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議会報告
REPORT

2022年第3回定例会一般質問 坂尻まさゆき (2022年9月9日)

                                 2022年 第3回定例会一般質問

                                                                                                    2022年9月9日

日本共産党練馬区議団

坂尻まさゆき

 私は日本共産党練馬区議団を代表して、一般質問をおこないます。

 はじめにコロナ対策についてお聞きします。国は第7波を受け、コロナに対する基本的対処方針を改定し、都も方針を修正しました。しかし、それでも区も認めるようにこれまでに経験したことのない爆発的な感染状況が続き、新規感染者数、死亡数ともに過去最高を更新しました。練馬でも新規感染者が1日2000人を超え、30人の方が亡くなりました。なぜこうした事態に陥ってしまったのでしょうか。

 一つは、医療や保健所などの体制の不足です。自宅療養者への支援では、軽症者の経過観察を都の「うちさぽ」が行っているものの、一日当たりの申請可能件数は3000件までで、3万人を超える感染者すべてに対応できる状況ではありませんでした。発熱外来もパンク状態となり、とりわけネットに不慣れな高齢者を中心に予約が取れない状況が続きました。

 入院が必要な人たちも入院できていません。区長は年齢などを考慮し入院することができましたが、都内の医療現場からは悲痛な声が寄せられています。例えば「中等症Ⅱで苦しんでいる人が救急搬送できない…患者さんに頭を下げる救急隊の無念な姿に胸が詰まる」、この方は12時間を待たずに亡くなりました。また「救急車内で4時間、呼吸停止」「119番もつながらない」「50件以上断られている…救急隊から搬送依頼朝まで続く」などです。都内の産婦人科でも救急搬送システムが破綻しつつあり…「母体救急搬送」が困難と認めています。区は必要な人には入院してもらったとしていますが、本当にそうでしょうか。こうした中で、区は必要な検査と診療と治療をどう確保していくのか。お聞きします。

 区は、保健所の体制を増員しましたが、内訳を見ると部内応援71名、全庁応援110名、都職員8名、派遣が67名と臨時的な体制にとどまっています。しかも応援に入った職員は、時間外や土日、午前中に応援に入るなど、通常の業務に支障をきたす状況も生まれているのではないでしょうか。これまでの経験を踏まえ、緊急時、平時ともに、どのように体制を強化していくのか、全庁的に検証すべきではないでしょうか。お答えください。

【生方健康部長】私からコロナ対策および地域精神保健相談員についてお答えいたします。 はじめに、コロナ対策についてです。

 七月上旬から始まった第七波は、これまでに経験したことのない爆発的な感染状況となりました。ワクチン接種が進み、重症化率は低い状況にあり、入院が必要な方は、入院での療養が可能となっています。陽性者数は未だ非常に高い水準にありますが、八月に東京都陽性者登録センターが設置されたことなどにより、発熱外来の受診体制は確保されています。急増するPCR検査等の検査のニーズに対応するため、検査医療機関を約180か所に拡充し、石神井公園高架下の検体採取センターと合わせて、週当たりの検査件数は7000件だったものを7月下旬には9000件に拡大しました。

 感染の拡大状況に応じた職員体制を構築し、対応することは当然のことです。そのため、第六波収束後、保健所職員と応援職員の業務分担を整理し、通常業務に支障をきたさない、土日や時間外に協力できる職員で構成する応援体制を準備しました。今回の第七波では、区内の一日あたり感染者が8月1日には2,026人に達しましたが、保健所では最大300人体制で対応しています。今後も感染状況に応じ、適切に対応していきます。

 

 医療機関がひっ迫し、都内の救急搬送困難事例は過去最高を更新しましたが、国は、医療体制などの抜本的な強化ではなく、重症化率が低く、潜伏期間が短いなどを理由にして、待機期間を短縮し、全数調査を見直すなど、より基準を緩和しました。現在でもコロナの感染率は季節性インフルエンザよりも高く、専門家の中には、緩和に慎重な人たちもいます。本当にこれで犠牲者を減らせるのか疑問です。

 二つは、保育や医療などのケア労働や教育現場で慢性的な人手不足と密になりやすい環境が放置されていることです。保育では、未だに狭い場所に子どもたちを押し込め、看護師の全園への配置も現場から求められていますが、実現していません。学校では、人員不足によって校外授業の際に実施される抗原検査さえ敬遠する状況がうまれています。コロナを経験したいまこそ人員体制の強化や最低基準の引き上げを区独自でも行うべきです。いかがでしょうか。

