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2023年 第2回定例会一般質問 やくし辰哉(2023年6月14日)

2023年 第2回定例会一般質問

2023年6月14日

日本共産党練馬区議団

やくし 辰哉

 

 日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

 

区長の基本姿勢として 岸田政権の戦争国家づくりについて

 はじめに区長の基本姿勢として、岸田政権の戦争国家づくりについてお聞きします。

 岸田政権が昨年末に閣議決定した安保3文書は、敵基地攻撃能力保有など軍事力強化のため5年間で軍事費総額を43兆円にするとしていて、その財源を確保するための法案が参議院で審議されています。

 法案では、職員の処遇改善や医療提供体制の強化に充てるべき国立病院機構や地域医療機能推進機構の積立金や、中小企業向け融資基金、東日本大震災の復興財源などを不当に流用し、「防衛力強化資金」に注ぎ込もうとしています。同時に、23年度の軍事費で基地強化などの施設整備費と艦船建造費を建設国債の対象とし、大量の国債発行が侵略戦争の拡大につながった歴史の教訓に背くようなことまで行いました。

 こうした国の動きは、非核都市練馬区宣言の立場から許されないとした先の第1回定例会での私どもの質問に対し、区は、国際情勢に関する十分な情報と周到な分析に基づく高度な政治判断が必要で答える立場にないとまるで人ごとのような答弁でした。

 しかし、岸田政権が進めようとしている大軍拡は最大3000キロ、北東アジアの主要都市の大半が射程に含まれるスタンド・オフ・ミサイルなど専守防衛とはとても言えない兵器を保有し、国際法違反の先制攻撃を前提としたアメリカの統合防空ミサイル防衛へ自衛隊を参加させ、一体化するなど、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を定めた憲法9条とは相いれないばかりか、憲法違反の極致で、まさに戦争国家づくりというべきものです。

 区はそうした認識がないのでしょうか。事実に対する認識については何も高度な政治判断は必要ありません。お答えください。

 実際、練馬区には朝霞、練馬と2つの駐屯地を抱えていますが、すでに地下化など基地強化が進められており、練馬区も攻撃されることを想定した対応がされているのです。こうした体制の整備は他国からの攻撃を呼び込む可能性が高まり、区民の命を危険にさらすことにもなりかねません。また、基地は強化され、守れるかもしれませんが、周りに住む住民の命は守れないではありませんか。区の考えをお聞きします。

 さらに、安保3文書では、地方自治体に対して、平時からの連携、協力、理解を求めるという記載が度々されていることなども考えれば、高度な政治判断だとか、答える立場にないなどと言っている場合ではありません。

 戦前、各地方公共団体も侵略戦争を推し進める流れに加わり、国言いなりで間違った戦争に駆り立てられた苦い経験があります。その教訓を生かし、区民の命を守る立場に立つならば、地方自治を発揮し、憲法違反の大軍拡の中止と安保3文書の撤回を国に強く求め、戦争国家づくりにストップをかけていくべきではありませんか。お答えください。

【中田総務部長】私から、我が国の安全保障に関するご質問にお答えします。

 国民の命と平和で安全な暮らしを守るために、我が国の安全保障・防衛政策をどのように進めていくかについては、国際情勢に関する十分な情報と周到な分析に基づく高度な政治判断が必要です。

 安全保障や防衛に関する問題は、国の専管事項であり、国会で議論が行われるべきものと考えます。

 区は意見を申し上げる立場にありません。私からは以上です。

 

 次に区民生活等への支援についてお聞きします。

物価高騰対策と住まいの支援について

 第一に物価高騰対策についてです。

 止まらない物価高騰が区民生活を直撃しています。4月の消費者物価指数は前年同月比3.4%上昇し、なかでも食料品は9%もの高い伸び率になりました。平均月1万円以上の深刻な負担増です。電気代もある程度軽減されているとはいえ、今月からさらに15%も値上げとなり、生活への対策は急務です。

 国が「物価高騰対策給付金」として3万円、子育て世帯に子ども一人5万円を支給します。しかし苦しいのはそうした世帯だけではありません。区は昨年度、国の臨時特別給付金の対象とならない世帯に、最大20万円の生活支援臨時給付金を支給しましたが、対象は約500件に留まりました。今回品川区では「住民税均等割のみ課税世帯」にも独自に対象を拡大して支給するとのことです。区も、独自財源も活用し子育て世帯に限らず対象を広げるべきではないでしょうか。お答えください。

