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議会報告
REPORT

2020年 第3回定例会 一般質問―のむら説(2020年9月15日)

【のむら説議員】

一般質問に立つのむら説区議

 わたしは日本共産党練馬区議団を代表して一般質問をおこないます。

 最初に区長の基本姿勢についてうかがいます。

 新型コロナ危機は、世界でも日本でも社会の脆弱さをあらわにしました。「ポストコロナ」の議論が内外で起こるのも、「今よりもっといい社会をつくりたい」という人々の願いの表れではないでしょうか。危機があぶりだした一番の問題は新自由主義の破たんです。1980年代以降、極端な市場原理と規制緩和で社会保障を切り捨て、「ちいさな政府」づくりを欧米諸国は推進してきました。レーガン政権以来、新自由主義の旗手だった米国では感染者数、死者数ともに世界最悪に陥りました。ノーベル経済学賞を受けたジョセフ・スティグリッツ氏は「世界一豊かな米国で露呈したのは、医療現場に人工呼吸器・防護服・マスク・検査薬などの必需品が欠如しているという惨めな現実だった」と述べ、新自由主義が「全くの過ち」だったと批判しています。

 OECDによれば21世紀以降、先進各国の病床数が人口10万人比で、米国では349床から277床へ、英国は408床から254床などと軒並み7割台まで落ち込んでいます。とりわけ2008年のリーマン・ショックを契機にした緊縮政策とも相まって、欧州諸国の医療システムは医療崩壊を引き起こしたのです。日本でも4~5月にかけて首都圏などで病床が逼迫し、救急たらい回しや手遅れ死も発生しました。日本のICUは、人口10万人あたり5床にすぎず、医師数は人口1000人あたり2・4人でOECD加盟36カ国中32位です。病床も医師も看護師も不足し、病院が経営危機にひんしたのも、医療費削減を長期に進めてきた結果であることは明らかです。

 区長にお聞きしますが、東京都でもこの25年余りで保健所の数は約半分に減らされ、練馬区でも2000年に2カ所あった保健所を1カ所に減らし、職員数はこの20年弱で5600人から4500人にまで縮小されました。コロナ禍を経験したいまでも、従来の方向性を今後も踏襲していくおつもりでしょうか。お答えください。

 京大総長の山極寿一氏は「誰もが資本主義は限界だと感じているのではないか」と警鐘を鳴らし、内外の幅広い層から新自由主義批判が起こっています。ポストコロナをどう展望していくか。第一の提案は、ケアに手厚い社会づくりです。介護・障害福祉・保育は長時間労働が強いられる一方、全産業平均より月10万円も賃金が低く抑えられ、慢性的に人手不足です。国全体でみても、日本の社会支出は対GDP比22・7%で、ドイツやスウェーデンの8割、フランスの7割の水準です。社会福祉に手厚い社会への転換をすみやかに図るべきです。

 第2は、人間らしい働き方のルールづくりです。コロナ危機のもとで非正規労働者におおくの失業者がうまれ、フリーランスも甚大な打撃を受けました。練馬区でも公共サービスの委託化や非正規化を推進してきた経緯があります。労働者の権利が守られ、だれもが1日8時間はたらけば普通に暮らせる社会の実現に一歩踏み出すべきです。

 第3は、子どもの権利を保障する社会づくりです。コロナ危機のもと「40人学級」の矛盾が噴き出しました。豊かに学び、健康と安全を保障するうえで少人数学級の実現は急務です。長期休校でつらい思いをさせた子どもたちに、全学級20程度の少人数学級をプレゼントしようではありませんか。

 第4は、危機に対応できる強い経済をつくることです。コロナ危機で外需とインバウンドだのみを続けてきた経済の脆弱さが露呈しました。マスクや防護服をはじめ人々のケアに必要な物資の供給を海外に頼ってきた経済のあり方も見直されるべきです。練馬区でも大型道路の建設を優先する一方、暮らしの予算を減らしてきた姿勢を見直すべき時です。ポストコロナを議論するうえで提案させていただいた4項目について区長の見解を問います。

