私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。
はじめに区長の基本姿勢として、生活困窮者支援について伺います。
新型コロナの感染拡大が深刻さを増すなか、休業や失業で一気に生活困窮に陥ってしまう非正規労働者、路上生活者など、もともと弱い立場にあった人たちの生活を直撃しています。
コロナ対策、困窮者支援に対する国の無策を見かねた心ある人たちが、困っている人たちを助けたいと、全国各地で、練馬でも、市民や学生団体などによるフードバンクの輪が広がっています。練馬区内で支援を行っている団体によると、とりわけ女性の利用が多くなっているといいます。
「とりあえず日雇いでアルバイトをしているから大丈夫」という派遣切りにあった女性や、バイトでは暮らせず実家の扶養に入っているが、扶養範囲内での収入では生活に困り「生理用品が買えない」という若い女性、日本語がほとんど話せず家政婦の仕事もクビになり収入がゼロという外国人女性など、SOSが後を絶ちません。
コロナの影響で収入が減り貯金を切り崩して生活していたが底をつき、家賃を支払えず部屋を追い出されてしまうと相談のあった女性は、住居確保給付金や生活再建給付金のおかげで当面の生活のメドが立ちました。しかし、コロナ禍で生活に困窮する人は増え続けているにも関わらず、給付金や助成金等は終了し、政府の貧困対策は貸付制度が主となっていることや7月以降、困窮世帯へ支援金を給付するとのことですが、貸付という借金を上限額まで借りていることが条件と限定的です。再度の一律給付金支給など幅広い支援を国に求めていただきたい。お答えください。
また、住居確保給付金の3か月間の再支給の申請は、9月末まで延長となりました。生活費のなかで大きな割合を占める家賃を補助することで、救われる人は多く居ます。住居確保給付金の支給期間の制限を撤廃し、支給上限額の引き上げなど拡充を国に求めるべきではありませんか。住居に困窮している人を対象に区として家賃助成を行うこと、また生活再建支援給付金の再開を求めます。3点、お答えください。
フードバンクを利用する人のなかには、病気など様々な事情から困窮していたが扶養照会を嫌がり生活保護に繋がれずにいた若い女性も。スタッフが丁寧に話を聴き無料低額診療を案内、私たちとも繋がり生活保護を利用できるようになった人も居ます。この方のように扶養照会が妨げとなり保護の利用をためらう人も多く、私たちも相談を受けるなかで、生活保護へのハードルの高さを感じずにはいられません。
厚労省は3月末、「生活保護問答集」の一部改正についてという通知を出しました。そこには、生活保護申請者が扶養照会を拒む場合には、扶養義務の履行が期待できない場合に当たる事情がないかを特に丁寧に聞き取りを行うという対応方針が示され、本人の意向を尊重する方針が示されました。区は申請受付時、生活保護のしおりに基づき丁寧な説明を行っているとのことですが、国が示した新方針を受け、しおりや区ホームページなどで扶養照会において本人の意向を尊重することを、明確に発信していくべきではないでしょうか。お答えください。
また、生活保護制度そのものが使いづらいという問題もあり、私たちの元には、ひとり親家庭で収入からすると生活保護を利用できるかもしれないが、子どもの教育のために貯蓄をしておきたいので保護を利用できない、といった相談が寄せられています。
諸外国ではフランスやスウェーデンのように預貯金の保有限度額を問わないといった国もあり、「生活保護問題対策全国会議」が行う実施要項の改正提案では、保護申請時に最低生活費の3倍程度の保有を認め、保護開始後は保護費等を原資とする預貯金は子どもの教育費など保有目的を確認のうえ保有を認めるとしています。
生活保護は生活を立て直すための制度とすべきです。貯金もできて働くことで生活がステップアップできるような支援とすべきではないでしょうか。区の見解を伺います。
区として直接的な支援も必要です。区は、子ども食堂の運営団体と連絡会を行い各団体の状況確認や、JAからの野菜の提供情報の共有など、橋渡しを行っているとのことで、こういった取り組みはさらに広げていただきたいと思います。例えばフードドライブ事業に福祉が主体的に関わりフードバンクや子ども食堂を運営する人たちに活用してもらう、防災備蓄物資のローリングストックの活用など、仕組みを整えれば区としてできる支援はさらに広がるのではないでしょうか。生理の貧困についても防災備蓄物資から生理用品の配布を行いましたが、7月からも配布を行うことは重要です。さらに継続的な配布や小中学校のトイレへの設置など支援の拡充を求めます。2点お答えください。
