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新型コロナウイルスに関するお知らせ

日本共産党練馬区議団

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議会報告
REPORT

2020年 第2回定例会一般質問ー坂尻まさゆき(2020年6月9日)

【坂尻まさゆき】

 私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行ないます。

 最初に、新型コロナウイルスに罹患した方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げます。
区長の基本姿勢として、まず新型コロナに関わる経済対策についてうかがいます。緊急事態宣言が解除されましたが、この問題は長期になると言われています。収束とその後の立て直しまで、補償と一体に進めることが国民の納得を得るために不可欠です。暮らしの基盤や経済への影響を見通して、国や自治体が支援するべきです。

 第一に、区内事業者への支援についてです。国は本格的な営業補償にこそ踏み込んでいないものの、国民の声に押され対応を広げています。新型コロナによる売り上げ減少は事業者の責に帰するものではありません。中小・小規模企業を支え、地域経済を守ることが求められます。

 持続化給付金がはじまっていますが、その要件は売り上げが前年比で5割以上減少していることです。しかし、業者にとっては2割減でも大打撃です。宇都宮市や川崎市など各地の自治体で対象外になる事業者を独自に支援しています。区としても、そうした事業者を支援するよう求めます。答弁を求めます。また、申請はオンラインのみで困難な人もいることから、申請サポート会場が区内2か所に設けられました。これに加え、区としてもサポート会場をつくり専門家による支援をすること、郵送申請も受けるよう国に求めること、2点について見解をうかがいます。

 また、事業にかかる固定費の補助が求められています。家賃については、国の第2次補正予算で支援を行なうとのことですが、リース代はありません。区内業者の多くは小規模事業者であり、収入減のもとリース代も大きな負担です。国の支援にない設備等リース代の補助を区として行なうよう求めますが、いかがでしょうか。

 この間、国・都から様々な支援制度が打ち出されるなかで、区民にとってはわかりにくいことばかりです。全体をわかりやすく周知するとともに、利用できる制度を個別の状況にあわせ積極的・能動的に案内する窓口を設置してもらいたいと思います。また書類の作成にあたり、都の協力金では税理士など専門家に依頼した費用を別途措置するとのことですが、その他の制度での申請に当たり、区としても補助を行なってもらいたいと考えます。2点、お答えください。
また、特別定額給付金は非課税とされていますが、都の協力金や持続化給付金は課税対象とされています。非課税にするよう都が国に求めていますが、区や区長会としても求めてもらいたいと思います。いかがでしょうか。

 【関口産業経済部長】

 国は、これまで特別給付金の対象となっていなかった今年1月から3月までに創業した事業者を給付の対象に加えるなど制度の拡充を図ることとしています。

 区も、売上が減少している事業者に区独自の特別貸付を実施し、理美容などのサービス業や飲食業を始め、幅広い業種の事業者に活用されています。

 5月末に、持続化給付金の申請サポート会場が区内に2か所開設されました。区ホームページに掲載するとともに、練馬ビジネスサポートセンターでも周知に努めています。区がサポート会場を設置することは考えておりません。また、センターでも動画も活用して申請方法をわかりやすく案内しており、約1500回再生されています。郵送申請について国に求める考えはありません。

 国は、雇用調整助成金など支援策を矢継ぎ早に行ってきました。それに伴って、区内事業者から約500件の問合わせ等が区や練馬ビジネスサポートセンターに寄せられ、事業者の状況に応じて活用できる制度などを丁寧に案内してきました。区報やホームページ等で様々な支援について周知するとともに、センターと連携して対応してまいります。

 また、雇用調整助成金の申請にあたり、センターでは社会保険労務士による専門相談において、書類の書き方などを助言しています。

 後、多くの区内事業者等が助成金等を活用できるよう専門家による相談事業の拡充について検討してまいります。

 給付金等の課税上の取り扱いについては、都が国に対して感染拡大防止協力金等を非課税とするよう、すでに要望しています。その動向を注視してまいります。

 【坂尻まさゆき】

 第二に、区民生活への支援についてです。新型コロナ対応として、収入が減少した人の各種保険料の減免や、国保の傷病手当の支給について国が財政支援を行なうことを受け、今定例会に条例案が提出されています。

 今回限定的とはいえ、国保の傷病手当支給へ動いたことは画期的です。しかし、国の財政支援の対象は被用者とされており、個人事業主やフリーランスは対象外です。しかし、個人事業主も収入が途絶えれば困難を来すことは被用者と変わらないはずです。特例の目的は感染拡大防止のため、労働者が休みやすい環境を整備することにあり、こうした線引きは不適当です。区の判断で、個人事業主やフリーランスにも傷病手当を支給するよう求めます。同時に、財政支援の対象にするよう国に求めることです。2点、お答えください。

