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2022年 第4回定例会一般質問 小松あゆみ(2022年11月29日)

2022年 第4回定例会一般質問

2022年11月29日
日本共産党練馬区議団
小松 あゆみ

私は日本共産党練馬区議団を代表して、一般質問を行います。

      暮らし・住まいへの支援について

 始めに暮らし・住まいへの支援について伺います。

 第一に暮らしの支援についてです。今夏、党区議団が行った区民アンケートは、郵送やネットを通じて1,100人を超える方から回答をいただきました。回答を見ると、「コロナ禍のもとで暮らしはどうなったか」という問いに、79.8%が苦しいと答え、その理由として、年金・水光熱費・食費を挙げており、物価高騰が暮らしに与える影響が窺えます。

 国の対策は電気・ガス料金の負担軽減などだけで全く不十分です。今こそ、暮らしに対する直接支援が求められています。そんななかで練馬区が独自に生活支援臨時給付金を実施し、これまでに約400件支給したことは重要です。しかし、住民税非課税世帯とほぼ同程度の所得水準の均等割のみ課税者が、練馬区には約15,000人おり、更なる支援が必要です。文京区では、均等割りのみ課税世帯などへ給付金を行うとのことです。区長も本当に困った人への支援は必要と述べています。であれば、区が独自給付する世帯と同じ程度の世帯収入であれば、直接支援を行うべきです。お答えください。

 コロナ禍のもと、生活福祉資金の特例貸付は暮らしを支える役割を果たしてきました。練馬区でも約12,000人が申請しており、来年1月から返済が始まります。返済額は利用期間や世帯人数によって異なりますが、最大155万円~200万円に達し、返済免除となる範囲も限定的です。返済によって利用者の生活が破綻することがないよう、国へ免除範囲の拡大を求めるべきです。また練馬区では、生活サポートセンターの相談員を増員していますが、さらに増員して利用者をより丁寧に支援できる体制を強化するべきです。2点お答えください。

 第二に、住まいの支援についてです。住居確保給付金はコロナ禍のもとで支給要件が緩和されたことで、多くの方が利用してきました。厚労省はコロナ禍で実施した特例措置の一部を恒久化する検討に入ったと報道されています。これは重要な前進ですが、所得制限が厳しく、シングルマザーから「児童扶養手当などを合わせると対象から外れる」と改善を求める声が上がっています。住居確保給付金をベースに「恒久的な家賃補助制度」を創設するよう国に求めるべきです。お答えください。

 区は、民間の既存住宅を有効活用することが肝要といい、住まい確保支援事業などにより円滑な入居に努めるとしています。しかし、生活困窮者が払える低家賃で最低面積水準を超える物件は少なく、民間住宅を活用したうえで、人間らしい住まいを保障するためには、直接、借主を対象とした家賃補助が必要です。区の考えを伺います。

 また、区は区内の公営住宅は必要戸数を満たしているとし、更なる整備に背を向けています。しかし、都営住宅は収入要件を設け、限られた低所得者しか入居できないような制限をかけたうえでも、応募倍率は一般募集で約20倍、単身者向け募集は50倍を超える状態が続き、不足は明らかです。都営住宅を増やすよう都に求めるとともに、借り上げ型も含め区営住宅を増やすべきです。区の考えを伺います。

 第三に生活保護についてです。生活保護は憲法25条に明記された「健康で文化的な生活」を具体化する制度ですが、国は2013年~2015年に段階的に生活保護基準を引き下げてきました。先月横浜地裁は、客観的な統計を見れば引き下げに根拠はなく、専門家の検討も経ていないと批判し、基準引き下げ決定を違法とし、減額取り消しを命じる判決を言い渡しました。4地裁が減額を違法と断罪しています。国に対し、基準を2013年以前にただちに戻すこと、急激な物価高騰に対応して緊急に基準を見直すよう求めるべきです。また、老齢加算の復活や夏季加算の創設を求め、実現までは区として補助するべきです。就学援助など保護基準引き下げに連動した制度は、2013年以前の基準に戻すべきと考えます。4点、お答えください。

【吉岡福祉部長】私から、生活困窮者支援と障害者の意志疎通支援などについてお答えいたします。

 始めに、生活困窮者支援です。

 区独自の生活支援臨時給付金は、所得・資産ともに低い水準にあることに加え、住まいを失う恐れがある、総合支援資金特例貸付を借り終えているなど、真に生活にお困りの方を対象としております。

