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2023年 第1回定例会一般質問 有馬豊(2023年2月8日)

2023年 第1回定例会一般質問

2023年2月8日

日本共産党練馬区議団

有馬 豊

私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

         大軍拡・大増税について

 始めに、区長の基本姿勢として、国の大軍拡・大増税についての考えを伺います。

 いま日本は、「戦争か平和か」の歴史的岐路に立っています。岸田政権は昨年末、「安保3文書」の改定を閣議決定しました。これは、安保法制の「安全保障上の事態に切れ目なく対応できる枠組み」に基づき、「戦後のわが国の安全保障政策を実践面から大きく転換するもの」だとしています。内容も、「反撃能力」の名で敵基地攻撃能力の保有を宣言し、1959年の防衛庁長官の答弁で「憲法の趣旨とするところではない」とされた「平生(へいぜい)から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器」を持つということです。

 これは憲法9条が保有を禁止している「戦力」を持つことに他ならず、憲法違反そのものです。「安保3文書」には、「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならず」という一節がありますが、実際には、GDP比2%の軍事費をもち、長射程のトマホーク・ミサイルを大量配備し、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の「軍事大国」になります。まさに専守防衛をかなぐり捨てるもので、国民には大増税を押し付けようとしています。

 非核都市練馬区宣言には、「わが練馬区および練馬区民は、日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念を生かし」とあります。この立場に立てば、今回の「戦後の安保政策の大転換」は許されないものだと考えますが、区長の率直な考えをお聞かせください。

【中田総務部長】私から平和に関するご質問にお答えします。

 我が国の安全保障をどのように進めるかについては、国際情勢に関する十分な情報と周到な分析に基づく高度な政治判断が必要であり、区は意見を申し上げる立場にありません。

 区では、核兵器の廃絶を目指した非核都市練馬区宣言に基づき、区ホームページや便利帳などでの周知、非核都市宣言パネルの区立施設への設置、核実験やミサイル発射、ウクライナ侵略に対する区長の抗議声明、区議会の決議などを行っています。

 昨年八月には、平和祈念コンサートや戦時体験の講話、平和祈念パネル展を実施するなどの平和推進事業も取り組んでおり、引き続き、平和に向けた努力を行っていきます。以上であります。

         子ども子育て支援事業計画中間見直しについて

 次に、子ども子育て支援事業計画中間見直しについてです。

 この計画は、区が行う子ども子育て事業の年度別の需給計画です。区は見直しの方向性として、就学前児童人口が計画策定時よりも下振れしたことを理由に全体として保育や子育て事業の定員数の目標値を下方修正しました。

例えば、保育では、空きがほとんどない0~2歳児の定員数の目標値を2024年度9107人から8949人に減らしています。一時預かり事業でも時間帯によっては予約を取ることが難しい場合もあるのに、24年度で1152人減らしています。これで実態に合っているのでしょうか。

 昨年4月の時点で、認可保育所の入園を希望しながら入れなかった子どもの数は404人。その内、どの施設にも入園しなかった子どもは284人です。ニーズ調査では、「平日の定期的な教育・保育の事業を利用していない理由は何か」との問いに、22%の人が「利用したいが、教育・保育の事業に空きがない」と回答しています。こうした結果を見ると、区が考えるより保育を希望する保護者がずっと多いのではないでしょうか。

 ミスマッチも生まれています。ニーズ調査では、認可保育園を選んだ人のうち「幼稚園の預かり保育を利用できるとしたら利用したい」と答えた人は35%いる一方で、練馬子ども園を含む、幼稚園を利用している方のうち、「一番利用したいのは幼稚園ではない」と答えているのは27.6%に上ります。そして、保育園を利用している人のうち、「幼稚園の預かり保育を選ばなかった理由」として、「昼食準備が負担となる」と答えた人が8割と最も多くなっています。

 区内の預かり保育を行っている幼稚園では毎日の昼食の提供をしてない所もあり、提供している所でも別途料金が発生するため、利用をためらう大きな要因になっています。少なくとも練馬子ども園では、毎日の昼食を提供できるようにするとともに、区として保護者負担を軽減すべきです。お答えください。

