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議会報告
REPORT

2020年 第4回定例会一般質問―有馬豊議員(2020年12月1日)

2020年12月1日
日本共産党練馬区議団
有馬豊

【有馬豊議員】

 私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

 初めに、区長の基本姿勢として、核兵器廃絶についてです。

 歴史上はじめて、核兵器の開発から使用、威嚇などを禁止する核兵器禁止条約が来年1月に発効が決まりました。

 禁止条約の発効が決まったことは、「核兵器のない世界」を求める各国政府と市民社会が大国の妨害を乗り越えて達成した画期的な成果であり、発効から1年以内に締約国会合が開かれ、核軍縮のための更なる措置が検討されることになります。

 日本政府は、核保有国と非核保有国との「橋渡し」を強調し、禁止条約に背を向け続けてきましたが、今、北大西洋条約機構に加盟しアメリカの「核の傘」の下にある国々でも禁止条約への参加を探る動きが生まれています。ノルウェーでは、議会が政府に核兵器禁止条約に参加する可能性について調査を要請し、ベルギーでは禁止条約が核軍縮へ及ぼす影響を探求することが政権合意に明記されました。

 日本では、世論調査で7割が禁止条約への参加を支持し、署名・批准を求める意見書が全国約500の地方議会で可決されています。
非核都市練馬区宣言では、「…われわれは、世界最初の被爆国民として、平和憲法の精神に沿って、核兵器の全面禁止に他の自治体とも協力し、核兵器の廃絶と軍縮にむけて努力する」と宣言しています。

 区は、国に対して、一日も早く禁止条約の署名・批准を行うこと、それまでは、オブザーバーとして締約国会議及び検討会議に参加することを求めるべきです。お答えください。

 【堀総務部長】

 核兵器禁止条約については、本年10月に批准した国が発効の要件となる50か国に達し、令和3年1月に発効することになったことは承知しています。

 「核兵器のない世界」をどういうプロセスで成し遂げるのかについては、核兵器の深刻な脅威を踏まえた国際情勢についての十分な情報と、周到な分析に基づく高度な政治判断が必要であり、区は意見を申し上げる立場にありません。

 区では、核兵器の廃絶を目指して、非核都市練馬区宣言を行いました。区ホームページなどでの周知、非核都市宣言パネルの区立施設への設置、核実験に対する区長の抗議声明、区議会の決議などを行っています。本年7月には平和祈念パネル展を実施し、平和祈念コンサートや戦時体験の講話についても、現時点では、来年3月に延期して開催する予定であり、コロナ禍にあっても平和推進事業を実施する方向で準備を進めています。引き続き平和に向けた努力を行ってまいります。

 【有馬豊議員】

 次は、新型コロナ対策についてお聞きします。

 第1は、PCR等検査体制の強化についてです。

 新型コロナは、各地の医療機関や介護施設、学校などで集団感染が相次ぎ、過去最高の感染者数を日々更新され、第3波が始まりました。都内で対応できる医療機関のベッドは埋まり、保健所などは断続的に襲ってくる感染の波の中で、長時間勤務が強いられ、休日もクラスターが起これば呼び出される状況が続き、出口が見えず疲弊が広がる状況です。

 感染を収束させるカギは、PCR等検査の抜本的拡充ですが、日本の検査数は、人口比で世界152位と立ち遅れ、1日7万件の検査能力に対し、最大でも3万件程度と未だ低い水準です。

 こうした中、東京都は検査目標を6万5千人に引き上げ、高齢者施設などの利用者と職員15万人を対象に検査への支援を独自に行なうことを決めました。都の支援も活用し、練馬区でも感染震源地となるリスクのある地域や業種、施設に、社会的な検査を行うことを求めます。

 また、検査にかかる費用は全て国庫負担とする仕組みをつくるため、23区区長会とも連携し、強力に要請することを求めます。同時に、感染拡大を踏まえて感染経路を探るトレーサーを配置するなど保健所体制の更なる強化を求めます。3点お聞きします。