 加えて前定例会で国保料の値上げが議決されましたが、今般の状況を鑑み、少なくとも今年度の値上げは見直すべきではないでしょうか。お答えください。

 区民税ついては、生活保護が必要なほど所得が悪化しなければ減免されず、新型コロナ対応は納付の猶予等に止まっています。それではいずれ負担しなければならず、生活維持の支障になる可能性もあります。国保では収入が前年比3割減で減免されるように、区民税も前年比での減収に応じて減免するべきです。答弁を求めます。

 【山﨑区民部長】

 国は、被用者が新型コロナウイルスの感染症に感染した場合などに、休みやすい環境を整備するため保険者に対し傷病手当金の支給を求め、特例的に財政支援を行うこととしています。これを踏まえ区は、本定例会に傷病手当金の支給に係る条例改正を提案しています。フリーランスを含む個人事業者は、国の持続化給付金による経済的支援を受けられます。区が独自に支給対象を広げること、国に意見を述べることは考えていません。

 保険料については、新型感染症の影響により収入が前年比で3割以上減少が見込まれる場合などに、国の財政支援により特例的に減免します。納付が困難な場合は、個別に分割や猶予などの対応を行っていることから、今年度の保険料を見直す考えはありません。

 次に、特別区民税についてです。地方税法等の改正により、納付猶予の特例制度が創設されました。この制度は、新型感染症による収入の減少のみを条件にして、無担保かつ延滞金なしで1年間納付を猶予する前例のないものです。区は、猶予期間終了後においても、個々の納税者の置かれた状況を踏まえ、丁寧に配慮していきます。独自に感染症のための減免をする考えはありません。

 【坂尻まさゆき】

 コロナ対策は、従来の枠にとらわれない対応が求められます。そうしたもと江戸川区では、職員から1000件超の提案を募り、暮らし、産業振興、医療機関支援など60もの支援策を決定しています。練馬区でも4000人以上の職員のアイデアを集め、対策に取り組んでもらいたいと思います。お答えください。

 【森田企画部長】

 区は、5月に「医療機関応援プロジェクト」、「中小企業への特別貸付」、「ひとり親家庭への特別給付金の支給」など独自の緊急対策を盛り込んだ補正予算を臨時会に提案し、全会一致で可決して頂きました。

 本定例会に提案した補正予算案においても、「民間の保育、介護、障害者サービス従事者への特別給付金の支給」など、独自の支援策を盛り込んでいます。これらは、職員が区民や事業者の声をお聞きして、速やかに具体化したものです。引き続き、全庁を挙げて取り組んでまいります。

 【坂尻まさゆき】

 次に、医療に関わる問題についてです。

 新型コロナの感染は続いており、今後さらに感染の波が生じる可能性があります。これをいち早くキャッチし、適切に対応を取るためにも、今の時期にPCR検査体制を抜本的に拡充することが必要であり、入院、外来も含めた医療体制の強化をしていくための抜本的な財政支援を行うことが必要です。

 第1は、PCR検査に関わってお聞きします。

 国はこの間、PCR検査は治療目的でしか行ってこなかったため、諸外国と比べても検査数が圧倒的に低く、全体の感染実態が分からない状況が続いています。しかし、新型コロナは、軽傷者や無症状者からも感染するという特徴があり、そうした感染者を発見し、保護・隔離することが感染拡大防止のために決定的に重要です。
第2波に備えるならば、治療目的にとどまらず広く感染の有無を調べるスクリーニング目的でのPCR検査を実施し、正確に状況をつかむことが感染拡大を防止し、安心して経済活動に取り組むことにもつながります。
特に、医療・介護分野での院内感染・集団感染を防ぐためにも従事者や入院患者、介護サービス利用者の検査を徹底する必要があります。諸外国は、出口戦略を模索する中、1か月で10万~30万件の大規模なPCR検査を位置付けています。こうした立場から、圧倒的に検査件数を増やすよう財源も含め国に求めていく必要があるのではないでしょうか。区の認識を伺います。

 光が丘にPCR検査センターを設置したことは重要です。しかし、区独自の検査数の公表については、他区の方の検査があることや多くの区民が区外で検査していることを理由に考えていないとのことです。しかし、国や都が不十分な対応しかせず、社会経済活動を再開ありきで進めようとしている時だけに、区として独自に検査数を把握し、検査センターも複数設置する中で、検査数を抜本的に増やす必要があるのではないでしょうか。