 経済効率のみを最優先する社会の在り方から、人間が生きていくために普遍的なものを最優先する社会に切り替えようという発想がいまこそ必要です。分断と自己責任の押しつけでなく、支え合い、連帯を大切にする社会づくりは、感染症やさまざまな自然災害に強い日本をつくるということと同義です。このことを最後に強調させていただきます。

【前川区長】

 お答えいたします。 コロナ禍と社会の在り方についてです。

 私は、昭和46年に当時の美濃部都政で社会福祉に従事しようと決心して、東京都に入りました。以来、様々な分野で、住民福祉の充実と社会発展の基盤づくりに力を尽くしてきたつもりです。

 区長就任後も、例えば社会福祉については、福祉事務所のケースワーカーの大幅増員、保育所の定員の大幅増、練馬こども園の創設、特別養護老人ホームの増設、ひとり親家庭自立応援プロジェクト、重度障害者グループホームの増設など、様々な取り組みを実施してきました。 新型コロナウイルス感染症対策についても、感染拡大の防止と医療提供体制の充実、区民・事業者への支援、社会福祉施設など区民生活インフラの維持に全力で取り組んでいます。

 令和2年度当初予算、総額2827億円の68%は、子ども、教育、高齢者・傷害者・生活困窮者、医療など住民福祉関連経費です。10年前の59%と比較して9ポイント、額にして600億円以上増加しています。一方、道路の整備経費は全体の1%です。「暮らしの予算を減らし、大型道路の建設を優先している」などという何時もながらのご指摘は、何を根拠におっしゃっているのか、全く理解ができません。 私からは以上です。そのほかの質問につきましては、技監および関係部長から答弁いたします。

【小渕人事戦略担当部長】

 私から、保健所および職員定数についてお答えいたします。

 区では、区民に身近な保健医療サービスを充実するため、平成11年に保健相談所を6所体制とするとともに、感染症対策や環境衛生など全区的な対応が必要な業務を集中化することで効率的に実施するため、練馬、石神井の2か所の保健所を統合し、練馬区保健所としました。業務の性質に合わせて適切に施設を配置するとともに、保健師も増員を進めています。

 平成30年4月からの5年間を計画期間とする「定数管理計画」では、区が担うべき業務の増加に対応するためには定数を増やし、民間が担えることは民間に任せることにより定数を削減することとしています。

 平成26年度以降現在までに、福祉事務所のケースワーカーは43、子ども家庭支援センターは35の定数増を行ってきました。今後も、適切に定数管理を行い、「計画」を着実に推進してまいります。

 今回の新型コロナウイルス感染症のように、急激に業務が増加する場合には、速やかに職員の応援体制を確保し、機動的に対応してまいります。私からは以上です。

【森田区政改革担当部長】

 区は、サービスの向上および行財政運営の効率化のため、民間の知恵と経験を活用したほうが効果的な業務は民間が担うことを基本に民間委託を進めています。

 労働環境の整備は、基本的には法令に基づき、事業者の責任において行うべきものです。 委託業務の適法かつ適正な履行を担保する観点から、区は、労使関係への関与・介入に当たらない範囲で、関係法令の遵守状況について確認しています。 建物管理や清掃などの委託業務においては、労働環境の整備、関係法令の遵守を仕様書で定めるとともに、履行体制チェックシートやヒアリングなどにより確認・指導しています。

 指定管理施設においては、勤務条件等に関する関係法令の遵守を基本協定に盛り込み、社会保険労務士による労務環境調査やモニタリングを行い、必要に応じて指導しています。

 また、最低制限価格制度の適正な運用や、プロポーザルでの業者選定を行い、不当な低価格受注を防止しています。

 今後の国の経済のあり方については、新型コロナウイルスが社会経済に与える影響を見極めたうえで、国家的な見地から検討されるべきものと考えます。

【木村教育振興部長】

 私から、学校の少人数学級についてお答えします。

 先般、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、政府の教育再生実行会議が、少人数学級を推進すべきとの中間答申をまとめました。 しかしながら、少人数学級の実現には、教員の大幅な増員だけでなく、限られた校舎スペースに普通教室を増設する必要があるなど、困難な課題を解決しなければなりません。

