日本共産党練馬区議団を代表して、議案第130号保育所保育料条例の一部を改正する条例に対し、また、陳情第2号第6項、陳情101号第2項の願意「子育て世帯の生活・家計を圧迫する保育料の値上げはしないこと」を不採択にすることに対し、反対の立場から討論を行います。
本議案は、保育所保育料の算定基準を住民税に変更し、認可保育所と地域型保育事業の保護者負担を引き上げるものです。
反対理由の第一は、保育料の値上げで子育て世帯の暮らしが脅かされることです。
いま、国内のあらゆる分野で格差と貧困が広がり、働く人の実質賃金は1997年をピークに約20年の間に55万円も減少、低賃金・非正規雇用が増大し、子どもの貧困は6人に一人と先進諸国の中でもきわめて深刻です。
区の保育料改定が19年間行われなかったのは、こうした経済状況をかんがみて改定を見合わせてきた経過があるからです。
経済状況はむしろ深刻になっているのに、なぜ今値上げなのでしょうか。
今回の改定では、保育料値上げは保育園を利用する区民全体で7割以上に影響します。たとえば、収入は変わらないのに2~3段階も料金階層が上がってしまい、月額3,000円までに増額を抑えるとした中間所得層だけでも5,000人以上が負担増になります。また、平均所得階層として示した所得541万円の世帯でも10万円も保育料が増えて年間57万円と所得の1割以上の負担に、最高限度額では年間87万円にもなるなど、どの世帯でも保育料の値上げが家計を圧迫することになります。
これらは年少扶養控除の再算定廃止や算定基準の変更が大きく影響しています。
議会には保育料に関連する陳情が2件付託され、6千人を超える署名が寄せられていましたが、「保育料を上げないでほしい」という項目が不採択になってしまいました。区民からは「苦しい保活を経験してやっと保育園に入れたのに、今度は保育料の値上げ。子育てを応援してもらえているという実感が持てない」「今でもゆとりのない生活がもっと苦しくなる」と切実な実情が訴えられています。こうした声にこそ応えるべきです。
第2は、低所得者や多子世帯などへの配慮が不十分なことです。
区は低所得者に対して保育料を引き上げず配慮したと言いますが、非課税・均等割世帯のうち、これまで減額免除されていたB,C階層の3割で新たに保育料が発生し値上がりすることが明らかになりました。また、多子世帯やひとり親世帯などへの負担軽減も、兄弟の年齢制限や所得制限などあり限定的な対象にとどまっています。支援の必要な区民への配慮は不十分であり、所得制限や年齢制限はなくすべきです。
第3は、保護者の経済的負担と保育サービスの質の不均衡の問題です。
保育料の値上げは認可保育所だけでなく、小規模保育事業など地域型保育事業の利用者も同様に引き上げられます。しかし、地域型保育の多くは規制緩和により運営費や施設面積、保育士の配置基準など認可保育所に比べて水準が低く、給食の自園調理や土曜保育の未実施など子どもの保育環境に格差が生じています。保育料負担だけ「同一の水準」とするのでは保護者が不満に思うのも当然であり、このことは認証保育所や幼稚園の保護者も同様ではないでしょうか。
保護者・区民の願いは認証保育園や私立幼稚園など他の保育・教育サービスについても公的支援を充実させて、認可保育園と同等に低廉な負担にして経済的不均衡をなくしてほしいということです。負担の不均衡の是正だと高額な負担に合わせるのでは区民の願いと逆行するものであり、財政支援を講じて負担の軽減にいっそう力を入れるべきです。
以上の理由から、子育て支援に逆行し、子育て世代のくらしを圧迫する保育料の値上げの撤回を強く求め、議案130号と陳情2件の不採択に反対し、日本共産党練馬区議団を代表しての討論を終わります。