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2023年 第3回定例会一般質問 島田拓(9月12日)

2023年 第3回定例会一般質問

2023年9月12日

日本共産党練馬区議団

島田 拓

 

 日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。まず区長の基本姿勢として物価高対策とインボイス制度についてお聞きします。

 帝国データバンクの調査では、今年の食品の値上げは3万品目を超え、2024年も値上げは続くと予想されています。商工リサーチによると、2023年上半期の全国企業倒産件数は、前年同期比32%増の4,042件となり、3年ぶりに4,000件を超えました。物価高での倒産も、前年同期の90件から233.3%増の300件に急増しています。実質無利子・無担保のゼロゼロ融資の返済が今年7月から来年4月に本格化するため、今後さらに倒産企業が急増する危険性が高まっています。

 練馬区内の中小企業の4~6月期の景況は、製造業以外は上昇しており、全業種総合でも前期より10ポイント上昇しているものの、来期の先行きは下降傾向に転じると予測されています。

 区は、事業者への継続的な支援として、新型コロナ対応借換え特別貸付を9月末まで、緊急経営支援特別貸付を今年度末まで延長しますが、コロナ禍、物価高に苦しむ事業者にとって、業績が回復しないもとでは、返済不能に陥るところもあるのではないでしょうか。

 品川区では既存設備の省エネ化が図れる、設備更新のための経費の5分の4、最大80万円を助成する事業を、清瀬市では水道光熱費と燃料費に要した経費の20%、上限20万円の給付支援事業を行っています。

 事業所実態調査でも区への要望として、区内事業者だけを対象とした給付金や事業継続支援金、設備の老朽化への支援など、直接的な支援が挙げられており、私たちのもとには水道代が高くて、補助して欲しいという声も寄せられています。練馬区でもそうした声に応える施策に取り組むべきではないでしょうか。見解を伺います。 

 また、区内事業者への優先的な発注による地域経済対策も必要です。練馬区が行う入札では、工事・建築については、区内事業者優先発注基準をもうけていますが、物品購入、委託、設計、測量については基準がありません。そのため区外事業者が入札に参加しやすく、ダンピングや区内事業者育成の阻害、品質の低下などの問題があるとの指摘もあります。杉並区では2021年度から入札における区内事業者の受注枠を、委託は予定価格4千万円未満、物品購入は予定価格3千万円未満に引き上げています。とくに物価高という緊急事態の中で、練馬区でもこうした取り組みを行って、区内事業者の受注確保の機会を広げる対策を取っていただきたい。いかがですか。

 物価高が暮らしと営業を深刻にしているもと、10月1日からのインボイス制度の実施が迫っています。さまざまな業界の人たちが「インボイス制度はストップ!」の声を上げ、全国各地で中止を求める動きが起きています。区内在住アニメーターは「仕事が減ってもやっていきたいが、インボイスによって収入の1割を持っていかれるのは痛い」と語っています。

 今までは消費税の納税額から、仕入れにかかった消費税分を差し引くことができましたが、インボイスの導入によって、登録した課税業者からの仕入れ分しか差し引くことができなくなります。その結果、売上1千万円以下の免税事業者は新たに課税事業者になるか、取引先からの値引きや排除を迫られることになります。課税事業者も納税額の増加や煩雑な事務作業が発生するなど、誰も得をしない制度です。

 そもそも消費税を、消費者からの「預り金」と誤解し、免税業者はその預かり金をネコババしていると勘違いしている人が少なくありませんが、そうでないことは、裁判でも証明されています。

 政府はインボイスに登録して、新たに消費税を課税される事業者が増えると見込んで、約2,480億円の税収増になるとしていますが、実際には最低でも1兆円の増税になると専門家は指摘しています。もはや税率を変えない消費税増税です。物価高で大変なときにいっそうの負担を強いることは許されません。政府はインボイス制度に関し、負担軽減措置を取るとしていますが、3年間の時限措置に過ぎず、問題の解決にはなりません。

 まずはインボイス制度を導入した場合、事業者の取引への影響を検証すべきです。いかがですか。

 また、区として、中小企業や個人事業主、フリーランスなどの区内事業者を潰さない立場に立ち、インボイス制度の中止・延期を国に求めるべきです。そして、物価を大幅に引き下げる効果のある、消費税減税を国に求めていただきたい。2点答弁を求めます。

