2017年第2回定例会一般質問 2017年6月13日 日本共産党練馬区議団 有馬豊
【有馬豊議員】
私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。
最初に、区長の基本姿勢として、今度の都議選の大争点となっている築地市場の豊洲への移転問題についてお聞きします。
築地市場は、全国に流通する水産物の4分の1以上を扱い、区内のスーパーや鮮魚店など、多くが築地市場から仕入れたものを利用しています。
豊洲のガス工場跡地へ移転するということになれば、区民の食の安全、命と健康にかかわる大問題であり、当然、練馬区としてもその立場が問われる問題です。
豊洲市場予定地では、かつて都市ガスを製造するために、32年間にわたって石炭・原油を原料に大量のヒ素を使い、発生するコールタールなどが地中深く大量に染みこみ、土地と地下水を大規模に汚染しました。
そもそも生鮮食品を扱う市場にしてはいけない場所です。
しかも、東京都の土壌汚染対策は完全に失敗し、汚染土壌が今でも大量に残されています。4月には豊洲予定地の地下水から、基準の100倍を超すベンゼンがまたしても検出されました。
都の専門家会議は、地震などで、地下水から気化した有害なガスが地上にも出てくる危険性があることも指摘しています。
自民党などは安全が証明されたかのように言って早期移転を求め、しまいには築地も汚染されていると言い出しています。それを後押しするかのように東京都が築地市場内の土壌調査の結果を発表し、有害物質が検出されたと報道がありました。
しかし、築地の111か所の調査では、水銀は1か所で基準の1.8倍、シアンは検出されていません。それに対して豊洲では2002年の東京ガスの調査でベンゼンは基準の1500倍、水銀は24倍、シアンは490倍であり、その後、約100億円の汚染対策を行いましたが、2008年の都の調査でベンゼンが基準の4万3千倍、シアンが860倍検出され、さらに860億円の土壌汚染対策費用を費やしています。最近の豊洲の調査結果はこうした対策を行ったうえでの数字であることを考えれば豊洲予定地がいかに危険であるかをむしろ裏付ける結果となったのではないでしょうか。
築地の場合、多くが自然汚染の範囲であることが指摘されていることから、その対策は軽微なもので済むと言われています。だいたい、築地市場は80年の歴史の中で、食品汚染も食中毒も1度も起こしたことはありません。これこそ、築地は安全であることの何よりの証明ではないでしょうか。
先に行われた都議会で小池知事が、豊洲の「無害化」が達成できていないことを公式に認め、謝罪しました。いくら対策をしても汚染はなくせないことがハッキリしたのではないでしょうか。
区民の食の安全・安心を第一に考えるならば、市場の移転はきっぱり中止し、築地の現在地での再整備を区としても求めるべきではありませんか。区長の答弁を求めます。
問題は、2011年当初の事業費が3,926億円だったものが、5,884億円にまで膨れ上がり、特に建物の建設費は当初の990億円が2,752億円と4年で3倍近くにまで膨れ上がったうえ、どの入札も一社入札で99%を超える落札率など談合疑惑は何も明らかになっていないことです。1人の副知事の偽証だけで済ますわけにはいきません。
区長は、区報で英国のアクトン卿の格言、「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する」を引いて、豊洲の問題について、「永く顧みられなかった都政の病患に、改めてメスを入れることにな」り、「私の証言が重要な役割を果たす結果になった」として、「東京の自治でこうした事態を2度と許してはならない」とも述べています。
2度と繰り返さないという立場に立つならば、すべての疑惑を明らかにして、なぜこうした問題が起きたのかをしっかり検証し、再びこうした問題が起きない仕組みを構築していくことです。ましてや、これで幕引きを図ろうと豊洲移転を強行することなど絶対に許されないと考えますが、区長の見解をお聞かせください。
【小西総務部長】
安定した生鮮食料品の供給と、食の安全・安心の確保という都民の要請に、どのように応えるかは、都政の大きな課題であると認識しております。
中央卸売市場の豊洲への移転、築地での再整備等に関する様々な問題は、現在、外部有識者等を交えて、検証・検討が行われており、その結果を受け、都民の代表である都知事と都議会が、決定するものと考えております。