前述の、区内でフードバンク支援を行っている人は、「フードバンクで助けられる人はごく少数です。焼け石に水で、やればやるほど空しくなる。でも水をかけ続けるしかないですね。」と語っています。自助、共助だけでは限界のところに来ています。コロナ禍だからこそ公助の取り組みを強め、一人ひとりに寄り添った支援、誰一人取り残さない支援を強く求めて次に移ります。
お答えいたします。生活困窮者への支援についてです。
区長就任以来、生活困窮者対策には、力を入れて取り組んできました。ひとり親家庭自立応援プロジェクト、福祉事務所の組織・人員体制の抜本的強化など、区独自の取組を実施してきました。
今回の新型コロナウイルス感染症対策においても、緊急小口資金や住居確保給付金などの生活相談コールセンターの開設、児童扶養手当受給世帯への臨時特別給付金、生活再建支援給付金の支給、就労サポーターの増員など、他自治体に先駆けて独自の対策を実施しています。
緊急事態宣言の延長に伴い、国が新たに行う生活困窮者への支援金や住居確保給付金の再支給について、円滑に実施できるよう準備を進めます。
引き続き、国や都と連携しながら、生活困窮者の支援に取り組んでまいります。私からは以上です。
その他の質問につきましては、関係部長から答弁いたします。
私から、生活困窮支援の取組内容についてお答えします。
はじめに、給付金の支給についてです。
区は、増加する生活困窮者に対する支援を適切に実施できるよう、特別区長会等を通じ、十分な財政措置や制度改正を行うよう、既に国に要望しました。
令和2年4月に緊急事態宣言が発出された以降、国は、生活困窮者への支援として、住居確保給付金の対象者を拡大し、支給金額の増額、支給期間の延長や再支給を行っています。総合支援資金特例貸付については、貸付期間の延長や再貸付を行っています。これらの支援については、申請期間の延長も行っています。また、今後新たな支援金を支給することとしています。区は、こうした支援を円滑に実施できるよう、練馬区社会福祉協議会と連携して準備を進めます。
住居確保給付金は、制度改正が行われるまで、給付を受けられる期間は、9か月で終了していました。そのため、緊急的な支援策として区独自に生活再建支援給付金を昨年度、実施したものです。その後、国の支援が拡充したことから、今年度は実施していません。
低所得者への家賃補助については、区はすでに、住宅確保要配慮者のための「専用住宅」に、所得が一定基準以下の方が入居する場合、家賃の一部を賃貸人に対して補助し、負担の軽減を図る助成制度を設けています。
今後とも、生活困窮者の状況に応じて、国や都と連携しながら、必要な支援策を機動的に実施していきます。
次に、生活保護制度についてです。
令和3年3月に発出された扶養照会にかかる国の新たな通知では、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合には、その理由について特に丁寧に聞き取りを行うことを各自治体に求めています。10年程度音信普通である場合には、扶養義務の履行が期待できない者と判断できるなど、扶養義務者の判断基準が示されています。国の基準は、区ホームページで周知をしています。区は、これまでも、要保護者の状況を丁寧に伺い、意向を尊重しながら扶養照会を実施しています。引き続き、国や都の通知に基づき、適切に対応していきます。
生活保護法においては、利用できる資産を活用することが保護の要件と規定されています。コロナ禍においては、国の通知により、平常時では保育を容認されない保険や自動車、自営業の店舗など事業用の資産について、自立のために必要な場合には保有することができる取り扱いとなっています。
また、生活保護受給中であっても、子どもの進学に向けた貯蓄など、世帯の自立のための預貯金は認められています。引き続き、自立に向けた就労や日常生活支援など受給者の状況に寄り添った支援を行っていきます。
次に、食料支援についてです。
区は、生活困窮者を支援するため、フードドライブ事業で集まった食品の一部を生活サポートセンターで提供しています。総合福祉事務所では生活相談などの際に、防災備蓄物資の食料を提供しています。また、子ども食堂の円滑な運営ができるよう、定期的に運営団体との連絡会を開催し、区からの情報提供や団体間の情報共有ができる場を設けています。引き続きこれらの取組を通して、生活困窮者への支援を行っていきます。
