【米沢ちひろ区議】
日本共産党練馬区議団を代表して、一般質問を行います。
はじめに、区長の基本姿勢として、消費税10%への増税とその影響について見解をお聴きします。
先月、安倍政権は来年10月から予定通り消費税を10%へ上げると表明しました。 2014年4月に消費税を8%に増税して以降、消費が長期にわたって低迷し、家計消費が一世帯当たり約25万円も落ち込んでいます。 西日本豪雨など相次ぐ自然災害も景気低迷に深刻な影響を与えていますが、消費の冷え込みは深刻です。
消費税は所得の少ない人ほど負担の重い不公平税制であり、現在のような消費不況のもとで増税すべきでないのは明らかです。区長の見解を伺います。
消費税増税は社会保障のためと言ってきましたが、安倍政権はこの6年間で、年金、医療、介護、生活保護を5兆6,000億円も削減しています。 さらに、生活保護は今後最大5%もの切り下げで、財務省は今後、75歳以上の医療費を2割負担に、介護保険の利用料負担を1割から2割へ引き上げなどさらなる社会保障の改悪を審議会に示しています。
消費税の30年間の税収は372兆円にも上る一方で、法人税減税が291兆円、消費税収の8割が法人税減税の穴埋めで消えているのです。 区は社会保障費の伸びに対応するため消費税の増税は不可欠との認識ですが、社会保障のためという口実が完全に破たんしているのは明らかです。区の認識を伺います。
消費税増税は、企業の経営、事業活動へも深刻な影響を及ぼします。
東京商工リサーチでは、6割近くの企業が増税で「景気が悪くなる」と回答、全国商工団体連合会の2018年度上期営業動向調査では、流通・商業の54.5%が「売り上げが減る」、宿泊・飲食業の9.4%が「廃業を考えざるを得ない」と回答しています。 中小事業者ほど消費税を価格に転嫁することが困難で、取引先の求めに応じて値引かなければならないなど多くの事業者が納税のために身銭を切っている現状があります。
政府は増税に合わせ「軽減税率」を導入するとしていますが、8%と10%の複数税率になり混乱は必至です。また、複数税率に対応する専用のレジを準備する必要があり、その費用も深刻です。
さらに不安を強めているのが「インボイス」の導入です。 消費税は売り上げにかかった税額から仕入れにかかった税額を差し引いて納税する仕組みで、増税4年後の2023年10月からは仕入れにかかった税額を証明する「インボイス」が求められることになります。
しかし、年間売上1,000万円以下の免税業者は発行できないので、取引から排除される恐れがあり、中小事業者にとっては死活問題です。 そのため、増税に賛成の立場の日本商工会議所もインボイス導入には反対の声を上げています。
練馬区は区内事業者のほとんどが中小零細事業者であり、「複数税率」や「インボイス導入」が区内経済にどのような影響があると考えているのか、また、区としてインボイスの導入中止を求めるべきです。2点、お答えください。
国民生活が消費不況と貧困と格差の拡大で疲弊しているもとで、安倍政権の5年9か月で、大株主の保有する株式時価総額は約5倍、18兆円にふくらみ、大企業の純利益は2倍以上、内部留保は400兆円を超えています。 こうした大企業と富裕層にこそ応分の負担を求め、不公平な税の仕組みを改める税制改正に取り組むことで、消費税増税をしなくても子育てや教育、医療・介護・年金など社会保障財源は十分に賄えるとわが党は提案しています。
区長はこれまで国政課題に対し「注視」するだけで意見を言う立場にないとくり返してきましたが、消費税の増税は区民一人一人の生活にいっそう深刻な影響を与え、区内事業者の経営や事業継続そのものを圧迫する大問題です。
国に対して、来年10月の増税中止を強く求めることを明確に表明すべきです。お答えください。
【山内副区長】 消費税率の引き上げの趣旨は、今後も増加が見込まれる、年金、医療、介護および子育て支援など、「社会保障4経費」の財源確保にあります。来年予定されている2%の引き上げ分は、それらに加え、教育負担の軽減、子育て層の支援、介護人材の確保等、社会保障の一層の充実を図るために行われるものです。 来年10月から予定されている、幼児教育・保育無償化にもこの財源が充てられる予定になっております。
