制についてです。区は現在、国が示している地域包括支援センターの職員の配置基準に加え、訪問支援員を各2名配置しています。また、総合福祉事務所に併設しているセンターは業務量が多い傾向にあるため、手厚い体制としています。更に来年度からは、高齢者の支援を行うNPO等の地域活動団体と活動意欲のある区民を結びつける生活支援コーディネーターを各1名配置し、支援体制強化を図ります。

 次に特別養護老人ホームの整備についてです。介護施設の整備を着実に進めてきた結果、特別養護老人ホームは平成26年から10施設897床増床し、都内最多の施設数となり、入所待機の状況は大きく改善されています。今後は、大泉特別養護老人ホームに併設されていた大泉ケアハウスの廃止などにより、特別養護老人ホームの増床を図ります。

 特別養護老人ホームにおける医療的ケアの実施体制については、人員配置などによって異なることから、区では、各施設で対応が可能な医療的ケアの一覧をホームページに掲載し、周知しています。利用者の急変等により対応可能な範囲を超えた場合には、適切な医療機関につないでいます。来年4月の開設を目指し、整備を進めている介護医療院では、医療ニーズが高く特別養護老人ホームに受入れ困難な方が円滑に入所できるよう運営法人と協議を進めていきます。

 本定例会に提出している介護保険条例の改正条例では令和6年度から8年度までの第9期の介護保険料の基準月額を第8期から70円増の6,670円としています。

 第9期期間中に、団塊の世代が全て75歳以上となり、要介護認定者が増加するとともに、中重度の要介護高齢者が増えることが見込まれます。このため、介護サービス利用量が増加し、その対応に必要な施設整備等の介護サービスの充実や介護報酬改定等に伴う介護給付費の増が要因となり、基準月額が1,109円上昇します。区は、この上昇を保険料段階の更なる多段階化と介護保険給付準備基金39億円の活用などにより1,039円抑制し、70円増に抑えました。

 一般財源を区の負担割合を超えて介護保険会計に繰り入れることは制度上認められていません。また、合計所得金額が5,000万円以上の方は400名程度と少ないことから更なる多段階による効果は限定されたものになるため、現段階では実施する考えはありません。

 区は、認知症発症要因の1つと言われている加齢性難聴対策として、令和3年度から補聴器購入費用助成事業を実施しています。

 事業の実施にあたり活用している都の補助制度について、先月行われた都の来年度予算案の発表で拡充の方向性が示されました。今後、示される制度の詳細を踏まえて、区の事業について検討してまいります。私からは以上です。

 

次に、学校給食についてです。

区は、来年度から学校給食費を完全無償にするとしました。これは重要な前進です。予算は約30億円で、都が2分の1を補助しますが、都の財政は一般会計で8兆円規模もあり、2020年度から1兆円以上増えています。全額負担も無理なことではありません。国への要望はもちろんですが、当面、都に全額負担を求めるべきです。

また、重度アレルギーや宗教等の理由で、弁当持参の子どもが40人ほどいますが、北区や足立区では、そうした家庭に給食費を基準に補助しています。また、新宿区では、私立、国立の就学者にも給食費相当額を支給します。練馬区でも、更なる拡充を検討すべきです。3点お聞きします。

今後、給食費を全額公費で負担することと同時に、給食の質を維持し続けることも大事です。子どもの成長発達にとって、十分な栄養が取れる質の高い食事が大切です。今後さらに物価の高騰があっても給食の質を維持する予算を、区が責任をもって確保し、充実することを求めますが、いかがですか。

国は2021年、「みどりの食料システム戦略」を策定しました。化学農薬の使用量50%低減や有機農業の面積は25%などを目標に、環境への負荷を減らし、優れた日本型食生活を広げ、地場産物や国産有機農産物等を学校給食に導入する取組を推進するとしています。

 この間、有機食材を使うオーガニック給食を導入する自治体が生まれています。オーガニック給食は、農薬を使わず、より安全でおいしい給食を子どもたちに届け、食育の一層の推進が図れ、地産地消による地域経済の活性化や、環境保全にもつながるとされています。

日本の農薬規制は諸外国と比べ大変あまく、ネオニコチノイド系農薬の使用も続いています。この農薬はマウス実験で神経や生殖系等への影響が指摘されており、摂取すると胎児にも影響します。

