はじめに、区長の基本姿勢に関わって、核兵器禁止条約と横田基地へのオスプレイ配備についてうかがいます。
第1は、核兵器禁止条約についてです。国連で核兵器禁止条約が採択されて一年が経ちました。採択の前には、核保有国から会議参加国に対し「参加するな」と圧力がかかるなどありましたが、困難を乗り越え122ヵ国の賛成で採択されました。被爆者と平和を願う市民が歴史を動かした、大きな成果です。
この間、60ヵ国が署名し、14ヵ国が批准しているものの、一方でアメリカやロシアが核兵器の最新鋭化や使用政策の強化をはかるなど、条約を推進する勢力と反対する勢力とのせめぎ合いの状況にあります。
こうしたなかで日本政府は唯一の被爆国でありながら、条約不参加という恥ずべき姿勢を取り続けています。安倍首相は広島長崎の平和祈念式典で核兵器禁止条約に一言も触れず、被爆者からは「よその国の政府のようだ」と失望の声があがりました。背景には「米国の核抑止力が不可欠だ」とする姿勢があります。しかし核抑止力とは他国を威嚇するだけでなく、その使用までも容認するものです。原爆の恐ろしさ、非人道性を知っている日本が、核使用を容認するのかという問題が問われているのです。区長は核兵器の非人道性と核抑止についてどう捉えているのか、見解をうかがいます。
いま被爆者の皆さんが呼びかけたヒバクシャ国際署名は873万筆を越えました。都内で署名した首長は8区13市で、うち非核宣言自治体協議会加盟は10区市あります。全国で署名した首長は1155人おり、非核宣言自治体数339を超えて大きく広がっています。区は昨年3定の一般質問でヒバクシャ署名について「非核宣言自治体協議会加盟自治体などの動向を注視していく」と答えていますが、注視だけでなく、今こそ区長はヒバクシャ署名に協力し、被爆者や市民とともに行動を起こすときではないでしょうか。お答えください。また、ホームページや区報等で核兵器禁止条約の重要性を広く知らせ、区民に署名を呼びかけること、国に対し、禁止条約参加を求めること、現状の体制のもとで条約に参加する可能性に関し調査研究を行なうことなど国に条約参加に向けた行動を働きかけることを求めます。お答えください。
第2は、オスプレイの横田基地配備についてです。オスプレイは、米軍の先制攻撃や侵略戦争の先兵として、敵地に入り破壊工作や要人暗殺などの特殊作戦を担う輸送機であり、「日本の防衛」や「アジア太平洋地域の平和と安定」とは無縁のものです。
横田基地には2019年以降に配備するとしていましたが、突如5機を前倒しで配備すると発表され、先日、10月に正式配備すると発表されました。
すでに一時的としながら横田基地へ飛来、離着陸は300回以上に達し、東京、埼玉、神奈川など首都圏で傍若無人な飛行を事前通告もなく繰り返しています。
この間、普天間所属のオスプレイは、2016年12月に名護市の浅瀬に墜落した後も、オーストラリア沖で墜落する重大事故があり、その後も何度も奄美空港などに緊急着陸し、トラブルも頻発しています。事故率は普天間配備前より1.7倍と上昇しており、安全だという政府の主張は破たんしています。なかでも事故率の高いCV22オスプレイの横田基地配備に対し、住民の不安の声が広がるのも当然です。
オスプレイの相次ぐトラブルは、整備不足も一因と考えられます。構造的な欠陥のうえに整備にも不安がある機体を飛ばし、アメリカ本国でもできない危険な訓練を行うなど、日本のどこでも許されません。小池都知事もオスプレイに安全性への懸念があるとの認識を示しているほどです。特に危険なCV22が横田に配備されることの危険性を区は認識しているのか、うかがいます。
安全保障のためと言われますが、オスプレイの配備拡大こそ、国民、区民の平穏な暮らしを脅かす現実の脅威ではないでしょうか。米軍は飛行ルートを明らかにしませんが、練馬も訓練区域にあることですでに飛来しており、区民から目撃情報が寄せられました。10月の朝霞駐屯地での観閲式に来る可能性もあります。今後本格配備されれば、練馬を含む首都圏全体が特殊作戦の訓練場にされ、夜間や超低空の飛行、パラシュート降下訓練などが横行する危険があり、周辺自治体だけの問題ではありません。オスプレイ配備に対し、区として反対の声をあげるべきです。また、横田基地周辺自治体と連携してオスプレイ飛行の事前通告など情報提供を防衛省や米軍に求めるべきです。お答えください。
【小西総務部長】
私から、核兵器禁止条約と米軍機の配備に関するご質問についてお答えします。