 第2に、医療機関への支援についてです。

 新型コロナへ対応するため、医療体制の強化が必要な時に、病院の「コロナ危機」と医療従事者の賃金引き下げを引き起こした国の責任は重大です。

 政府は、10兆円の予備費のうち1.2兆円を「医療提供体制の確保」に充てるとしていますが、これは「今後、発生するコロナ患者」を治療する医療機関に、診療報酬や病床確保料を上乗せするもので、すでに経営危機に陥っている医療機関への支援とはなりません。

 区は、補正で6億円超の減収補てんをしたことは重要ですが、区内で減収補てんを受けた病院でも、11億円の借り入れをしたが、患者数がコロナ前の水準に戻っておらず、返せる見通しがたたないと訴えています。国に対して「減収補てんはしない」という姿勢を改めるよう強く意見を挙げるとともに、区として更なる補助を求めます。

 また、区は、区内で検査できる診療所を増やしてきましたが、現場からは、「院内感染を完全に防ぐのは難しい」「万一、院内感染を起こすと、経営が成り立たなくなる」などの声が挙がっています。そのため、駐車場でのテント設置など院内感染防止のための十分な助成と、診療所の経営への更なる財政支援を求めます。3点お答え下さい。

 第3に、地域経済対策についてです。

 コロナによるくらしと経済への打撃は、深刻さを増し、4~6月期のGDPは年率28.1%減と戦後最悪の落ち込みとなり、7月の家計消費は前年同月比7.6%減と大幅な減少、8月の労働力調査では、完全失業者が前月比で9万人も増え、205万人になるなど、家計、雇用、中小企業は、深刻な危機に直面しています。年末にかけて倒産・廃業が急増する恐れがあり、事業が持続できる最大限の支援が求められています。

 国の第2次補正予算は、成立から4か月が過ぎても、支援が現場に届いていません。休業支援金は、予算の3%しか執行されておらず、家賃支援金も3割に満たない状況です。

 これは、対象要件が狭いうえに、申請方法が複雑などの理由があります。国に対して、対象となる事業者、労働者への周知徹底、手続きの簡素化、事前審査から事後チェックへの転換など速やかに支給がされる体制となるよう、区も実態をつかみ意見を挙げるべきです。

 また、コロナ禍が長期化するもと、苦境に立っている事業者への継続的な支援が必要です。区は、緊急融資や相談体制を強化しての特別貸付などを行っていますが、他自治体では、ネットを使うなどの販路開拓、コロナ禍での商品開発、従業員への賃金助成をはじめ、工夫し、直接支援を行っています。区として更に研究し、取り組みを強化するとともに、その取り組みが実施できるよう国に財政支援を規模も対象も大きく広げて行うよう求めるべきです。合わせて、持続化給付金は第2弾を実施するよう意見を挙げることを求めます。2点お答え下さい。

 【前川区長】

 我が国の感染者は、全国各地で一日の新規感染者が最多数を更新し、国内合計が連続して過去最多となるなど、憂慮すべき状況となっています。
区では、これまで四次にわたる補正予算を編成し、対策を進めてきました。
保健所の体制強化や医師会と協力したPCR検査体制の構築、患者受け入れ病院の経営支援、特別養護老人ホームなどに対する検査の拡充や、ひとり親家庭の援助、事業所への緊急対策等に取り組んできました。

 これから冬を迎え、一層の感染拡大やインフルエンザとの同時流行が懸念されています。感染症との戦いのなかで、基礎的自治体の強みは、常に現場にあって区民の声に向き合っている所にあります。引き続き、国や都と連携しながら、介護施設等のクラスター対策の強化や、年末年始の医療体制の確保など、実態に合わせた対策を重点的、機動的に実施してまいります。

 【関口産業経済部長】

 国は、持続化給付金について、当初の給付対象者を改め、今年1月から3月までの創業者を給付対象に加えるとともに、休業支援金については、対象期間と申請期限を延長し、オンライン申請による受付を開始しています。国は、随時、対象者の拡大や手続きの簡素化などに努めていると認識しています。

