日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。
始めに区長の基本姿勢として、練馬区公共施設等総合管理計画についてお伺いします。
私どもは、公共施設の老朽化への対応や施設の機能改善は必要だと考えます。
それを進める上で、区民生活を守り豊かにすること、高齢化のもと利便性の追求だけでなく行きとどいたサービスを大事にすること、子どもの貧困率が過去最悪の16.3%になるなか子どもの貧困をなくし子どもたちのすこやかな成長に区としての責任を持つこと、区民の願いによく耳を傾け計画の押しつけではなく、必要な場合は一旦白紙に戻すことや変更することなど区民本意の立場に立つことが大事だと考えます。
まず、公共施設等総合管理計画策定にあたって、計画の重要性に鑑みると、10月に素案を出し、来年3月には計画を策定するというのはあまりにも拙速といわなければなりません。スケジュールにとらわれず、関係する区民や諸団体とも充分に話し合って計画を策定していくことを提案します。とりわけ出張所の廃止を計画策定前の今定例会で条例改正をしてしまうというのは問題ではないでしょうか。撤回を求めるものです。
【佐々木企画部長】
公共施設の維持・更新は、区政改革の重要な課題として検討を進めてきました。
まず昨年12月、区政の改革に向けた資料においてデータに基づき現状と将来見通しをお示しし、区民の皆様と議論をするところから始めました。
区長が出席して練馬の未来を語る会を6会場で開催し、476名もの方にご参加をいただき、率直に意見交換をしました。本年5月に公表した区政改革計画素案では、資料にいただいたご意見を踏まえ、「施設のあり方の見直し」の方向性を明らかにするとともに、出張所の廃止と機能転換についてもお示ししています。
10月に区政改革計画を策定し、あわせて、個別計画として公共施設等総合管理計画素案を公表いたしました。これまで検討の段階ごとに、区政改革推進会議でご議論いただくとともに、パブリックコメントや説明会のほか、関係団体への説明など、多様な手法により区民参加を徹底し、丁寧に検討を進めております。拙速であるとのご指摘は当たりません。
計画策定の前提となる「区立施設の現状と将来の見通し」です。
人口構成を見ても高齢化は進んでいきますが、今後30年を見通したとき「超」超高齢化という表現は言い過ぎです。生産年齢人口の減少についても、今後の労働年齢の高齢化という動きも考慮すべきです。少子化も進みますが、国がすすめようとしている出生率回復への取り組みを受けて区としても必要な対策を取るべきではないでしょうか。
「大変だ」の脅しのような表現ではなく、厳しく現実を見つつも、冷静な判断に則って計画提案をすべきです。
【佐々木企画部長】
練馬区はすでに高齢者人口の割合が21%を超える超高齢者社会を迎えており、今後も少子高齢化が確実に進行し、いずれ人口減少局面を迎えることはさけられません。
計画素案は、そうした状況認識に基づき、まさに、おことばのとおり「厳しく現実を見つつ冷静な判断に則って」取りまとめたものです。
もとより、子育て支援については、ビジョン、区政改革計画に基づき、保育所待機児ゼロ作戦や子育てのひろばの拡充など、総合的な施策を展開し、子どもを産み育てやすい環境づくりに取り組んでいます。
施設の維持・更新にかかる費用は、一定の仮説のもとで一年平均128億円になると試算していますが、出張所の廃止、保育園の委託・民営化、小中学校の統廃合、地域施設の再編などの今後の方針をすすめた場合の試算なのでしょうか。その具体的根拠をお示しください。
【佐々木企画部長】
計画に基づく取組を進めた場合の改修・改築工事費の試算は、改築時に延床面積を10%削減するなど、一定の仮定のもとに、参考として算出したものです。具体的な施設の統廃合などの積み上げではございません。
区立施設のマネージメント方針では、最適化方針は、「将来にわたって行政が確保すべき機能かどうか」「費用対効果の面で効率性はどうか」など4点で見直すとしています。
手法1の機能転換では、相対的に需要が低い機能は廃止・縮小といい、具体例として出張所の廃止をあげています。全面廃止が区民へ与える影響、証明書の交付にかかわって機能を充実させつつ存続させた方がよい出張所はないのか、お答え下さい。
地区区民館など地域施設の再編計画は、現在の78ある地域施設を概ね中学校区に1カ所程度、約34くらいまでに減らすこととしています。一方で、11の出張所は地域集会所や地区区民館にするという、再編計画とどういう関係になっているのか、お示し下さい。
