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2022年第2回定例会一般質問 -のむら 説(2022年6月10日)

2022年 第2回定例会一般質問

2022年6月10日

日本共産党練馬区議団

のむら 説

 

 日本共産党練馬区議団を代表して代表質問をおこないます。 
 まず物価高騰への対策についてです。4月の消費者物価指数は生鮮食品をのぞいた総合指数が前年同月比で2.1%上昇し、消費者の生活実感に近いとされる生鮮食品も含めた総合指数は2.5%上昇していて、くらしと営業を直撃しています。特に、生活に不可欠な食品や光熱費が値上がりし、低所得者ほど影響は深刻です。
 政府の緊急経済対策は、石油元売り業者への補助金延長や事業者への資金繰り支援などが中心で規模も内容も危機に対応できるものとは言えません。全国商工団体連合会が4月上旬に行った緊急アンケートでは、「利益がなくなった」「転嫁できない」「買い控えが進んでいる」などの声があふれ、「赤字になる」「経営が厳しくなる」の回答を合わせると84%に上ります。あらゆる業種に物価高騰の影響が及ぶ中、価格転嫁が進んでおらず、事業者を直接支援で支えることが必要です。国へ事業復活支援金や家賃支援給付金を再度実施することを求め、練馬区で物価や燃料高騰分の負担軽減補助を行うべきです。2点お答えください。

【関口産業経済部長】
 私から、物価高騰における事業者支援についてお答えいたします。 
 国は、コロナ禍での物価高騰による影響を緩和するため、今年4月に原油価格・物価高騰等総合緊急対策を策定し、影響を受ける中小企業等への補助制度を創設しています。
 区では、練馬ビジネスサポートセンターにおいて、物価高騰に関する経営相談にも応じています。また、区独自の事業者に対する特別貸付や借款特別貸付を今年9月まで受付期間を延長し、今定例会で提案した補正予算において必要な経費を計上しています。
 既に終了している家賃支援給付金や今月17日で受付終了となる事業復活支援金について、国に再実施を求める考えはありません。
 
 新型コロナ危機や物価高騰が事業と暮らしに影響を与える中、それに追い打ちをかけるのが来年10月から予定されている消費税インボイス制度です。そもそも消費税は、小規模事業者ほど価格に転嫁することが難しく、その場合でも身銭を切って事業者が納税しなければいけないなど問題が多い制度です。現在、免税業者である年間売上1,000万円以下の業者やいわゆるフリーランスや個人事業主などの働き方の人たちは、この制度が導入されると取引から排除されるか新たな税負担が増えることになります。 
国会での審議では、シルバー人材センターが1センター当たり1500万円の消費税負担が新たに増えることになり、全国の自治体からセンターの経営が成り立たないと異議をとなえる意見書が相次いでいます。これでは、コロナ危機・物価高騰で苦しむ事業者などを更に追い詰めるだけで、さらなる倒産・廃業を増やすことになります。
 今やるべきことは、インボイスではなく、消費税の5%への引下げです。世界では既に80か国以上が消費税減税を実施しています。国は消費税を社会保障の財源と説明しますが、実際には法人税や所得税などの減収分の穴埋めに使われてきました。消費税の5%への引下げとインボイスの中止を国に求めるべきです。お答えください。

【関口産業経済部長】次に、インボイス制度についてです。 
 消費税は、事業者が売り上げに係る消費税額から、仕入に係る消費税額を控除し、納付します。
 消費税の複数税率に対応するため、仕入税額控除の方式として、インボイス制度が令和5年10月から導入されます。
 現在の免税事業者は、インボイスを発行するために課税事業者になることも、免税事業者を継続することもできます。免税事業者を継続しても、売り上げ先が消費者又は免税事業者である場合などは、取引への影響は生じないと考えられます。また、免税事業者等からの課税仕入れについても、仕入れ税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられ、免税事業者への取引上の配慮がされています。
 課税事業者となる場合も、消費税率や消費税額がインボイスに記載されるため、価格に消費税の転嫁がしやすくなるという面もあると考えられています。
 国は、インボイス制度に対応するための受発注システム等の導入補助も設けています。
 引き続き税務署や区内経済団体と連携し、補助制度の活用も含め、制度周知に努めてまいります。
 今後増加が見込まれる社会保障費の財源を確保するためには、消費税は不可欠です。国に消費税の税率引下げやインボイス制度の中止を求める考えはありません。私からは以上です。