【前川燿男区長】お答え致します。物価上昇への対応についてです。

急激な物価上昇が、区民の生活や事業者の活動に大きな影響を与えています。

経済の大きな変動への対応は国が責任を持って行うべきことですが、区は、区民生活の安定を守るために、国や東京都が実施する対策を基本としながら、物価上昇の影響を緩和するため独自の支援に取り組んでいます。

本定例会においても、区独自に実施している学校給食への食材料費補助、教育・子育て施設や介護・障害者児サービス事業所に対する光熱費等補助、事業者の資金繰りを支援する緊急経営支援特別貸付の延長など物価上昇の影響を緩和するための緊急的な対応、景気対策工事・物品購入など区内中小企業への支援等について、今年度三度目となる補正予算案の編成作業を進めています。近くご提案する予定です。

引き続き、国の経済対策の動向や区内経済の状況などを注視しながら、区民生活を支える上で必要な施策を実行してまいります。

私からは以上です。その他の質問につきましては、関係部長が答弁します。

【中田総務部長】次に、区内事業者への優先発注についてです。

 区は、区内事業者の育成や担い手確保等の観点から、建築工事は、予定価格5億円未満、その他工事は1億5千万円未満のものについて、原則として、入札参加資格を区内事業者に限定し、区内事業者への優先発注に取り組んでいます。物品購入や業務委託等についても、区内事業者を優先的に指名して入札を行っています。設計など、区内に受注可能な事業者が少ない場合には、区外事業者を指名の対象としています。

 引き続き、区内事業者の育成や公正な競争性の担保といった観点を踏まえながら、区内事業者の優先発注に取り組んでいきます。私からは、以上です。

【生方産業経済部長】私から、事業者支援およびインボイス制度についてお答えいたします。

 物価上昇等による経済への影響が長期化するなか、事業者への継続的な支援が必要です。

 国は、原油価格高騰などにより影響を受ける事業者を支援するため、特別相談窓口を設置するとともに、小規模事業者持続化補助金などを実施しています。都においても、原油価格高騰等対策支援事業や経営基盤安定化緊急対策事業として、専門家の派遣や助成金による緊急対策を実施しています。

 区は、運営に影響の出ている介護・保育等の施設経営を支援する区独自の施設等運営支援臨時給付金を支給するとともに、経営の厳しい区内公衆浴場を支援するため、今年度から燃料費助成金を増額しています。加えて、事業者の資金繰りを支援する緊急経営支援特別貸付の延長など物価上昇の影響を緩和するための緊急的な対応、景気対策工事・物品購入など区内中小企業への支援を行う予定です。

 また、練馬ビジネスサポートセンターでは、今年度から相談チームを新設し、総合相談体制を強化するため、中小企業診断士を増員しています。区内事業者の経営に関する様々な相談に応じるとともに、国や都が実施している支援制度も紹介しています。

 引き続き、関係機関と連携し、事業者支援に努めてまいります。

 次に、インボイス制度についてです。

 消費税の複数税率に対応するため、仕入税額控除の方式として、インボイス制度が来月から導入されます。

 国は、制度の導入にあたり、免税事業者がインボイス発行事業者を選択した場合の納税額軽減措置や、課税売上が一定(額)以下の事業者への事務負担の軽減措置など、免税事業者等への配慮や負担軽減を図っています。加えて、小規模事業者が不当な取扱いを受けないよう、独占禁止法等に基づく調査の実施や相談対応等も行うものとしています。

 国は、こうした様々な措置を講じるとともに、今後、閣僚級の推進会議を立ち上げ、制度の実施状況や課題を把握することとしています。区は、インボイス制度の検証や、国に制度の中止、延期を求める考えはありません。

 今後増加が見込まれる社会保障費の財源を確保するためには、消費税は不可欠です。国に消費税の税率引下げを求める考えはありません。私からは以上です。

 

