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REPORT

2023年 第1回定例会一般質問 島田拓(2023年2月9日)

2023年 第1回定例会一般質問

2023年2月9日

日本共産党練馬区議団

島田 拓

 

 日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

          防災対策について

 はじめに防災対策についてお聞きします。今年は1923年9月に起きた関東大震災から100年の節目の年です。先月17日は阪神淡路大震災から28年、来月は東日本大震災から12年にあたります。多くの犠牲と被害を出した大震災の痛苦の教訓に学び、いのちと暮らしを最優先にする政治がより求められています。

 第一は、1981年以前に建設された旧耐震基準の住宅や防火造の住宅への対応についてです。耐震改修への助成実績は2021年度までの5年間で150件程度にとどまっています。なぜ耐震化が思うように進まないのか、区はその理由をどう認識していますか。

 改修を必要とする家に住んでいる方は高齢者が多く、古い家ほど大掛かりな改修工事が必要です。しかし、耐震改修で助成される金額は最高130万円程度、建て替え助成では225万円程度と安く、それだけで耐震工事を実施することは難しいのではないでしょうか。

首都直下型地震が「30年以内に70%程度おこる」とされるなかで、耐震補強の一環として2階の減築や寝室補強など、区独自でも様々なメニューをつくり、手厚い相談体制と合わせて制度を拡充する必要があると考えますが、区の見解をお聞かせてください。

 第二に、危険なブロック塀の撤去と感震ブレーカーの設置についてです。ブロック塀は倒壊危険度Aランクが区内に1700件、Bランクが18000件確認されています。2019年10月から撤去助成を開始していますが、それぞれわずか150件程度の実績しかありません。私たちが相談に乗ったケースでも、「助成が撤去に限られており、改築時のタイミングでないとなかなか現実的な検討ができない」と話す住民が多くいました。より使いやすい制度に改善するためにも撤去費用だけでなく、新設に関しても自己負担を軽くするような制度を作るべきではないでしょうか。

 通電火災に有効だとされる感震ブレーカーについて、練馬区は2017年から斡旋販売をしてきました。昨年秋までの実績は、分電盤型で累計16件、簡易型で44件にとどまっています。来年度からの東京都の施策を注視しつつ、区独自に無料配布や設置助成などの取り組みを行う必要があるのではないでしょうか。区の見解を聞かせてください。

 第三は、桜台東部地区に代表される道路ありきの防災施策のあり方についてです。

 「桜台東部地区重点地区まちづくり計画」において強く感じるのは、命を守る目的が後景に追いやられ、3本の道路整備計画にすり替わっているのではないかという点です。

 住民説明会等では、教訓として阪神淡路大震災が示されましたが、阪神淡路大震災で亡くなった人のほとんどは家屋倒壊による圧迫死であったことや通電火災が多かったことも分かっています。ところが「桜台東部地区重点地区まちづくり計画」では、そうした家屋倒壊や通電火災に対する最も効果的な対策ではなく、なぜか関係のない3本の防災道路を整備する計画が大きな柱の一つになっています。

 拡幅が予定される1~3号線にかかる道路計画線上の世帯数は1000世帯以上にのぼることから、用地買収だけでも相当な額になると予想されます。阪神淡路大震災の教訓を活かすというのであれが、多額の予算をかけて道路を整備するよりも、むしろ耐震改修やブロック塀の撤去、感震ブレーカー等の施策こそ最優先し、さらに拡充すべきではないでしょうか。お答えください。

 現地住民らで組織する「考える会」は用地測量に応じないよう呼び掛けるなどしており、拡幅計画自体に反対しています。

 さらに住民説明会では、道路整備によって地域に交通量の増加を呼び込み、住環境や安全がおろそかになることへの懸念の声も多く上がりました。

 区は「交通量はあまり増加しないと見込んでいる」と回答するも、定量的な調査はしておらず、交通量の変化を科学的に検証することは今もしていないことは問題です。住民合意、交通量に関して2点、区の見解をお聞きます。

 住み慣れた自宅で生活しつづけたいと願う住民からは、計画によりコミュニティーの分断などを心配する声もあがっています。まちづくりは地域の理解が不可欠です。防災意識の向上にむけた取組みや啓発活動も十分にやってきたとは言えない中、道路開発ありきは見直し、地域の意見をよく聞き、情報開示を誠実に行うなど、合意形成に不断の努力をすることこそ区に求められていると考えますが、区の見解をお聞きします。

