ご意見
・ご相談
新型コロナウイルスに関するお知らせ

日本共産党練馬区議団

ご意見・ご相談

議会報告
REPORT

2022年第1回定例会一般質問 -島田拓(2022年2月8日)

島田拓議員

日本共産党練馬区議団を代表して一般質問をいたします。

質問を行う島田拓区議(2022年2月8日、本会議)

まず区長の基本姿勢として、各種計画全般についてお聞きします。

区はこの間、アクションプランなどの新たな素案を発表しました。しかし、これらの計画は、コロナで苦しむ区民の実態に応えるものとなっているでしょうか。

一つは区を取り巻く状況についての認識と対策ついてです。区は、アクションプランで、日本経済が長く低迷している理由の一つに「デジタル化の決定的な立ち遅れ」があると指摘しています。そして、国や都の方針に基づきデジタル化について柱を立て、推進する姿勢です。しかし、なぜ少子高齢化が進行したのか、なぜ格差が広がったのか、こうしたことをデジタル化の遅れで説明がすることができるでしょうか。お答えください。

日本経済の低迷の原因は、デジタル化の遅れではなく、雇用の規制緩和と社会保障の削減、消費税の増税によって、国民の実質賃金が大幅に減ってしまったことにあります。そうした視点に立って国民の所得を増やす取り組みこそ必要ではないでしょうか。いかがですか。

区はさらに区政の課題として、少子高齢化と財政危機を位置づけています。しかし、少子高齢化をいうのであれば、敬老館など地域施設を縮小するのではなく、むしろ維持・拡充こそ求められているのではありませんか。財政でも築40年にも満たない施設を取り壊し、多額の税金を投入して、大規模な美術館を建設しようとしています。これは財政危機と矛盾しているではありませんか。こうした箱物に多額の税金を投入する一方で、過度な財政危機をあおって、区民に身近な施設を無くしていく計画は見直すべきです。答弁を求めます。

区長の基本姿勢について(次期アクションプラン等) 

美術館再整備基本構想について

【前川区長】2点お答えいたします。

はじめに、日本経済についてです。

失礼ながら、いつもは論旨明快な島田さんが、今回は経済がなぜ縮小しているかについて、論理が整理されていないと思います。原因と結果の因果関係が混乱しています。

日本経済が低迷しているのは、GDPを構成する消費と投資がともに縮減していることによるものです。世界で最も早く少子高齢化が進んで、消費需要が縮減し、合わせて労働力不足が深刻化しています。加えて、それを補うはずの労働生産性が世界の主要諸国と比べて低く、しかもその差が拡大しています。

労働生産性が低い原因は様々ありますが、最も顕著なのは情報化、デジタル化が遅れていることであり、これは周知の事実です。

ぜひとも、経済の実態を踏まえた建設的な議論をお願いしたいと思います。

次に、文化芸術についてです。

 お話を伺っていて驚きました。昔の古い時代に戻ったような気がしました。文化芸術を余計なものと考え、贅沢扱いした時代を思い出してしまったのです。

 コロナ禍に際し、財政が厳しいなか、多額の経費を美術館の再整備に使うのは怪しからんというご意見のようですが、根本的に間違っています。こういった時代だからこそ、優れた文化芸術を楽しめるまちをつくることが必要なのです。文化芸術は、子ども、高齢者、福祉、医療、まちづくり、みどりなどの施策と同じく、人間が生きていく上で不可欠です。そもそも両者を比較すること自体が間違っています。

 文化芸術は、人間が人間であること、人間存在の根源に関わるものだと、私は思っています。

 私からは以上です。

 そのほかの質問につきましては、技監および関係部長から答弁いたします。

区長の基本姿勢について(次期アクションプラン等)

【森田企画部長】私から、改定アクションプラン等についてお答えいたします。

 改定アクションプラン素案では、今後の区政の課題として、「少子高齢化の更なる進行」や「財政の持続可能性の堅持」などを挙げています。

 敬老館は、地域包括支援センターや街かどケアカフェに機能転換することで、高齢者やその家族が気軽に相談交流でき、介護予防にも取り組める場所を更に充実します。高齢化の進行に対応して地域包括ケアシステムの構築に向けた機能を強化するものであり、「区民に身近な施設をなくしていく計画」とのご指摘は当たりません。

 コロナ禍で依然として予断を許さない状況のなか、持続可能な財政運営を堅持するためには、最悪の事態を想定して対応することが財政運営の基本です。「過度な財政危機をあおって」とのご指摘も当たらず、厳しい状況を区民の皆様に分かり易くお示しめしし、先手を打って対策をとることは、区として当然の責務です。

 