景気や人口構造の変化に左右されにくく、税収が安定していること、特定の層に負担が集中せず、国民全体で広く負担することができることから、社会保障の充実・安定を図るため、消費税による対応としたものです。
一方、低所得者の負担軽減に配慮する観点から、税率引き上げに当たっては軽減税率を適用するほか、経済への影響を最小限に抑えるために、中小事業者への支援策も検討されています。
区としては、今後ますます増加が見込まれる社会保障に対処するには財源確保が不可欠であり、消費税増税は必要かつやむを得ないものと認識しています。国に増税中止を求める考えはありません。私からは以上です。
【関口産業経済部長】 私から、消費税率引き上げに伴う、いわゆるインボイス制度についてお答えいたします。
国は、消費税の軽減税率導入に伴い、複数税率に対応するため仕入れ税額控除の方式として、インボイス制度を平成35年10月から採用することとしています。 この制度により、売り上げと品目ごとの消費税が一目瞭然となり、国に納める消費税が明確で、事業者間の税負担が公平となります。 原則として課税売り上げが一千万円以下の事業者は免税事業者となります。取引上の配慮から制度導入後も必要な条件を満たす免税事業者からの課税仕入れについても、控除できる経過措置が一定期間設けられています。また、複数税率に対応したレジの導入や受発注システムの改修に対する補助制度を設け、事業者への支援を行っています。
区といたしましては、引き続き、税務署、経済団体、練馬ビジネスサポートセンター等と連携し、補助制度の活用なども含め、軽減税率やインボイス制度の周知に取り組んでまいります。 従いまして、インボイス制度の導入の中止を国に求める考えはありません。私からは以上です。
【米沢ちひろ区議】 次に防災対策について伺います。
第1はブロック塀対策についてです。
区では大阪北部地震を受け、学校などのブロック塀の改善に着手しました。 今後、民有ブロック塀を調査し、安全確保策を検討するとしています。
この問題では国の補助に加え東京都が、学校や民間ブロック塀の撤去・新設等に補助すると発表しました。 都では、国産材を使った木塀の設置について助成を厚くしています。
しかし区の制度では、生け垣化以外使うことができません。 国や都の補助を最大限活用できるよう区としてブロック塀新設に対する補助制度をつくり、改善を促進するべきではないでしょうか。区の考えをお聞かせください。
また、民有ブロック塀のなかには建物に付随しない塀もありますが、こうした塀は建築基準法では指導できず、また国交省が避難道路沿いの建物の耐震診断でブロック塀を義務付けることにしたものの、ここでも対象外になってしまいます。 建築基準法を改正し、塀も建築物に加える必要があると考えますが、区の認識をお聞かせください。
第2に学校体育館へのエアコン設置についてです。
所信表明で、国や都の補助を活用して体育館への空調機設置の前倒しを表明されました。
都の補助は3年間で538棟、来年度からはリースの場合も支援予定です。3年間で区内の学校体育館すべてに設置できるのか、出来なければ都に補助期間の延長を求める必要もありますが、現時点での区の計画の見通しをお示しください。
第3に避難所の環境についてです。
発災時の避難所は主に学校の体育館です。 しかし体育館は生活の場所ではないため多くの問題点があります。 熊本地震では震災関連死が直接死の4倍になったことも重要な教訓です。災害だからと我慢させることなく、良好な生活環境を保障し、被災者の権利・尊厳を守ることは行政の義務と言えます。
日本と同様災害の多いイタリアでは発災後48時間以内に避難所へテント、ベッド、仮設トイレ等を提供しなければならないと法律に明記され、その結果、震災関連死が直接死を上回る事態はなくなりました。
国際赤十字が提唱している「スフィア基準」では、被災者の尊厳と人権を保障する観点から食料、衛生、居住空間等について最低基準を示しています。こうしたことから多くを学び取ることです。避難所の環境改善のため、以下数点求めます。
1点目は、良質な食事の確保です。