核兵器の非人道性については、論をまたないところです。核抑止については、核兵器の深刻な脅威を踏まえた国際情勢について十分な情報と、周到な分析に基づく高度な政治判断が必要であり、区は意見を申し上げる立場にないと考えます。
「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」については、非核宣言自治体協議会加盟自治体の動向を注視してまいります。
米軍機の配備については、我が国の平和をどう守るかという、国防上の課題であり、区は意見を申し上げる立場にないと考えます。なお、「横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会」が、国や米軍に対し、安全対策の徹底や生活環境への配慮等について要請していることは承知しています。
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次に、国民健康保険について伺います。まず、子どものいる世帯の国保料の問題です。今年度から国保の都道府県化に伴い自治体の法定外繰り入れの削減が行われました。
この6月中旬から、増額となった国保料の納付通知書が加入世帯に届き、練馬区では6月15日からの8日間で3,959件もの問い合わせや苦情がありました。
私どものところに、昨年子どもが生まれ国保料が一人分上がり、都道府県化で更に2倍以上に跳ね上がった方から、「少子化で子どもが少ないと言っているのに、子どもを産んでいけないのか」という怒りの声が届いています。
国保料は、世帯の所得にかかる所得割と被保険者一人一人にかかる均等割りなどで構成されています。そのため「世帯人数が多いほど均等割が賦課され、子どもが増えれば、収入は増えないのに、保険料は非常に重くなっていく」この問題は、子育て支援の観点からも指摘されており、子どもの均等割の軽減が強く求められてきました。
この間、我が党は、多子世帯への減免などを求めてきましたが、区はそれに対し「特別区長会を通して国に働きかけています。…区として実施することは考えていません」と冷たい答弁です。
一方、「暮らしが成り立たない。この保険料をどうにかしてほしい。」との住民の願いを受け、練馬よりはるかに予算規模の小さい東大和市は第3子以降の均等割を無料に、昭島市は第2子は半額、第3子以降は9割減にするなど減免に取り組んできました。さらに、今年度から清瀬市や埼玉県ふじみの市も減免に踏み出しました。
厚労省は、自治体がおこなっている一般会計からの公費繰入を、「解消すべき繰入」と「続けても良い繰入」に分けており、国保法の規定にそった「保険料の減免に充てるため」の繰り入れは「続けても良い繰入」と分類しています。
国保法第七七条(保険料の減免等)を適用し、多子世帯を「特別の理由がある者」とすれば減免することができるのです。世田谷区でも検討を始めたと聞いています。いまこそ、第2子以降の均等割軽減など独自支援を行うべきです。お答え下さい。
第2に、法定外繰り入れ削減の問題です。
現行の国保制度がスタートした1960年代は加入世帯主の7割が「農林水産業」と「自営業」でしたが、いまでは、「年金生活者」と「非正規労働者」が8割近くを占めるようになっています。国保加入世帯の平均所得は1990年代前半の「270万円」から、いまや「138万8千円」にまで落ち込んでいるのです。このように医療を利用する機会が多い高齢者と所得が低い世帯が多数を占める国保制度で医療給付費が増えれば保険料負担に跳ね返る仕組みとなっていたため、保険料が収入の1割を超える状況にまで悪化し、滞納者も2割を超え、制度自体成り立たない状態でした。制度の改定の過程では、こうした構造上の改善が求められましたが、結局、一番問題となっている医療給付が増えれば保険料負担に跳ね返る仕組みは残り、むしろ強化されました。
昨年7月に、全国知事会は国保と他の医療保険との「負担格差」を解消し、今後の給付費増大に耐え得る財政基盤をつくるためとして、「国保への定率国庫負担の引き上げ」や「自治体の独自のとりくみにたいするペナルティの全面中止」などを提案・要望しています。「国保の構造問題を解決する本当の改革を!」という願いは、今や保守系の首長を含めた自治体関係者の共通の要求となっているのです。
いま、低所得者が多い医療保険でありながら、保険料が高すぎるという構造矛盾を政府・厚労省も認めざるを得なくなり、従来の手法の修正をせまられる状況も起こっています。