 教育委員会といたしましては、国等における今後の議論の動向を注視してまいります。

【のむら説議員】

 次に生活への支援について伺います。

 4~6月期の実質GDPは、年率換算で28.1%と戦後最大の減少幅となりました。政府発表の6月の休業者数は236万人と高止まりし、コロナの影響による解雇者数は8月末時点で5万人を超えており、新型コロナの感染拡大による経済への影響は厳しい状況が続いています。

 第1に、住まいの支援についてです。こうした厳しい状況下で、解雇や自粛の影響などで収入が減り家賃や住宅ローンの支払いが滞ったり、寮やネットカフェを追い出されたりと多数が「住まい」を失うという問題となりました。

 もともと日本の住宅政策は持ち家中心で民間任せという特徴があり、公営住宅の整備は不十分で、家賃補助制度もほとんどありません。 国は、低所得者や高齢者など住宅確保に配慮が必要な人たちが今後も増加する一方、公営住宅の大幅な増加は見込めないとして、民間の空き家・空き室を活用する「住宅セーフティーネット制度」を開始しましたが、ほとんど機能していません。

 そうした中で、国は「住居確保給付金」の要件を緩和し、練馬区でも4月の申請数24件に対して、5月は813件と急増しました。

 しかし、住居確保給付金の利用は、最大でも9か月で、支給額の上限は単身者で月53700円、2人世帯64000円で、利用要件も世帯の月収・預貯金額もほぼ生活保護水準と同等となっています。しかし、今回のコロナ禍で「住まい」に困っているのは、低所得の方たちだけでなく、3、4人で住む家族で家賃も月10数万円を支払うフリーランスや自営業の方でも収入が激減し、家賃滞納に陥るという事態が広がりました。

 区は、「住居確保給付金」の利用者へ独自に「生活再建支援給付金」を支給するとしていますが、本来は国が制度を見直すことが求められます。国に支払う家賃に見合うように支給額を引き上げ、収入要件を撤廃し、コロナ収束まで利用期限を延長するなど改善を求めるべきです。また、区として、民間住宅の空き家や空き室を活用した区営住宅の整備や、低所得者への家賃補助を検討すべきです。また、都営住宅の新規建設を都に強く求めるべきです。お答えください。

 第2は、生活保護制度についてです。生活保護は憲法に基づき「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するものです。しかし、この間、基準が引き下げられ、都市部では古い木造アパートの建て替えが進み住宅扶助基準で入居できる物件が減少する事態となっています。国へ実態に見合うよう各扶助基準の引き上げを求めるべきです。お答えください。

 また、新型コロナの影響で経済的に困窮する人が増える中、4月の生活保護申請数は23区全体で前年比1.4倍の2121件に急増しました。こうした中、厚労省が作成したリーフレットで「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるので、ためらわずに自治体までご相談ください」との記載が追加されましたが、練馬区でもこれに倣い、コロナ禍で制度を知らず、生活に困窮する人を出さないようこれまでの枠を超えて積極的に発信すべきです。お答えください。

 この間、区はケースワーカーを増員し、社会福祉法が示している1人当たり80人の目安を上回りました。一方で、ケースワーカーになるために必要な「社会福祉主事任用資格」の保有者は約8割で、経験年数3年以内の方が67.5%を占めています。先日、生活困窮者を支援する団体が都内23区の福祉事務所に対して、生活保護の相談や申請で不適切な対応が相次いでいると改善を求めていましたが、担当する職員に知識と経験が十分でなければ、意図せず不適切な対応となる恐れもあります。今後、経験が浅いケースワーカー等への支援体制をどうしていくのか。区の考えを伺います。 また、区も今後生活保護申請の増加を見込んでいますが、今後も専門性をもった支援ができるようにさらなる増員を行うべきです。お答えください。

【中田福祉部長】

 私から、生活困窮者への支援についてお答えします。

 はじめに、住まいの支援についてです。

 住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法に基づき実施しています。国はこれまで、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、対象者を離職や廃業された方から収入が減少した方にも拡大したほか、受給中の求職条件の緩和、支給額の増額などを行っています。住居確保給付金は4分の1が区の負担となっていることから、区は、特別区長会等を通じ、国に対して、十分な財政措置を行うよう要望しています。

