【有馬豊区議】
初めに、区長の基本姿勢として、次期ビジョン・アクションプランについてお聴きします。
区は2018年に策定したグランドデザイン構想の実現に向けた総合計画として、第2次ビジョン素案を発表しました。
戦略計画には、中三勉強会の拡充、特養ホームの増設、障害者や高齢者の住宅確保支援、ケースワーカーの増員、健診環境の拡充、みどりバスの改善など確かに区民の切実な要求も掲げられ、評価できる点も数多く含まれています。そうした点は評価し、問題だと考える次の4点についてお聞きします。
第1は、こうした前進面と引き換えに区民へ負担を強いるものとなっていることです。特に区政改革計画では、財政難を理由に公共施設の統廃合や委託化を押し付けています。この間も出張所が廃止され、保育園の委託化も進めるなど区民に負担や不便が強いられています。何かの施策を前進させるために別の予算を削らなければならないという二者択一を区民に強いるやり方はやめるべきで、本当に将来、財政が困難であるというのであれば、大型道路などの不要不急の事業を後回しにすることこそ考えるべきです。
第2に、こうした選択を区民に強いる一方で基金に多額の予算を積立てていることです。すでに一般会計だけで900億円近くの基金が積み上がっており、一般会計全体の3割を超えています。しかし、自治体の予算は本来単年度主義であるべきで、ここまでの基金を積み上げていく必要があるのか、むしろ国は多額の基金を根拠に、不合理な税制改正等により23区から予算を吸い上げる口実にしているではありませんか。
第3に、この計画が少子化を前提としていることです。確かに少子化は大きな課題ですが、この状況をどう打開してくのかという姿勢にこそ立つべきではないでしょうか。ところがアクションプランの中では、将来は確実に区の児童人口は減少していくとの見通しで、それに合わせ教育・保育施策を検討しています。これでは少子化を抜本的に解決していくことにならないではありませんか。
第4は、都市計画道路などの開発は聖域化していることです。区は何でも担う行政運営はもはや幻想で、あれもこれもではなく、あれかこれかを選択する必要があるとしています。しかし、都市計画道路だけは、この間の検証ですべての路線が認定され、今後5年間で整備率7割を目指し、事業着手していくとしています。道路については、まさにあれもこれもではありませんか。財政難を理由に公共施設を縮小しようとする一方、なぜ都市計画道路だけは聖域なのでしょうか。以上4点について答弁を求めます。
こうした問題点は、国の方向と一致しています。実際、国は、公共施設等総合管理計画を策定させ、その削減を自治体に迫っています。さらに自治体の役割を大幅に削減し、公が担えない所は、企業、NPO、地縁組織に担わせようとしています。まさに区長のビジョンは国の方針通りではありませんか。
こうした国の方針には、くみせず、憲法と地方自治法の観点から、「住民福祉の増進」という本来の役割を発揮し、本当に苦しむ区民のくらしを応援する施策を充実させ、区民を守る立場に立つべきです。答弁を求めます。
【前川区長】
お答えいたします。「第二次みどりの風吹くまちビジョン」についてです。
ご質問の冒頭、区民の切実な要求に応えた事業が数多く含まれていると、第二次ビジョンを高く評価して頂きました。もちろん、嬉しく思ったのではありますが、いささか戸惑ってもいます。
社会のあり様が大きく変化するなか、基礎的自治体として練馬区はどうあるべきか。「第二次ビジョン」は、こうした根本的な問題意識に立っています。これまで四年間、取り組んできた施策の方向性を継承しつつ、新たな課題の解決に向けた取組みを追加いたしました。
区民福祉を向上させ、誰もが安心して心豊かに暮らすことの出来るまちをつくるため、時代を先取りした新しい施策を立案・実行し、区自ら身を切る行政改革を断行し、区民参加を「参加から協働へ」と更に前に進めなければならない。それが私の使命だと考えています。
私からは以上です。そのほかの質問につきましては、技監および関係部長が答弁いたします。
