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議会報告
REPORT

2017年第4回定例会一般質問-島田拓議員(2017年12月4日)

2017年12月4日
日本共産党練馬区議団
島田 拓

【島田拓議員】

一般質問に立つ島田拓区議
(2017年12月4日、練馬区議会本会議)

日本共産党練馬区議団を代表して、一般質問を行います。
初めに区長の基本姿勢として憲法について伺います。

 2017年の総選挙で改憲派が3分の2の議席を占めたことを受け、安倍政権は、来年の通常国会で自民党の改憲案を国会に提出し、早期の発議を狙っています。

 改憲案の中身は、9条に3項を加え、自衛隊の存在を憲法に書き込むと言うものです。
しかし、これは災害などに対応する自衛隊ではありません。安保法制に示された、日本の防衛とは何ら関係のない戦争に自ら参戦する自衛隊であり、無制限に戦争に参加する仕組みが作られます。まさに戦争する国づくりです。

 そもそもこの憲法はなぜ作られたのか、それは日本国民310万人以上、アジア太平洋地域で2000万人以上の人たちが犠牲となった侵略戦争を二度と起こしてはならないとの決意からでした。改憲派の人たちは、9条は理想論だとか、実態に合わないと言いますが、今の世界は戦国時代のような切り取り勝手な世界ではありません。
国連が作られ、核兵器禁止条約に見られるように平和のルールが諸国民の運動と話し合いによって作られる時代です。こうした流れをむしろ体現しているのが憲法9条ではないでしょうか。

 人権規定も豊かな内容を持っています。その数は30条におよび、例えば25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」としています。こうした国民の経済的権利を憲法にまで明記している国は世界では日本とイタリアだけです。

 また24条では、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と男性、女性という言葉を全く使わず、LGBTなど両性の関係が社会的にどのように発展しても、個人の尊重と両性の平等という筋がきちんと通るようになっているのです。

 そもそも安倍政権に憲法を語る資格があるでしょうか。憲法違反の安保法制や共謀罪法などを強行し、憲法上開かなければならない臨時国会も開かず、沖縄辺野古では、地方自治を否定して、違法な基地工事を進めるなど、二重三重に憲法を踏みにじってきたからです。

 自民党は今回の選挙で多数の議席を獲得しましたが、比例票での得票率は33%、全有権者比でわずか17%しかありません。小選挙区制による虚構の多数であり、これで改憲が信任されたとは言えません。

 実際、4月のNHK世論調査では「9条が日本の平和と安全に役に立っているか」との質問に「非常に」が29%、「ある程度」が53%と計8割を超える人が「役に立っている」と答えています。

 憲法を変え、自衛隊が海外派兵されればどうなるか、日本が自ら戦争に巻き込まれ、自衛隊員の命だけでなく、国民が犠牲になる危険性さえあります。
また軍事費が増大すれば、社会保障費を圧迫し、軍学共同によって教育が歪められていくことになるでしょう。これでは区民の命や暮らしは守れません。今こそ安倍政権が進める憲法改悪に区として反対の声を上げるべきです。

 そして、そのために改憲を許さない3000万人署名に区として取り組むべきではありませんか。2点答弁を求めます。

 区はこの間、憲法の問題について「国政の場で議論を尽くすべき」「国会や政府の…動向を注視していく」と明言を避けてきました。
しかし、来年の区長選挙の際には、憲法を変えるかどうかが現実に国会で大きな焦点となり、選挙でもそのことが問われるでしょう。その時に今までのような「国の問題だ」として逃げることは許されません。いまこそ憲法に対する区長の基本姿勢を明らかにすべきです。

 【小西総務部長】
憲法に関わる課題については、国民による議論が最も大切で、国民の意思が尊重されるべきであると認識しております。

 国民の代表である国政の場で論議を尽くすべき課題であり、自治体として意見表明や署名活動を行う考えはありません。

 