 政府の緊急経済対策には、低所得の子育て世帯や非課税世帯を対象とした給付金が盛り込まれました。しかし、これまでと同様の給付金では対象が非課税世帯とされたため低所得でありながら給付を受けられない世帯が出ていました。足立区では、世帯所得200万円以下の課税世帯で国の臨時特別給付金の対象外となる世帯へ独自に10万円の支給を行いました。練馬区でも国の給付の対象外となる低所得世帯への給付金を実施すべきです。お答えください。
【中田福祉部長】私から、生活困窮者支援についてお答えします。
 国は、コロナ禍における物価高騰等に直面し生活に困っている方々を支援するため、令和4年度新たに住民税非課税世帯になった世帯等に対し、臨時特別給付金を支給することとしました。 
 また、住居確保給付金や生活困窮者自立支援金については、本年6月末から8月末までに申請期間を延長し、再支給を行っています。これらの給付金は、要件を満たせば、非課税世帯でなくても受給することができます。
 区は、各給付金を迅速かつ確実に実施できるよう、準備を進めています。
 区独自に給付金を支給する考えはありません。

 この間、私たちはフードドライブ事業で集まった食品を福祉部署が責任をもって子ども食堂やフードバンク、児童養護施設、社会福祉協議会などへ効果的に配分する仕組みをつくることを求めてきました。今回、フードドライブ事業が再開されますが、集まった食品を区の相談窓口でも希望者に配布し、希望する子ども食堂やフードバンクに福祉部署が窓口となって提供できる仕組みを作るべきです。答弁を求めます。   
 食品価格の高騰は、学校給食にも影響を与えています。私たちが話をうかがった現場の栄養士さんは、揚げ物や果物の回数を減らしたりキャベツをもやしにえたり工夫をするが、給食の内容が変わるので子どもたちにも分かってしまうと言っていました。補正予算では、4月時点での差額に基づいて食材調達費を補助するとしていますが、4月以降も物価は上がっています。給食費が不足することが無いよう、4月以降の上昇分についても区負担を増やすべきだと要望します。

【中田福祉部長】次に、食料支援についてです。

 区は、フードドライブ事業で集まった食品を、生活にお困りの方の相談窓口である、生活サポートセンターで、直接提供しています。また、社会福祉協議会等と連携し、子ども食堂やフードバンクを運営する団体等へ食品を提供しています。

 引き続き、各機関や地域団体と連携して、生活困窮者への支援を行ってまいります。

 

 つぎに文化・芸術についてお聞きします。第1に区立美術館についてです。区は第一回定例会で、「改修では十分な対応が難しく、総合的に勘案し改築とした。」と答えました。パブコメには「等身大の美術館をめざしてほしい」「大型化を目指す必要はない」など多くの反対や疑問を呈する意見が寄せられました。賛成多数という状況ではなく、このまま計画を進めれば区民との間に軋轢が深まることになるでしょう。

 区長は新聞インタビューで美術館について、「反対の意見があることは承知している」「最後は決断しなくちゃいけない」と答えていますが、区民はそんな決断を求めていません。そうまでして美術館の大規模化を求める声が区民のなかにあるのであれば、その根拠を示していただきたい。お答えください。区は事業費をいまだに明らかにしていませんが、基本設計をするにも、事業費の規模を考えるはずです。それを示すべきです。お答えください。

 サンライフ練馬を、設置目的と利用実態が一致していないなどと、悪いことのように決めつけ廃止することにも反対の声があがっています。トレーニング室は中村橋区民センターに移して30㎡も狭くなり、体育室でできたフットサルは石神井松の風文化公園を代替にするなど、利便性が低下することは明らかです。多様な区民の要求に対し、バランスを欠いているのではないでしょうか。今からでも区立美術館はどうあるべきか、サンライフの廃止や大規模化の是非も含め、区民や専門家と時間をかけて協議するべきではないでしょうか。お聞きします。

【前川区長】お答えいたします。文化芸術についてです。

 就任以来、全国を先導する数々の福祉医療サービス練馬区モデルを構築し、都市インフラの整備にも力を尽くしてきました。その上に立って、「みどりの風吹くなか誰もが優れた文化芸術を楽しめるまち」を創りたいと考えています。

 区立美術館は、これまでも職員の努力により独創的で優れた企画を展開し、内外から高い評価を得てきました。これをさらに豊かで魅力的なものにしたい。そのためには、展示スペースを大幅に拡大するなど、再整備を進めることが必要です。

 みどり豊な住宅都市練馬にふさわしい、まちと一体となった、区民が日々の暮らしの中で楽しめる美術館を実現したい、心から願っています。

私からは以上です。その他の質問につきましては、関係部長から答弁いたします。

【小金井地域文化部長】私から、文化芸術についてお答えします。

 はじめに、美術館再整備についてです。

 公募区民、地元関係者や学識経験者等で構成する練馬区立美術館整備基本構想策定検討委員会では「7,000点のコレクションを公開できる常設展示室の確保は非常に大事」「企画展示室は1,000㎡以上あれば、いろいろな企画展に対応可能である」などの意見が出されました。この委員会の提言をもとに、美術館再整備基本構想素案を昨年12月にまとめました。