【小暮こども家庭部長】私から、保育所や学校における人員体制等に関するご質問にお答えします。

 保育所では、保育士等の上乗せ配置を行っており、認可保育所の92.3%にあたる181か所で看護師を配置しています。また、学校の教員数は法により決められています。区は独自に学校生活支援員や副校長補佐など様々なスタッフを配置しているところです。感染防止を目的に行っている抗原検査を教員が敬遠することはありません。なお、保育所は国基準に基づき必要な面積を確保しており、「狭い場所に子どもたちを押し込めている」との指摘はあたりません。

 

 三つは、検査の体制がまだ十分とは言えないことです。介護や保育施設で定期的な検査は行われてきましたが、感染などが起こった場合に検査を増やしたくても、都や区からは規定の数しか配分されておらず、十分検査ができません。保育現場でも、クラスターが発生した場合に、そのクラス全員をPCR検査することはできないと言います。非常時に迅速に対応できるよう、配布するPCRや抗原検査キットを増やし、クラスターが発生した場合にクラス全員がPCR検査できるようにすべきと考えますが、いかがですか。

 濃厚接触者については、都が配布する抗原検査キットは症状が出た場合に限られており、自宅待機を解除するものとして使用できません。検査キットを申請なしで配布すべきです。

【小暮こども家庭部長】次に、保育所における検査についてです。

 区では現在、東京都集中的検査を活用し、園の職員が週2回、定期的に抗原検査を行っています。また、園内で感染者が発生した場合、園の求めに応じて必要な抗原検査キットを配布し、感染拡大防止に努めています。

 保育所でクラスターが発生した場合は、国や都の通知に基づき、保健所の判断により必要に応じて積極的疫学調査を実施し、PCR検査や抗原検査を行っています。クラス全員一律にPCR検査を行う考えはありません。

 

 なお介護事業所では、陽性者が出た場合、緊急雇用や自費検査費用などに対して都から補助がありますが、陽性者が出ていない場合でも、利用控えがあり、減収になっているとのことでした。ただでさえ厳しい運営状況にあることを考えれば、区として補助することも検討すべきではないでしょうか。お答えください。

【吉岡高齢施策担当部長】私から介護事業所で利用控えが生じた場合の減収への対応と介護保険認定調査員についてお答えします。

 はじめに、介護事業所で利用控えが生じた場合の減収についてです。

 この間、国や都は、かかりまし経費等介護事業所への支援内容を充実させています。令和3年度の介護報酬改定では、通所介護等において感染症を理由とする利用者の減少が一定数生じている場合に基本報酬への加算が創設され、令和4年度も引き続き算定できます。介護事業所の減収に対する更なる支援は、制度設計をした国が行うべきであり、区として補助することは考えていません。

 

 次に物価高騰への対策について伺います。

 7月の全国消費者物価指数は、前年同月比2.4%の上昇で11カ月連続の上昇となりました。年内に物価上昇率は3%になるとの報道もあり、物価高騰に歯止めがかかりません。

 民間シンクタンクは政府が実施している対策を考慮しても物価上昇による負担増は年間7.8万円にものぼると試算しています。また、試算では対策をした場合、年収1000万円以上の世帯で負担増が0.7%にとどまるのに対し、300万円未満の世帯では2.6%増で、低所得者ほど負担増の割合が大きいことも深刻です。

 こうした中で、私たちのもとには「電気代が気になり猛暑でもエアコンの使用をためらう」「見切り品を食べて食費を節約している」など切実な声が寄せられています。

 また、物価高騰は区内事業者にも厳しい影響を与えています。区内のあるクリーニング店では、ガス・電気代に加えてドライクリーニングの溶剤や洗剤、さらにプラスチックハンガーや包装用のフィルムなども仕入れ値が上がったため、後継者がいるのに廃業を検討せざるを得ないほど追い込まれ、建設業ではガソリン代の負担が昨年と比べて2割増となるなど幅広い業種で深刻な影響です。

 急激な物価高騰が今後も続く事とその下での区民の暮らしと区内事業者の営業の厳しさについて、区はどのように認識していますか。お答えください。

【前川区長】お答えいたします。物価上昇への対応についてです。

 ロシアによるウクライナ侵攻や世界的な金融引き締めにより、物価上昇と円安が進み、区民生活や事業活動に大きな影響を与えています。

 区は独自の支援策として、現在実施している学校給食への食材補助の延長に加え、国の臨時特別給付金の支給対象とならない生活困窮世帯への十万円支給、キャッシュレス決済によるポイント還元事業、経営環境が激変した事業者の資金繰りを支援する特別貸付、幼稚園、保育所など教育・子育て施設や介護・障碍児サービス事業所に対する光熱費等の補助などを検討しています。所要の経費を補正予算として取りまとめ、本定例会に追加して提案したいと考えています。