従って、区は意見を申し上げる立場にはありません。
次に保育所待機児について伺います。
区長は所信表明で保育所待機児について、昨年の166人から48人に大幅に減少し、特に課題であった1歳児の待機児数は122人から6人となり、ほぼ解消したと述べました。これはあまりにも実態と乖離した発言です。
本来、待機児数とは保育の必要のある子どもたちのうち保育所等に入れなかった数でなければなりません。これでみると今年は830人、咋年は874名、一昨年は756名とほぼ横ばいで、深刻な状況が続いていることに変わりがありません。ところが区は、こうした状況を直視せず、認可外保育施設に入った子どもたちを差し引いたうえ、特定園のみ希望者と育休中の希望者の数を外しています。
保育園に入れなかったある保護者は「保育園に入れると思い、何とか今まで頑張ってきました。二人とも夜勤があるため、疲れた体で寝ないで育児をしてきたこともざらにあります。どちらかが仕事を辞めればいいと言うかもしれませんが、介護の仕事で、一人でも辞めてしまえば運営が難しくなる。どちらかが倒れるんじゃないかと心配で仕方ありません」。
また今回保育園に入れた保護者からも「住んでいるところから、職場と反対の方向に自転車で40分かけて子どもを送っている。これでは通いきれる自信がありません」というものです。こうした事態を解消するためにも、区は、保育所等に入れなかった830人を待機児数として位置づけるべきです。お答えください。
現状を直視しない姿勢は、実態とのミスマッチを生んでいます。今年度も240人の定員拡大に止まっており、700人に引き上げても830人を解消することにはなりません。しかも許せないのは今年度の拡大数の中に既存の1歳児1年保育の数100人を加えていることです。これでは単なる数合わせにしか過ぎず問題の解決にはなりません。保育所の増設を図るべきであり、整備目標を抜本的に引き上げることを強く求めます。お答えください。
なお今回、3歳児以降で保育所に入れなかった子どもたちも生まれています。
区は、受け皿として練馬こども園を推進してきましたが、こども園には、保育所等に入れなかった対象の130人中4人しか入っておらず、受け皿としての役割を担えていません。区はさらに3歳児1年保育の実施も明らかにしましたが、子どものことを第1に考えれば、就学前まで一貫した保育所こそ必要であり、方針を転換すべきです。お答えください。
民間が保育士を確保することに苦労している中で、待機児対策としてもっとも効果的なのは区立直営園を増やすことです。北区では、区立園の増設を決定し、区の正規職員として保育士80名を募集したところ500名以上の応募が殺到しました。これは潜在的保育士を掘り起こす有効な手段になっていることが考えられます。委託化を進めることはむしろ待機児対策に逆行するではありませんか。
私たちはすべての民間事業者を否定するものではありませんが、委託園は、保育士の処遇をはじめ、質を守る客観的条件が弱く、区も委託の際、年間で1園あたり4400万円の経費が節減できると説明しており、経費の8割を占める人件費に大きな影響を与えます。
ある委託園利用のお母さんから「先生が寄せ集めで、毎年6~7人の職員が辞めていく」と不安な気持ちを話し、別の委託園では「インフルエンザが流行り始めても子どもたちや先生を隔離せず、やっと隔離したのは3週間たってからだった。先生たちの危機管理意識が低すぎる」と怒りの声が寄せられています。
区は、委託化の理由として区民サービスの向上を掲げますが、その根拠は延長保育と独自のイベントだけです。延長保育は、直営でも実施は可能であり、根拠になりえません。イベントもそこに手を取られ、本来の保育がおろそかになっていると言った声も寄せられています。やはり委託化は中止し、区立園を増やすべきです。答弁を求めます。
この間、寄せられた切実な声で、保育園に入れない今の環境では二人目、三人目をあきらめざるを得ないという声が多く聞かれました。少子化だから保育園を増やさないのではなく、むしろ少子化を食い止めるために保育園を増やすことこそ求められているのではありませんか。答弁を求めます。
【前川区長】
保育所待機児童対策についてであります。