区や都で確保している食料はアルファ米やクラッカー等ですが、これでは十分な栄養補給はできません。 さまざまな支援による食料の確保はもちろんのこと、おにぎりやパン、カップラーメンばかりでない、栄養バランスの取れた温かい食事を被災者に提供することが健康維持の上で大切です。食堂スペースをつくることも求めます。
2点目はベッドの確保です。
床に雑魚寝しなくて済むよう、段ボール等の簡易ベッドが必要です。 区はベッドについても協定を結んでいるとのことですが、被災者に行き渡るよう確保に万全を期すべきです。 また西日本豪雨の際真備町の避難所ではプライバシー保護のため間仕切りカーテンが設置されました。こうしたことも計画に位置付け、発災時に迅速に提供できる対策を取るべきです。
3点目は、トイレです。
「スフィア基準」では20人に1つ、女性3:男性1の割合で必要とされています。
またトイレが不衛生だと、利用回数を減らそうと水分を控える人が生まれ、避難所にいながらエコノミー症候群を発症する可能性が高まります。 並ばない程度の数で、清潔さを保ち、女性に配慮したトイレの設置が出来るよう備えることです。以上3点について答弁を求めます。
日本は今、災害の頻度が増しています。台風による広範囲の水害が発生するなど、今日の災害は過去にない水準になっており、これまでの延長線上でない対策の強化が必要になっています。
練馬区地域防災計画では「自分たちのまちは自分たちで守る」など自助、共助が謳われています。
しかし区長のいう「攻めの防災」の中身が、ブロック塀対策など公助が基本のように、厚い公助があってこそ自助共助が生きるのではないでしょうか。 自治体の役割も重要ですが、イタリアでは国が「市民保護省」を設立し、自治体やボランティア任せの災害救援をやめ、国が直接関与する体制にしています。 日本でも国が前面に出る、公助を土台とした、自治体任せでない防災対策、加えて被災者の生活再建支援の強化が必要であり、国にそうした政策転換を求めるべきです。答弁を求めます。
【前川区長】 お答えいたします。災害対策についてです。
地域の災害に対するリスクは一様ではありません。地震や火災による被害が想定される老朽木造住宅が密集した地域や、浸水被害の危険性が高い地域など、地域特性に応じて、建築物の耐震化・不燃化、避難や救助に必要な道路の整備、河川改修など、災害の拡大リスクを抑えるハード面からの取組を積極的に進めなければなりません。
また、発災時には、区民一人ひとりが即時に行動をとれるよう、地域ごとにきめ細かく災害リスクを周知し、そのリスクに即した訓練に取り組む必要があります。 近く公表する、第二次みどりの風吹くまちビジョンの素案に、これらの取組を位置付け、引き続き、「攻めの防災」を推し進め、「災害に強く、逃げないですむまち」の確立に向け、地域防災力の向上に取り組んでまいります。
私からは以上です。その他の質問につきましては、副区長、技監、および関係部長から答弁いたします。
【唐澤危機管理室長】 まず、ブロック塀等への対応についてです。
区内全域の道路に面する全ての民有ブロック塀等の外観調査を開始しました。 本年度末までに調査結果を取りまとめ、建築基準法等の関連法令の規定、財産権と助成のあり方、他自治体の取組事例の検証など、様々な観点から、まずは危険なブロック塀の確実な除去を実現するための方策を検討してまいります。
次に、避難拠点についてです。 発災直後は多くの区民が避難拠点に集中するとともに物流も混乱することが見込まれます。 そのため、アルファ米やクラッカーなど備蓄可能な食料で応急的な食事の提供を行います。トイレについては学校の水洗トイレを使用することとしていますが、使用できない場合は備蓄している女性に配慮したパネルタイプの組立トイレや携帯用トイレで対応します。
過去の災害の経験から、発災後数日で流通機能は徐々に回復するとともに避難者も大幅に減少すると想定しています。 引き続き避難拠点で食事を提供する際は、練馬区地域防災計画や練馬区業務継続計画等に基づき、保健相談所の管理栄養士が中心となって栄養管理の巡回相談も行います。
避難拠点での長期生活が見込まれる場合には、避難者の生活の質の向上に努めることが必要です。そのため、食事スペースの確保にも適切に取り組んでまいります。事業者との災害協定に基づき段ボールベッドを確保するとともに、国や他自治体からの支援の他、必要に応じて物資を購入し、プライバシーの確保など避難拠点における生活の質の向上に取り組みます。
