2018年2月6日
日本共産党練馬区議団
やくし 辰哉
【やくし辰哉議員】
はじめに、区長の基本姿勢としてグランドデザイン構想と各種行政計画全般にわたって伺います。
昨年暮れに発表されたグランドデザインや各種計画は10を超え、年末年始を挟み1月19日には区民意見募集を締め切るという進め方で、年度末には決めようとしています。
しかし、どの計画も区民のくらしや福祉に大きく関わる問題であり、こうした進め方で、本当に区民の声を反映することができるのでしょうか。
実際、説明会に参加する区民は、一部を除きどの会場でも少数です。区長は「当事者意識をもって取り組む区民が、区と手を取り合って課題解決に向かう、このことが本当の意味での区民参加、協働です」とした区政改革推進会議の提言を根幹に据える、また「区が目指す将来像を実現するには区民参加、協働は欠かすことはできません」などと繰り返し言ってきました。
この進め方で果たして当事者意識を持って取り組む区民が育つと考えているのでしょうか。
まず区の認識をお聞きします。
アクションプランでは、区民との協働、区の各種事業の委託・民営化、区立施設の統廃合、都市計画道路の推進などを大きな柱として、今後もさらに進めようというものです。区民との協働は、区の担う事業に関心を持ってもらい区民参加で意見を吸い上げ、区の施策に生かす、区民にも協力してもらうなどなくてはならないものです。
しかし区が進めようという協働は、介護事業で見られるように、要支援1,2の通所、訪問サービスを総合事業に流し込み、資格のないボランティアに担わせていますが、本来、公が責任を担うべき事業を協働の名で区民に押し付けようとしているのではありませんか。
委託化でも、本来区が責任を担うべき保育園などを区立でやるより安いお金で運営させ、人件費を下げざるを得ない事業者は、保育の質を下げ、保育士を確保できない事態まで生まれています。
民営化された特養ホームでは、職員給料を3割から4割も削ったうえ、改修・改築費用すら押し付けられようとしています。
その一方で、整備率を8割にするという都市計画道路は、無電柱化でこれまで以上に税金を投入しようとしています。無電柱化で求められているのは人が集まる商店街や通行困難な歩道などであり、都市計画道路推進の呼び水にすべきでありません。
なぜこのように区民福祉や区民サービスの後退が余儀なくされる内容をさらに促進することが、グランドデザインで示されたような将来像につながるのでしょうか。
グランドデザイン構想では、30年後のまち並みは駅前の再開発は終わり、都市計画道路の整備も進み電柱もないみどり豊かなゆとりのある街並みが描かれています。
もう一方で、10年後には保活という言葉も過去のものとなり、「安心して子育てができ、子どもが生き生きと暮らせ」る、また「いくつになっても、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせ」る、さらに親亡き後の障害者も一人で生きていけると希望を持ち始めるといったきれいな言葉で夢のような将来像が描かれています。
確かに、駅前再開発や都市計画道路を優先して予算をかけていけば、都市のグランドデザインのような将来像になるかもしれません。しかし、いま、安倍政権のもとで、国保や介護、医療、生活保護など福祉予算の自然増分を6年間で1兆6千億円も減らし、今後もさらに福祉の大幅削減が狙われています。
ましてや、「景気は緩やかな回復基調」として間違った情勢判断のもと、計画は立てられています。それで、なぜグランドデザインのような将来像が描けるのでしょうか。
私どもは、区民の関心が強い数か月先の国保料のシミュレーションを示して質問しましたが、区は保険料が決まる前に数字を出すことは区民に誤解を与え、混乱を招くとまで言って批判されました。根拠も示さず、10年後、30年後のありもしない将来像が来るかのように描くことこそ誤解を与え、区民を欺くことになるのではないでしょうか。
財政的な裏付けもなく、根拠のない青写真を描くのではなく、目の前の区民の困難を一歩一歩解決し、それを積み重ねていくことでこそ未来は開けると考えます。特に今、国の悪政が極まっている時だけに区民を守り、くらし、福祉、営業第一の予算への転換を強く求めるものです。区長の答弁を求めます。
【前川区長】
