2017年第2回定例会一般質問 2017年6月14日 日本共産党練馬区議団 坂尻まさゆき
【坂尻まさゆき議員】
私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行ないます。
最初に区長の基本姿勢として、第1に憲法9条の改憲問題について伺います。
安倍首相が憲法9条に第3項を設け自衛隊を明記する改憲を行ない、2020年に施行すると表明しました。首相が改憲発言をすること自体が大問題です。
第1に、憲法に定められた公務員の憲法尊重擁護義務に反すること、第2に、首相に改憲発議の権限はなく、改憲の内容に加え時期まで表明することは立法府への不当な介入にあたること、第3に、オリンピックと改憲を結び付けることは、政治利用を禁じたオリンピック憲章にも反することです。
首相の立場で改憲の旗を振ることは、明らかに憲法違反であり越権行為です。区長も憲法尊重擁護義務を負う立場にありますが、首相の改憲発言をどう捉えていますか。お答えください。
【小西総務部長】
公務員に憲法を尊重し養護義務があることは、論を待たないところであります。一方、憲法には改正について規定した条文もあります。
公務員が憲法の改正について発言することと、憲法尊重養護義務は何ら矛盾するものではないと考えています。
この9条改憲案は、単なる現状追認に止まらない重大な意味を持っています。
憲法9条は第1項で武力行使や戦争を放棄し、2項で戦力は持たないとしています。これに第3項を加え、自衛隊を明記したらどうなるか。自衛隊はこれまでの制約から解き放たれ、海外での武力行使は無制限となり、9条2項は死文化することになります。発足以来、海外で一人も殺さず、殺されなかった自衛隊の性格を根本から変えるとともに、日本の軍事国家への道を開く重大な改悪に他なりません。
練馬区は非核都市練馬区宣言のなかで、平和憲法の精神に沿って核廃絶とともに、軍縮の推進についても「積極的な役割を果たすべき」とし、そのために努力することを宣言しています。しかし軍事費は安倍政権のもと膨張が続き、憲法9条が死文化されればさらに拡大しかねません。非核都市練馬区宣言の、軍縮の推進に逆行することになります。
また練馬は二つの自衛隊駐屯地を抱えています。安倍首相のいう改憲が実現すれば区内の自衛官たちが、イラクやアフガンのような戦争に駆り出されることも考えられることです。
区長はこうした問題を含んだ、改憲の動きをどう考えていますか。平和憲法の精神を守り軍縮のために努力する立場から、9条改憲に反対するべきではありませんか。区長の認識と見解をお聞きします。
【小西総務部長】
憲法9条に係る問題は、憲法に定める平和主義を堅持しながら、我が国そして国際社会の平和と安全が、どうすれば守れるのかが問われている、極めて難しい問題であると認識しています。
区といたしましては、国会や政府の憲法に係る議論の動向を注視してまいります。
第2に、いま国会で焦点となっている共謀罪法案について伺います。
先月、テロ等準備罪いわゆる共謀罪法案が衆議院で強行採決され、参議院で審議がされています。
共謀罪は国際組織犯罪防止条約批准のためとされていますが、この条約はテロ対策が目的ではないうえに、日本はすでにテロ防止のため13本の国際条約を結んでおり、政府のいう立法根拠は崩れています。共謀罪など必要ありません。
これまで、安倍政権はモノ言う市民を監視し抑圧するために、秘密保護法、盗聴法改悪、司法取引の導入、マイナンバーを強行してきました。共謀罪法案はこれをさらに進めることが狙いです。
この法案の最大の問題は、実際に犯罪行為がなくても犯罪を相談、計画したと見なされれば逮捕・処罰されるということです。政府は「準備行為があって初めて処罰される」と説明していますが、目的を知るために、結局心の中を探ることになります。思想・内心の自由を侵害することは明らかで、際限のない国民監視社会となることが強く危惧されます。日常の言動が犯罪と結び付けられ、冤罪を生み出す危険も高まります。
政府は一般人は対象にならないと言いますが、誰が一般人なのか、どれが犯罪組織なのか判断するのは警察です。共謀罪の制定は警察による市民監視をますます強めることになりかねません。