 国が本日開催した、「物価・賃金・生活総合対策本部」で示した、物価上昇への追加対策については、内容を精査し、必要に応じて、補正予算での対応を検討してまいります。

 私からは以上です。その他の質問につきましては、関係部長から答弁いたします。

 

 全国の自治体では物価高騰から暮らしと営業を支えるため様々な支援策が行われています。鳥取県では、生活困窮者へ光熱費補助の一部として7000円を給付し、新潟市では非課税世帯を対象に1世帯15,000円の物価高騰対策支援金の給付を予定しています。また、西東京市では市内事業者を対象に業種を問わず個人事業主5万円、小規模事業者10万円などを給付する事業を行っています。

国の地方創生臨時交付金は、電気ガスなど公共料金や燃料費への補助、住まい確保困窮者への支援など幅広く活用でき、練馬区への交付限度額は約18億円と聞いています。

臨時交付金も活用して、区として生活困窮者への給付金や家賃補助、幅広い事業者を対象にした燃料費補助を行うべきです。また、都に交付金を活用して補助するよう求めるべきです。2点お答えください。

【佐古田企画部長】私から、物価上昇への対応と最低賃金についてお答えします。

 区は、国や都の対策を踏まえ、区民や事業者への影響を緩和するための緊急的な支援に取り組みます。

 生活困窮者に対する支援については、地方創生臨時交付金を活用し、国の臨時特別給付金の支給対象とならない世帯に対して、区独自に一世帯あたり十万円の支給を検討します。

 国は、住居確保給付金の対象者を拡大し、支給金額の増額、支給期間や申請期間の延長、再支給を行っています。住まいへの支援が大幅に拡充されたことから区独自の家賃補助を実施する考えはありません。

 幅広い事業者への燃料補助については、国が本日開催した、「物価、賃金・生活総合対策本部で示した、物価上昇への追加対策において、燃料油価格激減緩和対策の継続が明らかにされました。現時点で、区独自の補助を実施することや、都に対して補助の実施を求める考えはありません。

 

 世界的な物価高騰の中、イギリスやフランスでは最低賃金が引き上げられ、日本円に換算すると1500~2000円程度に引き上げています。一方、日本では来月からの新しい最低賃金は全国で30~33円の引き上げで、東京では時給1072円となりますが物価高騰にまるで追い付いていません。

 2019年に東京地方労働組合評議会が都内に住む10~30代の一人暮らしの若者411人分のデータをもとにした最低生計費試算調査では、少なくとも最低賃金が1500円でないとふつうに暮らせないという結論になり、全労連が行った同様の調査では全国の都市と地方の生計費に差はなく、どこでも時給1500円以上が必要との結果になりました。中小企業支援と一体で、一刻も早く、全国一律で最低賃金を1500円に引き上げるよう国に求めるべきです。お答えください。

【佐古田企画部長】次に、最低賃金についてです。

 最低賃金は、公益代表、労働者代表、使用者代表の各委員で構成される最低賃金審議会において議論の上、都道府県労働局長が決定しています。具体的には、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考にしながら、各都道府県の地方最低賃金審議会での地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申し出に関する手続を経て、都道府県労働局長により決定されます。

 今年度の最低賃金の全国加重平均額31円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。国に最低賃金の更なる引上げを求める考えはありません。私からは以上です。

 

次に教育への支援の充実についてです。

1つは、学校給食費への補助についてです。長引く新型コロナによる経済の悪化や物価高騰は、子育て世帯に貧困と格差を広げ、経済的に困難な家庭が増加しています。東京都の調査では、小中学校ともに保護者負担の多くを占めるものは、学校給食費です。区内でフードバンクを実施する団体には「給食がなくなる夏休み前に開催してくれて助かる」という声が複数寄せられるほどで、給食費の補助は子育て世帯への強い支援となります。

この間私たちは、学校給食費への一部補助や無償化を求めてきました。区は、学校給食法の規定により最高裁の判例に照らしても義務教育無償の原則に反するものでなく妥当、国に無償化を求めることも区で実施する考えもない、という答弁でした。