 また、公共交通機関を使わないよう指示していることに鑑み、当面、専用の車両を借り上げるなどの対応を含め、対策をとるべきです。答弁を求めます。

 【練馬区保健所長】

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには感染者をいち早く発見し必要な対応を取ることが重要であり、国の基本的対処方針において検査体制の一層の強化や新しい検査技術の導入が明記されています。

 現在区内では、PCR検査を4か所の帰国者・接触者外来医療機関等に加え、PCR検査検体採取センターで実施しています。

 センターで検査を受ける方のうち、移動手段にお困りの方には、区から感染予防対策をしたタクシーを紹介しています。

 今後予想される第二波、第三波に備え区民が身近な所で検査を受けられることが望ましいと考えています。唾液を用いた新しい検査手法が導入されたことから、協力いただける区内診療所での検体採取について、練馬区医師会と協議を進めています。

 検査数の公表については、区民全体の検査数の把握が困難である事から、現時点では考えていません。

 【坂尻まさゆき】

 第2に、区内医療機関への支援と今後の病床確保の取り組みの強化についてです。

 区内の医療機関が受診抑制やコロナ対応などで大幅な収入減のため、経営破綻しかねない深刻な状況にあり、区として事業継続に必要な支援の強化をこの間繰り返し求めてきました。しかし、区は、医療機関の経営状況すら把握していないもと、必要に応じて「独自の支援策を検討して」いくなどと答弁しています。国はその後も不十分な予算しかつけてないもとで、医療機関の切迫した状況を踏まえ、速やかな対応が求められています。区はその後、区内の医療機関の現状は調査したのでしょうか、また支援策の検討はどこまで進んだのか、2点お聞きします。

 練馬区は、病床数が23区平均の3分の1しかないなかで、光が丘病院で院内感染が起こりました。この病院がこれまで毎月1500人超受け入れていた救急患者は、東京都全域で調整して対応したということです。しかし、実際にはコロナと疑われながら、PCR検査すら受けられず、待たされ苦しみながら家で2週間待機させられたという事例もありました。どの区も自区の対応だけでいっぱいな状況があったのではないでしょうか。二次医療圏という考え方が果たしてどう機能したのかが問われます。お答えください。

 また、移動制限がかかり、里帰り出産ができなくなった妊婦は、北区の北医療センターか、近隣の診療所を紹介して対応したということですが、そもそも区内で出産できる医療機関はわずか7か所しかなく、その内里帰り出産の分娩を受け入れたのは4か所だけです。今回の事態と教訓を受け、出産可能な医療機関の確保をさらに進めるとともに、相談窓口を設置し、周知すべきです。3点お聞きします。
今回のコロナの対応での実態を踏まえ、もともと病床数が少ない練馬区で、今後の区内の病床確保のあり方を改めて考え直す必要があるのではないでしょうか。

 2次医療圏を改め、練馬区を一つの医療圏として必要な病床確保ができる仕組みを東京都に求めることを改めて提案します。また、東京都は、災害医療体制については優先的に病床を配置することや、重点的に入院を伴う感染症病床は配置を検討すると考え方を示しています。今後の病院整備は、回復期リハだけではなく、急性期含めた病床を整備すべきです。ご答弁ください。

 【佐古田地域医療担当部長】

 各病院からは、新型コロナウイルス感染患者の受け入れなどにより、厳しい経営状況が続いていると伺っています。その他の医療機関についても、外来患者の減少により収入が減っていると練馬区医師会から伺っています。

 感染症が及ぼす病院経営への影響については、先ずは国や都がその支援を行うべきと考えます。国は診療報酬の増額を、国は診療報酬の増額を、都は緊急融資などを行っています。これらの制度周知に努めるとともに、必要に応じて国や都へ更なる支援策を要望してまいります。

 新型コロナウイルス感染症の医療提供体制について、都は二次保健医療圏ごとに概ね一か所の感染症指定医療機関を指定し、協力医療機関と入院医療機関が協力して患者を受け入れています。感染拡大の状況に合わせ、東京都が都内全体の入院調整を広域的に行う仕組みとなっています。感染拡大局面においては軽症者や無症状感染者のホテル療養を開始しました。欧米諸国で爆発的な感染が相次ぐなか、医療崩壊を起こすことなく、感染者、死亡率ともに桁違いに少なく抑え込むことができている一因は、医療圏による医療提供体制と広域的な連携が機能したものと認識しています。

