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REPORT

2023年第3回定例会一般質問 のむら説(9月13日)

2023年 第3回定例会一般質問

2023年9月13日

日本共産党練馬区議団

のむら 説

 

 日本共産党・練馬区議団を代表して一般質問を行います。最初にマイナ保険証について聞きます。練馬区でも「7歳の孫が歯医者を受診したさい、マイナ保険証がカードリーダーに読みこまれず、窓口で10割負担を求められた」との事例も寄せられています。政府の中間報告によるとマイナ保険証に誤登録されていた事例が8441件あったことが明らかになりました。他人の保険情報をもとに診察、処方されれば命に関わります。区は政府に対して、いったん運用をやめるよう意見をあげるべきではないでしょうか。

 第1はマイナ保険証導入による混乱についてです。マイナ保険証を使った保険資格確認の義務付けに医療機関が従わなければ、保険医資格が取り消される恐れもあるため、約1割の医療機関が廃業を検討せざるを得なくなっているとも言われ、全国保険医団体連合会が裁判で争っています。区は医療機関から実態を聞き取り・把握し、取りまとめて政府にあげるべきです。また、本来マイナカードの取得は任意であるにもかかわらず、紙の保険証をなくすといって脅す政府のやり方に問題意識もないまま従うことが地方自治と呼べるでしょうか。区の見解を聞かせてください。

 くわえて、全国で交付が数千万枚にも及ぶとされる「資格確認書」について、政府はこれまで申請による更新が必要だとしてきましたが、世論の強い反対から「プッシュ型」による申請の要件緩和を検討中といいます。その場合でも、データのズレ等でカバーできない区民が無保険者になることは許されません。無保険者を出さないためにどう対策をとるのか。区の所見をうかがいます。

 重度障害者や認知機能が低下している高齢者への手続の負担についても聞きます。暗証番号の記憶やカードの管理、制度の理解にとぼしい社会的弱者に対して、政府は成年後見人の活用も想定しています。区内には現在、成年後見人の利用者が1346人おり、あらたに活用するさい月間2万円程度を本人負担させることになります。そしてそれが負担できなければ必要な医療を遠ざけることにもつながります。これについて区の所見をお聞かせください。

 第2は機器やシステム導入など多大なコストがかかり、小規模の医療機関ほど負荷がかかるという問題です。東京保険医協会によれば、場合により各診療所あたり約60万円を負担する事例も出てくるといい、区内医師の話によれば、区内でも廃業を余儀なくされた医療機関が少なくとも3カ所あったといいます。そんななか区内の地域医療に今後、どんな影響を及ぼすかについて区は独自にでも調査すべきではないでしょうか。区の所見を聞かせてください。

 第3は職員の負担増と情報漏洩の問題です。全国の市区町村長を対象にしたアンケートでは、9割がマイナカードに関する事務負担を重いと感じています。事務負担の増大は交付申請の拡大や個人情報の紐付けミスなどに起因し、「資格確認書」発行の事務負担を不安視する声も目立ったといいます。練馬区でも「プッシュ型」で送付すれば、職員負担が増えることは明らかです。これでは、政府がデジタル化に求める効率化・省力化にはならず、逆効果にもなります。現行の保険証と同じであれば今のままで問題ないのではないでしょうか。2点についてお答えください。

 6月に閣議決定したデジタル施策の重点計画では、マイナカードと一体化するものとして運転免許証や母子健康手帳等が列挙されました。わたしのもとにも、母子手帳の紐づけで体重や疾患などの情報流出に心配の声が寄せられました。ある区内の医療従事者からは「窓口の事務職員でさえもここまで個人情報を見られてしまうのは問題」との指摘もありました。部外者にも個人情報を見れてしまうのは問題だと考えますが、区の所見を聞かせてください。

 なぜ政府はこれほどまでに国民的議論を置き去りにし、拙速に進めようとするのでしょうか。マイナンバー事業を受注してきた企業が2014年からの8年間で、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に計5億8000万円も献金していました。そして、献金企業へは、内閣府などの幹部が多数天下りしていることも分かっています。

 そもそもマイナカードとそれへの紐づけは国民要求に基づいていません。現に噴出する国民世論に正面から向き合うならば、紙の保険証の廃止はやめるようしっかり政府に意見を上げるべきではないではないでしょうか。お答えください。