次に、災害に対する自治体の役割についてです。
区は、日頃から、消防署、消防団、警察署、自衛隊等と連携して災害対策に取り組んでいます。災害発生時には、これらの「公助」に加えて、自ら身を守る「自助」、地域で協力して災害に立ち向かう「共助」が重要です。
熊本、大阪、北海道いずれの災害でも、自衛隊を中心とした国のプッシュ型支援により災害の応急復旧が進められました。駐屯地がある練馬区としても、被災者の生活再建支援を強化するため、自衛隊との連携を深めてまいります。
【堀教育振興部長】 私から、教育に関するご質問にお答えします。 はじめに、学校体育館への空調機設置についてです。
今回発表された都の補助制度は、平成32年度までの3年間となっておりますが、3年間で都内の公立小中学校全体の体育館に空調機を完備することは難しいものと考えております。ご指摘を受けるまでもなく、他自治体と連携し、必要な要請を行ってまいります。
【米沢ちひろ区議】 次に、区立図書館の運営にかかわる行政の責任について質問します。
区は、区内12館のうち3館は中央館的役割を担わせるとして直営3館体制を維持し、9館に指定管理を導入してきました。 しかし、区は新たに石神井図書館と練馬図書館に指定管理制度を導入するとしています。
その理由として、区を取り巻く社会情勢が変化してきた中で、区民サービスの充実を図るうえで有効であるというものです。区の主張する社会情勢の変化とは何か、指定管理の導入によって、区民サービスの充実をどう図ることができるのか、2点お答えください。
直営3館体制の役割は、図書館法、教育基本法、社会教育法を踏まえ、長期的な区の方針を策定すること。それに基づき指定管理の指導・監督、12館すべての蔵書の管理、職員の育成、またそのための予算・決算の作成、契約、困難事例などへの対応やレファレンスを行うなど多岐にわたっています。
こうした役割を3館が共同して果たしてきました。
光が丘図書館では、各館の選書や廃棄をチェックし、指定管理館のモニタリングを行っています。 石神井図書館では、常勤職員の研修を行い、練馬図書館では、職員の専門性を活かしたレファレンスの調査・回答業務を行っています。 また困難事例が起きれば3館で検討し、区の方針を決定するということも行ってきました。
もし2館に指定管理が導入されればどうなるか。
石神井図書館で行われている職員研修が失われ、高いスキルによって支えられてきた練馬図書館のレファレンス機能が失われてしまいます。困難事例も含めた3館における多角的な検証もできなくなってしまいます。
区もこれまで指定管理館の導入にあたって、図書館行政が歪められないためには、「委託施設におけるサービス水準と施設管理を確保するため…適切に指導監督する体制づくりが必要。区職員が図書館業務の運営に係るノウハウを引き継いでいける仕組みを作ることが不可欠」と直営3館体制の意義を強調してきました。 指定管理の導入は、こうした区の主張とも矛盾するのではありませんか。お答えください。
図書館業務は、スキルの習得に長い年月を要します。レファレンス業務では、本のタイトルやキーワードを検索しても1文字でも違えば検索されません。専門員は、相談者の意図を理解し、そこから様々な資料を類推していきます。そのために専門員は窓口業務などで区民の興味関心をつかむとともに様々な分野に興味を持つことが必要で、休日も見聞を広めるために美術館など様々な文化施設に足をはこぶ努力をしています。
練馬区立図書館は昨年度、11万冊以上の図書購入をし、10万冊以上の図書廃棄をし、1万3,542件のレファレンス業務に取り組みました。この数を1日換算すると図書購入については1日303冊、廃棄は1日278冊、レファレンスは1日37件という仕事量です。図書館業務のなかでも、とりわけ選書と廃棄、レファレンスは高度な技能を要する専門業務であり、これらの業務の中核を担ってきたのが非常勤で働く図書館専門員の方々です。
ところが指定管理館ではこうした経験を積むことすら困難な状況にあります。