【島田拓議員】
次に、国民健康保険について伺います。

 来年度から国保制度が都道府県化されるもとで、東京都は11月21日国保運営協議会において、各区市町村が都に収める納付金と標準保険料率を定める算定方法を盛り込んだ運営方針案を答申しました。

 方針案では、区市町村が負担軽減のために行っている一般会計からの繰入れ措置を行わず、都が激変緩和措置を行うなどの条件で、各自治体の納付金額を試算しています。

 それによると、一人当たり保険料は15万2511円で、法定外繰り入れを行った今年度の保険料11万8172円と比較して1.3倍、約3万4千円の値上げです。

 党都議団が、世帯収入別の試算を行ったところ、年収300万円の45歳子ども二人の4人世帯で、今年度と比べ5万4千円増の41万1957円に、65歳以上の単身世帯でも年収200万円で1万1千円増の約9万5千円となります。

 今回の値上げは、今年度は一人当たりの平均で過去最大の7252円も値上げされ、区内ほぼすべての加入世帯が影響を受け、今でも高すぎる国保料に限界だと悲鳴を上げている区民に対し、さらなる負担増を強いるものです。

 これで適切な負担といえるのか、区の認識をお答えください。

 しかも、都は6年かけて激変緩和措置を行うとしていますが、引き上げることに変わりはありません。6年の間に区民の給与や年金所得が増えるような経済状況の見通しもきわめて厳しいなか、国保制度のあり方そのものが問われる事態となります。これ以上の保険料の値上げを許さず、引き下げさせることこそ必要です。

 全国知事会、市長会や区長会は、国に対し持続可能な制度として維持するためにさらなる国の財政支援が必要と要望書を出していますが、今こそ、国の責任で抜本的な財政支出を行うことを約束させるべきです。

 合わせて低・中間所得者、多子世帯への保険料軽減策や保険料の減免・減額の対象・条件の拡大など、国と都に対し軽減対策を強く求めます。お答えください。

 都の方針案において、保険料の負担軽減のための法定外繰り入れを国保財政の赤字と見なし、「計画的・段階的解消」をめざすとしていることは大きな問題です。
一般会計からの繰入れを解消していくとの方針は、今後、大幅な保険料の増加につながることは避けられません。都の方針案の見直しを求めるとともに国と都がどれほどの財政措置を図れば、保険料負担の上昇を抑えられるのかの試算を示すべきです。

 区では、法定外繰り入れを減額し、多い時には60億円あった繰入金が昨年度は38億円まで減り、一方で保険料が引き上げられてきました。法定外繰り入れは、保険料の負担軽減には欠かせない財源で、厚労省も「自治体で判断いただきたい」と法定外繰り入れ自体を否定していません。
少なくともこれまで行ってきた一般財源からの60億円程度の繰り入れによる負担軽減は可能であり、実施すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 今回の制度改定が、今まで以上に区民に過酷な負担を押し付けることは明らかで、暮らしも医療を受ける機会も奪われかねない事態です。このままでは大変な負担になるということを区民に早急に知らせることが必要で、ただちに世帯別、収入別の保険料額のシミュレーションを行い、今年度保険料額と比較し公表することを求めます。
同時に今後の23区としての調整協議、また多摩地域の自治体も含めた都との協議をどのように進めていくのか、現在の検討状況をお示しください。

 区民のくらしを守るために、収納対策の改善も必要です。区が行っている勤務先や取引先に給与や売掛金の差し押さえ・通告は、社会的信用を著しく損ない、生業を失うなどリスクの高い取り立てです。
しかも都の制度では、収納対策を財政的に評価する仕組みがつくられており、滞納処分の差し押さえ件数や資格証発行件数などの実績で交付額が増える仕組みです。
これにより、自治体を過度な徴収強化に走らせる恐れがあります。

 こうした制度にくみせず、まずは区民本人と綿密な納付計画を協議し、社会的信用を損なうやり方は改めること、生活状況が困難であれば生活再建を合わせて進められるよう、親身で丁寧な対応に努めていくことを強く求めます。