二つは、ジェンダー平等です。コロナは女性の暮らしを直撃しました。女性の雇用者数は74万人減少し、男性と比べても2倍以上減っています。DVの相談件数や女性の自殺率も増加するなど、女性の生きづらさが増大しています。こうした現状を区はどのように解消しようとしているのでしょうか。

1995年に行われた第四回世界女性会議では、女性のおかれた状況を改善するために、政策や計画、分析、評価などをジェンダーの視点でとらえなおす、いわゆるジェンダー主流化が提起されました。区は、ジェンダー主流化を実現していくためにアクションプランなどを策定する段階でどのように対応を行ったのでしょうか。お答えください。

ジェンダー主流化を実行あるものとするために、政策決定の場に女性をどのように増やしていくのかが大きな課題です。そのために区職員の働き方や処遇、審議会の在り方などを改善しなければなりません。また外国人やLGBTQの人たちの生きづらさをどう解消していくのかも課題です。こうした視点を計画の中に位置づけるべきです。お答えください。

区長の基本姿勢について(男女共同参画施策について)

【森田企画部長】次に、男女共同参画施策についてです。

 「第5次練馬区男女共同参画計画」は「第2次みどりの風吹くまちビジョン」に基づく個別計画です。策定にあたっては、「人権・男女共同参画に関する意識と労働実態調査」を行い、施策の検討や目標設定の基礎データとしました。計画の基本理念は、「誰もが、性別はもちろん、国籍・年齢・職業・働き方・価値観など、人と人との違いを認め合い、暮らし、仕事、地域における多様な活動への参画や自らの希望に沿った生き方を選択できる『すべての人が輝くまち』」としています。

 本計画では、多様な性・多様な生き方を認める意識の形成と啓発事業の強化、女性への支援、男性や事業者への啓発等を重点取組とし、全庁を挙げて進めているところです。

 毎年度、実施状況の評価・点検を行い、公募区民、関係団体・事業者の代表学識経験者で構成する「練馬区男女共同参画推進懇談会」に報告し、意見をいただき、事業の実施や見直しに反映しています。

 コロナ禍において生きづらさを抱えている方々に対しては、他区に先駆けて令和2年4月に生活相談コールセンターを設置し、各種相談にきめ細かく対応してきました。区独自の生活再建支援給付金の支給に加え就労サポーターも増員し、生活保護に至る前の支援を強化しています。DV相談については、被害者が相談や支援を利用しやすいようホームページを充実するとともに、関係機関と連携を図りながら支援に努めています。

 私からは以上です。

 

次にコロナ対策についてです。

一つは、ワクチン接種とPCR検査についてです。都内では新規感染者数が2万人を超え、練馬でも900人を越えるなど、これまでになく深刻となっています。オミクロン株は軽症が多いとは言われていますが、入院数も増えており、救急搬送・東京ルールの適用が1日250件超など、すでに危機的といえます。

区では、ワクチン接種について3回目接種を6、7か月後とするなど前倒ししましたが、ワクチンを着実に確保し、国際的にも遅れている接種のスピードアップを図るとともに、区民事務所や地域包括支援センターなどでも相談・予約できる窓口を設置すべきです。2点お答えください。

大規模なPCR等検査も欠かせません。都のPCR検査無料化事業で、区内でも薬局など15か所で検査が可能となったものの、検査キットの不足が生じています。国へキットの確保を求めるとともに、区としても無料検査場所の増設、家庭や職場への抗原検査キットの配布、エッセンシャルワーカーへの検査など、取り組みの強化を求めます。お答えください。

また都は、区が小中学校や保育所等で定期検査を実施する場合の補助を始めるとしています。これをぜひ活用していただきたい。

 二つ目に自宅・宿泊療養についてです。都は軽症なら自分で健康観察を、などとしていますが、区は自宅療養者対応の三つの柱を守って、みなし陽性者を含め、自宅に放置にしない取り組みを行っていただきたい。また、必要な人が確実に宿泊できる対応を求めます。2点、答弁を求めます。また自宅療養セットの届けに遅れが生じないよう、要望します。

三つ目に保健所の体制についてです。保健所は180名体制に強化させているとのことですが、これは派遣や会計年度任用職員が42名入った臨時的なものです。やはり平時からの体制強化が必要ではないでしょうか。いま雇用している人から正規化し、さらに保健所を2か所体制に戻すことを真剣に考えるべきです。

感染症の脅威は拡大し、精神保健など保健所が担う業務は複雑・肥大化しています。こうした中で、保健所のあり方を見直すようアクションプランに位置づけるべきと考えますが、いかがですか。