 都社会福祉協議会が実施している生活福祉資金特例貸付については、区は、今なお厳しい生活下にある借受人に対しては、償還免除をするなど、十分に配慮するよう、特別区長会等を通じ、既に国に要望しています。

 国は、本年10月、都道府県社協に対し、失業や離職などにより、償還困難な方に対し、個々の状況に応じて償還猶予を行うよう通知しており、返済に関する一定の要件緩和がなされています。

 国に対し、償還免除の更なる拡大を求める考えはありません。

 生活サポートセンターでは、増加する生活相談に迅速かつ適切に対応できるよう、相談支援員を、令和3年4月に3名、4年4月に1名増員し、13名体制としています。来年4月からは、更に1名増員する予定です。

 住居確保給付金については、生活保護に至る前の段階にある方を支援するためのものであり、一定の収入や資産要件、支給期間を設定することは必要であると考えています。

 区は、新型コロナが収束し、雇用状況が改善されるまでの間、受給期間を延長するよう、特別区長会等を通じ、既に国に要望しています。

 恒久的な家賃補助制度の創設を国に求める考えはありません。

【池上建築・開発担当部長】私から、住宅施策についてお答えします。

 本年4月、練馬区営住宅長寿命化計画を改定しました。改定にあたり、公営住宅への入居を必要とする世帯数の将来推計を行った結果、区内の公営住宅は必要戸数を満たしていると判断しています。

 応募の倍率が高い住宅がある一方、募集戸数に満たない住宅もある状況です。従来からお答えしているとおり、新たな区営住宅の建設や、都に都営住宅の増設を求める考えはありません。

 国の統計資料によれば、住宅のストック数はすでに充足し、区内においても空き家が見うけられます。既存住宅を有効に活用することが肝要と考えます。

 区では、住まい確保支援事業を実施し、住宅確保要配慮者が入居可能な専用住宅については、軽減された家賃で入居できる補助制度を設けています。引き続き現行の取組を充実し、住宅困窮者への支援を行っていきます。

【吉岡福祉部長】次に生活保護制度についてです。

 平成25年度から27年度にかけて段階的に改定した生活保護基準については、改定に伴う減額処分の取り消しを求める訴訟が全国29の地方裁判所に提起され、うち13地裁での判断は分かれているため、現時点では国に対し、保護基準の見直しを求める考えはなく、就学援助などの制度を見直す考えもありません。

 夏季加算の創設については、既に国に対し要望しています。老齢加算については、平成24年2月28日の最高裁判決において、加算の廃止を内容とする保護基準改定は、生活保護法の規定に違反しないとの判決が下されていることから、国に対し、求める考えはありません。

 生活保護は、厚生労働大臣が定める基準により測定した要保護者の需要を基に行うと生活保護法に規定されています。区が現在の基準に拠らない保護費を独自に支給する考えはありません。

 区は、生活保護基準額について、令和5年度の見直しに向けた国の動向を注視してまいります。

        障害者施策の充実について

 次に、この間寄せられた障がい者の要望についてお聞きします。

 第一は、失語症についてです。失語症は、脳卒中などによって脳の言語中枢が損傷を受け、話す、聞く、読む、書く、計算するなどのコミュニケーション能力全般に負っている障害です。しかし、まだまだ理解が進んでおらず、健常者と見分けがつきづらいことから、障害者手帳や介護認定でも適正に判断されないなど、必要な支援が受けられていない状況が生まれています。

 厚労省は、2018年に各都道府県に対し、失語症者に対する意思疎通支援についての通知を出し、支援者の養成と派遣を実施することを求めました。失語症の場合、意思疎通支援者が支援を行いますが、まだまだ少なく、東京都が実施した意思疎通支援者講習でも定員が55名に留まっています。区も今年、障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例を制定しました。この精神に照らせば、練馬区でも同様の講習を行って、支援者のすそ野を広げていくことが必要です。

 世田谷区では失語症会話パートナー養成講座を行い、支援者を養成するための取組を独自に行い、さらに支援者のサポートのもと安心して交流できる失語症サロンを行っています。豊島区では、失語症の人のコミュニケーション支援事業を2020年度から開始しました。こうした例に倣い、できるところから取り組みを進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 第二に、聴覚障がい者についてです。この間寄せられた要望のなかには、公的機関の連絡先にFAXやメールなどを掲載して欲しいという要望があります。区報や区のホームページなどで、FAX番号も掲載されているものもありますが、十分とは言えません。メールについても同様です。できる限り掲載し、障害の有無に関わらず、十分な情報提供や質問と意見が言える環境を整備すべきです。