 【唐澤区民部長】
今般、東京都は、国保運営方針案を公表し、平成30年度の区市町村の標準保険料率と一人当たり保険料を明らかにしました。これは、あくまでも「参考」の位置付けとして示されたもので、そのまま適用するものではありません。
適用される見込みのない数字をあたかも確定しているかのように、様々なシミュレーションを行い、発信することは、区民に誤解と混乱を招くものです。

 都内被保険者の7割を占める特別区では、従来から同じ所得・世帯構成であれば同じ保険料になるよう、統一保険料方式による運営を行っています。

 都は、将来的には保険料水準の平準化を目指していますが、区市町村の医療費水準や収納率の差異が大きいため、平成30年4月から直ちに統一の保険料水準にすることは難しいとしています。

 23区では、医療費水準の差が少なく、区長会では、今後も原則として、統一保険料による運営の維持を図り、適切な保険料負担を目指すものです。

 次に、保険料軽減策の要望についてです。

 区は、すでに区長会を通して、国や都に対して、低所得者層や多子世帯への支援、また、保険者の財政支援を求め、強く要望しています。

 次に、法定外繰入による保険料負担の抑制についてであります。

 平成28年度の法定外繰入が、前年度より22億円あまり減少したのは、高額薬剤の薬価が引き下げられたことにより、医療費が例年並みになったという結果です。意図的に減額を行ったというものではありません。法定外繰入を行うことは、国保加入者以外の区民の負担を強いることになります。区では、都の運営方針に基づき、保険料の急激な負担増にならないよう十分配慮しつつ、法定外繰入の計画的・段階的な削減を進め、給付と負担の公平性の確保に努めてまいります。

 次に、市町村も含めた都との協議についてであります。
新制度移行後、都と区市町村が一体となって国保事業を運営していくに当たっては、共通の課題を検討し、調整していくことが重要です。今後も引き続き、都、区市町村および東京都国保連合会からなる連携会議を通じて、きめ細かく協議を行ってまいります。

 


【島田拓議員】
次に、介護と医療についてお聞きします。

 この間、財務省が主導して医療介護をはじめとする社会保障の削減が重ねられ安倍政権の5年間で社会保障費は1兆4600億円も抑制されてきました。

 まず介護について伺います。これまで要支援者を保険から外す総合事業や利用料の2割負担の導入、事業者には介護報酬の切り下げなど改悪が続いてきました。
国はさらに、保険料は値上げの一方で要介護1と2も総合事業に移行させ、介護報酬の切り下げをはじめ生活援助の利用回数制限や人員基準の緩和が狙われています。
また来年度の保険料値上げや介護利用料3割負担の導入なども検討されているのです。

 こんなことをすれば認定者の6割以上が保険から締め出され、まさに保険あって介護なしの国家的詐欺という事態です。

 練馬の現状はどうでしょうか。2015年の報酬引き下げによる事業所の経営難は深刻で、区が実施した高齢者基礎調査では「報酬が下がり非常に厳しい状況」「現場を重んじる制度に」といった事業者の声が出されています。

 実際、デイサービスなど報酬の少ないものは縮小傾向にあり、サービスが後退しています。人手不足でサービス残業も多く、介護の質の低下につながりかねません。
また利用者からも「生活援助の時間が減り、四角い部屋を丸くしか掃除できなくなった」という声が出され、制度改悪が本人や家族に困難をもたらしています。
ところが、区は、こうした制度改定の影響を検証もしてきませんでした。しかも先ほどの述べたように国はさらなる改悪を狙っているのです。

 現状を危惧する介護福祉士会、老人クラブ連合会など11団体が「介護の現場を守るため」としてわずか1か月で180万の署名を集め、政府に提出しました。苦難を打開したいという思いの反映に他なりません。
介護保険は公的制度であり、担うのは多くが民間でも、事業者の経営もサービス提供も行政に相応の責任があります。区は切実な声に応え区民や事業者とも力を合わせ社会保障切り捨てに反対し、国に財源確保と制度の改善を求めるべきです。