グランドデザイン構想は「みどりの風吹くまちビジョン」の延長上にあり、根拠のない青写真などではありません。
平成30年度予算も、ビジョンに基づくアクションプラン・区政改革計画の着実な実施を最優先に編成しました。
一般会計予算、2,630億円の67%は子ども、高齢者、福祉・医療関連経費であります。29年度予算比では122億円の増ですが、うち95億円はこれらの分野での増であります。
まちづくり事業費は、全体の1割弱ですが、公園新設、生活幹線道路整備を着実に進めるものとなっています。この他、様々な分野で工夫を積み重ねて予算を計上しました。
全体として、暮らし・福祉を中心にバランスのとれた予算となっていることは、共産党の皆様も実はお気付きなのではないでしょうか。
保育所待機児童の解消、特別養護老人ホームの増設、病院の整備、ひとり親家庭対策、ケースワーカーの増員、これはこれまで共産党の皆様も賛同されてきた施策だと思います。なのに、なぜ私の区政を否定されるのか理解に苦しみます。
今回こそ、予算に賛成していただけるものと期待しています。
私からは以上であります。その他の質問につきましては、技監および関係部長が答弁いたします。
【佐々木企画部長】
区は、政策形成から実行段階まで、区民の参加と協働の区政を実現することが必要だと考えています。
グランドデザイン構想や各種行政計画の素案についても、検討段階から様々な区民、関係団体、有識者の皆様からご意見を頂きながら策定してまいりました。素案を公表し、区民意見を募集する際は、年末年始を挟むことも考慮し、規則で定める20日間の意見募集期間を倍の40日間と設定しました。説明会も一般向けの会に加えて町会や関係団体ごとに行うなど、きめ細かく実施しました。一部の会場の参加者が少数であったことのみを取り上げ、区民の声が反映されないというご指摘は全くあたりません。
区民参加と協働の区政を進めるため、区長自ら、ほぼ毎日のように区内の様々な現場に赴き、区民の皆様と率直な意見交換をしています。このことは共産党の皆様もご承知のことと思います。ねりまビッグバン、地域おこしプロジェクトを立ち上げるなど具体的な実践も進めています。これらの取組を通じて、区民の自発的な活動がより活発なものとなり、練馬ならではの新たな自治が創造されると考えています。
区は子ども・子育て支援事業計画の中間見直し素案を発表しました。その中で、2015年に策定された人口推計と比べ、就学前児童人口が上振れしていることを理由に保育サービスの量の見込みを上方修正しました。なぜわずか3年で区の予想を超えてしまったのか。国や区の見込みの甘さがあったからではありませんか。答弁を求めます。
政府も2017年度までに待機児を解消する計画でしたが、見通しが立たず、2020年度末までに先送りし、各自治体へ潜在的な需要を把握したうえで整備計画を作ることを要請しました。
ところが、区の示した定員拡大数は、今年度、潜在待機児の把握どころか保育所等に入れなかった830人にも届かない768人にとどまりました。その根拠は、就学前児童数全体の中で保育需要の割合が毎年2%ずつ増えているからだとしています。
しかし、保育需要の数の中には、区が待機児から除外した「特定園のみ希望」など、保育園に入園を希望しながら、入れていない子どもたちの数は入っていません。これではいつまでたっても待機児解消は実現せず、区長が描くグランドデザインなど夢のまた夢です。
今回、第一次申請で1829人の子どもたちが不承諾となり、前年度比で200名増えたことはそのことを示しています。実態を直視し、目標を設定すべきです。お答えください。
さらに問題なのが定員拡大を行う中身です。前川区政になって、2歳までは保育園、3歳児以降は幼稚園というレールが作られ、小規模園や練馬こども園を増やしてきました。
しかし、こうしたやり方は、安定した保育を望む区民に繰り返しの保活を強い、保護者や子どもたち、保育士にも大きな負担になります。今回、3歳児1年保育を実施することや、保育所は2歳児までという方針を一部修正し、5歳までの認可園を新設することを決めたことは、これまでの区の方針の行きづまりを示すものです。方針を抜本的に見直すよう求めます。お答えください。