ところが、区は、本年2月の予算特別委員会で保険料を下げるため「法定外繰入を増やすべきだ」とわが党が質問したのに対し、「国保加入者以外の区民にも負担を求めることになる。負担の公平性を確保するため」「削減が必要」と答えています。また、区は2016年度に資格証の発行や差し押さえの件数を上げる取り組みを強化し、その見返りに都から特別調整交付金を合わせて5,500万円も支給されています。これでは取り組む方向性が逆立ちしていると言われても仕方がありません。そもそも年金生活者が加入する国保は、だれもが一生に一度は加入する医療保険であり、国の社会保障制度です。区の公平性の答弁はそうした本質を見ないものと言わざるを得ません。
少なくとも、都道府県化で制度化された区民を苦しめる国、都からの非情な要求はきっぱりと拒否すべきです。
区のお考えをお示し下さい。
【山﨑区民部長】
私から、国民健康保険についてお答えします。
はじめに、多子世帯の保険料軽減についてです。国民健康保険は、我が国の国民皆保険を支える根幹となる制度の一つです。少子高齢化社会対策の一環として、国の責任において制度を見直すよう、特別区長会として国に働きかけています。区として独自に実施することは考えておりません。なお、保険料軽減は、所得が基準以下であれば、均等割額を7割、5割、2割、減額するしくみがすでにあり、現在、区の国保世帯の約4割がその適用を受けています。さらに、区は、中学3年生までのお子さんに対して、保険診療の自己負担の全額を区で助成しており、子育て世帯に配慮しています。
次に、法定外繰り入れついてです。一般会計から多額の法定外繰入を行うことは、給付と負担の関係が不明確となるだけでなく国保加入者以外の区民にも大きな負担を求めることになります。国の激変緩和措置が6年後を目途に終了することから、特別区長会の対応方針では、法定外繰入を段階的に削減することとしています。併せて、保険料の急激な負担増とならないように特別区独自の激変緩和を行い、計画的に保険料率を設定しています。区は、引き続き、特別区長会の対応方針に沿って対応していきます。
なお、保険料の滞納者への資格証発行や差し押さえ等の対応は、安定的な財政運営と被保険者間の公平性を確保する観点から必要な措置と考えています。区として、文書や電話、訪問等様々な方法で催告を行った上で、保険料の負担をしていただけない方に限って実施しています。
これらの取組は、平成28年度になって特に強化したわけではありません。都からの特別調整交付金の交付は、区がこれまで適切の実施してきた徴収の取組の積み重ねの結果であります。したがって、取り組む方向性が逆であるとの指摘は当たりません。私からは以上であります。
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次に保育についてお聴きしします。
今年3月末で区内認証保育所エンゼルベア・ナーサリー上石神井が閉園しました。閉園の意向が保護者に初めて説明されたのは昨年11月上旬。保育園入園申請の直前でした。当時12名の乳幼児が在園していましたが、卒園の3名を除く9名が転園せざるを得ない状況に追い込まれ、保護者や子どもに大きな負担がのしかかりました。
同園については、2、3年に1度定期的に行われる都による指導検査が昨年9月に行われ、「常勤有資格者の配置が不適切」「施設長が他の業務を兼務している」など4件で文書による改善が求められました。なぜ定期的な指導検査を行っていたにもかかわらず、閉園という事態が起こってしまったのか。区は聴き取りの中で、保育士の不足を上げていますが、問題はそこにとどまりません。
認証保育所については、区として年に1回の巡回を行っています。また監督権限がある都に同行し、指導検査が行われています。検査項目は給与や職員配置や健康診断、研修など多岐にわたっています。これ自体重要な取組です。
しかし、給与については、時間外割増賃金を支払っているか、最低賃金を順守しているかなど最低限のチェックをしているに過ぎません。今回閉園した園と同法人の認証保育所も実労働8時間以上で月額205,000円からとなっています。検査が低賃金の歯止めになっていないのです。
しかも指導検査の頻度は2、3年に1回のペースです。認証を除く認可外保育施設に対する都の指導監督要綱では、原則として毎年1回以上の立入調査を行うよう求めていますが、認証では年に1回も実施されていません。認証と同様に都が責任を持つ区内の障害者福祉施設では職員が他自治体にまたがって二重登録していたことが明らかとなりました。発覚したキッカケは検査ではなく、情報提供でした。複数の自治体をまたがって運営されている保育施設でも職員体制が適正かどうか、定期的な検査だけでチェックするのは限界があります。