【宮下技監】私から、住宅の耐震化および桜台東部地区のまちづくりについて、お答えします。

 首都圏では、大地震の発生が懸念されており、建物の倒壊による被害の拡大を防ぐためには、耐震化を進めることが極めて重要です。

 区では、平成19年当初の耐震改修促進計画策定時から、旧耐震基準の住宅について、耐震改修の重要性の周知や改修経費の助成等により、耐震化の促進に取り組んでいます。

 区内の住宅の耐震化率は、当初計画策定時、約76%であったものが、改訂時の平成27年度には85%、令和2年度では92%と着実に耐震化が進んでいます。

 旧耐震基準の住宅は、築40年以上が経過し、助成を受けての耐震改修のみならず、建替えや大規模修繕などによる耐震化も進んできています。耐震改修に至らない住宅については、耐震改修の緊急性に対する理解や経費の負担などが、課題となっています。

 区では、区内の全ての旧耐震基準の住宅に対して、耐震改修の必要性や助成制度の案内を配布するとともに、専門家による相談会の開催や耐震総合窓口を設置するなど、随時区民の方々の相談に応じています。令和3年度からは、住宅の耐震改修の助成金を増額し、耐震化の促進に取り組んでいます。

 また、経費の面から住宅の耐震改修が困難な方に向けては、建物倒壊時においても人命を守る耐震シェルターや防災ベッドへの助成を行っていますが、利用を希望する方は少ない状況です。

 桜台東部地区は、老朽木造住宅が密集し、狭あいな道路が多く、大規模な地震が発生した際には、建物の倒壊や延焼被害が懸念されます。

 本地区では、防災まちづくりを推進するため、地域の皆様と協議を行い、昨年9月に重点地区まちづくり計画を策定しました。災害に強いまちを実現するため、様々な取組みを行うことを定めています。

 来年度から、防災意識の向上のためのニュースの配布やイベントの開催、事業促進のためにブロック塀等の撤去助成費の拡充、従来の住宅耐震改修助成に加えて、除却・建替え費の助成を行うとともに、密集事業に着手し、防災道路の整備に向け、現況測量を実施します。

 震災時における被害を軽減するためには、緊急車両が円滑に通行、消化・救援活動ができる防災道路の整備が不可欠です。地区内に存在する消防活動困難区域を解消するため、3路線の拡幅整備の計画を地域の皆様にお示ししています。

 計画に関するアンケート調査では、回答いただいた方の内、拡幅整備が必要と回答した方が8割を超えています。拡幅路線の沿道の方は、条件付きも含め現時点で6割を超える方が整備に協力できると回答しています。

 拡幅整備する防災道路は、計画幅員6メートルの一般的な生活道路であり、広域ネットワークを形成する幹線道路のように、通過交通量を推計する類の道路ではありません。幅員6メートルの生活道路の整備を、道路開発との表現やコミュニティーの分断とのご摘は当たらないものと考えています。

 引き続き、地域の皆様のご意見を伺い、地域の皆様とともに防災まちづくりに取り組んでまいります。私からは以上です。

【枚田危機管理室長】私から、防災対策についてお答えいたします。

 区は、危険なブロック塀等の所有者への戸別訪問を行い、撤去を促進しています。撤去費用の助成は、令和3年度から拡充しています。限度額を設けないなど、他区と比較しても利用しやすく、自己負担の軽減につながっています。また、撤去にあわせて生け垣やフェンスの緑化をする場合には、設置費用の助成額の引き上げも行っています。

 都は、来年度、木造住宅密集地域においてコンセントタイプの感震ブレーカーを配布すると聞いておりますが、事業の詳細については、明らかになっていません。

 区では、感震ブレーカーは、通電火災防止につながるものと認識しており、防災用品として割引価格であっせんしています。設置にあたっては、機種ごとの様々な特徴を理解し、各家庭の状況に応じた機種を選択していただく必要があります。