しかし学校給食法11条について、1954年に文部事務次官通達で「施設や設備、人件費に関わるお金は自治体が負担、食材料費のみ保護者が負担すると負担区分を定めているもので、給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図はない。」という解釈を示しています。給食費の一部という点について、2018年参院文教科学委員会では、自治体等の判断によって全額補助することも否定しないことをわが党議員が国務大臣に確認しています。あとは自治体のやる気次第ということです。

学校給食費をはじめ学校にかかる費用の無償化は、小規模自治体から始まり、規模の大きな自治体にも広がっています。青森市では今年10月から、全国の中核市では初めて給食費無償化が実現し、23区では北区が2020年から、第2子以降所得制限を設けずに補助を実施、そして葛飾区では小中学校給食無償化を来年度から実施すると7日記者会見で表明しています。

 また今年6月、政府参考人として発言した明石市の泉市長は、子どもを本気で応援する5つの無償化を打ち出し、明石市では子どもファーストという発想の転換をすることで、人口9年連続増、出生率1.70、市税収入8年連続増など、市民満足度が大きく向上する成果に結びついたということです。

 憲法に規定された義務教育無償の原則に照らせば、国の責任で学校給食費無償化を実施すべきですが、この間の格差拡大のもとで教育負担の切実さ、自治体毎に無償化が進んでいる実態を鑑み、区独自に学校給食の無償化に踏み切っていただきたい。区の見解を伺います。

【三浦教育振興部長】私から教育に関するご質問についてお答えします。

 はじめに、学校給食費についてです。

 学校給食費は、学校保健法の規定に基づき、食材料費のみをご負担いただいているものです。現在実施している学校給食への食材費補助の延長について検討しています。

 なお、区で独自に無償化を行う考えはありません。

 

 2つ目に、就学援助制度についてです。就学援助だけでは就学を保障できない現状もあります。2020年東京地方労働組合評議会が行った、東京で普通に子育てをするにはいくら必要になるかという最低生計費調査では、30代夫婦と小学生、幼児の4人世帯で約650万円とのことですが、練馬区の就学援助の対象を収入ベースに置きかえると、同じ4人世帯で年収500万円ということです。就学援助の対象になっていない世帯は、教育費が足りていると考えていますか。区の見解を伺います。また、物価高騰等の影響で子どもにも困窮が広がっているなか、現行の基準では子どもの貧困対策として十分とはいえません。区として認定基準の引き上げ等対象を広げるべきです。いかがですか。

 私たちはこの間、生活保護の教育扶助にはあるクラブ活動費等の準要保護世帯への拡充も求めてきました。例えばある中学校の運動部では、1万数千円ものウインドブレーカーを購入するなどの実態があります。このような私費負担によって参加を諦めたり続けられなくなる事態はあってはなりません。子どもが経済的事情を心配せずに部活動に参加できるよう支援が必要です。区としてどう支援をするのか、そのためにまず実態調査を行うべきと考えますが、2点お答えください。

 また就学援助の支給は、費用を一旦徴収してから後で支給していますが、それでは「費用が払えず辛い」という声が寄せられています。経済的困難な家庭に援助する制度ですから、入学準備費の前倒し支給のように、その他の援助費目についても同様に、前もって支給するもしくは徴収しなくて済む方法とするなど、保護者に負担のないようにしていただきたい。区の見解を伺います。

【三浦教育振興部長】次に、就学援助費の対象費目についてです。授業の一環として実施している少学校のクラブ活動については、保護者負担が実費程度であるため、対象費目の算定根拠とはしていませんが、中学校の部活動については、算定根拠として算入し、学校行事費として支給しています。現段階で、実態調査を行う考えはありません。また、就学援助費の支給については、保護者負担軽減のため、希望により、学校長の口座に直接振り込むことも行っています。

 

 つぎに会計年度任用職員の働き方についてお聞きします。第一に会計年度任用職員の86 の職種で、8月時点でもっとも多く欠員が生じている介護保険認定調査員についてです。今年度、認定調査員は26人分の予算措置があるにもかかわらず、現在は20人しかおらず想定の5分の4以下の人員で業務をまわしています。その結果、法定では申請から保険証交付まで原則30日以内とされているにも関わらず、区の場合1件あたりの平均処理日数が2021年上半期で37日以上かかっています。主治医による意見書提出がコロナ禍で滞っているなども影響していると聞きますが、認定の遅滞による区民サービスの低下をどう捉えているのか、見解をお聞かせください。

【吉岡高齢施策担当部長】次に、介護保険認定調査員についてです。

 高齢化が進み、要介護認定の申請件数が増加する中、全国的に申請から認定までの平均処理期間が長期化しています。認定の遅れは、介護を必要とする方にも介護事業者にも影響を与えます。早期に認定するため、今年度、認定調査数の増加を見据え、介護保険課に認定調査専任の係を新設しました。