【鳥井区民部長】私から、マイナンバーカードの健康保険証利用についてお答えします。

 マイナンバーカードは、安全かつ確実に本人確認ができるデジタル社会の基盤となるものです。健康保険証との一体化により、区民自身の過去の健康・医療に関するデータに基づいたより適切な医療を受けていただくことが可能となるなど様々なメリットがあります。

 国は医療機関等が資格確認を行うための顔認証付きカードリーダーの設置を進めています。本年7月末現在、区内医療機関の90%が申請し、約77%で運用が開始されています。今後、順次拡大していくものと認識しており、区として医療機関等の調査を実施する考えはありません。引き続き、国民健康保険運営協議会等を通じて、医師会などからのご意見等を丁寧に伺い、円滑かつ安全な運用が行えるよう国に要望してまいります。

 次に、資格確認書の交付についてです、

 マイナンバー法等の改正により、令和6年秋に健康保険証は廃止されますが、国は、マイナンバーカードを取得していない方や保険証利用登録をしていない方に対して、健康保険の資格確認書を交付するとしています。マイナンバーカードの取得はこれまでと同様に任意であり、健康保険証の廃止をもって国が国民を脅しているとの指摘は当たりません。

 8月からは、医療機関等の窓口において、医療保険の切り替えなどで資格確認が出来ない場合でも、被保険者資格申立書を提出することで適切な自己負担分の支払いを可能とする対応が開始されています。区は、全ての被保険者が安心して確実に保険診療が受けられるよう、必要な方に対し適切に資格確認書の交付を行ってまいります。

 資格確認書の交付に係る事務については、有効期限の延長や職権による交付を可能とするなど、国において各保険者の業務実態を踏まえた制度設計の見直しが進められています。また、健康保険証との一体化により、現行と比較して交付枚数が大幅に削減するといった効果も期待できます。今後も国の動向を注視しながら、事務の効率化に取り組んでまいります。

 マイナンバーカードの申請や受取の際、重度の障害等で意思表示が示せない場合には、成年後見人等の法定代理人が手続きを行うことができます。区では、成年後見制度を利用している方のうち、生活保護受給者等成年後見人への報酬を支払うことが困難な場合には、報酬を助成しています。マイナンバーカードの窓口等において助成制度についてご案内するなど、関係部署と連携しながら、引き続き一人一人に寄り添った支援を実施してまいります。

 マイナンバーカードに紐づけられた住民税や年金等の個人情報は、マイナポータルを通じてマイナンバーカードの本人認証により暗証番号を入力したうえで、自らの情報を閲覧することが出来ます。今後も運転免許証などマイナンバーカードの利用範囲の拡大が見込まれていますが、医療機関等の窓口で健康保険証利用以外の情報を閲覧することはできません。また、民間事業者においても個人情報取扱事業者として、医療従事者以外の職員も含め、個人情報保護法等のルールに沿った個人情報の取扱いが適用されており、各医療機関等において適正な運用が図られているものと認識しています。

 引き続き、国の動向を注視しながら、健康保険証との一体化後も、必要な保険診療が適切に受けられるよう取り組んでまいります。国にマイナンバーカードの運用停止および健康保険証の廃止の撤回を求める考えはありません。私からは以上です。

 

 次に、トランスジェンダーの生きづらさについてです。先の国会でLGBT理解増進促進法が成立しました。しかし、法案審議では当事者の生きづらさや孤独、差別など命に関わるような問題であり、法整備の緊急性は明らかなのに、トイレなど女性スペースの問題ばかりが取りざたされ、本質と向き合わず、いったい誰のための法律なのかが厳しく問われるものとなりました。

 最大の問題は、第12条で「性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意する」などと第1条で示された法律の目的を180度転換し、マイノリティーに対してマジョリティの安全を脅かすことのないようにわきまえろと求めるような条文を追加されたことです。この条文を加える議論の中で女性スペースが脅かされるかのような議論が中心になっていたことからも明らかです。

 練馬区においても委員会の中で、ある議員から法律の成立により、性別を自由自在に自称した活動が可能になるとか、生来の性は男性であるのに、女性のお風呂や更衣室、トイレに入ろうとした際、警察を呼び確保されても、女性だと言い張れば裁けず逆に訴えられるなどの発言がありました。

 しかし、こうした発言や議論は、女性の安全がトランスジェンダーの方々の権利擁護によって脅かされるかのような発言であり、トランスジェンダーの生命や健康にとって極めて危険なものになりかねないと専門家からも指摘されています。