 また困難打開には不可欠である介護報酬の引上げを国に強く要請するとともに、区として介護保険料、利用料の軽減対象を拡大するべきです。またこれまでの制度改定の影響を区として利用者目線で検証する必要があると考えますが、いかがですか。

 【中田高齢施策担当部長】
介護保険制度は創設から17年が経ち、約1万人であった要介護認定者数は平成27年度に3万人を超え、高齢者の生活を支える基幹的な制度として定着しています。

 一方、介護サービスに係る給付費は、平成28年度は458億円に上り、16年間で約4倍となっています。今後も更に高齢化が進み、団塊の世代が全て後期高齢者となる平成37年度には、介護給付費は約1.4倍の632億円に増加する見込みです。

 持続可能な制度を維持するためには、負担能力に応じて一定の自己負担を求めることが必要です。そのため、3割負担は現役世代並の所得がある方を、2割負担は合計所得金額が160万円以上の方など一定の所得がある方を対象としたものであり、国に見直しを求める考えはありません。

 区ではすでに、一般財源を介護保険会計に繰り入れるなど、保険料や利用料の軽減策を実施しています。国に対しては、保険料負担を軽減するための財政措置や、国の責任において低所得者への軽減策を講じること、介護従事者の処遇改善や事業者の取組を介護報酬に反映することについて、区長会等を通じて要望しています。

 制度改正の影響についてです。今年3月に実施した高齢者基礎調査では、平成27年度に開始した介護予防・日常生活支援総合事業の利用意向について、約5割の方が「利用したい」と回答し、「利用したくない」は1割弱にとどまっています。また、利用料の負担感については、「負担と感じる」と回答した方は要介護認定者の約3割、「負担と感じない」は2割弱となっています。

 区は、高齢者基礎調査で把握した実態や今後の高齢者の増加を踏まえ、第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を策定するなかで、地域包括ケアシステムの確立と制度の持続可能性の確保を進めてまいります。

 


【島田拓議員】
次に医療についてです。地域医療構想では、病床の再編により全国で15万6千も病床を減らす方針です。練馬が属する医療圏は、回復期の将来必要数が4879床と現状の3倍になっている一方で、急性期は5513床と400床少なくなっており、急性期の増床に一層ブレーキがかかっています。

 この間、区内の増床も回復期や慢性期が主になっています。もとよりそうした病床も必要ですが、練馬にとっての大きな課題の一つは、居住地から近くになければならない急性期を増やすことであったはずで、高齢化が進むもとでその必要性は増しています。

 練馬で急性期の増床のために何が課題になっているのか。その課題を克服するために何が必要で、どう克服しようとしているのか。お答えください。また、実態に合わない国の方針に反対の声を上げるべきではありませんか。お答えください。

 病床削減は、患者をより苛酷な状況に導くものです。とりわけ病院が少ない練馬区では早期退院が一層強まることが懸念されます。そうなれば短期間での退院を強いられ、本人や家族の負担が増大します。
また在宅時に利用する24時間対応の医療や介護の体制整備や、医療と介護の連携などの構築が必要で、問題は山積みです。

 病院整備の取組みと同時に、訪問診療など在宅医療の体制強化が必要になっていますが、区の調査では訪問診療をしていない診療所は74.5%、今後も実施しないは6割となっています。

 体制構築に行政が責任を持って必要量や整備目標を立て、訪問診療への積極的な参入を促す取り組みを進めることが必要です。現状認識と今後の取り組みなど区の考えをお聞かせください。

 結局、国は社会保障費削減のためコストのかかる急性期病床を減らし、受け皿も不充分なまま在宅への流れを加速させているのです。さらに診療報酬を引き下げれば医療崩壊を招き、地域医療にも重大な足かせになりかねません。引上げこそ必要だという声を国にあげるべきではありませんか。お答えください。