私は区長就任以来、待機児童対策に全力で取り組んできました。認可施設だけを見ても、平成28年4月までの3年間で、都内最大となる3,200人以上の定員増を実現しましたが、これは、基礎的自治体としては全国トップの取り組みであります。これに加えて昨年度は、1,000人以上の定員拡大を行いました。さらに全国に先駆けて本格的な幼保一元化施設「練馬こども園」を開設し、1,100人以上の定員を確保しました。
特別区として考えうる、質量ともに最大限の対策を講じてきたつもりであります。こうした短期間での大規模な定員拡大は、民間の力によるところが大きいと考えています。
私は、保育に限らず、質の高い福祉サービスを提供するには、事業者が地域の中で、競い合ってサービスを提供し、それを住民が選択できることが大事だと考えています。
そもそも行政がすべてを管理し、サービス内容まで決めるやり方では行き詰ってしまうのは20世紀の歴史に照らしても明らかであります。
保育サービスの点からも、これまで利用者の視点に立って長時間保育や産休明け保育など、先頭を切ってサービス充実を実現してきたのは民間の保育所であります。
また、認可保育所以外の保育室、家庭福祉員、認証保育所は、23区と都が大都市特有の多様な保育ニーズに応えるため、国の反対を押し切って創設し育ててきた制度です。これらの施設が安心して利用できるのは言うまでもないことであります。
私は、国が先頭に立って基礎的自治体に待機児童解消の競争を強いている現状に大きな疑問を感じています。本来、待機児童対策をはじめとする子育ての支援は、国が育児休業などの労働対策や児童手当などを含めた総合的な政策として取り組むべきものであります。共産党の皆さんも、国に対して強く要望すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
私は、こうした抜本的な対策を講じるよう国に強く求めながら、来年4月に向けて、民間の力も十分活用し、待機児童ゼロの実現に全力で取り組んでまいります。
私からは以上であります。その他の質問につきましては、関係部長が答弁いたします。
【掘こども家庭部長】
保育所待機児童数についてです。
待機児童数は、これまでの国の基準に基づいて算出したものであり、保育所等に入れなかった児童の中には、認証保育所への入所者や特定の保育所のみの希望者なども含まれています。保育所等に入れなかった児童830人の全てを待機児童数に算入すべきとのご指摘はあたりません。
次に、待機児童対策の整備目標についてです。認可施設だけを見ても、区では平成28年4月までの3年間で、都内最大となる3,200人以上の定員増を実現し、昨年度は、待機児童ゼロ作戦を実施し、1,000人以上の定員拡大を行いました。
さらに全国に先駆けて本格的な幼保一元化施設「練馬こども園」を開設し、1,100人以上の定員を確保しました。その結果、待機児童数は大幅に減少し、特に課題であった1歳児の待機児童はほぼ解消することができました。全体としても保育需要を供給1,100人以上上回ることになりました。
にもかかわらず待機児童が発生した要因は、地域によりミスマッチが生じたことによりますが、根本は供給が新たな需要を掘り起こしたものと考えています。そこで今年度は、さらに見込まれる需要増と地域による需要のミスマッチに対応するため、当初計画を大幅に拡大し、合計700人の定員増を図ることとしましたが、この中には1歳児1年保育の定員分は含まれておらず、ご指摘はあたりません。
大都市特有の様々な保育ニーズに応えるためには、総合的な対策が必要であり、保育所整備だけで解決できるものではありません。今後、保育施設の新規整備に加え、練馬こども園の拡大や既存施設の活用を図るとともに、地域特性に応じた対応を図り、総量対策から重点対策へシフトしていきます。
なお、練馬こども園においては、今年度、3歳児だけでも新たに257人を受け入れ、その半数以上は小規模保育所等の卒園時や認可保育所からの転園児です。3歳以降の受け皿としての役割を担えていないとのご指摘は当たりません。
次に保育園の運営委託についてです。質の高い保育サービスを提供するには、事業者が地域の中で、競い合ってサービスを提供し、それを住民が選択できることが重要です。そこで区では、区政改革計画と公共施設等総合管理計画に基づき、今後おおむね10年で20園の委託を実施するとともに民営化にも取り組んでいくこととしています。保護者の多様なニーズに応えて延長保育や休日保育など保育園の委託を拡大していく考えであり、当然ながら区立直営保育園を増設する考えは全くありません。