次に保育士の確保の問題です。保育士資格を持ちながら就業していない潜在的保育士は全国に70万人以上いるといわれています。2014年の厚労省の調査では、保育士資格を有するハローワーク求職者のうち就業しない理由として最も多いのが「賃金が希望に合わない」が47.5%、次いで「責任の重さ・事故への不安」が40%、「休暇が少ない・休暇が取りにくい」が37%と労働条件などの悪さが就業を躊躇する理由になっています。
これに対して国や都はキャリアアップ補助金などを実施してきましたが、未だに保育士の処遇は抜本的に改善されていません。それは国が示す公定価格自体が低いことに加え、委託費の弾力運用が認められているからです。これは国が民間の参入を促進するために保育で利益を確保できる仕組みを作ろうというもので、人件費を、事業費や管理費など、他の経費に回すことができるうえ、同一法人内であれば他の施設への資金流用も可能という仕組みです。
「ルポ保育崩壊」の著者である小林美希氏によれば、2015年度の都内の私立保育所の財務諸表を分析した結果、練馬区内でもこうした仕組みを利用し、支出全体に占める事業活動以外への流用が4割近くに達する園や、人件費比率が5割を下回る園があることが指摘されています。儲け優先のこうした仕組みがある限り、小手先の対策では労働条件などの改善は難しく、保育士不足を解消することは困難です。
北区では、区の正規保育士80名の募集に500名が、江戸川区でも25名に153名が受験しました。これは安定した雇用と一定の賃金水準を確保すれば、保育士を集めることが可能であることを如実に示しています。公定価格を引き上げることを国に求めるとともに、いま必要なのは委託化・民営化ではなく、保育士の多くが働きたいと望む区立直営園を増やすことではありませんか。2点答弁を求めます。
最後にマイナンバーを活用したオンライン申請についてです。
区は今後、保育園申請等にオンライン手続きを導入しようとしています。まずどのような内容で行うのか、開発経費、ランニングコストがどれほどかかるのか。またオンライン申請を利用する人としない人で差をつけることは許されませんが、区はどのように考えていますか。お答えください。
もしこうした制度を導入すれば、この間指摘してきた通り、情報漏えいの危険性が格段に高くなります。情報漏えいを防止する意味でもマイナンバーを前提としたオンライン申請の導入はただちに中止すべきです。お答えください。
【堀こども家庭部長】
まず、子ども・子育て支援事業計画における保育需要の見込みについてです。近年の保育需要の大幅な増加は、出生数の増加による就学前児童人口の増加とともに、供給が需要を掘り起こしたものと認識しております。
今回の中間の見直しにおいては、ニーズ調査による潜在的な需要とともに、近年の増加傾向を加味し、最大限の需要を見込んでおります。需要については、国の待機児童の算定に関する新しい定義を踏まえ、適切に算出しています。ご質問にある830人は、国が待機児童から除外すると認めているものを意図的に加えた、曲解による過大な数値です。また、今回の一次申請の状況についても、申込数には転園申請が相当数含まれ、さらに2月1日からは、新規開設園12施設等の募集を開始しており、ご指摘は当たりません。
つぎに、待機児童対策の考え方についてです。保育需要が大幅に増加する中で、早期に待機児童を解消するには、総量的な整備とともに、地域・年齢に沿った重点的な対策が必要です。
区では、認可施設だけを見ても、平成28年4月までの3年間で都内最大となる3,200人以上の定員増を行うとともに、練馬こども園の創設や待機児童ゼロ作戦など、全国でも有数の対策を講じてまいりました。その結果、待機児童数は平成25年4月の578人から、昨年4月に48人へと大幅に減少しました。この事実を正しく認識して頂きたいと思います。
さらに本年4月に向けては、当初700人の計画に対し、地域・年齢に沿った838人の定員拡大を図っております。引き続き、待機児童の解消とともに、保護者のニーズに応じた多様な教育・保育サービスを提供し、グランドデザインに掲げる、子育ての形を選択できる社会を実現してまいります。
つぎに、保育士の確保についてです。区はこれまで、保育士確保に向けた就職相談や面接会の開催、宿舎借上げ支援やキャリアアップ補助金の導入、賃金改善に使途を限定した施設型給付費の増額などの処遇改善を図り、保育士の確保に取り組んできました。