 医療と介護は重大な局面にあります。要因は高齢者の増加に比べ、公的サービスが遅れていることです。区は、医療と介護等当事者のニーズに応え、暮らしに冷たい政治から区民を守る防波堤となることを強く求めます。

 【森田地域医療担当部長】

 

 練馬区は人口10万人当たりの病床数が23区で最も少なく、急性期から慢性期まで全ての病床機能が不足しています。「超」超高齢社会に対応するには、急性期から回復期、慢性期、在宅医療に至るまで切れ目のないバランスのとれた医療提供体制を整える必要があります。

 しかし、区内で病院を整備し、病床を増やすには、まとまった土地を確保する困難、交通至便な東京で病院経営の採算を確保する難しさ、医療圏における病床数の制限など、大変困難な課題があります。
こうした中、区は、急性期機能については順天堂練馬病院を誘致して400床を整備し、現在90床の病床事業に取り組んでいます。

 回復期機能については、区内に全くありませんでしたが、平成26年の練馬駅リハビリテーション病院、平成29年のねりま健育会病院の開院など、整備を進めてきました。

 回復期病床は、急性期を脱した患者に治療やリハビリを行い、在宅復帰を支援するものです。都の地域医療構想において、区西北部医療圏では、高齢化の進展に伴い、特に回復期の需要が高まると予測されています。地域包括ケアシステムを支える重要な役割を担う回復期機能を区内においてさらに整備する必要があります。今後、高野台運動場用地を活用した病院誘致や練馬光が丘病院の改築にあわせ、回復期の病床増に取り組んでまいります。

 増床を進めるうえで、区西北部医療圏において病床が偏在していることが大きな課題です。このため、地域医療構想の検討過程で、区と区議会は一体となって病床偏在の是正を地域医療構想等に盛り込むことなどを都に要請してきました。国に対しても、区は、基準病床数の算定方法の見直しを特別区長会を通じて繰り返し要望しています。そのことは島田議員もご承知のはずであり、今回このようなご質問を頂いたことに困惑しております。

 次に、在宅療養の体制強化についてです。

 高齢化に伴って、区内の訪問診療対象患者数や在宅看取りの件数は、今後大幅に増えていくと見込んでいます。在宅療養の充実には、医師だけではなく、訪問看護師や薬剤師、介護職など在宅療養生活を支える専門職が連携して患者や家族を支援する体制が不可欠です。

 区では、国が全市区町村に30年4月からの実施を求めている在宅療養・介護連携推進事業を、他自治体に先行して27年度から実施するなど、医療・介護関係者と協議を重ねながら、在宅療養の推進に取り組んでいます。

 根本的に、医療や介護サービスは民間の創意工夫のもと提供されるものです。区は引き続き、医療・介護関係者と議論を重ね、自発的な取組みを側面から支援してまいります。
なお、2025年を見据え、持続的な社会保障制度を確立し、効率的で質の高い医療提供体制を構築することが不可欠です。区として診療報酬の見直しについて国に要望する考えはありません。

 


【島田拓議員】

 次に保育園待機児解消について伺います。

 区は来年4月の待機児解消に向けて700人分の定員枠の拡大に取り組んでいます。
しかし、昨年度は1000人の定員を拡大しながらも830人の子どもたちが保育所等に入ることができませんでした。本当に700名で待機児解消できるのか疑問を感じざるを得ません。今こそ実態を直視すべきです。

 区は830人を待機児とせず、国の定義により除外される児童数を差し引いた48人を待機児としています。
一方、児童福祉法24条には保育を必要とする児童への保育実施義務が明記されています。

 区は、国の待機児の定義により外された782人について保育義務を負うべき児童であるとの認識をお持ちでしょうか。明確にお答え下さい。

 この間、区は待機児ゼロ作戦など多くの定員増を行う一方で、整備の軸を認可保育所から小規模保育施設や練馬こども園へ移す方針転換を行いました。
しかし、区民の意向はどうなっているでしょうか。一時募集時点の0~2歳の第一希望を見ると、小規模園を希望した人の倍率は0.17倍、2歳までの認可園は0.3倍であるのに対し、5歳までの保育を実施している認可園は1.5倍と、多くの保護者が5歳までの一貫した保育を実施する認可園を希望しています。