また委託園では、保健衛生も含め直営園と共通のマニュアルを通じた運営や、巡回指導を行うとともに、園長会を合同で開催する等情報共有とともに危機管理体制の向上を図っています。
次に、少子化と待機児童についてです。
まず少子化は、未婚化・晩婚化の進行や第一子の出産年齢の上昇、長時間労働、子育て中の孤立感や負担感の増加など、様々な要因が複雑に交錯して生じているものであり、保育所に入れないことが直接の要因になっているという事実はありません。
区としては、目の前の保育需要に応えるため、引き続き、保育施設の新規整備や、独自の幼保一元化施設「練馬こども園」のさらなる拡大など、多様なニーズに応じたきめ細やかな対策を講じてまいります。
次に、国民健康保険をめぐる問題について伺います。
国保の広域化の狙いは、区民への負担増と医療費の削減に他なりません。
国保の保険者となる都道府県は、年齢調整後の医療費水準を市区町村に示し、それを「納付金」として割り当て、市区町村はそれに基づいて保険料を賦課・徴収して納付します。都道府県は保険給付に必要な財源を市区町村に拠出する、こういう仕組みを作ることによって、医療給付費が増えれば保険料負担に跳ね返るようにするものです。高齢化に伴って医療費がかさむのはやむをえない事態です。
しかし、高齢化社会のなか、医療費が増加すれば国保料が上がるという悪循環の仕組みを作ることは到底許されるはずはありません。
そこで、区が、高すぎる国保料は区民にとって、もはや限界にきているという認識にまず立つことです。
この間、繰り返し国保料の値上げの実態を取りあげましたが、残念ながら区は、区民の置かれている現状にはまともに答えていません。
改めて実態を見ると、保険料軽減世帯数の割合は3年間で35.4%から41.1%に増え、国保の世帯数が減少する中で5,000世帯も増加しています。差し押さえ件数は3年間で599件から897件へと約1.5倍になり、差し押さえ金額も3億3千7百万円余から4億5千1百万円余と3割も増えています。滞納世帯数や短期証・資格証の発行世帯数は都の平均を上回っています。
区はこの現実をどう見て、今後どう対応していくのかが、いま真剣に問われているのではないでしょうか。
その点で、「保険者としての責務は区民負担の公平性を確保すること」という区の見解は、区の責任をあいまいにする考え方であると言わざるを得ません。
公平性と言ういうのであれば、どのような基準で公平性を確保しているのか、また、社会保障の憲法からくる要請は、生活費には課税しないという生活費非課税、能力に応じて課税する応能負担が原則です。この原則に公平性が優先するのか、2点お答え下さい。
区としてやるべきは、国保の広域化で国保料がさらに値上げをされようとしている時、一般財源のさらなる繰り入れをして負担軽減を図ることです。
これまで保険料は標準保険料率を参考に各区市町村が保険料率を決定し、賦課・徴収するものですが、新制度の導入後も国保会計への公費繰り入れは「自治体でご判断頂きたい」というのが厚労省の答弁です。一般財源繰り入れの問題について、都はどう対応しようとしているのか、また、繰入をさせないというのであれば、都と闘う必要があります、区の立場をお聞きします。
国保料の滞納が増えたのは「悪質滞納者」が増えているからでは決してありません。給与や年金などの内、生活上欠くことのできない財産の差し押さえは生存権を侵すものとして法律で禁止されています。滞納者への対策は差し押さえなどの徴収強化を強めるのではなく、生存権を守る立場から徴収緩和措置を区民に積極的に活用していくことこそ大事ではないでしょうか。
2割の均等割軽減や家族の病気、震災など著しい損失などの場合にできる徴収の猶予、生活の維持を困難にするおそれがある財産の差し押さえを猶予する換価の猶予など、減免制度は申請減免であり、それを知らずに申請しなければ権利を行使できません。減免制度の周知をもっと徹底させていくことに努力すべきです。
子どもに係わる均等割保険料の軽減措置を実施することも必要です。国保法44条に基づいて医療機関の窓口で払う医療費を安くする一部負担金減免制度の必要な基準、期限、書類などを知らせ、きめ細かな援助が求められていると思いますが、いかがでしょうか。お答えください。