事業者に対しては、賃金改善につながるよう、施設ごとに収入に占める人件費の割合を明確にし、財務情報の公表と職員への説明を義務付けております。
こうした対応により、保育士が確保されるものと見込んでおり、現時点で国に公定価格の引き上げを求める考えはありません。また、民間活力によって保育サービスを充実し、柔軟かつ機動的に対応するため、引き続き、区立保育園の委託・民営化に取り組むとともに、私立保育所等の誘致を進めていきます。
つぎに、オンライン申請についてです。利用者の家庭状況の把握のため、提出を義務付けている現況届について、来年度から書面による提出に加え、国のシステムを活用したオンライン受付を開始します。端末設置等に係る経費は22万3千円であり、年間数万円程度のランニングコストを見込んでいます。保育の利用申請そのものについては課題を整理し、導入に向け検討を行います。
なお、本事業は十分なセキュリティ対策の下で実施することとしており、中止する考えはありません。以上であります。
質問の第一は、お金の心配なく介護サービスが受けられることです。
2018年度からの第7期計画では介護保険料、サービス利用料が今以上の大幅な引き上げになるのではないかと区民や介護事業者から強い懸念の声が出されています。今定例会で示された7期計画の基準額は年額77,640円、月額6,470円で第6期より645円増、すべての階層で値上げとなっています。
わが党区議団はこの間、保険料・利用料の負担軽減を求めてきました。国は第1~3段階までの低所得者軽減として約1400億円を増額しましたが、中間所得者に対する負担軽減までは及んでいません。この間、中間所得層も年金が減る一方で、国保料や後期高齢者医療保険料などの負担が年々重くなり負担は限界に来ています。国、都の財政支援を求め、区独自でも中間所得階層まで対象を広げて負担軽減を図るべきです。お答えください。
また、現在の第6期介護保険料では、年収80万円の第一階層の保険料負担が所得の4%であるのに対し、年収2000万円を超える高額所得者は所得の1%、5000万円以上では0.4%以下の負担で所得の多い人ほど負担が軽く、負担率の均衡を図る必要があります。今回改定で負担率がどのようになるのか、お答えください。渋谷区では年収5000万円以上と1億円以上の超高額所得層を多段階化しています。練馬区において、3000万円以上の高所得者の多段階化と上限額引き上げを行い、低・中所得者の軽減に一層努力することを求めます。お答えください。
第2は、地域包括支援センターの機能見直しと在宅介護支援の基盤の強化です。
区の「高齢者基礎調査」では、介護が必要となった場合でも「在宅」希望が要介護認定者の約6割を占める結果を得て、地域密着型サービスを推進しようとしています。しかし、家族介護者の7割が老老介護、うち2割が10年以上の長期介護状態にあり、家族介護者の3割から5割が健康不安を抱えています。現在でも在宅の基盤整備は大きく立ち遅れ厳しい実態にあるのではないでしょうか。
在宅介護支援の要となる地域包括支援センターは、今後25ヶ所の本所体制とし機能拡充を図る方針ですが、新設される医療と介護の相談窓口、認知症地域支援推進員はケアマネージャーや保健師など専門職の兼任であり、今でも過重な実態が改善されないまま責任と業務量がいっそう増大しかねません。しかもアウトリーチは区民ボランティアを活用するとしています。これで本当に、必要な人に必要なサービスを提供できる体制・機能を確保できるのでしょうか。機能強化というのであれば、認知症地域支援推進員、医療・介護連携推進員は兼務でなく、それぞれ常勤で専任配置すべきです。お答えください。
また7期計画は、「介護サービスの適正化」、「ケアプランの点検」など介護給付の抑制や自立支援・重度化予防が強調されています。
国の方針では、訪問介護の生活援助の利用回数が一定基準を超えるケアプランは自治体への届け出を義務付け、地域ケア会議でケアプラン内容を検証し過剰と判断すれば是正を求めるとしています。本来、ケアマネージャーが立てたケアプランに基づいて行われるべき介護サービスが、利用回数だけを見て「ケア会議」で問題視するしくみそのものが利用抑制につながるのではありませんか。