 次に、病院整備についてです。現在、順天堂練馬病院、練馬光が丘病院、高野台新病院、合わせて423床の増床に向けて整備を進めています。これにより高度急性期・急性期の医療機能が向上するとともに、回復期病床もバランスよく配置され医療提供体制が充実します。

 周産期医療については、順天堂練馬病院の増床および練馬光が丘病院の移転・改築により、産婦人科病床の増床、NICUの増設など、充実します。里帰り出産を含めた相談に対しては、各保健相談所の妊娠・子育て相談員が丁寧に対応しています。

 【坂尻まさゆき】

 次に介護と障がい者施設についてです。まず介護施設についてお聞きします。

 介護現場にも、新型コロナの深刻な影響が及んでいます。とくにデイサービス等の通所施設では利用者が減っているうえに感染予防の観点もあって、区内で6施設が休業していました。通所だけでなく居宅介護でも利用者が減っており、登録ヘルパーも含め20名ほどの事業所では月50万円ほどの赤字となっています。区としてこうした厳しい実態をつかむことがまず必要ではないでしょうか。区は、事業者連絡会などの意見をきいているといいますが、現場の声を直接聞くなど、より踏み込んだ調査が必要と考えます。いかがでしょうか。

 国は、通常のサービスが実施できない場合に代替サービスなどを認め、報酬を一部支給する仕組みをつくり、文書などで周知を図っていますが、そうした情報がそもそも膨大なうえに、業務に追われ十分目を通すことができていません。また現場は、慢性的な人手不足で代替サービスを十分に実施できない状況もあります。このままいけば体力の弱い事業者は廃業せざるを得ません。

 すでに取り組んでいる面もありますが、区として国などからの情報をより整理して、とくに小規模事業所に対して分かりやすく周知するとともに、国に対し減収分を補填する、もしくは前年度の実績をもとに介護報酬を支給するよう求めるべきです。また必要な場合は区としても独自の支援を検討すべきと考えますがいかかでしょうか。3点お答えください。

 いま現場では、感染リスクにさらされながら、介護労働者が高齢者の生活を必死で支えています。今回、区が独自に特別給付金を支給することは重要です。あわせて介護職員、利用者などへのPCR検査がしっかりと行える体制を整えることも必要ではないでしょうか。答弁を求めます。
感染予防対策では、事業者によって対応にばらつきがあります。区も感染予防のためのチェックリストを作成していますが、これを周知するとともに、現場の声をもとに使いやすく改善することが必要です。また備品が不足し、マスクを使いまわしていたり、予防対策の費用がかさんで大きな負担になっていることから、負担軽減や使い捨てのエプロン等も含め備品の確保が必要ではないでしょうか。2点答弁を求めます。

 次に障がい者施設についてお聞きします。

 障がい者施設については、介護施設と同様の課題があります。とくに通所施設等の閉鎖による代替サービスについては、すでに国が2月から文書を通知していました。中野区では3月9日に障害福祉サービス事業者むけの対応を区独自でHPなどで通知しています。

 ところが練馬区は、緊急事態宣言が出されてしばらく経過した4月23日と30日にやっと通知が出されました。施設によってはこうした通知を待たず、自主的に閉鎖してしまった施設もありました。あまりにも遅すぎます。

 区は、こうしたことを教訓に、第2第3波に備えて、具体定な対策をとる必要があるのではないでしょうか。また施設の減収分についても区として補償することが必要ではありませんか。答弁を求めます。

 介護も障がい者の分野も、この間の社会保障の連続的な改悪によって、痛めつけられ、人手不足も慢性化していました。そこにコロナ危機がさらに追い打ちをかけました。こうした社会の基本的インフラである、社会福祉の基盤強化が求められています。そのために、この間改悪された介護保険制度や障がい者制度をもとに戻すこと、介護では報酬引き上げなど制度の充実を行なっても保険料に跳ね返らないよう国の公費投入を強化すること、自立支援報酬については利用者数による日割り計算から月割りに変更するなど、事業者の負担軽減や運営基盤の強化を国に求めるべきです。お答えください。

 【吉岡高齢施策担当部長】

 区は、介護事業所の実態把握のため、練馬区介護サービス事業者連絡協議会を通じて、各事業所の意見・要望を伺っております。また、事業所から様々な問い合わせを受けるなかで、直接、現場の状況を聞き取っており、改めて調査を実施する考えはありません。

 介護事業所に対しては、通常のサービスが実施できない場合の代替サービスの提供とその際の介護報酬等の取り扱いを整理した通知や、感染予防対策のチェックリストを送付しています。
障害福祉サービス事業所に対しては、国の報酬算定に関わる通知について、2月から随時、周知しており、不明な点などの問い合わせに対応しております。4月には、問い合わせの多い事項についての回答を取りまとめ、送付しています。