 そうした誤解あるいは意図的に問題をすり替え、差別を助長するような議論を正していくことが、緊急に求められているのではないでしょうか。根拠のない不安による国民の分断は排していく取り組みが重要だと考えますが、区の認識をお聞きします。

 まず大前提として、性的指向や性自認は自分の意思で変えることはできないということです。性的マイノリティーのうちカミングアウトをしている方は1割前後で、7~8割もの方は自分が性的マイノリティーだと気づかれないようひっそりと暮らしています。それは差別や偏見を恐れるからです。

 埼玉県の調査では、中学生のころに不快な冗談、からかいを受けたことの経験がある人が、性的マイノリティーで53.8%、それ以外で24.8%、暴力やいじめを含む場合も同様に2倍以上となっており、それは成人19歳以降で見ても同様の結果が出ています。レイプやセクハラなどの性被害についての調査でも女性あるいは男性を自認するトランスジェンダーはいずれも50%以上と他のマイノリティーと比べると性暴力の標的にされていることも明らかになっています。自殺未遂経験の比率も多数派の10倍となっており、実効性ある法整備は一刻を争う状況ではないでしょうか。区の認識を伺います。

 他の調査では、自分の性別に違和感を自覚し始めた時期は、小学校入学以前が58.6%、高学年までで8割に上り、性的指向については思春期以降だとされています。しかし、カミングアウトしたり相談することはそうした子ども達にとって難しく、他人に相談した人は僅か7.7%に過ぎません。自覚があっても高校生まで誰にも相談できず、まさに孤独、孤立状態にあります。

 当事者にとって、親からの差別や偏見こそが一番の悩みであるといいますが、「親にカミングアウトしたところ、家族の中で、自分の存在を無視され、死んだものと扱われた」などの事例もあり、親にも相談はできません。親から嫌われたり、家から追い出されることがないように息をひそめて生活していることが少なからずあり、家庭も安心できる場所になっていません。

 このようなトランスジェンダーが置かれた厳しい状況を踏まえると増進法6条の、教育を行う上で家庭に協力をしてもらって進めるというのは、実態を踏まえているとはと ても言えません。

 子どもの生活の基本は学校と家の往復です。家庭で理解されない場合、受け入れてくれる学校の先生が1人でも見つかるかどうかが重要であり、授業内容や取り組みからその人がトランスジェンダーに理解があるか見極めなければなりません。

 こうしたことを踏まえれば、教員への理解を深める研修を強化するとともに、子どもたちへの性教育を含め、理解を深め、トランスジェンダーの生きづらさを軽減するための教育は欠かせないと考えますが、区の見解をお聞きします。

 増進法10条では、知識の着実な普及等のところで、民間団体等の自発的な活動の促進という文言が修正によってわざわざ削除されましたが、当事者にとって障がいや生活困窮等に関する行政サービスは、窓口等の対応に不安や困難があり、利用できないと調査などでも明らかなように、民間団体等がつなぎ役として意向の聴取やニーズの把握などを行っている事例が多数あります。そうしたことだけを見ても増進法がいかに実態を見ないものになっているかは明らかではないでしょうか。

 区として、LGBT理解増進促進法の撤回と、差別に苦しむ当事者の声をよく聞き、実効ある法整備を求めるべきです。答弁を求めます。

【中田総務部長】私から、性的少数者に関するご質問についてお答えします。

 性的少数者の方々は、周囲の誤解や偏見、無理解により、様々な困難に遭遇することがあります。区では、性のあり方には様々な形があることを広く区民に周知し、理解増進のための啓発を進めることが重要であると考えています。

 区は、昨年4月に発行した男女共同参画情報紙MOVE中学生向け特集号や新成人向け小冊子「自分らしくGO!」で、LGBTの当事者が身近な存在であることや正しい知識を持つことの必要性などについて啓発しています。また、当事者を講師に招いた人権セミナーやLGBTパネル展を実施しています。引き続き、性的少数者への理解増進につながるよう、事業内容を工夫し啓発事業を実施してまいります。

教員への研修については、生活指導担当者連絡会や、各校の人権教育担当教員および中堅教員を対象に行う人権教育研修会において、性的少数者の人権問題を取り上げ、個々の児童生徒への配慮などについて伝えています。