次に、生理用品の配布についてです。
区は、コロナ禍において困窮する女性を支援するため、本年4月から、防災備蓄物資の整理用品2,000パックを総合福祉事務所、保健相談所、男女共同参画センター等の区立施設や練馬区社会福祉協議会を通じて配布しています。7月からは、区内企業からの寄付も活用して、新たに5,000パックを購入し、配布します。
区立小中学校においては、保健室に生理用品を常備して、必要に応じ配布し、児童・生徒の様々な悩みの相談も受けています。今後、配布状況や国や都の動向を注視してまいります。私からは以上です。
次に保育について質問します。
一つ目は新型コロナの変異株が主流になり都内保育施設でもクラスターが起きているもと、児童や施設関係者への頻回・網羅的なPCR検査の実施、加えて消毒業務に専任する職員加配が現場から強く要望されています。これらの声に区がどう応えるのか、お聞きします。
二つ目は待機児についてです。今年度区は、初めて「待機児童ゼロ」と発表しましたが、背景にはコロナ禍で申請を断念した世帯が増えたことがあります。朝日新聞の調査では「利用控え」「雇用悪化」等により特別区の保育施設への入所申込者数は前年比で約1割減少し、練馬区でも前年度比で399人減少しています。
そのうえで1990年代から社会問題になってきた待機児問題への保護者らによる要求運動により、区は2013年度以降7,000人以上の定員増を実施してきたことは、一つの成果です。しかし国の基準に基づく算定は、今年度505人にのぼる「きょうだい同士を同じ保育所に入所させたい」「無認可施設しか預け先がなかった」「やむなく育休を延長した」などの非内定者を除外しており、「実態を反映していない」との声が寄せられています。区は実態を正確に反映しない数合わせをやめ、「隠れ待機児」と呼ばれる子どもの数こそ待機児童として含め、それに見合う認可園増設を推進するべきではないでしょうか。区の所見を伺います。
三つめは保育の質についてです。保育の質に大きく作用する保育士の給与はキャリアアップ補助金等があるとはいえ、例えば区内のある認可園では保育士1年目で月額給与は20万円程度と抑制され、ある区内事業者は「昇給は勤続5年で頭打ちにし、主任候補以外は解雇の対象としている」と、やりがい搾取したすえ離職をせまることまでしています。OECDデータによれば日本の30歳未満の保育者の割合はOECD平均の3倍近くになっています。保育士給与に使うべき経費の弾力運用をやめさせ、給与水準を引き上げることにより、保育士が長く勤務できるような仕組みづくりを国に求めるべきではないでしょうか。お答えください。
施設面でも、認可園ですら園庭や採光窓の設置が必須要件でなくなり詰込みが容認され、株式会社の参入を促してきました。「保育園を考える親の会」によれば園庭保有率だけみても練馬区では2017年以前は60%を超えていましたが、2020年には55%程度にまで減少しています。ただでさえ日本の床面積や職員配置基準が先進諸外国よりも劣悪であることを考えれば、密回避をするうえでもゆとりを持った受け入れにするべきではないでしょうか。区の見解を伺います。
加えて区は、区立高野台保育園を初めての民営化する方針として打ち出しました。区は民営化の利点として「継続性の観点」を主張していますが、継続性というのであれば、保育の内容の充実においても保育者の育成においても区直営に戻すべきではないでしょうか。また区は「民間ならではのサービスをさらに拡充できる」ということも主張していますが、委託化の時も同様の理由を挙げており、区が期待する、委託園にはない民営化によるサービス向上とはどのようなことなのでしょうか。
またそれが保育の質にどう寄与するのでしょうか。区民の財産を無償譲渡してまで民営化することは行政の負担と責任を減らして財政効果を期待しているだけはないでしょうか。以上4点、具体的にお答えください。
コロナ禍で児童福祉を支える公的保育の役割が一段と高まっています。今こそ保育環境の拡充をいっそう推し進めることを要求し次に移ります。
私から、保育についてお答えします。
はじめに保育施設の感染症対策についてです。
昨年8月、区は独自に、「練馬区保育施設における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を策定し、保育従事者が、日々の保育と感染防止を両立できるよう支援してきました。さらに、区独自に保育施設に勤務する区民へのワクチン接種を優先的に実施し、施設の感染症対策を強化します。