実際、昨年の参院選では大分県警別府署が野党統一候補を支援する団体の事務所を監視していた事件が起き、岐阜県大垣署は風力発電所建設をめぐる勉強会を開いただけの住民を監視し、機微なプライバシーを収集して事業者に提供し、住民運動つぶしの相談さえしていたなど、共謀罪のない今でも、人権侵害の不当な捜査が現に行われているのです。
区内にも暮らし、平和、まちづくりなどに関わって様々な住民運動が存在しています。共謀罪で警察による不当な監視が強化されれば、そうした運動に関わる一般区民が捜査対象になるかもしれず、区に個人情報の提供が依頼される可能性もあることから無関係とは言えません。捜査機関の判断ひとつで不当に住民を監視し、憲法19条にも反する共謀罪法案は明確な違憲立法であり、決して許されるものではありません。
練馬区としても、国へ反対の意見を上げるべきです。答弁を求めます。
【小暮危機管理室長】
組織犯罪処罰法の改正については、国民の代表である国会において、国会法の手続きに従って、現在、審議がなされているものと認識しております。
区として意見を申し上げる考えはありません。
次に学童クラブとねりっこクラブについて伺います。
第1は、学童待機児の早急な解消を目指すことです。
学童クラブは、小学生が過ごす放課後の生活の場であり、保育園と同様に入所希望者が急増しており、待機児対策は急務の課題です。
先日発表された今年度の学童クラブの状況は、91ヶ所4702人が在籍し、待機児童は340人と過去最多です。この待機児童数は、弾力運用や緊急措置などで737人も定員を超えて詰め込み、なお生じていることから近年最も過密で深刻な事態だと言えます。
しかし区は、今後も需要の増大が見込まれると言いながら「ねりっこクラブ」を5年で20校、将来的に全校で実施する方針のもとで、学童クラブの増設は民間の誘致に限定し、区立学童クラブの整備は考えていないと極めて消極的な姿勢です。
子どもを通わせている保護者からも「年度代わりに定員を65人に増やす話を聞いた。待機になるよりはと思うが、部屋が混みあいすぎて子どもも指導員も疲れている」、「何年も緊急措置のまま。待機の子もいるのでスペースを確保して分割してほしい」、「2年、3年になっても通いたいと子も親も望んでいるが、今年は3年生が2人しか入れず絶望的。署名を父母会で取り組んでいる」など切実な声が多く寄せられています。
区の学童クラブの施設面積基準は一人当たり1.65㎡で、保育園2歳児クラスの1.98㎡より狭い基準です。体格も大きい成長期の小学生が40~70人も集団生活するなかで、活発な行動を制限せざるを得ず、ケガやトラブルを招きやすい環境になっているのです。区は基準を満たしているから問題ないと言いますが、保育の質と安全面で望ましい生活環境と言えるのか、2・3年生の継続利用の保障とともに、何年も放置している過密状態を直ちに改善すべきです。
とりわけ、10人以上待機児の出ている学童クラブを優先して分割し増設を行うことを強く求めます。お答えください。
区が昨年度行ったニーズ調査でも、「小学生の間は学童保育を利用できるようにしてほしい」、「待機や、小4以降の預け先を確保できないのではと不安」など保護者の切実な意見、願いが寄せられています。学童クラブ対象を6年生まで拡大した経過も踏まえ、適正な集団規模を堅持した学童クラブの充実を強く求めます。お答えください。
【前川区長】
私は、区長就任以来、子育ての支援を区政の最も重要な施策として位置付け、全力で取り組んでまいりました。
学童クラブについては、入所希望者が急増していることに鑑み、本年4月に、学童クラブの受入人数を266人増やしましたが、待機児童数は340人という結果になりました。
今後も更に需要の増大が見込まれることから、待機児童の多い小学校を優先して「ねりっこクラブ」を設置し、さらに民間学童保育施設の誘致を積極的に進め、待機児童解消を図ってまいります。
私からは以上であります。その他の質問につきましては、技監および関係部長が答弁いたします。
第2は、ねりっこクラブが抱える課題です。
ねりっこクラブは昨年度3校、今年度8校で実施されていますが、実施状況を見ると、学童クラブ登録が80名を超える学校が4校にのぼり、豊玉小では90名の定員に達し待機児が6名生じています。
来年度はさらに増加が見込まれるなか、ねりっこクラブでも学童の待機児が発生することが予測されます。
今定例会の議案では、新たにねりっこクラブを実施する5校のうち、富士見台小学校では、第1、第2学童あわせて100人が在籍し、待機児が16人出ています。