 高齢者施設においても、聴覚障がい者の方が職員と十分な意思疎通を取ることが難しく、孤立した状況が生まれています。職員において手話・筆談の研修を行い、介護認定の際は、手話通訳者をつけるなど、意思疎通を図るための仕組みを強化すべきと考えます。また区立施設におけるwi-fiの設置、福祉事務所におけるUDトークコミュニケーション支援機器やタブレットの貸し出しを周知する看板やアナウンスの実施など、意思疎通が取りやすい環境を整備することが必要と考えますが、区の考えをお聞きします。

 第三に、公営住宅の入居要件についてです。現在都は、策定されたパートナーシップ制度と合わせて、障がい者差別解消法に基づき、都営住宅の入居要件を同性同士や障がい者の単身世帯の入居を認める制度改定を行いました。しかし、区営住宅においては、未だこうした改定は行われていません。これは、差別解消法にも反するのではないでしょうか。区として障がい者の単身入居も認める改定を行うとともに、都のパートナーシップ制度を認め、同性同士の入居も認めるべきです。お答えください。

 第四に、区内の福祉園についてです。福祉園の利用時間は9:30~15:30となっており、一般の就労などと比べると時間が短くなっています。そのため保護者が労働時間の短縮や退職を余儀なくされています。現在、障がい児においては特別支援学校が終わると多くが放課後デイを利用しながら、保護者がフルで働いている人たちが少なくありません。そうした保護者が、子どもが福祉園に移った途端、今までのような働き方ができなくなることは、あまりにも理不尽です。これまで障がい者の介助はほとんど女性が担わされてきました。こうした状況を変えていくためにも、更なる利用時間の延長ができるよう、区としても本腰を入れて対応すべきです。いかがですか。

【前川燿男区長】お答えいたします。障害者施策についてです。

 何度か申し上げてきたことですが、私は当時の美濃部都政で社会福祉行政に従事しようと決心して、東京都に入りました。

 日本で初めて設置されたばかりの都立障害者福祉センターに配属され、知的障害と重度身体障害が重複した幼児の育成指導をはじめ、様々な現場で仕事をしてきました。若かった私は、無我夢中で取り組み、障害者の皆さんが地域から隔離された「特別な存在」であってはならないと痛感しました。今も身体に沁みついています。

 12月1日発行予定の区報では、障害者週間にちなみ、脳性麻痺で肢体不自由があり、気管切開と胃ろうという困難を抱えている娘さんのお母さんのインタビューを掲載する予定です。「特別なことをしてほしいわけではない。障害のことをちょっとでも知ってもらい、自然に接してほしい。」お母さんの娘さんを想う深い愛情と様々な困難を抱えた切なさが伝わってきて心を打たれました。

 区長にして頂いたからには、障害者の皆さんが、住み慣れた地域の中で、一人一人の個性を活かして生きることができる社会に、この練馬を一歩でも近づけたい。そういう思いで仕事をしてきました。

 この間、障害者の生活基盤の整備、家族への支援、就労の支援、意思疎通の支援など、様々な事業に取り組んできました。これをさらに前に進めたい。全力を尽くしたいと考えています。

 私からは以上です。そのほかの質問につきましては、関係部長から答弁いたします。

【吉岡福祉部長】次に、障害者の意志疎通支援についてです。

初めに、失語症の方への意志疎通支援についてです。

 区では、心身障害者福祉センターにおいて、失語症を含む高次脳機能障害の方を対象に、言語機能の維持改善や言語能力に合わせたコミュニケーション訓練、居場所支援事業を実施しています。

 また、来年1月、センターに「障害者ICT相談窓口」を開設します。イラスト・文字での会話を補助するアプリなど、失語症の方の意志疎通を助けるツールの相談・体験や貸出、操作のサポートを行います。

 現在、当事者団体や都の意志疎通支援者養成研修の修了者へのヒアリングを行っており、伺ったご意見をもとに、支援策の充実に向けた検討を進めています。

 次に、聴覚障害者への意志疎通支援についてです。

 区は、聴覚障害者が介護保険サービス等を円滑に受けられるよう、練馬福祉人材育成・研修センターで、介護サービスと障害福祉サービスの共通課題に対応する研修を実施しています。また、介護職員やケアマネージャーへの手話講習会を周知するとともに、介護認定調査における手話通訳者の派遣などを行っています。

 これらに加え、先月から、区民事務所や福祉事務所、保健相談所など25か所の窓口で、遠隔手話通訳を開始しました。今後、はつらつセンターや子ども家庭支援センターなどにも拡大し、「いつでも」「どこでも」手話通訳を使える環境を整備していきます。