 改定アクションプラン、公共施設等総合管理計画の素案とともに、区民意見反映制度による意見の募集を行い、区内6か所でのオープンハウスに加え、中村橋駅周辺施設の統合・再編に関わるオープンハウスを地元で4回開催しました。「現在の美術館は規模が小さく、展示スペースも狭い。改築により大きくするのは賛成である」「区民が誇れる施設にしてほしい」などの期待する声を多くいただき、議会にも報告しています。

 今後も、地域の皆様や利用者のご意見を伺いながら、整備を進めていきます。

 再整備にかかる概算工事費については、改築の設計等を進めていく中で明らかにしていきます。

 

 第2にふるさと文化館についてです。ふるさと文化館は2010年に開館し、4年間の区直営のあと、2014年に分室ができ指定管理が導入されました。分室は初年度に4万7千人と、目標以上の来館者があり、五味康祐(やすすけ)氏をはじめ練馬ゆかりの画家、漫画家などの展示が行われてきました。

 しかし分室は現在、レコードコンサートが開かれる程度で企画展等がほとんど行われず、学芸員も常駐しなくなり、4万人いた来館者が2019年は2万2000人に減少してしまいました。いま本館では各種事業が行われているにも関わらず、分室は活気がありません。図録の発行も、分室関連は3年間ゼロです。運営を補助するふるさと文化館サポーターについても、2018年に17回あった展示解説会や、研究発表もなくなってしまうなど、フル活用するとしていたサポーターが活躍する場が当初より失われています。講座の企画やサポーターの調整等を行っていた業者を5年前に打ち切ったもと、5人いる学芸員は、多忙で夜遅くまで働いている状況と聞いています。こうしたふるさと文化館の運営状況を区はどう認識しているのかお聞きします。

 背景には、ふるさと文化館の予算が2019年と比べて3500万円も減っている点があげられます。特別展の回数を減らすなど事業を整理したということですが、予算削減のために分室の事業を縮小してしまい、図録を発行するのも困難になり、さらにサポーター活動も縮小してしまったのではないでしょうか。

 区長は「文化芸術は生きていく上で不可欠」と答弁していますが、大切に思っているなら、今ある文化施設を生かすことが先決です。これでは、大規模な美術館をつくっても、その役割を生かせるのか疑問です。削減した予算を戻し、体制も充実させ、分室に学芸員を置いて企画展等を活発にするなど立て直しをはかること、学芸員が余裕をもって活動できるよう負担を減らすことを求めます。お答えください。またコロナ禍のもとでも、学習や展示解説など100人近くいるサポーターの活躍の場をつくっていくことも求めます。お答えください。

 当初直営で運営されたふるさと文化館は、意欲的にイベントを行い、サポーターを積極的に活用し、よい運営が出来ていたのに、それが指定管理になったら大きく変わってしまったと関係者から聞いています。活気を取り戻すため直営に戻してはどうでしょうか。お聞きします。

【小金井地域文化部長】次に石神井公園ふるさと文化館についてです。

 平成22年度に開設し、平成26年度からは民間の柔軟な手法による新しい取り組みを行うため、練馬区文化振興協会を指定管理者としました。

 分室についてですが、職員は常駐しており、練馬ゆかりの文化人に関する収蔵品を活用し、定期的にテーマを変えて展示をしています。また、これまで分室で行っていた練馬ゆかりの作家の展覧会についても、設備や広さなど、環境が整った本館を会場に、大規模に開催するよう見直しを行いました。その相乗効果により本館分室あわせて、多くの方にご来場いただいています。

 学芸員が夜遅くまで働いているとのことですが、直営時の常勤1名、非常勤3名から、現在は館全体で常勤5名とし、超過勤務も令和3年度は月平均19時間程度であり、ご指摘は当たりません。

 コロナ禍における区の緊急対策の一環として、ふるさと文化館についても、収蔵品を活用した展覧会に変更するなど、様々な工夫を行い、最小の経費で最大の効果を上げています。

 サポーター活動は感染状況を見ながら、順次再開しています。

 館の来場者は指定管理者制度導入後の平成30年度に、過去最大の約25万人を記録しました。さらに昨年開催した「思い出のとしまえん」では歴代の展覧会で最多の1万5千人を記録しました。

 職員が創意工夫により頑張って成果を上げている中で、事実に基づかず、実態と違うご質問をいただいたことを大変残念に思います。引き続き指定管理施設として運営してまいります。私からは以上です。