【渡邉区政改革担当部長】
私から、第二次ビジョンについてお答えいたします。まず、事業の見直しについてです。
取り巻く情勢がいかに厳しくても、区には区民サービスの向上と持続可能な行政運営を実現する責務があります。そのために事業の必要性や効果を常に検証し、見直しを行うことはしごく当然です。必要な見直しを行わず、「あれもこれも」と取り組むことは、区としての責務を放棄するものに等しいと考えます。
次に、道路整備についてです。
都市計画道路は、ネットワークを形成するとともに災害時には区民の財産を守る最も基本的な都市インフラです。また、豊かなみどりを楽しめる歩道など、質の高い都市空間を創出します。整備が著しく遅れている練馬区においては、積極的な道路整備が不可欠です。都内の都市計画道路は、概ね10年ごとに必要性の検証を行っており、第四次事業化計画でも必要性を確認しています。「不要不急な事業」「聖域化」という認識はありません。
繰り返し申し上げておりますが、平成31年度予算、総額2、713億の69%は、子ども、高齢者、福祉・医療関連経費です。その割合は昨年度よりも更に増加しています。一方で、道路整備の経費は残念ながら全体のわずか1%です。また、財源も、都市計画交付金や財調交付金により措置されており、道路事業費が区の財政を圧迫するとのご指摘は当たりません。
次に、少子化についてです。
少子化対策は、安心して子どもを産み育てられる環境が整備され、子育てのかたちを選択できる社会の実現をめざすものでなければなりません。当面、保育需要の増加が見込まれます。保育所の整備や練馬こども園の充実など、保育サービスを拡充してまいります。
一方で、区の児童人口は将来、確実に減少していきます。社会が大きく変わっていく中で、これからの教育・保育サービスはどうあるべきか、長期的な視点に立った検討を行ってまいります。
次に、基金についてです。
特別区は、大幅な減収により財源が不足しても、他の自治体のように赤字を補てんする起債の発行はできません。
また、大規模な経済危機や、首都直下型地震等への対応は、自らの責任で備えておく必要があり、ご質問にあった「単年度主義」ではなく、長期的な視点で財政を考える必要があります。
リーマンショックの際、区では、400億円以上の一般財源が減少するなど、厳しい財政状況を経験しました。また、区立施設を適切に維持管理していくための経費は、今後30年間で3800億円と推計しています。基金を積み増すことは、持続可能な財政運営を行う上で不可欠です。
今申し上げたことは、これまでも再三申し上げたことです。是非とも、建設的な議論をお願いいたします。私からは以上です。
【有馬豊区議】
次に、地域医療について伺います。
練馬区はこの間、人口が73万人を突破するもとで病床の確保を進めてきました。現在順天堂や光が丘の各病院では増改築に伴う増床、高野台の新病院などが計画されています。これらが全て実現しても一般・療養病床は約2500床、人口10万人当たり340床程度であり、23区平均の半分まであと400床になります。
第1に、今後の方向性についてですが、3月に行われる病床配分では、配分数475床に対し練馬区は回復期等225床申請していますが、他区も302床申請しており、どこまで獲得できるか不明です。現状の病床規制のもとでの取り組みは評価しますが、現在の二次医療圏のもとでは壁にぶつからざるを得ません。
昨年5月、医療施策の方向性に関する提言がまとめられました。提言では「区独自の取り組みを進めるとともに、国や都に対して、地域の実情に即した・・対応を求めていくべき」としています。病院の多い板橋区と少ない練馬区など二次医療圏はもともと歪な形で始まったものであり、区の地域医療にとって重大な障壁となっています。区は回復期等の自治体ごとの配分を求めていますが、同時に医療圏の見直しなしに、病床不足の抜本的打開はできないのではないですか。また、練馬区を単独の医療圏にすることを目指し、都に働きかけるべきです。2点答弁を求めます。