 また、区立施設等41か所に公衆無線LANを設置するとともに、UDトークを設置している総合福祉事務所等での窓口では、利用可能なことを窓口に掲示しています。

【池上建築・開発担当部長】 次に区営住宅の入居資格についてです。

 東京都パートナーシップ宣誓制度の創設や障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、現在見直しについて、検討を進めているところでございます。私からは以上です。

【吉岡福祉部長】次に、区立福祉園の利用時間についてです。

 これまで、区は、福祉園の委託・民営化を進める中で、利用時間の延長や土日休日の利用など、利用者やご家族の様々なニーズに応えてきました。

 利用時間外には、移動支援を利用して散歩や買い物、喫茶店等の余暇を過ごしたり、日中一時支援を活用するなど、利用者やご家族の希望に応じた過ごし方ができるよう、総合福祉事務所等が相談に応じています。

 一人ひとりが充実した生活を送れるよう、施設の利用時間も含め、引き続き検討します。わたしからは以上です。

      個人情報保護条例について

 次に、個人情報保護条例についてお聞きします。

 2021年の個人情報保護法改正により、自治体は来年3月までに条例改定して国基準に合わせることが求められます。自治体条例は国より進んでおり、実務を積み重ねてきました。このことは政府も「地方公共団体の先導的な取組みによりその基盤が築かれてきた面がある」と認めています。にもかかわらず、実際には逆の方向に進んでいると言わざるを得ません。

 第一に、地方自治についてです。これから個人情報保護の仕組みは、政府基準を超えてはならないため、それを上回る地方自治体の基準は切り捨てになります。ガイドラインでは、区の自治事務に関わり、個人情報保護のため条例で法律以上に規制を加えることを「許容しない」とされていますが、区は、個人情報保護委員会に自治体の取り決めに口を出す法的根拠があると考えているのでしょうか。世田谷区などは現行条例の基本的理念を後退させないよう自己情報のコントロール権など区民の権利もしっかり明記しています。練馬区も区民が主体的に発展させてきた民主主義の結晶をこれからも存置すべきだと考えますが、2点お答えください。

 第二に、区の個人情報保護審議会についてです。練馬区はこれまで、多くの自治体と同様に条例で審議会を設置し、外部委託や目的外利用等をする際には事案ごとに審議会への諮問を義務付け、有識者や住民がチェックしたうえ区民に公開してきました。しかし、今後はこれらの審議会への諮問が不可とされます。さらに、これまでの審議会では区議会議員7人を含む25人構成であったものが、今後は区長の委嘱を受けた学識経験者と区民合わせて13人に半減させたうえ議員も除外されます。これで審議会の役割を十分果たすことができるのでしょうか。審議会に議員を含めるとともに、これまで審議会に諮問してきた事柄についても報告し、審議会委員が求めた際は自発的に調査・審議・意見陳述できるようにするべきだと考えます。2点区の見解を伺います。

 第三に、電算結合についてです。国の個人情報保護委員会によるガイドラインによれば、オンライン結合についても審議会への諮問は不可となっています。区は情報セキュリティーポリシーを遵守することで必要な保護を図るということですが、日本弁護士連合会は「オンライン結合について規制を設けることを禁止するのは、これまでの地方公共団体の実績を否定し、リスクを増大させ、個人情報保護の後退をもたらす」と意見書で述べています。新たな漏洩やシステム障害、プライバシー侵害などを防ぐためにも審議会や専門家らによる検証を積極的に求めて、必要に応じて結合先である国に対して、調査や要請を行うことを条例にしっかり規定するべきだと考えます。区の所見を伺います。

 デジタル化は地方自治体がもつ個人情報を営利企業に明け渡すことに最大の狙いがあるのではないでしょうか。とりわけ「モリカケ・桜」など、一連の疑惑解明に背を向け、公文書の改ざんや虚偽答弁を繰り返し、隠ぺいを続けてきた自公政権に大切な個人情報を委ねることに多くの国民が不安を抱いています。今こそ区として、区民の個人情報を守り防波堤の役割を果たすべきだと考えますが、区の所見を伺います。

【中田総務部長】私から、個人情報保護制度および旧統一教会についてお答えします。

 令和3年5月の「個人情報の保護に関する法律」の改正は、個人情報の保護と利活用の両立を図るため、全国的な共通ルールを定めることを目的としています。令和5年4月から法の規定が区に直接適用されることから、区では、法の施行に必要な事項を規定した施行条例等を本定例会に提出しています。