 

 つぎに区政の進め方についてです。一つは区民の声を聴かない区の姿勢についてです。区はこの間、区立谷原保育園の閉園方針を公共施設等総合管理計画の実施計画素案に明記し、これについてのパブリックコメントを募集しました。寄せられた意見は490件ですが、その中で谷原関連の意見は90件にも上ります。この中には閉園に賛成している意見は一つもなく、圧倒的多数が反対意見でした。これに加え、区議会にも閉園の見直しを求める陳情が出されており、すでに1万筆を超えています。ところが区は、こうした声には耳を傾けず、閉園方針を強行しようとしています。

 練馬区政推進基本条例の逐条解説の中では、パブコメについて、「寄せられた意見は、執行機関として貴重なものとなるとともに、それらを判断材料の一つとして、その内容を考慮して計画等を策定する…」と述べています。しかし、実際にはこうした記述と区が行っていることとは大きく乖離していると言わざるを得ません。一体何のためのパブコメなのか、また多くの区民がパブコメや陳情で反対の声を示したとしても、無視しても構わないということなのか、2点お答えください。結局、区が行っていることは、パブコメという形で区民から形式的に意見を集約しているだけで、結果的に自分たちの方針を区民に押し付けているに過ぎません。

【森田企画部長】私から、区政運営についてお答えします。

 はじめに、谷原保育園についてです。

 谷原保育園は、老朽化が進行し、将来の安定した保育の提供に課題がありました。昨年7月、近隣の生産緑地の買い取り申し出を受け、民間の力を活用し、保育サービスの充実を図るため、民間保育所を誘致するものです。

 昨年12月、公共施設等総合管理計画〔実施計画〕素案で公表し、保護者説明会を3日間、計画素案のオープンハウスを6会場で開催しました。説明会に来場された11世帯の保護者とは、1世帯あたり30分から1時間以上かけて丁寧な対応を行っています。

 保護者からは、令和5年度の入園募集の時期までに民間保育所の事業者を決定すること、開園時から4・5歳児クラスを設置すること、谷原保育園の園児が異年齢交流を行える機会を確保してほしいなどのご意見をいただきました。

 民間保育所は、当初0歳児から3歳児クラスでの開園を予定していましたが、保護者のご意見を受け、谷原保育園の4・5歳児も転園を選択できるよう、0歳から5歳児クラスで開園することとしました。令和5年度の入園申込に間に合うよう、5月に事業者募集を開始し、10月までに決定する予定です。募集条件には、谷原保育園との定期的な異年齢交流の実施も盛り込んでいます。

 引き続き、保護者のご意見を丁寧に伺いながら取り組んでまいります。

 なお、議会への陳情については、議会において審査されるものと考えています。

 二つ目は、計画を区民・住民と作っていくという姿勢が不十分だと言うことです。区は、400世帯もの住民を立ち退かせて稲荷山公園の整備計画を進めようとしていますが、これまで区に寄せられた意見を見ると、不安も含めて様々な意見が出されていて、住民の理解が十分に得られているとは言えません。そもそも65年も前に都市計画決定された計画であり、自分の住んでいる地域が計画区域に含まれていることすら認識していない住民が残されていることは、寄せられた意見でも指摘されています。ところが、区は、計画区域全体を整備する基本計画を策定し、さらに今年度中に実施計画まで策定しようとしています。このまま計画を推し進めれば、住民の中に、分断を生み出すことになりかねません。

 住民への影響や現状を考えれば、まずは、この地域が公園として都市計画決定されていることを区が住民に周知することが先であり、そのうえで、住民の声をもとに、どのような公園が必要かを一緒に考えていくことが必要ではないでしょうか。その際、すでに決定されている都市計画区域の見直しを含めて議論の余地を残しておくことは当然です。いかがですか。

【森田企画部長】次に、稲荷山公園についてです。

 本公園は、昭和32年に都市計画法に基づいて都市計画公園として計画決定され、昭和53年には現在の区域へ拡大する都市計画変更がされました。いずれも、東京都が法令に基づき手続きを行い決定しています。不動産事業者の仲介により土地の売買が行われる際は、法令に基づき都市計画公園区域内であることが、説明されていると認識しています。

 現在残っている貴重な自然環境を守るだけでなく、「武蔵野の面影」を身近に感じながら、休息、観賞、散歩、遊戯、運動など総合的な利用に供することができる総合公園の整備を目指しています。現在都市計画決定されている区域の変更は考えていません。

 関係権利者や地域の皆様のご意見を伺うために、令和3年2月に作成した稲荷山公園基本計画(素案)を基に、区民意見反映制度や7回にわたるオープンハウスを実施し、さらに、個別訪問や計画に関心のある方々の集まりに参加し、計画に関する説明を行ってきました。説明の際には、当然のことながら、都市計画において定められている公園であることについても説明しています。