次に待機児童ゼロについてです。
前川区長就任以来、幼保一元化施設である「練馬こども園」の創設、「待機児童ゼロ作戦」の展開などにより、81施設もの私立認可保育所の整備をはじめ、全国トップクラスとなる7,159人の定員増を実施し、本年4月1日、待機児童ゼロを達成しました。
待機児童ゼロを継続するため、地域や年齢ごとの細やかな需給への対応や、私立認可保育所八か所の整備、3歳の壁の解消に必要となる2歳児から3歳児クラスの段差定員の確保等、来年4月に向けて370人分の定員増を行う予定です。
保護者のニーズに応えるため、引き続き、認可保育所のほか、練馬こども園をはじめとする、多様な保育サービスの整備に取り組んでいきます。待機児童数の算定は、全国の自治体が、国が定める基準に則り行っています。
次に保育施設の運営に要する経費の弾力運用についてです。
昨日の有馬議委員のご質問にお答えしたとおり、弾力運用の仕組みにより、事業者が独自に、賃金改善を行うことも可能となります。保育所運営事業者の経営努力や創意工夫を促進するために必要な制度であると考えます。
次に保育施設の定員についてです。
区では既に、ゆとりある保育ができるように、地域や年齢ごとの需給状況に鑑み、施設ごとに事業者と協議した上で、定員の変更も行っています。
次に高野台保育園の民営化についてです。
保育サービスにおいて、利用者の視点に立って長時間保育や産休明け保育など、先頭を切ってサービスの充実を実現してきたのは民間の保育所です。これまで区立保育所の民間委託によって、延長保育や休日保育などのサービスを充実してきました。委託園は、保護者アンケート、東京都福祉サービス第三者評価のいずれにおいても高く評価されており、直営園に戻す考えはありません。
高野台保育園は、平成23年から現在まで、安定的かつ継続的に良好な運営が行われています。民営化によって、事業者自らの責任において柔軟かつ迅速に創意工夫を発揮し、更なるサービスの充実や、より長期的な視点に立った雇用、人材育成などに取り組めるものと考えています。私からは以上です。
次に、羽田新飛行ルートについてです。
新ルートの本格運用が始まって1年が経ちました。この間も区民が騒音に悩まされ、落下物の危険にさらされ続けています。区民からは騒音が「迷惑極まりない、精神的にも苦痛だ」「体調が悪くなる」という声が寄せられています。運行開始後、国に6,000件以上の苦情があり、東京や神奈川、埼玉などで20以上の住民団体が新たに発足するなど住民の理解が得られていないことは明らかです。
声をあげているのは住民だけではありません。国交省が2014年から導入した航空安全情報自発報告制度・ボイシズは、航空安全上の支障を及ぼす可能性があった事象、ヒヤリハットを収集しています。ここに新ルートを飛んでいるパイロットたちから危険報告が15件もあったというのです。羽田空港周辺は南西の風が多く、これが新ルートでは強い横風になるため「不安定になり、あまり経験したことのない揺れ」「強風で安全性に懸念がある」ということです。以前の、海から入るコースなら向かい風で安全に飛べるのに、危険な飛行を強いられ、「機体のコントロールに苦心した」など悲鳴があがっています。
米軍横田空域を避けるための、世界にない3.45度での降下の問題もあり、羽田新ルートは安全性を低下させているではありませんか。航空機にとって、安全運航より大切なことはありません。そんな状況で練馬上空も飛んでいることに、区は懸念を持たないのでしょうか。お答えください。
国交省は、落下物が0(ゼロ)件だと宣伝していますが、部品欠落の報告が、減便しているにも関わらず昨年10月、11月だけで187個もありました。年換算すると1,122個で、2019年1年間の928個より多くなっています。防止対策がいきていないと言わざるを得ません。
今年2月、コロラド州でボーイング機がエンジンを損傷させ、住宅地に部品が落下する重大な事故が起こりました。那覇空港でも昨年12月、日航機が左エンジンの故障で引き返すトラブルが発生しています。都心で起こっていたらどうなっていたか、仮定の話では済みません。
羽田新ルートは国際競争力強化やオリンピックのための増便だと宣伝されてきました。しかし新型コロナの影響で今でも予定便数の3.5割しか飛ばせず、回復には数年かかると見られます。