地域ケア会議が行政主導でケアマネージャーや事業所に対して厳しい目標設定を課す場になっている例もあり、利用抑制が起こる懸念は払しょくされていません。区は「介護抑制の懸念には及ばない」といいますが、その根拠を示すべきです。
他の自治体では、介護の「卒業」をめざすケアプランを組むなどしてサービス抑制する方向に向いていると問題となっています。機械的な見直しで必要なサービスが取り上げられることのないよう対応策をお示しください。
さらに、特養ホームの整備では、待機者は年間約100人増加し、2025年には3800人の需要数を見込んでいるのに、今後3年間で300人分、2025年までに800人分の整備目標では1000人分不足することになります。これでは、本気で待機者解消を目指しているとは思えません。施設整備目標の引き上げを行うとともに、国・都に財政支援を強く求め、公有地を活用した施設整備の促進することを求めます。お答えください。
【中田高齢施策担当部長】
第7期介護保険事業計画期間には、要介護認定者は約2,600人増加することが見込まれており、平成32年度の介護給付費は約561億円と想定しています。
第7期の保険料の設定に当たっては、これまで以上に低所得者に配慮するとともに、高所得者の上限額を第6期から引き上げています。中間所得者の保険料は、低所得者と同様に上昇額を抑えるよう設定しています。
今回の改正では、第一号被保険者のうち、合計所得3,000万円以上の方は900人程度、全体の約0.6%と推計しています。高所得者の更なる多段階化による保険料への効果は、非常に限定されたものになると考えています。
国に対しては、特別区長会や全国市長会を通じ、保険料を軽減するための財政措置や国の負担割合を増やすよう要望しています。一般財源を区の負担割合を超えて介護保険会計に繰り入れることは、制度上認められていません。
次に、地域包括支援センターについてです。
本年4月、高齢者相談センターを25か所の地域包括支援センターに再編し、地域包括ケアシステムの中核を担います。
現在の本所4か所に各1名配置している医療・介護連携推進員、認知症地域支援推進員は、来年度から、各地域包括支援センターの保健師等がその役割を担い、身近な地域で、在宅療養や認知症の相談支援を充実します。
訪問支援員を新たに各2名配置し、計50名を増員します。
また、高齢者人口が6千人以上の区域を担当するセンターと、総合福祉事務所内に窓口を設置するセンターの計19か所に、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員のいずれか1名を更に増員します。
これらにより、25所で総計69名を増員し、運営体制を強化します。配置予定を見直す考えはありません。
次に、自立支援、重度化防止についてです。
区は、来年度から、25か所の地域包括支援センターごとに「地域ケア予防会議」を設置します。この会議は、リハビリ専門職や保健師など多職種の専門家で構成されます。個々の高齢者の状況を踏まえて、より適した介護サービスの提供につなげるものであり、必要なサービスが取り上げられるというご懸念には及びません。
次に、特別養護老人ホームの整備についてです。
第7期計画では、平成37年度までに必要となる施設・サービスの需要を、高齢者基礎調査や人口予測などを基に推計しており、特別養護老人ホームの需要は約3,800人と見込んでいます。
現在の利用者数との差である待機者数の見込みは約1,900人となりますが、高齢者基礎調査では、待機者のうち、すぐに入所したい方は約4割であることから、800人分を整備することとしています。また、1年以内に入所したい方は約3割、その他、将来的な介護不安から申し込まれている方もいます。これらの方については、1年間で利用者の約4分の1が施設を退所されることから、毎年約600人の入所が可能となります。
このように、第7期計画では、在宅での生活が困難な方全てが希望する時期に入所できるよう、平成37年度に向けた整備目標数を定めており、不足しているとの指摘は当たりません。
特別養護老人ホームは、既に都内最多の29施設を整備しています。現在、国有地の活用も含め、5施設の整備に取り組んでいます。国や都に対しては、特別区長会等を通じ、財政支援の充実を既に要望しています。
引き続き、施設整備は、計画に基づいて着実に進めてまいります。私からは以上であります。