 区民の皆様から意見を頂く機会を設け、頂いた意見について、区の考え方を示すとともに計画への反映に努めた上で令和4年5月に「稲荷山公園基本計画(整備イメージ)」を策定しました。計画区域内の全戸に計画を配布します。

 整備にあたっては、地権者をはじめとした地域の皆様の理解と協力が不可欠です。今後も、事業の節目ごとに、関係権利者や地域の方々のご意見を伺いながら進めていきます。

 

 自治体には、住民自治という言葉があるように、首長も議員も、住民の声にもとづいて区政を進めることが求められます。ところが、谷原保育園の問題でも、稲荷山公園の問題でも、美術館の問題でも、住民不在で大枠が作られ、それが規定路線のように進められています。これでは区民が納得できないのは当然ではないでしょうか。区長は、区報の中で自らの実績を誇ったうえで、「愚直に直球を投げ続けていく」とあくまで自分の理想を実現していく決意を述べています。ここには区民の声をもとに区政を進めるという姿勢が感じられません。

 こうしたトップダウンのやり方について、区民や職員の中からも、不満の声が私たちのもとに寄せられています。今回の区長選挙では、そうした不満が結果に表れました。一騎打ちという客観的な条件があったとはいえ、現職が圧倒的有利な中で、前回よりも得票数を減らし、2000票差という接戦となりました。区長はこうした結果を真摯に受け止め、これまでのやり方を大きく転換すべきです。

 いま必要なのは、住民自治という本旨に立ち返り、どんな問題でも区民とともに進めていくボトムアップの区政を作っていくことです。そのために十分な情報提供と計画を策定する段階から住民が参加するしくみが作ること必要です。そして、住民から見直しを求める意見があれば、見直す勇気を持つことです。いかがですか。

【森田企画部長】次に、区政の進め方についてです。

 議会制民主主義のもとでは、何が区民全体の利益かを判断するのは、区民の代表である区議会と区長の責任です。それを前提に、政策形成から実行段階まで、区民の参加と協議の区政を実現することが必要だと考えます。

区は、各事業を進める中で、日頃から区民や関係団体の皆様から様々な意見・要望を伺っています。加えて、施策や計画の検討段階では、区民意識意向調査やアンケート、審議会や懇談会など様々な手法を用いて、幅広く意見をお聞きしています。

 計画等の素案を取りまとめた際は、オープンハウスや説明会、パブリックコメントなどにより、丁寧に説明して、ご意見をお聞きし、そのうえで区民の代表である区議会の意見を伺って区政を前に進めています。

 今後も、様々な手法を工夫しながら、区民参加と協働の区政を進めてまいります。私からは以上です。

 

 つぎに保健所の増設と医療資源確保についてです。新型コロナの感染は、日本の医療、福祉、公衆衛生の体制がいかに脆弱なものであったかを浮き彫りにしました。

 保健所体制の弱体化は、国が、この30年間に再編の名で市町村との役割分担や業務の合理化を看板にしながら、実態としては、公務員を減らし、地域保健に関わる予算を抑制する「行革」の一環として進められてきました。こうした中でコロナ感染のパンデミックに対応できませんでした。

 だからこそ、私どもは、コロナ危機を収束させ、次なる新興・再興感染症の流行に備えていくには、保健所の職員数・箇所数の増を含めた、公衆衛生体制の抜本的強化を求めてきました。

 ところが区は、感染者が急増した時には、全庁応援や派遣、非正規などで職員数を増やし体制強化を行うが、現在の「1保健所6保健相談所体制は、果たすべき役割と必要な業務量に基づいている」「この体制が新型コロナウイルス感染症の対応に影響しているとは考えてない」とし、最小の経費で最大の効果を上げるために平時からの体制強化は考えていないと答弁しています。

 これで、今後、本当に区民の命、健康を守ることができるでしょうか。この間、コロナの感染によって多くの命が奪われてきました。その中には、保健所に電話がつながらない、受けられる医療機関が見つからず自宅療養を余儀なくされたなど対応が遅れて助かる命を救えなかったケースがいくつもあったのではないでしょうか。保健所の体制がコロナ対応に影響していないだとか、コロナ対応が後手に回っている認識はないなど現実を見ず、経費がかかると見過ごしたままでいい問題ではありません。