 引き続き、防災学習センターの発災体験ツアーなど、様々な機会を捉えて、区民の皆様に丁寧に説明し、普及啓発に取り組んでまいります。私からは以上です。

          事業者支援について

 次に事業者支援についてです。

 いま、物価高騰が国民の暮らしに深刻な影響を与えています。12月の消費者物価指数は、約41年ぶりに前年同月比で4.0%の上昇。物価高騰は電気代やガス代にとどまらず、食料品など様々な品目に及んでいます。内閣府が先月公表した、「国民生活に関する世論調査」の結果によると、政府が力を入れるべき施策を複数回答で尋ねたところ、物価対策は64.4%で、前回2021年度調査の32.9%から倍増しています。

 練馬区でも物価対策を強化する予算が求められていますが、2023年度の予算をみると産業経済費は約55億、昨年度よりも増やしているものの、一般会計予算全体ではまだまだ少ない1.8%です。しかも、その内訳は、ビジネスサポートセンターの相談体制の強化や、商店街のデジタル化、プレミアム付き商品券事業やキャッシュレス決済ポイント還元などです。区は区独自の貸付制度として、緊急経営支援特別貸付を行い、来年度は借換え特別貸付と共に9月末まで延長するとのことですが、区内の中小・零細事業者を支援する直接的給付事業は一切盛り込まれていません。

 区内で建設業を営む男性は、コロナ禍で仕事が激減し、燃料費・資材費等の高騰などで厳しい経営を迫られてきたといいます。区内のある事業者団体の職員は、事業者向けの支援というのは、国保や介護の減免くらいで、本当に無い、それも2021年度に対して所得が3割減でないと計算式に当てはまらず、実態にそぐわない、使えない支援だといいます。

 区は、昨年秋に区内5,000事業者を対象とした実態調査を行っていますが、そこからどういった課題や支援策が見えてきたのか、また、調査結果を踏まえ、来年度予算にどう反映させたのか2点、お答えください。

 気仙沼市では市独自に、昨年の7~12月までの半年間の支払済みの電気料金への支援を実施し、葛飾区では、減収等の要件はなく区独自で個人事業主に3万円、法人に15万円の緊急対策支援金を交付するということです。区としてもこうした幅広い支援を行うべきです。いかがでしょうか。

 政府が、今年10月から導入を予定しているインボイス制度は、小規模な事業者やフリーランスなど、数百万人もの人々に深刻な負担をもたらします。インボイス制度について区は、「課税事業者になることも免税事業者を継続することもでき、免税事業者を継続しても売上先が消費者または免税事業者であれば、取引への影響は生じない」と述べています。しかし、消費者や免税事業者のみを取引先とする事業者はどれほどいるでしょうか。小さな飲食店でも接待で利用されたり、個人タクシーでも仕事の足として利用されることは起こりえます。しかし、免税事業者のままではインボイスが発行できないため、食費やタクシー代を経費に計上できないからと、結果的に利用を避けられてしまう危険性があるのです。課税事業者になることについても区は、「消費税率や消費税額がインボイスに記載されるため、価格に消費税の転嫁がしやすくなる」といいます。しかし、大手は別として力の弱い中小零細事業者やフリーランスは、価格に転嫁できないか、その分、元請けから値引きを余儀なくされることが考えられます。「インボイス制度を考えるフリーランスの会」代表でライターの小泉なつみさんは、「インボイスとは税率変更を伴わない消費税増税であり、弱い人に負担を押し付けあう制度」だといいます。これまでの区の答弁を聴いていると、消費税のインボイス制度が実施された場合の影響について、深刻な問題と認識していないこと、実態から背を向けていること、そもそも制度をきちんと理解していないのではないかと思わざるを得ませんが、区の認識を伺います。

 インボイスが導入されれば、財務省の試算でも、年間売り上げ550万円、利益150万円の事業者に15万円もの増税になります。1カ月以上の所得が増税で消えることになり、生活と生業を脅かすレベルです。

 多くの中小業者の団体が中止や見直しを求め、地方議会での意見書採択が389自治体に広がっています。区としても国にインボイス制度の導入は中止・廃止することを求めるべきです。答弁を求めます。

【関口産業経済部長】私から、事業者支援についてお答えいたします。

 今年度、区が行った事業所実態調査では、コロナ禍による経営悪化からの脱却や、物価上昇による収益の低下など、様々な経営課題が明らかになりました。

 こうした事業者を支援するため、4月から練馬ビジネスサポートセンターの中小企業診断士を増員して、総合相談体制を強化します。事業者の課題を共に考え、中長期的な経営戦略の策定実行を継続的に支援してまいります。