さらにオリンピックは海外からの観客を受け入れないことになり、目的はすべて崩れています。国は騒音負担の分散などと言い始めましたが、そんな説明は運用開始まで一度もありませんでした。運用ありきの論理破たんです。機能強化にもならず、住民からもパイロットからも声が上がっている新ルートをそうまでして運用したい理由は何なのでしょうか。お聞きします。
こうした中、国交省は新ルートを始めて1年満たないにも関わらず、固定化回避にかかる技術的検討会を設置し、これまで3回開いています。羽田への飛行方式について12の案が出され、メリット・デメリットを検討しさらに絞り込むとしています。
しかし、都心上空の飛行が前提です。検討案では都心上空で曲線を描いて、現在よりショートカットする方法を考えているようですが、航空評論家の杉江弘氏は、どれも羽田でできるものではなく、国際的に通用しない飛行方法であり、より危険が増すだけと指摘しています。都心ルートのままである限り、対策を取るほど新たな問題があらわれ、悪循環に陥っているのが、羽田新ルートです。パイロットや管制官など現場を無視して、国が強引に推し進めたことが矛盾の元凶です。安全が第1になっていない羽田新ルートは中止し、元の海上ルートに戻すしかありません。住民をごまかすだけの時間稼ぎの検討会はやめ、都心上空を避けるルートを真剣に検討するよう、区として求めるべきです。それが住民の願いに応えることではないでしょうか。お聞きします。
私から、羽田新飛行経路および福島第一原発の処理水についてお答えします。
はじめに、羽田新飛行経路についてです。
区はこれまで、新飛行経路の導入に当たり、落下物・騒音対策を確実に実施し、対策の強化に努めるよう、繰り返し国に要請してきました。
国は、落下物防止対策基準の策定、駐機中の機体チェックや情報収集・分析の強化、低騒音機導入の促進など、対策を講じてきました。また、「航空安全情報自発報告制度」によるパイロットからの提言を受け、南西強風時には、従来経路に切り替えるなどにより、安全な運用を確保しているとしています。
米国で航空機エンジン損傷事案が発生したことから、区は、「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」を通じて、国に対し、原因を早急に究明し、類似事案を発生させないために必要な措置を講じること、当該落下物事案を含め、落下物・騒音対策について、区民への丁寧な情報提供を行うことを改めて要請したところです。
新飛行経路の運用については、国の責任において行うべきものではあり、区はお答えする立場にありません。国は、羽田空港における将来的な航空需要の拡大を見据え、我が国の国際競争力の強化などの観点から羽田空港の機能強化を決定しており、新飛行経路の運用は必要であるとしています。
「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」では、最近の航空管制や航空機の技術革新の進展を踏まえ、現在の滑走路の使い方を前提とした上で、騒音軽減等の観点から見直しが可能な方策について検討しています。これまでに3回開催された検討会では、羽田空港へ導入可能性のある飛行方式の絞り込み、導入する場合の課題の整理が行われています。引き続き、検討会の動きを注視していきます。
次にとしまえんについてです。東京都公園審議会が4月22日に答申をまとめ、練馬城址公園の整備計画が確定されました。一方で中間のまとめに寄せられた住民意見は2,463件にのぼり、とりわけプールについては「既存のものを残してほしい」「新設してほしい」など1,000件超42.7%を占め、東京都と西武鉄道に提出されたプール存続を求める署名が12,856筆にのぼっています。ほかにもエルドラドなど遊戯施設等を残すことや既存樹林の保存や植栽、避難場所や都民参画に関することについても意見や批判があがっています。
区はこの声に耳を傾け関係者らに再検討の提起をすべきだと考えますが、いかがですか。
そもそも、これほど多くの意見や批判が上がること自体、十分な説明会の開催や意見聴取もされることなく計画策定されてきた経過をうかがわせるものであり、住民が締め出され議会さえ蚊帳の外で締結された「覚書」への反発が表れているのではないでしょうか。区の見解をお聞きます。