【前川燿男区長】お答え致します。物価上昇への対応についてです。

 急激な物価上昇が、区民の生活や事業者の活動に大きな影響を与えています。

 経済の大きな変動への対応は国が責任を持って行うべきことですが、区は、区民生活の安定を守るために、国や東京都が実施する対策を基本としながら物価上昇の影響を緩和をするため、独自の支援に取り組んでいます。

 本定例会に提案した補正予算においても、国の住民税非課税世帯への給付金について、区独自に児童扶養手当受給世帯や家計急変世帯を対象に加えるなど、支援の充実を図っています。

 こうした支援は、いわゆるばらまきであってはならない。限られた財源を活用し、真に必要とする処へ集中的に行うべきだと考えます。今後とも、区民の命と健康を守る事業の推進を最優先とし、区民生活を支える上で必要な施策は、時機を逸することなく確実に実行してまいります。私からは以上です。

 その他の質問につきましては技監および関係部長から答弁いたします。

 

 物価高のもと、とりわけ高額な国保料の値上げは生活に影響しないはずがなく、ますます実施するべきではありません。高齢者基礎調査では介護や健康保険料を負担と感じている方が5割を超えていることからも、国保料をはじめ各種社会保険料を緊急に値下げするべきです。お答えください。

【鳥井区民部長】私からは、国民健康保険の保険料についてお答えします。

 令和3年度の練馬区の国民健康保険料は一人当たり約16万円ですが、それに対して医療費は2倍以上の約34万円かかっています。

 特別区長会では、法定外繰入の縮減を対応方針としつつ、急激な負担増とならないよう段階的に削減する特別区独自の激変緩和を行い、計画的に保険料率を設定しています。区は、引き続き特別区長会の対応方針に沿って対応してまいります。

 

 生活保護基準も物価に合わせ見直しが必要です。2013年から段階的に行なわれた保護基準引き下げを取り消す判決が11件になりました。基準引き下げは生活保護利用者の生活実態を無視した合理性のないものでした。

 健康で文化的な最低限度の生活を保障するため、国に基準引き上げを求めるべきです。区の認識も合わせてお答えください。

 また、今夏の気温は「平年並か高い見込み」とされています。生活苦からのエアコンの利用抑制による熱中症の多発を防ぐため、国に夏季加算の創設を求めるべきです。お答えください。

【吉岡福祉部長】私から、生活保護制度と事業者支援についてお答えします。初めに生活保護制度についてです。

 平成25年度から27年度にかけて段階的に改定した生活保護基準については、改定に伴う減額処分の取り消しを求める訴訟が全国29の地方裁判所に提起され、うち21地裁での判断は分かれており、現時点では国に対し、保護基準の引上げを求める考えはありません。区は、国の動向を注視してまいります。

 夏季加算の創設については、既に国に対し要望をしています。

 

 事業者の業況は、持ち直している面もありますがコロナ前の水準には至っておらず、仕入れ・原材料価格の高騰が大きく、引き続き苦しい傾向が続いています。区の事業所実態調査でも、「物価高騰の影響を受けている」と「価格転嫁は困難」のどちらも76%、さらに光熱水費等は7割以上が上がったと答えています。こうした調査結果を受け、中小事業者に対し、地方創生臨時交付金も活用して燃料費や光熱水費への補助を行うべきではないですか。お答え下さい。

【吉岡福祉部長】次に、事業者支援についてです。

 コロナ禍や物価上昇等による経済への影響が長期化するなか、事業者への継続的な支援が必要です。

 東京都では、燃料費上昇に直面する運輸事業者やLPガス等を利用する中小企業への支援金が、開会中の都議会定例会の補正予算に計上されています。

 区は、コロナ禍と物価上昇により運営に影響の出ている介護・保育等の施設経営を支援するため、区独自の施設等運営支援臨時給付金を今年度も引き続き実施しています。加えて、経営の厳しい区内公衆浴場を支援するため、燃料費助成を増額し、本定例会の補正予算として提案しています。

 区が独自に取り組んできた借換特別貸付と緊急経営支援特別貸付を9月まで延長しています。

 こうした様々な取組により、引き続き、区内事業者を支援してまいります。私からは以上です。

 