 また、小規模保育を利用している場合でも3歳以降の預け先が決まるかの保障がなく、2歳を待たずして認可園に申込みを行うなど、小規模園を利用している場合でも5歳までの認可園を求めているのです。

 区は、こうした区民の意向を直視せず、2歳児までの保育園ばかりを増やしてきました。
その結果、ついに3歳児以降でも待機児が増えしまいました。区は緊急措置として1歳児1年保育や3歳児1年保育のような一時的な対応で乗り切ろうとしています。

 こうした事態となる背景の一つとして、区の保育利用者数の見込みの甘さがあります。「子ども・子育て支援事業計画」の年度別需給計画では2号認定、3号認定ともに2016~2017年度に保育利用量はピークを迎え、その後は減少すると推計しています。
しかし、支給認定者数はいずれも増加し続け、就学前人口に対する割合は2015年度で約35%でしたが、2017年度には約46%と大きく増加しています。
政府は女性の就業率をさらに引き上げる方針であり、例え就学前の子どもの数が減ったとしても保育利用はさらにすすむことが予想されます。子ども子育て支援事業計画の需給計画は抜本的に実態に見合った物に見直すとともに待機児解消は多くの保護者が希望する認可保育園の整備を中心に行うべきです。2点お答えください。

 前定例会で区長は、わが党に対し「いつから認可保育所のみが保育所だ」との考えに変わったのかと発言しています。しかし、保育室制度などは、児童福祉法第24条のただし書きに基づき認可保育園の補完的役割としてすすめてきたものであり、認可が基本であるとことは変わりなく、保育室などを否定しているわけでもありません。区長の発言はわが党の姿勢を歪めるものです。

 区は3歳児1年保育の実施理由として練馬地域では練馬こども園による3歳以降の定員拡大や保育所整備の適地の確保が難しいうえ、3歳児が入園できなかった際に保護者が退職せざる得なくなる状況を回避しなければならないからと説明しています。

 しかし、こうした一時的な対応でいいのでしょうか。

 党都議団の聞き取りでは今回保育ステーションとして活用する都有地は都側から借用期間の制限は無かったとのことでした。にもかかわらず、わざわざ練馬区から3年間の借用期間に限定したと聞いています。しかもバス移動や保護者と保育士とのコミュニケーションに課題がある送迎保育は子どもへの負担が大きく、まさに区の姿勢が問われています。

 区は今後も保育利用者の増大が予想されるなか3年間でどのように練馬地域の待機児解消を図ろうと考えているのでしょうか。
また、適地確保が難しいと認めているのであれば今回活用する都有地は送迎ステーションではなく認可保育所の整備にも活用すべきです。2点お答えください。

 【前川区長】
私は、区長就任以来、全国的にも突出した待機児童対策を実施してきたつもりであります。

 認可施設だけを見ても、平成28年4月までの3年間で、都内最大となる3200人以上の定員増を実現しましたが、これは、基礎的自治体としては全国トップの取り組みであります。これに加え昨年度は、1000人以上の定員拡大を行い、さらに全国に先駆けて本格的な幼保一元化施設「練馬こども園」を開設いたしました。

 特別区として考えうる、質量ともに最大限の対策を講じてきました。この事実を頭から認めずに、なぜ、何が何でも区政を批判しようとされるのか、まことに不思議な気がいたします。

 保育需要と待機児童数を比較してみると、待機児童数が最大であった平成25年は、保育需要が11,707人に対し待機児童数が578人でありました。本年4月には、需要が15,169人と大幅に増加したのに対し、待機児童数は48人であります。需要に占める待機児童の割合は、約5%から0.3%にまで劇的に減少しております。

