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日本共産党練馬区議団

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議会報告
REPORT

「学校給食費の無償化を求める意見書」の提案理由

 2022年12月9日、議会最終日の本会議に共産党はじめ野党会派11名連名で「学校給食費の無償化を求める意見書」を議員提案し、坂尻まさゆき議員が代表して、意見書の提案理由を説明しました。                                                   残念ながら自民・公明・国民民主・都ファなどの反対で否決されました。学校給食費無償化の実現に向けて引き続き求めていきます。

 

     学校給食費の無償化を求める意見書の提案理由説明

  私から議員提出議案第10号、学校給食費の無償化を求める意見書について、提案理由を説明いたします。憲法は第26条で義務教育は無償と定めていますが、しかし実際には、教材費、制服、体操着、学用品、給食費、修学旅行積立金など多くを家庭が負担しています。そのなかでも、学校給食費は、2018年度学校給食実施状況等調査によると全国平均で小学校が年間に47,773円、中学校が54,35l円でした。練馬区では小学校で5万円前後、中学校では63272円となっています。子どもが複数人いれば10万円を超えてしまいます。

 その他の負担については、「平成30年度子供の学習費調査」によれば、「修学旅行・遠足・見学費」6951円 「学校納付金等」1万2235円 「図書・学用品・実習材料費等」1万9673円となっています。給食費が学校において最も大きな負担となっていることは明らかです。

 長引く新型コロナによる経済の悪化や物価高騰は、子育て世帯に貧困と格差を広げ、経済的に困難な家庭が増加しており、経済的負担を軽減する必要性は高まっています。区内でフードバンクを実施する団体には「給食がなくなる夏休み前に開催してくれて助かる」という声が複数寄せられるほどで、給食費の補助は子育て世帯への強い支援となります。

 学校給食法11条に食材料費は保護者負担との規定がありますが、この点について、1954年に文部事務次官通達で「施設や設備、人件費に関わるお金は自治体が負担、食材料費のみ保護者が負担すると負担区分を定めているもので、給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図はない。」という解釈を示しています。また給食費の一部という点について、2018年参院文教科学委員会では、自治体等の判断によって全額補助することも否定しないことを国務大臣が答弁していることは重要です。最高裁判例でも保護者負担についてできるだけ軽減するよう配慮・努力することは望ましいとしています。

 また、2005年に食育基本法が制定されたことにより、学校給食法が大きく改正され、食育推進のための学校給食が教育課程のなかに位置付けられ、その充実を図ることが求められています。2017年度(平成29年)文科省が行った「学校給食費の無償化等の実施状況」及び「完全給食の実施状況」の調査結果では、無償化による成果の例として、生徒は栄養バランスの良い食事の摂取や残食を減らす意識が向上、保護者は親子で食育について話す機会が増えたこと、学校では食育の指導に関する意識が向上したなど、前向きな影響を示唆しており、学校給食無償化は、法にある「学校給食の普及充実及び学校における食育の推進」にも寄与するものでもあります。 

 20l7年度「学校給食費の無償化等の実施状況」等の調査結果では、1,740自治体のうち、小中学校とも無償化が76自治体、それ以外の一部無償化・補助を実施しているのが430自治体と、3割に満たない状況でした。しかしその後の5年間で、小中とも無償化した自治体が256と、3倍以上に増えました。小規模自治体から始まり、規模の大きな自治体にも広がっています。青森市では今年10月から、全国の中核市で初めて実現し、23区では北区が2020年から、第2子以降所得制限を設けずに補助を実施、葛飾区では来年度から小中学校で無償化、台東区でも「想定を上回る勢いで物価は上昇しており、看過できない。」として、当面来年1~3月の給食費を無償にします。世田谷区長も無償化について「実現するよう検討する」としています。ある自治体では、最初は難色を示していた首長が「子育てする親を応援するために決断した」と話しているといいます。給食無償化の流れがいま強まっていると言えます。

 国の借金が1000兆円を超えるなかで財政負担になるという意見もあります。国は優先順位があるといって給食費の無償化には背を向けながら、なかなか伸びないマイナンバーカードを普及させるために、何兆円もの税金をつぎ込んでいます。また、増税や社会保障の削減など国民に負担を強いながら軍事費を2倍に、5兆円増やすことの方がはるかに将来世代に大きな負担を強いることになるのではないでしょうか。まして学校給食費の全国での無償化は4,400億、軍事費2倍化の10分の1未満で実現できます。国がつくった莫大な借金は子どもたちの責任ではありません。子どもはこれからの社会の礎であり、給食費無償化をはじめとする義務教育の無償化拡大こそ、未来に活きる投資です。

 憲法の義務教育無償の原則は、所得に関わらず全ての子どもたちへ保障しているもので、生活困窮者だけのものではありません。練馬区議会は、6月第2回定例会で「子育て支援の拡充を求める意見書」を提出しました。意見書は、「この間実施された子育て世帯への各種支援制度において所得制限が設けられ、それにより、不公平な現象が生じており、最終的には、少子化をより一層促進させるおそれもある。親の所得にかかわらず、全ての子どもが平等に扱われるべきである。またそうすることが、我が国の長年の課題である出生数の改善にも寄与するものと考える。」としています。この立場から見れば、全ての子どもの給食費無償化も賛同いただけるものと考えます。

 9月議会では与野党から給食費無償化を求める、またはそれに関わる発言がされてきました。与党からは「子育ての負担軽減のためにも、学校給食の無償化を検討していくべきではないか」という発言や、さらに「子育ての負担軽減のために学校給食の無償化を検討し、財源は国、都に要望されたい。」と意見表明しています。また野党からも「都や国に要望しつつ、あらゆる軽減措置も検討しながら、最終的には給食費の無償化を目指すべきと要望」するとの発言がありました。

 与野党超えた要望になってきているいま、練馬区議会上げて給食費の無償化へ、国を動かそうではありませんか。

 よって、子育て世帯の経済的負担を軽減し、学校教育の柱の一つでもある食育推進の効果も大きい給食費の無償化への支援を国の政策として行うことを求める意見書を提案するものです。各議員の賛同をお願いし、提案理由の説明といたします。

 

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