 法では、基本理念として「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきもの」と定められています。また、これまで条例で定めていた個人情報の安全管理措置のほか、適正な取得や提供の制限、不適正な利用の禁止が義務付けられ、個人情報の適正な取扱いを図るために必要な規定が設けられています。

 国のガイドラインは、法の解釈運用や監視監督を一元的に担う個人情報保護委員会が、個人情報の適正な取扱いを確保することを目的として、法第4条、第8条、第11条および第131条に基づき、具体的な指針を定めたものです。ガイドラインには、法に条例への委任規定が置かれていないものについては、独自に規定を定めることができないことが示されています。区では法の規定とガイドラインを踏まえ、法の施行に必要な条例で規定すべき事項等を定めています。

 法施行後は、個人情報保護運営審議会の設置は任意とされ、諮問は、専門的な知見に基づく意見を聴くことが特に必要であると認められる場合に限定されます。このため、区は審議会のあり方を見直し、本定例会に提出した改正条例で、委員については、法で規定する「専門的な知見」を有する学識経験者と、区民意見を反映するための区民委員による構成としています。その結果、委員は25名から13名となり、区民委員の割合は約4割から約6割になります。個人情報保護制度の運用状況等については、引き続き、審議会および区議会へ報告を行い、ご意見等を伺います。新たに審議会が自発的に行う調査、審議等の規定を設ける考えはありません。

 区では、現在、新たな情報システム導入時には、ICTの専門人材である情報処理専門技術員により、情報セキュリティの安全面等を精査しています。今後、電算結合を含め個人情報の安全管理措置については、新たに「個人情報の適正な取り扱いに関する指針」を定め、個人情報の管理体制の強化を図ります。また、目的外利用等について、事案ごとに法の規定への適合性を審議するため、庁内に「練馬区個人情報保護運営委員会」を新たに設置します。条例で国に対する電算結合先の調査や要請を規定する考えはありません。区では、改正法に基づき、引き続き、個人情報の保護と利活用に必要な取組を進めていきます。

      地域医療問題について

 次に、地域医療問題についてお聞きします。

 第一は、区内の病床増についてです。練馬区では、この4年間だけを見ても、順天堂病院の90床増床を始め、高野台新病院の開院、光が丘病院の移転に伴う増床など計427床増床するとともに、今後も忠医会病院など計347床の増床が計画されています。区内の病床増と医療環境の改善に力を尽くしてきたことは重要です。

 こうしたなか区の地域医療の課題である、人口に対して一般・療養病床が極端に少ない問題は、23区平均の3分の1から2分の1に改善されますが、2025年以降の計画は具体的に示されていません。区は、区内の病院配置状況を考慮しながら、今後の医療需要等を見据えた医療機能を有する新たな病院の誘致を目指すとビジョンに示しているだけです。病床を増やすうえで、土地や医療圏内での病床の確保、医療法人の確保などの課題がありますが、都と調整し、更に病床を増やせるよう、次期ビジョンでしっかり位置付け、実現に向け取り組むべきです。答弁を求めます。

 第二に、光が丘病院と順天堂練馬病院の差額ベッド数についてです。順天堂病院は、その建設に区が100億円の補助をし、土地も30年無償で貸し付けています。光が丘病院も、建設補助が94億円、土地は同様に30年無償貸し付けです。その成り立ちを考えてもどちらも公的役割が強く求められます。ところが順天堂の差額ベッド数は全体の45%、光が丘は移転前の4.67%から40%まで引き上げられます。民間病院の場合、差額ベッドの比率は5割まで許されていますが、両病院のその割合は高すぎます。区はこの問題について、区民の負担軽減のため、病院に対し折に触れ、差額ベッドの抑制を申し入れているとしたうえで、持続可能な病院運営が求められることから、現在の差額ベッド数は妥当だとの認識を示しています。

しかし先日、特別委員会で愛知県春日井市民病院と一宮市民病院を視察していますが、どちらも地域の中核病院として3次救急医療の指定を受け、小児や周産期医療、災害時医療など不採算医療への対応をしながら、差額ベッド数を3割に抑えて、市からの補助は受けず、企業会計で独立採算制のもと、病院経営が成り立っているとのことです。単純に比較はできませんが、順天堂や光が丘病院の経営状況などもしっかりと掴み、公的病院の基準である3割になるよう、具体的に迫る必要があると考えます。区の考えをお聞きします。