第2は、急性期病床と救急医療についてです。提言では、回復期を優先的に整備すると言う一方、急性期病床は、増床が困難であり区内外の医療機関と連携を密にするとしています。昨年開かれた地域医療調整会議では区内の病院関係者が、患者が区外に流出していること、急性期が非常に足らない旨の発言をしています。困難とあきらめ増床の可能性を探らないで、区民の命を守ることが出来るでしょうか。区は地域医療計画を策定し、大泉周辺に500床程度の急性期等を担う新病院の整備、計画では2022年に建設着手としています。困難はありますが、計画実現へ力をつくすべきです。答弁を求めます。
また、島村記念病院が一昨年3月に救急告示を撤回しています。夜間の看護体制の不足が原因ですが、区の支援で再開できないのか。さらに、3次救急は都心部に多く、練馬、杉並など23区西端は空白となっており、提言では3次救急レベルの医療が必要だとし、対象として順天堂病院が上げられています。
順天堂は高度な機能を持ち、3次救急の指定に意欲を持っています。3次救急実施のためには、周辺地区計画の変更や、専用の建物、手術室などの医療、スタッフが必要など、課題があるとのことですが、区として順天堂の努力に応え、支援すべきです。具体的な手立ても含めてお答えください。
第3は、小児救急です。現在小児科を標榜している6病院のうち、二次救急の2病院は別として、初期救急で小児科医が対応する病院はわずか1ヶ所、その他は必ずしも小児科医の対応ではありません。
この現状から、
①小児科専門の診察が出来る病院や診療所を増やすための取りくみの推進
②全ての救急告示病院での初期小児救急と準夜間の対応の援助
③こどもクリニックを区の西北部に増設すること
の以上3点について答弁を求めます。
また、光が丘病院の小児科は、日大の頃は常勤医が19人、外来が1日平均100人以上ありましたが、現在は常勤医9人、外来は1日平均63人など、明らかに日大と同等とは言えない状況です。区の責任で体制強化を支援、推進することを求めます。お答えください。
第4は周産期医療についてです。今後、NICUが順天堂で6床整備され、光が丘も改築に合わせ整備も検討されています。区内の年間出生数ではNICUが18床は必要で、周産期に対し特別の努力を注ぎ、計画的に増床する必要があります。ご答弁下さい。
第5は、災害医療についてです。私たちのアンケートでは災害医療の充実が医療関連で1位でした。現在、区には2つの災害拠点病院をはじめ、22の災害時医療機関があります。
多摩直下地震では負傷者5,389人、うち重傷者585人と想定されていますが、区の災害拠点病院数は、想定重症患者1,000人あたりで東京都や医療圏の約半数です。加えて病院には平時からの入院患者もあり、拠点病院2か所では対応が困難です。災害時は帝京大病院が受け入れ調整を行うとしても、交通網が分断されるなど、より大きな医療空白・孤立地域が生じかねません。深刻な事態を防ぐために、災害拠点機能を備えた病院新設と、従来の医療機関の拠点化をすすめ、少なくとも区内6か所以上にすることが必要です。そのため5か年計画を策定し、推進することを求めます。お答えください。
【森田地域医療担当部長】
私から地域医療についてお答えいたします。
初めに、医療圏についてです。区は区議会と一体となって、医療機関ごとの圏域設定および回復期・慢性期について基礎的自治体ごとの圏域設定を東京都に求めましたが、圏域の見直しは行われませんでした。二次保健医療圏は、入院医療の確保を図るための区域として、地理的条件や交通事情等を考慮して設定されるものとされています。すべての医療機能について練馬区単独の医療圏を設定することは、高度医療を提供する医療機関が集中した東京都の実態にそぐわないものと考えます。しかし、練馬区の入院患者のうち半数は、異なる医療圏の病院に入院しており、受療実態と圏域の設定が乖離しています。区の病床確保のためには、医療機能に応じた医療圏の見直しだけでなく、医療圏内の病床偏在の是正に配慮した病床配分が必要です。引き続き機会を捉え、都に働きかけてまいります。