第1に小中一貫教育の推進と学校の適正配置についてです。
計画では、旭丘小学校・旭丘中学校と小竹小学校を再編し、2校目の施設一体の小中一貫校の設置にむけ取り組むとしています。
この問題は、学校やPTA、町会関係者との間で話し合いが重ねられてきました。住民からは「児童数の増加が見込まれるのになぜ小竹小をなくすのか」「避難拠点がなくなり防災力が低下する」などの声があがっています。
小竹町地域は、学校をコミュニティの拠点として住民が活動し魅力ある街づくりを目指してきました。
統合再編は、こうした住民の活動に水を差すことになりかねません。文科省の「適正配置等に関する手引」では、「学校を地域コミュニティの中核と位置付け、充実を図る場合」を統合しないケースとしてあげていますが、小竹町地域はこれに該当するのではないでしょうか。お答えください。
区は過小規模校のデメリットを強調しますが、文科省の「手引」では、「一人一人にきめ細かな指導が行いやすい」など9点のメリットをあげ、「小規模校のメリット最大化策」も示しています。
こうしたことを踏まえ、再編ありきでなく、小規模校のメリットを生かすことも有力な選択肢として、地域住民とともに方向性を決めるべきです。お答えください。
小中一貫校は、教育的な検証が不十分であり、実際には学校を減らしコスト削減に利用されてきました。区は区立施設の床面積を削減する方針ですが、その約半分を占める小中学校を的にしているのではないですか。学校施設管理基本計画を独立して策定し、改築改修経費を強調し、小規模校はメリットも無視して統合再編を検討としていることは、そうした区の姿勢を裏付けているのではありませんか。お答えください。
住民不在、現場不在で行政の思惑を押し付ける小中一貫校の推進と適正配置の方針を見直すことを求めます。
第2に、教員の過重負担についてです。
この間国に続いて東京都が教員の勤務実態を調査し、改めて深刻な実態が明らかになりました。この改善・解決は急務です。
教育振興基本計画でも、事務処理等の負担を軽減するとしています。一方で「外国語活動」いわゆる英語指導が拡大されます。教員の拡充もないまま年35時間も授業増となるため、ALTを活用するとしても、教員一人当たりの授業時数が増えてしまいます。これでは負担軽減に逆行するのではありませんか。詰め込み強化で子どもたちにも負担を課し、塾依存と学力格差の拡大にもなりかねない英語指導の拡大は見直すことを求めます。2点、お答えください。
教員は授業の他、調査への対応や報告書づくり、また研修も48種と多く、「業務改善」だけでは多忙化の解消にならないばかりか、後は個々の自己責任にされかねません。教員がゆとりを持って子どもたちと向き合い専門性を発揮するためにも、教員数の抜本的な増員が不可欠ではありませんか。合わせて、35人学級を全学年に拡大することで教育の質も向上するのではないでしょうか。お答えください。
第3に、家庭への支援です。教育振興計画では育児の孤立など困難のある家庭に、関係機関が連携して支援体制を強化するとしています。
困難の大元には、低賃金や福祉切り捨てなど、貧困と格差拡大による疲弊があります。生活の厳しさに追われ子育ての時間や心理的ゆとりが奪われているのではないでしょうか。支援というのであれば、家計負担の軽減に取り組むことこそ必要です。
就学援助では、準要保護世帯の対象を生活保護の1.3倍以上に広げ、単価の引上げをするべきです。お答えください。また全国83市町村が学校給食費を無償化し、品川・葛飾区では一部補助を実施しています。区は給食を教材に活用するとのことですが、貧困対策の観点も含め給食費の無償化、負担軽減に踏み切るべきです。お答えください。
日本の教育への公的支出は、GDP比でOECD諸国中最下位と少なく、それが教員や家計への過重負担を招いていると言えます。その点を踏まえ、国や都の動向を待たず、区として教育条件と環境の改善に力を尽くすべきです。
【大羽教育振興部長】
学校は地域にとっても最も身近な公共施設であり、学校を拠点に様々な地域活動が行われています。一方、旭丘・小竹地域の教育環境には過小規模校の解消、学校施設の改築等の課題があり、これらの課題を総合的に解決するため、小竹小学校をはじめ3校を新たな施設一体型小中一貫教育校に再編する方針案をお示ししています。