 持続化給付金については、既に追加の予算措置がなされていることから、第2弾の実施を国に求めることは考えておりません。引き続き、国の支援策を注視してまいります。

 区では、国の地方創生臨時交付金を活用して特別貸付の実施やプレミアム付商品券事業の支援を行っています。さらに練馬ビジネスサポートセンターでのウイズコロナサポート事業など様々な事業者支援策を行っております。こうした事業に対する国の更なる財政支援については、既に特別区長会を通じて求めています。私からは以上です。

 【佐古田地域医療担当部長】

 社会福祉施設等への検査については、区で新規入所者を対象とした検査費用の助成を実施しています。また、施設職員の検査を含めた感染対策については、東京都による助成制度が設けられています。

 施設等において感染者が発生した場合には、濃厚接触者だけでなく、利用者や職員に対して広く検査を実施し、感染者の早期発見に努めています。国に対してはすでに、特別区長会を通じて十分な財政措置をもとめています。

 また、保健所体制については。職員を従来の約3倍に増員して対応しているところです。さらなる体制の強化については、今後の状況に応じて検討してまいります。
次に、医療機関への支援についてです。

 感染患者の入院受け入れや、帰国者・接触者外来の設置により経営が悪化している病院に対する支援が、国や都の措置では不足していることから、区独自の支援を行っています。患者が大幅に減少した4月から6月分については減収相当額の補助を行い、7月以降は患者受入れ実績に応じて支援しています。

 区内診療所に対しては、コールセンター等の紹介を受けて実施するPCR検査の実績に応じた運営支援を行っています。診療所内の感染拡大防止対策や診療体制の確保に要する経費については、東京都が補助を行っています。引き続き、病院・診療所の経営状況を注視し、必要に応じて、国や都へ更なる支援策を要望してまいります。

 【有馬豊議員】

 次に、介護保険について伺います。

 第1に、介護保険制度の維持についてです。

 介護保険は21年目に入り、その役割を果たしてきた一方で、持続可能の名のもと、給付削減と負担増が繰り返されてきました。連続した介護報酬のマイナス改定は、事業所の経営難と深刻な人手不足を招いています。

 区では10年後に、要介護認定者が3万8000人を越えると見込んでいますが、今後現行のままで介護保険制度を維持し、人手不足を解消し、介護難民を防ぐことができると考えているのか、率直な考えをお聞かせください。

 第2に、コロナ対策についてです。

 新型コロナは、介護現場にも深刻な影響を与えました。従事者は感染の不安のもと介護にあたり、利用控えで通所介護などが7割前後に減少するなど、事業所は経営的ダメージを負っています。こうした中、国は6月から、実際に行ったサービスより2段階上の算定を認める介護報酬の臨時的扱いを始めました。

 これは利用者にも実際使った以上の利用料を強いることになり、ひと月の利用限度額にも影響するものです。利用者に負担させる理不尽な方法は止め、国の責任で事業所を救済するよう求めるとともに、区として介護事業所へ更なる財政支援を行なうべきです。お答えください。

 第3に、来年度からの制度改悪と負担増についてです。

 要介護1と2の総合事業への正式な移行は見送られましたが、省令改正を利用して要介護者も総合事業の対象にしようとしています。本人の希望を尊重するとしていますが、これは要介護者の保険給付外しの突破口でだと言わざるを得ません。

 その背景には、介護の本質を理解せず、家事の延長程度にしか見ていない間違った認識があります。総合事業には基準を緩和したサービスがありますが、担い手が確保できず、結局事業所による従来型のサービスが多いのが実態です。区は、省令改正で総合事業対象者の拡大に踏み込むべきではありません。また、保険給付に一本化するよう国に求めるべきです。2点、答弁を求めます。