武蔵野市では、給食・食育振興財団を設立し、有機食材を使う「安全給食」を提供しています。千葉県いすみ市では給食に100%有機米を使い、ニラ、たまねぎなど有機野菜の使用も増やしていますが、両自治体では、子どもたちの残食が減ったといいます。オーガニック給食を実施するには農家、学校関係者、保護者、地域住民等の協力が不可欠です。区内で有機農業に取り組む農家を広げることや、近隣自治体からの供給を受けることも含め、有機米を始め一品ずつでも学校給食に有機食材を取り入れることを検討すべきです。区の見解をお聞きします。

同時に、区内産農産物の活用も重要です。2021年度から、農水省がローカルフードプロジェクトを推進していますが、韓国・中部にあるワンジュ郡では、日本の農業や道の駅などを参考にローカルフードに取り組む中で、農家に対し営農のための設備や機械導入を支援し、作られた有機食材を学校給食にも活用して、地域農業を支えています。

また、ワンジュ郡では、ローカルフードの一環として、公共給食支援センターが中心となって、農家に何をいつ、どれだけ作るか計画を持たせ、食材を各学校等に届けるシステムが作られています。各農家と密接につながり、関係者の協力を得ることが大切です。区としても子どもたちに安全な給食を届けるため、中心となるセンターをつくるなど、システムの構築や、設備や機械導入への支援を検討すべきです。答弁を求めます。

国内の食料自給率が38%と低迷しているもと、都市農業サミットや全国都市農業フェスを開催した練馬区が、都市部における地産地消とオーガニック給食の推進を先導する役割を果たすよう求めます。

【三浦教育振興部長】私から学校給食についてお答えします。

 はじめに、学校給食費無償化についてです。

 学校給食費の無償化については、これまでも自治体の判断に委ねるのではなく、国が明確な方針を示すよう特別区長会等を通じて要望してきました。都は、国に先行して公立小中学校の学校給食費の無償化に取り組む方針を示しました。区は、都の補助制度を活用して学校給食費の全面無償化を実施し、あわせて、私立幼稚園副食費補助事業の対象者を第一子以降の園児に拡大します。

 予算計上にあたっては、食材料費の物価上昇を見込んでいます。

 本来学校給食は、法律と制度を所管する国が責任をもって運用するものであるため、都に全額負担を求める考えはありません。

 アレルギー等を理由に弁当持参をしている児童生徒に関しては、給食費相当額の補助を予定しています。

 私立、国立小中学校就学者については希望選択による就学であり、今回の都の補助制度の対象外となっています。区として補助を実施する考えはありません。

 次に、有機食材の使用についてです。

 有機栽培作物は、栽培に労力やコストを要することなどから、工作地面積が令和2年時点で全国の耕作地の0.

6%となっており、学校給食の需要に対応することは困難です。

 また、住宅地に隣接する区内農地では、堆肥の臭気の問題や、最低限の農薬を使用せざるを得ないことから、農作業の全ての工程を有機農業とすることは困難な状況にあります。

 国は、有機農業の推進に向けて技術開発を進めるとしており、その動向を注視してまいります。

 次に、区内農産物の活用についてです。

 学校給食で地場野菜を活用するため、区が一括して区内産野菜を調達し、全区立小中学校が使用する機会を年4回設けているほか、各小中学校に対し、地域の農家や区内産農産物を取り扱う小売店との仲介や情報提供を行っています。これを更に推進するため、教育振興部、都市農業担当部とJAあおばによる連絡会議を設置し、協議を進めています。

 農業者に対しては、ビニールハウスなど農業用施設の整備やトラクターなど機械の購入の補助を既に実施し営農を積極的に支援しています。以上です。

 

次に、地球温暖化対策についてです。

 区は、環境基本計画の中で、新築・改築する区立施設については、省エネによってエネルギー収支を30~50%削減するゼブオリエンテッドやゼブレディー以上を目指すと明記しました。これは重要なことです。しかし、新たに整備する施設については創エネを行って、100%削減を目指すべきです。

 特に懸念されるのが新しい美術館です。私たちは区が進めている美術館の整備計画には反対ですが、仮に建設するとした場合どうなるのか、イメージデザインでは、屋上まで来館者が登れるようになっており、ソーラーパネルなど設置するスペースが見当たりません。100%ゼブを実現するつもりがあるのか、もしそれが達成できないのであれば、デザインなどの変更も含め、合理的な仕様に変更もしくは計画そのものを中止すべきです。

 区は、既存の建物についてはエネルギー消費の削減は行うものの、ゼブ化は目指さないとしています。しかし、このペースで2030年度までの削減目標を達成することができるのか、既存建物については従来、エネルギー100%削減は難しいとされてきましたが、久留米市では1990年に竣工した施設で100%削減を実現しています。来年度からPPAのモデル事業を学校で開始するとなっており、既存建物についても早急に調査を行い、100%ゼブ化を推進すべきです。