四つ目に、医療機関への支援についてです。医療従事者のなかでも感染が拡がり、通常医療にも影響が生じています。区内のある病院では、発熱外来の1日20名の予約枠がいっぱいになっているとお聞きました。ところが国は発熱外来の体制確保の補助金や診療報酬の加算を昨年で打ち切ってしまいました。区としては病院経営支援を行なっていますが、さらなる支援を行ない、病床の確保にも努めるべきです。お答えください。

コロナ対策について

【三浦健康部長】私から、コロナ対策についてお答えします。

 始めに、ワクチン接種についてです。

 昨年12月から3回目接種を開始し、これまで約5万人の方が接種しています。4月上旬までに対象者相当数のワクチンが配分される見込みであり、間隔を6か月に前倒しし、接種を進めています。

 接種会場の予約のサポートなどについては、はつらつセンターや敬老館、地域包括支援センターで行っています。

 次に、検査キットについてです。

 国は、検査キットを医療機関に優先的に供給するため、製造会社に対し、一日80万回分まで増産するよう要請しています。既に全国市長会を通じて、国に対し速やかな供給を求めています。

 東京都が行う無料検査は、都内364か所、区内でも21か所で実施され、本日から濃厚接触者への抗原検査キットの配布も開始されています。

 区は、区内の子ども関連施設、高齢者や障害者施設、清掃事業など従事する社会機能維持者が、濃厚接触者となった場合に検査できるよう、抗原検査キットを確保し、活用しています。区が無料検査場所の増設や、各家庭に検査キットを配布する考えはありません。

 次に、自宅・宿泊療養についてです。

 先月末、都は、重症化リスクが低く、軽症や無症状の方について、療養者自身で健康観察を行う方式を導入しましたが、区では、医師会や薬剤師会と改めて協議し、みなし陽性者も含め、引き続き、かかりつけ医療による健康観察を行うことを確認しました。現在、182か所の診療所、203か所の薬局で行われています。

 宿泊施設への入所は、東京都が調査を行っています。保健所では疫学調査を行い、宿泊療養が必要な方を適切に都につないでいます。

 次に、保健所体制についてです。

 保健所では、都が想定した練馬区の一日新規感染者数最大240人を基に、あらかじめ125人体制を準備してきましたが、感染者がこれを大きく超えたため、現在は180人体制に拡充しています。引き続き、感染状況に応じた体制を確保していきます。

 精神保健や母子保健については、保健相談所が適切に対応しています。現行体制を見直す考えはありません。都区の役割分担の見直しについては、都に協議を求めています。

 次に、医療機関への支援についてです。

 感染症が及ぼす病院経営への影響については、まずは国や都がその支援を行うべきと考えます。これまでも数次にわたる診療報酬の見直しや補助金の拡充などが行われており、区として更なる支援を行う予定はありません。引き続き、区内医療機関の経営状況を注視し、必要に応じて国や都へ更なる支援を要望してまいります。また、病床の確保は、「第2次ビジョン」に基づき、着実に行っています。

 私からは以上です。

 

つぎに区立美術館再整備基本構想について聞きます。

本構想は区立美術館と貫井図書館の取り壊しおよびリニューアルをサンライフ練馬の廃止とともに行うというものです。

まず公共施設等総合管理計画との整合についてです。区は区立施設の長寿命化をうたい80年の使用目標を展望していました。両館とも築36年ですから大改修のうえあと数十年は立派に使える建物であり、躯体まで取り壊すというのはあまりに性急です。美術館だけは例外などという記載はなく、区がみずから策定した行政計画すら反故にするものです。

23区内には区立美術館を有する自治体が6つありますが、築5年の「すみだ北斎美術館」をのぞき、すべて築34~41年です。これらは練馬区を除いていずれもこの10年前後で大規模改修を済ませています。なぜ空調施設の改修ではなく建物の除却までする必要があるのか答弁を求めます。

そもそも基本構想策定検討員会は1年半で7回、計12時間半程度の開催実績しかありません。委員からは当初「サンライフ利用者のニーズもあるので、そういう声も守りつつやってほしい」などの意見もあがっていました。また委員会提言は改築ではなく、あくまで「大規模改修」を前提にしています。くわえて、当然あるべき事業費の議論が委員会でまったくなされていません。こうした議論からなぜ全面リニューアルに方針が変更になったのか、区は素案作成の経緯をしっかり説明すべきです。答弁を求めます。

つぎに「文化庁の公開承認施設を目指す」ことについてです。当該施設は全国でも110カ所しかなく都内では6館のみで、うち公立は江戸東京博物館だけです。公開承認施設ならば施設・設備に多額の整備費用を要しますが、国や都からの補助スキームはなく全額が区の負担です。区は区民への最低限の責任として事業費の概算をすみやかに明らかにすべきです。答弁を求めます。