 また食費・居住費を助成する補足給付も改悪されました。年金収入120万円超の人は食費が月2万2000円も増え、さらに資産要件は預貯金が500万円以下となり対象外になる人が増えます。加えてショートステイの食費も引き上げられるなど、低年金者を狙い撃ちにしており、許せるものではありません。コロナ感染が広がり、状況は大きく変わっており、負担増計画は中止するよう国に求めるとともに、区は現行の補足給付を継続するべきです。答弁を求めます。

 第4は、来年度からの保険料についてです。

 制度開始当初は、基準額37,200円だった保険料は、期を重ねるたびに上がり、第7期では77,640円と倍以上になっています。高齢者基礎調査では、保険料を負担と感じる人が3割程度となっており、「値上げは年金生活者にとって致命的」「生活が行き詰まらないようにしてほしい」との声が寄せられています。この間、利用料に2割、3割負担の導入など負担は増えるばかりです。区民の声に応え、保険料の値上げは控えるべきです。答弁を求めます。

 第5に加齢性難聴者への対応についてです。

 高齢者基礎調査では、状態が良くないのに「補聴器を使っていない人」は高齢者一般で24%、補聴器を持たない理由として「高額だから」が29%です。この結果を受け、介護運協の答申では、「加齢性難聴対策の実施について検討されたい」との文言が入りました。

 認知症の約8割は、難聴の放置が背景にあると言われており、最も大きな危険因子です。認知症になれば、本人や家族に負担となるだけでなく、介護・医療財政が膨らむことにつながります。目先のことより、長い目で見通した効果的な予算の使い方をコロナ禍では特に考える必要があります。

 第8期高齢者・介護計画に加齢性難聴者への支援を加え、早期に補聴器購入補助を実施するよう求めます。また都知事は都議会で聞こえの支援を推進すると答弁しています。都に包括補助の枠組みだけなく、独自に補聴器購入補助への財政支援を求めていただきたい。2点答弁願います。

 【吉岡高齢施策担当部長】

 要介護者の数が増えていく中で、自立支援・重度化防止の取り組みと介護給付の適正化を着実に進め、介護給付費の伸びや、介護保険料を抑制し、介護の現場を支える総合的な人材対策を推進することで、介護保険制度の持続可能性を確保してまいります。

 次に、コロナ対策についてです。

 国は、利用者から事前の同意が得られた場合に、提供したサービス時間の区分の2区分上位の報酬区分の算定を可能とする臨時的な取扱いを認めています。これは、事業所の新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応に配慮したものです。

 利用者負担の増を伴う応急的な措置については、全額、国の公費負担で行うよう、国に求めているところです。
区として財政支援を行うことは考えておりません。

 次に、介護予防・日常生活支援総合事業対象者の弾力化についてです。

 今回の制度改正は、全国一律で実施されるものです。総合事業のサービスのうち、区市町村の補助により実施されるサービスを受けていた要介護被保険者に限定して、これまで受けていた総合事業サービスを引き続き利用できるものです。要介護者が受ける給付の内容に影響を与えるものではありません。総合事業を保険給付に一本化するよう国に求める考えはありません。

 次に、補足給付の見直しについてです。

 今回の改正は、在宅で介護を受ける方や軽減対象とならない施設入所者との公平性の観点から能力に応じた負担となるよう、国が制度を見直すものです。改正内容の詳細が明らかにされておらず、現段階で、国に中止を求める考えはありません。

 次に、介護保険料の改定についてです。

 介護サービスの利用量の推計や、今後示される介護報酬改定内容を踏まえ、制度の持続可能性を確保しつつ、適切な保険料となるよう算定を行っていきます。今後、令和3年第一回定例会に提出予定の介護保険条例改正案で保険料をお示ししていきます。

 次に、加齢性難聴への対応についてです。

 高齢者基礎調査では、補聴器を持っていない理由として、高額であることだけではなく、補聴器の効果への疑問や使用することのわずらわしさなどを挙げています。補聴器を持っている方の約3割は使用しておらず、補聴器の正しい使い方や選び方の理解が不足していると考えられます。