 低所得者への家賃補助については、区はすでに、住宅確保要配慮者のための「専用住宅」に、所得が一定基準以下の方が入居する場合、家賃の一部を賃貸人に対して補助し、入居者負担の軽減を図る助成制度を設けています。空き家等の活用により、区営住宅を整備する考えはありません。

 都は、老朽化が進んだ都営住宅の建て替えを進め、既存ストックの有効活用に取り組んでいくとしています。区として、新規建設による都営住宅の増設を求める考えはありません。

 次に、生活保護制度についてです。

 生活保護基準は、健康で文化的な最低限度の生活を保障する観点から適正な水準となるよう、国は、国民を取り巻く生活環境等の変化に応じ、定期的に検証し、見直しを行っています。見直しは、全国消費実態調査などのデータを用いて、専門的かつ科学的見地から検証されています。基準額は、国が合理的に設定したものと認識しており、国に引き上げを求める考えはありません。制度の周知については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、生活に困った時の支援についてのホームページを更新しています。5月には、AIが自動応答する生活相談チャットボットを開始するなど、情報発信を強化しています。

 次に、ケースワーカーの育成についてです。

 福祉事務所では、平成29年度にケースワーカー育成方針を策定し、経験年数に応じた基礎研修や、様々な事例に応じた専門研修を実施しています。加えて、中堅職員が新任職員を個別にサポートするチューター制度を平成30年度から本格導入し、利用者の状況に応じた適切な支援が行えるよう取り組んでいます。

 支援の難しい困難事例が生じた場合には、複数の関係者によるケース会議を開催し、担当者が一人で抱え込むことなく、組織全体で対応する体制をとっています。社会福祉主事任用資格のないケースワーカーについては、通信教育などを通じ資格が取得できるよう受講料を助成しています。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、急増する相談に対応するため、各福祉事務所には電話受付や申請書類の整理などを行う人材派遣職員を新たに配置し、面接相談員やケースワーカーが、相談業務に専念できる体制を整えています。

 今後も相談者数の増加を見据え、体制強化について検討していきます。私からは以上です。

【のむら説議員】

 次に、医療提供体制の強化についてうかがいます。新型コロナ感染は第2波に見舞われました。国内の感染者は7月以降増加し、東京でも連日数百人の感染者が発生しています。医療崩壊を防ぎ、いのちを守るために、全力で取り組むことが求められています。

 第1に、PCR等検査の拡充についてです。いまの感染拡大は、無症状の感染者から市中感染が広がったものと考えられます。感染震源地を明確にして、網羅的・大規模にPCR検査を行い、陽性者を隔離・保護することが決定的に重要です。

 日本医師会会長は、「感染者数は減少傾向だが、収束に向かっているとは言えない」と訴えています。感染拡大を抑え込むか、再燃の悪循環に陥るか、重要な分かれ道です。

 世田谷区は「いつでも、誰でも、何度でも」をスローガンに、当面1日600件を目標に検査体制を強化し、さらに拡充を目指しています。感染者が減少傾向の今こそ、こうした検査の拡充が重要です。

 先日感染者があった学童クラブでは、対象を絞らず全員検査した結果新たに4名の感染が判明しました。このことからも、濃厚接触者に限らず幅広く検査すること、医療や介護、保育園、学校など感染リスクの高い施設は定期検査を行うことが必要です。それに見合った検査件数の目標を区として持ち、取り組むべきです。3点についてお答えください。また国は、医療・高齢者施設等での幅広い検査を都道府県に要請しながら、財政措置を取っていません。規模を広げた社会的検査の費用負担を国に求めるべきです。お答えください。

 練馬区が現在のところ陽性率を明らかにしていません。区は他自治体の住民が混在していることなどを理由にしていますが、情報開示は区民が自律的な感染防止を図っていくうえで重要な情報ですので、区は陽性率を明らかにするべきです。お答えください。

 第2に医療機関への支援についてです。いま病院は、新型コロナ患者の受け入れの有無にかかわらず経営が脅かされています。区内のある病院は3カ月で5000万円、毎月1000万円以上の赤字であるといいます。

 診療所なども外来が6~7割減り、特に小児科はもともと診療報酬が低かったところに、感染防止の高まりで患者が減り、いっそう厳しくなっているといいます。内科・産婦人科医でも閉院したところがあるとのことです。加えて検体採取を行なう診療所でも減収になっています。