 次に、区の歴史認識についてお聞きします。

 今年は戦後78年です。この間、日本の植民地支配がなかったかのような論調が多く散見され、私たちは危機感を感じています。

 練馬区議会でも、この間、自民党の議員から、質疑の中で、「韓国や台湾への植民地支配はなかった」旨の発言がありました。これに対し、区は、答弁の中で「植民地として支配していた」という文言を訂正しました。区は、訂正した理由について、より史実を正確にするためと説明しています。しかし、これでは区自身が「植民地支配はなかった」ということを容認することになるのではないでしょうか。

 もともと日本政府の公式な見解は、村山談話の中で、日本が「国策を誤り」「植民地支配と侵略」によって多大な損害と苦痛を与えたことを認め、「痛切な反省」と「心からのお詫び」を表明しています。さらにその立場は岸田政権のもとでも引き継がれていることは、この間の政府による質問主意書の答弁の中でも明らかになっています。区は植民地支配と侵略を認めた国の見解を認めないということなのか、明確にお答えください。

 質疑の中では、さらに韓国を「独立国として近代化させようとした」「欧米型の収奪型の植民地支配はしてない」「略奪や強姦、殺人もあったが、政府が組織的計画的に指示したものではない」「村山談話の中の従軍慰安婦の論拠も崩れ去った」などと歴史の改ざんと植民地支配を正当化する発言まで飛び出しました。しかし、これは支配者側の理屈であって、事実とは異なります。

 例えば、「独立国として近代化させようとした」との見解が正しくないことは、韓国併合に関する条約を見れば明らかです。条約では、第一条で「韓国皇帝陛下は韓国全部に関する一切の統治権を完全且永久に日本国皇帝陛下に譲与す」として永久に主権を奪うことを宣言しています。ここには「独立国として近代化」と言った言葉が入る余地はありません。

 「欧米型の収奪型ではない」という点についてはどうでしょうか。日本の朝鮮統治機関である朝鮮総督府が、朝鮮において土地調査事業を行い、日本国家や地主らによる土地の略奪、地税の収奪などを保証しました。さらに産米増殖計画をつくり、朝鮮を日本の食料基地として、米の輸出を増加させ、朝鮮人の一人当たりの米の消費量を低下させました。これにより朝鮮の人たちは飢餓状態に陥ったとされています。

 「略奪や強姦、殺人もあったが、政府が組織的計画的に指示したものではない」という点についてはどうでしょうか。1906~11年にかけて、朝鮮の植民地支配に反対する反日義兵闘争が起こり、これに対する日本の弾圧によって4万人に上る方々が犠牲となったといわれています。まさに政府の組織的な指示のもと多くの朝鮮人が殺害されたのです。

 従軍慰安婦についても、軍が慰安所の設置を推進していたことを示す様々な文書が残されています。集められた女性の中には未成年者も含まれていて、これは当時の国際法規から見ても明らかな違法行為でした。慰安所における女性の外出や居住の自由は認められず、やめることも許されないなど、いわゆる公娼制度とは全く異なるものです。こうした事実を直視すれば、従軍慰安婦の論拠が崩れ去ったなどとはとても言えるはずがありません。

 こうした歴史を改ざんする発言は、日本の植民地政策により亡くなられた方々を2度、3度と殺めて(あやめて)いることに等しい行為であり、奪われた命や傷つけられた人たちへの冒とくであると言わなければなりません。区はこうした発言に対して一言も反論しないどころか、「答える立場にない」と明言を避けています。これでは歴史の改ざんを容認していると思われても仕方がないではありませんか。いかがですか。

 それを払しょくするというのなら、区として歴史の改ざん・修正する議論に対して断固反対の意思を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。

【中田総務部長】私から、歴史認識についてお答えします。

 七月十八日の企画総務委員会での選挙管理委員会事務局長の発言は、歴史認識について説明・見解を述べる立場にないにも関わらず、当初の説明が歴史認識に関連すると受け止められる表現を使用したことから訂正を行ったものです。

 八月二十九日の委員会での同事務局長の発言は、七月十八日の委員会において、特別永住者に関して法令上の定義と異なる説明を行ったことについて、訂正したものです。

 先の大戦に対する歴史認識については、政府の責任の下で示されており、区が説明・見解を申し上げる立場にはありません。また、委員会での歴史認識に関する各委員の発言について、区は申し上げる立場にはありません。

 

