日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。まず区長の基本姿勢として、政治と金の問題についてお聴きします。
安倍改造内閣が発足してわずか2か月で二人の閣僚が辞任しました。とりわけ菅原一秀衆議院議員は練馬区の2/3を占める9区選出の議員であり、練馬区にとっても大きな問題です。
週刊誌によれば菅原氏は、高級メロンやカニを有権者に配っていたリストがあったことなどが報道されています。さらに二回目の報道で秘書が有権者に香典を渡していたことが明らかとなり、経済産業大臣を辞任しました。これは報道内容が事実であることを認めたことと同じではないでしょうか。
新聞の報道では、菅原氏のリストの中に現職の区議会議員が含まれていたことも報道されています。またしんぶん赤旗の調査では、菅原氏が主催した政治資金パーティーで、同氏の秘書が選挙区内の町会長や自治会長に「御招待」と記したパーティー券を無料で配布していたことが複数の関係者の証言で分かっています。
無料招待で出席した人によると、会場ではビュッフェ形式の料理や酒類が出され、記念品として菅原氏の名入りの時計が配られたといいます。もしこれらのことが事実であるとするならば立派な買収行為であり、民主主義を破壊する重大な行為です。こうした実態を区長はどのように認識していますか。
この間、お金が政治や行政を歪めてきました。原発マネーが原発再稼働を推進し、日本経団連による献金が消費税増税や労働法制の改悪など財界の要求を政府に飲ませる力を発揮してきました。しかし、本来、選挙とは一部の人たちの利益やお金によって左右されるものではなく、候補者自身の政治姿勢や政策で判断すべき問題です。
政治と金については、政権自身が自浄作用を働かせるべきですが、安倍首相自身が「桜を見る会」とよばれる国の公的行事を私物化するなど、深刻なモラルハザードを引き起こしており、自浄作用は望めません。
区は12月・1月を寄付禁止強化月間に定めるなど、政治家の寄付禁止の周知を図っており、今回の事態をうけてさらなる対応が求められているのではないでしょうか。
また菅原一秀衆院議員については議員資格が問われる問題であり、説明責任を果たさず、疑惑を晴らすことができていない以上、現時点で区の公的行事には招待すべきではありません。2点答弁を求めます。
【堀総務部長】
区の公式行事等についてです。
区が主催する主な行事については、国会・都議会・区議会の議員の皆さまに、一律に、ご案内を差し上げています。
「もし、これらのことが事実であるとするならば」との仮定のご質問には、お答えのしようがありません。
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次に、災害対策について伺います。
今年の秋は、台風や記録的な大雨による災害が相次ぎました。9月には台風15号により千葉県を中心に停電や断水などの大きな被害が出ました。そして10月の台風19号では東海から東北を中心に全国にも大きな被害をもたらし、都内でも多摩川など河川の氾濫による市街地の冠水や住宅・事業所の浸水、奥多摩町や日の出町では道路の崩壊による集落の孤立など、深刻な被害に見舞われました。
練馬区内では、人的な被害など大きな被害はなかったものの、浸水被害が4件、倒木などの被害が31件、一部破損の建物被害が4件ありました。
今後、地球温暖化によってこうした非常に強い台風が増えると予測さています。だからこそ、従来の想定にとらわれずに、災害による被害の発生を抑え、拡大を防止するための予防対策を進めていくことが必要と考えます。
台風19号の対応として区は、地域集会所や地区区民館など区内15か所で避難所を開設し、避難者数はピーク時で600人以上だったとのことです。
練馬区では、震災の際、区立小中学校が避難拠点として開設します。小規模水害の際は勤労福祉会館や地区区民館など65ヶ所の区立施設を…大規模水害の際は82校の区立小中学校を避難所として開設するとしています。
私たちのところには、避難所だと思って近くの小中学校に行ったら開いていなかったという声が複数寄せられています。誤って小中学校へ行ってしまった背景には、避難拠点の周知のみが目立ち災害の種類によって開設場所が変わることが区民に認識されていなかったからではないでしょうか。今後、風水害時の避難場所についての周知を強化すべきだと考えますが、区の見解を伺います。
また、小規模水害時の避難所のなかには、田柄地域集会所や田柄地区区民館など、近隣地域だけでなく避難所自体が浸水深2.0m以上である場所があります。これでは、避難所へ向かう経路も避難所も安全であるとは言えません。現在、新たな浸水予想区域図を反映したハザードマップを改定する予定とのことですが、今回の台風時の区民の避難行動や意見をもとに、区民が安全かつ確実に避難できる場所として適切なのか、検証する必要があるのではないでしょうか。区の見解をお聞きします。