 コロナ禍や物価上昇等による経済への影響が長期化するなか、事業者への継続的な支援が必要と考え、区が独自に取り組んできた借換特別貸付と緊急経営支援特別貸付を今年9月末まで延長します。事業継続の下支えとなるよう、資金繰り支援に取り組んでまいります。

 また、来年度もキャッシュレス決済ポイント還元事業を実施するとともに、練馬区商店街連合会が実施する30%のプレミアム付商品券事業を支援します。

 コロナ禍と物価上昇により経営に影響の出ている介護・保育等の施設経営を支援するため、これまでに施設等運営支援臨時給付金を約400件支給しており、来年度も引き続き実施します。

 こうした様々な取組により、引き続き、区内事業者を支援してまいります。

 次に、インボイス制度についてです。

 消費税の複数税率に対応するため、仕入税額控除の方式として、インボイス制度が今年10月から導入されます。

 国は、制度の導入にあたり、免税事業者がインボイス発行事業者を選定した場合の納税額軽減措置や、課税売上が一定額以下の事業者への事務負担の軽減措置、登録申請手続きの緩和措置など、免税事業者や小規模事業者等への配慮や負担軽減を図っています。加えて、小規模事業者が不当な取扱いを受けないよう、独占禁止法等に基づく調査の実施や相談対応等も行うものとしています。

 国は、こうした様々な措置を講じており、現在の免税事業者等が、制度を十分に理解した上で対応できるよう、周知を行うことが重要と認識しております。区では、これまで、区報や区ホームページ等への掲載、関係団体へのチラシの配布等を行ってまいりました。更に練馬ビジネスサポートセンターにおいても、セミナーや動画配信などで周知啓発に努めるとともに、区内事業者からの制度に関する相談に応じるほか、産業情報誌「ネリマデ」で特集記事を掲載し、丁寧に案内しております。

 引き続き、税務署や区内経済団体等と連携しながら、インボイス制度の周知に取り組むとともに、区内事業者の事業活動を支援してまいります。

 国にインボイス制度の中止・廃止を求める考えはありません。私からは以上です。

          (仮称)「取り組み強化プラン」について

 次に(仮称)「取り組み強化プラン」について伺います。

 区は、グランドデザイン構想を実現するため、「第3次ビジョン」を来年度に策定するとし、今年度は「取り組み強化プラン」を策定するとしています。

 取り組み強化プランは、人口減少や混沌する経済情勢など、先行きが厳しい状況のもとでも政策を実現する具体的な仕組みや態勢を強化するとしています。

 少子高齢化の進行で社会の担い手が少なくなる中、新たな課題に対応することは重要です。同時に、高齢化や人口減少を打開する手立てに練馬区が率先して取り組むことも求められているのではないでしょうか。

 区は少子化の主な原因は、未婚化、晩婚化と有配偶出生率の低下にあるとし、背景には経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさなど、個々人の問題にフォーカスしています。

 しかし、問題は、なぜそうした状況が作り出されてきたかです。それは経済的な不安定さの原因となってきた非正規雇用の推進や長時間労働、重い教育費の負担、「政治」や「経済」分野でのジェンダー不平等があるからです。今こそ、こうした問題の是正に国が本気で取り組むことが必要ではないでしょうか。区の認識を伺います。

 一方で、地方自治体が独自にできることもあるはずです。足立区では、就学前から高校生・大学生までの切れ目のない支援を行うとして、高校生応援支援金や返済不要の給付制奨学金を来年度から開始するとしています。

 兵庫県・明石市では、「5つの無料化」と銘打って、第2子からの保育料や学校給食費などを所得制限なく無料化するとともに、全小学校区に子ども食堂を展開するなど、子どもに寄り添う施策を実施し、「子どもを核としたまちづくり」に取り組み、2011年には1.5だった合計特殊出生率は2018年には1.70まで上昇しています。

 区長は、様々な分野で、数々の「練馬区モデル」を立ち上げて、全国自治体を先導する多くの政策を実行してきたといいます。そうであるなら来年度予算から人口減少を克服するためにさらなる手立ても盛り込むべきです。お答えください。

 プランでは、若手や中堅職員の昇任意欲の低下・労働力人口の減少による人材確保の困難などのもとでも改革を進める人材を育てるため、職員のキャリアプランを応援する体制・外部人材の採用強化に取り組むとしています。