 認定調査員には介護支援専門員としての豊富な実務経験が必要で、民間介護事業所の経験者を多く任用しています。引き続き会計年度任用職員を採用するとともに、委託事業者のさらなる活用も図ってまいります。

 区としては、申請から30日以内に認定できるよう取り組んでまいります。私からは以上です。

 

 区内の介護認定申請者は年間約35,000件におよびます。区はそのうち10,000件程度を「市町村受託法人」や「居宅介護支援事業所」への委託で埋めているといいますが、認定調査員は個人情報と密接にかかわり、正確な調査票を作成するためには経験や専門性は不可欠ですし、今後さらにすすむ高齢化で申請数も増えていきます。一方で月額19万4,000円の求人広告をだしても応募は得られていません。こうしたなかで、これからも認定調査員を任用職員で賄っていくことが妥当だとは考えられません。区の見解をお聞きします。

【中田総務部長】私から、会計年度任用職員、個人情報保護制度および国葬儀についてお答えします。

 はじめに会計年度任用職員についてです。

 会計年度任用職員制度は、従来の臨時・非常勤職員の任用および処遇の課題等に対応するため、創設されたものです。区では、制度改正の趣旨や総務省から発出された「事務処理マニュアル」に沿って制度を構築し、期末手当の支給や一部の職について報酬額を引き上げるなど処遇を改善し、現在まで適正に運用しています。

 

 第二に精神疾患をわずらう方などへの訪問事業にたずさわる地域精神保健相談員についてです。相談員は区内に8人おり、これまで拡充されてきた経緯があります。区内には支援対象者が近年200人を超えており、相談員ひとり当たりの支援件数は年間のべ100人程度となっています。地域精神保健相談員の仕事にはアウトリーチのほかに障害支援区分の認定調査や精神障害者らへの相談業務も含まれますが、区内に8,000人いる精神障害者への支援もふくめ、現在の体制で十分なのか疑問です。精神疾患をもつ家族会の方は、アウトリーチは23区でも先進的と評価したうえで、訪問が1回きりで終わっていることも多く、必要に応じて週1回くらい訪問してほしいなど継続的なアウトリーチの要望を受けました。要望は当然ですし、本事業を本当に機能させていくには大幅に増員することが不可欠だと考えますが、区の見解をうかがいます。

 今後、引きこもり等さらに可視化されづらい対象者の発見や支援を強めていくうえでも専門性の高い相談員を1年ごとの不安定な有期雇用で安く働かせるのは適切でないと思います。区の見解をお聞かせください。

【生方健康部長】次に、地域精神保健相談員についてです。

 地域精神保健相談員は、平成27年度に2名配置した後、平成30年度に2名、令和2年度に4名増員しています。職員配置は適正と考えており、増員の予定はありません。

 職員の採用あたっては、任期が一年である旨明示した勤務条件通知書を本人に渡しており、任期が定められていることを理解した上で仕事をしていただいています。報酬については、職務内容などを勘案した上で適切に設定しており、「安く働かせる」との指摘は当たりません。私からは以上です。

 

 第三に残業の実態についてです。さきの議会質疑では残業代は上司の命令があった場合のみ支払われると答弁があり、2021年度は6件しかなかったことが明らかにされました。しかし残業命令が出ていないにもかかわらず職員が定時を過ぎても職場にいるとの情報も寄せられており、労務管理のあり方としてどうなのか、区の問題意識をお答えください。

 そもそも、どんな事情があれ居残りや持ち帰りなど未払い残業があるとしたら問題で、それを黙認しているとしたらさらに問題です。全2681人の任用職員が月30時間未満の勤務実態に本当にあるのか、タイムカード履歴を公表・精査するなどして横断的に正確な調査をする必要があると思います。仮にオーバーワークの実態があるのなら業務量に見合った増員は当然です。区の見解をお聞かせください。

【中田総務部長】次に、会計年度任用職員の超過勤務についてです。会計年度任用職員は、その位置づけから、「超過勤務をしない」ことを勤務条件としています。超過勤務命令がない中で、定時を過ぎて在庁することは、会計年度任用職員に限らず、正規職員を含め、労務管理のあり方として、適切ではありません。そうした労務管理実態を招かないよう対応してまいります。事業を行う上で必要となる会計年度任用職員は、各所管で随時募集を行うなど、人材確保にも取り組んでいます。

 