 区は、少子化が深刻だと言いながら、実際には、子どもが少なくなることを前提とした計画になっています。待機児は解消されたと喧伝するのではなく、区民のニーズをしっかり調査し直し、子育てしやすい施策を打ち出し、少子化を改善していくことが求められています。答弁を求めます。

 実際の待機児対策を見ると、来年度新設される保育園は、谷原5丁目の一園だけで、定員は101人の増ですが、谷原保育園が今後廃園されれば、純粋に増えるのは6人だけで、一番待機児が懸念される1~2歳児の定員拡大はほとんどありません。これで本当に待機児ゼロを達成できるでしょうか。来年度増設する認可保育園の数を実態に合わせ増やすべきではありませんか。お答えください。

 待機児対策と合せて取り組むべきは保育基準の引き上げです。ニーズ調査でも、入園で希望する条件の1位は教員・保育士の質となっており、質の確保は保護者の強い希望です。認可保育園では、特に4~5歳児に余裕が出ていますが、こうした時こそ現在の保育機能を活用し、保育基準の引き上げに踏み出すべきです。

 この間、バス置き去りなど悲惨な事件も起きていますが、背景には諸外国と比べても大きく立ちおくれている保育士の配置基準があります。スウェーデンでは、4~5歳児の保育士1人あたり子ども6人という基準ですが、日本では、保育士1人に子ども30人で、1948年の児童福祉法制定時から70年以上変わっていません。置き去りを防止する安全装置の設置だけでなく、区として保育基準の抜本的な引き上げを国や都に求めるべきです。お答えください。

【小暮こども家庭部長】私から、子ども・子育て支援事業計画の中間見直しについてお答えします。

 令和4年12月にお示しした中間見直しの素案は、就学前児童人口が令和2年3月の計画策定当時の推計よりも1、797人少なくなっている状況、ニーズ調査結果や保育サービスの利用実績などを踏まえ、需要量と供給量を算出したものであり、今後の保育需要に対応できるものと考えております。

 区ではこの間、子ども・子育て支援事業計画を上回る、保育所定員枠の整備に取り組んできました。前川区長就任以来、待機児童ゼロを区政の最重要課題の一つに掲げ、全国トップクラスとなる8,000人以上の保育定員の拡大を実現し、2年連続で待機児童ゼロを達成しました。

 待機児童ゼロを継続するため、令和5年4月には、私立認可保育所の定員を485人拡大します。このうち、1歳児は99人、2歳児は102人増やします。

 令和6年4月は、少子化による就学前児童人口の減少や現在の空き定員の増加等の実態を踏まえて、谷原五丁目区有地の私立園1園の開設とする考えであり、認可保育所をさらに増設する考えはありません。

 次に、保育所の人員体制についてです。

 区では、従来から国の基準に上乗せし、保育士や看護師等を加配して保育を行っています。現時点で、保育基準の引上げを国や都に求める考えはありません。

 なお、練馬こども園では、各園の判断により、昼食を提供している園もありますが、今後も練馬こども園の拡大を図るとともに、昼食の提供を働きかけてまいります。また、低所得世帯などに対しては、既に月額4、500円を上限として副食費を補助しています。私からは以上です。

        給食費の無償化について

 次に、給食費の無償化についてです。

 2005年に食育基本法が施行され、食育は「食べることは生きることの基本」であり、頭、心、身体を育てる土台と位置づけられ、学校給食法では、食育の推進をうたっています。学校給食は教育の一環として実施されており、だからこそ練馬区でも一斉給食の実施や地場農産物の活用など学校における食育の生きた教材となる学校給食の充実を図る取り組みを進めてきたのではないですか。学校給食はそもそも義務教育の一環として捉えられると考えますが、区の認識を伺います。

 憲法26条の「義務教育はこれを無償とする」という規定に照らし、授業料や教科書は無償です。それは所得制限をなくすことで、全ての子どもたちに教育を受ける権利を保障し、子どもたちの成長にとって大きなマイナスとなるスティグマを作り出さないためです。義務教育は無償にという立場で、まずは最も負担の重い給食費の無償化を国が保障すべきであり、全額公費で負担すべきです。区の見解を伺います。