 第二に住まいの支援についてです。日本の住宅政策は「住宅ローン減税」など、長いあいだ持ち家支援を主としてきました。この間、持ち家率は約6割で大きな変化はありませんが、50歳代以下は率が低下しており、今後減少する可能性があります。家を買えるほど経済力のない人が増加しているのではないでしょうか。同時に賃貸住宅の高い家賃が家計を圧迫しています。こうした状況に合わせ、住宅政策に、持ち家とともに公営住宅をはじめとした賃貸住宅を位置付けることが必要になっていると考えますが、区の考えをお聞きします。

 昨年11月の都営住宅募集の平均倍率は11.5倍でした。練馬区内では最高140倍、平均24倍になっており、入居は狭き門になっています。この間、賃貸住宅の建て替えが進み、比較的家賃の安い住宅が減少傾向にあるなか、公営住宅の需要が増しています。区は必要戸数を満たしているとの考えですが、応募倍率を見れば都営住宅の不足は明確です。都に対し都営住宅の増設を求めるべきです。また民間住宅の空き室を借り上げるなども含め、区営住宅の増設を求めます。2点お聞きします。

 住宅セーフティネットの家賃低廉化は機能しておらず、住居確保給付金は、最長9か月にすぎません。深刻な貧困状態が続き、公営住宅も足りないなか、恒久的な家賃補助が必要です。

 区は住宅確保要配慮者向け専用住宅で最大4万円補助していますが、区内に1戸だけしかありません。セーフティネット住宅のなかには月9万~10万円の住戸が300戸近く、8万円台も加えると872戸あります。他区では、取り壊しによって立ち退く場合に転居前家賃との差額を助成する制度や、子育て世帯、ひとり親、高齢者世帯へ月2~5万円の補助を行っています。他自治体の取り組みにも習い、専用住宅以外の住宅で暮らす住宅確保要配慮者を対象に月4万円の家賃補助を実施することで、既存の住宅ストックの活用促進もできると考えますが、いかがでしょうか。

【池上建築・開発担当部長】私から、住宅施策についてお答えします。

 住まいに対する価値観やライフスタイルの多様化、単身世帯の増加など、住まいに対するニーズは大きく変化しています。国においても、持ち家の促進のみならず、減税等による民間賃貸住宅の供給支援を実施しており、住宅のストック数は充足した状況にあります。

 令和4年、練馬区営住宅長寿命化計画の改定にあたり、入居が必要な世帯数の将来推計を行い、住宅に困窮する低額所得者のための公営住宅については、区内の必要戸数を満たしていると判断しています。立地や築年数等により、応募の倍率が高い住宅がある一方、募集戸数に満たない住宅もあることから、倍率が高いことをもって、不足しているとの考えはあたりません。公営住宅への入居を希望する高齢者に対しては、区独自に、民間賃貸住宅に入居している一定期間、家主に対する補助を実施し、入居者の負担を軽減しています。新たな区営住宅の建設や都に都営住宅の増設を求める考えはありません。

 高齢であることや障害があることをもって、民間賃貸住宅への入居を拒まれる場合があります。区は、そのような方々の円滑な入居を支援する、住まい確保支援事業を実施しています。

 高齢者などの住宅確保要配慮者が入居可能な専用住宅に対しては、家賃補助制度を設け、その活用を促しています。新たに、区独自の家賃補助を行う考えはありません。

 引き続き現行の取組を充実し、住宅困窮者への支援を行っていきます。私からは以上です。

 

学校給食無償化と教員の負担軽減について

 次に学校給食無償化と教員の負担軽減について伺います。

 いま教員の多忙化が大きな問題となっています。要因の一つは教員が大幅に不足していることです。まだ年度が始まったばかりですが、すでに産休などの代替教員が確保できない状況となっていて、教員採用試験で補欠となった人たちの手を借りてもなお足りていません。そのため再任用の70歳代の教員が代替教員として働いています。

 さらに全科の教員だけでは担任を配置することができず、算数や音楽などの専科の教員を担任に配置しています。その穴埋めとして、専科の授業を担任が教えなければならないなど、負担が増えています。区教委はこうした深刻な実態を把握しているでしょうか。また区内の小中学校でどれくらい代替教員が確保できていないのか、解消できる見通しがあるのか、3点お答えください。