 第三は、3次救急の更なる拡充についてです。順天堂練馬病院は、都の救急医療対策協議会で3次救急の候補医療機関として選定され、試行を経て、年度内に指定を受ける見込みです。これは区民、区議会、行政が一体となって取り組んだ成果ですが、3次救急に指定されると、区外患者の受け入れが増えることになります。3次救急医療体制は練馬区周辺にはなく、順天堂病院は今でも1日当たりの外来患者は1,200人を超え、病床稼働率もコロナ禍で若干落ちているとはいえ、85%を超えています。更に練馬区は現状でも7割の救急患者は区外搬送されていることなどを考えると、時間を争う救急患者を受け入れられる3次救急医療機関が区内に複数、必要になってくるのではないでしょうか。今後、順天堂病院での3次救急医療については検証をする必要がありますが、74万区民の命と健康を守ること、小さな県と同程度の人口規模であることなどを勘案すると、それを待たずに計画を立てておく必要があると考えます。現在、3次救急を持たない杉並区や世田谷区からの搬送が増えることを想定すると、杉並区や世田谷区への設置を含め、区の考えをお聞きします。

 更に、光が丘病院は移転し、規模も拡大し、救急医療も担いますが、光が丘病院で3次救急を仮に受ける場合、どのような課題があるのでしょうか。隣の光が丘7小跡地は、酸素ステーションを閉めた後、北町福祉作業所の建て替えに伴う仮移転場所になっていますが、その後の使い道は決まっていません。その土地も使って光が丘病院をさらに拡充し、3次救急医療も担える病院にしていくことについて、区の考えと合わせ、2点答弁を求めます。

【生方地域医療担当部長】私から、地域医療についてお答えいたします。

 初めに、今後の病院整備についてです。

 区内病院の整備促進とさらなる病床の確保は、区の最重要課題の一つです。病院を整備して病床を増やすには、用地の確保、二次保健医療圏における病床数の制限、病院の経営など、多くの課題があります。このような中にあっても、地域包括ケアシステムの確立に向け、積極的に病床の確保に取り組んできました。引き続き、第2次みどりの風吹くまちビジョン改定アクションプランに基づき、今後の医療需要等を見据えた医療機能を有する新たな病院の誘致を目指します。

 次に、差額ベッドについてです。

 厚生労働省の基準では、差額ベッド数について、病床数の5割以下、地方公共団体が開設するものは、3割以下としています。患者負担の配慮が必要な一方で、持続可能な病院運営も求められることから、現在の差額ベッド数は妥当であると認識しています。

 次に、三次救急医療機関についてです。

 三次救急医療機関では、生命の危機が切迫している重傷・重篤患者および複数の診療科領域にわたる全ての救急患者に対し、高度な救急医療を総合的に24時間体制で提供します。指定に当たっては、概ね20床以上の専用病床や必要な医療機器の設置、専任の医師および看護師の配置等、施設、設備、運営に関して、厳格な条件が定められています。三次救急医療機関は医療法に基いて、都が策定する医療計画に位置付け、広域的に整備するものと認識しています。

 なお、光が丘第七小学校跡施設は、障害者福祉施設の改修時等の一時移転施設として、順次活用していきます。私からは以上です。

      学校給食の無償化と英語スピーキングテストについて

 次に学校給食の無償化と英語スピーキングテストについてお聞きします。

 第一に学校給食の無償化についてです。私たちはこの間、給食費の保護者負担のうち、1,000円補助の条例提案を党区議団単独で行い、一般質問を含め何度も求めてきました。ところが区は、学校給食法第11条の規定を理由に保護者負担が原則であるとし、生活困窮世帯に対しては、生活保護や就学援助で対応しているからいいじゃないかという考えのようです。憲法26条は「義務教育は、これを無償とする」と、全ての子どもたちへ保障しているもので、生活困窮者世帯だけのものではありません。区は最高裁判例に照らしても現行制度は妥当といいますが、判例でも保護者負担についてできるだけ軽減するよう配慮・努力することは望ましいとしています。長引くコロナ禍や物価高騰が深刻な状況のなかで、無償化は全ての子育て世帯の負担軽減となり、暮らしの底上げになることから無償化を求める声は全国で広がっており、無償化する自治体も増えています。

財源について、本来は国の責任で恒久的に無償とすべきですが、区は、将来世代への負担となりかねないと国に財政的な負担を求めない考えを示しています。しかし国がつくった1,000兆円を超える借金は子どもたちの責任ではありません。むしろ財源も示さないまま軍事費を2倍化に、5兆円増やすことの方が、はるかに将来世代に大きな負担を強いることになるのではありませんか。まして学校給食費の無償化は4,400億、軍事費2倍化の10分の1で実現できます。軍事費の2倍化は止め、国へ無償化するための財源を求めていただきたい。お答えください。