 もちろん、これは練馬区だけで解決できる問題ではありません。感染症に関わって危機管理体制を強化する上で現場から見て必要な体制をつくるには何が必要なのか課題を整理し、予算や制度上の課題については国や都に意見をあげる、区もできることは積極的に取り組むことが大事です。その際、参考となるのは地域保健法ガイドラインです。保健所を必要とする人口の目安を20万人としている趣旨からも74万区民を有する練馬区で1カ所だけでは少なすぎます。当面1カ所増設し、保健師を含め緊急に増やした職員を定員化し、正規職員の恒常的な増員につなげていくことを求めます。ご答弁下さい。

【大滝健康部長】私から、保健所体制についてお答えします。

 平成9年の地域保健法施行に伴い、区では11年に組織改正し、保健相談所を区内6か所に拡充するとともに、練馬、石神井の2か所の保健所を統合しました。保健所は公衆衛生の技術的、専門的拠点とし、保健相談所は住民に身近なサービスを提供する施設としています。法の趣旨に基づき適切な役割分担を行い、きめ細かな行政サービスができる体制を整えています。引き続き、現行体制で適切に対応します。

 また、新型コロナウイルス感染症を機に都区の役割分担のあり方を根本から見直すことは、区長が都知事に直接問題提起しています。

 

 また、コロナ禍でいま一つ思い知らされたのは医療資源の大切さだったのではないでしょうか。医療資源がひっ迫する中で、積極的に受け入れてくれたのは都立、公社病院だったと聞いています。実際、コロナ専用病床を確保した全国2800の医療機関のうち、コロナ病床確保数の1~11位は全て都立・公社病院です。なぜそうなったのか、それは民間の医療機関であればコロナ患者を受け入れると、それ以外の患者を受けられず経営が悪化するからです。だからこそ、民間ではなかなかできない不採算部門でも優先してコロナ患者受け入れをすることができたのです。

 コロナで死亡者数が突出して多かった大阪も公社病院を独法化しており、その悪影響が指摘されています。都立、公社病院の独法化は、そうしたことを踏まえれば決して進めていけないことは明らかです。もともと医療資源が圧倒的に少ない練馬区は、何処よりも都立・公社病院の必要性・重要性を感じているはずです。都立・公社病院の独法化をやめるよう区として都に意見をあげるべきです。改めて答弁を求めます。

【大滝地域医療担当部長】次に、都立・公社病院の独立行政法人化についてです。

 法人化の目的は、高齢化の急速な進展など、医療を取り巻く環境が大きく変わる中、感染症、災害、救急、小児・周産期など行政的医療の提供や地域医療充実への貢献など、都立病院が担うべき役割を安定的に果たし続けていくためと認識しています。

 令和2年3月に都が策定した「新たな病院運営改革ビジョン」でも、機動的な医療スタッフの確保などを通じ、これまで以上に質の高い医療の提供や患者サービスの充実が計られるとしています。法人化を取りやめるよう、都に求める考えはありません。私からは以上です。

 

 つぎに住まいの支援についてです。貧困・格差の拡大に長期化するコロナ禍が加わり、生活困窮者が増え続け、とりわけ「住まいの貧困」が深刻化しています。

 生活困窮者支援を28年間続けている、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人の稲葉剛さんは「炊き出しに来る人は、家賃は削ることができないので食費を削っていると思われる。世代も性別も国籍も超えて、住まいを含む生活困窮がこれほどまでにあふれている状況を見たことがない。」と語っています。

 生活困窮者に住まいを確保するための対策にはまず、公営住宅があります。しかし、住宅セーフティネットの根幹である公営住宅は、この10年間で約3万3700戸も削減されました。石原都政以来、都営住宅は建て替えはするものの新規建設は1戸もありません。都営住宅の募集では、数十倍という入居倍率のところもある一方、2021年5月募集の「南田中」は449倍と高倍率のところもありました。区としてこの状況をどう考えますか。本来なら、都営住宅、区営住宅を増設し、住宅に困窮する低所得者に対し、低家賃で質の良い公的住宅を提供すべきではないですか。2点、区の見解を伺います。

【池上建築・開発担当部長】私から、住宅施策についてお答えします。

 本年4月、練馬区営住宅長寿命化計画を改定いたしました。改定にあたり国の基準をもとに、公営住宅への入居を必要とする要支援世帯数の将来推計を行い、最大時で約1万2千900と算定しています。区内の区営住宅と都営住宅は合計約1万3千戸あり、必要住戸数を満たしています。従って、既存の区営住宅を適切に維持監理していくことが肝要であり、新たな区営住宅の建設は考えはありません。

 