 8月補正予算で病院経営支援が盛り込まれましたが、対象は4病院だけであり、それも赤字を埋めるほどではありません。診療報酬があげられましたが、重症の新型コロナ患者に限られ恩恵はわずかです。

 病院・病床の少ない練馬にとって、医療機関をひとつもつぶさない対策が必要です。医療機関への減収補填をはじめとした抜本的対策を行うよう国に求めるとともに、区としても最大限取り組むよう求めます。お答えください。

 第3に都立病院・公社病院の独立行政法人化についてです。

 小池都知事は、都立病院・公社病院の独法化を進めようとしています。都は「税金が投入されて」いる、などとしており、財政支出削減が目的であることは明らかです。

 都立病院は、感染症や、小児、周産期など、不採算でも欠かせない行政的医療を担い、コロナ患者の7割を受け入れる要中の要の役割を果たしています。独法化されれば民間経営に近くなり、不採算医療が切られるなどされかねません。新型コロナ危機のもとで、こんな方針を決めるなどもってのほかではないでしょうか。

 練馬区に都立病院はありませんが、公社病院になっている豊島病院などに区民も入院・通院しており、なくてはならない医療機関です。区は都立病院・公社病院の独法化をどうとらえるのか。独法化は取りやめ、感染症も含めた命を守る砦として、財政面も含め充実強化を都に求めるべきと考えます。2点、区の考えをお聞きします。

 第4は光が丘病院についてです。光が丘病院は移転改築後病床を115床増やし、回復リハ病床55床、産婦人科病床の増床など行なわれる予定です。区内医療の強化が期待されますが、昨今、新型コロナをはじめ新たな感染症が多く発生しています。現在の設計でも陰圧室などがありますが、全体は新型コロナが広がる前に設計されたものです。限度があると思いますが設計を見直し、感染症医療の強化も必要ではないでしょうか。見解をうかがいます。

【佐古田地域医療担当部長】

 私から医療体制の強化についてお答えします。

 まず、PCR検査についてです。保健所は、感染症法に基づき、感染者が発見された場合には、勤務先など関係施設の調査を行い、発生状況や接触状況等を総合的に勘案して、検査の範囲を決定しています。一律に検査を濃厚接触者に限ることはしていません。

 区では、7月から全国の自治体に先駆けて、練馬区医師会協力のもと、診療所における唾液のPCR検査を実施しており、実施箇所数は都内最多の113箇所となっています。加えて、9月末からはPCR検査検体採取センターを開設するなど、感染状況を見据えながら検査能力を確保しています。

 また、社会福祉施設等での検査について、区は8月補正で新規入所者の検査にかかる補助制度を設け、都も10月から入所者・従事者の検査費用の助成を開始する予定です。その実施状況を踏まえて検討する必要があると考えています。国に対してはすでに、特別区の施策に対する十分な財政措置を求めています。

 次に、陽性率についてです。

 公表については、区内全体での検査件数等の把握が困難で、正確な陽性率の算出ができないため、現在は行っておりません。公表している都内各自治体においても、把握可能な範囲で公表している状況です。区としても、今後把握できる範囲での公表について検討してまいります。

 次に、医療機関への支援についてです。

 感染患者の入院、帰国者・接触者外来の設置により経営が悪化している病院に対する支援が、国や都の措置では不足しており、区独自の支援を行います。これまでの減収相当額を補助するだけでなく、今後の患者受入れについても実績に応じて支援します。引き続き、病院の経営状況を注視し、必要に応じて、国や都へ更なる支援策を要望してまいります。

 次に、都立病院・公社病院の地方独立行政法人化については、高齢化の急進な進展など、医療を取り巻く環境が大きく変わるなか、医療・患者ニーズに迅速かつ柔軟に応えるためのものと認識しています。令和2年3月に都が策定した「新たな病院運営改革ビジョン」においても、感染症、救急、小児・周産期医療などが安定的・継続的に提供されることに加え、機動的に医療スタッフを確保することが可能となるなど、これまで以上に患者サービスの充実が図られると示されております。先行して法人化した国立病院でも新型コロナウイルス感染患者を十分受け入れており、法人化を取りやめるよう、都に求めることは考えていません。

