日本共産党練馬区議団を代表して、議案第48号区立学童クラブ条例の一部改正条例、および議案第49号練馬区ねりっこクラブ条例の一部改正条例に反対の立場から討論を行います。
今回の改定理由は、ねりっこクラブを推進するとして、これまで委託してきた学童クラブのうち5校をねりっこクラブに移行させ、新たに区立直営学童クラブ5カ所を民間委託するという内容です。
今年度の学童クラブ待機児が340人と過去最多で深刻さが増しているもと、区は待機児解消の方針を「すべての小学生に充実した放課後の居場所を提供することを重要な課題と位置づけ、ねりっこクラブを創設し、学童クラブの入会希望者の急増にも有効な対策と考えている」と述べ、学童クラブの増設は民間誘致に限定して区立整備を拒み、ねりっこクラブの拡大で受け入れ人数を増やしていくことを明らかにしています。
反対理由の第一は、ねりっこクラブが抱える矛盾です。
ねりっこクラブは、現在8校で実施し、来年度は13校に実施を拡大、ゆくゆくは小学校65校全校で展開する方針です。
しかし、ねりっこ学童クラブは「定員の考え方」があいまいで、「支援の単位45人」を基準に2ユニット90人を基本としていますが、実施8校中5校で80人以上、うち1校が定員に達し待機が生じています。
定員を30人も増やしたねりっこクラブでも受け入れの限界が見えているのです。
しかも、来年度実施予定の富士見台小では、第1第2学童で定員100人が在籍し、待機もいることから支援単位を3ユニット、最大135人規模のねりっこ学童クラブとする方針です。このことは今後、待機児童を出さないために「支援の単位」を増やし、定員の上限を事実上なくすことにつながるのではないかと危惧します。
また、専用スペースについても、学童保育の生活基盤として欠かせないものでありながら、学校施設の確保は困難を極めています。学校と協定を結ぶとはいえ、向山小ねりっこクラブでは実施1年でセカンドスペースとタイムシェアの教室の変更を余儀なくされ、他校では確保した活動スペースが60人と30人の部屋に分かれ「支援の単位」での運用にそぐわない事態が生じています。
実際、集団の大規模化で子どもの安全性や一人ひとりに寄り添った温かい人間関係を築くゆとりが奪われていること、活動場所の確保も学校側との調整は簡単ではなく、学校側・現場の事業者双方に過重な負担がかかっています。
区は、学童保育の機能を維持すると繰り返し強調しますが、ねりっこの運営は安定性を欠き、学童機能を弱めていると言わざるを得ません。こうした事業の矛盾や問題点があるのに、きちんとした検証もしないまま、ねりっこクラブを拡大していくことは許されません。
反対理由の第2は、民間委託の拡大による従事者の非正規化と保育の質の低下です。
全国学童保育連絡協議会が2012年に行った調査では、学童クラブで働く指導員9万2500人のうち8割近くが非正規職員であり、年収が150万円を下回り、勤続年数も3年以下となっている実態が新聞報道で明らかになりました。
区の学童クラブの委託化は歯止めがなく、来年度、条例改定でねりっこを含め40施設に増加し、委託比率が4割を超えます。
この間、指摘してきた職員・従事者の労働条件や低賃金、人手不足など処遇改善についても、区は事業者任せの姿勢は変わりません。民間委託をさらに進めることは学童機能と質の悪化、子どもへのしわ寄せにつながるものです。民間委託方針は撤回すべきです。
反対理由の第3は、今取り組むべきは学童クラブの待機児解消と環境改善であるということです。
学童クラブの待機児童数は今年度過去最多の340人、弾力運用で737人も定員超過してなお、2年生、3年生の継続利用が非常に困難な状況が続いています。
区が施設を増設しないため、雨天の場合のみ使用可能とされた教室の一次的利用で定員数を増やした施設もあり、すでに過密状態は限界です。
増え続ける待機児の解消を直ちに行うためにも、過密学童の環境改善のためにも、6年生まで通える学童クラブの充実のためにも、増設・分割は待ったなしです。こうした保育環境の改善、向上のための手立てをとることこそ最優先課題として行うべきです。
学校近隣での公共施設や民間施設を使用できる選択肢を汲みつくし、学童クラブの増設も民間事業者による誘致に限らず、区立として借り上げ整備する、区職員として安定した雇用形態で募集し経験豊かな指導員の育成を行っていくなど、区としてやるべきこと、やれることは多くあります。以上の理由を述べて、日本共産党練馬区議団を代表しての反対討論といたします。