区としては、新校を拠点として旭丘・小竹地域の地域活動が引き続き活発に展開されるものと考えており、小竹小学校のみが地域コミュニティの中核であるとは考えておりません。
学校は集団生活を通じて児童・生徒の豊かな人間性や社会性を育て、学力や体力の向上を図る場です。児童生徒数の減少が予測される中、子どもたちが良好な教育環境の中で学び成長することができるよう、過小規模校を中心に適正配置を進めていく必要があります。この基本的な考え方を見直す考えはありません。
中長期的な視点に立ったとき、少子化の波は避けられません。そうした時代における教育環境はどうあるべきかを考えることは、教育委員会として当然のことです。
また、学校の改修改築も、差し迫った重大な課題です。「学校施設管理基本計画」は、そうした課題を整理し、新たな方針としてお示ししたものです。より高い教育効果を求めるものであり、コスト削減を目的としたものではありません。
次に、教員の負担軽減と外国語教育についてです。
教員の勤務実態は、教育委員会として喫緊の課題ととらえており、事務負担の削減等、改善に向けて取り組んでいるところです。
一方で、外国語にかかわる授業時数は、学習指導要領に基づき確保する必要があります。研究指定校の成果や授業時間の設定等について情報共有を図り、授業の充実と教員の負担軽減の双方の面から、効果的な実施方法を検討してまいります。外国語教育の拡充そのものを見直すことは考えていません。
県費負担教職員の定数は、東京都の条例で定められており、任命権者は東京都教育委員会です。学級編制も東京都教育委員会の基準に従い、運用しております。区として独自に教員を増員したり、35人学級の全学年拡大を行う考えはありません。
就学援助の対象は、給与収入ベースに置き換えた場合、4人世帯で年収500万円程度に相当します。また、各費目の単価については、23区でおおむね同程度となっています。妥当な水準を確保しているため、現時点では、対象の拡大や単価の引き上げは考えておりません。
学校給食費については、食材料費のみ保護者に負担していただいており、低所得のご家庭には、生活保護や就学援助制度により給食費相当分を補助しております。食材料費に限り給食費として保護者負担とする現在の制度は、学校給食に必要な経費分担として妥当と考えており、現時点では、給食費無償化を行う考えはありません。
しかし、区内の未整備路線の多くは現道も無く計画線上には多数の住宅や商店街などがあり、整備となれば多くの住民のくらしや地域の環境に影響を及ぼします。また、都内の自動車保有台数はピーク時より減少し、区内の交通量も減少傾向です。
国は3回にわたり、都市計画道路の見直しを行うよう「都市計画運用指針」を発出し、見直しの手引きを作り今後も充実させるとしています。
また、見直し対象は未着手路線だけでなく、事業中の路線を含めたすべての都市計画道路としています。このことからも国が都市計画道路の更なる見直しがすすむことを望んでいることは明らかです。
にもかかわらず、東京都では1日6000台のがらがら道路でも必要性を認めるなど整備ありきの検証でわずか3路線が見直されたのみで、検討中の「都市計画道路の基本方針」は優先整備路線を見直しの対象外としています。
一方で、同じ都市部の名古屋市では未着手路線は必要性を検証後に、沿道の文化財への影響など実現性を検証することで、約8割整備済だった路線など5路線6㎞を廃止し、昨年3月には新たに30路線15㎞を廃止候補路線としました。
区は幹線道路の整備は緑化や区民の活動空間などに資すると強調しますが、結局交通量が減少する中で整備するための方便にすぎません。各地の特定整備路線では住民合意がないまま強行したため事業認可取り消しを求める裁判が5件提訴され、原告団は500人を超える異常事態となり、用地買収がすすまず都は予算を140億円も削減するなど整備ありきの姿勢の歪が表れています。
こうした事態を招かないためにも区内の優先整備路線は住民合意が得られていない場合は事業化しないこと。また、検討中の「都市計画道路の基本方針」は、優先整備路線も含め実現性についても検討するよう都に求めるべきです。2点お答えください。
【宮下技監】