 会計年度任用職員が高い専門性を必要とする業務であるにもかかわらず有期雇用であることがそもそもの疑問です。9割の任用職員が「将来不安」を訴えているとの調査もあり、雇用不安が個々の人生設計に大きく影響していることは明らかです。少なくとも5年毎の公募を課していない世田谷区や文京区、板橋区などの事例にならい、雇止めの不安なく働ける職場環境にするべきではないでしょうか。区の見解を聞きます。また、課題になっている管理職の兼務についても、任用職員の処遇を正規化もふくめ改善すれば全体として専門性が底上げされ、それがひいては管理職のなり手のすそ野を広げることにもつながるのではないでしょうか。区の見解をお聞きします。

【中田総務部長】次に、会計年度任用職員の任用の上限回数についてです。会計年度任用職員は一般職の非常勤職員であり、地方公務員法が適用されています。法の考えである、任用における成績主義や平等取扱いの原則から、公募によらない無期限の任用を行うことは適切ではないと考えています。任用の上限回数を撤廃する考えはありません。なお、四回の上限を超えたのちに、公募による選考に申し込むことは制限しておらず、能力実証を経た上で、改めて任用されることも可能な制度としています。

 なお、会計年度任用職員の処遇を見直すことが、管理職を希望する職員の増加につながるとのご提案ですが、全く理解できません。

 

 次に、美術館、貫井図書館の改築についてです。

 区は、美術館、貫井図書館の建築・解体などが76億円、工事管理、備品購入費を含め全体で約81億円を見込んでいることを示しました。これまで階段とサンライフを解体しての大規模改修の場合は70億円などの説明がされてきました。しかし、区が検討してきた案はどれも区民の声が生かされていると言えません。もっと踏み込んで現実的な案を区民の意見を聞きながら作り比較するべきです。

 実際、区民からは今の美術館、図書館、サンライフを生かし、よりお金をかけない提案も具体的にされています。こうした意見を正面から受けとめて、しっかりと比較検討し、区民の納得を得ながら進めるべきです。

 その点で三重県では、老朽化した総合博物館の建て替えで、県民、利用者参画の仕組みや他団体との連携など探る作業を5年間に渡り続け、「みんなでつくる博物館会議」と「こども会議」の2つの会議を中心に市民を巻き込んで作り上げたそうです。こうした過程を経れば、住民の理解が得られやすいのではないでしょうか。答弁を求めます。

 そもそも地域の公立美術館は、私立などと違い住民の税金で成り立っているため、いつでも住民を念頭におき展覧会を開くなど、人気作家の展覧会だけでなく、地域住民に何らか良い影響を与える展覧会を開くなど社会教育の場としての義務と責任があります。そうした美術館を目指していく必要があると思いますが、そのためにも、建物に多額の予算をかけるのではなく、経験豊かな学芸員を増やし育てることや、毎年コツコツと所蔵作品を集め、常設展示も行い、将来は区の所蔵作品だけでも展覧会を開けるようにするなどを視野に入れて取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。

 区の、1999年頃までは毎年美術作品を購入していましたが、その後20年は収集予算はゼロでほぼ寄贈によるものとなっています。美術館を拡充していくのであれば、毎年少しずつでも予算をつけ、そうしたことに取り組んでいくべきです。答弁を求めます。

【小金井地域文化部長】私から、美術館再整備についてお答えします。

平成30年5月に、公募区民、地元関係者等で構成する練馬区立美術館再整備基本構想策定検討委員会を立ち上げ、委員会での議論や、令和元年7月開催の親子を対象としたワークショップ参加者の声を反映した提言を令和元年11月にいただきました。これをもとに、令和3年12月に美術館再整備基本構想素案をまとめました。

改定アクションプラン、公共施設等総合管理計画の素案とともに、区民意見反映制度による意見の募集やオープンハウスに加え、中村橋駅志位辺施設の統合・再編に関わるオープンハウスを開催して多くのご意見を伺い、議会にもご報告のうえ、基本構想を策定しています。

引き続き、節目節目で区議会に報告するとともに、ワークショップなどの取組により、区民の方々のご意見を聞きながら進めます。

美術館では、収蔵品を中心とした企画展を開催するなど、活用に努めているところです。しかしながら、現在の建物では、野見山暁治さんの作品をはじめとした7,500点を超える収蔵品の活用には展示スペースが不足しています。議員のご提案のとおり、改築を契機に、いつでも区民の皆さんに収蔵品をご覧いただくための常設展示室を新設します。

新しい美術館にあわせて、作品分野や収集の手法について検討していきます。私からは以上です。

 