避難所情報の他にも、災害状況やライフラインの復旧状況など、災害時の情報の取得することは非常に重要です。災害の状況や避難所開設情報など、必要なときに必要な情報を取得できなかったという声もあり、そのなかでも、水位の情報をもっと欲しかった、という意見が多数寄せられました。「川に近づくな」と言われても、様子が分からないのは困ると、危険と知りつつも見に行ってしまった人も居ました。
安全で迅速な避難に役立てるよう、石神井川と白子川に、簡易水位計やライブカメラの設置個所を増やし、川の水位情報の提供など、区民が必要とする情報の発信を行うべきです。
その他にも、災害時における情報伝達手段の基幹として整備されているはずの行政防災無線が「聞こえない」「聞き取りづらい」という声も多くありました。暴風雨で住戸の窓や雨戸を閉めてしまえば、遮音性が高まるため、室内では放送が聞き取りづらくなります。また、防災無線の内容を確認できる電話も、「繋がらなかった」という声もありました。
港区では、防災行政無線が聞き取りにくい世帯を対象として、来年の4月より、防災ラジオの配布を1,000円で、住民税非課税世帯・生活保護受給世帯は無償で、戸別受信機の普及を図る取り組みを行う予定です。また、狛江市では今年7月の議会で災害時の情報伝達手段の一つとして、FM放送設備の整備に市が補助金を出すことを全会一致で可決しています。
こうした他自治体での取り組みを踏まえて、回線強化や受信機の普及など練馬区として災害情報の伝達についての対策を強化すべきです。区としてどのように情報伝達をしようと考えていますか。お答えください。
今、全国の自治体ではこの間の公務員削減により災害時の職員体制が脆弱になるという問題があります。大阪府では、毎年一律2%削減の職員削減計画を定め、大幅に職員を削減してきました。その結果、大阪府職労の行った「災害時対応緊急アンケート」では、「大災害が発生した場合、あなたの職場は今の職員数で対応できるか」の問いに51.3%が対応できないと回答しています。
練馬区は、区政改革や公共施設等総合管理計画で委託化・民営化による職員削減を行ってきました。2010年の職員数は4,882人、2019年4月1日時点の職員数は4,522人であり、過去10年の減少率は7%です。練馬区職員定数管理計画では今後も2018年4月1日時点との比較で2023年4月1日にはさらに職員定数を200人減らそうとしています。
練馬区地域防災計画では、大規模な地震が発生した場合に参集職員の基準を定めているように、水災害発災時でも危機管理室、土木部など必要な関係部署により配備態勢を取るとのことですが、職員をどんどん削減して、被災地に駆けつけ、被害状況を把握するなど十分な対応ができるのでしょうか。人員を減らすということは、それだけ脆弱な体制になるということです。職員体制の課題にとどまらず、専門的な知識と経験をもつ職員を配置するなど必要な人員体制の充実で、行政サービスの確保と向上を図ることを求めます。区の認識を伺います。
【唐澤危機管理室長】
私から、災害対策についてお答えします。
はじめに、水災害時の避難所についてです。
台風19号接近の際は、多くの区民の方が避難所へ避難されました。一方で、地震災害時の避難拠点と開設場所が異なることから、避難する場所がどこかわかりにくいとの声をいただきました。
これまでは、平成12年9月の東海豪雨の際の総雨量589ミリを想定した大規模災害時の避難所と、それ以外の小規模水災害時の避難所の2種類に分類し、実際に開設する避難所は雨量を勘案してその都度決定していました。平成27年に水防法が改正され、想定する最大総雨量が690ミリに引き上げられました。これを受け、避難所は水災害規模に応じて4段階に分類することとし、浸水の恐れがある避難所についても見直しを行っています。現在改定・作成中の水害ハザードマップにおいて、浸水が予想される区域やその程度、避難所等をわかりやすく記載し、来年3月に全戸配布をします。
つぎに災害時の情報伝達についてです。放送内容が聞き取りづらいというご意見をいただいた防災行政無線については、放送内容を文字化してねりま情報メールで自動配信するとともに、区の公式ホームページでも確認できる仕組みを来年度、導入する考えです。聴覚障害のある方をはじめ、多くの区民にねりま情報メールを登録していただき、災害情報が適切に届くよう周知に努めてまいります。