 次に、移転・改築後の練馬光が丘病院の感染症対策についてです。

 新型コロナウイルスをはじめ、感染症医療の重要性が増していることから、感染患者用の陰圧室のさらなる増設について運営主体と協議をしています。私からは以上です。

【のむら説議員】

 次に防災についてお聴きします。

 近年の災害の多発化で防災対策のさらなる強化が求められる一方で、新型コロナの影響で、今までとは大きく異なる対応も迫られています。区は、防災計画の見直しをするとし、9月の防災訓練では、まず体育館や教室で間隔を広げた区割りを実施し、避難拠点のチェックリストやマニュアルも改善するとしています。それに加えて、次のことを求めます。

 1つ目は、できる限り多くの避難場所を確保し、密を避けることです。区は震度5以上の地震の際に避難拠点を開設し、さらに必要があれば、他の区立施設も活用するとしていますが、地震が起こった際は避難拠点だけではなく、水害時の避難所も同時に開設する体制をとるべきです。また畳などがある避難所は妊産婦や乳幼児を抱える母子専用にし、安心して避難できる場所を確保すべきです。2点お答えください。

 2つ目は、できる限り自宅で避難できるようにすることです。区は2020年度末までに民間建築物の耐震化を95%まで引き上げるとしています。しかし、この間の耐震改修相談会は毎回7~10組程度で、年間4回ほどしか行われていません。耐震助成の実績も区のアクションプランの目標数を下回っています。やはり補助制度を拡充し、耐震化をさらに促進することが必要です。とくに太陽光発電設備整備や住宅リフォームなどと組み合わせて実施できるよう補助制度をより使いやすいものにすべきです。お答えください。

 なおブロック塀の撤去費用助成制度についてですが、現行の制度では、ブロック塀の高さが考慮されておらず、事業者からは実態と合っていないとの指摘があります。板橋区では、撤去費用について平米あたり3万円の補助を行い、撤去後のフェンス化についてもメートルあたり2万円の助成を行っています。区としても実態に合わせ制度の拡充を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 3つめは、避難所拠点の中で簡易ベッドの設置や間仕切りなどを設置し、感染予防対策を講じることです。区も一部避難用テントを備蓄し、さらに簡易間仕切りなどの調達を行うため、NPO法人との協定を締結しました。そして、避難拠点が設置された際に、各避難拠点から必要数を吸い上げ、発注するとしています。

 しかし、この法人は複数の自治体と協定を結んでいるうえ、段ボール工場自体が被災する可能性もあり、すぐに調達できるは不確かです。これでは資材が届く前に感染が拡大する恐れがあります。国や都からも一部支給されるとしていますが、練馬城址公園なども活用して、区内の備蓄倉庫を抜本的に増やし、早期に設置できる体制とすべきです。少なくとも協定を結んでいる法人に対しては、一定数は自動的には発注されるプッシュ型支援を導入すべきではありませんか。2点お答えください。

 4つ目は避難拠点の備蓄の物資についてです。今後、コロナ対策としてマスクや消毒液なども加えられると思いますが、マスクをすると口の動きが見えません。聴覚障がい者の皆さんは、相手の口の動きから言葉を読み取ることから、ぜひフェイスシールドと聴覚障がい者だとわかるバンダナを備蓄物資の中に加えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【生方危機管理室長】

 初めに、避難場所についてです。

 新型コロナウイルス感染症対策として、現在、3つの密を避けられる避難者スペースの確保などについて、震災総合訓練等を通じて検討しています。検討結果は、今年度、改訂を予定している地域防災計画に反映してまいります。

 乳幼児や妊産婦などへの配慮については、既に「避難拠点運営の手引」で示しています。授乳スペースやトイレに近い畳敷きの部屋の確保など、可能な限り対応していきます。

 次に、備蓄物資の充実についてです。

 今年度、感染症対策としても活用できる避難所用屋内テントを購入しました。また、本定例会に提出している補正予算案に水災害時に活用する段ボール間仕切りや新たに避難拠点に備蓄するフェイスシールドの購入に係る経費を計上しています。また、障害の特性や個々の状態に応じた必要な支援を周囲の方に知らせるためにヘルプカードを配布しており、災害時にも活用します。バンダナを備蓄する考えはありません。