 次に待機児童についてお聞きします。

 1つ目は保育園についてです。区は9年間で、8,500人以上の保育の定員増を実現したとして、今年度3年連続保育所待機児童ゼロの達成を発表しました。

 区が保護者や区民の声に応え、これまで認可保育所を中心に整備してきたことは一定評価できるものです。しかし、実態は保育の必要性が認定され、認可園等を希望しながら410人もの子どもたちが入所できていません。

 そのうち、自宅から概ね半径2km圏内に保育所の空きがあるのに、何らかの理由で、その保育所の利用を希望しない人の数を指す「特定園のみ希望」者は今年225人となりました。減少傾向とはいえ毎年200~300人程度出ています。その理由の中には、きょうだいで同じ保育所に入りたい、2km圏内に空きがあるといわれても、もっと近くの園を希望したいなど、利用者のニーズに合ってないということがあると思われます。 

 区は、こうした人たちの事情をまず把握するべきではないでしょうか。そして、それに基づいて、例えば、きょうだいで同じ保育園を希望する場合は加点するなど、「特定園のみ希望」の人たちの数を抜本的に減らすための取り組みを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。2点お答えください。

 今年度、新設の認可園を9園整備し、定員変更を行うなど646人の定員増を行っても入れない子どもたちが居るなかで、区の来年度の認可保育所の整備予定は、(仮称)しろくま保育園1園のみです。区立谷原保育園の廃園を考慮すれば、1増1減で、認可保育所は増えません。区は待機児ゼロを達成したと、していることに加え、出生数が推計よりも下振れしていることを踏まえ、子ども子育て支援事業計画を見直したとしています。しかし、保育所等に入れない状況が生まれているのは、保育需要が高まっているからであって、子どもの数が減るという予測から保育の供給量を考えると需要をカバーできなくなってしまいます。

 ある首長は、国の基準で待機児童はゼロであっても、隠れ待機児は居ると認識し、「保育の必要性があって、保育園を利用したい方々が、等しく保育園を利用していただける環境を整備することが大変重要であり、私の責任」だと答弁しています。入園を希望しながら希望する園に入れない、そうした状況を解消していくことが自治体の役割ではないでしょうか。いかがですか。

 国基準で算定した待機児童数を見るのではなく、入園を希望しながら保育所等に入れない人たちの数も含めた対策を取るべきです。そして、区立谷原保育園の廃園計画については中止し、しろくま保育園と併存することを強く求めます。2点区の見解を伺います。併せて、保育士の配置基準の改善も必要です。政府が6月に決定した「こども未来戦略方針」では、1歳児は保育士一人当たり子どもが6人から5人、4、5歳児は30人から25人へと改善することが明記されました。しかし。それは独自に保育士を増やした施設に対して運営費を加算する方式です。加算という限定的な対応ではなく、配置基準自体を改善し保育士を増やすよう国に求めるべきです。区の答弁を求めます。2つ目に学童クラブについてです。今年度、区が公表した待機児童数は299人となりました。しかし、ねりっこクラブで待機となっている児童を対象に見守りを行っている、ねりっこプラスの登録者数は496人と、実質795人もの子どもたちが待機といえる状態となっています。待機児童対策として全校のねりっこ化を進めているものの、ねりっこクラブのある学校でも入所できない児童が居ることから、もはやねりっこ化だけでは待機児童を解消することは難しいのではないでしょうか。 区は、ねりっこ化に伴って、今まで運営していた地区区民館学童クラブなど校外学童クラブを廃止しています。墨田区では待機児童対策として原則、全ての小学校に学童クラブ室を整備するとしたうえで、地域集会所等、区が保有する施設を徹底的に活用して整備を進めることも打ち出しています。区は、校内学童クラブのニーズが多いと言いますが、適正な環境を保障し、待機児童対策としても、様々な選択肢を確保する意味でも、既存クラブの廃止ではなく、活用こそ行うべきではないでしょうか。そして、小学校の敷地内に新たに学童クラブを整備することや、既存施設の増築、小学校の近隣地に土地を確保するなども含めて、待機児童の解消を図るべきと考えます。2点見解を伺います。