大規模地震発生時や大型台風が接近する際には、区ホームページに各種防災マップや気象情報、震度情報など災害情報を集約して掲載しています。アクセス集中への対策も施しており、台風19号の接近時には、多くの区民から「情報がはやくわかってよかった」などの声もいただいています。引き続きホームページの災害情報を充実し周知してまいります。
つぎに災害時の職員体制についてです。
区は、災害発生時の応急業務に対応するため第一次247名から第四次までのあわせて4、601名の職員全員の非常配備態勢をあらかじめ定めています。
また、専門的な知識・経験を有する建設業や土木業などの協定団体や警察・消防・自衛隊など関係機関、また区民防災組織との連携を日頃から深め、地域防災力の向上に取り組んでいます。
群馬県前橋市や埼玉県上尾市、長野県上田市など災害時の応援協定を締結しており、協力体制を整えています。さらに、大規模災害発生時には、被災自治体に都道府県・政令指定都市がペアとなって応援に入る方式で支援する仕組みが制度化されています。これらの自治体からの受援体制についてもガイドラインを定めているところです。
台風15号や19号においては広範な課題が顕在化しました。今年度中に取りまとめる災害対策再点検の中にこれらの課題の検討結果を加えるとともに、来年度改訂予定の「地域防災計画」にも位置付けます。私からは以上です。
災害時の情報伝達についてであります。
個別受信機の配布については、導入する費用が高額なことや、要配慮者の避難行動を支援する仕組みを構築することが必要、などの課題があります。今後研究を深めてまいります。以上であります。
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次に、介護保険についてお聞きします。
この間、国は社会保障費の伸びを抑えるため、2019年までの7年間で1兆7100億円も高齢化にともなう自然増を削減してきました。介護では、要支援の総合事業への移行、特養ホーム入居を要介護3以上に限定するなどが強行されました。また、2015年に行われた全体で2.27%報酬が引き下げられ、介護労働者の賃金は全産業平均を月9万円も下回っています。そうしたことが介護事業所の倒産・撤退を招いているのです。
保険料は、練馬では昨年から基準額7万7640円と7700円も上げられました。利用料では2割3割負担が導入された結果、5243人が2割以上、うち2763人が3割負担となっています。国は影響なしとしていますが、負担に耐えられず必要なサービスを削るなどしている人は少なくありません。
補足給付も保有資産等が要件に加わったことで、2014年は5616人だったものが、次年度は4430人と2割以上減り、昨年度は4792人と5000人を切り続けています。まさに低所得者を狙った負担増です。
また、自立支援・重度化防止だとして、費用削減を自治体に競わせる財政インセンティブ制度が始まりました。しかし区では要介護認定者の88%は75歳以上、軽度化する人は年18%程度しかいません。財政インセンティブは、高齢になり心身が衰えても暮らしと尊厳を守る本来の介護保険のあり方を歪めるものではないでしょうか。
負担増と給付減が繰り返され、開始当初から見れば介護保険は明らかに後退していると考えます。区の見解をお聞きします。
安倍政権は、全世代型社会保障と称して、利用者・家族に一層の苦難を押し付けようとしています。その一つが、要介護1・2の人の生活援助サービスを保険給付から切り離し、総合事業に移行させるというものです。区内の要介護認定者約3万4000人のうち、要支援1から要介護2の人数は約2万2000人、64%を占めます。財務省は要介護1.2を含む軽度者の人たちを「小さなリスク」と決めつけ、保険給付から外すことを正当化していますが、要介護認定されたにも関わらず64%の人たちが保険給付を使えないというのは、保険という制度の根幹にかかわる大問題ではないでしょうか、区の認識をうかがいます。
さらに利用料の2割3割負担の対象を拡大すること、ケアプラン作成の自己負担導入も検討に挙げられています。これではいざ介護が必要になったとき負担能力がない人は適切なサービスを受けられません。社会保障に使うと言って消費税を10%に引き上げたにも関わらず、こんな負担増はあまりに理不尽です。
今やるべきは相次いで行われた制度改悪を元に戻すことです。そして、全ての要介護認定者に保険給付を保障し、希望する人がみな特養ホームに申し込み、入居できるようにするなど、高齢者の自立した生活を守るための環境を作ることこそ必要ではないでしょうか。区は一層の改悪に反対し、以前の制度に戻すよう国に求めるべきです。答弁を求めます。