 ここまで教員が足りない状況を作り出したのは教員を抜本的に増やさず、多忙化を放置し、教員免許制や学校統廃合によって、むしろ教員を減らしてきた国や東京都に責任があります。区教委はこの間の答弁で、講師の時間数を増やして数を確保すると答えていますが、講師は担任を担うことが出来ず、問題解決にはつながりません。正規の教員を増やすよう国や東京都に求めていただきたいと考えます。いかがですか。

 少しでも現状を改善するため、例えば、免許更新制で失効した教員に働きかけを行い、必要な手続きを行って、教員免許を復活させることも一つの方法です。廃止された免許更新制のもとで、もともと教員としての能力・資質があるにもかかわらず、必要な更新せず、教員をやめてしまった人たちがいるからです。そうした人たちの力も借りて、教員不足を改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。また免許を失効した人がどれほどいるのか区は認識していますか。お答えください。

 教員が不足している中で、今年度から始まった第2子以降の給食費無償化の事務負担がさらなる負担を強いています。

 もともと学校の事務職員の体制は脆弱です。中学校では都が雇用する事務職員と区教委が雇用する学校事務補助員の2名、小学校では都事務員に加えて、18学級以上であれば学校事務補助員、それ以外はサポートスタッフと呼ばれる職員が配置されています。さらに大規模校になるとサポートスタッフがもう1人加配されます。しかし、実際に加配されているのは3校のみです。しかも学校事務補助員とサポートスタッフともに会計年度任用職員であり、勤務時間が限られています。

 もともと給食の事務は誰が担うのか明確ではなく責任が曖昧で、そうしたもとで教員が事務の一部を担わざるを得ない状況が生まれています。ある学校では、代替教員が給食部員としての役割を担わされ、大きな負担になっています。

 この間の中央教育審議会の答申では、学校徴収金の徴収・管理について、基本的に学校以外が担うべき業務として位置付けています。その言葉どおり、学校徴収金の徴収・管理は教育委員会が責任をもって行い、学校の負担を軽減すべきではありませんか。少なくとも区教委として事務員を全校にさらに加配すべきです。お答えください。

 給食費の管理を行う学校徴収金管理システムも使いづらいとの声が寄せられています。このシステムは、給食費と教材費の収支が一体となっていて、複雑なうえ、かなりの慣れを必要とするからです。今回第2子以降の給食費無償化が実施されることに伴い、現場の声を基に、より使いやすいシステムに改善することが必要ではないでしょうか。お答えください。

 私たちはこれまで給食の第1子からの無償化を求めてきましたが、こうした煩雑な作業を省く意味でも、第1子から給食を無償化することは効果的です。それは徴収業務そのものが必要なくなるからです。教員の負担を軽減するためにも、そして、何より「義務教育は無償」と定めた憲法26条を実践していくためにも、いまこそ第1子からの無償化に踏み出していただきたいと考えますが、いかがですか。

 都の教員採用試験の受験者数は年々減少し、採用倍率は2.1倍と5年前と比べても半分以下に減少しました。これは近隣の埼玉、神奈川、千葉の中でも最も低い数値です。背景にはとりわけ深刻な教員の多忙化の問題があります。このまま抜本的な対策を取らなければ、教員の担い手がいなくなり、さらに現場が疲弊することになりかねません。

 いまこそ子どもたちに直接かかわる仕事に専念できるよう、教員の業務を抜本的に削減することを求め、この質問を終わります。

【三浦教育振興部長】私から、教員の負担軽減についてお答えします。はじめに、教員の確保についてです。

 本年度当初、東京都全体で80名の小学校教員が不足し、そのうち本区は、12名の欠員が生じており、5月末までに1名の代替教員が配置されました。欠員が生じた小学校では、都が配置した算数少人数指導の加配教員を学級担任に充てるなどの対応をしています。代替教員を確保するため、都は教員候補者への働きかけを継続して行っています。

 教員の確実な確保に向けて、国は令和4年度の教員勤務実態調査を踏まえ、教員の働き方改革や処遇改善について検討をすすめています。都は大学3年生前倒し選考制度の導入や社会人特例選考の年齢要件緩和など選考制度の見直しを行い、応募者増に取り組んでいます。

 義務教育標準法に規定された教員の定数については、特別区教育長会を通じて、一人の教員がもつ週あたりの担当授業数を引き下げ、教員を増員するなど、既に拡充を国や都に要望しております。