区は今年度から財政危機を理由に高齢者いきいき健康事業の対象を縮小したうえ、メニューから美術館と映画館をなくすなど、区民が文化に親しむ機会を減らし、補助・給付的事業全体で3.2億円も削減しました。コロナ禍で区民の危機感をあおる一方で多額の税金を投入し、不急とも思える事業を推進する意味がどこにあるのか、区のお考えをお聞きします。お答えください。

つぎに貫井図書館とサンライフについてです。貫井図書館の蔵書数の減少など再開時の図書館機能の後退は許されません。また、検討委員会の議事録には学芸員や司書の意見集約もないことから、区は双方の専門職を含めた現場の声を踏まえるべきです。2点答弁を求めます。

素案では「必要な機能は代替を設ける」としながらも、会議室等の定員計212名分の収容規模が維持されるか否かや、体育室の移動先、人気のある文化・教養講座や健康増進講座の継続すら不透明なままです。中村橋区民センターの機能が大規模改修でどう姿を変えるのかも明らかになっていません。

健康増進講座を10年受けている高齢女性は「引きこもりがちな独居老人が気軽に仲間とつながれるサンライフをどうかなくさないでほしい」と訴えます。そもそもサンライフは10年前に5億円かけて大規模改修しており、公共施設の計画的活用に疑義があがるのは当然です。

多額の費用を必要とし、今でも使える施設を取り壊し、利用者の多いサンライフを廃止する計画は抜本的に見直すべきです。お答えください。

美術館再整備基本構想について

【小金井地域文化部長】私から、美術館再整備についてお答えします。

 現美術館は、開館から36年が経過し、施設や設備の老朽化が進んでいるため、大規模な改修が必要な時期を迎えています。近年の他自治体事例を参考に、大規模改修を基本とした場合でも、経費は70億円程度と試算しています。展示・収蔵環境の維持やバリアフリーなど、多くの課題を抱えており、改修では十分な対応が難しいため、これらを総合的に勘案し、改築としたものです。今後、改築の設計等を進める中で、財政負担も含めて検討してまいります。

 美術館再整備基本構想策定検討委員会には、美術館学芸員も事務局として毎回出席しています。素案策定の過程でも、学芸員と司書から現状や意見を聞き、時間をかけて検討してきました。あたかも現場の意見を踏まえていないような指摘を受け、心外です。

 公開承認施設とするには、学芸員の配置、建物や設備、防火・防犯体制などの基準が定められていますが、これらは作品や文化財を守り活用する博物館の基準でもあり、当然に守るべきものです。石神井公園ふるさと文化館もこの基準に則って整備しています。

 貫井図書館については、現在の機能を維持しながら、これまで以上に美術資料や連携事業を充実していく考えです。

 サンライフ練馬については、社会状況の変化に伴う区民ニーズや施設の利用状況等を考慮し、令和7年度を目途に廃止することをお示ししました。トレーニング室などの引き続き必要な機能については、中村橋区民センターや美術館に代替を設けます。

 私からは、以上です。

 

次に区立谷原保育園についてお聞きします。

区は、区立谷原保育園について、2023年度から新規の募集を停止し、すべての子どもたちが卒園した2027年度末に廃園すると突然発表しました。許せないのは当事者の声を無視して方針を発表したことです。今回の方針は、非公開の会議の参考資料として初めて示され、保護者にも、議会にも事前の説明がないという前代未聞のやり方でした。

これまで区は保育園の在り方について、曲がりなりにも公共施設等総合管理計画などで事前に明らかにしてきました。ところが、こうした手続きさえ経ずに進めようとしています。しかも今後、段階的に子どもたちが卒園していくことになれば、異年齢児保育や行事などができなくなり、子どもたちに大きな影響を与えることになります。なぜ大きな負担をかけてまでも廃園を行う必要があるのでしょうか。お答えください。

これに対し計画に反対する保護者を中心に署名活動が行われ、短期間に5360筆もの署名が集まりました。駅頭で行われた署名行動では、1時間に400筆近い署名が集まりました。区はこうした声を真摯に受け止め、廃園計画は撤回すべきです。お答えください。

また個別の説明は行うとしていますが、当事者が求めているのであれば、教室型の説明会を開催すべきです。なぜ開かないのかも含めて、お答えください。

 廃園の理由について老朽化としていますが、それは理由にはなりません。なぜなら廃園ではなく改築をすれば良いだけだからです。一方で、もし廃園だけを行えば、子どもたちの受け皿が無くなってしまいます。そこで区は、近接した土地に私立園を誘致するとしています。つまり廃園と誘致はセットなのです。これは事実上の民営化ではありませんか。お答えください。