 いま23区では葛飾区に続き、品川区や北区が所得制限を設けない、恒常的な無償化の方針を打ち出し、検討をしている自治体が広がっています。このままいけば、自治体間に格差が生まれることになります。23区全体で給食費無償化について議論し、23区がまとまって、国に財源を求めることが望ましいと考えます。答弁を求めます。

 練馬区で給食費の無償化を実施した場合、年間25~27億円掛かる試算ですが、現在すでに生活保護や就学援助等で、公費で負担している分があります。それはどのくらいになるのかお聞きします。

 すでに負担している分を差し引けば、財源的なハードルは低くなります。深刻な物価高騰の中での子育て支援としても有効であり、貧困と格差を学校に持ち込ませないものです。台東区では一時的な無償化が行われます。練馬区も、基金を活用するなど一時的であっても無償化すべきです。少なくとも中学校の無償化から始めるなど本気の子育て支援に踏み出していただきたい。答弁願います。

【三浦教育振興部長】私から、学校給食費についてお答えします。

 学校給食は教育活動の一環と認識していますが、学校教育に関わる全ての経費が無償となるとは考えておりません。

 教科書は法律に基づいて無償で支給されていますが、教材費、就学旅行、体操服や中学の標準服などの経費は保護者の負担となっています。学校給食法においては、食材料費は保護者の負担と定められています。

 各区の対応が分かれていることから、現時点では、特別区がまとまって国に給食費の負担を求める動きはないと承知しています。

 生活困窮世帯に対しては、就学援助制度等による給食費の補助を行っており、昨年度の決算額は約3億9千万円でした。

 物価の急激な上昇を踏まえ、今年度から学校給食の食材料費に対する補助を開始しました。次年度も物価上昇が続くものと予測されるため、継続するための経費を当初予算案に計上しています。

 昨年1年間、我が国の出生数が初めて80万人を下回る見込みとなるなど、少子化が急速に進行するなか、子育て支援は喫緊の課題と認識しています。子育て世帯への負担軽減策について、学校給食への支援の拡充も含め、検討してまいります。私から以上です。

       コロナ対策について 

 次に、コロナ対策についてです。

 岸田首相が新型コロナの感染症法上の位置付けを、季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げると表明しました。5類に移行すれば、行動制限や入院勧告などの法的根拠がなくなり、医療の公費負担を段階的に見直す方針も明らかにしており、ワクチン接種等の自己負担も検討中です。患者の入院・外来診療、検査などの国民負担増も懸念される中、医療費の負担増によって受診控えが広がれば、患者の命と健康にかかわるとともに、感染拡大を抑制する上でも大きなマイナスです。区は国が3月上旬に出すガイドラインを参考にすると言いますが、支援物資の宅配など自宅療養者への対応や都の宿泊施設の確保など中身は明らかにされておらず、移行ありきで前のめりに議論が進み、基礎自治体もそこに無批判に従う姿勢を示していることは問題です。

 第1は、区長が所信表明で「国の方針決定を受け、適切に対応する」としていますが、5類への変更が出た場合、感染が広がり、区民の命と健康を守れないような状況になることは容易に予想できますが、それでも国の方針だからと従うのでしょうか。また、マスク着用も厚労省は、個人の判断に委ねる方向だといいますが、この間、区自身がマスクの有効性を認め、着用の徹底を呼び掛けています。どう対応しようと考えているのか。2点答弁を求めます。

 第2は、検査キットで陽性が発覚した場合の対応です。高齢者や妊婦、重症化リスクのある方は区内222カ所ある発熱外来で診察を受け、確定診断をもらい、発生届となる運びです。問題はその過程で感染者が急増した場合、発熱外来に電話が通じづらく、通じても予約がいっぱいだという実態が少なくないことです。私たちが相談を受けた高齢者は、検査キットでの陽性判明を受け、朝9時から何度も電話したが、ようやく繋がっても「今日の受付は終了。明日また電話して下さい」と言われた。他の病院でも「電話が込み合い、つながりにくくなっています」とのアナウンスが流れるばかりで諦めたとのことです。オンラインを活用した手続きもあり、高齢者だけでは対応が困難な場合もあります。なぜ適切に診療につながらない場合があるのか、理由と改善策をお示し下さい。答弁願います。