職員や責任者が頻繁に代わり、着任した数か月後には新しい図書館に配置転換されてしまうことも少なくありません。茨城県守谷市では指定管理を導入してわずか2か月で館長と職員計6名が退職する事態が起こり、その結果、市長は「図書館は民間委託はなじまない」として、「直営に戻す」と表明しました。
ある専門員の話では、指定管理事業者の変更となった際、従前の事業者が新たな事業者に対し図書館運営で得たノウハウや事業の引き継ぎを好まず、蓄積した情報を開示しないなどの対応もあったようです。さらに直営館との連携や意思疎通の不備などから、指定管理館がシリーズ本を廃棄してしまう事故を起こしたとも聞きます。区民サービスの一層の向上というのであれば直営2館への指定管理の導入を見直すとともに、むしろ直営3館による中央館的役割を充実させること、図書館法に記された図書館協議会の設置こそ必要ではありませんか。答弁を求めます。
少なくとも1月18日となっている労使交渉の期限を絶対のものとせず、合意が得られなければ指定管理は導入しないことを明言すべきです。答弁を求めます。
【堀教育振興部長】 区立図書館に対する区民のニーズが多様する中で、指定管理者による区立図書館サービスは、利用者アンケートで満足度が平均90%以上となるなど、高い評価を受けています。 こうしたことから、民間事業者においても十分に区民のニーズに応えられるサービスが提供されているものと考えております。
また、特別区の図書館における指定管理者制度は、既に15区で導入されており、全区立図書館232館中52%にあたる120館に拡大されております。 平成22年度に本区が光が丘、練馬、石神井の3館を直営館とした時期と比べても、社会情勢は格段に変化したものと考えています。練馬、石神井の指定管理者制度導入についても、区民サービスの向上と効率的な図書館運営が図られるものと判断したところです。
図書館協議会は、図書館法では任意設置であり、設置目的は、図書館の運営に関し館長の諮問に応じるとともに、図書館サービスについて館長に意見を述べるものとされております。本区では、各図書館における利用者と館長との懇談会や、利用者アンケートの実施などによる利用者の意見を聴取し、図書館の運営やサービスの向上に活かしており、図書館協議会の設置目的は果たしているものと考えています。
職員団体との交渉期限は、これまでの労使双方の取り決めにより6か月前に提案することとしたもので、7月18日に提案し、来年1月18日としたものであります。合意に向けて引き続き精力的に協議を重ねてまいります。
【米沢ちひろ区議】 次に保育について伺います。
今年10月、区内の認可外保育施設「若草ベビールーム」で生後6か月の乳児が死亡する事故が発生しました。
本来、認可外保育施設は東京都が立ち入り検査を年1回以上することになっていますが、全体の2割弱しか実施できていません。 そんな中で、当該園は3年連続で立ち入り検査が行われ、乳幼児突然死症候群の予防への配慮の不足など今回の事故につながる問題が指摘されていました。
認可外というだけで環境が劣悪と判断すべきではありませんが、昨年度、都が行った認可外保育施設への立ち入り調査では、実施した施設の7割以上で文書指導が行われ、児童育成協会が行った「企業主導型保育所」への立ち入り監査では7割が基準を下回っており、認可と比べ基準が緩く指導監査も不十分な認可外施設は安全性に不安があることは明白です。
今後、区は認可外保育施設も巡回指導の対象にすると聞いています。 巡回指導の実施は前進ですが、施設の設備や運営全体を調べる立ち入り検査とは別のものです。都へ年1回以上の立ち入り検査を実施するため体制を強化するよう求めるべきです。答弁を求めます。
乳幼児突然死症候群を予防するためには、乳児の場合、5分に1回の呼吸確認が望ましいとされていますが、都の認可外保育施設指導監督基準ではきめ細かく観察することと記載があるのみです。
実際、若草ベビールームでは0歳児にもかかわらず15分に1回を基本とし、それさえ守らず、30分も放置したと報道されています。 都へ5分に1回など時間を決めた睡眠時呼吸チェックの義務付けを求めると共に、区が実施する巡回指導でも5分に1回の確認を確実に実施するよう徹底すべきです。お答えください。