 引き続き、利用者に必要なサービスが継続的に提供されるよう、介護事業所、障害福祉サービス事業所に対し、わかりやすく情報提供をするなど支援してまいります。

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う介護事業所や障害福祉サービス事業所の減収分を補填することについて、特別区長会を通じて、国および東京都に要望しており、区として独自に補填することは考えていません。

 マスクについては、介護事業所、障害福祉サービス事業所に対し、東京都から提供を受けた分も含め、約100万枚を順次配布しています。また、感染予防に必要な衛生用品の確保について、すでに特別区長会を通じて、国および東京都に要望しています。

 PCR検査については、介護施設職員、利用者などを含め、症状が出た場合や濃厚接触者は検査を受けられる体制となっています。

 区は、国に対し、これまでも介護保険に対する国の負担割合の引き上げを要望しています。自立支援給付費については、事業者の負担軽減につながる報酬額増額について求めてきました。

 高齢者や障害の重度化が進む中で、国は、地域共生社会の実現や地域包括ケアシステムの構築に向け、サービスの充実を図るとともに持続可能な制度とするため、介護保険制度や障害者福祉制度を改正しています。国に対し制度を元に戻す要望を行う考えはありません。

 【坂尻まさゆき】

 つぎに学校教育についてうかがいます。「全国一斉休校」の要請は厚労省の専門家会議にさえ諮られず、それがもたらす多様な影響への緩和措置も準備されぬまま、子どもの成長・発達、安全を家庭に丸投げしました。3カ月間の休校は「欠食や運動不足」「孤独な留守番」「ゲームやテレビ依存」など子どもの生活に悪影響を与え、そのことは日本小児科学会が「学校閉鎖が子どもの心身を脅かし、関連健康被害のほうが問題」と表明するほどです。

 全国には、休校要請に対して数日の猶予をもった自治体もありながら、練馬区は大きな混乱をもたらすことを知りつつ突然の要請に応じました。想定される第二波、三波を見据え、結果的には政府や都の要請に応えるとしても、練馬区として現場の被害や混乱を最小限に抑える手立てを尽くす必要があるのではないでしょうか。答弁願います。

 区は学校再開後、3カ月の空白について夏季休業の短縮、土曜授業の増、行事の縮小や中止により今年度内に教育課程の遅れを解消するとしています。そうなれば詰込みになることは否めません。それでなくても、今年度は学習指導要領の改訂で授業時数と指導内容が増え、現場の負担は増す一方です。文科省は指導要領の一部を翌年度に繰越すことを認めており、全日本教職員組合は「指導要領を弾力的にとらえ、学校の実態に応じて柔軟に教育課程を編成しなおす」必要を訴えています。区に必要なのは、教職員集団の主体的な議論と創造的な取り組みを尊重し、支える姿勢です。区の意向を決して現場に押し付けることがあってはならないと考えますが、見解をお示しください。

 また、空白解消の方策として学校行事を縮小するといいますが、行事は子どもの心身の健全な発達をはかるうえで不可欠です。教師からも、子どもの「息が詰まるのでは」と懸念され、「個性を生かせる場面、活躍の機会が減る」可能性があることは区も認めるところではないでしょうか。ただでさえ学力偏重の教育課程のバランスをこれ以上欠くことのないよう、学校行事は極力生かす方向で検討し直すべきではないでしょうか。2点お答えください。

 5月中旬に保護者に配布されたある区立小学校の学年だよりには、授業が再開したとき再指導せず家庭に学習を丸投げするかのように取れる文面がありました。練馬区は学校再開後について「3月より未実施となっている学習内容の補充指導を行います」としており、認識が食い違っているのではないでしょうか。また、文科省は4月、「家庭学習により再指導不要と判断すれば、学校再開後に授業で扱わない」との通知を自治体に出していますが、区は休校中に学力格差や遅れが生じた子ども、家庭等で十分な学習支援を受けられなかった子どもたちを、どう救済するつもりでしょうか。2点、ご答弁願います。

 一人一台のタブレット配備が今年度中に予定されていますが、本来の順序で言えば、活用の目的が先にあって、そのうえで配備があるはずです。
全国的に見て、ICT化による教育効果や学力向上の関係について十分な研究がされているとはいえず、学力調査の結果とICT環境の先進度の相関についてもはっきりとした結論が出ているわけではありません。