もともと認証保育所は国や都による規制緩和で、保育の質よりも量を優先して作られた制度です。そのため職員基準等が認可などと比べて低く設定されています。今回の閉園の要員には不十分な検査体制と合わせ、こうした規制緩和があるのではないでしょうか。
国や都も規制緩和の方針は変えていませんが、保育士不足を背景に今までの方針を一部修正して、キャリアアップ補助などの保育士の処遇改善を図るようになりました。しかし、今度は補助を受けるための事務負担が増え、現場へのしわ寄せが生まれています。結局、場当たり的な対応では問題は解決しません。
いま必要なのは、抜本的な底上げを図ることです。その要は最も基準の厳しい認可保育園を増やすことです。また規制緩和路線を見直し、基準の引き上げと保育士の抜本的な処遇改善を図るべきです。少なくとも認証を含む認可外保育施設の都による立入調査は、年に1回以上実施するよう都に求めるべきです。3点お答えください。
なお認可園についてもこの間、規制緩和が行われ、園庭がない園が多数生まれています。都はさらに採光についての基準も緩和し、窓のない場所でも保育を認めようとしていますが、こうした流れに区として反対し、保育の質の維持向上に努めるべきです。お答えください。
【小暮こども家庭部長】
私から、保育に関するご質問にお答えいたします。
認証保育所は、23区と都が大都市特有の多様な保育ニーズに応えるため、国の反対を押し切って創設し、育ててきた制度です。「国や都による規制緩和で、保育の質よりも量を優先して作られた制度」との認識は、全くの事実誤認です。
改めて申し上げるまでもなく、保育ニーズへの対応は、認可保育所だけで行い得るものではありません。歴史的にも、認証保育所や保育ママなどは、「民間事業者が立ち上げ、運営してきた制度であります。また、小規模保育や事業所内保育などは地域型保育事業として、児童福祉法にも位置づけられています。
加えて、区では、預かり保育のある幼稚園に通わせたいという保護者の強い要望に応えるため、練馬こども園を創設し、拡大に取り組んでいます。引き続き、保育ニーズに応えていくため、多様な手法を講じてまいります。
なお、認証保育所の職員配置等は、そもそも国が定めている地域型保育事業の基準と同様となっております。
つぎに、保育士の処遇についてです。区はこれまで、宿舎借り上げ支援やキャリアアップ補助金の導入など、直接的な支援を図ってきました。加えて、事業者に対しては、施設ごとに収入に占める人件費の割合を明確にし、財務情報の公表と職員への説明を義務づけ、賃金改善につなげています。処遇改善は、着実に進んでいるものと考えています。
つぎに、認証保育所等への保育のチェック体制についてです。
都では、認証保育所を含む認可外保育施設に対して、児童福祉法に基づく書面による報告徴収や立入検査を行い、必要な指導を行うとしていますが、年1回の立入検査が困難なことから、都は昨年3月から施設に対し、巡回指導チームによる年1回の指導を開始しました。
区は、昨年度から、職員全てが園長経験者による係を新設し、巡回指導体制を強化しました。認証保育所には、施設ごとに年2回訪問しております。巡回指導を行った結果、区が必要と認めるときには、都に臨時の立入検査を求めることとしています。
引き続き、都と連携しながら、保育の質の維持と向上に努めていきます。
つぎに、保育所の採光規定の緩和についてです。国は今年3月、待機児童を解消するため、既存の事務所等を活用した保育所の円滑な整備を後押しする目的で、採光規定を緩和しました。窓のない場所での保育を認めるものではありません。保育の質の低下につながるとは認識していません。私からは以上であります。
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次に、性的マイノリティの問題について伺います。
2015年に渋谷区で「同性パートナーシップ条例」がつくられたことなどをきっかけに各自治体で同性カップルに結婚相当の関係を認定する認証制度の創設やその検討が始まっています。こうした中、東京都は9月の第3回定例会に「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例」の提出のため、検討を進め、概要が公表されました。
その中には多様な性の理解推進も含まれるなど、近年、性的指向による差別や偏見をなくし、多様性を認め合う共生社会を目指す動きが広がっています。