事実、谷原保育園の子どもたちについては、転園を希望する場合には、優先して転園できるようにすることや、誘致する私立園の子どもたちと交流させるとしています。これは私立園を受け皿ととらえているからではありませんか。

今回の廃園によって、保育園の定員が95名分も減ってしまいます。今でも倍率は4.2とすべての希望者が入れているわけではありません。これは待機児対策にも逆行しています。

障害児については、区立園では園ごとに3名まで受け入れていますが、私立園ではそのような決まりはありません。誘致する保育園については3名分確保するとしていますが、実際に受け入れている私立園の割合は全体の43%。一方、区立園では97%となるなど、区立園が障害児の大きな受け皿となっています。

さらに直営園では、区内8か所で医療的ケア児を受け入れており、私立園が急に運営できなくなる場合には、直営園が支援するなど、セーフティーネットとしての役割を果たしてきました。こうした保育園を減らすことは保育サービスの後退でありませんか。

谷原保育園の廃園について

【小暮こども家庭部長】私から、谷原保育園等についてお答えします。

 谷原保育園は、老朽化が進行し、将来の安定した保育の提供に課題がありました。今回、近隣の生産緑地の買い取り申し出を受け、民間の力を活用し、保育サービスの充実を図るため、民間保育所を誘致するものです。

事業者の募集にあたっては、現在の谷原保育園以上の定員とし、障害児保育は区立園と同じ定員3名とするほか、新たに延長保育や0歳児保育も実施する考えです。今回の民間保育所の誘致により、地域の保育サービスが後退することはありません。

閉園時期は、在園児に配慮し、在園児が全員卒園した後の令和8年度末を目途とします。

在園児の保護者に対しては、生産緑地取得の過程で、昨年11月にお子様の卒園後に閉園する考えをお知らせし、個々のご質問に対応しました。その後、谷原保育園に関する計画は、練馬区公共施設等総合管理計画〔実施計画〕素案に盛り込み、12月から1月にかけて6か所のオープンハウスでの説明やパブリックコメントなどを行ってきました。

谷原保育園に関する個別の説明会も12月に3日間開催し、丁寧に説明してきました。保護者のご意見を踏まえ、今後、異年齢交流などについても検討します。現時点で改めて全体説明会を開催する考えはありませんが、引き続き、随時ご相談に応じてまいります。

 

次に稲荷山公園などの整備についてです。

 改定アクションプランでは、稲荷山公園を「みどりの拠点づくりを進める長期プロジェクト」と位置付けて、今年度中に基本計画を策定し、来年度は実施計画を策定、翌年は現況測量に入るとしています。

練馬のみどりを未来につなぐためとはいえ、この公園が都市計画決定されたのは65年前です。その後、市街化が進み、本計画地内においても多くの住宅が立ち並んでいます。これを計画どおり公園にするとした場合、約400世帯が立ち退かなければなりません。

区は昨年の3月と8・9月にオープンハウスを2回行っています。1回目はHP、区報、町会の掲示版と回覧板で、2回目はHPとチラシの全戸配布で周知しています。参加者はそれぞれ70名と100名でした。しかし、私たちが近隣住民から聞き取りを行ったところ、この計画を全く知らない方もおり、反対している住民もいました。まちづくりに住民の理解と協力は欠かせません。少なくとも個別訪問を行って周知をはかり、2回のオープンハウスだけで終わらせず、もっと時間をかけて住民の人たちの声を聞くべきです。

これまでどのような意見が寄せられたのか、いまだ計画を知らない住民や反対する住民の声はどのように反映していくのか。また、区はこれで合意が得られているとお考えか、3点お聞きします。

 区は、2017年に現「清水山の森」を約24億円かけて買い取り、整備していますが、さらに住宅地を買い増して、整備することで本当にカタクリなどの自然を守ることができるのでしょうか。おききします。

白子川の北側は、稲荷山憩いの森や清水山の森のある南側と異なり、住宅で埋め尽くされている平坦な地形です。素案によると『森の景観を楽しむゾーン』として広場にするとしています。しかし、農地の宅地化などによって市街化してしまうに任せてきたものを今更、事業化していこうとするのは無理があるのではありませんか。この近隣には八坂台児童公園や越後山の森緑地、大泉町もみじやま公園など都市計画公園・緑地があります。400世帯も立ち退かせてまで開発しなければならないほど切迫したものとは思えません。