まちづくりを考える上で参考になるのが、大阪府営・泉佐野丘陵の住民参画です。ここでは学校や地場産業、企業や各種団体などと連携して地域と一緒に公園を造っています。大阪府主催でパークレンジャーと呼ばれる公園ボランティアを養成し、そのレンジャーが中軸となってさまざまな活動プログラムの展開や地域緑化、福祉、コミュニティづくりに活躍する人たちの育成、観光ネットワークの拠点形成など、「地域の活性化にも役立つ公園づくり」を進めてきました。パークレンジャーは11年目を迎えていますが、これまで累計で198人の有資格者を輩出し、常時100人前後が実働しているということです。練馬城址公園づくりもこういった手法をおおいに参考にするべきではないでしょうか。区の見解を伺います。
としまえんは住民約6万3,000人が災害時に身を寄せる避難場所です。西武鉄道が米企業に30年間にわたって貸しだす敷地は22ヘクタール中9ヘクタールを占め、立体駐車場含むスタジオツアーの建屋は約3.8ヘクタール、高さ15メートルに及びます。住民の多くがもつ不安は、スタジオツアー建設によって避難場所が損なわれているのではないかという点です。
東京都都市整備局によれば、避難場所が「工事中の場合は工事完了まで利用不可能な区域として扱い、避難有効面積から除くこととする」と明記しています。
にもかかわらず、区は「園内のオープンスペースが避難場所になる」「避難場所としての機能は当然維持されている」「形容が変わっていく中で避難場所についても関係者と逐次検討していく」と議会でも強弁しています。
5月6日に近隣住民に配布された工事説明資料には避難場所についてひと言も触れられておらず、園内のどこが安全なのか、災害時にどこから避難したら良いか、などは住民には全く知らされていません。
工事計画書には西側エリアは「ストックヤード」として使用する旨、記載されており、これでは避難場所としての活用などできません。
東京都は、敷地内の有効避難場所を策定すべき立場にあるにかかわらず、いまだ工事による避難場所の変更を示していません。2023年春までの工事期間を含めて敷地内のどこが有効避難地域に相当するのか、オープン以降も建屋や敷地が災害時にどう活用されるのかなども含め、しっかり都に説明責任を果たさせ、住民の不安解消に努めるべきではないでしょうか。区の考えをお聞きし、次に移ります。
私から練馬城址公園についてお答えします。
昨年6月に、都、区、民間事業者間で締結した覚書は、区の求める「緑と水」「広域防災拠点」「にぎわい」の機能を備えた公園の実現を目標に掲げ、スタジオツアー施設も含めて、相互に連携・協力して整備を進めることを目的としています。覚書には、都や民間事業者が公園およびスタジオツアー施設を整備、運営するに当たって、周辺住民に対して丁寧に説明することが盛り込まれています。
これを受け、民間事業者は9月、地域の方を対象に、スタジオツアー計画等に関する説明会を開催しました。その後、意見を踏まえて建物の高さを見直すとともに、質問、意見について回答書の配布などを行っています。
都は本年1月、公園整備計画(中間のまとめ)を公表し、パブリックコメントに加え、区の要望を受けてオープンハウスを開催するなど、覚書に基づき丁寧な意見聴取を行っています。
5月に策定された整備計画には、コンセプトや具体的な整備内容が示されており、全会一致で都に提出された区議会の意見書や請願、区の要望書など、地元自治体の意向を踏まえてまとめられたものと受け止めています。都は、プールやカルーセルエルドラドに関する考え方も示しており、計画の再検討を求める考えはありません。
整備計画では、「多様な主体と連携して創りあげる公園」がテーマとされており、都は、公園の管理運営、整備、維持管理等について、個人、NPO、企業、地域団体等に広く関わっていただくという考え方を示しています。練馬城址公園がスタジオツアー施設も含めて、機能を十分に発揮するためには、多様な主体との連携が不可欠と考えており、区としても、働きかけていく考えです。私からは以上です。
私から、としまえん跡地の避難場所についてお答えいたします。
東京都が西武鉄道と協議し、としまえん跡地は引き続き避難場所として使用できることを確認しています。都は工事中の避難区域は、特別な事情がある場合、個別に判断するとしています。
民間事業者によるスタジオツアー施設については、覚書に基づき防災拠点の実現に配慮し、避難空間となる広場や南北方向からの避難動線に加え、災害時に備えた備蓄機能の確保など、防災機能を含めた整備を進めています。施設の工事中においても、敷地内に避難できる場所や周辺からの出入口を確保するよう、今後も公園整備の段階ごとに関係者間で協議し、適切に対応してまいります。私から以上です。
次に、福島第一原発のアルプス処理汚染水、海洋放出についてです。