こうした背景には、欧米を中心に同性婚を承認する法制化や大規模なLGBTパレードなどが大きく広がり、米連邦最高裁が「同性婚を認めない州法は憲法違反」と判決するなど世界的な大きな流れがあります。こうしたもと国際オリンピック委員会で、「オリンピック憲章に性的指向による差別禁止を盛り込む」決議がされました。その後最初のオリンピックが東京で開かれるのに、日本では意図的な同性愛嫌悪や、性的マイノリティについての関心や知識がないことからくる差別と偏見が当事者を苦しめている実態があります。
最近でも、自民党の杉田水脈衆院議員がLGBTのカップルは「子どもを作らない、つまり生産性がない」と攻撃し、行政支援への否定的な見解を示すなどの問題がありました。こうした差別的発言に対して大きな批判や抗議の声が挙がっていますが、そもそも子どもを産む、産まないはLGBTの人に限らず、それぞれの様々な事情や判断で決まるものであって、それで人間の価値が決まるものではありません。
こうした人権侵害を許さないためにも練馬区でも条例制定を急ぐ必要があります。区は、今後、実態調査で状況を把握するとともに、次期の男女共同参画計画で検討するとしていますが、条例制定をするのかどうか、その点での考えをお示しください。
NHKが2015年すべての都道府県を対象に大規模なアンケートを行い2600人から回答を得た調査を行っています。これによると全国の都道府県すべてに当事者がおり、年代別では10代から70代以上のすべての年代に存在することがわかります。他の調査を見ても日本ではLGBT層の人たちが約8%いるということですが、これは日本の人口の13人に1人ということになり、学校の1学級で見ると2~3人くらいは存在することになります。ところが自分の身の回りにいると感じられない方も多いのではないでしょうか。
労組の連合が実施した調査によると、職場に同性愛者や両性愛者がいることに抵抗を感じる人は、3人に1人というデータもあり、男女別にみると、抵抗を感じる人の割合は男性が女性の2倍、40代、50代と年代が上がるにつれて高くなる傾向があるということです。
実際、NHKの調査では、「親へのカミングアウトで全否定されて気持ちが不安になり、人が怖くなった」、「自分を偽った生活を続けていると生活のリアリティが希薄になり、自分の人生は、取るに足らないものとの感覚が育っていった。このことが精神疾患を患う要因の一つとなった」など周囲の偏見や差別を恐れ、家族へのカミングアウトさえもできない厳しい状況の中で生きてきた人たちの切実な声がつづられています。
このように日本では、まだまだ差別を受けるケースも珍しくなく、心ない言葉をかけられたり、まるでその場に当事者がいないかのように差別的な言動を取られたりすることもあるようだと分析されています。こうした状況の中で、自殺を考える、自傷行為に走るなど見過ごすことができない事態が現実にあるのです。
早急に条例を制定する必要がありますが、それにあたって当事者等の意見をできる限り反映させることや、ハラスメントや性的指向、性自認を含めた差別禁止を明記し、実効性を持たせる必要があると考えます。また、同性愛や両性愛などを、趣味嗜好といった捉え方をする人が多く見受けられる中で、性的マイノリティに対する正しい理解を深めるため、教育現場での対応、関係団体とのネットワークの構築とともに、練馬区では相談窓口の設置や各種講座の開催、職員研修など行っていますが、啓発と周知をさらに強化する必要があります。これらの点でどのようにしていこうと考えているのか区の答弁を求めます。
性的マイノリティを含め誰もが、社会や地域、企業、学校の中で自然な存在として溶け込み、「ありのままの自分」を肯定できるよう行政としての支援が大きく求められていると考えます。区の取り組み強化を強く求め次に移ります。
【小西総務部長】
私から、性的マイノリティの方への支援についてです。
性的少数者の方々は、周囲の誤解や偏見、無理解により、さまざまな困難に遭遇することがあります。また、ご自身の性のあり方について知識や認識がないまま成長された場合、他者の誤解や偏見と相まって、自己肯定感や自尊感情が形成されにくいこともあると言われています。区では、まず、誤解や偏見を取り除き、性のあり方にはさまざまな形があることを広く区民に周知するための啓発が重要であると考えています。
そのため、第4次男女共同参画計画の取組の一つに性的マイノリティを掲げ、特設相談窓口を設置するなど当事者への支援と区民への啓発に全庁をあげて取り組んでいます。区民の理解を促進するため、啓発紙を作成、配布すると共に、支援団体や当事者の方を講師に迎えた講演会などを実施しています。また、区職員が性的マイノリティの方に配慮し、業務に取り組めるよう、コンプライアンスに関するeラーニング研修や新任職員研修等を実施しています。昨日は、教員を対象としてNPOの代表の方を招き、「LGBTと人権」をテーマとして人権教育研修会を実施したところです。