 収入が減った人に対し、家賃を一時的に自治体が補助する住居確保給付金は、収入要件などが緩和された影響もあり、2020年度の新規支給決定数は前年度の34倍に急増しました。家計を一番圧迫するのは家賃のため、住居確保給付金の果たした役割は大きいです。支給期間も延長され、さまざまな改善はされましたが、給付条件としてハローワークに通うなどの就職活動を必須としていることや、対象者は主たる生計維持者であるという基本的な制約があるため、ハードルになっています。恒久的な社会保障として住宅手当の制度化を求める声が広がっているなか、後藤 厚労相はコロナ対策で一定の役割を果たしてきた住居確保給付金を基礎とした恒久的な家賃補助制度を検討する考えを明らかにしています。国としても必要性を認めており、区としてはその必要性についてどうお考えですか。お答えください。

【中田福祉部長】住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法に基づく事業であるため、制度変更については、国の動向を注視してまいります。

 

 生活保護費の「住宅扶助」もありますが、生活保護の仕組みへの理解不足により、生活保護を利用せず少ない収入を家賃に充ててしまい、生活が困窮している実態があります。私たちは生活保護への理解を広げ、認識の誤りを正していくことが必要だと考えています。そして「住宅費の支払いに困っている場合もご相談ください」など、周知の仕方を工夫することで、生活に困っている人が躊躇なく利用できるのではないでしょうか。答弁を求めます。

【中田福祉部長】次に、生活保護制度の周知についてです。

 区のホームページでは、住まいや生活に困窮する全ての方に対し、その状況に応じ、必要な保護を行い、最低限度の生活保障と自立支援を行うという生活保護法の目的等を、既に周知しています。

 生活困窮者への支援策や制度変更については、区ホームページのほか、練馬区公式ツイッターを活用し、情報を発信しています。生活相談コールセンターについても区報等で随時周知しています。引き続き、様々な媒体を活用した情報発信に努めてまいります。私からは以上です。

 

 私たちはこの間、生活相談を受けるなかで、困窮する生活を再建するためには住まいの確保への支援が何よりも重要であると確信し、区独自の家賃補助制度を求めてきました。

 区はすでに取り組んでいる施策があることを理由に新たに区独自の家賃補助制度を行う考えはないという冷たい答弁でしたが、練馬区での住宅施策は、高齢者を対象に民間住宅を借り上げた区立高齢者集合住宅が140戸あるといっても募集が少なく入れるような状況ではありません。公営住宅への入居希望者へ民間賃貸住宅入居期間の家賃補助を行う高齢者優良居室提供事業では、現在59室入居されていて、新規入居は昨年度は8室だけ。家主からの居室提供を増やすよう努めているものの、居室を増やすことは難しいとのことです。また、住宅確保要配慮者への専用住宅も実施はしていますが、1戸のまま登録は進んでいません。住宅に関する様々な施策を行っているといっても、それでもまだ救われていない人たちが居るということではないですか。

 公営住宅は高倍率で多くの人が入居できない現状や、区が行っている住宅施策の対象外の人たちへの区独自の家賃補助制度が必要と考えます。とりわけ、住宅喪失の可能性の高い年収150万円から200万円の方を対象に賃貸住宅の家賃補助を行うべきです。区の見解を伺います。

【池上建築・開発担当部長】現在、全国では空き家の発生が社会問題になるなど、住宅のストック数は充足していることから、既存住宅を有効に活用することが必要と考えます。

 住まい探しにお困りの方々への支援を検討するため、区は住宅セーフティネット法に基づく住宅支援協議会を設立しました。

 協議会での検討に基づき、平成31年度から、高齢者や障害者などの住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援するため、住まい確保支援事業を実施しています。

 現在、要配慮者の入居を拒まない登録住宅は、区内に約1千7百戸登録されています。

 登録住宅のうち要配慮者のみが入居可能な専用住宅については、家賃補助制度を設け、その活用を促しております。引き続き現行の取組を充実し、住宅困窮者への支援を行っていきます。新たに、区独自の家賃補助を行う考えはありません。私からは以上です。

 

 最後にヤングケアラーについて聞きます。日本ケアラー連盟は「大人が担うようなケアの責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満」と定義しています。当事者の特徴として自身にその認識がないことも多く、学業や友人関係はじめ生涯に影響を及ぼすこともあります。

 このたびの所信表明で発見と支援を位置付け取り組みの方向性を示したことは一歩前進です。そのうえで第一に当事者発見の取り組みについてです。精神疾患をもつ母親に感情面のサポートを続けてきた女性は、かつて小学生だった頃を振り返り「だれかに相談することで母が捕まるのではないか、わたしも施設に入れられるのではないかと怖くて相談できなかった」と述べています。区長は所信表明で「各機関が相談を受けるなかでヤングケアラーを発見」してきたと述べていますが、この女性のように「発見を恐れる」当事者に対して、区はどんな手段で補足の取り組みをしているのでしょうか。区の所見を聞かせてください。