この公園は都市計画公園のため、財政的に区の持ち出しは少ないとされます。しかし、いずれにしろ税金であることに変わりはありません。この間、財調の一部国税化やふるさと納税など区の財源を奪うような事態が次々と起きました。その背景には、こうした多額の税金を投入する事業を進めてきたことがあるのではないでしょうか。しっかりと事業費を示し、その妥当性も議論する必要があります。

事業費の検証もなく、合意も不十分で、多くの住民の立ち退きを必要とする基本計画の今年度中の策定はやめるべきです。お答えください。

同じように、大泉井頭公園も既にその計画区域内には、約200世帯の住宅が建ち、人々の生活が営まれています。こちらは、2024年度に基本計画を策定するとしていますが、こちらも丁寧な住民への説明や計画の見直しを求めます。

稲荷山公園等の整備について

【平林土木部長】私から、稲荷山公園等の整備についてお答えします。

 稲荷山公園の区域では、これまでもカタクリなど希少な動植物が生息する自然環境を残すため、樹林地を保全する取組を行ってきましたが、更なる市街化の進展等に伴い、これまでの取り組みだけではその保全は困難な状況にあります。

 稲荷山公園は、白子川をはさんで崖線の森と草地が広がる昔ながらの自然豊かな「武蔵野の面影」を公園として再生し、後世に残していくことができる区内唯一の場所です。そのため、みどりネットワークの拠点づくりを進める長期プロジェクトとして、整備に取り組むこととしました。

 本公園は、面積が約10haと規模が大きく、段階的に整備を進めていきます。

 整備にあたっては、関係権利者をはじめとした地域の皆様の理解と協力が不可欠です。基本計画素案について、昨年2月にパブリックコメントを実施し、3月にはオープンハウスを開催。計画全般に対する意見、用地買収に関する質問もいただきました。8月、9月にオープンハウスを実施し、用地買収について個別ブースも設け、相談を受け説明を行いました。その後も、個別説明も実施しています。これまでいただいたご意見を踏まえ、年度末を目途に基本計画を策定します。

 今後も、事業の節目ごとに、関係権利者、地域の方々のご意見を伺いながら進めてまいります。

 大泉井頭公園の事業化に際しても、同様に地域の方々に丁寧にご説明し、ご意見を伺いながら進めていきます。

 以上です。

 

次に、教育振興基本計画について伺います。

2022年度から4年間の教育振興基本計画の素案が発表されました。

2年近く続くコロナ禍で、学校行事がない、対人関係がつくれない、学力と経験の格差が広がるなど子どもと教育をめぐる状況は深刻です。

こうした状況のなか、この計画が子ども一人ひとりの尊厳を支える立場で、全ての子どもたちに行き届いた教育を実施し、教育の諸課題に取り組むものとなっているでしょうか。

一つは、教員の多忙化についてです。計画では教員の働き方改革への取組として、教員サポート人材の配置やデジタル教材の活用、専門的知識をもつ外部人材の積極的活用などとしていますが、教員の多忙化の最大の原因は、学校の業務量に比べてあまりに教職員が少ないことです。もともとの所定の勤務時間で仕事が終わるように国が設定した「教員一人で1日4コマの授業を担当する」という原点に戻すことが必要です。サポート人材の活用など不安定な非正規雇用に頼ることを前提にするのではなく、国の教員配置基準を是正し、教員定数そのものを増やすこと、教職員の話し合いに基づいて不要不急の業務を削減・中止することなど、根本から業務の見直しを行うこと、コロナ下のもと、子ども一人ひとりを支え行き届いた教育を充実させるために、教員自身を支える心のケア体制の強化を図ることなどの取り組みが必要ではないでしょうか。3点見解を伺います。

 二つは、少人数学級の早期実現についてです。昨年、小学校全学年で35人学級の実施が決定しました。しかし、段階的な導入であるため、少人数学級の恩恵を受けられない子どもが出てきてしまいます。法改正を受けて少人数学級を独自に拡大している自治体もあります。感染症対策としても重要な少人数学級ですが、前倒しの検討すらされていないのはなぜでしょうか。また、少人数学級を前倒しするための課題は何なのか改めてお聞きします。三つ目は、教育支援についてです。就学援助制度はこの間、改善面もありましたが、生保基準に連動して対象基準の引き下げが行われてきました。コロナの影響で子どもの貧困はより深刻化しており、従来の取組の継続ではなく対象基準を引上げるべきです。また、地域全体で子どもを育て、子どもの成長を支えるという観点から、学校給食費無償化の実施を国や都に求めるとともに、区独自に小中学校給食費の一部補助に取り組むべきと考えますが、いかがですか。