第5次練馬区男女共同参画計画を「作成」するため、区民5千人と事業所7千ヵ所を対象に「人権・男女共同参画に関する意識と労働実態調査」を実施しています。調査では性的マイノリティに関する項目を設け、幅広く区民の意見を伺っています。調査結果と共に国や東京都の動向を注視し、当事者のニーズに即した支援策などについて、区民参加の男女共同参画推進懇談会で議論を重ね計画を策定する考えです。
また、東京都は、今月の都議会に性的少数者への差別やヘイトスピーチの解消を目指して条例の提出を予定しており、区としては条例を制定する考えはありません。以上であります。
次に、都市計画道路について質問します。国土交通省は2000年から3度にわたり「都市計画運用指針」を出し、都市計画道路について適切に見直すよう地方公共団体に助言をしてきました。2005年の盛岡裁判ではすでに、必要性を見直すべき都市計画道路を長期間放置していることを問題視し、最高裁は半世紀以上にわたる建築制限に対して損失補償不要と考えるのは「大いに疑問」と意見を出しています。
そのうえで国交省は2017年7月、「都市計画道路の見直しの手引き」を出し、都市計画道路の「適時適切な見直し」をさらに促進するよう、先行事例まで紹介しながら自治体に迫りました。この一連の経緯により、全国の約8割の自治体が道路計画を見直した一方、都と区の姿勢はどうだったでしょう。
これまで東京都も区も「整備すべきものは整備し、見直すべきものは見直す」との基本的な考えに基づき、都市計画道路の要否の検討をしてきたと主張してきました。しかし、2016年3月の第4次事業化計画は「1日6000台以上の交通量」など、かなり低い恣意的な基準設定をするなど15の検証項目は根拠薄弱なものも多く、そのうえ1項目でも該当すれば計画存続という推進ありきの中身だったことは否めません。
国交省は「手引き」で、第四次事業化計画を「見直しガイドラインではなく、事業化計画が一体になっている」と指摘。見直しをしてきたと主張する都と区、見直していないと主張する国が真っ向から対立しています。区はこの乖離を認めますか。お答えください。
これらの経緯を踏まえて7月に出された「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針
中間のまとめ」は、優先整備路線ではない延長約545キロについて再検証するものとなっています。しかし、新たに打ち立てた4つの検証項目はいずれも大幅な見直しの検証対象をはじめから除外する仕組みになっています。これでは第四次事業化計画に続き、見直しとは名ばかりのパフォーマンスと批判されても仕方がありません。区の見解を問います。
さらに「中間のまとめ」では、検証の対象を「地域的な道路」に限定し、「広域的な道路」である補助172号線は始めから対象から外され、計画が見直されることはありません。放射35号線についても、検証の対象から「優先整備路線を除く」としている以上、はじめから見直し対象から除外されています。
現在事業中の放射36号線が完成すれば、池袋―川越街道間が結ばれ172号線の道路需要の大きな伸びは想定されません。放射35号線についても「骨格幹線道路」の位置付けですが、早宮―豊玉間をバイパスする近道にすぎず、必要性に疑問が残ります。これについて区はどうお考えでしょうか。お答えください。
練馬区は2025年末までに、第4次事業化計画で選定された優先整備路線を事業化し、都市計画道路の整備率を80%にまで押し上げる構想です。しかし、これまで70年かけて約50%の整備率に達したことを考えれば、それを10年で80%にまで押し上げるという計画は、無謀だと感じざるを得ません。
同時に、23区全体の骨格幹線道路632キロのうち97%が2014年末にはすでに完了しています。放射35号線がなくとも、区が懸念するように練馬が首都圏全体の道路ネットワークから取り残されるなどということはありません。
例にあげた補助172号線、放射35号線のように半世紀以上も前に計画決定され、桜台の廣徳寺など貴重な文化財をむやみに壊し、現道がないことから歴史的に形成された街を分断し、地球環境と住環境に多大な悪影響をあたえ、多額の税金を費やし地元住民や商店街から反対運動の起こる道路を、最初から見直し対象から除外する方針が果たして妥当といえるでしょうか。国交省の助言をどう受け止めているのか、聞かせてください。