次に、新病院の整備についてです。地域医療計画を見直すべきとの医療施策検討委員会の提言を踏まえ、第2次みどりの風吹くまちビジョン(素案)において、区の将来に向けた医療施策の方向性と具体的取組をお示ししたところです。第2次ビジョンに基づき、区内の病院配置を考慮しながら、今後の医療需要等を見据えた医療機能を有する病院の誘致を目指します。
区内医療機関等の看護師確保支援については、年2回、医師会や東京都ナースプラザとともに看護職員フェアを開催し、島村記念病院も含めて看護師確保の機会を提供しています。
順天堂練馬病院における三次救急医療体制の整備にあたっては、更なる増築が必要ですが、現在の敷地および建築規制のもとでは困難な状況です。こうした課題を解決し、三次救急医療機関の設置が実現できるよう、関係機関との協議を進めてまいります。
次に、小児医療、小児救急についてです。小児科医師の不足が全国的な課題となっているなか、小児救急を担う人材を確保するため、東京都が開業医を対象に小児医療研修を実施しています。区独自で小児科専門医療機関を増やすことは考えていません。
小児の初期救急医療を確保するため、区では、練馬区医師会による夜間救急こどもクリニックおよび休日救急診療所の開設のほか、順天堂練馬病院、練馬光が丘病院、島村記念病院に小児初期救急事業を委託しています。これらの事業でも小児科医に確保が課題となっており、石神井休日急患診療所には小児科医を必置することが出来ない状況です。小児初期救急等の拡大や夜間救急こどもクリニックの増設は、現状では困難です。
練馬光が丘病院では、平成24年の開院依頼、小児の外来患者数は増加し続けています。また、小児救急については、区内の医療機関で最も多くの患者を受け入れています。今後、改築基本構想に基づき、医療や福祉サービスが必要な小児の療養支援など小児医療の充実に取り組んでまいります。
次に、周産期医療についてです。練馬区の年間出生数約6千人に対して必要とされるNCIUは約18床ですが、区内の医療機関での分娩は約3割であり、NCIUだけを整備しても意味がありません。練馬光が丘病院の移転改築において、ミドルリスクの妊産婦への対応などを含めた周産期医療の充実に取り組んでいます。
次に、災害拠点病院を新設することは、ICU等の診療設備や多数の患者に対応できるスペース、自家発電設備や燃料、食料の備蓄など厳しい基準があり、6か所以上にするのは非現実的です。第2次ビジョンに基づき、災害拠点病院である順天堂練馬病院、練馬光が丘病院の機能や設備を充実するとともに、四師会や区内医療機関等の関係者の連携による災害医療体制の強化に取り組んでまいります。私からは以上です。
【有馬豊区議】
次に保育についてお聴きします。
この間、区は区民の声に応えて認可保育園を中心に増設を行い、待機児解消を図るため、5年で5000人以上の定員を拡大したとしています。それでも待機児は解消せず、昨年4月時点でも978名の子どもたちが保育所に入ることができていません。
区は、今後の待機児解消策としてアクションプランでは保育所等の整備と保育事業者への年齢別定員変更の働きかけとともに練馬こども園の充実を施策の柱に位置付けました。そして、保育ママとの連携を強化し、練馬こども園につなげるモデル事業まで始めるとしています。しかし、これで本当に待機児を解消できるのでしょうか。
この間、私たちが行ったアンケートでは、練馬こども園に子どもを通わせている親たちからの声が寄せられています。そこでは「練馬こども園は幼稚園なので、親の負担が保育園より重く、係を必ず何かやらなくてはならない。プール当番で有給を使ったり、お弁当を作るなど」毎日子どもを預けて、働く親にとっては、負担が大きいという声です。また、制服購入など費用面の新たな負担についても複数の方から意見があります。