 上智大学の辻元(つじ・はじめ)教授は「デジタル機器の活用は生徒の興味を引く半面、思考の省略に繋がってしまう面も否定できない」との見解を示しています。
ICT化が時代の趨勢だとしても、その教育効果や学力向上の効果、また前提となるリテラシーの獲得や利活用法にもっと具体的な構想を持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。くわえて、急速なICT化にともなう機器への永続的な財政担保や専門的な指導者・支援者加配が不可欠だと考えますが、それら十分な体制をどう整備していくつもりでしょうか。お答えください。

 わが会派は少人数学級や教職員の増員を繰り返し求めてきました。それは、これらが教育基本法で定められた「人格の完成」と「平和で民主的な国家及び社会の形成者」の育成という教育目的の達成に不可欠だからです。ソーシャルディスタンスの維持や分散登校による教師の負担増を考えれば、コロナ危機の今だからこそ永続的な「3密」回避、つまり少人数学級や教職員増員など、現場の要請に十分な予算をつけ、非常事態を乗り越える改革にしっかり足を踏み出すべきではないでしょうか。見解をお聞かせください。

 【木村教育振興部長】

 学校の臨時休業は、国や都の要請に基づき、子供の命と健康を守るために区として判断したものです。学校には学習課題の準備や参集日の設定を指示しましたが、大きな混乱等が生じたとの認識はありません。

 また、3月2日の臨時休業開始以降、校長会等と綿密な協議を重ね対応を決定してきたところであり、区の考えを現場に押し付けてはおりません。

 学校行事は子供の豊かな成長に欠かせません。しかし、感染拡大の防止やこの間の学習の遅れを取り戻すためには、今年度に限り、行事の精選や規模縮小はやむを得ないと考えています。その上で、各学校において、教育目標と各行事の意義を照らし、必要な行事の実施をしてまいります。

 未実施分の学習については、学校再開後に、児童生徒の家庭での取組状況を確認し、必要に応じて補充指導等を行うよう各学校に指示しており、家庭に学習を丸投げするようなことはありません。各教員が子供たちの学習の定着度合いを丁寧に見取り、必要な指導や支援を行うことで、学力の格差が生じないように対策を講じていきます。

 次に、ICTを活用した学習についてです。

 子供たちへのICTリテラシーの指導は既に進めています。タブレットパソコンは、モデル校における活用結果からも有効なツールであり、次世代を担う子供たちの教育環境の充実に不可欠であります。全会一致で可決いただいた5月補正予算に基づき、今年度末までに、全児童生徒一人一台配備します。

 タブレットは、授業の他、子供たちが家に持ち帰り、家庭学習で活用できるようにするとともに、オンライン学習の仕組みも構築していきます。教員のスキルアップについては、学校を巡回して授業の補助等を行うICT支援員の積極的な活用と実践的な研修を行っていきます。また、ICTに限らず、教育環境の整備に必要な予算を確保していく考えです。

 区立学校の学級編制は、都の教育委員会の基準に従い、運用しています。今後も、国や都の動向を見極めながら、適切に学級編制を進めていきます。区として独自に少人数学級制をとる考えはありません。

 教員の加配については、国の補正予算案に示されており、今後、国や都から発出される詳細な通知を踏まえ、活用を検討してまいります。以上であります。

 【坂尻まさゆき】

 次に、保育の問題についてお聞きします。

 第1は、コロナ禍での保育の保障についてです。

 新型コロナの拡大は子どもの生活にも影響を与え、保育所でも混乱と負担が生じました。緊急事態宣言から保育所運営にあたっては、23区で「原則休園」と「自粛を要請して開園」とに分かれ、練馬区では後者の対応を取る中、保護者や保育従事者から感染リスクを懸念して休園を求める声も上がりました。
しかしながら、勤務しなければならない職種や休業補償が不十分な中で休めない人もいます。そして保育所は、児童虐待を防止する上でコロナ禍では特にその役割が求められます。

 本来、必要とする子ども全てに保育を保障すべきですが、医療従事者の子どもの預かりを拒否する事例が報道等で伝えられています。練馬区では登園自粛を求める中で、2割程度まで登園率が下がりましたが、先のような事態が起きていないか心配です。

 区は、登園届出制を採用しましたが、練馬父母連の保護者向けアンケートでは「全日登園を控えた」人のうち16%が「区の届出書にある対象職種ではないため」と回答、また自分は対象なのか区に問い合わせが来るなど、この方法で保育が保障されるのか疑問です。この間の取り組みを十分に検証し第2波も見通して、保育を必要とする子どものために改善すべきです。見解を伺います。