政府が、東京電力福島第一原発から出る放射能汚染水を処理した後のトリチウムを含む汚染水を、福島沖へ放出すると決定してから、一カ月半がたちました。
福島第一原発では、廃炉作業中の原子炉建屋から出た高濃度汚染水を多核種除去設備アルプスで放射性物質を除去し、タンクに溜め続けています。この高濃度トリチウムを含む汚染水を薄めて、海洋放出する計画で、2年後をめどに放出に着手する予定です。
水も空気も地球上をめぐっており、近隣諸国からも海洋放出に懸念の声が上がっているように、福島だけの問題ではありません。
菅首相と会談した全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は、「極めて遺憾であり、到底容認できるものではない。強く抗議する」との声明を発表しました。
漁業者の方々は「このような決定を下され、非常に驚愕している」「放出は震災・原発事故以降10年にわたる漁業者の努力を踏みにじるものだ。若い人たちが漁業をあきらめてしまう」と怒りの声を上げ、多くの国民が東電に抗議し、福島県庁前や、官邸前で抗議行動を行い、白紙撤回を求めています。福島県内59自治体のうち42の自治体が反対または慎重な判断を求める意見書を可決しています。
国と東電は「関係者の理解なしには海洋放出は行わない」と漁業者に約束していましたが、全漁連の絶対反対の意見も一顧だにせず、海洋放出を正式決定してしまいました。
漁業者の理解は得られたのかとのわが党の質問に対し、小泉環境大臣は「理解を得ていく努力を続ける」と、事実上まだ理解は得られていないという事を認めました。信頼という民主主義の前提を壊した決定です。
福島第一原発は、阿武隈山地の豊富な地下水が海に向かう場所に立地しているため、大量の地下水が流れ込み、放射能汚染水が今後も発生し続けます。チェルノブイリ原発事故やスリーマイル島原発事故でも経験のない「水との闘い」です。
政府は、トリチウムは自然界にもあり、国内外の原発でもトリチウム汚染水を放出していると言いますが、だから海洋放出は安心だとは言えません。
福島第一は事故を起こした原発です。そこから流れ出る水には壊れた燃料棒、燃料デブリから溶け出した放射性物質が含まれており、トリチウム以外に62種類の放射性物質があり、通常の原発から放出される汚染水と同一ではありません。
経産省の審議官も「タンクにたまった水の7割には、トリチウム以外にも規制基準値以上の汚染物質が残っている」と認めています。
これらは、2次処理をして放出するとしていますが、2次処理の後の安全性もまだ示されていません。
また、海洋放出をしたとして、現在のタンクが無くなるのに何年かかるか、とのわが党の質問に東電は、30年~40年を使うと答弁しています。そのくらい時間がかかるのなら急いで放出する必要はありません。より堅牢な大型タンクに変え長期保存することや、米国核施設でも採用されているモルタル固化など、海洋放出以外の方法を検討し、制御できない海洋放出は止めて陸上での管理を模索するべきです。
政府は、処理水の安全性をPRするために電通に3億700万円もの予算を出し、トリチウムを可愛らしく表現したキャラクターをつくり、「問題を矮小化している」と批判を浴び、1日でホームページから削除する事態となりました。
また、風評被害のために賠償金を出すとしていますが、賠償金では後継者は育てられません。これは漁業者の方々の懸念です。次の世代の漁業者がいなくなれば、ただでさえ食料自給率の低い日本はさらに外国からの輸入に頼らざるを得ません。
安全だとPRすることや、風評被害への賠償ではなく、国と東電のやるべき事は、科学的な事故の処理と正確な情報公開です。
住民の安全安心を守るべき練馬区として、国の進める海洋放出に反対していくべきではないでしょうか? お考えを伺います。
以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
アルプス処理水とは、多核種除去設備を含む複数の処理設備で、放射性物質を浄化したものです。
国は、処理水の海洋放出は国内外での実績があり、国際原子力機関からも技術的に実施可能で国際慣行にも沿うとの評価を受けているとしています。
また、懸念や不安を払拭するため、安全性について、科学的な根拠に基づく徹底的な情報発信や説明を尽くすための広報活動を実施し、万全な対策を講じていくとしています。
海洋放出については、国の責任において決定すべきことであり、区として反対する考えはありません。