無償化で3~5歳の幼稚園と認可保育園は無償とされますが、預かり保育は補助額の上限が月額11300円とされており、もし練馬こども園で同じ時間利用すると保育園よりも負担が重くなる可能性があります。
このように時間的、経済的に厳しく、保護者に負担を強いる練馬こども園は待機児解消策としては無理があるのではないでしょうか。区の認識を伺います。
さらにアクションプランでは、練馬こども園を拡大させていくために時間を短縮した新たな仕組みを設けるとしています。その中身は小規模な幼稚園では、通年で11時間保育を行う人的体制が取れないことから、保育時間を9時間に引下げるというものです。しかし、保育所の基本保育時間は11時間となっており、これを下回る保育時間で保育所の受け皿としての役割を果たすことができるでしょうか。
この間、区が行った幼児教育・保育の無償化による影響調査では、教育・保育事業を利用する理由として、「現在就労している」が67.3%と最も多く、その場合、最も多く利用されているのが認可保育所で7割以上、こども園を含む預かり保育では逆に1割以下となっています。一方、育児休業中に利用したい・したかった保育事業の1位は延長保育のある認可保育園で42%。こども園を含む預かり保育は4位で13.1%となっています。働く人たちの多くが、練馬こども園ではなく認可保育園を求めているのです。区の認識を伺います。
今回、既存施設の定員増も含め、保育園の整備で721名の定員拡大をおこなったことは大きな前進です。一方で区は、今後、児童人口は減少していくとしており、多様なサービスの選択や持続可能なサービスを口実に練馬こども園に軸足を置いた待機児対策を図ろうとしているのではないのか。そうしたやり方ではなく、認可保育園の増設を中心とした待機児対策を充実させる施策をビジョンに盛り込み、本気で少子化を食い止める施策を充実させるべきです。また、この間、区長が繰り返し述べてきた、育児休業などの労働対策や児童手当などを含めた総合的な政策の強化を国に要求すべきです。2点答弁を求めます。
【小暮こども家庭部長】
私から、保育所待機児童対策についてお答えいたします。
区は、増加を続ける保育ニーズに対応するため、練馬こども園を創設するとともに、待機児童ゼロ作戦を展開し、全国トップレベルの保育定員増を実現してきました。この5年間で5千人以上拡大し、既に供給が需要を千人以上、上回っています。本年4月に向けては、710人の計画を大きく上回る928人の定員を確保し、待機児童ゼロを達成する見込みです。
練馬こども園については、年々利用実績が増加しており、3歳児だけでも新たに312人を受け入れ、全体で951人が利用しています。練馬こども園は待機児童対策に大きく寄与しています。
また、保護者の就労形態が多様化し、短時間保育を希望するニーズも高まっています。練馬こども園に、預かり時間を短縮した新たな仕組みを設けるなど、増加し続ける保育ニーズに対応していきます。
次に、幼児教育・保育の無償化による影響調査についてです。調査結果では、3歳児の幼児教育に対する期待が最も高く、併せて延長保育のある保育所や練馬こども園に対する高い利用希望が伺えました。認可保育園のみが求められているといった認識は当たりません。無償化による保育需要の増加への対応を含め、保育所の整備や練馬こども園の充実など、様々な手法を活用し、保育サービスを拡充する必要があります。調査結果を正確に分析していただきたいと思います。
本来、子育ての支援は自治体の保育行政だけでなく、総合的な政策として、国が取り組むべきものです。ご指摘を受けるまでもなく、特別区長会を通じて、国への要望を行っています。今後、多様化する子育てサービスのニーズに応える施策を展開することで、子育てのかたちを選択できる社会を実現します。私からは以上です。
【有馬豊区議】
次に、教職員の長時間労働について伺います。
今、教職員の長時間労働は社会問題となり、その是正は、労働条件の改善として緊急であり、子どもの教育条件を改善する上で極めて大切な課題になっています。