 加齢性難聴対策として、耳の聞こえの問題に関する普及啓発と補聴器購入費用の助成について、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に位置づけます。現時点で、個別の事業について新たに都に財政支援を求める考えはありません。私からは以上です。

 【有馬豊議員】

 次に、性暴力への対応についてお聞きします。

 内閣府は、今年4~9月全国の性犯罪、性暴力被害者のワンストップ支援センターへの相談件数が前年同期比15.5%増の2万3,050件と発表しました。増加の背景に新型コロナ感染拡大が影響したと見られています。

 SNSなどの広がりに伴い、性暴力被害者の低年齢化が進んでおり、全国のワンストップ支援センターへの調査では、面談をした被害者のうち19歳以下は約4割、中学生以下は約2割と、若年層の割合が高いことが明らかになりました。性犯罪や性暴力は、被害者の心と体に重大な悪影響を及ぼし、特に子どもは、被害に遭っていることに気づかず深刻化しやすいとされています。

 現代の子どもたちは、性の情報を友人やインターネットなどを介して、不正確で危険な情報に晒されています。情報が氾濫する一方、身体や妊娠の仕組みの十分な知識もなく、望まない妊娠や性感染症に苦しむ若者もいます。

 政府は、2022年度までの3か年を「性犯罪・性暴力対策の集中強化期間」と定め、手薄だった教育に力を入れることになりましたが、3年と区切るのではなく、恒常的に位置付けて取り組むべきです。これを受け、都教育委では、各学校における人権教育や道徳教育の充実を図るとしていますが、区教育委での検討状況をお示しください。
政府の方針「生命の安全教育」は、水着で隠れる部分については、人に見せない、触らせないなど、年齢や発達段階に応じて学ぶべき大切な内容を示していますが、妊娠の経過は扱わないとする学習指導要領の「歯止め規定」があり、性的な知識まで踏み込んでいません。人権と性は不可分なものであり、性交についての適切な学習は、性の安全教育が人権と結びついたものとして深い理解となります。そうした学びの障害となっている「歯止め規定」を撤廃し、人権やジェンダー平等、多様性、相互尊重を前提に構成される包括的性教育が必要です。区の見解を伺います。

 練馬区では、性教育の取り組みとして、産科医や助産師など外部講師を招き授業を行っていますが、昨年度は中学校1校だけです。中学校長らは、「性教育には外部講師の活用が効果的」と必要性を感じているにも関わらず実施しない学校もあります。

 区として外部講師を活用した性教育を位置付けるべきです。予算を拡充し、外部講師への報酬額を改善するなど、今後は多くの学校で専門家による性教育を広げるべきです。ご答弁下さい。

 2019年3月、性暴力をめぐる無罪判決が相次いだことへの抗議をきっかけに、性暴力に抗議するフラワーデモが国外を含め、日本全国で広がりました。

 2017年に110年ぶりに刑法性犯罪規定が改正されましたが、「被害者が抵抗できなかったことを立証できなければ、加害者を罪に問えない」「性交同意年齢が13歳のまま」など多くの課題があります。ただし、法改正時、3年を目途に、実態に即して見直す附則が盛り込まれ、今年、刑法見直し実現に向けて運動や議論が高まっています。

 世界では、「NO MEANS NO」あるいは、「YES

 MEANS

 YES」という意に反する性行為が広く処罰される法律がスタンダードとなっています。当事者団体代表の山本潤さんは「『同意』の問題が重要です。被害者たちは無力化させられる。これが性暴力の本質です。同意がない性交は、心身を大きく損ない被害者は生涯にわたって影響を受ける。そのことをすべての人が認識してほしい」と語っています。こうした立場で法改正に対する区の意見を挙げる必要があるのではないでしょうか。答弁を求めます。