 児童生徒には、人権教育や道徳教育等を通して、他人の人権についても正しく理解し、互いの人権を尊重し合うことや、自分と他人のよさを認め合えるよう、各校において啓発しています。

 LGBT理解増進法は、性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解を増進するため、本年6月に公布、施行されています。同法では、国が施策に関する基本計画および指針を策定し、地方公共団体は、地域の実情を踏まえた施策を策定し、実施するよう努めることが規定されています。

 今後、国から示される基本計画や指針を踏まえ、必要な取組を検討してまいります。国に見直しを求める考えはありません。私からは以上です。

 

 次にヤングケアラーへの支援について伺います。練馬区が昨年行った「ヤングケアラー実態調査」では、家族の世話の時間や頻度を分析した結果、小学6年生で88人・1.6%、中学2年生は64人・1.5%の児童・生徒がヤングケアラーの可能性の高いことが明らかになりました。この調査の結果もうけて、区は子ども相談アプリ「ねりまホッとアプリ+(プラス)」の導入、ヤングケアラーチェックシートなどの活用、子ども家庭支援センターの専門職やスクールソーシャルワーカーの増員など支援体制の強化に取り組んでいます。

 ヤングケアラー支援を難しくする要因の一つとして、「支援が必要な状況であること」を子ども自身が言えない、あるいは認識できないことが多い点が挙げられます。これは、ヤングケアラーという言葉の認知が社会的に進んでいないことや、幼い頃から家事などをしていて、それが当たり前となっているためです。そうした中で、練馬区では子ども達に一番身近な教職員に向けたリーフレットの作成や研修などを行っています。同時に、子ども達がより相談をしやすくするためにはヤングケアラーについての理解を深める必要もあると考えます。埼玉県はヤングケアラーの理解を深めるためハンドブック「ヤングケアラーってなに」を作成し、小学4年生から高校3年生までの全ての児童生徒と教員に配布しています。こうした例も参考に練馬区でもリーフレットを児童・生徒の成長段階に合わせて作成し、配布することを求めます。区の考えを伺います。

 ヤングケアラーに係る問題は、家族が抱える様々な課題が関係し合い、複合化しやすいという特徴があり、ヤングケアラーとその家族を支えるためには、児童・高齢者・障がい者など各福祉分野や教育分野や地域の支援団体など多様な関係者の協力が不可欠です。支援体制の強化のために「ヤングケアラーコーディネーター」を配置する自治体が増えています。これは、家庭の状況に応じ、適切なサービスにつなげられるよう関係機関・団体等と連携して相談・支援を行うと共に、関係機関への研修や地域の支援団体との連携を図るなど、ヤングケアラーと思われる子どもに気づいてから支援へのつなぎにおいて核の役割を担っています。練馬区においても更なる支援体制の強化のために、ヤングケアラーコーディネーターを配置すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 区の行った実態調査では、児童・生徒が行っている家族のお世話の内容として「家事」「見守り」「話し相手」が多い結果となっています。

 こうした中で、ヤングケアラーを直接支援するサービスを始める自治体が生まれています。群馬県高崎市では、昨年度から中学生と高校生のヤングケアラーがいる家庭に民間のヘルパー2人を1日2時間、週2日まで無料で派遣しています。都内でも港区が8月よりヤングケアラーがいる家庭を対象に1日当たり最長3時間、週3日以内で家事や兄弟姉妹の世話、家族の介助および見守りを行う訪問支援や定期的に弁当を配達する配食支援を始めると報じられました。

 練馬区でも家族や兄弟などの世話や掃除・料理など家事を行うなどのヘルパー派遣事業を実施するべきです。区の考えを伺います。

【三浦教育振興部長】私から教育に関するご質問について、お答えします。

 はじめに、ヤングケアラーへの支援についてです。

 本来大人が担うべき家族の看護・介護や家事等を日常的に行っているヤングケアラーは、顕在化しにくい状況にあり、早期に発見し適切な支援につなげるための取組が必要です。

 学校が全児童生徒を対象に年3回行っている「ふれあい調査アンケート」実施の際に、国が作成した資料をもとにヤングケアラーについて児童・生徒に説明しています。困りごとがあると回答した場合は、一人ひとりに担任が聞き取りを行っています。

 現時点では、ヤングケアラーの理解を深めるリーフレットの作成予定はありません。

 昨年度から、ヤングケアラーを理解し、早期に発見するためのスキル向上研修を、小中学校の教職員、児童館職員や、介護事業所など、子育てや福祉に関わる職員を対象に実施しています。研修の一部は、オンラインでも実施しており、引き続き多くの関係者が受講できるよう工夫してまいります。