この間、私どもが行ったアンケートでも「学校教育について改善、充実してほしいことは」の問いに、「教職員の多忙化の解消」が一番多い回答でした。私どもは区議会でも繰り返し、その是正を求めてきましたが、新ビジョンやアクションプランでは一言も触れられていません。区の対応が鋭く問われています。
一昨年、ついに政府も「教員の長時間勤務の早急な是正」を掲げましたが、その対策は肝心の教員増がないなど、極めて不十分です。なぜ教職員が長時間労働になったのか、どうやって打開するのか、しっかりと正面からとらえ学校を安心して働き続けられる場にするため国や自治体が必要な対策を図っていくことが求められています。
国の「教員勤務実態調査」によれば、教員は月曜から金曜まで毎日、平均12時間近く働き、休みのはずの土日も働いています。副校長はさらに過酷で、忙しすぎてコミュニケーションを取る時間もなく、ぎすぎすした雰囲気の職場も増える中、精神疾患による休職者が増え、過労死も後を絶たない状況です。練馬区でも実態調査をしましたが、同様の状況ではないでしょうか。
こうした中で、授業準備に時間が取れず、子どもたちの声や、いじめなど深刻なケースに対応するための、時間や心の余裕がなくなり、保護者と意思疎通を図る時間も十分に取れません。
私どもは、こうした異常な長時間労働が生じた根本的な原因は次の3つあると考えています。その1つは、国が教員の授業負担を増やしたことです。教員1人あたりの授業負担は長い間、1日4コマ、週24コマとされ、それを満たすことを目標に、定員配置がされてきました。ところが国は、2002年、2003年、2011年と繰り返し授業負担を増やすことを求め、教員をそれに応じて増やさないできたため、教員1人あたり小学校では5コマ、6コマの授業をすることになり、その中で授業準備や採点、各種打ち合わせや報告づくり、中学校では部活動指導も加わるなど長時間の残業が強いられるようになってしまっているのです。
2つには、学校の抱える課題が増大している中で、「教育改革」の名で業務が増大していることです。1990年前後から、不登校の増加、いじめ問題など学校が抱える問題が増え、貧困と格差が広がるもと、子育てへの不安や困難が深まり、保護者とのかかわりも複雑さを増しています。こうしたもとで、教職員の負担は増えざるを得ません。
しかも同時期に、全国学力テストや自治体独自の学力テスト、行政研修の増大、土曜授業、教員免許更新制、人事評価、学校評価など多くの施策が学校に押し付けられました。それらが積み重なり、教員の多忙化に拍車をかけました。
3つ目は、「残業代ゼロ」の法律が、長時間労働を野放しにした問題です。公立学校の教員は、法律で例外的に「残業代ゼロ」とされてきました。そのもと、どの先生が何時間残業したのか全く分からない状態が続き、長時間労働が野放しになりました。ところが国は、問題の根本にある教員定数や「残業代ゼロ」の見直しを行わず、むしろ問題を固定化するような対策で新たな矛盾が生じかねない状況をつくり出しています。区は、これら原因をどのように考え、対策を打ってこられたのでしょうか。お答えください。
以上の点を踏まえるならば、問題解決のため次のことが求められます。
第1は、教員の持ち時間数の上限を、1日4コマを目安に定め、小学校で週20コマ、中学校で週18コマを上限にし、教員定数を計画的に必要な人数を増やすことです。
第2は、国・自治体は、現場に負担を与えている教育施策を削減・中止すること。また、学校で、教職員の話し合いに基づき、不要不急の業務を出し合い削減・中止すること。さらに部活動の負担軽減を進めることです。
第3は、教職員は残業代制度が適用除外になっていますが、その誤りを明らかにし、法改正を行うよう国に求めること。また、今年、労働時間の把握が使用者の法律上の強い義務となります。労働時間の把握と健康管理の責任ある体制をとることです。