 図書館についても、区の示すコンセプトにはバリアフリーへの対応やカフェの設置などが示されています。これらは一定理解できますが、実施すれば物理的に開架数と蔵書数が減少せざるを得なくなるのではと危惧しています。またカフェは湿気など、資料の劣化を招くリスクを増やします。こうした懸念に対し、単に充実させるとあいまいな答弁ではなく、何がどう充実され、開架数や蔵書はどうなるのか、湿気などの対策はどうするのかなど、明確に答えていただきたい。

 また、コンセプトで美術分野に関するレファレンスの充実とありますが、これも実施すれば、専門性がある人材が必要になります。どのように充実しようと考えているのか、具体的にお示し下さい。2点答弁を求めます。

 いずれにしても、区が示すイメージは蔦屋を入れた海老名図書館など商業主義的な施設として人を集めることが中心になっているように感じます。本来の図書館の役割や機能にかなうものになるのか疑問です。

 図書館は、生存権の文化的側面である学習権を保障する機関です。区民から求められた資料や情報を確実に提供することが求められます。同時に、利用は無料が原則です。しかし、この間、民間企業への委託が進められ、図書館の根幹業務を支える司書などほとんどを非正規職員が支える状況です。大規模改修が必要とはいえ、築37年のまだ使える施設を壊し、多額の費用をかけ建て替えるのであれば、そうしたお金を本来の図書館の設置目的を実現するため、区直営に戻し、職員の働く環境を改善することに充てるべきです。答弁を求めます。

【三浦教育振興部長】次に、貫井図書館の再整備についてです。

 貫井図書館は、併設の美術館と融合する図書館として、再整備する考えです。

 子どもたちが絵本などを楽しむこどもコーナーや青少年が読書に親しむきっかけづくりができる青少年コーナーをさらに充実させ、自由にお絵描きや工作できるなど、アートの要素を追加したブック・アート・キッズスペースや、グループ学習ができるスペースの設置を検討しています。

 所蔵資料数および開架資料数は現状と同程度とします。また、所蔵資料の保管にあたっては、湿度の管理について建物の空調の設計の中で検討していきます。

 美術分野に関するレファレンスについては、現在も実施している美術分野の知識を有する人材の配置に加え、美術館が保有する図録などの資料が閲覧できるよう管理するとともに、美術館の学芸員とも連携し企画展にちなんだ資料を案内するなど、充実を図っていきます。

 館の運営には指定管理者制度により、民間の能力を最大限活用しながら、図書館サービスの向上を目指してまいります。

 失礼しました。学校保健法と申し上げましたけれども学校給食法の誤りでございます。訂正させていただきます。私からは以上です。

 

 次に個人情報保護制度についてうかがいます。

 国が個人情報保護法を改定したことにともない、区は個人情報保護法施行条例検討会を設置し、報告書案が公開されています。今後条例改定にむけて骨子案を作成、パブコメの実施など行っていく予定になっています。

 自治体の個人情報保護条例は1970年から80年代にかけて個人情報のコンピューター処理が広がるなかで始まりました。練馬区でも1984年の電算条例からはじまり、2000年に個人情報保護条例を制定、その後も発展させてきました。個人情報保護制度は、地方自治の象徴の一つといえます。

 しかし自治体ごとに特徴があった個人情報保護制度をデジタル関連法のもと、共通ルールで一元化するとされました。これにより、法が定めた以上の保護措置が許容されないなど、自治体が築き上げてきた制度が掘り崩されてしまいます。

 その最大の目的は、匿名加工情報制度を導入し、個人情報を企業が利活用できるようにすることです。個人の権利保護は、情報の有用性に配慮するものに後退させられています。

 自治体が持つ個人情報は公権力の行使や、申請届け出に伴って取得されたものです。区民サービスのために使われるべきもので、区民は情報の利活用など想定していません。加工されても、企業が持っている情報と組み合わせれば、たとえば、GAFAのような膨大な個人データを持つ巨大企業なら、個人の特定も可能ではないでしょうか。これは、住民との信頼に関わる問題です。個人情報を守る責務を放棄し、企業の儲けのために外部提供するなど、行政の仕事と言えるでしょうか。

 今後都道府県等が活用の提案募集を義務付けられますが、区は当面義務ではないことから、調査研究を行うとし、個人情報の利用提案募集は実施しないとしていますが、区条例の到達点をふまえ、個人情報の利活用はしない立場にたつべきです。答弁を求めます。