 第3は、高齢者施設内での感染拡大です。第8波の死者の9割以上が70歳以上の高齢者ですが、区内では昨年10月から年明けまでに144施設で感染が確認されています。

 全国では感染急増時で発熱外来はひっ迫し、治療にたどり着けず自宅で容態が急変するケースが続出しています。高齢者施設でクラスターが多発し、入院できず患者が施設に留め置かれたことが被害を広げています。病院では職員の感染や院内クラスターで病床ひっ迫と救急医療の崩壊が深刻になりました。区として医療機関や高齢者施設などへの支援を強化し、頻回検査と感染者の容態が急変しても治療を受けられない事態を生まない対策は5類移行後も引き続き取るべきです。答弁を求めます。

 コロナ禍が3年目に入る今でも、新たな感染の波が高まるたびに同じことを繰り返し、5類への移行を進めようとしています。そのうえ都は地域医療構想で病床を減らすことに力を入れ、都立・公社病院の独法化で機能低下を推進しています。これでは区民の命を守れません。区は、あまりに脆弱な医療体制を抜本的に充実させるために国、都に対策を取るよう強く求めるとともに、少なくとも、今後、感染が広がっても対応がとれるよう5類への引き下げは中止するよう国に求めるべきです。2点お答えください。

【生方健康部長】私から、新型コロナウイルス感染症対策についてお答えいたします。

 1月27日に開催された厚生科学審議会感染症部会において、「感染症法に基づく私権制限に見合った国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある状態とは考えられない」との意見が取りまとめられました。これを踏まえ、国は、同日、新型コロナウイルス感染症対策本部において、2類相当から、5類感染症に変更することを決定しました。国は、5類に移行した際には、幅広い医療機関で受診できるよう段階的に移行するとしています。国に意見を上げる考えはありません。

 また、国は、マスクの取り扱いについて、早期に見直し時期も含めてその結果を示すとしています。感染が大きく拡大している場合には、一時的に場面に応じた適切なマスクの着用を広く呼びかけるなど、より強い感染対策を求めることがあり得るとしています。区は、国の方針に沿って、適切に対応してまいります。

 次に、検査キットで陽性が判明した場合の対応についてです。都は、高齢者等のかかりつけ医のいない方に、地域の身近な医療機関を案内するため、令和2年10月から「発熱相談センター」を設置しています。区も、コールセンターを設置し、患者の意向を伺いながら、発熱外来を複数紹介しています。今後も高齢者などに丁寧に対応していきます。

 次に、高齢者施設における感染拡大防止についてです。

 国は、医療機関や高齢者施設でのクラスター防止対策を継続するとしています。東京都は、高齢者は重症化リスクが高いことから、国に対し、クラスターを防止するため、高齢者施設等の職員に対する検査の継続を要望しています。また、各医療機関の救急をはじめとした通常医療の状況、重症者の割合などに応じて、引き続き、病床の柔軟な運用を行うとしています。

 都道府県が策定する地域医療構想の目的は、構想区域における病床の機能の文化及び連携の推進であり、病床を減らすことではありません。都立・公社病院の独立行政法人化の目的は、高齢化の急速な進展など、医療を取り巻く環境が大きく変わる中で、感染症、災害、救急、小児・周産期などの行政的医療の提供や地域医療の充実への貢献など、都立病院が担うべき役割を安定的に果たし続けていくためのものと認識しています。私からは以上です。

        国民健康保険料の値上げについて

 次に、国民健康保険料の値上げについてです。

 昨年、都の国保運協が開かれ、仮係数に基づく来年度の標準保険料が示されました。これによれば練馬区では一人当たり17万6264円と、1万3千円もの値上げになっています。40歳以上の場合、今年度の保険料はすでに17万円を超えており、実際には都が示した額以上になります。激しい物価高騰のもとで、こんな大幅な値上げは許されません。国保は低所得者が多く、均等割のみが4万6558世帯と半数近くにのぼるため、所得割がかかる世帯に負担がのしかかることになります。賦課限度額も104万円にあがることでギリギリ限度額に達する人には大きな痛手です。