 無償化は23区で初となる葛飾区では、経費17億円のうち既に公費負担分は7億円なのであと10億は、一般財源や財調基金の活用等で十分可能だと判断したそうです。来年4月から無償化する宮城県富谷市では、財源は毎年発生する7億~10億円の黒字を使う予定です。練馬区は年間25億~27億円かかる試算ですが、区には毎年、無償化を賄えるくらいの黒字があり、これを活用すれば実現可能と考えます。国が無償化するまで、区として無償化に踏み出していただきたい。改めて区の見解を伺います。

 第二に、英語スピーキングテスト・ESAT-Jについてです。ESAT-Jの問題の1つは、公平性が保たれていないことです。ESAT-Jの不受験者には英語の筆記テストの結果に基づいて、他人の点数で自分の点数が付与されるなど入試ではあり得えないことです。また採点は、フィリピンで行われ、請け負う会社名も採点者の資格も明らかにされておらず、正確で公正な採点ができるのか疑問です。また27日に強行されたESAT-Jは、前半組と後半組に分かれて試験が行われたことにより、前半組の声が後半組によく聴こえており、問題流出ではないか、という報告もあります。

 2つに、これまでの方針とも矛盾していることです。かつて文科省や都教委からも「業者テストに依存しない進路指導」として業者テストを実施しない旨の通達が出ていました。ところがESAT-Jは、問題作成から試験、採点までを全てベネッセが行うことになっています。業者テストに依存しないという通知の内容は変更されたのでしょうか。お答えください。そもそもESAT-Jは同じくベネッセの英語資格試験であるGTECと酷似しているという指摘があります。練馬区がESAT-JとそっくりのGTECを導入していることは、導入していない自治体もあるなかで不平等です。

 3つに、個人情報の問題です。「都立高校入試英語スピーキングテストに反対する保護者の会」が行った保護者アンケートで、学校で保護者の同意なく申し込んだケースが9自治体あったという結果のなかに練馬区が含まれていたことが分かりました。保護者の承諾なく申し込みをさせたことは問題です。ましてベネッセはかつて個人情報漏えいを起こした企業です。少なくとも今回の申し込み状況について、区として全校の保護者、受験生への実態調査を行うべきです。お答えください。

 4つに、教育基本法が禁じる「不当な支配」にあたることです。ESAT-Jは、スピーキングの達成度を測るアチーブメントテストです。アチーブメントテストは本来、各校の自主性が尊重されなければならず、もし強制すれば基本法が禁止する「不当な支配」にあたります。都教委がESAT-Jを入試に活用し、事実上強制することは、まさに「不当な支配」にあたり、許されません。

 当事者や保護者の合意形成がないもとで、人生を左右する中学3年生の大切な入試に、問題山積のESAT-Jを導入すべきではありません。都立高校入試へ活用しないこと、今後はESAT-Jは中止するよう都へ求めるべきです。お答えください。

【三浦教育振興部長】私から教育に関するご質問にお答えします。

 はじめに、学校給食費についてです。

 学校給食費は、学校給食法の規定に基づき、保護者に食材料費をご負担いただく考えに変わりはありません。

今年度の学校給食への食材費補助については、物価上昇が続いている状況を踏まえ、来年3月まで延長しました。生活困窮世帯に対しては、就学援助制度により援助を行っています。

 国に無償化を求める考えはなく、区独自に無償化する考えもありません。

 次に、英語スピーキングテストについてです。

 スピーキングテストは、中学校で身に付けた英語を話す力を客観的に評価するとともに、生徒の高校における英語学習につなぎ、中学校と高校における英語指導の充実を図ることを目的としています。

 本テストも、東京都教育委員会が設置する問題等検討委員会において、都教委が定める出題方針に則り、内容を決定しているため、業者が単独で作成しているGTECとは異なるものです。そのため、業者テストには該当せず、ご指摘の通知に当てはまるものではありません。

 本テストの申込における保護者同意に関しては、現段階において保護者から区や学校への問い合わせはありません。実態調査を行う予定はありません。

 都立高校の入試においては、学習指導要領で求められている「聞くこと」、「読むこと」、「書くこと」、そして「話すこと」の4技能の習得状況を測ることが重要であると、都教委は説明しています。練馬区教育委員会として、都教委に中止を求める考えはありません。以上です。

