私は、日本共産党練馬区議団を代表して議案第42号練馬区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例及び、議案第51号練馬区立幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例の2議案に反対の立場から討論を行います。
本議案は、いわゆる「働き方改革」一括法の改定により、超過勤務命令の上限時間等を定めるなど、所要の改正を行うものです。
そもそも、この法律は、その「出発点」となった労働時間データに改ざん・ねつ造が発覚し、再集計したデータでも、「三六協定」で残業の上限を年間1000時間と定めた事業者で、実際にはそれを超えて働かせている事業所の割合が、3.9%から48.5%に激増したなど、そもそも立法事実が崩壊しており、法案当時に撤回し、正しい実態調査に基づいてやり直すべき法律でした。
労働基準法では、自治体職員に対して週40時間以上、1日に8時間以上働かせてはいけないことが大原則ですが、「三六協定」職場以外の時間外労働は、労基法で災害その他避けることができない事由によって臨時の必要がある場合と、公務のために臨時の必要性がある場合の2つに限られていました。
ところが罰則がないなど実効性はなく、今でも臨時という名目で実は通常業務を青天井で働かされる現状があります。こうした中で、全国的に見ると地方公務員の職場でも2000年以降の15年間を見れば、「脳・心臓疾患等」の労災が119人認定されており、精神疾患等の死亡も合わせれば192人が過労死、過労自殺に追い込まれているのです。
その具体的な中身を見てみると、当時52歳の男性職員が自殺により亡くなりましたが、その1か月前の時間外労働は月114時間を上回っていました。
また、当時28歳の女性職員は、大量の睡眠薬を服用し、亡くなっていますが、その2か月前の時間外労働は約101時間にのぼっていたということです。さらに、当時25歳の職員が42日間の連続勤務や月平均120時間を超える時間外労働でうつ病を発症し、自殺に追い込まれています。
こうした中で、過労死・過労自殺を生まない働き方をどう実現するのかが、いま大きく問われているのではないでしょうか。
ところが、今度の議案は、超過勤務命令の上限時間を原則月45時間以下、年間360時間以下に定めてはいるものの、同時に、他律的業務という例外を新たに設け、その業務に指定された部署は、最大で月100時間未満、年間720時間の時間外労働にお墨付きを与えるものとなっています。
年間720時間の残業と言えば、休日を除き、均せば1日11時間働かせてもよいという中身です。
また月100時間未満と言いますが、これは過労死に労災認定されるレベルです。そしてさらに、事後に長時間勤務になった要因を整理し、分析、検証が必要など対策を取るとなっているとは言え、その時間外勤務の上限を超えても特例業務として認めるなど仕組み上は、青天井で時間外勤務をさせることが可能な仕組みとなっているのです。
これでは、「働き方改革」との名に値しないではありませんか。いくら忙しい時期や部署だからといっても過労死の危険を冒してまで働かせることを合法化することなどあってはならないことです。
練馬区としては、大規模災害への対応を除けば、全ての職場で、月45時間以下、年間360時間以下の時間外勤務となるよう必要な職員は大幅に増やすべきことを申し上げ、日本共産党練馬区議団を代表しての反対討論といたします。