 国や自治体の社会保障への支出は、消えてなくなるものではなく、GDPの4割を占める大きな経済活動です。経済政策として社会保障を厚くする。そうした視点も持って国保への繰入金を維持・増額し、来年度保険料を値下げに踏みきるべきです。また、全国知事会も要望している国の定率負担引上げを強く求めるべきです。2点お答え下さい。

 今年度から未就学児の均等割が減額されたことは前進ですが、効果は限定的です。国保料は40歳になると介護分が加わり大幅に上がるため、一番教育や生活にお金がかかる時期に最も保険料が高くなります。子育て支援の拡充へ、子どもの均等割は全額なくすこと、高校生まで対象を拡大するなど、国に求めるべきです。また国が行うまで国民健康保険法第77条の条例減免を活用して「子どもがいること」を特別な事情とみなし、区として拡充するべきです。2点お答え下さい。

 区は高すぎる保険料を区民に課しながら、差し押さえを2018年の3倍になる1719件に増やし、徴収を強めてきました。しかし督促や催告の件数は減っており、1件当たりの換価金額の平均も11万円と少なくなっています。少額の差し押さえを強化しているのではないか懸念しています。生活実態を見ないで、強硬に支払いを求める姿勢であってはなりません。滞納は区民のSOSであり、生活再建の支援をすることで滞納解消につなげる立場で区は臨むべきです。区の見解をお聞きします。

【鳥井区民部長】私から、国民健康保険料についてお答えします。

 はじめに、保険料の負担抑制についてです。

 医療の高度化や高齢化が進展するなか、新型コロナウイルス感染症の影響も加わり、都が現段階で示している5年度の一人当たりの保険給付費は32万3千円で、前年度より10%増加する見通しです。

 国民皆保険の根幹である同制度を維持するためには、給付の状況を踏まえた保険料とすることが重要であると考えています。

 負担抑制のために、多額の繰入れを行うことは、国保加入者以外の区民にも大きな負担を求めることになります。一般会計からの法定外繰入を実施しているのは、全国的にも一部の自治体に限られています。

 特別区長会では、法定外繰入の縮減を対応方針としつつ、急激な負担増とならないよう段階的に削減する特別区独自の激変緩和を行い、計画的に保険料率を設定しています。区は、引き続き特別区長会の対応方針に沿って対応してまいります。

 次に、国への財政支援の要望についてです。

 特別区長会は、昨年8月「令和5年度国の施策及び予算に関する要望書」において、定率国庫負担割合の増加や子どもに係る均等割保険料の軽減措置の対象拡大、軽減割合の拡大について、働きかけを行っています。さらに、本年1月に国への緊急要望を行い、必要な財政措置を講じるよう働きかけています。

 次に、国民健康保険法第77条による減免適用についてです。国は、第77条については、「災害や失業による減免を想定したもので、自治体が独自に子育て世帯に向けて適用することは、制度上好ましくない」としています。区は、独自の減免を実施する考えはありません。

 次に、保険料の滞納整理についてです。

 区は、滞納保険料の徴収に当たって、生活実態を丁寧に伺いながら、所得状況等に応じた納付計画を策定し、納付に結びつけることを基本としています。また生活再建の支援が必要な方を把握した際は、直ちに総合福祉事務所や生活サポートセンター等につなげており、連携して対応しています。

 一方で、資力があるにもかかわらず、文書・電話・訪問等様々な方法で繰り返し催告を行っても連絡がない場合や保険料を納付していただけない場合には、法の定めに則って差押えを行っています。生活実態を見ないで強硬に支払いを求めることはありません。私からは以上です。