こういった将来社会の在り方に真摯に向き合うのであれば、「検証の視点」に「代替性」と「実現性」を加えたうえで、住民の声にくまなく耳をかたむけ、事業認可路線や優先整備路線も含めて国交省の手引きに基づき、抜本的に検証をやり直すべきだと考えます。区の見解を問います。
以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【前川区長】お答えいたします。
都市計画道路についてであります。
私は、平成2年度に、東京都の計画部の課長として、都市計画道路など都全体のハードのインフラ整備を担当しました。
当時、都内の都市計画道路の整備率は約47%と立ち遅れていましたが、関係者はたゆまぬ努力を続け、営々として道路を整備し、現在の63%を超える道路網を築きました。
都心をはじめ、山手通りや調布保谷線など、みどり豊かな道路空間と活力ある沿道の街並みが整備され、東京の魅力は大きく向上しました。
ところが、練馬区は、現在でも23区の中で極めて低い整備率となっています。特に、区西部地域では、災害時に生命や財産を守る最も基本的な機能さえ十分に備わっていません。
しかし、これは見方を変えれば、新しい発想に基づく道路整備を進めることにより、成熟都市にふさわしい、より質の高い都市空間を創出するチャンスに恵まれていると言えます。
豊かなみどりを楽しめる歩道、快適な自転車の走行空間、電柱のない街並みなど、地域住民の皆様の願いに応える、豊かで美しい都市空間を創る道路整備に積極的に取り組んでまいります。
なお、都市計画道路の見直しについて、都・区と国が対立しているかのようなお話がありました。これは、後ほど技監に答弁させますが、事実に反する発言でありまことに遺憾であります。
【宮下技監】
私から都市計画道路についてお答えします。
先ほど区長から答弁申し上げたとおり、都市計画道路は、生活を支え災害時に生命や財産を守る機能を果たし、また、豊かなみどりを楽しめる歩道など、質の高い都市空間を創出します。その整備は行政が担う重要な責務です。
最初に、盛岡市における訴訟についてですが、都市計画決定に伴う建築制限の損失補償の請求については、最高裁判決で棄却されています。「損失補償が不要という考え方は疑問」という意見は、4人いる裁判官のうち、1人の補足意見に過ぎないうえ、当該裁判官も「本件については、補償を必要とするとはいえない」という意見であったことを指摘させていただきます。
都と区市町は、4度にわたり、都市計画道路の見直しを行ってきており、第四次事業化計画では、有識者に意見をいただき、都市計画道路の果たす様々な役割や機能を検証する15の項目を設け、適切に都市計画道路の必要性を検証しています。
平成30年8月に国土交通省が公表している、都市計画道路の見直しの手引き(各論編)では、東京都について、全ての路線の見直しを実施していると評価しています。その上で、第四次事業化計画の策定の取組みを、公共事業の選択と集中を図っている事例として紹介しています。
先ほど区長が答弁申し上げた通り、都・区が国と対立し、考え方が乖離しているという指摘は全くあたりません。また、国土交通省の助言を受けるまでもなく先行的に見直しを実施しています。
現在、都と区市町で「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針」について検討を進めています。第四次事業化計画で行った見直しを前提として、更に検討を深めるため、優先整備路線を除く未着手の都市計画道路について、新たな視点による検証を行っています。検証結果は、今後の整備に反映させるものであり、決してパフォーマンスで行っているものではありません。
放射35号線及び補助172号線は、第四次事業化計画における道路ネットワークの検証で、必要性を確認しています。区内の東部地域の交通を担い、火災による延焼の遮断、災害時の避難経路や消防・救急活動の要となる重要な路線です。加えて、放射35号線は都県境をまたぐ広域な骨格幹線道路として、首都圏のネットワークを形成する重要な道路です。
骨格幹線道路について、97%完了とのご指摘ですが、事業中の路線も含めて83%です。道路はネットワークが築かれることによって十分に機能を果たすものであって、今後も整備が必要です。
道路整備が著しく遅れている練馬区では、東京全体の道路ネットワークから取り残されないため、また、区民の皆様が安心して暮らしていくためにも、骨格幹線道路のみならず、全ての都市計画道路について、積極的な整備が必要です。