 初期の性被害者への総合的支援を行う場所としてSARC東京がありますが、都内に1か所だけで、とても十分とは言えません。
SARC東京では病院や警察など複数の場所でトラウマとなるような事件の全容を何度も本人が話さなくてもよいよう付き添い支援を行っているため、支援員の確保も課題です。東京都にセンターの複数設置を求めるとともに、区としてもSARC東京と連携し、できる支援をすべきではないでしょうか。2点答弁願います。

 また、区は被害者支援を周知するリーフを作成していますが、豊島区では、区ホームページで「性暴力の被害に遭われた方へ」というメッセージから始まり、「被害に遭って間もないとき」「時間が経過しているとき」など、状況に応じた相談先を掲載しています。練馬区でも被害者を早期に適切な支援へ繋げる取り組みを検討すべきです。答弁を求めます。

 性犯罪、性暴力をなくすため、被害者にも加害者にも傍観者にもならない環境をつくっていくために、新たな取り組みの検討を求めます。

 【堀総務部長】

 区では、本年3月に策定した第5次男女共同参画計画において、女性への暴力やハラスメントの防止を施策に掲げ、区民への啓発や被害者への支援を行っています。
性暴力等の被害者には、被害直後の迅速な対応が重要です。東京都は「特定非営利活動法人性暴力救援センター・東京いわゆるSARC東京」と性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターを設置し、24時間体制で被害者支援を実施しています。支援センターでは医療機関、警察、民間支援団体、区等が連携して被害者の状況や相談内容に応じて、迅速かつ的確な対応を行っています。

 区では、ホームページや各種リーフレット等において、支援センターが安心して相談できる機関であることを広く周知しています。

 国では、「性犯罪・性暴力対策の強化方針」を本年6月に策定し、刑事法やその運用のあり方、ワンストップ支援センターの増設などの検討が進められています。現時点では、国や東京都に法改正等を働きかける考えはありません。

 今後も第5次計画に基づき、支援機関等に関する情報提供や、状況に応じて医療機関・警察等への同行支援など、被害者に寄り添った対応を行ってまいります。

 【木村教育振興部長】

 はじめに、人権教育や道徳教育の充実についてです。
各学校では、従来から、教育活動全体を通じて人権教育や道徳教育に取り組んでおり、その中で、特に相手の人権を大切にすることや男女が互いに尊重し合うことについて指導を行っています。性教育についても、重要な教育課題として、小学校や中学校の保健分野の学習を中心に正しい知識を身に付けさせ、適切な意思決定や行動選択ができるよう、発達段階に応じた指導を行っています。3年間だけに期間を区切ることなく、引き続き、充実を図ってまいります。

 性教育を実施するうえで、性行為や避妊などの学習指導要領に示されていない内容を扱う場合は、児童生徒の身体的・精神的発達や、それぞれがもっている性に関する知識の個人差に十分配慮すべきで、すべての学校に対して一律に実施を求める考えはありません。校長の判断により実施する学校には、平成31年3月に東京都教育委員会が配布した「性教育の手引き」に基づき、児童生徒の実態を十分踏まえ、保護者に丁寧な説明をしたうえで、理解・了承を得て実施するなどの慎重な対応を促しています。

 次に、外部講師による性教育についてです。

 教育委員会では、すでに産科医、助産師およびNPO等を外部講師として活用するよう各学校に働きかけています。実施した学校の成果を情報発信するなど、引き続き取り組んでまいります。

 外部講師の報償費は、区の報償積算基準を踏まえて決定しております。

 【有馬豊議員】

 次に、としまえん跡地活用についてお聞きします。
第1は、避難場所についてです。

 練馬城址公園は、住民約6万3000人が避難する場所として都が位置付けていますが、西武鉄道が米企業に30年間にわたって貸し出す敷地は22ha中、9㏊と半分近くを占め、立体駐車場含むスタジオツアーの建屋は約3.8㏊で高さは15mに及びます。住民の多くが不安に感じている一つは、スタジオツアー建設によって避難場所の機能が損なわれるのではないかという点です。