 また、学校体育館については、柱がない構造のため、ソーラーパネルの設置は難しいとしてきましたが、日々技術革新が進んでおり、すでに体育館に設置するところも生まれています。区でも実施を検討すべきです。

 環境基本計画やビジョンでは、区内のCO2の排出の5割は家庭部門からの排出とされ、それを抑えるために住宅におけるエネルギー収支をゼロにするゼッチを推進するとしていいます。しかし、ゼッチを進めるために再エネ・省エネと合わせて断熱を行うことが必要です。

 区では、断熱について、窓のリフォーム助成を行っていますが、それ以外は現行の補助制度では対応できません。断熱を含めたリフォームへの補助を実施するべきです。

温暖化によって大きな被害を受けるのは、低所得などの社会的に弱い人たちです。生活に余裕がなく、十分な対応ができないからです。区は生活困窮世帯を対象にエアコンの設置補助を行いましたが、対象はエアコンが故障、あるいは未設置の場合です。実際には故障していなくても機器が古く、電気代が高くつくなどの理由で使用を控える人たちもいます。エアコンの設置補助は対象を広げ、エアコンが老朽化している場合も対象とするなど省エネをさらに推進すべきです。

 この間、区議会でもソーラーシェアリングについて実施を検討すべきとの議論が行われてきました。しかし、生産緑地法が壁となり、設置は困難としています。また区民農園についても設置位置が低く、光害などが発生しかねないこと、できるかぎり区画を確保したいということから、実施に消極的です。

 しかし、環境基本計画の中では、光害の可能性の高いソーラーカーポートについても将来的に設置を進めたいとの意向が示されています。また温暖化によって葉焼けが起こるなど区内の一部の作物に影響が出ていることから、農作物の生育を促進する意味でも、国への働きかけや農業者への聞き取りを行うなど、何が課題なのかを整理し、実施を検討すべきです。

以上7点についてお答えください。

【小暮環境部長】私から、地球温暖化対策についてお答えします。

 区は、昨年9月に環境基本計画2023を策定して、2030年度までに区内のCO2排出量を2013年度比で46%削減する目標を定めました。

 削減目標達成に向けて、家庭部門のCO2削減を重点的に進めるとともに、区立施設等の省エネ化・再エネ導入などを率先して進めます。

 ZEB化については、国がモデル事業として補助採択した施設であっても、年間エネルギー消費量の5割以上を創エネで確保して、100%ZEBを実現したものは極めて少数です。特に都市部では、太陽光パネルの設置場所が限定されるため実現が困難です。

 このため、新築・改築する区立施設は、建物の用途や特性等を踏まえて、原則として一次エネルギー消費量を30%~50%削減することを目指します。美術館についても同様です。

 既存施設の改修時は、建物の規模や工事内容に応じて、照明設備のLED化、高効率空調設備や再エネ設備の導入などによりエネルギー消費量の削減を進めます。

 既存施設へのソーラーパネル設置については、昨年3月に国が示した第三者所有方式による導入の手引きを踏まえ、PPAモデル実施に向けて、施設の選定を進めています。区内の既存の体育館は、屋根の強度が不足しているため設置は難しく検討する考えはありません。

 既存住宅の省エネ化・再エネ導入を支援するカーボンニュートラル化設備設置等補助金については、今年度の実績を踏まえ拡充します。断熱性の向上には、熱損失が大きい開口部への対策が最も効果的です。引き続き窓改修を補助対象としてまいります。

 生活困窮世帯に対するエアコン設置助成事業については、今年度、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して区独自にエアコン未設置等の住民税非課税世帯等に対し、購入費助成を実施しました。来年度は一般財源を活用し熱中症対策として実施する予定です。本事業の補助対象を老朽化更新にまで広げる考えはありません。

 農地におけるソーラーシェアリングについては、パネルの下部が日陰になることで、少量多品目栽培など、都市農業の特徴的な栽培が大きく制約されること、区内では農地と住宅が近接しているため、近隣への反射光の影響もあることなど、課題はすでに整理されており、農業者からも設置の要望はほとんどありません。

 区では、農業と農地を守り、次世代に引き継いでいくことが重要であり、都市農業の継続にメリットの無いソーラーシェアリングを進めていく考えはありません。

 今後も、ゼロカーボンシティの実現に向けて、区民・事業者の皆様と協働して、取り組んでまいります。私からは以上です。

 