 不当な差別、偏見が生じる恐れがある要配慮個人情報について、区条例では法令等に定めがある場合などを除き、収集を禁止しています。しかし新法では禁止規定がなく、条例で規制することも「法の趣旨に照らしできない」といいます。検討委員会ではその「意図がわからない。」との意見がありました。

 要配慮個人情報は匿名加工情報に含まれる可能性もあり、さらに目的外利用や外部提供では制限がありません。これでは情報漏えいの恐れを生み、十二分な配慮とはいえません。要配慮情報について収集は原則禁止とすることや匿名加工情報に含めないと法に明記すること、条例で収集等の規制を認めるよう国に求めるべきではないでしょうか。また万が一、区が加工情報を扱う場合、要配慮情報は除外するべきです。2点お答えください。

 個人情報保護条例は住民の基本的人権の擁護と信頼される区政のためつくられました。国は各自治体が設けた制度を尊重し、自主性、自立性への配慮が求められています。国会の附帯決議では,条例について,地方自治の本旨に基づき最大限尊重すること,さらにそれが全国に適用されるべき事項であれば,法令の見直しを検討することを求めています。 

 法は3年ごとに見直しを行います。住民の願いに応えて築いてきた個人情報保護制度の後退を軽視せず、現行条例の水準を守り発展させる立場で国に意見することを求めます。答弁を求めます。

【中田総務部長】次に、個人情報保護制度についてです。

 令和3年5月、個人情報の保護と利活用の両立を図るため、全国的な共通ルールを法律で定めることを目的とした「改正個人情報保護法」が成立しました。令和5年4月から改正法の規定が区に直接適用されることから、区では現在、改正法の施行に必要な事項を規定した施行条例の骨子案を作成しています。

 改正法では、新たに行政機関の長に対して、行政機関等匿名加工情報の提供の提案募集が義務付けられています。ただし、都道府県および指定都市以外の地方公共団体においては、提案募集の実施は当分の間、任意とされています。区では、国の機関等において活用事例が乏しいことや、情報に利活用、安全確保のための十分な準備が必要であることから、今回、条例に提案募集制度に係る規定を設ける考えはありません。

 改正法では、「要配慮個人情報」も含め、個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重にとり扱われるべきものと定められ、個人情報の安全管理措置のほか、適正な取得や提供の制限、不適切な利用の禁止が義務付けられています。現時点で国に新たな規制を求める考えはありません。また、改正法に条例への委任規定が置かれていないものについては、独自に規定を定めることはできないため、要配慮個人情報を匿名加工情報から除外することはできません。

 改正法に基づき、引き続き、個人情報の保護を図るとともに利活用に必要な取り組みを進めていきます。現時点で、国に意見を述べる考えはありません。

 

 関連して、重要土地利用規制法では自衛隊駐屯地などの周辺住民を調査するとしていますが、問題の有無を住所氏名から判断することは難しく、プライバシーに踏み込んで調査される危険があります。調査対象は土地所有者に限らず、広がる可能性があり、本人の知らない間に自治体等から国に情報が流され、思想信条や生活全般を把握されることが強く懸念されます。これでは権利保護どころか、権利侵害になりかねません。区は、国からセンシティブな個人情報の提供を求められても応じないようにするべきと考えます。お答えください。

【中田総務部長】次に、重要土地等調査法についてです。

 同法は、防衛関係施設等の重要施設および国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止することを目的に定められたものです。

 同法第七条第一項では、内閣総理大臣は、土地等の利用状況調査のために必要がある場合は、関係地方公共団体の長に対して情報の提供を求めることができると規定され、同条第二項では、地方公共団体の長は、前項の規定による求めがあったときは、情報を提供するものとすると規定されています。

 区としては、法に基づいて、適切に対応してまいります。

 

 最後に、9月27日に行うという安倍元首相の国葬についてです。岸田政権は法的根拠もなく、一片の閣議決定で国葬を強行しようとしています。安倍元首相の政治家としての評価は分かれており、過半数の国民が国葬に反対しています。弔意を示すかどうかは内心の自由の問題であり、学校はじめ区内の公共施設で半旗を掲げたり、黙とうを職員や子どもたちに求めたりなど、弔意を強制しないことを求めます。お答えください。

 以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【中田総務部長】次に、安倍晋三元首相の国葬儀における弔意についてです。

 区は、国や都から弔旗掲揚や黙とうなどの弔意の表明に係る協力依頼等があった場合には、その都度対応を検討しています。安倍元首相の国葬儀については現時点で協力依頼等はありません。私からは以上です。

 

 

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