以上、その多くは国や都が責任を持って取り組むべき問題が中心ですが、現場の近くで実態をつかんでいる区が国に改善すべき点を明確に示し、強く求めるべきです。同時に区としてビジョンでも位置付け、タイムカードの設置による勤務時間の把握などできることは積極的に取り組むことを求めます。ご答弁願います。
【堀教育振興部長】
私から教員の長時間勤務についてお答えします。
長時間勤務の要因や解決策として挙げられた項目は、いずれも法律や制度上の課題であり、国が主体的に解決すべきものです。
例えば、教員の給与は、市町村立学校職員給与負担法により都道府県の負担と定められており、さらにその3分の1を国庫で負担することになっています。時間外勤務については、授業準備、児童生徒への生活指導、保護者対応など、教員業務のどこまでを正規業務と捉えるかの区分が困難であります。このため、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法においては、時間外勤務手当相当分を加味して、給与月額の4%を本給に上乗せし支給することとしております。
さらに、教員定数についても東京都の基準であることなど、財政上、制度上のいずれも、区独自に改善を図ることは困難であり、対策は限定的なものにならざるを得ません。
しかし、そうした中にあっても、これまで教育委員会として、可能な限り教員の負担軽減に努めてきました。教育委員会といたしましては、各種調査の抑制はもちろん、教員に対しては、校長・副校長を通じて、業務改善の推進と勤務時間縮減に向けた意識の向上を働きかけてまいりました。
さらに現在、教育委員会では、校長、副校長および教育委員会事務局管理職を構成員とする「働き方改革に関する検討委員会」を設置し、具体策に向けた協議を行っています。既に本年度から国の事業であるスクール・サポート・スタッフの配置を行うとともに、平成31年度から全国に先駆けて学校徴収金管理システムの運用を開始することとしたところであります。
教員の出退勤管理システムについては、導入している自治体の状況を検証しながら、有効な導入方法を検討してまいります。私からは以上です。
【有馬豊区議】
次に、まちづくりについて伺います。
第1は、外環本線トンネルの大泉ジャンクションからのシールドマシンの発進についてです。今年1月26日に国土交通省とネクスコ東日本、中日本は、大泉ジャンクションにおいてシールドマシンの発進式を挙行しました。
外環道についてはもとより、その整備費に1m1億円以上もかかる大型公共事業であり、1000兆円を超える借金を抱え、人口減少や少子高齢化などが進行し、社会保障の大幅な削減を国民には強いるもとで税金の使い方が逆立ちしていること、関係住民の合意が得られていないことなどを理由に私どもは強く反対してきました。
現在なお、青梅街道インターチェンジ周辺では、町会ぐるみで青梅インター設置に反対し、事業取り消しを求める訴訟も起こされています。その上、用地測量に伴う測量境界立ち合いの依頼に町会として拒否の通知まで出されている状況があるのに、発進式を挙行することはまさに住民を無視するものではないでしょうか。
今回の工事に対する説明会でも反対意見が数多く出されました。工事開始は時期尚早だと考えますが、区の認識を伺います。また、沿線全体の合意が図られるまでシールドマシンの停止を国に求めるべきです。合わせてご答弁ください。
第2は、千川通りから新青梅街道までの「外環の2」の事業認可についてです。
昨年12月25日、国交省は都に対して「外環の2」のこの地域を事業認可しました。もともと外環本線が高架方式だった頃、「外環の2」はその側道として計画されたものです。1000件を超える地権者の反対のなか事業は凍結され、本線を地下化することで地上には迷惑をかけないと事業が再開した経過があります。それを考えれば、地上につくる「外環の2」は本来廃止されるべきでした。