四つ目は、子どもの人権を守る取組についてです。計画全体の目標として「夢や目標を持ち困難を乗り越える力を備えた子どもたちの育成」を掲げています。そして、そのために人権教育を推進するとしています。そうであるなら、子どもたちの心と体を守り、性を積極的肯定的に捉える包括的性教育は欠かせません。また校則が子どもの人権を侵害していることや自由を縛る実態が浮き彫りになっており、校則の問題も盛り込むべきです。

教育基本法では、「人格の完成」を教育の目的の中心に据えています。個人の尊厳、多様性を大事にする教育をどのようにつくるのか、これまで指摘してきた4点について計画に位置づけるべきです。区の見解を伺います。

教育振興基本計画について

【木村教育振興部長】私から、教育振興基本計画に関するご質問にお答えします。

 はじめに、教員の働き方改革についてです。

 区では、平成30年度に策定した働き方推進プランに基づき、サポート人材の配置や学校徴収金管理システムの導入等に加え、学校行事の見直しを行い、教員の負担軽減を図ってきました。また、毎年度全教員対象のストレスチェックを行い、必要に応じて医師の面談を実施するなど、心のケアに取り組んでいます。今後とも、教員の働き方改革に取り組んでまいります。教員定数は義務教育標準法に基づいており、区独自に教員定数を増やす考えはありません。

 次に、35人学級についてです。

 35人学級の導入に当たっては、教員の確保とともに普通教室を確保する必要があります。

区では、国の方針に基づき、小学校における35人学級の令和7年度までの順次導入を着実に進めていきます。

 次に、就学援助についてです。

 就学援助の認定基準は、生活保護基準の1.2倍としており、12区でこの基準を採用しています。給与収入ベースで換算した場合、4人世帯で年収500万程度が対象となります。現行水準は妥当なものと認識しており、認定基準を変更する考えはありません。また、学校の給食費は学校給食法の規定に基づき食材料費のみを負担していただいています。無償化や一部補助を行う考えはありません。

 次に、人権教育等についてです。

 各学校では、児童生徒が人権感覚を十分に身に付けられるよう、人権教育を推進しています。

 性教育は、学習指導要領に基づき児童生徒の発達段階に応じた指導を実施しています。

学習指導要領に記載のない内容を取り扱う場合は、児童生徒の実態を十分踏まえ、保護者に丁寧な説明をしたうえで、実施するなどの慎重な対応を促しています。校則については、時代の変化や社会情勢等を踏まえた見直しを各校に働きかけ、標準服の見直しなど学校の実情を踏まえた取組がすでに進められています。

 これら4つの項目については、すでに教育振興基本計画の取組に掲げています。

以上であります。

 

次に、外環道についてです。

外環道のトンネル工事は、一昨年調布市で陥没事故を起こして以来中断しています。その後、ネクスコ東日本は有識者委員会を設置し、原因を調査してきました。そして、その結果と国の指針を踏まえ、再発防止策を取りまとめ、この1月には関係自治体の住民むけに説明会を開き、陥没事故周辺以外の土地で工事を再開することを明らかにしました。

説明会では、「コロナが拡大している時に説明会を開いてまで再開したいのか」「再発防止策は誤魔化しではないか」「今後同様の事故が起きない保障があるのか」など工事再開に疑義や心配の声が数多く出されました。

今回、事業者から示された陥没の原因は、シールドマシンが夜間停止中に、削った土と薬剤が分離し、土が固まってカッターが回らなくなったこと、その際に特別な作業を行ったことで、土を取り込み過ぎ、陥没・空洞が起きたというものです。しかし、別の専門家は、振動でも地盤が緩むと指摘しており、圧力の高い地下50mの深さで気泡を注入したことで、隙間ができ地盤が緩んだという指摘もあります。そうしたことに対する言及はなく、これで十分な説明がなされているとは言えません。

再発防止策は、土が固まらないように地盤ごとに適した薬剤を選定し、取り込む土量を把握するというだけです。事業者自身も今後ネクスコ所有の土地で試して判断するとしており、薬剤の選定や土量の把握だけで問題が解決するとは思えません。しかも、事故後にボーリング調査を行った13カ所のうち3か所で、地盤の強度を示す数値が基準値以下だったことも判明しています。その後の追加したボーリング調査も十分とは言えず、被害を受けた住民が求める場所での調査も行われていません。

同時に、この間の調査や検証は工事を再開したい国や事業者、いわば問題を起こした当事者が行っています。本気で調査、検証して、再発防止をしようというのであれば、少なくとも利害関係がない完全な第3者による検証が必要ではありませんか。区の見解をお聞きします。

また、支持地盤の強度を示すN値が基準の50に達していなかった箇所が複数存在した問題で、都は物理探査を実施し、ボーリング調査地点間に地盤急変部が存在しないことを確認していると答弁しています。しかし、事業者は地盤を補修すると述べており、問題がないのであれば、なぜ補修する必要があるのでしょうか。区の見解をお聞きします。