 昨年実施した実態調査では、子供がSOSを発しづらい状況にあること、教員が家庭の問題にアプローチすることの難しさを感じていることが明らかになりました。

 そこで、今年度、子供がいつでも相談やSOSを発信できる「ねりまホットアプリプラス」を新たに導入し、全児童・生徒に配布したタブレットから利用できるようにするとともに、二次元コードを掲載した周知カードを配布しています。また、スクールソーシャルワーカーを増員し、子供への個別支援や学校・教員と連携したサポート体制を強化するとともに、「ヤングケアラーチェックシート」を作成し、学校内で情報共有を行い関係機関が円滑に連携できるようにしています。

 ヤングケアラーが抱える課題は多様であり、子供や家庭の状況に即した支援を行う必要があります。子ども家庭支援センターでは、チェックシート等により把握した子供の状況を踏まえ、必要に応じて、情報共有と支援の調整を図り、支援方針を決定します。

 子供が担っているケアの負担を軽減するため、介護保険法や障害者総合支援法に基づくホームヘルプやショートステイのほか、学習支援・居場所事業、区に登録した民間事業者による見守り配食の利用など、一人一人に応じたきめ細やかな支援につなげます。

 今後、ヤングケアラーコーディネーターの設置も含め、各分野が連携した相談支援体制の充実を検討し、個々の状況に合わせ、福祉・教育・子育て等の関係者が連携してヤングケアラー支援を進めてまいります。

 

 次に教員の働き方について伺います。教員不足が大きな問題になっています。教員は本来やりがいがあり、身分も安定しています。にもかかわらず、教員不足が是正されない最大の要因は、長時間労働が改善されないからです。

 文科省は2016年度の教員勤務実態調査で、持ち帰り残業を含めた平均勤務時間が小中学校とも1日12時間近くに上り、持ち帰りを含めない学内勤務だけで中学校教員の6割、小学校教員の3割が過労死ラインを超えていたことを受け、中教審に教員の働き方改革に向けた特別部会を設置し対策に乗り出しました。

 しかし、答申では、教職員定数の改善や少人数学級の実現、1人の教員が受け持つ授業数の削減といった予算を伴う施策は先送りされ、月給の4%を「教職調整額」として支給する代わりに残業代を支払わない給特法もそのままにされ、働き方改革は個々の教員の「意識改革」や業務の「適正化」に限定されました。

 その結果、4月に公表された2022年度の教員勤務実態調査速報値では、前回調査と比べて在校時間は小・中学校とも約30分の微減にとどまり、学校現場では勤務時間縮減の様々な努力がされている一方で、文科省による小手先の「働き方改革」の限界が表れた結果と言えるのではないでしょうか。

 練馬区では、2019年に「練馬区立学校(園)における教員の働き方改革推進プラン」を策定し、校務業務の改善や教員の意識改革の推進、働き方改革に関する環境整備などに取り組んできました。しかし、区立学校での教員の時間外在校時間を見ると、文科省が残業時間の上限の目安としている月45時間以内となっているのは令和3年6月で小学校37.9%、中学校33.7%となっていて6割超の教員が文科省の目安を上回る残業をしていて、さらに過労死ラインの月80時間超の在校時間が小学校で15%、中学校で26.8%となっていて依然として教員の多忙化は深刻です。区はサポート人材の活用推進や校務・業務の改善に更に取り組むとしていますが、教員の長時間労働を是正するためには、教員一人当たりの持ち授業時間数を削減できるよう教職員定数を改善することが不可欠と考えますが、区の考えを伺います。

 政府が6月に発表した「骨太の方針」の原案では、学校の教員不足を解消するため、今後3年間を「集中改革期間」と位置づけることとし、「教職調整額」の引上げや新たな手当の創設など打ち出す一方で、長時間労働の要因の一つとなっている、給特法による残業代不支給制度の見直しには言及していません。しかし、長年にわたって続けられた「残業代不支給」こそが長時間労働が蔓延する温床になってきました。国へ給特法を廃止し残業代不支給制度を廃止するよう強く求めるべきです。お答えください。