総合事業では、区独自のサービス従事者が家事援助を行っていますが、家事援助は高齢者の小さな変化にも気づける専門職の視点が不可欠です。介護士よりも簡易な研修しか行わない独自サービス従事者は補完的な役割に留め、介護士によるサービス提供を基本とすることで重度化を防ぎ、介護の質を守るべきと考えますが、いかかでしょうか。
区が設定した介護保険料は、所得よる負担の不均衡が解消されず、第5段階の年所得80万円超では負担率8%前後となっていますが、これが年所得1000万円を超えると2%になり、5,000万円以上だと0.5%になるなど、所得が高い人ほど軽くなっています。2000万円以上の高額所得層の多段階化と負担率引き上げを合わせて行うこと、また30億円ある介護保険の基金も活かし、低中間所得層の負担軽減をはかるべきです。答弁を求めます。
特養ホームは要介護3以上に絞っても待機者が全国30万人以上にのぼり、深刻な状況があります。国民年金などの人が入居できる施設は特養ホームしかありません。区内特養ホームは31か所となりましたが、待機者は1,449人となっています。2025年度まで800人分増やす目標ですが、その時点で待機者数をどの程度見込んでいるのでしょうか。1400人超の待機者が一人でも早く入ることが出来るよう、目標を前倒しで実現するよう求めます。2点、お答えください。
介護の人材確保も課題となっています。処遇改善がはかられていますが、未だ不十分で、区としても対策が必要だと考えます。保育施策に保育従事職員宿舎借上げ支援事業補助制度がありますが、介護にもこうした制度を導入し、育成・定着をはかってはいかがでしょうか。同時に、根本対策として介護報酬の抜本的な増額・底上げを行なうとともに、保険料等に影響しないよう国庫負担割合の引き上げをはかることを国に求めるべきです。2点、答弁を求めます。
【中田高齢施策担当部長】
私から介護保険についてお答えします。
介護保険制度は、創設から19年がたち、約1万人であった要介護認定者数は、現在、3万3千人を超え、高齢者の生活を支える基幹的な制度となっています。
この間、国は、高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、24時間対応の在宅サービスの創設や地域包括支援センターの機能強化など、地域包括ケアシステムの構築に向けサービスの充実を図っています。制度が後退しているとのご指摘は当たりません。
次に、制度改正についてです。
要介護1・2の方に対する訪問介護・通所介護サービスの地域支援授業への移行については、区は、全国市長会を通じて、国に対し、拙速な検討は避け、慎重を期することを要望しています。
高齢化が急速に進む中で、介護保険は、サービスの質を確保しつつ、持続可能な制度としなければなりません。サービスの給付と負担の在り方など、制度全体を踏まえた検討が必要です。令和3年度の制度改正に向けた国の検討状況を注視し、具体的な案が示された段階でその影響を見極め対応していきます。国に対し、平成26年の介護保険法改正について元に戻す要望を行う考えはありません。
次に、介護予防・日常生活支援総合事業についてです。
総合事業における、区独自の訪問サービス従事者は、国のガイドラインに基づき、高齢者の加齢による心身の変化や認知症への対応など14時間の研修を受講し、掃除、洗濯、買い物などの家事援助を行っています。身体的な介護が必要な場合には、初任者研修修了者以上の専門職員がサービスを提供しており、介護の質は確保していると考えています。
次に、保険料についてです。
区は、これまでも、保険料の設定に当たって、低所得者や中間所得者の保険料の上昇を抑えるため、高所得者の保険料の多段階化や料率の引き上げを行うとともに、介護保険給付準備基金を活用してきました。低所得者の保険料については、令和元年度および2年度で更なる軽減を図っています。
令和3年度から始まる第8期の保険料においても、介護給付費の推計や制度改革の内容等を踏まえ、引き続き保険料の上昇抑制に努めていきます。
次に、特別養護老人ホームの整備についてです。
区は、これまで特別養護老人ホームを都内最多の31施設、定員2、215人分を整備しています。第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画では、令和7年度時点での待機者数を約1、900人と見込んでいます。高齢者基礎調査では、待機者のうち、すぐに入所したい方は約4割であることから、令和7年に向けて更に800人分を整備することとしました。現在、第7期計画の目標である300人を超える9施設663人分の整備を進めており、既に前倒しで整備を実施しています。
次に、介護人材についてです。