【関口こども家庭部長】私から、待機児童対策についてお答えいたします。

 はじめに、保育所についてです。前川区長就任以来、待機児童ゼロを区政の最重要課題の一つに掲げ、区独自の幼保一元化施設である「練馬こども園」の創設、「待機児童ゼロ作戦」などを展開してきました。全国トップクラスとなる、8,500人以上の定員枠の拡大を実現し、本年4月、3年連続で待機児童ゼロを達成しました。

 保護者の皆様には、既に、入園の申し込み時に希望する園だけではなく、きょうだいに関する希望や復職の意向等を詳細に記載していただいています。きょうだいの保育指数については、一人っ子を含めた全体的なバランスを踏まえて検討する必要があると考えています。

 次に、今後の保育需要についてです、令和5年3月に策定した「第2期練馬区子ども・子育て支援事業計画の中間見直し」では、就学前児童家庭3,000件を対象にニーズ調査を実施し、保育需要は当面横ばいで推移すると見込んでいます。令和6年度に策定する「第3期練馬区子ども・子育て支援事業計画」に向けて、今年度、改めてニーズ調査を実施するとともに、女性の就業率の増加や就学前児童人口の減少、コロナ収束後の状況等を踏まえ、保育需要を算定してまいります。待機児童数の算定については、全国の自治体が国の基準に則り実施しています。引き続き、国の基準により待機児童ゼロの維持に取り組んでまいります。

 谷原保育園は、練馬区公共施設等総合管理計画〔実施計画〕に基づき、令和8年度末に閉園する予定です。近接の区有地に誘致する民間保育園と併存する考えはありません。

 次に、職員の配置基準についてです。人員体制等については、区立認可保育園だけではなく私立園も含め、保育士や看護師等を国の基準に上乗せして配置できるよう、財政的に支援しています。保育所の職員配置について、現在、国が検討していることから、その動向を注視してまいります。

 次に、学童クラブについてです。

 区は、すべての小学生に通っている学校の敷地内で、安全で充実した放課後を過ごすことができる居場所を提供するため、平成28年度から、ねりっこクラブの早期全校実施を目指して取組を進めてきました。現在、52校の小学校で開設し、この7年間で学童クラブの定員は、2千人以上拡大しています。来年度は、7校で開設し、あわせて定員拡大を進めます。

 ねりっこクラブの開設にあたっては、当該地域の学童クラブの入会希望者数に見合った受け入れ枠を確保したうえで、順次、郊外の学童クラブの休止や廃止を進めていくこととしています。

 小学校の敷地内への新たな学童クラブの整備は、既に行っているところであり、ねりっこプラスにより、区独自の待機児童対策も実施しています。

 引き続き、各学校の実情に応じて、待機児童解消に向けた対策を検討してまいります。私からは以上です。

 

 次にみどりバスについてお聞きします。

 公共交通空白地域改善計画を改定してから丸6年が経ちました。この間、移転した練馬光が丘病院への乗り入れ、保谷ルートの再編による西大泉地域での空白地域の改善、新規停留所の設置など、一定の改善に取り組んできました。しかし、計画改定時と比較して、現状、多くの空白地域で改善が進んでおらず、空白地域が広がったところさえあります。

 そして、計画に明記されている30分に1便運行については、試行運転も実現できていません。課題は全国的な運転手不足とのことで、バス事業者と協議をしているとのことです。

 みどりバスは通院や買い物など生活に密着した、区民にとって欠かせない交通手段です。それだけに30分に1便運行は多くの区民が求める切実な要望です。コロナ禍の影響もあり、2017年度と比較すると区の負担が7700万円増加しているとのことですが、仮に全コースで増便を実施した場合にかかる経費と区の負担については試算しているでしょうか。また、朝8~10時など混雑時間帯のみ増便した場合なども試算し、示していただきたい。いかがですか。

 公共交通空白地域改善計画では、区の負担を2分の1程度にすることを目指すとしています。しかし、そうした採算面からだけではなく、区民の福祉や暮らしやすさの向上という観点こそ重要ではないでしょうか。外出しやすい条件をつくることは高齢者の健康を維持し、医療費を抑え、地域経済にも大きな効果をもたらします。現状でも区は運転手さえ確保できれば負担を増やしてでも増便する考えなのか、その姿勢についてお聞かせください。