 教員免許状の交付は都の所管事業であります。免許の失効者や更新の状況などは区で把握できるものではありません。都では、免許状を未取得である優れた知識経験を有する社会人等に対して特別免許状を交付し、人材の確保を図っています。

 次に学校徴収金の徴収事務等についてです。

 区では、平成31年4月に「学校徴収金管理システム」を導入しました。これにより、従来、手作業で行っていた給食費と教材費等の保護者からの集金や事業者等への支払いをパソコン操作で行えるようになったことに加え、複数の管理帳票も簡単に作成できるようになりました。加えて、膨大な量になる新入生の口座振替依頼書のデータ入力の委託化などにより大幅な事務の効率化と迅速化が図られました。システム導入によりすでに負担軽減に大きく寄与しているものと認識しています。

 本システムは、計画段階から学校現場の意見を聴きながら構築しており、導入後も必要な改修をしています。今後も現場の意見を踏まえた改善を図ってまいります。

 学校の事務職員については、全校配置の都費事務職員だけでなく、区が任用する事務職の会計年度任用職員を加配しており、さらなる増員の考えはありません。

 第二子以降の学校給食費の無償化は、国の想定よりも少子化が急速に進行する中で、その対策として多子世帯の経済的負担軽減を図るため、今年度から開始したものです。第一子からの学校給食費の無償化を実施する考えはありません。

 本事業の実施にあたっては、学校の負担は最小限となるよう配慮しています。以上です。

 

自転車の安全利用について

 次に自転車の安全利用について伺います。

 自転車は、最も身近な交通手段で、健康増進や環境負荷の軽減など様々な効果があり、区は「第3次練馬区自転車利用総合計画」を策定し、自転車の安全利用や通行環境の整備などに取り組んでいます。

 都内の自転車関連事故の内、乗用車との事故の割合は減少傾向ですが、歩行者との事故や自転車同士の事故は増加傾向にあります。

 自転車と歩行者の事故を防ぐには、自転車が歩道を通行しないようにすることが重要で、2022年に改定された「自転車安全利用五則」では、自転車の歩道通行はあくまで例外であり、原則車道通行であることが強調されています。

 車道通行を促すには安心して走行できる空間を整備することが必要です。区内では主に都道において自転車走行帯と自転車ナビマークなどで走行空間が整備されていますが、ネットワーク化には至っておらず、区は今後国や都に働きかけるとともに、区施工の都市計画道路の整備に合わせて走行空間のネットワーク化をすすめるとしています。

 走行空間を確保する際、自転車走行帯の方が効果的ですが、自転車ナビマークだけでも自動車運転者への注意を喚起し、車道上で自転車と自動車の距離を拡げる効果があります。

 しかし、現道があり自転車ネットワークに位置付けられていながらも自転車ナビマークの整備予定がない道路があったり、目白通りのような既存の道路でも自転車ナビマークが途切れていたり経年劣化でかすれて見えにくくなっている箇所があります。国や都とも連携し、維持管理を徹底し、自転車ネットワークに位置付け現道がある箇所には自転車ナビマークを整備するとともに、幅員の広い道路など可能なところから自転車走行帯を整備すべきです。3点お答えください。

 また、自転車ナビマークが整備された箇所をルール通りに走行する自転車にとって無理な追い越しや幅寄せをする自動車は恐怖そのものです。車を運転する方に向けた車道を走る自転車への思いやり運転についての啓発も必要です。区の考えを伺います。

 ヘルメット着用は事故の際の致死率を大きく下げ、4月から努力義務化されました。安全性が保障されたヘルメットは安いものでも5000円近くかかり家族全員が新たに購入するとなれば、1万円を超える負担になることが普及を妨げています。今回、区がヘルメット購入への補助を行うことは重要です。ぜひ、希望者全員が補助を受けられるようにすると共に、来年度以降も継続していただきたいと考えます。区の考えを伺います。

 自転車事故を防止するためには交通ルールを守ることも重要です。

 練馬区では、これまで区内小中学校での交通安全教育を行い、今後区内の全高校でも安全教育を実施していくとしていますが、現役世代や高齢世代を対象にした安全教育の場はほとんどありません。区の行った調査では、「車道の左側を通行すること」など交通ルールの認知率は高い一方で、その遵守率は低い傾向が明らかになっています。ルールの根拠を学び理解することがルールを守ることにつながり、それが自身の身を守ることになります。そのためには、学校だけでなく幅広い世代を対象にした安全教育の場が必要です。