        介護保険について

 次に、介護保険についてです。

 第1は、保険料についてです。介護保険料は、高齢者と介護利用者の増加に伴い、上昇する仕組みになっており、区の第8期基準保険料は月6600円と、制度開始当初の2倍以上になっています。近い将来には9000円に達すると見込まれています。対して高齢者の生活を見ると、2020年度の全国の年金者547万人のうち、月5万円以下が約300万人であり、国民生活基礎調査の結果でも、生活が苦しい高齢世帯は5割にのぼります。後期高齢者医療での窓口2割負担導入に続き、介護でも負担が増えれば、利用抑制と家族介護に傾くことになり、ヤングケアラーの増加にもなりかねません。

 区では来年度、第9期計画の策定が進められますが、区は介護保険積立金を2021年度末に47億1300万円と2015年の3倍以上に積み増してきました。国が国庫負担を増やすことが第1に重要ですが、区として基金も活用し、保険料抑制に力を尽くすべきです。また、保険料の更なる多段階化を行うなど、低・中所得者の負担軽減を求めます。また、高齢者紙おむつ支給を2021年以前に戻すこと、施設入所者の補足給付の資産や配偶者の要件を撤廃するなど見直し、給付対象を広げることも必要です。3点区の見解をお聞きします。

 厚労省は要介護1・2の総合事業への移行など7項目の過去最悪の制度改悪を提案しましたが、社会保障審議会介護保険部会で「認知症の人と家族の会」の代表が「なぜ必要なサービスを減らす議論をしなければならないのか?」、当事者家族からも「社会保障費抑制のために負担と家族責任を強化することに反対」など多くの切実な声が上がり、20万人を超える反対署名運動もあり、ほとんどの結論は来年度以降に先送りしました。

 しかし介護ロボットの導入に伴う施設人員基準の引き下げの実施は可能性があります。これについて「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」が実施した老人ホーム施設長アンケートでは、「職員にとってますます厳しい環境になる」などの声があり、職員配置は減らせないとの意見が多数です。一人ひとりに適したケアはロボットにはできません。こうした技術は質の向上に生かすべきで、職員削減に利用するのは間違いです。区の見解をお聞かせ下さい。

 職員の処遇改善については、ベースアップ加算など3階建てで事務量が多く、一本化することや、介護職以外の職も含めた加算率にすることが求められます。また、人材確保のためにも保険料に結び付かない形で更なる処遇改善が必要です。求人は施設で3.9倍、ヘルパーは14.92倍になっており、求人広告・派遣業者への支払い等に100万円以上もかけている事業所もあるといいます。本来介護サービスや処遇改善に充てるべき費用が人材会社に流れている現状は問題です。区として、こうした問題を解消する支援が必要ではないでしょうか。3点答弁願います。

 介護利用料2割、3割負担の対象拡大など、国はサービス切り下げと負担増ばかりを国民に押し付けようとしますが、本人や家族を支える視点が欠けており、このままでは保険制度として成り立たなくなります。区民にもっとも近い自治体として、現場の実態を正確につかみ、国に伝え、改悪は許さない立場で強く意見をあげるべきです。同時に公費負担を60%に引き上げるよう国に求めるべきです。2点区の考えをお聞きします。

【吉岡高齢施策担当部長】私から介護保険制度についてお答えします。

 介護保険は、介護が必要になっても高齢者が地域で安心して暮らし続け、いつまでも自立した生活を送れるよう、社会全体で高齢者を支える相互扶助の制度です。創設から22年が経ち、要介護高齢者とそのご家族の生活の維持に欠かせないものとなっています。

 高齢化の進行により要介護高齢者が増え、介護給付費が増加することで、介護保険料の上昇は避けられません。区は、第8期の保険料算定に当たっては、保険料の上昇を抑制するため、介護保険給付準備基金を活用しています。また、負担能力に応じた保険料負担となるよう保険料段階を制度開始時の5段階から17段階へ多段階化し、高所得者の方の保険料率を引き上げ、低・中所得層の保険料軽減を実施しています。第9期の保険料算定に当たっては、引き続き、必要な対応を検討していきます。

 施設入所者の補足給付や高齢者紙おむつ支給については、制度の持続可能性を維持するために、国が基準を改めたものです。必要なサービスを提供しつつ、介護保険料の上昇を抑制するためのものと考えています。