 当事者発見の中心になる学校では「とても子どもと向き合う時間がとれない」と教員らは口をそろえ、子どもたちもコロナ禍のカリキュラムで「コミュニケーションの機会は月に1時間あるかないかの図書の時間くらい」と述べるほどです。ヤングケアラー発見に本腰を入れるのであれば教員の多忙化と詰め込み教育の解決は不可欠です。区の見解を問います。

 区内在勤の教員から話を聞くと「『家で赤ちゃんの世話をしているほうが楽しい』と話す不登校気味の小学生がいる」とか「シングルマザーが未就学児の世話を小学生に頼んで出勤している」などの実例を職員会議で提起したが、その後のことまで分からないということでした。また、介護保険制度のもとで家庭訪問するケアマネージャーの方に話を聞くと「利用者の食事の用意や洗濯はできても、利用者を世話する子どものケアまですることはできない」など、ヤングケアラーの実態を日常的に見聞きしており、基本的には関係機関につなげていただいている実態もあることもわかりました。区は関係機関の職員に対して「理解を深める研修」を実施するとのことですが、区が展望する関係機関の連携や研修による成果がどう支援に結び付くのか見えてきません。まずは本人はじめ発見した人が誰でも躊躇せずに連絡・相談できる、ヤングケアラーに特化したワンストップの窓口を新設すべきと提案しますが、区の所見を聞かせてください。

 第二に支援のあり方について聞きます。ある女性は高校卒業まで3歳年下の重度知的障害者の弟の世話をするヤングケアラーでした。彼女の境遇は先生も知ってはいましたが、結局、女性は弟のケアのために習い事や部活、課外授業に参加できませんでした。区は「適切な支援」といいますが、こういった家族の負担を減らすために何ができるでしょうか。ヘルパー派遣なども有効ですが親が申請を拒んだりする場合区はどんな対応ができますか。 

 またケースによっては活用できる福祉制度が現にない場合もあると思います。そんなとき区にどんな救済措置をとれるのか教えてください。また、わたしたちは支援の土台として、困難なケースと向き合える重層的な人員の強化と制度の整備が必須だと考えますが、区の見解もあわせてお答えください。

 斎藤真緒・立命館大学教授は、「家族主義的な規範が強い日本では社会的な働きかけがない限り、ケアラー自身がみずからの置かれている状況を客観視し、支援を求めることは困難」だと述べています。そもそもヤングケアラーは「家庭内の問題」として共助の理屈に押し込めて当事者らを見えにくくさせる自己責任論と一体です。家族にケアの主たる責任をとどめたまま、一部の負担を取り除くだけでは根本的な問題解決はできません。社会全体でケアを共有していく視点こそ必要だと思いますが、区の見解を問います。

 以上で日本共産党練馬区議団を代表しての代表質問をおわります。

【三浦教育振興部長】私から、ヤングケアラーについてお答えします・

 昨年実施した区の調査により把握し、支援に繋がっているヤングケアラーは、区立小中学校で73名でした。

 ヤングケアラーの抱える課題は多様であり、本人のみならず家庭の状況に応じた支援を行う必要があります。相談窓口は、特定の組織に限定せず、ケアラー本人やケアラーを支援する様々な方が最も相談しやすいと感じる区の機関がどこでも課題を受け止め、子育て、高齢者介護、生活困窮など、複合的な課題に対応できるよう、関係機関の連携のもと重層的な支援を行っています。

 お尋ねのようなケースでは、障害福祉サービスの相談支援専門員が、本人や家族の状況、希望する生活等を聞き取り、個々の家庭の状況に応じたサービス等利用計画を作成しています。居宅介護や重度訪問介護、移動支援、ショートステイ等の利用につなげ、介護負担の軽減を図っています。必要なサービスの利用を拒否することは、ネグレクトにあたるケースもあるため、子ども家庭支援センターや児童相談所、総合福祉事務所等が連携しながら、サービスにつなげられるよう支援を行っています。

 しかしながら、ヤングケアラーは、社会的認知度が低く、子供自身や周囲の大人が気付きにくい状況にあることから、現在、児童生徒の実態を把握するため、全区立小中学校で実態調査を実施しています。

 区では、福祉、子育て、教育などの各部門で構成するヤングケアラー支援連携会議を設置しました。今後、調査の結果を踏まえ、支援連携会議において、相談支援体制の充実、民生児童委員や要保護児童対策地域協議会との連携など地域で支える仕組み、社会全体の認知度を高め理解を促進する啓発について、検討してまいります。

 また、教員は、登校から下校までの間、学校生活の大半を子供たちと過ごしています。早期に発見するためのスキル向上の研修を、学校をはじめとする関係機関の職員を対象に実施していきます。

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