 区では、アクションプランに基づき備蓄倉庫の整備を進め、食料や飲料水など発災直後から必要となる物資を優先的に充実しています。しかし、全ての感染症対策物資を備蓄するスペースの確保は困難であるため、震災時には災害協定を活用し、調達してまいります。

 今年度、国が速やかにプッシュ型支援を行うため「物資調達・輸送調整等支援システム」を開発し、被災地へ迅速に物資を送る体制が構築されました。個別の災害協定におけるプッシュ型支援の導入については今後、研究してまいります。

 次に、住宅の耐震化についてです。

 区内全域の旧耐震基準で建築された戸建住宅に対して、耐震化に関するアンケートと支援制度を紹介するチラシを配布し、耐震化を促しています。窓口で耐震化に関する相談があった際には、他の補助制度についても、必要に応じて案内しています。引き続き、戸建住宅の耐震化の促進に向けて、啓発に取り組んでまいります。

 次に、ブロック塀等の助成制度についてです。

 今年度のブロック塀等撤去費用助成制度の実績では、土留め仮設工事等を含まない一般的な撤去費用の平均単価は約1万8千円です。区が設定している1万7千円の単価と乖離はなく、拡充の考えはありません。

 また、ブロック塀等撤去費用の助成期間にあわせて、生け垣化やフェンス緑化に対する助成額を引き上げています。みどりの協定地区や、啓開路線地区の生け垣化では、1mあたり2万2千円まで拡大しています。私からは以上です。

【のむら説議員】

 次に石神井公園駅南側再開発についてうかがいます。原案説明会がコロナ禍の7月に4回に分散させて行われ、近年行われてこなかった公聴会も13人の応募と、住民の関心が高い中、10人が抽選で選ばれ発言しました。

 この事業は、これまで住民や専門家、練馬区も入って決めてきた駅周辺地域の建物の高さ制限を35m以下と定めた地区計画を変更し、100mの高層ビル整備と、駅前に駅と商店街を分断するような16mの大型道路をつくろうというものです。事業総額約190億円のうち、区が3~5階を約30億円で買い取り公益施設を入れるのを含め、公費が約110億円投入されます。合わせて、狭い商店街の公園通りの拡幅を促進するため、区として建物の壁面を後退した土地を買取ると住民と約束していたものが、個人所有の公開空地にする変更まで含まれています。

 こうした計画であることから、説明会や公聴会でも多くの批判の声が挙がっています。同時に他の公共事業ではコロナ禍で説明会を軒並み中止している中、感染防止対策を行っているとは言え、開催することに対しても異常だとの声が挙がっています。なぜそこまでして説明会を開く必要があったのか、まずお聞きします。 また、説明会では、感染防止のため会場の定員を60人にしましたが、申し込み以外は席が空いていても会場に入れなかったと聞いています。公聴会も傍聴は30人までとし、内規があるとはいえ応募された13人全員の発言を許すべきだったのではないか、と区民からは区の住民の声を聞く姿勢が問われると意見が出ています。今回の説明会と公聴会のあり方について区の見解をお聞きします。合わせて、出された批判的な意見を今後どのように生かそうと考えているのか、ご答弁下さい。

 第2は、これまでの区の答弁についてです。これまでと大きく変わった「駅前商業地区A」の高さ制限や公園通りの壁面位置の変更について、区は「『話し合いもないまま大幅な変更となった』との指摘に対し、それは「当たらない」とか、「現行の地区計画と全く変わったわけではない」などと答弁していますが、これまで35m以下で、区長が認めた場合でも50mまでしか建てられなかった高さ制限が、「駅前商業地区A」では実際に100mの高層ビルが建てられるようになっています。それなのに、なぜ全く変わったわけではないと言えるのでしょうか。

 また、話し合いの機会も確かに説明会は何度も開かれてはいますが、地区計画を決めたときは、区も入って住民と話し合って合意して決めているはずです。ところが、その後の計画では一方的に説明するだけで、出された意見が十分に反映されているとは言えません。それを「当たらない」と話し合ってきたかのように論じるのはあまりにも区民を馬鹿にした話です。