 生産年齢人口の減少が見込まれる中、介護の担い手不足に対応するため、人材の確保・育成や処遇改善を図る必要があります。

 介護現場への介護ロボット等ICTの導入は、介護職員が専門の業務に従事することを前提としています。職員が対人サービスに注力できる環境を整え、介護の質と介護現場の効率性を向上する取組の一つとして、国は、ICT導入の実証事業を進めており、区はその動向を注視していきます。

 介護職員の処遇改善については、制度設計をした国の責任において実施すべきものと考えます。介護職員等ベースアップ等支援加算など3つの加算の一本化を国は令和6年介護報酬改定に合わせて検討するとしています。なお、現在も処遇改善加算の枠組みの中で介護職以外の職の処遇改善を行うことは認められています。

 区では、人材確保のため、ハローワーク等と連携した無料で出展できる就職面接会等の開催、区内の介護事業所への就労を条件とした資格取得支援、生活援助サービスに従事できる介護従事者養成研修の実施など様々な支援を行っています。元気高齢者介護施設業務補助事業も介護職員の負担を軽減し、働きやすい職場にするものとして人材確保に寄与しています。更に、令和7年度に開設予定の介護福祉士養成施設の設置法人と連携し、区内で介護人材を確保する仕組みを検討しています。

 在宅の要介護高齢者の状況や主な介護者の介護内容、頻度など介護現場の実態を把握するため、区は、3年ごとに在宅介護実態調査を実施しています。調査結果は、国に報告するとともに、調査結果を踏まえて介護保険事業計画を策定しています。

 区は、介護保険財政の持続的かつ安定的な運営のため、国に対して、保険料の負担が重くならないよう国費負担割合を引き上げることや、介護人材確保のための処遇改善などに必要な財政措置を講じるよう、すでに要望しています。私からは以上です。

        温暖化防止と廃棄物処理について

 次に、温暖化防止と廃棄物処理についてです。

 いま、世界各地で異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題となり、気候危機に瀕しています。

 国連IPCCは、2030年までに温室効果ガスの排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと世界の平均気温を産業革命前に比して1.5度まで抑え込むことができないとしています。大気中の温室効果ガスが一定濃度を超えると後戻りできなくなり、悪化を止められない破局的事態に陥ってしまいます。

 同時に、大気中のCO₂の濃度を下げる努力を続ければ、1.4℃までに抑えることができることも示しています。わずか10年足らずの間にCO₂排出量を半分近くまで削減できるか、ここに人類の未来がかかっています。区は2022年ゼロカーボンシティーを宣言しましたが、温暖化がもたらす地球環境への影響や2050年までにカーボンゼロを実現する必要性についてどう認識していますか、お聞きします。

 国は、2050年までにカーボンゼロを掲げてはいますが、その内容には4つの問題があります。1つは、2030年度までの削減目標が2013年度比で46%と低すぎること。2つは、石炭火力に固執し、新増設と輸出を進めていること。3つは、脱炭素を口実に原発頼みのエネルギー政策を加速させようとしていること。4つは、まだ実用化のめども立っていない新技術を前提にしていることです。国の基本計画の4つの問題について区はどう考えているのか、また、区の次期環境基本計画には、国連が示すCO₂排出量を2030年までに2010年度比45%減を目標に掲げ、省エネ、再エネの施策を充実させ、本気で目標達成をめざす計画にすべきです。2点答弁を求めます。

 温暖化防止に関わり、区の廃棄物処理についてもお聞きします。日本のごみの焼却処理に特化してきた廃棄物政策は、温暖化など環境破壊につながり、廃プラの大量発生・環境汚染を招く大きな原因の一つです。こうした従来型のごみ発生を野放しにする大量生産、大量消費、大量廃棄に歯止めをかけ、3Rを重視したごみ行政に立て直すことが早急に求められています。廃棄物処理におけるカーボンニュートラルとは、ごみ焼却量を限りなくゼロに近づけることに他なりませんが、国はこれまでも3Rと言いながら、焼却処理でゴミ発電を優先させ、プラを始め熱量の高いごみをあえて分別・資源化せず、燃やすごみとして扱うよう自治体に仕向けてきたことから、国の新方針により自治体の現場では混乱が起きています。