 こうした取組も必要ですが、これまで職員定数を削減し続けてきたことにも顧みる必要があるのではないでしょうか。朝日新聞が2012年から10年連続で昇任試験を実施している自治体を取材したところ、「試験勉強する時間がない」「これ以上忙しくなったら家庭での時間が取れない」といった理由から受験を避ける例が増えていると報道しています。

 区では、過去4回にわたって定数管理を行い、約1,100人の職員削減を進めてきました。新たな社会課題への対応が求められる中で、職員数を増やさなければ、一人当たりの業務負担が増えるのは当然です。抜本的に常勤職員の数を増やし、負担を軽減すべきです。答弁を求めます。

 プランで述べているのは、人材育成について常勤職員についてのみです。しかし、区の業務を支えているのは、常勤職員だけでなく、約2600人の会計年度任用職員や特別職も含まれています。改革を進める人材を育てるというのであれば、会計年度任用職員も含めキャリアプランやワークライフバランスを描けるように取り組むべきです。いかがですか。

自治労連が行った会計年度任用職員を対象にしたアンケ―ト調査では、「賃金を上げてほしい」「毎年賃金を上げてほしい」「継続雇用にしてほしい」など制度の改善を求める声が多数寄せられています。

 そもそも労働契約法では、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みによって、期間の定めのない無期労働契約に転換できるとしているのに、会計年度任職員は適用除外としていることに問題があります。世田谷区などのように5年毎の公募はやめて、雇止めの心配なく働ける環境をつくるとともに、一定期間継続して任用してきた場合には、任期の定めのない職員として位置付けるよう国へ法整備を求めるべきです。お答えください。

 また、募集中の職種の中には最低賃金と同水準の報酬となっているものがあります。この間、全国で取り組まれた最低生計費調査では、「ふつうの暮らし」を送るためには時給1500円以上必要との結果が出ています。会計年度任用職員の報酬を時給1500円以上に引き上げるべきです。区の考えを伺います。

 この間、指摘してきたように介護保険認定調査員のように、恒常的で基幹的な業務も会計年度任用職員が担っている事自体が問題です。杉並区の岸本区長は、都政新報のインタビューに「会計年度任用職員を雇用の調整弁にするような考えを当たり前にしてはいけない。業務内容を踏まえ、常勤職員と会計年度任用職員の配置バランスを精査し、本当に必要なら正規職員を入れないといけない」と答えています。

 複雑化する社会課題に対応するためにも、希望する会計年度任用職員の常勤化や、常勤専門職を推進すべきです。お答えください。

【前川燿男区長】お答えいたします。(仮称)取組強化プランについてです。

 ロシアのウクライナ侵略によって世界情勢が不安定化し、景気後退が懸念されています。我が国は、赤字国債の発行を重ねた結果、国と地方を合わせた債務残高がGDPの二倍を超え、長期金利や物価の上昇が、国民生活や国家財政に及ぼす影響が危惧されています。今、世界も日本も、大きな分岐点を迎えています。

 練馬区も例外ではありません。社会保障費をはじめとする義務的経費が五割を超えるなど、予断を許さない財政状況が続く一方で、老朽化した区立施設の更新、都市インフラの整備など、課題が山積しています。コロナ禍や物価上昇による区民生活や事業活動への影響も続いています。

 こうした厳しい状況にあるからこそ、区はこれまでの政策を継続・発展させ、グランドデザイン構想でお示しした将来像を実現すべく努力しなければなりません。

 実現に向けた政策展開は、来年度策定する「(仮称)第三次みどりの風吹くまちビジョン」で明らかにします。これに先立ち今年度は、「区民協働」「DX」「人事・人材育成」の3つの柱による「(仮称)取組強化プラン」を策定し、政策を実現する具体的な仕組みや態勢の強化に取り組みます。

 私からは以上です。そのほかの質問につきましては、技監および関係部長から答弁いたします。

【小暮こども家庭部長】私から、少子化についてお答えします。

 区はこれまで、子ども・子育て支援施策を重要政策のトップに掲げ、妊娠期から子育て期までの切れ目のないサポート、家庭で子育てをする保護者への支援充実、保育所待機児童の解消、子どもたちが健やかに成長できる教育の充実などに取り組んできました。