      統一協会と区の対応について

 次に、統一協会・世界平和統一家庭連合と区の対応についてお聞きします。安倍元首相が銃撃され、死亡した事件を発端に、反社会的カルト団体・統一協会と政治家との癒着関係が次々と明らかになり、同時に統一協会の反社会的活動による被害の深刻さが浮き彫りになりました。右翼的潮流と結びつき、家庭教育支援条例の制定運動を強めるなど、地方政治までゆがませています。この問題を曖昧に済ませるわけに、いきません。

 統一協会による反社会的活動はこれまで繰り返し行われ、子どもにまで被害が及んでいます。その活動のなかで、特に被害が大きいのは霊感商法です。「先祖の因縁がある」などと言って脅し、壺や印鑑など高額で売りつけてきました。全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、1987年~2021年までの間で、その被害は3万4,537件、総額1,237億円超に達しています。これでも氷山の一角だとの指摘もあります。

 その手口の特徴は、詐欺的勧誘です。街頭の声掛けなどで誘い、正体を隠したまま段階的に洗脳し、最後には被害者から加害者に変えてしまう。こうした手法自体が信仰や内心の自由の侵害だとして、裁判でも審判が下っており、伝道、集団結婚式など、すべての活動に違法判断が確定しています。区は、統一協会とその活動についてどう認識しているのか、反社会的カルト団体との認識を持っているのか、お聞きします。

 信者とその家族は被害者であり、その救済とともに新たな被害者を出さないことは、政治の責任です。また、統一協会に宗教法人として税制優遇を続けることに道理はありません。被害を防ぐための法的規制や、区として統一協会の宗教法人の解散請求をするよう国に求めるべきと考えます。お答えください。

 また、統一協会による被害実態の調査を被害者支援団体と連携して行うことや、区に相談窓口を設け支援団体と連携した救済活動、支援団体への運営の援助、統一協会に関する区民への注意・啓発を行うことも必要ではないでしょうか。4点、伺います。

 統一協会は多くの関連団体を持ち、練馬でも清掃活動を行っているピースロード練馬が活動しています。環境美化団体として区の支援を受けていましたが、登録できないよう団体要件を見直したということです。そういう判断をしたにも関わらず、その後ポスターを公設掲示版に貼らせていたことが発覚し、撤去させました。なぜそんなことが起きたのか、お聞かせください。

 こうしたことを繰り返さないよう今後は調査確認とともに、より確実な庁内での情報共有が必要ではないでしょうか。また、区立施設の貸し出しも含め統一協会と区の関わりがなかったか、教育委員会も含め調査を行い、結果を公表するとともに、統一協会と関連団体に公共施設を使用させない対応を、するべきではないでしょうか。3点、答弁を求めます。

 安倍元首相をはじめ多くの議員が統一協会の広告塔となり被害を拡大させたことは、絶対に許されない問題です。国も自治体も議員も統一協会と一切関わりを持ってはならず、それができなければ民主主義が成り立ちません。外郭団体も含め、統一協会や関連団体への対応について今後区がどのような方針を持っているのか、区民に明らかにすべきです。いかがですか。以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【中田総務部長】次に、旧統一教会についてです。

 旧統一教会およびその関係団体の活動実態が、社会的に問題となっています。

 信教の自由は、憲法に定められた権利ですが、不法行為や人権を侵害する活動は、あってはならないと認識しています。

 現在、国において、旧統一教会の被害者を救済する法案などの検討が行われているところであり、その状況を注視しながら、適切に対応してまいります。

 被害者救済・支援について、区では、悪質商法の相談などに対し、区の消費生活センターで対応しているほか、区民相談所で行う法律相談などを案内しています。国の動向を踏まえ、必要に応じて、被害者支援等に取り組んでまいります。

 次に、公設掲示板へのポスター掲示についてです。練馬区掲示板等管理要綱では、「特定の個人または団体を支持するもの」、「公益を害する恐れがあると認められるもの」等については、掲示することはできないと規定していますが、ピースロード練馬からポスター掲示の申請があった時点では、その判断ができませんでした。その後、区民からの問合せ等を受け、団体の活動を改めて確認した結果、区として撤去を判断しました。今後も掲示することはありません。

 本年8月、旧統一教会関係団体との関連について、外郭団体も含めた全庁調査を行った結果、昨年度、施設の利用が1件ありました。その他の施設利用、後援名義の申請や寄付受領などはありません。調査結果は庁内で情報共有を行いました。

 今後も当然のことながら、不法行為等問題のある団体とは一線を画します。区民の皆様から問合せがあった場合には、その旨をお答えしています。私からは以上です。

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