国民健康保険の窓口の業務等委託は区としてのコントロールがしにくく、杓子定規な対応では徴収強化にも繋がりかねません。窓口の業務等委託は直ちに改善することが必要ではないでしょうか。区は区民の個別の相談について「丁寧な対応をする」と答弁されました。よく実情を聞いて、文字通り丁寧な対応をされるよう願います。
国保財政が厳しい根本原因は国庫負担が引き下げられたことにあります。練馬区議会は1定で「国に対し、国民健康保険の負担軽減に向けて、国庫負担割合の引き上げと減免制度の改善を強く求める」と全会一致で意見書を採択しました。特別区長会も「国保財政基盤の強化充実と被保険者の国保料負担軽減」を国に求めています。区民に実態を知らせ、区民とともに声をあげていく必要があるのではないでしょうか。お答えください。
医療保険改革法に基づいて「国保の広域化」実施が18年から始まろうとしておりますが、都に対して、できるだけ早く国保の「納付金・標準保険料」の試算結果を公表させ、都の国保運営協議会の議論の内容、運営方針などを随時明らかにすべきです。区の見解を求めます。
【大羽教育振興部長】
国民健康保険の広域化の趣旨は、国民健康保険制度の安定化を図り、国民皆保険を堅持することであり、区民の負担増というご指摘はあたりません。
次に、区の保険者としての責任と公平性についてであります。
第一回定例会でも申し上げた一般会計からの繰入に関する区の見解は、国保に加入している区民とそれ以外の区民との公平性を確保することが、区の責務であると申し上げたものです。このことは、最低限の生活の保障や応能・応益負担の原則と対立するものではなく、また、区としての責務は繰入のみに限定されるものではありません。
また、保険料の滞納者への短期証や資格証の発行、差し押さえ等の対応については、安定的な財政運営と被保険者間の公平性を確保する観点からも必要な措置と考えており、適切に実施しております。
次に、広域化に伴い区が行う一般会計からの繰入についてであります。都は、短期間で被保険者の負担が急増することのないように、計画的、段階的に減らしていくこととし検討をしていると聞いています。都と戦う必要は生じないものと考えております。
次に、保険料や一部負担金の減額・免除制度についてであります。窓口で丁寧にご説明するとともに、国保のしおり、区報、ホームページ等で広く制度の周知を図っております。適用にあたっては、様々な要件がありますので、個別の相談を通じて丁寧に状況を伺うよう努めています。
なお、窓口業務の委託は、区と受託業者との役割分担を明確にした上で、業務執行について、履行が適切に行われていることを適宜チェックをしており、適切な委託管理を行っています。
次に、国保財政に関する区民への周知についてであります。国民健康保険は、職についていない方や所得の低い方、高齢者が多く、加入者一人当たりの医療費が高いため、所得に占める保険料負担割合が比較的高いという保険者の努力だけでは解決し得ない構造的な課題を抱えています。
そのため区は、特別区長会を通じて、低所得者へのより一層の保険料負担軽減等について、国の責任において必要な財政措置を講ずるよう要望しています。また、国保財政の実態を広く区民にお知らせするため、毎年度発行している「ねりまの国保」に掲載している他、ホームページでも周知を図っています。
次に、新たな制度における都の運営方針および納付金等の試算の公表についてであります。現在、国において、納付金の算定方法等の見直し作業が行われており、納付金・標準保険料率の試算については、現時点では8月になる予定と聞いております。また、都の国保運営協議会での議論の内容や、国保の運営方針については、区に速やかに情報提供されることとなっています。区民の皆様にも制度改革全般と併せた周知を行い、ご理解を頂くよう努めてまいります。
次に就学援助の拡充についてお聞きします。
文科省は昨年に続き、要保護世帯の就学援助について補助額の引き上げと援助を必要とする時期に速やかに支給するよう改めて通知を出しました。練馬では、すでにこの内容について一咋年度の保護費の改定の際に実施したとしています。これは国も区も実態に合わせ援助額の引き上げ等の必要性を認めているからに他なりません。
ところが準要保護世帯については、これらの引き上げは行われておらず、小学校の入学準備金は要保護世帯の支給額40,600円に対し23,890円、中学校で47,400円に対し26,860円となっていて、どちらも要保護世帯の約6割となっています。