 また、幼保一元化施設である練馬こども園や練馬こどもカフェの創設など、様々な区独自の取組を実施してきたところです。

 令和5年度一般会計当初予算案では、教育・子育て関連施策の予算は、全体の36.6%を占め、前年度と比較して、49億円増と充実を図っています。

 少子化対策は、安心して子供を産み育てられ、子どもたちが健やかに成長できる環境が整備され、それぞれの家庭が子育てのかたちを選択できる社会を目指すものでなければなりません。このため、出産、育児、教育、労働政策などを含めた総合的な政策として国が取り組むべきものと考えています。

 出産・子育て応援交付金事業を国や都と連携して行うなど、住民に最も身近な自治体である区として担うべき子育て支援の充実に取り組んでまいります。私からは以上です。

【小渕人事戦略担当部長】私から職員定数および会計年度任用職員についてお答えします。

 はじめに、職員定数についてです。

 区では、平成29年12月に策定した「職員定数管理計画」に基づき、職員定数の適正化に取り組んでいます。この計画は、人口が同規模の他区に比べて高い比率にある福祉系・技能系職員の職種構成を見直し、効率的な執行体制を確立することを目的に策定したものです。計画では、生活保護やまちづくりなど、行政でなければ担えない役割を徹底して果たしていくため、5年間で事務・技術系職員などの定数を150増やし、委託等の推進により福祉系や技能系職員などの定数を350削減することとしています。これまでの取組により、福祉事務所や都市整備部、子ども家庭支援センターなどの定数は増やし、保育園や学校の調理・用務業務などの定数は減らしてきました。今後も、職員定数の適正化に取り組んでいきます。

 次に、会計年度任用職員についてです。

 会計年度任用職員制度は、従来の臨時・非常勤職員の任用および処遇上の課題等に対応するため、創設されたものです。区では、制度改正の趣旨や総務省から発出された「事務処理マニュアル」に沿って制度を構築し、期末手当の支給や、一部の職について報酬額を引き上げるなど処遇を改善し、現在まで適正に運用しています。

 任用における成績主義や平等取扱いの原則から、公募によらない無期限の任用を行うことは適切ではないため、任用の上限回数を撤廃する考えはなく、無期限の雇用に転換できるよう国に法改正を求める考えもありません。報酬については、人事委員会勧告に基づく改定や、人材確保を目的とした改定を行っています。会計年度任用職員の職は、職務の内容や責任の程度・度合いを、常勤職員の職と異なる取扱いとしており、職を常勤化する考えはありません。

 区や特別区、専門機関が実施する研修は、会計年度任用職員も受講対象としています。研修の受講により、それぞれの職員が持つ専門的な知識・経験が広がり、結果的にキャリア形成につながっていると考えています。また、ワーク・ライフ・バランスに資するよう、会計年度任用職員に対し、休暇制度や出産・子育て制度などの周知も図っています。私からは以上です。

         住宅への支援について

 次に住宅への支援についてです。

 私たちはこの間、公営住宅の増設を求めてきました。これに対し区は、国の基準を基に公営住宅への入居を必要とする要支援世帯数の将来推計を行い、必要住戸数を満たしているとして、増設には後ろ向きです。しかし、実際には、応募倍率が3桁を超えていることも少なくありません。なぜ区の主張とは異なり、需要と供給の間に大きな乖離が生まれているのでしょうか、その理由をお答えください。

 区の将来推計は、世帯年収及び居住面積の困窮状況に応じた4つの類型にわけ要支援世帯数を算出していますが、この推計は国の計算式に機械的に当てはめ算出しているだけで、具体的なモデルケースがあるわけではありません。年齢や障がいの区分もなく、実態に即していないのではないでしょうか。お答えください。しかも都営住宅の場合、改築や災害時に活用するために一定のストックを確保しており、すべての住戸が活用されているわけではありません。

 区は、公営住宅を増やさない二つ目の理由として、住宅のストック数が充足していることを挙げていますが、こうした住宅の活用をどのように広げていこうと考えているのでしょうか。民間住宅は家賃が高いうえ、安い住宅ではバリアフリー化されていない物件が多く、孤独死などのリスクを恐れ、高齢者世帯の入居が拒まれるケースも多いなど、民間住宅への入居は、高齢者や障がい者にとっては大きなハードルとなっています。もし民間住宅のストックを活用するというのであれば、家賃補助を行って、家賃を引き下げ、ゴミ屋敷や孤独死、バリアフリーなどに対応するための支援を強化し、多くの人たちが利用しやすい環境を作ることが必要ではないでしょうか。それが難しいというのであれば、やはり公営住宅をもっと増やすべきです。2点お答えください。