区は3ユニット、最大135人のねりっこ学童クラブにすることを検討しているようですが、実際それは、定員の制限をなくすことにつながると強く懸念します。
「適正規模」は学童指導員が子どもの様子や変化を把握できる集団規模であり、子どもが落ち着いて過ごせる生活の場として最も大切な条件です。130人を超える学童児童に加えて、一日平均50人~100人が利用するねりっこひろば児童も安全に見守ることが可能なのか、運営事業者に過大な負担と責任を負わせることになりかねません。
専用スペースの確保も、向山小ねりっこクラブでは、学籍児童の増加でセカンドスペースやタイムシェアしていた教室の変更を余儀なくされるなど学校施設の継続的・安定的な供用には課題があります。運営にかかわるこれらの改善のため、学校、事業者とどのように協議していくのか、考えをお聞かせください。
国の「放課後児童クラブ運営指針」では、年齢や発達の異なる子どもを同時に、かつ継続的に育成支援を行うこと、子どもが相互に関係性を構築したり、まとまりをもって生活したり、指導員と信頼関係を築ける支援単位の規模、子どもの遊びや生活の様子を日常的に保護者に伝え、家庭と情報を共有するなど運営に関する基本事項と質の向上、機能の充実に努めることを示しています。
区はねりっこクラブで学童機能を維持させると言いますが、指針に照らせば学童機能を弱めてしまい、運営事業者に過重な負担を負わせるのではありませんか。区は実施責任者として、運営事業者と学校応援団、保護者、学校関係者や児童福祉の専門家など交えた丁寧な検証をすべきです。答弁を求めます。
【堀こども家庭部長】
区では、すべての小学生に充実した放課後の居場所を提供することを重要な課題と位置づけ、ねりっこクラブを創設しました。
とりわけ保育所等の卒園児が小学生となり、学童クラブに入会することに伴う希望者の急増にも有効な対策と考えております。
本年4月には、ねりっこクラブの5校増を中心として学童クラブの受け入れ人数を266人拡大しました。今後も需要の拡大が見込まれることから、待機児童の多い小学校を優先して「ねりっこクラブ」を設置することを基本とし、併せて民間学童保育施設の誘致を進め、学童クラブの需要に対応していきます。言うまでもなく、学童クラブは放課後、児童が自ら登室するため、施設整備は、小学校やその近隣が主なものとなります。小学校敷地内での施設整備は、用地や施設の確保が極めて困難な状況にある中、施設の増設ではなく、学校内に設置するねりっこクラブの推進こそが有効かつ現実的な解決策であると考えています。
なお、受入人数の拡大にあたっては、国の定める基準や区の基準条例を順守することはもちろん、児童の安全確保について現場職員との入念な検討を行った上で実施しており、詰め込みとのご指摘は当たりません。そもそも学童クラブと保育所では対象年齢が異なり、小学生は、学童クラブ室だけではなく、校庭や図書室等の様々な場所で放課後を過ごしています。したがって、単に面積基準をもって保育所と比較し、学童クラブが狭いとのご指摘はいかがかと考えます。
4年生以上の児童受け入れについても、全く問題は生じておりません。
また、ねりっこクラブの運営にあたっては、区が学校と協議の上、児童数の増加等も踏まえ、必要なスペースは確実に確保し、実施しています。各校に設置した運営協議会においては、区職員であるコーディネーターが中心となって、事業者や学校、学校応援団等との協議を密に行い、円滑な事業運営を図っております。
ねりっこクラブの検証については、区の子ども・子育て会議や放課後子ども総合プラン運営委員会において、有識者や保護者、学校など幅広い関係者からご意見をいただくなど適切に行っております。なお、ねりっこ学童クラブでは、集団規模である「支援の単位」ごとに職員を適切に配置して実施しており、学童クラブ機能が弱まるとのご指摘は当たりません。
次に、介護保険と地域包括支援センターについて伺います。
17年目に入った介護保険制度は導入時、「介護の社会化」と大宣伝されました。
しかし、「介護離職」「老々介護」「介護難民」問題は一向に解消されていません。それどころか安倍政権は、次々と改悪を進め矛盾を深めています。
5月26日、国会で一定所得以上の人の介護利用料を現在の2割から3割負担へ引き上げることなど盛り込んだ改悪介護保険法が可決、成立しました。