 区は、一人の教員がもつ週あたりの担当授業数を引き下げ、教員を増員するなど、既に拡充を国や都に要望しているとのことですが、区独自にできることもあるはずです。

 武蔵野市では独自に非常勤講師を配置する「市講師」制度を導入することで、小学校教員の1週間の持ちコマ数を高学年20コマ、中学年21コマ、低学年22コマに抑える取組を進めています。教員一人当たりの授業時間数を引き下げるために引き続き教職員定数を増やすよう引き続き、国や都に求めると共に武蔵野市の例も参考に区独自に手立てを取るべきです。また、学校徴収金の徴収・管理は教育委員会で行うなど文科省が示している「学校・教師が担う業務に係る3分類」を徹底し、授業準備や不登校対策、ヤングケアラー支援など子どもたちに直接かかわる仕事に教員が専念できるように業務を抜本的に削減することを求めます。2点お答えください。

【三浦教育振興部長】次に教員の働き方改革についてです。

 教員の定数については義務教育標準法に基づいており、区独自に増やす考えはありませんが、教員の負担軽減を図るために、教員一人の週あたりの担当授業数引き下げや教員の増員など、特別区教育長会を通じて、既に国や都に要望しています。

 教員の給与については、教員給与特別措置法により時間外勤務手当を支給しない代わりに、月額給与の4%相当が教職調整額として支給されています。現在、国は有識者会議を設置し、給特法の改正や、教員が担うべき仕事の明確化など、教員の処遇改善を図るための検討を進めています。

 今後も国の検討状況を注視してまいります。

 業務の軽減については、平成30年度に、練馬区立学校における教員の働き方改革推進プランを策定し、スクールサポートスタッフや学校生活支援員、部活動指導員等のサポート人材を配置し、教員の負担軽減に取り組んできました。

 平成31年4月には、学校徴収金管理システムを導入しました。これにより、従来、手作業で行っていた給食費と教材費等の保護者からの集金や事業者等への支払いをパソコン操作で行えるようになったことに加え、複数の管理帳票も簡単に作成できるようになりました。加えて、膨大な量になる新入生の口座振替依頼書のデータ入力の委託化などにより大幅な事務の効率化と迅速化が図られました。システム導入によりすでに負担軽減に大きく寄与しているものと認識しています。

 引き続き、現場の意見を踏まえた業務改善やサポート人材の配置を拡大することにより、教員が子供と向き合う時間の確保に努めてまいります。以上です。

 

 次に環境施策についてお聞きします。第1に地球温暖化・気候危機対策についてうかがいます。今年の夏、東京では年間の猛暑日日数の最多記録を更新し、昨年以上の危険な暑さとなりました。国連のグテレス事務総長が、地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と発言したように、いよいよ人類存亡にかかわる問題となっています。

 このまま気候危機が進行すれば、暴風雨の巨大化、海面上昇など暮らしに重大な影響を与えます。特に被害を受けるのは、小さな島しょ国や発展途上国です。大量の温室効果ガスを出してきた先進国の責任は重大であり、日本にも大幅削減を進める責任があることはいうまでもありません。

 区の環境基本計画2023素案は、国の目標に合わせて2030年度までにCO2排出を2013年度比46%削減としていますが、これでは気温上昇を1.5度以内に抑えられません。一方、東京都は2030年までに、2000年比50%削減としています。より高い都の目標と整合をはかり、その実現へ取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 計画では区立施設の新築・改築時に一次エネルギー消費量を30~50%減らすとしています。改修時は、照明設備のLED化や再エネ設備を導入するとしていますが、すでに改築や大規模改修しているところもあり、また公共施設は長寿命化するのが区の方針です。2030年を見据え、より進展させるには大規模改修時も含めエネルギー消費量を30~50%削減する方針にするべきではないでしょうか。お聞きします。 

 また都は2030年までに都有施設においてエネルギー消費量を50%削減、再エネ100%化、太陽光発電設置量2万Kw等の目標を掲げています。区もそうした目標を持って取り組むべきではないですか。いかがでしょうか。

 都の地産地消型再エネ増強プロジェクトでは、区市町村も補助対象にしています。これに限らず、利用できる補助を活用して、各区立施設に太陽光パネル等、再エネ導入を進めること、特に小中学校で都のZEB化の手引きも活用して推進するよう求めます。区の考えをお聞きします。