 区の待機児童数48人の算定の考え方は、国の新しい定義に基づくものであります。お話の830人は、これに、国が待機児童から除外すると認めている認可外施設の入所者や特定園のみの希望者、育児休業中の方を意図的に加えているものであります。

 私が前定例会で共産党のご質問に対し答弁した趣旨は、認可保育所以外の保育室、家庭福祉員などは、大都市特有の多様な保育ニーズに応えるため、当時の都政で共産党の皆さんと一緒に国と闘って創設し育ててきた制度であるということであります。
それが、やっと現在の児童福祉法では、小規模保育所などとともに正面から認められました。喜ぶべきことでこそあれ、なぜ、私の発言が批判されるのか、全くわかりません。

 島田議員には、区の努力をきちんと認めていただいたうえで、正確な事実認識に基づいた建設的な議論をお願いしたいと思います。
私からは、以上であります。その他の質問につきましては、関係部長が答弁いたします。

 【堀こども家庭部長】
私から、保育所待機児童対策についてお答えします。
まず、児童福祉法第24条についてです。同条は、認可保育所だけで保育を実施すべきという規定でないことは明らかです。小規模保育事業など一定の基準を満たした施設や事業も対象となっており、国の待機児童の定義もその趣旨に沿ったものであります。区は、国の定義に基づきながら、認可保育所だけでなく、他の保育施設などを含め、保育ニーズに応えてまいります。

 また、現行の子ども・子育て支援事業計画は、子育て世帯を対象としたニーズ調査や利用実態等を踏まえ、平成27年3月に策定したものです。今年度、近年の出生数の増加等を踏まえた中間の見直しを行います。その中で、適切に需要を把握し、必要な対策を講じてまいります。

 練馬地区については、私立幼稚園が少なく、練馬こども園による3歳以降の定員拡大が難しい状況があります。そこで、当面、民間の保育所等の整備が見込まれない、3年間に限定して、3歳児1年保育を実施することとしました。

 今後も、大都市特有の多様な保育ニーズに応えるため、練馬こども園の推進とともに、認可保育所だけでなく、小規模保育事業、家庭的保育事業の整備や既存施設の定員拡大など多様な手法を講じ、待機児童解消に全力で取り組んでまいります。私からは以上であります。

 


【島田拓議員】
次に委託・民営化について伺います。

 前川区政では、委託・民営化を「区民サービスを充実し、向上すること」「持続可能な仕組みをつくる」ことを実現する手法として、区政改革の中心的方針として進めています。

 委託については、この間、とくに保育園を例に挙げ、大変な仕事であるにもかかわらず人件費が低いため、長続きせず、次々と職員が辞めるような状況が生まれており、子どもと保護者、事業者と職員の関係構築にも深刻な影響が出ている中で、質やサービスの後退を招きかねず、ケガや事故など安全性に問題があることを指摘してきました。私どもは民間事業者自体を否定しているわけではありません。問題は、区直営時より安い経費で運営されることで、保育事業の8割を占める人件費が削られ、一般職に比べ低い保育職員の給与がさらに下がること、その影響で保育の質が下がりかねないことを懸念しているのです。

 ところが、区はこうしたわが党の質問に対して、正面からの答弁は避け、「官尊民卑の固定観念」があるかのように決めつけ、委託による実態を見ようともしません。こうしたもとで、区が言う業務委託などにより、一定期間安定的・継続的に良好な運営がされている施設を民営化すればどうなるでしょうか、それは実際に民営化された区立特養の実態を見れば明らかです。

 先の2016年度の決算審議では、民営化された特養ホームなど社会福祉事業団が担う介護サービスの事業報告がありました。その中で特養は、利用率は上がっているにもかかわらず1820万円の赤字が計上された施設があること。5つの特養全体で1100万円の赤字、直近の12年間連続での累積赤字が2億700万円を超える施設も出ており、デイサービス事業でも3か所が赤字で、全体として収支差額が昨年より3100万円の減になっているとの報告がありました。