都市計画道路は、道路交通の円滑化に加え、災害時の活動経路の確保や豊かなみどりの創出など、日常生活を支える基本的な都市インフラであり、整備が遅れている練馬区では、その整備は必要不可欠です。道路の事業化にあたっては、関係住民に丁寧な説明を行い、意見を伺いながら進めてまいります。
平成28年3月に策定した第四次事業化計画では、路線ごとの必要性を検証した上で、優先整備路線や見直し候補路線などを選定しました。現在、都と区市町が共同し進めている検討では、事業化までに時間を要する路線について、拡幅整備の有効性や既存道路による代替可能性の確認を行っているものです。
今、都と区が行うべきことは、優先整備路線の着実な整備であり、都に優先整備路線の再検討を求めることはありません。
推進計画では電線共同溝方式を基本としていますが、整備費用は1㎞あたり5億円以上といわれ、従来の電柱を設置する場合の10倍以上の費用となり、こうした高額な整備費用が無電柱化の障害となっています。
コスト削減のため、小型ボックスの活用やケーブルを直接埋設する手法などの検討が行われ、京都市では直接埋設法の実証実験行われています。推進計画でも浅層埋設や既存ストックの活用などが示されていますが、実証により安全性が確認されしだい直接埋設なども取り入れていくべきではないでしょうか。お答えください。
区は24路線を優先的に無電柱化するとしていますが、そのうち11路線は新たな都市計画道路の整備と一体で実施し、それ以外の路線もすでに道路が整備済みの区間がほとんどです。
しかし、無電柱化が望まれているのは歩道も無く通行困難な箇所がある学芸前通りや狭量な歩道上に電柱がある桜台通りなどの通行人にとって危険な道路や人がにぎわう商店街などです。
都市計画道路の整備とあわせた無電柱化ではこうした道路が後回しになりかねません。危険で狭隘な道路こそ優先すべきではないでしょうか。答弁を求めます。
【平林土木部長】
昨年12月「練馬区無電中化推進計画素案」を公表、パブリックコメントを行い、現在、案として取りまとめ作業を行っております。この素案においても、低コスト手法の検討を掲げています。
区ではすでに、現在取り組んでいる主要区道6号線の無電柱化モデル事業において、東京都や電線管理者と浅層埋設などの低コスト手法について、技術的な検討を進めているところです。
なお、直接埋没方式は、現状では維持管理の上で課題が多いことから、モデル事業での採用は行っておりません。引き続き新たな低コスト手法の確立に向けて、東京都や電線管理者の協力を得ながら技術の検討を行っていきます。
防災機能の強化や歩行空間の確保、都市景観の創出の三つの視点から整備効果を検討したうえで、効率的な事業執行や財源確保の観点も加えて優先的に無電柱化する路線を選定いたしました。
これまで困難であった歩道の狭い既存道路も対象としており、合わせて、駅周辺などまちづくりに取り組んでいるエリア内の道路については、まちづくりの進捗に合わせて進めていきます。
なお、桜台通りや主要区道39号線については、生活幹線道路の整備促進路線に位置付けていないため、今回、選定しておりません。
この間、区内では採算性を理由に路線バスの減便・廃止などが行われ、区民の日常の足がなくなる地域もうまれています。また、17か所の出張所が6か所の区民事務所に集約されたことで廃止された出張所周辺の住民からは不便になったとの声が寄せられています。
内閣府の調査では普段の生活で行ける距離を徒歩で1㎞、自転車利用で3㎞と答える人が多く、駅周辺へ集約すれば離れた地域では生活圏内に窓口が無くなりサービス後退につながります。
高齢化がすすむことを考えれば相談窓口などは駅周辺への集約ではなく、徒歩圏内に設置し地域で暮らし続けられる環境を整備すべきではないでしょうか。
以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【佐々木企画部長】
様々な行政手続きや相談の窓口を駅周辺に集約して利便性を高めることは、多くの皆様の利益に資するものです。なぜ批判されるのか理解できません。
また一方、高齢化の進展を踏まえ、医療・介護の相談は、より身近な地域で行うことができるよう、本年4月、高齢者相談センターを25か所の地域包括支援センターに再編します。
今後とも、住民全体の利益を考えながらバランスのとれた施設配置を進めてまいります。私からは以上であります。