3割の引き上げ対象は、単身者は年収344万円以上、夫婦世帯で年収463万円以上を検討、2018年8月に実施する予定です。
今でも2割負担が利用抑制を招き、「食費を削らないと生活が保てない」など、家族の生活も大きく圧迫しており、審議を通じ厚労省自身が利用抑制を認めざるをえませんでした。そうした影響について検証もないままの負担増はとんでもありません。区は経費が増加していることをもって利用抑制はないとしていますが、利用者が増加すれば経費が増えるのは当然で、根拠になりません。
区は一定の自己負担は必要と言いますが、制度の持続可能性のためなら高齢者の暮らしが持続できなくなることも厭わないのでしょうか。区内で現在2割負担は約5000人、3割負担の影響を受ける人は概ね2000人前後です。区民が介護を受ける権利を保障するためにも、3割負担に反対するべきではありませんか。また現行の2割負担も、実情に応じて軽減措置が必要ではありませんか。2点、答弁を求めます。
【中田高齢施策担当部長】
区の介護給付費は、平成28年度は458億円であり、制度が始まった平成12年度の121億円と比べて16年間で約4倍となっています。団塊の世代が全て後期高齢者となる平成37年度には、1.4倍の632億円に増加する見込みです。
高齢化が急速に進む中で高齢者が安心して暮らせるためには、負担能力に応じて一定の自己負担を求め、制度の持続可能性を確保することが必要です。
そのため、3割負担は現役世代並みの所得がある方を、2割負担は合計所得金額が160万円以上の方など一定の所得がある方を対象に実施されるものであり、国に反対する考えはありません。
また、介護保険には、利用者負担を軽減する仕組みがあり、利用料が一定額を超えた場合は払い戻されます。
今度の改悪では、自立支援や重度化防止の成果をあげた自治体に交付金を支給するとしています。 「給付の適正化」の名で介護給付費の削減を自治体に競わせ、介護保険卒業や介護認定の厳格化などに駆り立てる圧力となるものです。実際「モデル事業」とされた自治体では、同意なく卒業を強いられた利用者の状態が悪化したという例が発生しています。
介護保険の目的は「能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」にすることにあり、状態改善や卒業は目的ではありません。区は、国の交付金を受けるために実態に合わない低い介護認定や認定自体を門前払いしたり、無理に介護保険を卒業させたりということは絶対にやるべきではないと考えますが、いかがですか。
【中田高齢施策担当部長】
今般の介護保険法の改正では、区市町村が保険者機能を発揮し、高齢者の自立支援や重度化防止を進めるため、区市町村の取組実績に基づき、国が交付金を交付することが盛り込まれています。
実績評価の方法など具体的な手続きは、今後、国から示される予定ですが、当然のことながら今後よも実態に合わない要介護認定を行う考えはありません。
利用者だけではなく、介護事業者も、報酬を減らされ苦しんでいます。
ヘルパーを募集しても集まらないため、代表みずから休みなく仕事しなければならないなど、いつ事業をたたもうかと考えるほどです。
処遇改善など加算がありますが、事務があまりに煩雑過ぎて手を出せないところもあり、このままでは事業者が持ちません。
加算というやり方でなく、介護報酬本体の引上げこそ必要です。区は事業者についても実態をつかみ、国に対し報酬本体の引上げを求めるとともに、区としても対策を追求するべきです。
次期介護保険事業計画では、そうした問題点も含めた計画としていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
【中田高齢施策担当部長】
区は、介護人材の育成・確保に向け、独自に研修受講料助成やアドバイザー派遣などを行っています。
また、国に対し、特別区長会などを通じて介護従事者の処遇改善や事業者の取組を介護報酬に反映するよう要望しています。
介護サービス事業所調査などで把握した事業者が抱える課題への対応については、第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を策定するなかで現在検討を進めています。
区は地域包括支援センターの運営体制を見直し、センターを25か所に再編し全所を本所化するとしています。課題として、高齢者の増加、それに伴う相談対応やケアプラン作成の増加により、業務が過大になっていることなどがあげられています。
