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議会報告
REPORT

陳情第16号・台湾有事を理由とした戦争準備の強化及び防衛費調達のための増税反対等を求める意見書の提出について賛成討論 (島田 拓)

陳情第16号の願意に対する賛成討論

2023年10月13日

日本共産党練馬区議団

 島田 拓

 日本共産党練馬区議団を代表して、陳情第16号の願意に賛成の立場から討論を行います。

この陳情は、閣議決定された安保3文書を直ちに撤回し、防衛費調達のための増税に反対するとともに、平和外交を行うことを求める意見書を国にあげるよう求めるものです。

 賛成理由の第一は、安保3文書が戦争状態を自ら作り出していくことにつながるからです。陳情でも指摘されていますが、3文書のポイントは反撃能力、いわゆる敵基地攻撃能力を明記したことにあります。

 3文書では、反撃能力について、先制攻撃は許されないとしながらも、ミサイルが発射された後に撃ち落とすミサイル防衛の強化だけでは対応は困難だとして、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において有効な反撃を加えることを可能にするとされています。つまりミサイルが発射される前に相手国を攻撃することを可としているのです。これは明らかな先制攻撃であり、まさに戦争への道です。

 賛成理由の第二は、陳情の理由でも述べられている通り、一般市民への被害が甚大になる可能性があるからです。

 3文書では、中国を繰り返し「最大の戦略的な挑戦」、つまり脅威とみなしています。この間行われた日米合同軍事演習でも台湾有事を念頭に行っているとされています。もし台湾有事が起こればどうなるのか、アメリカの有力なシンクタンクによれば中国軍2万2000人、米軍も1万人もの犠牲者が出るとされています。

 さらにシュミレーションでは、中国が、米軍基地のある日本への攻撃に踏み切る可能性が高いとされています。現に3文書の中ではミサイル攻撃等への抗たん性を高めるため、基地などの重要施設の地下化や装備品を防護するための各種取組みが必要と、攻撃されることを前提とした対応を求めています。

 しかし、どんなに基地を強靭化しても一般市民への甚大な被害は免れません。国民の命を守るというのであれば、中国の脅威を煽り立て、軍備増強に突き進むのではなく、武力衝突を起こさない外交的な努力こそ求められています。

 賛成理由の第三は、安保3文書が平和外交に阻害することになるからです。

 文書では、日米同盟の強化とアメリカと同盟を結んでいる同志国との連携の強化が明記されています。これに対し、アジア各国の政党の国際会議であるアジア政党会議で採択されたイスタンブール宣言では、平和のために「ブロック政治を回避し、競争よりも協力」を強調しています。

 ブロック政治とは軍事同盟のことです。軍事同盟は同盟国間の関係は強化されますが、それ以外の国は排除されることになります。そうなれば地域に分断を生み出し、対立の悪循環を作り出します。そうではなくて、すべての国を含む包括的な対話と協力こそ必要だと宣言は述べているのです。

 とりわけ日本の場合、最大の貿易相手国は中国であり、国民の暮らしと経済を守るためにも軍事同盟の強化ではなく、アジアの国々との平和外交にこそ力を注ぐべきです。

 賛成理由の第四は、陳情でも述べられている通り、防衛費の増額が国民への大きな負担になるからです。

 政府は今後5年間で軍事費をGDP比で2%に引き上げ、43兆円もの大軍拡を推し進めようとしています。その財源確保のため、例えば、医療体制強化や職員待遇改善に使うべき国立病院機構と地域医療推進機構の積立金を活用するとしています。

 さらに決算剰余金も軍事費に充てられるとされていますが、その元となる巨額の予備費は赤字国債が原資です。未来の世代に莫大な増税を強いることになり、国民への負担増は避けられません。

 そもそも日本は、安全保障を語る前提を欠いていると思います。エネルギー自給率は1割台、台湾有事が起これば、中東からの石油が滞ることも予想されます。食料自給率も3割台で、中国から食料や材料の輸入が止まってしまえば、暮らしが成り立たちません。

 安全保障というのであれば、平和外交とあわせ、低すぎるエネルギー自給率や食料自給率を上げることにこそ力を注ぐべきであり、陳情が求める安保3文書の撤回を国に意見するよう求め、日本共産党練馬区議団を代表しての討論といたします。

 

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