 計画に明記されている30分に1便運行の早期の実施、とくに混雑する時間帯の増便については早急に実現することが必要です。いつから始めるか、具体的に時期を決めて事業者と協議するよう求めます。お答えください。

 現在、みどりバスの運行は区の単費で実施されています。都はコミュニティバスに対し新規導入や再編等に補助していますが、運行開始から3年間に限定されています。継続して支援することや補助要件の見直しをするよう都に求めることも重要です。区の見解をお聞きします。

 運行時間についてですが、区道67号線の整備に合わせて保谷ルートが再編され、西大泉地域で改善されました。ところが、西大泉から保谷駅に行く一番早い便でも8時台になってしまい、駅には8時半到着とのことです。もっと早くしてほしいという声があがっており、改善を求めますが、いかがでしょうか。

 みどりバスは、保谷ルートを除き乗客35人定員ですが、実際には20人も乗ればいっぱいになります。車内の手すりやつり革、掴まれる柱などが少なく、時には転ぶ人もいます。乗客の安全のため、車内の安全性の向上にも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 停留所での安全も重要です。猛暑のなか日の当たる停留所で1時間に1便しかないバスを待つことは大変厳しいものがあります。体調を悪くする方もいるため、日除けをつくってほしいとの要望が寄せられています。

 また、みどりバスの停留所には白線があるだけで、歩道と車道が地続きのところも複数あります。氷川台ルート・開進第1小学校前も非常に狭いスペースしかない停留所です。停留所のポールが小学校の敷地内に建てられており、乗客は、歩道でないギリギリの場所に降りなければなりません。学校敷地をセットバックして、停留所のスペースをつくることができないでしょうか。2点、お聞きします。

【池上都市整備部長】私から、みどりバスおよび防災まちづくりについてお答えします。

 初めに、みどりバスについてです。

 区は、公共交通空白地域改善計画に基づき、路線バスの運行していない地域に、みどりバスを運行しています。30分1便を目標としていますが、運転手の確保などの課題から、実現に至っていません。

 バス事業者は、労働時間の短縮や賃金引上げなど労働環境の改善に取り組み、運転手の確保に努めています。

 区は昨年、保谷ルートの再編を実施しました。再編にあたっては、再編前の運行水準を確保しながら、運転手や車両の割り振りを工夫することで保谷駅に到着する便の終便の繰り下げを実施しました。同便の始発の繰り上げについても、区民からご要望いただいており、実施するよう、既に協議していますが、現段階では困難であると聞いています。

 みどりバスの運行については、運行に要する経費の総額から運賃等による収入を差し引いた額を区が負担しています。新型コロナの影響によるバス利用者の減少や、燃料費、人件費の増加などから、区の負担額は増加傾向にあります。

 バスの増便やルート再編については、収支面で過度な負担とならないことが必要です。運転手や、新しい車両、車庫の確保などの見通しがたった段階で、区の負担額について検討していきます。

 都では令和4年度にルートの新設・再編の際の補助制度を設けました。今後、区においても、活用を検討し、必要に応じて制度の見直しも求めていきます。

 みどりバスでは、手すりやつり革が適切に配置された、国の基準に適合した車両を使用しています。運行にあたって、バス事業者が道路運送法に基づく安全管理規定を定め、輸送の安全確保に取り組み、乗客に対して、手すりやつり革の使用について、車内放送による注意喚起を行っています。

 バス停の上屋については、設置と維持管理の費用に加え、十分な歩道の幅員が必要です。みどりバスの運行ルート上にある歩道は、幅員が狭く、設置できる場所は限られていますが、可能な場合は整備を行うよう、バス事業者に働きかけています。

 開進第一小学校前の道路は、路側帯が狭いため、学校の敷地を借用してバス停を設置しています。バス待ちスペースを更に広げるためには、学校の施設や樹木などの移設が必要となり、現段階では、対応困難です。

 みどりバスを取り巻く状況の変化を踏まえ、引き続き、バスの利便性向上や安全性向上に取り組んでいきます。

 