 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律では、公的賃貸住宅として公営住宅などと並んでUR賃貸住宅や公社住宅が位置づけられています。この法律の趣旨に従えば、URや公社住宅はセーフティーネットの役割を果たさなければなりません。

 ところがURの場合、家賃補助を行うのは、若年世帯や子育て世帯が多く、しかも期間限定です。高齢者向けには、高齢者向け優良賃貸住宅がありますが、戸数が少ないうえ、引越が必要です。URについては、都市再生機構法第25条4項で「居住者が高齢者、身体障害者その他の特に居住の安定を図る必要がある者でこれらの規定による家賃を支払うことが困難であると認められるものである場合…は、家賃を減免することができる」と明記までされています。しかし、実態が伴っていません。

 東京都住宅供給公社住宅も、病気や障害、高齢などによって低所得者となった場合に十分な家賃を減額する制度がありません。こうしたことから高齢になって年金と貯金だけではまかないきれず、出ていかざるを得ない状況が生まれています。ある高齢者世帯は収入が少なく、地縁のない青梅市に引っ越していきました。

 こうした中で、全国公団住宅自治会協議会や公社住宅自治会協議会を中心に家賃の引き下げを求める運動が長年にわたって行われています。しかし、URも東京都もこの声に応える姿勢は見られません。これに対し、各政党から全国公団自治会協議会に連帯の声が寄せられ、自民党からも「高齢化や低所得化等の構造的課題はもとより、住宅セーフティーネット機能の強化や子育てにやさしい住まいの実現に努めていく」という声が寄せられています。

 区としても一法人だからとの立場ではなく、公的住宅としての役割を果たすよう、URや東京都に家賃補助や引き下げなどを求めるべきではありませんか。お答えください。

 いま年金だけでは生活できず、都営住宅に高齢者が集中し、逆にURの賃貸住宅は、経済力の低い高齢者が住みつづけることが困難な状況となっています。とりわけ物価高の中で厳しい生活を強いられている区民の暮らしを支えるためにも、区として何らかの対策を行うことが必要ではないでしょうか。お答えください。

【池上建築・開発担当部長】私から、住宅施策についてお答えします。

 昨年4月、練馬区営住宅長寿命化計画を改定いたしました。改定にあたり、公営住宅への入居を必要とする世帯数の将来推計を行った結果、区内の公営住宅は必要戸数を満たしていると判断しています。

 公営住宅は、年齢や障害の有無等にかかわらず、住宅に困窮する低額所得者に対し、低廉な家賃で住宅を提供することが目的であることから、収入区分により必要戸数を推計しているものです。

 立地や築年数等により、応募の倍率が高い住宅がある一方、募集戸数に満たない住宅もあります。特定の住宅の倍率が高いことをもって、需要と供給に乖離があるとの考えはあたりません。

 国の統計資料によれば、住宅のストック数はすでに充足し、区内においても空き家が見うけられます。既存の住宅の有効活用が肝要であることから、区営住宅や都営住宅など公営住宅の新たな建設は必要ないと考えます。

 住まいは、生活の基盤として個人の責任で確保することが基本です。しかし、民間賃貸住宅では、高齢者や障害者が入居を拒まれる場合があります。このため、区は、民間賃貸住宅への円滑な入居を支援する住まい確保支援事業を実施しています。高齢者などの住宅確保要配慮者が入居可能な専用住宅に対しては、バリアフリー化や家賃の低廉化に係る補助制度を設けております。引き続き、住宅困窮者への支援を行っていきます。

 UR賃貸住宅においては、住宅セーフティーネット法の趣旨を踏まえ、既に家賃減額等の措置を行っています。都は、住宅に困窮する低額所得者には都営住宅を、一定の所得基準以上の世帯には公社住宅を提供しています。

 それぞれの役割分担のもと、入居基準を定めていることから、家賃の引き下げ等を要請する考えはありません。

 区は、物価上昇等による生活への影響を緩和するため、生活支援臨時給付金等、区独自の支援を実施しています。生活困窮者への支援については、引き続き、国や都の動向を中止し、関係部署と連携しながら取り組んでいきます。私からは以上です。