区の方針では、職員を増員して体制を強化するとされているものの、増員するのはひとり暮らし高齢者等に訪問する訪問支援員2名だけで、新たに配置する「医療介護連携推進員」と「認知症地域支援推進員」は現在配置ずみの専門職が兼務することになっています。「医療と介護の相談窓口」を全所に設置する方針など業務を拡大させようというのに、専門職の増員は具体的に計画がありません。
2013年度と比較するとセンターに寄せられる相談件数は5万件増の約18万7000件、25か所にすると1ヶ所あたり約7,500件もの数です。
さらに増えることが予想されるうえ、訪問支援員が活動することで、より増加することになるのではないでしょうか。地域に出て支援の手を伸ばしていくという考えは理解できますが、過大になっている業務の問題が見直しで解決するかが見えません。より多くの相談に対応し必要な支援に円滑につなげるためにも、ケアマネや保健師、社会福祉士についても体制強化が必要ではないでしょうか。区の考えをお示しください。
私たちが話を聞いたある支所では体制見直しのことも、事業開始しているはずの出張型街かどケアカフェのこともほとんどわからない、という対応でした。見直しに当たり現場の声が十分くみ上げられたのか、委託している各種業務の機能がはたされているのか、疑念が生じています。
区は日常的に地域包括支援センターと密接な連携を取り、センター丸投げ、現場任せにしないことが大切です。特に複数の機関との連携が必要な虐待対応や権利擁護をはじめ公的責任を果たせるようにすることです。その点で練馬直営をなくすことは問題です。高齢者や介護現場の実態を区職員が直に把握し、専門性向上とノウハウを蓄積させるためにも、練馬直営は守るべきではないでしょうか。お答えください。
【中田高齢施策担当部長】
医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的・継続的に提供される地域包括ケアシステムを確立していくためには、その中核となる高齢者相談センターの機能強化が必要です。
区は、来年度から、現在の高齢者相談センター本所・支所体制を見直し、25か所の地域包括支援センターに再編します。ひとり暮らし高齢者等への訪問支援事業を全センターで実施し、医療と介護の相談窓口を現在の4か所から25か所に増設します。
センターの再編に当たっては、訪問支援員を増員するほか、今後の相談件数の増加に対応するため、各センター担当区域の高齢者人口に応じた専門職の増員について、ご指摘を受けるまでもなく、すでに検討しています。
再編後は、4か所の総合福祉事務所の高齢者支援係が、練馬・光が丘・石神井・大泉の圏域内にあるセンターの調整や指導・助言を直接行います。
虐待対応などの権利擁護業務や困難事例への対応は、総合福祉事務所とセンターが一体となって対応します。区の関与を現在よりも強化した運営体制とするものであり、現在残っている練馬1か所の本所を直営のまま維持する考えはありません。
来年4月からの実施に向けて移行準備を進め、高齢者に身近な地域で支援を担う地域包括ケアの新体制を構築してまいります。
次に住環境の問題について伺います。
第1に、重層長屋についてです。
重層長屋とは、共同住宅のような共用廊下や共用階段などが無く、専用玄関や専用階段によって各住戸に直接出入りをする長屋を縦に重ねた建築物で、多数の住民が居住するという意味では共同住宅と同様のものです。
近年、路地状敷地への重層長屋の建築が各地で行われています。区内でも桜台4丁目の路地状敷地へ木造3階建て19戸の重層長屋の建設が進められ、近隣住民からは住環境や防災性の面から不安の声が挙がっています。
建築基準法で特殊建築物に位置付けられるアパートやマンションは、不特定多数の人が利用することから2方向避難経路の確保や消火設備の設置などについて戸建て住宅と比べて強化されており、さらに、東京都建築安全条例では特殊建築物は路地状敷地には建設できないとされるなど安全上、防火上の規定が設けられています。
ところが、各住戸に直接出入りする長屋は戸建てと同様の扱いとなるため、共同住宅で求められる防火規制や窓先空地などの規制などを免れ、路地状敷地への建設も認められています。路地状敷地に建設された重層長屋で火災が発生した場合、避難経路の幅が狭く消防車も中まで入れないため火災を周辺に広げることになりかねません。また、空地規制の対象ともならないために通風や採光など近隣の住環境にも悪影響を及ぼします。