区は待機児が発生している原因は地域でのミスマッチとし、認可外保育施設は保護者の選択肢の一つとしています。 しかし、若草ベビールーム利用者の概ね半数が認可保育所の申請をしていたことからも、選択の結果ではなく認可保育所に入れなかったため認可外保育施設を利用せざるを得ないのが実態ではないでしょうか。
都が5月に発表した保育ニーズ実態調査報告書によると、保護者が利用を希望するサービスは公立・私立を合わせて認可保育園が91.2%と圧倒的多数ですが、利用しているサービスは認可保育園が38.4%で、認可園の不足は明らかです。
区は全国トップレベルの定員拡大を行ったといいますが、都の社会福祉統計年報などを基にわが党が行った分析では、前川区長のもとで予算編成が始まった2015年以降の3年間での認可保育所の定員拡大は1,747人です。 5歳以下人口1,000人当たりの増加数を比較すると、23区平均93人に対し練馬区は50人と最下位で認可保育園の整備が停滞したことは明白です。
これこそが申込みをしながら保育所に入れなかった子どもが978人も生じた原因で、こうした子の多くが認可外施設を利用せざるをえなかったのではありませんか。
区がこれまでの方針を改め、認可保育園を軸に710人の定員拡大をすすめている点は前進ですが、今年4月1日時点で978人が申し込みをしながら入れず、来年10月からの幼児教育・保育無償化で需要が更に増加すると見込まれることから、認可保育園を軸に整備目標の引き上げが必要です。
また、指導監督基準を満たさない認可外保育施設も5年間は無償対象となります。基準を満たさないと知らずに保護者が選択することがないよう、区が実施する巡回指導の結果などを分かりやすく公開するべきと考えます。2点お答えください。
区長は所信表明で区の児童人口は、将来、確実に減少するとして、これからの教育・保育サービスのありかたを検討するとしています。 しかし、少子化の進行は自然現象ではなく、少子化を前提とした検討をすべきではありません。
実際、内閣府が2015年に実施した国際比較調査で、「子どもを増やせない」理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎる」「働きながら子育てができる職場環境がない」といった回答が日本は他国よりも多く、安心して子育てできる環境が不十分であることが浮き彫りとなりました。
にもかかわらず、安倍政権は教育費無償化の範囲を矮小化し、残業代ゼロ制度など長時間労働につながる制度を法制化するなど少子化対策と逆行しています。 こうした現状にメスを入れれば少子化を克服できると考えますが、区長の見解をうかがいます。また、区長はつねづね子育て支援は国が総合的な政策として取り組むべきものと発言していますが、ならば少子化を前提とした検討をするのでなく国へ少子化対策に逆行する政策を見直すよう求めるべきです。区長の答弁を求めます。
【小暮こども家庭部長】 私から、保育に関するご質問にお答えいたします。
認可外保育施設については、都が児童福祉法に基づき書面による報告徴収や立入検査を行い、必要な指導を行うこととなっています。
都では、年1回の立入検査が困難なことから、昨年3月から施設に対し、巡回指導チームによる年1回の指導を開始しました。 区としては、こうした都の状況を踏まえ、重大事故防止の観点から、独自で年1回の巡回訪問を先月から開始したところです。 区は、訪問した施設の保育状況が好ましくない場合には、都に対して情報提供するとともに、必要に応じて立入検査を求めます。
今後も引き続き、都と連携しながら、保育の安全確保に努めてまいります。
都は、睡眠時のチェックについて、0歳児は5分ごと、1、2歳児は10分ごとという基準を従来から示しています。 都の立入検査や都と区の巡回時には、観察記録はもちろん、睡眠の状態を実際に見て確認し、必要な指導を行っています。引き続き、徹底してまいります。
区はこれまで、待機児ゼロ作戦の発動、練馬こども園の創設など、5,000人以上の定員増を実現しました。 この五年間で、申請者が約2,000人増えたにも関わらず、待機児童数は約500人減少し、本年4月1日現在、79人となっております。お話の978人は、国が待機児童数から除外すると認めている、特定園のみ希望者などの数をあえて加えたものであります。この事実を正しく認識して頂きたいと思います。