また要保護世帯に実施されている入学準備金の前倒し支給や、修学旅行費、移動教室費などの事前支給、クラブ活動費やPTA会費、生徒会費が援助品目に加えられていないなど、大きな差がつけられています。
練馬の場合、準要保護世帯は、所得が生活保護世帯の1.2倍となっており、その所得に大きな差はありません。その上、保護世帯にはない医療費や各種保険料の支払いなどの負担が発生します。なぜこうした差をつけるのでしょうか。
教育委員会は、準要保護世帯への支援について前年度の所得を把握するまで対象が確定できないこと、国庫補助がないために区の持ち出しとなっていることを理由に拡充に背を向けています。
しかし、準要保護世帯に対する入学準備金の前倒し支給については全国にも広がっており、都内でも今年度、小・中どちらかで実施するのは、文京、新宿など6自治体、来年度は、府中や狛江でも実施されます。こうした自治体から学び、できるところから実施すべきです。お答えください。
また入学準備金の引き上げについても文京、府中、狛江などで実施、あるいは来年度実施を予定しています。区は今年度の就学援助費として約9億円計上しましたが、一方で目的が不明な大江戸線延伸推進基金にはそれを上回る10億円計上されています。こうしたお金の使い方を見直せば実現可能ではありませんか。答弁願います。
なお小金井市では準要保護世帯の対象を要保護世帯の1.6倍としています。練馬は生活保護基準の引下げとともに対象を引き下げましたが、むしろ拡充こそ求められています。
この間、歴代自民党政権は、準要保護世帯向けの就学援助の国庫負担を廃止しています。そのことを棚に上げ、安倍政権は、姑息にも憲法を改悪する呼び水として教育の無償化を利用しようとしています。無償化を言うのであれば、まず国庫負担をもとに戻すべきであり、区としても国に強く求めるべきです。答弁を求めます。
【大羽教育振興部長】
私から、就学援助に関するご質問についてお答えします。
準要保護世帯の就学援助については、23区の均衡を図りながら運用すること、財源を確保することなど、見直しを行うには、様々な課題があります。
要保護世帯と準要保護世帯では所得の状況が異なることから、就学援助の項目、支給額が同じでなければならないとの認識はありません。準要保護世帯の就学援助について、項目を増やすことや支給額の引き上げを行うことは、考えておりません。
一方、入学準備費については、入学年度開始前に支給して欲しいとの声があることは承知しております。
特に、中学校入学の際の準備については、標準服や学校指定の体操着等、保護者にとって、一時的な負担となっていますので、今後課題を整理しながら、改善に向けた検討を行ってまいります。
また、区は必要な予算を必要な事業に計上しており、見直しをする考えはありません。
国は、教育の無償化を段階的に進めているところであり、今後の動向に注視してまいります。就学援助費について、国に国庫負担を求めることは考えておりません。
次に、大型道路整備による財政への影響について伺います。
石原都政以降、都民の税金の使い方は大きく変えられ、それ以前の1998年度の都の決算では、民生費の割合は全国47都道府県中3位、土木費が40位でしたが、2015年度は民生費が32位に下がる一方で、土木費は21位に引き上げられ、中でも、老人福祉費は2位から42位に転落しています。他の道府県と比べて予算がはるかに大きい東京都で、こうした順位になること自体異常なことであり、福祉の増進という地方自治体本来の役割に照らせば、まさに逆立ちした予算の使い方だと言われても仕方ありません。
こうした背景には、外環道をはじめとした大型道路優先の税金の使い方があります。2000年以降、全国の都市計画道路のうち2,356路線2645.3㎞が見直されたのに対し、東京都はわずか2路線1.8㎞を廃止しただけで、いかに東京都が道路事業に偏重してきたかが数字の上でもわかります。
外環道は、当初、建設費は1兆2820億円だったものが、2016年には1兆5975億円へと増額し、今後地中拡幅部の設計変更に伴う増額で1兆8000億円前後になることも指摘されています。 自民党・公明党などの都議会議員がつくる「外かく環状道路建設促進議員連盟」は、東名から湾岸道路までの区間も延伸することを要望し、小池知事も議会で「計画の早期具体化に取り組む」と答弁しています。これが実行されれば、さらに2兆円を超える事業費が必要で、その4分の1を都が負担することになりかねません。