 小中学校の教室に整備されたエアコンは導入してから13~15年たち、現在はメンテナンスを中心にしていますが、この間エアコンの省エネ性能も進化しています。

 経費がかかりますが、20年という耐用年数を待たず、より高効率機種への更新を行うことで省エネを推進することも重要ではないでしょうか。またそのための補助拡充を都に求めるべきです。2点、お聞きします。

 また環境審議会に出された環境基本計画素案の資料では拡大生産者責任について、『リチウムイオン電池などについて、拡大生産者責任を徹底する制度を国に要望していく』との記載がありましたが、素案には記載がありません。リチウムイオン電池のほか、プラスチックも含めて拡大生産者責任を徹底する制度を国に求めることを計画に明記するよう求めます。答弁を求めます。

 第2に、有機フッ素化合物PFAS汚染についてお聞きします。PFASによる水質汚染の被害が、多摩地域をはじめ都内で広がっていることが明らかになっています。PFASは人体や環境への残留性が高く、腎臓がん発症や胎児・乳児の成長阻害、出生率の低下、抗体反応の低下などの健康リスクがあるとされ、国際的に規制が進んでいます。

 米軍横田基地で、2010~12年にPFASを含む泡消火剤の漏出事故が3件あり、うち1件は3000リットルも漏出していました。さらに2020年にも3件の漏出を起こしています。多摩地域の住人が650人分の血液検査をしたところ、最高値124・5ナノ㌘など、横田基地周辺の住民から高濃度のPFASが検出されており、汚染源は米軍基地の可能性が濃厚です。2021年環境省水質調査で、PFASの調査を行いました。都内15区20市1町でアメリカ環境保護庁の規制値1㍑あたり4ナノグラムを上回り、練馬区では89ナノグラムと国の暫定指針値である50ナノグラムも超えて汚染度が高く、区民の健康リスクの見地から見過ごせません。区はこの状況をどう受け止めているでしょうか。お聞きします

 PFASは「永遠の化学物質」と言われ、一度汚染されればその影響は長く残り続けるといいます。将来にわたる影響を避けるためにも、希望する都民・区民が血中濃度の検査を受けられるよう人や機材など検査体制の整備を都に求めること、区として限定的でも区民の血液検査を行うこと、2点について区の考えをお聞きします。

 また、飲料水にも使う22か所の防災井戸、生活用水として使う102か所ある学校防災井戸も汚染の可能性があります。水質調査が必要ではありませんか。また、農産物にPFASの影響がないかどうかは、23区でもっとも多くの農地を持つ練馬区にとって大事な問題です。農産物等への影響を明らかにするとともに、対策を講じるよう国や都に求めることも重要ではないでしょうか。2点、お答えください。

 PFAS汚染源が米軍基地であることはほぼ確実であり、米軍基地への立ち入り調査を行うことや、PFASの人体への影響や疾病との因果関係を科学的に明らかにし、血中濃度などの基準値を定め、PFAS規制の強化を国に要望していただきたい。2点、答弁を求めます。以上で日本共産党・練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【前川燿男区長】お答えします。環境施策についてです。

地球温暖化とこれに伴う気候変動により、我が国においても、毎年の様に、各地で記録的な集中豪雨による自然災害が頻発し、台風も大型化する傾向にあります。

練馬区は、現行の環境基本計画に、エネルギービジョンと環境管理実行計画を組み入れ、脱炭素社会実現に向けた施策を総合的に体系化した「環境基本計画2023」を策定し、温室効果ガス削減目標を26%から46%削減に見直します。

 住宅都市練馬区では、二酸化炭素の5割以上が家庭から排出されており、区民一人ひとりの行動が大きな意味をもちます。住宅等の消費エネルギー削減、環境に配慮したライフスタイルの推進、区内最大の事業者である区の率先行動を軸に、区民・事業者と協働して、一歩一歩脱炭素を推進してまいります。

私からは以上です。その他の質問につきましては、関係部長から答弁いたします。

【小暮環境部長】私から、環境施策についてお答えします。

 はじめに、温室効果ガス削減目標についてです。2030年度までにCO2を2013年度比で46%削減する環境基本計画(素案)の目標は、日本が国連気候変動枠組条約事務局に提出した国際公約と整合するものです。区は、この目標の達成を目指すとともに、2050年のゼロカーボンシティ実現に向けて取り組んでまいります。