 次に防災対策についてお聞きします。

 この間、区は、区内のいくつかの地域で木造密集市街地促進事業を推進しています。その柱の一つは道路を拡幅することです。これに対し、拡幅によって土地を提供せざるを得ない沿道地権者の中らから強い反発の声が出されています。

 もともと、まちづくり構想の策定を行ったまちづくり協議会の委員の中には、沿道地権者が一人も入っていない路線もあります。最も影響の大きな沿道地権者が参加せず、道路拡幅を基本とする計画を決定してしまえば地権者から反発が出るのは当然です。この事業は任意事業であり、地権者の協力が得られなければ事業自体を進めることができません。

 区は、1定の答弁の中で、桜台東部地区においては「拡幅整備が必要」と回答した方が8割を超え、沿道の方は、条件付きも含め、現時点で6割を超える方が「整備に協力できる」と回答していることをもって、拡幅を正当化しています。しかし、6割の賛成のうち条件付き賛成が45%。掲げている条件で最も多いのが「十分な補償」となっています。補償と言っても建物は減価償却分しか払われず、より古い建物ほど補償額が減ってしまい、生活再建が難しくなります。もし本気で用地買収が必要であると判断するのであれば、生活再建できる十分な補償を行うべきです。いかがですか。

 仮に道路拡幅が防災上有益であったとしても、形式的な会議体を設定するだけで、あとは計画を粛々と進めるやり方では住民の合意など得られません。世田谷区では、継続的な行政と住民との合意形成の場として沿道地権者と居住者との沿道会議を開催しています。こうした会議を行うことがまず必要ではないでしょうか。お答えください。

 その際、大切なことは徹底した情報公開を行うことです。行政側は、自分たちの策定した計画に住民を誘導するように、有利な情報しか示さないことがあります。これでは住民の信頼を得ることはできません。防災対策やまちづくりについて十分な情報と専門家による支援を行いながら、住民自身があらゆる選択肢の中から選択し、計画を策定することを見守っていく、こうした住民主導の新しいやり方を模索すべきです。答弁を求めます。

 道路整備をしなくても防災対策の強化は可能です。一番大切なことは、倒壊しない、出火しないための取り組みの強化です。これが実現すれば、自身の命を守るだけでなく、復興を早めたり、他の被災者の救援に力を注ぐことができたりとメリットは計り知れません。

 建物の耐震化については、阪神淡路大震災で新耐震でも多くの住宅が倒壊したことから、2000年に耐震基準がさらに強化されました。区は依然として助成対象を1981年以前としていますが、これを2000年以前に広げるべきです。また、その前提となる2000年以前の建物がどれほどあるのかを把握し、あらたな耐震改修促進計画を策定すべきではないでしょうか。お答えください。

 耐震工事については、都も省エネ化やバリアフリー化など、内外装材をはがすことが多いリフォーム工事の機会に併せて実施することで、工事費用や工事期間、施工の面で効率的、合理的、経済的に進めることができるとしています。区としてリフォーム助成制度を設け、より耐震化を促進すべきと考えますが、いかがですか。

 出火防止について私たちは感震ブレーカーの設置を求めてきました。この間、都が木密地域に感震ブレーカーを配布しましたが、その中身はコンセント型にとどまり、効果は限定的となっています。都に対し、家屋全体の電源が遮断できるものに変更するよう求めるとともに、区としても補助や配布を行い、区内全体の感震ブレーカーの設置を促進していただきたい。また新築については分電盤のタイプの感震ブレーカーを設置することを義務化するとともに、暗闇にならないように感震ブレーカーと一体で非常灯の設置を進めるべきと考えますが、いかかですか。

 ソフト面の対策の強化も重要です。国は2013年に災害対策基本法の改定を行い、地区防災計画を策定することができるようになりました。これは地域や建物ごとに住民自らが防災計画を策定するもので、これにより従来のような上からの計画ではなく、ボトムアップで計画策定を促すものです。区は、すでに避難拠点などの自主防災組織が対応しているとして、地区防災計画の策定はしていませんが、木密地域や浸水リスクの高い地域を中心に策定することも検討すべきではないでしょうか。いかがですか。

 こうした対策を行うことで、必ずしも道路整備に頼らず、防災対策を進めることは可能です。道路整備ありきではなく、住民と一緒に総合的な防災のあり方を考えていくべきです。そのことを最後に求め、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問といたします。