改めて申し上げるまでもなく、保育ニーズへの対応は、認可保育所だけで行い得るものではなく、認可園増設のみを目標とする考えはありません。引き続き、練馬こども園、家庭的保育事業など様々な手法を活用し、待機児童解消に取り組んでいきます。
認可外保育施設は、都に届出を行い、国の指導監督基準を満たすことが無償化の条件とされていますが、経過措置として、5年間の猶予期間を設けるとしています。詳細は国から示されておりませんが、保護者への情報提供などのあり方については、都と十分に協議していきます。
少子化対策は、安心して子どもを産み育てられる環境が整備され、子育てのかたちを選択できる社会の実現をめざすものでなければなりません。かねて申し上げてきたように、子育て支援は、自治体の保育行政だけではなく、育児休業などの労働政策や児童手当などを含めた、総合的な政策として国が取り組むべきものです。今回の幼児教育・保育の無償化は、子育て世帯の負担軽減等を目的としており、少子化対策に逆行するものではありません。引き続き国に対して必要な要請を行っていきます。
当面、保育需要の増加が見込まれますが、一方で区の児童人口は将来、確実に減少していきます。社会が大きく変わっていく中で、これからの教育・保育サービスはどうあるべきか、長期的な視点に立った検討も行っていきます。私からは以上です。
【米沢ちひろ区議】 次に、石神井公園駅南口西地区の市街地再開発事業について伺います。
第1に、住民意見を無視した計画の進め方についてです。
当地域は、現在、区は組合施行による市街地再開発事業を想定し、準備組合を支援し、計画案の検討を進めています。昨年2回の「検討状況報告会」で出された区民意見を踏まえ、今年10月に新たな計画案を示しました。
その内容は、幅員16メートルの補助232号線を再開発事業で90メートル、残り130メートルは区が街路事業として整備すること。 再開発ビルは地上26階、地下2階の103メートルの高層の建物で、3階から5階を区が30億円で買い取り、公益施設を入れるというもので、総事業費は190億円、そのうち道路を含め110億円を公費で賄うことも明らかとなりました。
現在、西口駅前の予定地では事業に反対する地権者が住宅兼仕事場の建て替えを行っていますが、計画の図面には、そのことが反映されていません。 区は「強制収用はしない」と言いますが、市街地再開発の仕組みでは、このまま進めば最後はその建物は取り壊され、開発ビルに入るか、お金をもらって出ていくかを迫られるのではないですか。 計画とはどういう関係になっているのか、取り壊そうと考えているのか、お答えください。
そもそも、この地権者はこの計画が持ち上がった時から、まともに説明も受けず、納得もないまま進められているのです。本人は現在の場所に住み営業できるのであれば、話に応じる気持ちはあったということです。そうした話し合いをせずに長年住んできた土地を取り上げられようとしているのです。これでは財産権を侵害することになるのではないですか、ご答弁下さい。
第2は、地域の公共施設のあり方についてです。
計画では、再開発ビルの3階から5階に区民事務所や総合福祉事務所などの機能を移す考えですが、予定している30億円で考えた場合、平米単価は119万円にもなります。大泉学園駅北口のリズモの平米単価は80万円です。
これで本当に妥当な金額だと言えるのか、また、この間、石神井庁舎は近隣の土地を買い足してきています。 今後、庁舎をどのように活用しようとしているのか、さらに、そうした多額の予算をかけてまで再開発ビルの一部を区が買い取る必要があるのか、以上3点、区の考えをお聞きします。
区はこの間、公共施設等総合管理計画で築50年以上たった施設が多数あり、その改修・改築に多額の予算が必要になると言って、区立施設・事業の統廃合を進めています。 ところが、今回のように多額の予算を使い新たな施設は増やすが、既存施設の今後のあり方は示さないでは区民の納得は得られません。 地域の公共施設のあり方を今後どうしようと考えているのか、全体像を区民に示し、意見を聞きながら決めるべきです。区の認識を伺います。