次に、まちづくりについてです。

 区は、区立施設について、財政難などを理由に縮小する方向性を示しています。一方、道路などの都市インフラの整備については強力に推進する構えです。次期ビジョン素案でもこうした計画が多数盛り込まれました。例えば、大二中を分断する135号線、桜台東部地区、石神井公園駅南口西地区再開発、稲荷山公園などです。

 どの計画も区民に大きな負担を強いるもので、区民の協力は欠かせません。ところが、この間のまちづくりの進め方を見ると区民との合意形成が不十分で、反対の声が多く出されています。

 石神井公園駅再開発については、地権者の合意が得られていない中で、地区計画を決定後わずか8年で、再開発に合わせて変更し、再開発を事実上後押ししています。桜台東部地区では、まちづくり協議会の中で合意が得られていないにもかかわらず、区の方針を一方的に押し付けています。稲荷山公園についても、戸別訪問すら行わず、数回のオープンハウスを行って、基本計画を策定しました。これでは区民が反発するのは当然です。

 世田谷区はどうでしょうか。世田谷では、5つの支所ごとに街づくり課が置かれ、域内の街づくりに対して、きめ細かく対応できる体制が作られています。区民との合意形成を図るために専門家を派遣し、まちづくり懇談会、まちづくり学校、デザイン会議などを繰り返し開催し、区民に不信感をもたれないよう十分な情報提供を行い、模型なども作成し、イメージがつきやすいよう工夫しています。

練馬のまちづくり協議会のように委員を限定せず、誰もが参加して意見を述べることができ、納得できるまで話し合うなど、消化不良のまま会を打ち切ることはしないといいます。仮に、区が行う説明会において、都が所管の事業への意見が出された場合でも、所管が違うと言って済ませるのではなく、できるだけ都の職員にも参加を呼びかけ、できない場合でも東京都に区民の意見を反映させるように働きかけを行っています。その結果、計画自体が区民の声をもとに見直された事例もあります。

こうした取り組みの積み重ねの結果、最初は感情的になっていた区民も冷静に議論できるようになったといいます。特に反対意見と向き合う姿勢は学ぶべきであり、こうした姿勢こそ区民と合意形成を図るということではないでしょうか。

もちろん世田谷区でも都市計画道路の是非についてまで議論ができているわけではありません。しかし、区民の声に徹底的に耳をかたむけることにこだわった結果、区民が強く反発する計画については、区も無理には進めないといいます。

こうした経験に練馬区も学ぶべきです。まちづくりにおいて区長の姿勢は決定的です。前川区長は、この間、区民との協働を強調していますが、やっていることは形式的に区民の意見を集約しているだけで、区民の声を本気で区政に反映させようという姿勢ではありません。こうしたやり方が評価されていないことは、先の区長選挙の結果にも示されています。今こそ区民と一緒につくっていくまちづくりに転換するよう強く求めます。お答えください。

 以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【池上都市整備部長】次に、まちづくりの進め方についてです。

 練馬区は、都市化が急激に進んだため、道路・鉄道などの都市インフラ整備が著しく遅れています。区の魅力である豊かなみどりを活かしつつ、安全安心で、利便快適に暮らすことのできるまちの実現には、道路や公園等の都市インフラ整備と適切な土地利用を誘導するまちづくりを着実に進めていくことが必要です。

 区は、平成17年にまちづくり条例を制定しました。この条例は、区民が積極的に参画する仕組みをつくることにより、多様な主体の協働によるまちづくりの実現を目的とするものです。計画策定の早い段階からの住民参加と住民提案の仕組みを取り入れた、全国でも類を見ない条例です。区は、条例の趣旨に則り、まちづくりを進めています。

 地域との協議を進める際には、よりわかりやすいイメージ図や模型を活用するなどの工夫をし、活発な議論を繰り返し行っています。東京都が所管する事業についても、都へ地域の声を伝え、協議し、必要に応じて、都が直接住民と対話するよう要請しています。前川区長は就任以来、参加と協働を区政運営の根幹に据え、区政を進めています。まちづくりについても、より丁寧に住民と対話しています。

 まちづくりを進めるうえで、地域の方々で意見が分かれることがあります。それぞれの意見を踏まえ、地域の方々の暮らしや区の将来の発展に向け、事業推進が必要であるかを判断し、必要とあれば、直実に進めることが区の責任であると考えています。事業の実施過程においても、地域の方々の意見に耳を傾け、丁寧な説明を続けています。

 こうした取り組みにより、当初異を唱えていた方も含め、多くの方々の賛同・協力を得て、まちづくりを実現してきています。

 これまでもこれからも、区民と共に考え、進めるまちづくりを実施していくものであり、進め方を転換する必要はないと考えております。私からは以上です。

 

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