【池上都市整備部長】次に、建物の耐震化および桜台東部地区の密集事業についてです。

 区では、練馬区耐震改修促進計画に基づき、地震発生時に倒壊の恐れが比較的高い昭和56年以前に建てられた旧耐震基準の建物を対象に、耐震化に要する費用の助成や専門家派遣などに取り組んでいます。

 一方、平成28年に発生した熊本地震では、平成12年以前に建てられた新耐震基準による木造住宅が複数倒壊したことから、東京都は、このような新耐震木造住宅の耐震化に要する費用を助成する区に対して、今年度から補助を開始しました。

 区内には、住宅・土地統計調査の結果から、平成12年以前に建てられた新耐震木造住宅が約5万戸あると推計しています。助成対象の拡充や耐震改修促進計画の見直しについては、旧耐震基準の建物の耐震化の進捗状況を踏まえ、検討していきます。

 区では、住宅修築資金の融資あっせん制度により、リフォーム工事の際の借入金に対する利子補給を行っています。耐震化助成制度と併用することが可能であることから、改めて住宅リフォーム制度を創設する考えはありません。

 老朽木造住宅が密集する地域では、大規模な地震発生の際、延焼の拡大により甚大な被害が発生する恐れがあることから、建物の耐震化に加え、密集事業による道路、公園の整備や新たな防火規制による建物の不燃化など、様々な取組を実施しています。

 狭あいな道路が多い桜台東部地区では、緊急車両が円滑に通行・消化活動ができる防災道路の整備が不可欠です。まちづくり協議会を開催し、地域の皆様のご意見を伺いながら、昨年策定した「桜台東部地区重点地区まちづくり計画」では、密集事業等を活用して道路整備を進めていくこととしています。

 防災道路の沿道の権利者の皆様には、懇談会の開催や個別訪問により、丁寧に説明し、ご意見を伺っています。

 これまで、事業を実施してきた地区においては、地域の皆様に情報提供し、ご意見を伺いながら、事業を進めてきました。本地区においても、お住まいの皆様や権利をお持ちの皆様に対して、説明会の開催やまちづくりニュースの発行を随時行い、検討状況を広く周知するなど、情報提供を行っていきます。

 防災道路の整備にあたっては、沿道の建物や工作物などの状況を調査し、損失補償基準等に基づき、適切かつ公正に補償額を算定します。建物について減価償却分しか払われていない、ということはありません。今後、ご理解を頂いた権利者から、順次、用地の取得を進めていきます。

 引き続き、まちの防災性向上のため、建物の耐震化や防災まちづくりに取り組んでいきます。私からは以上です。

【枚田危機管理室長】私から、感震ブレーカーと地区防災計画についてお答えいたします。

 はじめに、感震ブレーカーについてです。

 東日本大震災では、出火原因の約7割が電気火災でした。火災を減少させるためには、延焼火災リスクの高い木造住宅密集地域や防災まちづくり推進地区の木造住宅に、感震ブレーカーを設置することが有効です。区として、感震ブレーカーの設置促進について取り組んでまいります。

 一方で、都の配布対象は、東京都防災都市づくり推進計画で定める木造住宅密集地域に限られており、都に対しては既に拡充を求めています。今後も必要に応じて都に要望してまいります。感震ブレーカーの設置義務化については、東京都建築安全条例等の動向を注視してまいります。

 つぎに、地区防災計画についてです。

 区は、地域ごとに異なる災害リスクに応じた「攻めの防災」を進め、地震や水害による被害を軽減し、「災害に強く、逃げないですむまち」の整備を推進しています。災害リスクの高い地域では、地域の災害リスクや防災情報をまとめた地域別防災マップ等を地域住民と協働で作成し、マップを活用した訓練を実施して、地域の防災力を強化しています。また、自主的にマップを作成する町会・自治会等に対し、作成を支援しています。このような各地域における自助・共助の取組は、法による地区防災計画のねらいに相応する活動といえます。こうしたことから、区では、それぞれの地域の特性に応じた取組を一層推進するとともに、地域の方々から地区防災計画が提案されたときは、区と地域が一体となって検討します。私からは以上です。

 

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