 実際、廃プラを分別しないと焼却施設の建設に対して交付金を出さないとする国の方針に対し、全国都市清掃会議などから猶予期間を求める要望が相次ぎ、廃プラの分別を開始する条件で交付金を出す見解を出しました。しかし、これだと最長10年近く猶予期間が与えられ、焼却施設をこれまで通り活用し、廃プラを燃やさないと熱量が足りないと焼却中心からの脱却どころではなく、リサイクルの機運もそぐことになりかねません。

また分別して集めた廃プラを処理する施設も足りていないため、今後増える廃プラをどう処理するのか、さらに分別を進めていく必要もありますが、その後のリサイクルの仕組みや財源をどうするのか、国に責任を果たさせる必要があります。同時に、国の責任で生産者に廃棄の責任まで負わせること失くして、この問題は解決しません。

 これら問題についての区の認識をお示しください。また、焼却中心の今のあり方をいつまでに、どのようにして脱却し、焼却量をゼロに近づけていくのか、次期計画にしっかりと数値目標を示し、取り組むべきです。3点答弁を求めます。以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【前川燿男区長】お答えいたします。環境問題についてです。

 地球温暖化とこれに伴う気候変動は、国境を越えて人間の安全を脅かす喫緊の課題です。

 我が国においても、毎年の様に、各地で記録的な集中豪雨や大型台風による自然災害が頻発しています。気候変動の影響は、私たちの身近な生活領域を脅かすものとなっています。

 国民の生命・財産を将来にわたって守るとともに、経済社会活動の持続可能な発展を支えていくことが求められています。私たち基礎的自治体も温室効果ガス削減に取り組むとともに、将来予測される被害の防止・軽減に努める必要があります。

 住宅都市練馬区では、二酸化炭素の5割以上が家庭から排出されており、区民一人ひとりの行動が大きな意味を持ちます。総合的な環境施策を展開するため、新たな環境基本計画を策定します。区民・事業者と協働して、一歩一歩脱炭素を推進してまいります。

 私からは以上です。その他の質問につきましては、関係部長から答弁いたします。

【市村環境部長】私から温暖化防止と廃棄物処理について、お答えします。

 まず、温暖化防止についてです。

 2030年までに温室効果ガスを2013年度比46%削減する国の目標は、国連気候変動枠組条約事務局に提出された国際公約です。電源の構成については、国のエネルギー政策で取り扱われるものと考えています。

 区は、昨年2月「ゼロカーボンシティ」を宣言して、2050年の二酸化炭素排出実質ゼロ、脱炭素社会の実現を目指すことを表明しました。

 新たな環境基本計画は、2050年の脱炭素社会実現を見据え、今後10年間の環境施策の取組方針と重点施策を示し、再エネ導入の促進、事業者としての区の取り組み強化など実効性ある総合的な環境施策を展開するため策定するものです。

 環境審議会の答申およびエネルギー分野有識者会議からの意見などを参考に、多様な施策を組み合わせ、国の目標を踏まえた削減目標を定めてまいります。

 次に廃棄物処理についてです。

 区民一人一日あたりのごみ収集量は、令和3年度には、476グラムで23区でトップクラスの少なさです。他区に先駆けて、区民や事業者、区が連携してごみ減量とリサイクルの推進に取り組んできた成果です。引き続き、循環型社会の形成に向けて3Rを推進してまいります。

 区内からは大量のプラスチックが排出されており、回収したプラスチックを再商品化施設へ持ち込むための圧縮・梱包を行う中間処理施設の確保が必要です。また、大量のプラスチックを再商品化するための事業者の処理能力の向上と市場ニーズに応じた多様な商品を生み出すための技術開発が求められています。そのため、区では、特別区長会を通じて、国に対し、リサイクルルートの基盤整備、財政支援等、国の役割を果たすことを要望しています。以上です。

 

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