区は多数の住民が住む点では共同住宅と同様の重層長屋が路地状敷地へ建設できることをどのように考えますか。
また、区内の路地状敷地に建つ重層長屋の件数について把握していますか。2点お答えください。
重層長屋の建築を規制する動きが23区内で生まれています。
足立区では、昨年の4定で都建築安全条例の見直しを求める意見書、今年3月には2階建て10戸以上の長屋を建てる際は着工前に区との事前協議を必要とする関係要綱を改正し、第2回定例会ではワンルームマンション条例での規制対象に加え、歩道などの整備をするよう規定する予定です。
世田谷区でも、長屋の建築条件をワンルームマンションと同水準に引き上げる条例改正案を第2回定例会に提出するとしています。
練馬区においても、足立や世田谷を参考にして重層長屋の規制を強化するとともに、都に対して集合的に住む重層長屋は特殊建築物に指定し、共同住宅と規制をそろえる建築安全条例の見直しを求めるべきです。
また、すでに路地状敷地に建つ重層長屋についても消火器設置の指導など安全対策を行うべきです。3点お答えください。
【宮下技監】
昨年、区内で建築確認申請が提出された、重層のものを含めた長屋は171件です。
そのうち、路地状敷地での長屋は、43件となっています。路地状敷地における大規模な長屋の中には、現行の建築基準法などの関係法令には適合しているものの、安全、防火、衛生面での課題や、周辺建物への影響などが懸念される事例もあると認識しております。
こうしたことから、都と特別区においては現在、大規模な長屋の建築について、問題点などを整理し、更なる規制の必要性とその内容について、検討を進めています。
区では、この検討結果を踏まえて、適切に対応してまいります。なお、既存の長屋への対応についきましてもあわせて検討を行ってまいります。
第2は、住まいの貧困対策についてです。
日本の住宅政策は中間層家族の持ち家取得を重視する一方で、低所得や単身者、賃貸住宅に対する支援が乏しく、非正規雇用の若年層や単身の高齢者など経済的に困窮する人々が安定した住まいを確保するのが難しくなっています。
若年世帯では平均消費支出にしめる住居費負担が1989年には男性11.8%、女性17.8%だったものが、2009年には男性21.6%、女性31.1%に増大し、NPO法人ビッグイシュー基金が2014年12月に公表した調査では、年収200万円未満の若者の77.4%が親との同居で生活していること、住まいの貧困が若者の自立を妨げていると告発しています。
低所得者や生活困窮者の住まいを保障することが公営住宅の役割です。
しかし、都営住宅の新規建設は石原都政以来17年間凍結が続き、応募倍率は世帯向けで平均26.2倍、単身向けで平均57.1倍という高倍率のため受け皿とはならず、水回りが共用で居室面積が7㎡程度のシェアハウスが低所得層の受け皿となっていますが、近隣とのトラブルとなる例もあります。
昨年3月に改定された「住生活基本計画」では、「住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保」のための施策として、空き家活用の促進とともに民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みの構築が挙げられています。区として民間住宅の空き家や空き室を活用した区営住宅の整備や、低所得者への家賃補助を検討すべきではありませんか。
また、都に対して都営住宅の新規建設を強く求めるべきです。3点お答えください。
【宮下技監】
国は、空家を活用して、住宅確保要配慮者のために、入居者負担の軽減を図る助成制度を設けることとしています。今後、国の制度の詳細や都の動向を注視してまいります。
なお、区は空家等の活用により、区営住宅を整備する考えはありません。既存の区営住宅を維持・活用し、低所得者への住宅の提供に努めてまいります。
都営住宅について、都は、老朽化が進んだ既存施設の建替えを進め、既存ストックの有効活用に取り組んでいくとしていることから、区として、新規建設による都営住宅の増設を求める考えはありません。
次に、石神井公園駅南口西地区市街地再開発についてお聞きします。