区は人材の確保について、練馬介護人材育成・研修センターと連携した面接会の開催や、区独自の研修受講料助成を行うほか、定着支援として、今年度新たに業務の効率化のため、介護事業者に対するICT機器等の導入支援を行うなど、様々な取組を行っています。昨年度実施した介護・障害福祉人材労働実態調査での離職率は12.1%と全国平均の16.2%を下回っており、取組が不十分との指摘は当たりません。今年度実施する高齢者基礎調査を通じて介護事業所のニーズを把握し、介護人材の確保・育成・定着支援の充実に取り組んでいきます。
国に対しては、特別区長会や全国市長会を通じ、介護従事者の処遇改善のほか、保険料負担を軽減するための財政措置や、国の負担割合を増やすよう既に要望をしています。私からは以上であります。
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次に学校給食について伺います。
現在、練馬区の学校給食費は小学校で年4万円から5万円、中学校で年6万円かかり、保護者負担の4割から5割を占めています。厚生労働省によれば、子どもの貧困率は、13.9%で7人に1人という深刻な状況にあります。
全日本教職員組合の調査や会議で「母子家庭で親が病気のために食事の用意ができず、まともな食事は給食だけ」「一日の食事が給食だけの生徒もいる」「長期休暇後に10キロも痩せてきた子」がいるなど、貧困と子どもの食をめぐっての話は後を絶ちません。
北区では、保護者の負担軽減を一歩でもすすめるための取り組みとして、来年10月から区立小中学校の学校給食費を第2子半額、第3子以降は無料にする、所得制限・年齢制限のない一部助成に踏み出します。「子どもが3、4人いる家庭にとっては、ある程度収入があったとしても大変なので助かる」と区民から歓迎の声が出されています。
学校給食は、健康の保持増進や食生活の食にかかわる自然の恩恵、人々の活動に支えられている事への理解を深めるなど学校給食法第2条に規定される7つの目標が達成されるように努めることが求められています。
2005年に成立した食育基本法では、子どもたちが豊かな人間性を育み、生きる力を身につけるためには、何よりも食が重要だとされ、文科省の食に関する指導の手引きにも、学校給食の一層の普及や献立内容の充実を促進するとともに、各教科等においても学校給食が生きた教材として更に活用されるよう取り組むとあります。
まさに学校給食は義務教育の一環として実施されており、憲法26条に則るなら無償であるべきです。
区は、学校給食法第11条2項の規定や最高裁判例に照らして現行制度は妥当なものと答弁していますが、1951年の国会答弁では、義務教育の無償化といったときに、教科書、学用品そして学校給食費もふくめて無償化するのが理想と政府は答えています。また、1947年の事務次官通達では、学校給食法で保護者負担とされている食材費を自治体等が全額補助することを否定していません。憲法が定める「義務教育は無償」を完全に実施するため、国の責任で給食費を無償にするべきです。
また、厚生労働省が今年6月に発表した人口動態統計によると、2018年に生まれた子どもの数は、91万8397人で過去最低を更新し、3年連続で100万人を割りこみました。1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.42と3年連続の低下で、子育てが困難な日本の深刻な姿が浮き彫りとなり、その対策の強化が求められています。埼玉県滑川町では、「滑川町の子育てを全国一に」という強い決意のもと、一般会計予算約58憶円の1.6%を使い、滑川町に住所を有する園児・児童生徒全員を対象に給食費を無償化しています。その結果、出生率は1.29%から1.82%と大きく向上しました。
わが会派が昨年、学校給食費の一部、月額一人1,000円を助成する条例提案を行った際、財源が不透明、所得制限が無く給付のバラマキになるという意見が出され、否決されました。しかし、与党からも学校給食を無償化すること自体、すべて反対ではないという声が聞かれました。無償化であればより議会での合意も得やすいのではないでしょうか。
練馬区は学校給食費無償化をやらない理由として、子ども医療費無償化など子ども施策の充実をはかっていることを上げています。しかしこの間、練馬区でも出生率が1.16%と上がっていないことからも、さらなる子ども施策の充実が求められています。
練馬区よりはるかに財政規模が小さい滑川町で、「平等・公平」にすべての子どもを対象にして、学校給食費を無償化していることこそ学ぶべきであり、その立場で、国へ学校給食費を無償化するよう求めるべきです。また国が実施するまでは北区や滑川町の例を参考に区としても無償化を実施すべきです。2点お答えください。
