私は日本共産党練馬区議団を代表して、議案第133号練馬区立小竹図書館の指定管理者の指定について反対の立場から討論を行います。
本議案は、区立小竹図書館の指定管理事業者をハートフルサポート共同事業体に再指定するものです。 地方自治法第244条では、図書館などの公共施設に指定管理制度を導入する場合、その前提として「公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認められる」場合と定めています。
ハートフルサポート共同事業体は2社で構成され、代表のテルウェル東日本株式会社は、NTTグループで建物管理や介護サービスなどを担当する事業者です。 テルウェル東日本株式会社が2014年4月に初めて指定されたときには、司書率割合の目標を高く設定していたことが選定理由のひとつだったはずです。
それがこの5年弱のあいだで目標を達成できなかったばかりか図書館専門員、司書さんの割合が8割から6割にまで減少しています。 さらにこの間、職員33人のうち5年間勤続した者は10人のみとなっています。 職員に占める司書率の割合が5割以上という基準はクリアされているものの、区は再指定に当たり事業者に対して目標未達成の追及も事業実態の検証さえしないままです。
指定管理事業者は5年ごとの契約更新が迫られます。これでは職員の安定的な成長や公的意識の醸成は期待できず、区立図書館の質を長期的・継続的に維持・向上させていくことは困難だと考えます。
ある専門員の話では指定管理館では責任者や職員が頻繁に入れ替わり、着任後、数カ月で別の図書館に配置転換されてしまうことも少なくなく、イベントやそれへの来客数を重視するあまり、窓口など本来業務がおろそかになったとも聞いています。
そもそも営利企業であれば、引継ぎ時に競合他社へ蓄積したノウハウを積極的に提供することなど望めないのではないでしょうか。
指定管理導入の前提になる「区民サービスの向上」の根拠についても区は提示できないままです。
今定例会の所管委員会においても、わが会派が区直営館よりも指定管理館のほうが区民サービスの向上に寄与できると主張する根拠を区に求めたところ「アルコール消毒」や「職員マナー」を例にあげることしかできませんでした。これらはいずれも図書館の本業ではなく、この程度の評価点しかないのだとすれば、まさに区の選定の在り方が問われます。
また、利用者アンケートで平均90%が「満足」していることをもって、サービスの向上が達成されているという主張ですが、区直営館であっても調査結果に遜色はなく、この論拠には無理があります。
加えて、テルウェル東日本株式会社は起業精神として「株主は最高の理解者。期待に応えらえるように最大限の努力」とうたっていますが、利益を出して株主配当を増やすことに最大限の努力をいとわない株式会社が公共サービスを使命とする指定管理事業者としてふさわしいのか疑問です。
さらに「図書館の自由に関する宣言」に述べられているように、図書館のもっとも重要な任務は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することにあります。株主の利益を最優先する株式会社が、いつ何時も国民の知る自由の保障を追求し続けることができるとは思いませんが、いかがでしょう。
上記の理由により、議案第133号に反対するとともに、これ以上、区立図書館に指定管理制度を導入する計画を改め、直営3館体制と区立12図書館の質を今後も区が責任をもって堅持するよう求め、日本共産党練馬区議団を代表しての反対討論を終わります。