第3に、税金の使い方の問題です。
計画案では、補助232号線の再開発事業でかかる費用は35億円ですが、同じ単価で計算すると、駅前から富士街道までの整備費は86億円にもなります。
また、再開発ビルの住宅部分の床面積と区が妥当だとした平米単価で考えると202億円の売り上げが見込めることになり、122億円の儲けが出る計算です。これはあくまで住宅部分だけであり、商業地域などを含めればさらにもうけを上げることができるわけです。 それなのに、なぜさらに30億円で3フロアを区が買い取り、45億円の公費までつけてやる必要があるのか。まさに大手ゼネコンやデベロッパーだけが儲かる仕組みであり、不要不急の再開発や大型道路を誘導する仕組みではありませんか。
今、国は1,000兆円を超える借金を抱え、財政が大変だからと社会保障の削減と負担増、増税を次々国民に押し付けています。区として財政負担がないからと、こうした計画にむやみに乗っかることは、社会保障の改悪を進める仕組みに組みすることにもなり、福祉の増進を使命とする自治体の役割放棄と言われても仕方がありません。同時に、地域住民を追い出す事業であることも考え合わせれば、計画は白紙に戻すべきです。区の見解をお聞きします。お答えください。
【宮下技監】 私から、石神井公園駅南口西地区の市街地再開発事業などについてお答えします。
本再開発事業は、関係権利者の発意に基づいて準備組合が結成され、検討が進められています。関係権利者の多くは、事業の速やかな実施を望んでおり、一部、事業の実施に懸念を抱いている方に対しては、区、準備組合ともに、とりわけ丁寧な資料提供や説明を行ってきています。
住民意見を無視した進め方であるとのご指摘は当たらず、むしろ事業の検討を積極的に進めないことの方が、住民の意向を受け止めていないことになると考えています。 再開発事業の仕組みや手続きは、法に細かく規定されています。組合施行による事業の最大の特徴は、権利変換方式によることであり、土地の取り上げや、財産権を侵害するものではなく、ご質問は、再開発事業の基本的な仕組みを理解していないと言わざるを得ません。本地区での事業の実施は現在の区域設定が最も適当であると判断しており、区域設定や施設の計画、事業の手順などについては、法令の規定に基づいて定め、進めていきます。
石神井庁舎にある機能の一部を、駅前の再開発施設に移設することは、区民の利便性の向上や、行政機能を維持しつつ、現庁舎の敷地の有効活用を図れることから、検討を進めているところです。 再開発施設の床を、区が取得する際には、不動産鑑定等を行った上で、適正な価格で取得します。ご質問にあったデベロッパーの利益に関するご指摘は、明らかに単価の異なる業務床と住宅床を同一価格とするなど、極めて乱暴な計算によるものであり、的外れなものです。 区立施設の維持・更新については、公共施設等総合管理計画でお示ししています。石神井庁舎については、建築後、48年が経過していることから、再開発事業の進捗を見据えつつ、今後10年程度の間に改築に向けての方向性を、区議会・区民の皆様のご意見を伺いながら定めてまいります。
本再開発事業は、道路整備や建物の共同化、不燃化等を一体的に行い、防災性を高めるとともに、みどり溢れるオープンスペースの整備など、潤いのある駅前空間とすることで、まちの魅力を高め、まちの発展に資する事業です。引き続き、関係権利者や地域の方々のご意見を伺いながら、都市計画の決定や、事業化に向けて取り組んでいきます。私からは以上です。
その他として、就学援助の小学校入学準備金の前倒し支給について、すでに実施している自治体含め来年度実施を23区のうち18区が決定しています。区の来年度実施を強く求めます。答弁を求めます。 以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【堀教育振興部長】 入学準備費の前倒し支給は、中学生については本年度から実施いたしました。 ご指摘を受けるまでもなく、当初の段階から小学生への支給を視野に入れて検討を行っています。課題である未就学児世帯の税情報の把握方法等について、先行自治体の事例を参考としながら、引き続き、検討を進めてまいります。