【木村教育振興部長】
私から学校給食費についてお答えいたします。
給食費については、学校給食法第11条2項の規定により、食材料費のみ保護者にご負担いただいております。こうした現行制度は、最高裁判所の判例に照らしても、義務教育無償の原則に反するものではなく、妥当なものと考えております。また、所得の低い世帯に対しましては、生活保護や就学援助制度により給食費相当分を補助しています。
教育委員会といたしましては、現行制度を変更する考えはなく、国に対し無償化を求めることも考えておりません。私からは以上であります。
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次に、西武新宿線の立体化についてお聞きします。
新宿線の立体化については、今年2月に素案が発表され、今年度中には案を取りまとめるとの見通しで進められています。区としては、鉄道付属街路の計画地域にお住いの住民へ個別に訪問し、計画の説明を行い、その後も説明会やオープンハウス等を通じて、計画を説明し周知すると、私どもの質問に答えてきました。
区議会にも関連の陳情が複数寄せられていますが、関係する地域の人たちの声を聴くと、「本当にそんな計画があるのか」と計画そのものを知らない方もいました。武蔵関駅前のまちづくりについても、本立寺脇の小径が16mの道路に変わろうとしていることについて、その必要性やまちの分断を懸念する声とともに、行政が勝手に進めようとしているという声や上石神井の車両庫の東側、線路の南側の住宅まで、高架化によって立ち退きが求められていることについて、現在ある車両庫の範囲内で納めることは十分できるのではないかなどの声が地下化を求める声とともに多く出されています。区はこうした声をどのように集約し、どのように合意を図っていこうと考えているのか、お聞きします。お答えください。
また、高架化によって影響を受ける沿線には、都市計画道路などとは違いマンションなど固い建物もあります。特に5年前に建てられたばかりの敷地面積9,423㎡、142世帯が住むマンションの一部が本計画の側道に干渉する予定となっています。このマンションは東西南北の4棟からなっており、計画が実施されれば南棟の45世帯と西棟の23世帯が直接関わることになります。
さらにマンション縮小に伴う駐車場、駐輪場などのインフラ縮小の費用負担、残された住民の管理費は現行の2倍になるなど、立ち退きを迫られる住民だけにとどまらず、142世帯全体に影響する問題です。区はこれまでにも似たようなケースを解決したことがあると言っていますが、所有者全員の合意を具体的にどのように取り、どのような再建策があるのか、お示しください。答弁を求めます。
このような現場の実態や地下化を求める声が多いことなどを考えれば、高架方式で進めることが本当に最適な方法なのか、疑問を持たざるを得ません。
東京都の資料では、地下化の場合、高架化よりも760億円費用負担が多いとされており、そのことが高架化を選んだ大きな要因ともなっているようです。しかし、これまでの検討過程のあり方をみるとずさんだと思える点がいくつもあります。
例えば、地下化の検討にあたっては単線シールドでの検討しかされていません。横浜市、相模鉄道鶴ヶ峰では地下方式として複線シールドが採用され、この場合の事業費は半分で済むという試算があります。さらに中央環状品川線大井地区トンネル工事においては、最新のユーラップ工法が採用されており、従来のシールド工法と比べ入口の開削工事が必要ないため、工期が3分の1に短縮でき、工事費は35%、CO2排出量は57%も低減できるとされています。
高架方式によって立ち退きを迫られ反対する住民といつまでも決着がつかないなど、工期が伸び、工事費がかさむことを想定すれば、こうした新たな工法を活用し、地下化を含めた検討をすることの方がむしろ立体化を早く実現することになるのではないかと考えますが、いかかでしょうか。
区としては、こうした住民から出されている提案をどのように受けとめているのか。また、こうした提案の実現性、もしできないのであれば、その理由をお答えください。
【前川区長】
練馬区は、道路や鉄道などのインフラ整備が著しく遅れています。立ち遅れた都市インフラの整備を着実に進め、成熟都市にふさわしい、より質の高い都市空間を創出していかなければなりません。
都市インフラの整備には、都の協力が不可欠です。本年10月、都庁で、小池都知事と区政の課題について、意見交換を行いました。
私から、少子高齢化への対応や施設の更新など23区共通の課題の触れたうえで、練馬区特有の課題である「都市計画道路の整備」、「西武新宿線の連続立体交差化」を、都として積極的に進めるようお話ししました。