 三鷹市では中学生以上を対象に安全講習会を開催し、受講者には市立駐輪場利用の優先権を与えることで受講につなげています。こうした例も参考に成人や高齢者向け安全教室を実施すべきです。お答えください。

【小山土木部長】私から自転車の安全利用についてお答えします。

 区は、昨年3月に策定した第3次自転車利用総合計画で、「まもる」「はしる」「とめる」「いかす」の4つの施策の柱を定め、安全・快適に自転車を利用できる環境づくりに取り組むこととしました。

 都市計画道路については整備に合わせて、広幅員の既存道路については順次、自転車通行空間の整備を行っています。国や都とも連携し、周辺の国道、都道、区道をつなぐことで広域ネットワークを形成することが必要です。区は、都市計画道路の整備を推進してまいります。

 早期の段階で整備した自転車通行空間については経年劣化します。再度、表示を塗りなおす等、道路の適切な維持管理により、安全な自転車通行空間を確保しています。

 自転車安全利用のため、年齢層の各段階に応じた交通ルールの周知・啓発の展開に取り組んでいます。

 自転車は道路通行が原則であり、事故の防止には自動車と自転車の双方が安全運転に努めることが重要です。

 区は、今年度、コロナ禍で自粛していた交通安全練馬区民のつどい等、交通安全のイベントを再開します。自動車と自転車の利用者双方に交通安全ルールの周知を図っていきます。

 成人や高齢者に対する交通安全教育機会の充実を図るため、本年1月、都が実施する企業向けの自転車安全利用TOKYOセミナーを誘致しました。

 また、今年度、区が実施している交通安全講習等を受講した高齢者や小学生に、薄暮の時間帯や夜間の視認性を向上させる自転車用LED付反射バッジなどを配布します。

 本年4月より、全ての自転車利用者にヘルメットの着用が努力義務化されました。自転車事故による死亡者の約8割が頭部損傷によるものです。ヘルメットを正しく着用することで、死亡事故が1/4に低下するとされています。

 ヘルメット購入の助成事業を実施するため、必要な経費を本定例会に補正予算案として提案しています。

 助成を開始する際には、区報や区ホームページへの掲載に加え、区民事務所や区立自転車駐車場でのチラシ配布により区民の皆様へ、お知らせします。周知を徹底し、助成制度の活用による着用の促進に努めてまいります。私からは以上です

 

大泉学園駅へのホームドア整備について

 次に大泉学園駅へのホームドア整備など駅のバリアフリー化について伺います。

 東京都は、「鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方」を取り纏め、利用者10万人未満の駅でも駅利用者や駅の特性から設定した優先整備の考え方を示し、ホームドアの整備を促しています。

 先日、西武鉄道は新桜台駅から石神井公園駅までの5駅で順次整備に着手すると公表しましたが、大泉学園駅は整備の予定がありません。

 大泉学園駅は練馬駅に次いで利用者が多いにもかかわらず狭い島式ホームが1つしかなく、特別支援学校など複数の学校の最寄り駅になっている事から都の優先整備の考えに照らしても特に早期のホームドア整備が望まれる駅と考えますが、区の考えを伺います。

 区は過去に2ルート目のバリアフリー化された経路の設置など駅のバリアフリー化をすすめるために独自に調査を行い事業者への働きかけを行ってきました。ホームドアについても事業者が整備を予定していない駅を対象に調査を行い事業者へ働きかけると共に、特に大泉学園駅へのホームドア整備を西武鉄道に求めるべきです。2点お答えください。

 関連して、光が丘駅南側出入口のエレベーター設置について伺います。これは住民の皆さんが求めてきたことであり、一歩前進ですが、設置されるのは地下1階から地上1階部分にとどまっています。この出入口は2階からの利用者が多く、もし2階からエレベーターを利用する場合には2つのエレベーターと2つのスロープを利用しなければなりません。これではかなりの不便を強いられることになります。すでに設置されている区民センター側のA3出入口のエレベーターは2階までの直通となっています。

 区としても利便性をさらに向上させるために新たに設置されるエレベーターについては2階までの直通エレベーター設置を都に求めていただきたい、また地上部分については設置が進んでいる下りエスカレーターについても地下1階までの設置を求めていただきたいと思いますが、2点お答えください。