 公園通りの壁面後退にしても、変更の理由として挙げている「無電柱化の早期実現」はむしろ、関係地権者の合意を得てこそ早期に実現できるはずです。「公園通り以外からはおおむね合意を得ている」という答弁は、関係しない地権者の合意を得ているからどうだというのでしょうか。誠意ある答弁とは到底言えません。区の考えをお聞きします。

 第3は、原案ということになれば、強制執行も可能にする都市計画決定に向けた一歩であるという問題です。計画に反対している地権者については、これまでご理解いただけるよう努力すると言ってきましたが、合意が得られていないのは明白です。原案を示すということは、強制執行を含めて強引に進めて行こうということなのか、また、原案が示されたのですから、この事業の採算性など具体的な数字も明らかになっているはずです。従前資産や事業費原価、平均床原価など資金計画などを明らかにすべきです。2点お答えください。

 第4は予算の使い方の問題です。

 コロナ禍で、区としても保健所機能の拡充や医療機関への支援、地域経済への対策や区民のくらしへの支援など、今後も多額の予算を振り向けなければなりません。区としても床の買取に30億円と多額の税金を投入する今事業をこのまま進めていて良いのかがいま鋭く問われています。区は、安全・安心のまちづくりのため必要との答弁を繰り返しますが、目の前の命を救うことよりも優先される安全・安心とはいったい何なのか、それとも、コロナ対策を本気で取り組む気がないということなのか、区の考えをお聞きします。お答えください。

 以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【宮下技監】

 災害に強く、安全・安心な暮らしを支える都市インフラの整備については、長い年月を要するものであり、それぞれの事業について、時機を逸することなく、計画的に取り組みを進めることが必要です。

 駅南口西地区では、防災上・交通安全上の大きな課題があることから、共同化・不燃化した建築施設と、都市計画道路を一体で整備する再開発事業の実施が望ましいと考えます。

 再開発事業については、平成27年から地域の方々との話し合いを重ね、昨年、都市計画素案として取りまとめ、説明会を開催しました。

 その後、原案を策定し、本年春には、原案説明会の開催を予定していたところですが、コロナ禍の影響を鑑み、7月に延期して実施したものです。

 説明会もついては、新型コロナウイルス感染症に配慮して、定員を設ける一方で、開催回数を増やす等、必要な対応を講じて実施し、更に、区の公式ホームページで説明動画を公開しました。公聴会についても、限られた時間の中で、可能な限り多くの方々に公述して頂きました。説明会や公聴会の開催については、これまでの経過や、現下の状況を踏まえ、適切な時期・方法により実施したものと考えています。

 区民の皆様から寄せられた原案に対する意見書や、公聴会での意見については、案の作成に合わせて、区の見解とともにお示しします。

 いまだ事業の実施に賛同していただけない一部の方については、引き続き計画、事業の進捗とともに、丁寧に説明し、ご理解いただけるよう努めてまいります。

 再開発事業の詳細な資金計画など、事業計画については、都市計画決定後、組合設立にあたり検討していくものであり、現時点では、具体的な数字はお示しできません。

 次に、地区計画の変更についてです。

 区は、平成27年度のまちづくり懇談会開催以降、エリアや課題毎に地域の皆様のご意見を伺う場を設けてきました。また、各種会合への出席や戸別訪問などにより、地域の方々からご意見を頂き、昨年の素案説明会を経て、今般、原案説明会を開催したものです。

 今回の地区計画の変更案は、駅前地区については、再開発事業の検討の進捗を踏まえ、現在の地区計画の目標や土地利用の方針に即して、土地の高度利用の内容を、地区整備計画の中で、より明確にしたものです。

 公園通り沿道については、平成30年度から開催している勉強会での検討や、沿道の方々からのご意見を踏まえ、無電柱化の速やかな実現と敷地の有効利用を図るべく、地区施設の幅員を変更し、壁面後退の計画を設けることとしたものです。

 尚、今定例会で区長が所信でも申し上げましたが、コロナウイルス感染症への対応については、様々な施策、事業を行っており、感染症から区民の命と健康を守り、生活を支えるため、全力で取り組む考えであることは、議員ご案内の通りです。

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