知事からは、「都市計画道路事業および西武新宿線連続立体交差事業は着実に推進していく」と、回答を頂きました。早期着手に向けて、更に前進したと考えています。
地域の皆様の願いに応えるため、今後とも都と連携しながら、都市計画道路の整備および西武新宿線の立体交差化に、全力で取り組んでまいります。
【宮下技監】
私から、西武新宿線の連続立体交差化についてお答えします。
本年2月、都市計画素案説明会を開催し、鉄道の構造形式の比較検討結果を含め、立体化計画について、事業者である東京都から説明いたしました。区では、これに引き続き、鉄道付属街路や補助230号線等の計画区域にお住まいの方々への個別訪問やオープンハウスの開催を行っています。寄せられた様々なご質問やご意見に対し、わかりやすく丁寧に説明し、ご理解をいただけるよう努めています。
事業の実施により移転などが必要となる方には、事業認可取得後、移転や建替えなどに必要な補償を行っていきます。マンションの再建方法は複数あり、権利者の皆様のお考えにより異なるものです。事業の進捗にあわせて、管理組合や所有者など個々の方々と協議し、ご理解とご協力を得ながら進めていきます。
地下方式における単線並列シールド工法は、複線シールド工法に比べシールド断面が小さく、石神井川や水道幹線など支障物があり狭い空間を通過する本区間に適しており、立体化の構造形式については、本工法による地下方式と高架方式の比較検討を行っています。複線シールド工法については、一般的にトンネルの位置がより深くなり、駅部などの開削部では土砂の掘削量が増えるため経費が増加します。また、駅が深くなるため、地上部からホームまでの距離が長くなり、利便性に欠けることとなります。
ユーラップ工法は、立杭を必要とせず、シールドマシンが地表面から発進し、再び地表面に到達することを特徴とする、特定の企業による特殊な施工方法です。鉄道の既設線を地下化する場合には、この工法を用いても、現在の路線の移設が必要となり、ユーラップ工法の特徴は活かせず、効果的ではないと認識しています。
鉄道の構造形式は、標準的な工法で比較検討し、総合的に判断して選定するものであり、計画の策定段階では特殊な工法を用いて検討するものではありません。
都などと連携し、今後実施する都市計画案説明会等において、改めて鉄道立体化の必要性、構造形式の選定や事業のスケジュール等を説明し、地域の皆様に計画内容や事業実施についてご理解いただけるよう努めてまいります。
なお、「マンション管理費が2倍になる」、「複数シールドの採用により事業費が半分で済む」など、根拠のない不確かな数字を発言なさることは大変遺憾であります。私からは以上であります。
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次にヘイトスピーチについて伺います。
この間、ヘイトスピーチを防止する具体的な対策を区に求めてきました。これに対し区は、資料の収集・整理を行っていると述べ、差別的言動の解消に向けては差別落書きへの対応など適切な対応を行っていくとしています。こうした中で、今年5月練馬で行われた宣伝が都の人権条例に基づく審査会で初めてヘイトスピーチと認定されました。
区は、以前にも差別落書きについて区報に掲載し、区民への周知を図っていますが、今回の事例も区としてヘイトスピーチを許さない姿勢を区民に示すべきではありませんか。
また今年度中の策定を目指している男女共同参画計画の中にヘイトスピーチをどのように取り上げようと考えているのかお答えください。
以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【堀総務部長】
次に、ヘイトスピーチについてです。
東京都が本年5月に本区内で行われた街頭宣伝活動および台東区で行われたデモ行進の際の表現活動を、いわゆるヘイトスピーチとして認定したことは承知しています。区では、国籍、民族等を理由として地域社会から排除することを扇動するヘイトスピーチは、決して許されない差別行為であると認識しています。区内で発生している差別落書きを含め、こうした行為の解消に向けた対応や周知・啓発は重要であると考えています。
区は、これまでも憲法記念日に区報を活用し、ヘイトスピーチ解消法等の周知や、ホームページに法務省と連携してヘイトスピーチに焦点を当てた啓発記事を掲載するなど、差別解消に向けた取組を行ってきました。
現在、策定中の「第5次男女共同参画計画(素案)」にもヘイトスピーチの解消を「人権尊重と男女平等推進」の施策の中に位置付けています。今後も差別的言動の根絶に向けた取組を進めてまいります。