 区は、「園内のオープンスペースが避難場所になる」「避難場所としての機能は当然維持されている」と言いますが、どこが避難有効面積に当たるかなど都は開示していません。

 2023年春までの工事期間をふくめ、敷地内のどこが避難場所なのか、開業以降も建屋や敷地が災害時にどう活用されるのかなど、都に説明責任を果たさせ、住民の不安解消に努めるべきではないでしょうか。

 加えて、都市整備局によれば、避難場所が「工事中は、完了まで利用不可能な区域として扱い、避難有効面積から除くこととする」と記載があります。そうであれば、避難場所が3年間にわたり放棄され、目減りするのではないでしょうか。2点区の見解を求めます。

 また、区長がスタジオツアー計画に「歓迎」を表明する一方で、住民がこれほど混乱している理由は、民活部分だけが先行し、防災が後回しにされる中、行政として説明会を開催せず、住民が置き去りにされてきたことにあります。東日本大震災を受け、練馬城址公園が「都市計画公園 優先整備区域」に指定されて以来、9年が経過しますが、区としては、防災公園の整備をどのように東京都に促してきたのか。
また、公園の「形容が変わっていく中で避難場所についても関係者と逐次検討していく」と答弁していますが、その中身を区民に説明し、具体的な見通しを示すべきです。区の見解をお聞きします。

 第2は、構内通路についてです。

 区は、「石神井川北側に沿って整備される構内通路はスタジオツアー施設の敷地に含まれていない」と答弁し、9月初旬の事業者の住民説明会で示された資料では、構内通路はスタジオツアーの敷地内に位置付けられており、不整合があります。構内通路が事業敷地から外されるのであれば、まちづくり条例の「事業計画の変更」に照らし、再度、住民説明会が求められる可能性もあります。加えて、区に提出されている「樹木樹林伐採届出書」についても、構内通路は届出の範囲に含まれており、変更手続きが求められます。しかも区は、「構内通路が将来的な公園や河川施設の一部として整備される」との見解を示していますが、それならば都に対して公園の将来像をまず公表させるべきです。2点お答えください。

 将来像もなく、東京都公園審議会の答申さえ、まだ出ていない状況で、民活部分だけの先行を黙認するのであれば、練馬区も参加する「覚書」の基本目標からも逸脱します。広範な住民がいだく不安を解消し、住民合意のもとで、より望ましい防災公園のあり方を議論するために事業計画はいったん立ち止まるべきです。見解を伺います。

 【森田企画部長】

 私から、練馬城址公園等についてお答えします。

 東京都が西武鉄道と協議し、としまえん跡地は引き続き避難場所として使用できることを確認しています。都は、工事中の避難区域は、特別な事情がある場合、個別に判断するとしています。

 スタジオツアー施設の敷地については、工事中も危険な場所を除き、開放し、避難エリアを明確にするなどの対応を東京都も含め関係者間で協議しているところです。今後も公園整備の段階ごとに関係者間で協議し、適切に対応してまいります。避難場所が3年間にわたり放棄されるとのご指摘は当たりません。

 【森田企画部長】

 スタジオツアー施設の建設に際しては、まちづくり条例の規定に基づき、石神井川北側の西武鉄道が所有する区域全てが開発区域となります。9月の説明会では、事業者が開発区域全体と建築計画の概要について説明し、構内通路についても、公園整備の一環として整備する旨説明しており、まちづくり条例に基づく手続きに不整合はありません。

 樹木・樹林の伐採届については、開発事業の実施の有無や計画敷地等の変更により、新たな届出が必要となるものではありません。

 東京都が、平成23年に練馬城址公園を事業化する意向を明らかにして以来、区は都に対し、防災機能を含めた公園の具体的な整備内容やスケジュールを明らかにするよう繰り返し求めてきました。7月に提出した要請書や8月に行った意見交換においても重ねて求めており、10月には、区長から都知事に直接要請しています。
としまえん跡地の一部での新たな事業展開は、土地所有者の西武鉄道が、都の公園事業化の意向を受けて判断したものです。関係者間で締結した覚書では、事業者に対し、スタジオツアー施設が練馬城址公園の機能実現の一翼を担うことや、周辺住民への丁寧な説明を求めています。区として事業停止を求める考えはありません。