【宮下技監】私から、駅のバリアフリー化についてお答えします。

 大泉学園駅は利用者が多く、区は西武鉄道に対し、従来からホームドアの設置を働きかけてきています。西武鉄道は、整備の必要性を認識しているものの、更にホームが狭くなることや、補強が必要であることなどが課題となっており、整備に至っていません。西武鉄道は、今回整備に着手すると公表した駅以外の駅についても、すでに検討を進めており、区として調査する考えはありません。引き続き、大泉学園をはじめ、区内各駅のホームドアの早期整備を働きかけていきます。

 光が丘駅については、バリアフリールートが1ルート整備されているものの、駅の構造上、1ルートだけでは利便性を欠くため、更なるバリアフリー施設の充実が必要です。

 区は、A5出入口付近において、地域の皆様から強く要望をいただいていた、下りエスカレーターや段差解消のためのスロープ等の整備を進めています。東京都では、地下改札階から地上階までのエレベーターについて、令和6年度までの設置を目指し、現在、工事着手に向けた手続きを進めています。

 2階までの直通エレベーターや、地上階からの下りエスカレーターについては、民間施設の増改築も含め、大幅な施設の改良が必要となることから、いずれも設置は困難と考えます。

 区は、東京都とともに、光が丘駅の利便性を更に向上させるため、現在取り組んでいるバリアフリー施設の整備を着実に進めていきます。私からは以上です。

 

マイナンバーカードと保険証の一体化について

 最後にマイナンバーカードについてお聞きます。

 これまで国をあげた「マイナポイント事業」に要した税金は宣伝・広告費ふくめ2兆円を超え、それにより5月までの交付率は全国で77%、練馬区でも今年度はじめ時点で63.5%にまで急増しました。その一方で現場の業務やシステムのチェック機能が追い付いておらず、全国では個人情報の誤登録や漏洩などが相次いでいます。

 まず第1にシステム障害への対応についてです。区はこれまで「マイナンバー制度は、さまざまなセキュリティ対策が講じられ、情報漏えいをきたさないよう制度設計がなされている」と答弁してきました。しかし、2019年に日本電子計算株式会社のクラウドサービスで障害が発生し、区行政に関わる20のシステムに影響が及ぶなど、電算システムの障害は不可避であり、ひとたび問題が起きれば多大な影響が広範囲に広がることがあらためて浮き彫りとなりました。

 全国でも個人情報の扱いにかかわり事件・事故が噴出しています。マイナンバーカードと一体化させた健康保険証に他人の情報が登録されていたケースは2021年10月以降に少なくとも約7300件あったことが確認されています。埼玉県八潮市ではマイナポイント申請の支援業務を委託されていた会社のアルバイト従業員が、市民2人から合わせて4万円分のマイナポイントを不正取得していました。川崎市や横浜市のコンビニエンスストアでは、男性がマイナンバーカードを使って戸籍証明書を取得しようとしたところ、システムの不備から別人の戸籍証明書が発行されていました。区がいうセキュリティ対策が機能していないことが明らかになった以上、カードの交付は見合わせるべきではないでしょうか、区の見解をうかがいます。

 第2は、マイナンバーカードと保険証が誤って紐づけされた結果、命にかかわる事態にもなりかねないという懸念についてです。ある30代女性は4月中旬に医療機関と薬局を受診しましたがマイナ保険証に別人の投薬・医療情報が紐づけられており、女性は薬剤師から「軽い薬同士でも飲み合わせが悪いと命の危険に及ぶ」と言われ驚いたと言います。初めてかかった病院では登録されている情報が他人のものだと見破るのは困難で、誤った医療情報は病気の発見を妨げたり、持病の悪化を招いたりしかねません。河野太郎デジタル相も「間違ったデータをもとに医療が行われ、健康被害が及べば深刻なトラブル」であると認めざるを得なくなりました。練馬区でもこうした事態は起こりえます。その場合、区はどう責任を取るつもりでしょうか、答弁を求めます。

 第3は、懸念されている医療現場の混乱と被保険者の不利益についてです。今後、マイナンバーカード取得者は5年に一度、カードを持たない「資格確認書」所持者は1年に一度の更新手続きが必須となります。国と保険者は本来、保険証を被保険者に届ける責務があるにも関わらず、これからは国民一人ひとりによる申請主義に移行させられます。これは国民皆保険制度の根幹を揺るがす国と保険者の責任放棄であると考えます。