ところが外環本線事業が決まると、「外環の2」は残っていると、まさにだまし討ちのように地上部にも幅員22mの大型道路つくるというものです。青梅街道インターチェンジ周辺では先ほども申した通りの状況です。東京都や区は、交通ネットワークの構築とこの事業を進めようとしているのに、建設予定地を分断し、できるところから進めるようなあり方は、既成事実を積み上げ、住民同士の対立をあおるやり方です。区民との協働を標榜する区として、こうした進め方で本当に良いと考えているのか、少なくとも、区内の関係地権者の合意を図った上で認可すべきではなかったのか、区の考えをお聞きします。
第3は、西武新宿線の連続立体事業についてです。
私どもが知りえた情報では、井荻駅から柳沢駅までの新宿線と一部車両基地を仮線高架方式により、1500億円の予算で進める内容が素案として今年度中に公表されると伺いました。
一般的にこうした事業は、案の発表、都市計画決定、事業着手、事業完了までそれぞれどのくらい時間がかかるものなのか、今後の日程をお示しください。また仮線高架方式ということになれば、多くの周辺住民の立ち退きが余儀なくされます。その地域は都市計画道路などと違い計画線があるわけではありません。関係住民はこの計画をどの程度把握しているのか、2点お聞きします。
また、この間東京都では、地下化などを含め工事手法やかかる予算、メリット、デメリットなどを検討してきたと聞いていますが、本来そうしたことも含め区民と共有し、話し合いの中で決めていくべきですが、区の認識をお聞きします。
現在、上石神井駅周辺は、開かずの踏切や狭い駅前広場と周辺道路に大型バスも数多く通り、危険な状態です。その改善は多くの地域住民のみならず利用者全体の願いです。「外環の2」のように、反対住民を排除するような進め方は絶対にするべきではありません。また、いま武蔵関駅の北口の駅前広場予定地にマンション建設が持ち上がっていますが、新宿線の連続立体事業の動きも知らせ、取りやめるよう指導すべきです。2点答弁を求めます。
以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【宮下技監】
私から、東京外かく環状道路および西武新宿線の連続立体交差化などについてお答えします。
外環の整備については、計画段階から、地域の皆様と協議を重ねており、工事着手後においても、進捗に応じて適宜、説明会を開催するなど、丁寧に進められております。
外環は、首都圏全体のネットワークを形成する重要な道路であり、練馬区内においても、生活道路への車両の流入抑制など、交通環境の改善に大きな効果が期待されます。区は国等の事業者に対し、早期開通を求めており、シールドマシンの停止を申し入れる考えはありません。
外環の2は、区内の南北交通を担う重要な道路です。上石神井駅周辺においては、交通広場の整備とあわせて、駅周辺の交通課題を改善するために必要不可欠な道路であります。これまで。まちづくり協議会などの地域の方々と協議を重ね、今般の事業認可に至ったところです。都市計画道路の整備については、一定区間毎に進めるものであり、住民同士の対立をあおるものとのご指摘は全くあたりません。
連続立体交差事業については、他の事例では、都市計画決定の手続きを始めてから事業認可を受け、着手するまで概ね4年、着手から完了までは、10年から15年程度の期間を要しております。
西武新宿線の連続立体交差化については、促進協議会や、まちづくり協議会の活動を通じて地域住民への周知を行っており、多くの方から早期整備の要望が寄せられています。
今月には、広く地域の皆様に連続立体交差事業や関連する道路等についての計画内容を周知する、都市計画素案などの説明会を開催します。説明会では、連続立体交差事業の事業者である東京都が、選定した構造形式の素案と、その判断の材料となった地形的条件、計画的条件、事業的条件の比較検討結果を説明し、地域の皆様のご意見を伺っていくものと認識しています。
連続立体交差事業に併せて、武蔵関駅北口では、交通広場の整備を計画しています。交通広場予定地内において、マンションの建設を計画している事業者に対しては、既に交通広場の整備に支障のないよう、強く協力を要請しています。私からは以上です。