この間もシルバーパスの全面有料化や介護基盤の用地費補助の打ち切り、都立病院の縮小、保育の公私間格差是正事業の見直しなどが行われてきましたが、これまで以上にくらしや福祉の予算が削られることになりかねません。
区はこの間の予算編成に向けた依命通達で、「国や都支出金の削減・廃止などの際には、原則として事業の縮小・廃止を検討すること」としています。こうした立場に立てば、今後、大型道路をつくるために、区の事業を縮小・廃止することにつながっていくことになるのではないでしょうか。
この間、私たちは財政を圧迫する都市計画道路の見直しを求めてきましたが、区は、整備費用が国や都の補助金とともに区負担分についても財調交付金の対象であることから都市計画道路の整備予算が財政を圧迫している指摘は当たらないとしてきました。しかし、区の持ち出しはないとこの仕組みに乗っかって都市計画道路の整備を優先すれば、結局は財政を圧迫し、くらしや福祉の予算を削ることにつながりかねません。
また、区は公共施設等総合管理計画で、2010~14年の実績から都市計画道路の整備費は1mおおむね900万円で、区施行の5.6㎞の整備費は約500億円かかるとし、整備費は、年間一般会計の約0.5%と過大な事業費ではないと説明しています。しかし、これはあくまで既存道路の拡幅で整備された道路の整備費をもとにしたものです。補助135号線のような現道も無い路線を整備すれば、1m900万円程度ではとても済みません。これでは、実態よりもはるかに安い整備予算を区民に示していることになります。
さらに、区は2020年度までに区内の都市計画道路の整備率を6割、30年までに概ね8割を目標としていますから、実際には18.5㎞を整備するわけです。区が示した過小な単価でも1655億円、実際には2000億円を超える予算が区内の都市計画道路をつくるためだけに使われることになります。これは2重3重に区民を欺くことになるのではないでしょうか。
わが党の都議団が行った予算の組み替え提案では、予算のわずか2.8%、約1,960億円の使い方をあらためるだけでも、低所得者の国保料の軽減、公立保育園建設の整備費補助、シルバーパスの負担軽減、2,000戸の都営住宅の新規建設など、63項目の都民施策を実現できることをあきらかにしています。2000億円の予算があればこうしたことができるわけです。
人口減少等に伴い自動車交通量が全体的に減少していくなか、既存のインフラ維持管理コストの増加などを考えると、持続可能な財政運営のためにも不要不急の道路整備を見直すことこそが求められているのではありませんか。答弁を求めます。
以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【佐々木企画部長】
練馬区は、急激に都市化が進んだため、道路など都市インフラの整備が大きく立ち遅れています。外環道を含め、都市計画道路は、区の発展に欠かすことのできない最も基本的な都市インフラであり、区民生活を支える多様な機能を担っています。
都と関係区市町村では、これまでも適時適切に都市計画道路の必要性を検証し、昨年、路線の見直しなども含めた第四次事業化計画を策定いたしました。この計画に基づき着実に整備を進めています。
都市計画道路の整備は、東京都および練馬区がそれぞれの役割に応じて行うものです。ご質問にあった18.5㎞の整備は、その概ね7割を東京都が、残りの3割を区が実施していきます。公共施設等総合管理計画でも示したとおり、区が整備する約5.6㎞の区間に係る経費は約500億円と推計され、20年間で整備した場合、1年あたり約25億円です。さらに、その全額について、国や都の交付金および特別区財政調整交付金により、財源が確保される仕組みとなっています。「結局は財政を圧迫し、くらしや福祉の予算を削ることにつながりかねません」とのご指摘は杞憂というべきものであります。
繰り返し申し上げておりますが、区の平成29年度予算では、福祉・医療や子ども・教育に関する経費が予算全体の67%を占め、道路整備の経費は全体のわずか1%です。道路事業費が区の財政を圧迫しているという実態はなく、道路事業計画を見直す考えはありません。