 民営化された事業団の収益構造は、特養の赤字をデイサービスなどの他事業で補てんし、全体として何とか黒字という状態ですが、2016年度はそのデイサービスなど他事業の収益自体が全体的に減少しています。

 事業団は、2003年からの3年間で介護職員給料を3割から4割カットしています。にもかかわらず、これだけ厳しい状況が続いているということを考えると「良好な運営」であるととても言えません。

 さらに区は、今後、当初の約束を反故にして事業団が経営している特養などの施設の改修・改築などにかかる費用まで事業団任せにしようとしています。確かに事業団は全体で9億円程度の積立金を持っています。しかし、直近の田柄特養の改修ですら13億円余の費用がかかっていること、築25年になる施設を複数抱え、今後改修・改築費用がかさむことを考えれば、とても9億円程度では賄いきれません。

 いま介護職員のなり手がなく、給料アップが叫ばれている中での給与のカットは人材確保に逆行しています。それほど厳しい状況なのです。事業団は2003年から自立経営に転換し、区は補助などを行ってきませんでしたが、元々は区立施設であり、区民サービスの低下を招かないために区が必要な支援をすべきです。また、施設の改修改築にあたっては当初の約束通り、区が責任を持つべきです。2点お答えください。

 これまで介護報酬は連続して引き下げられ、老人福祉・介護事業者では2015年比で1.4倍の108件が倒産を引き起こすような状況が生まれています。にもかかわらず国の来年度予算では、社会保障費の自然増分を削減するため介護報酬の引き下げなどが狙われています。

 そうした時に民営化を進めるということは、国の介護取り上げ、福祉切り捨てにさらに拍車をかけて区民を苦しめるようなものです。仮に、制度が持続できても、負担が重すぎて、利用料が払えなければ制度自体が使うことができず、何の役にも立たないではありませんか。区長が言う「持続可能な制度」「新たな自治を創造する」ということが、そうしたことであればとても賛成することはできません。

 そもそも介護など福祉事業はもうけを上げられるものではないからこそ、国や地方自治体など公が責任を持ってやってきたのではありませんか。福祉事業の質の低下を引き起こし、お金のあるなしで福祉サービスが受けられなくなるような委託化・民営化の方針は改めて見直すことを強く求めます。この件についてはぜひ区長に答えていただきたいことを求め、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

 【中田高齢施策担当部長】
初めに、練馬区社会福祉事業団についてです。
平成23年度に事業団に運営を移管した特別養護老人ホーム及び併設のデイサービスセンターは、区が土地・建物を無償で貸し付け、事業団が自立的に運営を行い、質の高いサービスを提供しています。

 事業団の平成28年度決算は、全体収支で約2億2千万円の黒字であり、過去5年間の黒字額の合計は、約10億円となっています。また、本年10月に実施した税理士による経営診断では、「流動比率・当座比率は非常に高く、潤沢な資金を有している」「借入金はなく、自己資本比率は90%近くある」など、資金力、経営の安全性ともに高い評価を受けています。したがって、新たに補助などの支援を行う考えはありません。

 また、民営化した特別養護老人ホームの施設改修については、区立施設等の維持・更新に係る財政負担が大きな課題となるなかで、長期的な視点から練馬区の実情に即した望ましい施設となるよう、他施設と同様な見直しを行うものです。現在、事業団が改修を行い、その経費の一部を区が支援する方式へと移行するため協議をしています。当然のことながら、施設運営や法人運営に支障がでるような見直しを行う考えはありません。

 次に、委託・民営化の方針についてです。
区立施設の運営は、児童虐待への対応や生活困窮者の支援など区が直接担うべき分野は直営とし、民間の知恵と経験を活用したほうが効果的な業務は民間が行うことが基本です。
介護・福祉事業では、従前より社会福祉法人だけでなく、株式会社やNPO法人など多様な担い手が、その柔軟性を活かして質の高いサービスを提供しています。委託・民営化方針を見直す考えはありません。

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