          女性差別撤廃条約選択議定書の早期批准について

 次に、女性差別撤廃条約選択議定書の早期批准についてお聞きします。

 1979年に国連で女性差別撤廃条約が採択され、日本でも男女雇用機会均等法や国籍法改正など、国内法を改正する条件整備が行われ、1985年に条約を批准しました。

 1999年にこの条約の実効性を強化するため、「選択議定書」が国連で採択され、条約締約国の189カ国の内、115カ国がこれに批准しています。しかし、20年以上を経た今も日本はこれに批准していません。条約と議定書は車の両輪であり、条約を批准しながら選択議定書を批准しないのは、法律はつくるが、これを守らないと言っているようなものです。

 選択議定書には、条約に保障された権利を侵害されたとき、女性差別撤廃委員会に通報し救済を申し立てられる個人通報制度と、女性差別撤廃委員会が条約に定める権利の侵害があるとの情報を得た場合、当該国を調査し、意見・勧告を送付する2つの手続きがあります。こうした制度を利用し、すでに40カ国から174件が登録され、うち42件で国の条約違反を認定。自国の法律では正せなかった権利侵害を正す事例も生まれるなど、選択議定書の実効性を担保するものとなっています。

 日本の関係省庁では、選択議定書について、議定書が発効された当初から、「個人通報制度は条約実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目している」「受け入れは日本の司法制度、立法政策との関連、実施体制との検討課題があるとして真剣に検討する」との考えを述べられていました。

 しかし、現在議定書が発効されてすでに22年。日本は未だ批准には至っていません。これは政府が、女性差別撤廃委員会による女性の権利侵害を認める決定を受けるかもしれないと懸念しているからです。

 その根底に根深い家父長的な家制度に基づく日本の遅れた社会構造があり、政治や経済分野において女性が意思決定に参画することができないからだと考えますが、区は、日本が選択議定書を批准できない原因はどこにあると考えていますか、お答えください。

 日本のジェンダー・ギャップ指数は、「156か国中116位」、G7や東アジア・太平洋地域では最下位となるなど最低レベルで、世界の物差しで見ると、日本が「女性の権利、ジェンダー平等の後進国」であることはもはや明らかです。

 実際、日本社会では、痴漢やセクシャルハラスメント、DVなどが大きな問題となり、コロナ禍においても、女性の多い非正規労働者が調整弁のような扱いを受け、低賃金が当たり前になっているなど、男女間の不平等な扱いが絶えません。

 こうした中で、条約上の権利侵害を訴え、最高裁まで争っても救済されない多くの女性たちが選択議定書の批准を心待ちにしています。

 選択議定書の批准は、人権の問題であり、女性だけの問題ではありません。女性の人権が保障されることは、ひいてはすべての人が生きやすい社会をつくるということです。

 最近の国会での法務省審議官の答弁では、「個人通報制度の受け入れについて、日本の司法制度と必ずしも相いれないものではない」とし、法務大臣も「どこかで結論を出さなきゃいけない問題」だとしています。こうした言葉を具体化する意味でも区として、選択議定書を早期に批准できるよう国に対して強く意見をあげるべきです。ご答弁下さい。

 以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【中田総務部長】私から、女子差別撤廃条約についてお答えします。

 昭和54年、女子差別撤廃条約が国連総会で採択されました。日本は昭和60年に批准し、男女雇用機会均等法の制定等が行われました。

 平成11年には、条約を補完するため、個人通報制度を含む「選択議定書」が国連総会で採択されています。

 個人通報制度は、条約が保障する権利が侵害され、裁判など国内の救済手続きを尽くしても救われなかった場合に、個人等が国連の女子差別撤廃委員会に直接救済を申したてられる制度です。委員会は申し立てを検討の上、見解または勧告を各締結国に通知する仕組みとなっています。

 個人通報制度の受け入れに当たり、国は、委員会の見解と日本の裁判所の確定判決の内容が異なる場合など、司法制度や立法政策との関連での問題の有無や、実施体制等の検討課題があるとしており、現在も様々な検討が行われているものと認識しています。

 令和2年12月に策定された国の第5次男女共同参画基本計画では、「諸問題の整理を含め、選択議定書の早期締結について真剣な検討を進める。」としており、引き続き、国の動向を注視してまいります。現時点で国に意見を申し上げる考えはありません。以上であります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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