元ゼネコン関係者は、自然に堆積して長い年月をかけて固く詰まった地盤も一度緩んでしまうと地震の揺れなどの影響を受けやすくなると指摘します。そうした地盤を補修するには、立ち退きが必要で結局、地上に住む住民の犠牲を伴うことになるではありませんか。しかも事業者は地盤補修する区間を220mとしていますが、本当にそれで十分なのでしょうか。220mの根拠を示すとともに、区は当初の約束が守られていない現状をどうお考えですか。お答えください。

国は「N値50以上の支持地盤より10m深い場所が大深度地下」と定義しています。支持地盤の強度が基準に達していない箇所が、計画線上にあれば、大深度地下使用要件に該当しないことになり、事業認可の取り消しが必要な事態です。住民の意見をよく聞いて必要な地点でボーリング調査を行うなど、十分な調査を行い、支持地盤の強度が基準に照らしてどうかをしっかりと公表すべきです。また、関係住民の合意もないまま、事業再開などもってのほかであり、撤回させるべきです。区の見解をお聞きします。

そもそも外環事業は、地上部には迷惑をかけないと始めた事業にもかかわらず、地上部にもこれだけ多くの迷惑をかけ、当初と比べて予算も大きく膨らみました。今後も再発防止策の実施や影響を受けた住民への賠償など、多額の費用がかかる事業は中止するよう国に意見を挙げるべきです。答弁を求めます。

外環道工事再開について

【宮下技監】私から東京外かく環状道路についてお答えします。

 調布市で発生した陥没事故を受け、国等事業者は、大泉側シールドトンネル工事における再発防止対策をとりまとめました。

 再発防止対策は、「東京外環トンネル施工等検討委員会」において、有識者が公正かつ中立の立場で専門的な見地から検討し、これとは別に設置された国の検討会による「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」の内容も踏まえて、策定されています。高度な知見を持つ多数の専門家により、まとめられていると認識しています。

 委員会における検討過程は、詳細な資料とともに公表されており、先日開催した説明会では、専門用語を可能な限り使わず、一般の方にも分かりやすい資料により説明を行っています。説明会に用いた資料はホームページ上においても公開されており、十分な説明が行われていないとの指摘はあたりません。

 陥没の原因となった地盤の緩みが生じている範囲は、事故後に実施した地盤調査やトンネル坑内調査の結果から、トンネル直上部の約220メートル区間に特定されています。その周辺地盤については、現場における地盤調査に加え、室内における各種実験等を行った結果においても、工事によって地盤を弱めた事実は確認されたいません。検証結果については周辺住民に説明を行うとともに、ホームページ上で詳細な資料が公表されています。

 工事着手前の地盤調査は、有識者委員会においても適切に行われていることが確認されています。事故は施工に起因するとされており、事業者の責任は重いと考えています。

 緩みが生じた地盤の補修については、当該工事の施行者が実施すべきものであり、工法も含め補修工事の検討状況について、周辺住民に説明を行っています。影響を受けた関係権利者には、誠意をもって対応していくことが必要です。

 外環は、首都圏全体のネットワークを形成し、渋滞や混雑緩和、移動時間の短縮などに資する重要な道路です。区内においても生活道路への車両の流入を抑制するなど、交通環境の改善に大きな効果が期待されます。

 再発防止対策に掲げた取組を確実に実施し、工事の安全・安心に万全を期した上で、外環の早期完成に向け、事業を進めていく必要があると考えています。したがって、事業再開の撤回や事業の中止を求める考えはありません。

 私からは以上です。

 

最後に18歳までの医療費無料化についてです。

共産党都議団は、昨年12月に18歳までの医療費無料化を実施するための条例提案を行いました。残念ながら反対多数で否決されましたが、今年になって各種報道で、東京都が2023年度から18歳までの医療費無料化を実施する方針であることが明らかとなりました。これは重要な一歩です。こうした制度が実施されることになれば、区としても手を挙げていただきたいと考えますが、いかがですか。

 以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問をといたします。

18歳までの医療費無料化について

【小暮こども家庭部長】次に、高校生等医療費の助成についてです。

 先月28日「令和4年度東京都予算案の概要」において、高校生相当年齢への医療費助成制度の開始に向けた区市町村等の準備経費の補助が発表されました。

 都は、今月下旬に開催する特別区児童主管課長会において、詳細な説明をすることとしています。

 区といたしましては、今後、都からの説明や動向を注視し、検討してまいります。

 私からは以上です。

一覧に戻る

TOP