 【有馬豊議員】

 次に、外環道についてお聴きします。

 今年10月18日、調布市の外環道本線シールドトンネル工事現場付近において陥没が発生しました。さらに、ネクスコは、その後、陥没現場の周辺で長さ30mと27mにのぼる空洞があることを公表し、住民の中に不安が広がっています。

 陥没の原因について、専門家が指摘する可能性の一つは、シールドマシンが掘削土砂を取り込み過ぎたこと、いま一つは、掘削による振動が地盤の弱い部分に隙間・空間を作り、地下水や雨水等により拡大したことです。いずれもシールド工事によるトンネル掘削に起因するものとしています。

 これまで大泉JC周辺の工事ヤード内で本線シールド工事が行われていましたが、このまま工事を続ければ同様の事象が練馬区でも起きる可能性があります。これから掘削する計画線上には河川や鉄道がいくつも交差しており、陥没等で線路がズレるなどが起これば大事故につながりかねません。

 外環道は、大深度地下法を用いて進められてきましたが、この法律では、地下40m以深は地上部に影響を与えないとして地権者の同意も補償も必要ないとされています。もし今回の陥没が外環道工事に起因するとなれば、法律で想定されていない事態であり、整備計画の抜本的な見直しが求められます。

 問題はそれだけではありません。事業費は、政府が認めているだけでも約7600億円も増え、2兆3575億円と1.8倍に膨れ上がりました。道路整備などの費用と得られる効果の比率である費用便益比B/Cも事業全体では1.01となり、当初の2.9から大幅に下がっています。この金額には、青梅街道ICでの地中拡幅部の工事変更にともなう増加分は含まれておらず、今後さらに費用が増大することが予想されています。このままではB/Cが1以下となり、公共事業としての妥当性も失われることになります。

 当初の予想を大きく超えた莫大な税金を投入せざるを得ない事業を、しかもコロナ禍で続ける合理性はありません。

 ここまで問題点が明らかになった以上、計画自体の中止を国に強く求めるべきです。少なくとも原因究明と再発防止策が講じられない限り工事は再開しないよう求めるべきです。また、買収が進んでおらず、多額の予算がかかる青梅街道ICはこの機会に断念するよう国に働きかけるべきです。答弁を求めます。

 以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

 【宮下技監】

 私から、東京外かく環状道路についてお答えします。

 先般、調布市の外環工事現場付近で地表面陥没が発生し、地中の空洞が確認されました。外環工事上部での事象であることから、区は、発生後速やかに、国等の事業者に対し、十分な調査を行い早急に原因を究明すること、区民および区に丁寧な周知や説明を行うことなどを要請しました。今回の事象について、ご指摘のような原因によるものとは明らかにされておらず、外環工事との因果関係は、現在不明です。

 事業者は、シールドトンネルの掘進を一時中止し、現在、原因究明のための調査に鋭意取り組んでいます。工事の再開については、東京外環トンネル施工等検討委員会有識者委員会による陥没、空洞の発生の原因および今後の進め方に関する見解を踏まえ、適切に対応されるものと認識しています。
外環は、首都圏全体のネットワークを形成するとともに、都心部における渋滞や環状八号線などの混雑緩和、移動時間の短縮などに資する重要な道路です。青梅街道インターチェンジは、大泉インターチェンジ付近の混雑緩和や生活道路への車両の流入を抑制するなど、区内の交通問題の解決に資するものであり、その設置が必要と考えています。

 区は、事業者に対し、今回の事象に関する検証も踏まえ、工事の安全・安心に万全を期した上で、外環事業に取り組むよう求めてまいります。

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