 つぎに区立施設等の省エネ化についてです。

 区は、「環境管理実行計画」に基づき、自らの事務事業や施設運営に伴うCO2排出量を削減する取組を進めています。区立施設の新設、改築等の際には、環境配慮手順書に基づいて省エネ化と再エネ導入に取り組み、これまでに基準となる2013年度比で17.6%の排出量削減を達成しています。

 今後は、環境基本計画2023(素案)に示したとおり、新築・改築する区立施設は、建物の用途や特性等を踏まえて、原則として一次エネルギー消費量を30%~50%以上削減することを目指してまいります。大規模改修は、建物の規模や工事内容など個々に条件が異なるため、一律の削減目標は定めず、建物に応じた省エネ化、再エネ導入によってエネルギー消費量の削減を図ります。

 区は、すでに28施設で合計約500kwの太陽光発電設備を導入しており、区立小・中学校の改築の際には、国の補助を活用し、太陽光発電設備や蓄電池の設置に取り組んでいます。引き続き再エネ設備の設置を進めてまいります。発電設備等を第三者が所有するPPAについても、5年度にモデル事業に着手し検証を行った後、本格導入を目指します。

 こうした取組を総合的に推進することで、2030年度に区立施設等から排出するCO2についても46%削減する目標の達成を目指します。エネルギー消費量削減率、再エネ導入率、太陽光発電設置量についての目標を定める考えはありません。

 区立小・中学校の空調などの機械設備は、20年を目途に更新を行うことを原則としていますが、耐用年数、省エネ性能の向上、効率性、コストなどを勘案して、機種や更新時期を判断します。一律に空調機の更新時期を前倒しする予定はありません。必要に応じて都に補助拡充を求めてまいります。

 つぎに、拡大生産者責任についてです。

 プラスチックの資源化については、国に対して、拡大生産者責任の原則に基づく事業者責任の明確化、プラスチック資源循環法における国の責任の明確化および財政支援など国の役割を果たすことを、特別区長会を通じて求めています。全てのプラスチックをリサイクルするためには、処理施設などリサイクルルートの確保と事業者による応分の費用負担が課題となっています。8月30日に開催した環境審議会で「拡大生産者責任」の文言を示すよう求める意見があり、環境基本計画2023(案)に追記する方針です。

 つぎに有機フッ素化合物PFASについてです。PFASは、約4700種以上ある有機フッ素化合物の総称です。このうちPFOS、PFOAは、消火剤などの用途で使用されてきました。いずれも現在は、製造・輸入等が原則禁止されています。

 区内の地下水は、毎年2か所ずつ、東京都が測定地点を変えて調査を行っており、平成23年度と24年度に各1地点で、PFASの暫定目標値を超える数値が検出されました。当該地点では、毎年継続監視を行っており、数値は徐々に低下しています。

 本年5月に都知事が環境大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣に対して要望書を提出し、PFASに係る健康や環境に関する評価を明らかにし、広く国民に示すこと、早期の測定方法の確立や、地下水の濃度低減に向けた措置などを示すこと、農畜産物などへの影響を明らかにし、対策を速やかに検討することを求めています。

 環境省は、本年7月にPFASに関するQ&Aの中で、国内においてPFOS、PFOAの摂取が主たる要因として人の健康被害が発生したという事例は確認されていないこと、暫定目標値の取り扱いについて最新の科学的見地に基づき検討を進めていること等を示しました。

 環境省が設置した、「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」および「PFOS、PFOAに係る水質の目標値等を検討する専門家会議」は、厚生労働省の「水質基準逐次改正検討会」と連携して、PFASによる健康への影響や科学的根拠に基づいた対応等について検討を開始しています。現在のところ、どの程度の血中濃度でどのような健康への影響が生じるかについて明らかとなっていません。また血液検査の必要性も示されていないことから、都への要望や区による実施は考えていません。

 区は都が開設したPFASに関する相談窓口の周知と、国や都から提供される正確な情報発信につとめてまいります。

 つぎに防災井戸の水質検査についてです。

 区は、22か所の防災井戸について、国が定める水質検査を毎年行っていますが、PFASに関連する内容は、飲用井戸向けの検査項目に含まれていません。今後、国や都の動向を注視しながら、適切に対応してまいります。

 横田基地については、本年7月、都知事および基地周辺自治体の長が防衛大臣あてに、国の責任において基地内のPFAS漏出に係る地下水の影響について調査、分析、評価を行い、その結果を公表する等必要な対応を行うこと等を要請しています。区として、国へ要望することは考えておりません。私からは以上です。

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