 全国保険医団体連合会によるアンケート調査では、82%が「カード利用に不慣れな患者への窓口対応の増加」、74%が「システム不具合時に診療継続が困難」、94%が「暗証番号ふくむ高齢者施設のカード管理ができない」と懸念を示しています。医療窓口ではオンライン上での資格確認が義務付けられ、医療機関は専用システムの機材導入も強いられます。この場合、認知症者や障害者の申請手続きや暗証番号を忘れた場合の対応、取得や管理ができない要介護者らへの対応はどうするのでしょうか。また、専門家は申請漏れなどで「無保険者」が多数生まれかねないと指摘しています。すくなくともマイナンバーカードに紐づけされた保険証を持たない被保険者に対しては、区が職権で「資格確認書」を本人に届けるべきではないではないでしょうか、お答えください。

 2月に実施された社会保障審議会医療保険部会による「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」の中間とりまとめでは、成年被後見人や後期高齢者、障がい者など困難を抱える申請者に対して手続きの緩和策や柔軟な対応策を示しています。手続きを簡略にすれば、当然それだけ個人情報の保護がおろそかになることは言うまでもありません。別々の機能を持ったカードを無理やり一体化すれば、さまざまな不都合が生じることはこれだけを見ても明らかではないでしょうか。

 トラブルが続出するマイナンバーカードに対して、政府は「高いセキュリティ対策を講じている」と強弁しますが、いまや「安全」の論拠は完全に崩壊しています。原因究明もおぼつかず、問題をうやむやにしたままマイナンバーカードの使途拡大を強行することは論外です。区はマイナ保険証のシステム運用を中止し、来年秋に予定されている保険証の廃止を撤回するよう政府に求めるべきです。このことを最後うかがい、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【鳥井区民部長】次に、マイナンバー制度についてお答えします。

 マイナンバー制度は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現するための社会基盤です。

 制度の安心・安全を確保するため、いわゆるマイナンバー法において、利用事務の制限や罰則の強化が図られています。システム面では、通信の暗号化のほか個人情報を一元管理せずに各情報を保有する機関が分散管理するなど様々なセキュリティ対策が講じられています。

 区においても、マイナンバーを利用する住民基本台帳ネットワークシステムの自己点検を毎年実施し、セキュリティ対策や運用状況を確認しています。

 マイナンバーカードは、顔写真付きの本人確認書類として活用できるだけでなく、搭載されたICチップを利用してオンライン上で安全かつ確実に本人であることを証明できるため、各種行政手続きのオンライン申請や、住民票の写しなどのコンビニ交付、民間のオンライン取引などデジタル社会に必要なツールとなっています。ICチップには税情報などプライバシー性の高い情報は記録されていません。不正に情報を読みだそうとすると自動的に記録を除去する機能など高い安全性が担保されています。

 先般、他自治体において証明書のコンビニ交付システムの不具合により、誤交付が発生しました。練馬区のシステムは不具合の発生した自治体のシステムとは仕組みが異なりますが、より安心してサービスを利用いただくために改めて点検を行い、同様の誤交付が発生しないことを確認しました。

 引き続き、情報システムのセキュリティ対策の強化を図りながら、マイナンバーカードの普及促進と利活用を進めていきます。

 次に、マイナンバーカードの保険証利用ついてです。

 各保険者は、マイナンバーと加入者のデータを紐づけ、オンライン資格確認等システムに登録しています。区の国民健康保険は、氏名、住所、生年月日、マイナンバーが一体化した区の住民基本台帳ネットワークシステムに国民健康保険の資格情報を自動的に連動させ、紐づける仕組みとなっており、現時点で誤った紐づけはありません。

 マイナンバー法等の改正により、令和6年秋に健康保険証が廃止されます。マイナンバーカードを利用できない方に対しては、保険者が申請に基づき、資格確認書を交付します。国は、制度開始当初の経過措置として保険者が必要と認めるときは、申請によらず交付できるよう既に検討を進めています。

 引き続き、国の動向を注視しながら、健康保険証との一体化後も、必要な保険診療が適切に受けられるよう取り組んでまいります。国に保険証の廃止について撤回を求める考えはありません。私からは以上です。

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