この間、市街地再開発準備組合と練馬区が主催して再開発事業の検討状況の説明会が2回にわたって開かれました。
説明会では、多くの区民が参加しましたが、出された意見は、「なぜ、区民参加で決めた地区計画の高さ制限を変更してまで110mの高層ビルにしなければいけないのか」「駅と商店街、公園の間に1日2万台が通る16mの道路を作ったらまちが分断される」「商店街を通るバスは、通行人の安全と商店街振興を阻害するから、補助132号線を通すということで強制収用までされたのに、同じ理由で232号線まで通そうとするのか」「結局、ディベロッパーとゼネコンが喜ぶだけ、区民の声を聞いていない」など、そのほとんどが反対の意見でした。
区はこれまでこうした意見に対して「事業の意義や仕組みを理解していないから」出された意見だと答弁してきましたが、発言者の中には建築の専門家などもおり、理解していないとはとても考えられません。区民の声をどう受け止め、どう対応しようとしているのか、改めてお聞きします。
同時に、今回示された再開発予定地の地権者が計画に反対し、すでに計画予定地内の自宅の建替えを始めています。
このことにより今回出された計画自体が成り立たない状況になっているのではありませんか。今後、これを受け計画の変更案が出されることになるのか、また区はこの間私どもの質問に、「住民の追い出しではありません」と答えていますが、今後、今回の件において強制収用は絶対にしないと考えてよいのか2点お答えください。
実際に建て替えは始まっています。粘り強く話し合いを進めていく段階ではありません。そうした状況を踏まえた答弁を願います。
説明会では、再開発ビルの一部に石神井庁舎内の区民事務所や総合福祉事務所を移設し、石神井庁舎は、敷地全体を活用して老朽化している周辺施設を統合・再編し、区民が活動・交流できる複合施設にすることを検討していると言います。
今、公共施設等総合管理計画において、将来の改修改築経費が大幅にかかることを理由にして子どもたちや保護者、地域住民の思いを二の次に、学校の統廃合や運動場の廃止を押し進めていますが、一方では石神井公園の再開発で見られるように新たな区立施設の増設や、大規模な建て替えを行うことを検討するなど、むしろこれまでよりも予算がかかるのではないかと思えることまで検討されています。
確かに総合管理計画では施設の集約化などもうたっていますが、具体的に再開発に伴う区立施設の複合化を提案する以上は、どの施設を統合し、空いた土地をどうするのか、予算はどのくらいかかるのかなど含めて提案し、住民の意見を聞いていく必要があるのではないでしょうか。検討状況と考え方をお示しください。
以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【宮下技監】
本地区の再開発事業は、施行予定地内の土地・建物所有者、地区内で居住や営業をされている区民等の発意により、共同して、駅前に相応しい土地利用を図るため、準備組合を設立し、検討を進めているものです。
検討している事業計画では、個々の建物を共同化し、高度利用を行うことにより、商業業務・公共公益・住宅など、立地の利便性を活かした施設の整備を行います。併せて、都市計画道路の整備により、円滑な交通アクセスや、みどり豊かで安全な歩道を確保することとしています。再開発事業は、駅前において、まちとしての賑わいや機能を、より一層高める効果的なまちづくり手法であります。
現在検討している事業は、第一種市街地再開発事業を予定しており、地区内の個々の方の従前資産を新たに建設する再開発ビルの床に変換するものです。土地や建物を収用する事業ではありません。
また、事業の施行要件は、法令に定められており、地区内に新しい建築物が存在することによって、事業が実施出来なくなるものではありません。
今後も、関係権利者や地域の方々に対して、再開発事業の仕組みや当地区における事業実施の意義・効果を説明することに努め、事業を進める際には、当然のことながら、関係法令に基づき行ってまいります。
石神井庁舎は、公共施設等総合管理計画において、行政機能の維持、区民の利便性、敷地の有効活用、駅周辺のまちづくりなど、様々な観点から将来的なあり方を検討することとしています。
建築後45年以上が経過していることから、今後10年程度の間に改築に向けての方向性を定めてまいります。