 第2は、保育従事者や保育施設への支援についてです。

 コロナの影響で休園や登園児の減少に伴い保育体制を縮小した場合、区立直営園の職員は、有給休暇を減らさずに有給扱いとなりますが、委託園や私立園では、無給の自宅待機や有給休暇の取得を促されるなどの事例があります。

 しかし認可園では、運営費は在籍児童数でみるため登園児が減っても減収にはならず、内閣府は「施設の収入を保証することとし、人件費の支出についても、これを踏まえて適切にご対応いただくべき」だとしています。区は、民間事業者に対し人件費について直接的な指導はしていませんが、コロナに関わり人件費を減額しないよう指導すべきと考えます。いかがでしょうか。

 区長は、「保育所は必要不可欠な施設」といっています。その欠かせない施設で働く保育従事者は、低賃金で働き、感染リスクの高い保育現場で危険に晒されています。今回の補正では、保育従事者に特別給付金を支給するとしたのは、評価します。しかし完全収束までを見据えると、1回限りで済ませないべきです。認可外施設は利用数が減れば減収となり、運営が不安定になるため、前回の補正で補助が入ったことは重要ですが、施設の存続に必要な財政支援の更なる拡充を求めます。また、職員配置の強化や賃金引き上げなど、抜本的な改善を国に求めるべきです。3点、お答えください。

 第3は、感染防止対策についてです。これまで区は、登園自粛要請で登園児が減少すれば、保育従事者も出勤抑制ができるという考えで取り組み、マスクやアルコール等の配布も行ってきました。しかし、感染防止対策が現場任せになっているという声もあります。従来から感染症対策マニュアルはありますが、区が感染予防のガイドラインを示し、実践できるよう指導するべきです。また、マスクは保育士が毎日使用できる枚数を支給する、園に入る前の検温の徹底など、さらに踏み込んだ対策も必要です。保育室では、給食やお昼寝などのスペースがどうしても密になります。国の基準のままでなく、詰め込みにならないよう面積基準の底上げを求めます。3点、お答えください。

 第4は、待機児についてです。今年度区は、待機児童数を11人と公表し、昨年度の14人から減少したとしています。今年も、認可外に入れた数などは除外した、実態を正確に反映していない数を待機児としたことは残念です。都合のよい線引きで待機児を少なく見せても、子どもたちの笑顔は輝きません。今年度認可園に入れなかった子どもへの具体的な対応と来年度への必要な措置について、見解をお聞かせください。

 認可外施設は、利用者が減れば収入減となり経営危機に繋がるため、運営費に影響のない認可園を増やすべきと考えます。新型コロナを経験した今こそ、本当の意味でのセーフティネットとなる区立直営園を守り増やしていくべきです。お答えください。

 【小暮こども家庭部長】

 本区の登園届出制は、具体的な業務内容等を記載していただいており、職種を限定するものではありません。真に必要とする方に保育を提供するものとなっています。引き続き、この仕組みによる自粛要請を実施してまいります。

 次に、保育施設の人件費についてです。

 認可保育所等の運営は、在籍児童数に基づき算定しており、登園自粛に関わりなく支給しています。国からの通知を待たず、区は各保育施設に対して、職員人件費に影響を生じさせないよう要請しています。

 次に、財政的支援についてです。

 今回の介護等従事者特別給付金の趣旨は、従事者の皆様のご苦労に報いることです。まずは、この6月補正予算議案に賛成いただくようお願い致します。
認可外保育施設に対して、新たに実施する利用料の減収補填補助は、全国的にも例を見ない、区独自の施策です。利用料が主たる収入源である施設運営の安定化に資するものと考えており、さらなる財政的支援は考えていません。また、区では既に、認可外保育施設に対して、認証保育所や認可保育所への移行支援事業を実施しており、認可外保育施設に対する職員配置の強化等について、国や都に抜本的な改善を求める考えはありません。
保育施設は、乳幼児を預かる施設であることから、区では、ノロウイルス等、各種感染症への対策マニュアルを作成し、日頃から区内保育施設の現場で活用されています。

 今回の状況を踏まえ、区では新たに、「練馬区保育施設における新型コロナウイルス対策ガイドライン」を作成し、区内保育施設に配布しています。また、面積基準の見直しは考えていません。

 次に、待機児童対策と認可保育所の整備についてです。
本年4月の待機児童は、779人の定員増を実現した結果、過去最少の11人となりました。この11人の児童は、5月および6月に行った空き枠の募集により入所済みです。

 来年4月に向けては、私立認可保育所9か所、定員410人分の整備や、練馬こども園の拡大に取り組んでまいります。区立直営園を増設する予定はありません。

 【坂尻まさゆき】

 最後に、区政全体に関わってお聞きします。

 この間、「構造改革」の掛け声で、全国の保健所数は、この30年間で44%も削減され、20年前には9060床あった国内の感染症病床は、4分の1まで削られました。更にいま、424の公立・公的病院の再編・統合計画が進められようとしています。練馬区でもこの間、感染症対応や虐待への見守りなど保健所機能の低下が進められ、危機に対して極めて脆弱な状態をつくってきました。
いま、コロナによるパンデミックを受け、世界で新自由主義による社会保障・福祉切り捨て路線自体が鋭く問われています。区長は、「将来を見通し、行政の在り方を問い直す機会にしなければならない」と表明しましたが、今こそ、これまでの「行革」による福祉削減路線を転換する方向へ、自治体のあり方を見直していく必要があるのではありませんか。合わせて、この機会に保健所機能を抜本的に強化することを求めます。お答えください。

 【練馬区保健所長】

 健康部においてはこれまで3年間で6名の保健師を増員するなど体制を強化してきました。

 今回の新型コロナウイルスの感染症の対応においても、状況に合わせて保健師の兼務発令や人材派遣の活用を進め、20人体制を最大59人としました。

 今般の経験から、手書きの感染症発生届やFAXによるやり取りなど、従来の手法に改善すべき点が確認されました。業務の効率化を図るため、システム導入や業務委託などの検討を進めていきます。その上で必要な人員について精査を行っていきます。

 【坂尻まさゆき】

 同時に、緊急事態宣言が解除されたとは言え、今後もコロナ対応で区民のくらし、福祉、営業を守る思い切った対策が求められるだけに、東京都の依命通達にもあるように大型道路や駅前再開発のような不要不急の事業は後回しにして財源を確保する必要があります。この間、住民合意も十分に得ていない石神井公園駅南側の再開発や外環の2、大2中を分割する道路などは立ち止まるべきではないでしょうか。

 また、東京都が財調基金の95%近くを使って対策をとっていますが、練馬区も約400億の財調基金等を今こそ活用するべきです。ご答弁ください。
以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

 【前川区長】

 福祉行政についてです。
社会福祉は私のライフワークであります。

 昭和46年に当時の美濃部都政で社会福祉に従事しようと決心し、東京都に入りました。以来、様々な立場で社会福祉の充実に力を尽くしてきました。
区長就任後も、福祉事務所のケースワーカーの大幅増員、全国トップレベルの保育所の定員増、練馬こども園の創設、特別養護老人ホームの増設、街かどケアカフェの創設、ひとり親家庭自立応援プロジェクト、重度障害者グループホームの増設など、様々な区独自の取り組みを実施してきました。

 今回の新型コロナウイルス感染症の危機にあって、最も苦しむのは、収入が断たれ困窮に追い込まれる区民の皆様であります。緊急小口資金や住居確保給付金などの生活相談コールセンターの開設、ひとり親家庭への臨時特別給付金など、他区に先駆けた施策を実施しています。

 これらの取り組みのどこが、福祉削減路線なのでしょうか。失礼ながら決まり文句による、一方的な裁断はいかがなものでしょうか。私の施策を具体的に見ていただきたいと思います。

 世界はまさに新型コロナウイルスとの闘いの只中にあり、しかも長期戦となることは確実です。今、私たち基礎的自治体に求められているのは、区民の命と健康を守り、再開されていく経済社会活動を支えていくことです。そのためにも、持続可能な財政運営を堅持することが不可欠だと考えています。

 【森田企画部長】

 かつてリーマンショックの際は、5年間で400億円以上の一般財源が減収するなど厳しい財政状況に陥りましたが、今回はそれを上回る減収が懸念されます。

 厳しい財政状況を踏まえ。第2次ビジョンアクションプラン、公共施設等総合管理計画事業の全庁的な点検に着手しました。都市インフラの着実な整備をはじめ、区民の安全安心を守る事業を最優先しつつ、各事業の内容に応じてスケジュールや規模の見直し等の検討を進め、持続可能な行財政運営を確保してまいります。

 特別区は、大規模な経済危機などにより大幅な減収となり財源が不足しても、他の自治体のように赤字を補てんする起債の発行はできません。このため、財政調整基金の目標額を定め、計画的な積立に取り組んできました。

 令和2年度当初予算では68億円の基金を取り崩し、補正予算においても、約25億円の基金を取り崩して対応しています。区としては既に財調基金の有効な活用を図っているものと認識しています。

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