さらに、高野台運動場用地に病院を誘致とのことですが、新たな病院整備は区西部地域としていたはずです。なぜこの場所なのか、これは区が掲げる5大病院構想の一つなのかなど、疑問がでています。都合のいい土地があるからとの判断ではありませんか。病院だからと拙速に進めることなく、住民の意見を謙虚に汲み取ることです。答弁を求めます。
【新山地域医療担当部長】
今回の整備では、医療機能の地域バランスと高齢化が進むなか増大する医療需要を考慮し、急性期を脱した方を受け入れる回復期・慢性期の医療機能を持つ病院を誘致する予定です。
回復期の病院は、現在、練馬地区のみで、来年4月に大泉地区に新たに開設される予定です。地域的なバランスを考慮すると、高野台運動場にさらに整備することが望ましいと考えています。引き続き、区民の意見を丁寧に聞いて進めてまいります。
出張所の廃止、地域施設の再編の全体像も見えていません。一方的に出張所の廃止を打ち出すのは、先に計画ありきと言われても仕方がありません。
目標が掲げている「リアルな区民ニーズに応えるサービス」とか「真に必要な機能や規模」とは、誰がどのような基準で判断を下すのですか?区民が置かれている厳しい現実を直視し、少数意見を尊重するという立場から、もっとじっくり意見を聞き吟味されてもいいはずです。いかがでしょうか。
【佐々木企画部長】
出張所については、郵便局での証明書発行やコンビニ交付・コンビニ収納など代替方法を導入して区民の利便性を高めました。いずれの出張所でも事務取扱件数は激減しており、このたび出張所を廃止する条例案を提出しております。出張所の建物は、谷原出張所については地域集会所とし、他の施設は併設の地域集会所や地区区民館とする考えです。
地域施設の再編は、改築などの機会をとらえ、地域ごとに施設の配置状況などを踏まえ、区民の皆様のご意見をお聞きしながら、長期的に取り組んでいきます。
維持・更新の方針では、作業所、生活介護事業所は今後、原則として改修・改築をしないで、移転・家賃補助へと移行しようしています。作業所の深刻な人手不足、低賃金の現実からみたとき、区は移行したあと障害者施設が存続していけると考えているのですか、お答え下さい。
この夏、障害者団体から来年度の予算要望を受けました。しかし、無償貸し付けをやめるということに対する要望はありませんでした。知らされていなかったからです。区は、施設の存続に関わる重大問題を当事者に知らせも、相談もなく、半年後には計画を確定するのでしょうか。お答え下さい。
【福島福祉部長】
区内には、区の家賃補助等を活用しながら、自立的に事業に取り組んでいる民間作業所が34あります。一方、様々な経過から、7つの事業所に対し区有施設を無償でお貸ししています。
区としては、他の民間作業所とのバランスや施設が老朽化していることなどから、家賃補助に移行し、各団体に自立的に事業を進めていただきたいと考えています。公共施設等管理計画では、それぞれの団体の経営や利用者の状況を考慮する必要があることから、期限等を一律に定めているものではありません。
これまで各団体には、適切な時期に、改修の考え方などについて情報提供をしてまいりました。今後も引き続き、各団体の状況を丁寧に確認しながら、協議を進めてまいります。
運営方針の民営化についてでは、業務委託や指定管理者制度適用により一定期間安定的・継続的に運営が行われている施設は今後民営化を目指すとし、保育園、学童クラブ、児童館、図書館など様々な施設を検討対象にしています。その際、区内業者の発掘や育成、適切な指導監督をするなど、利用者をはじめとする区民に丁寧な説明を行うことなどを強調していますが、これは区民の民営化に対する不安や不満への対策です。それは、まずは民営化したいという区の考え方の現れではないでしょうか。なぜまず民営化なのか、はっきりとお答えください。
保育園の委託化は、今後10年でさらに20園も進めるとして、これまでの委託方針を大きく転換しています。保育園の委託・民営化の理由をみると、延長保育など保護者の多様なニーズに応えることのみでいつも同じような文言しか使っていません。この間、委託では職員の離職率が高く安定した運営ができないことや保育の質が下がることを指摘してきましたが、なぜまた委託を拡大するのか、区民の納得が得られるとは思いません。20園の委託化はやめるべきです。お答えください。
【堀こども家庭部長】
公共施設等総合管理計画素案では、保育園の委託の推進とともに、民営化についても取り組むこととしています。
区では、本年4月に区立園60園中20園の運営委託を完了し、保育水準を確保しながら、延長保育や休日保育などサービスの拡充と運営の効率化を図ってきました。いずれの委託園も、東京都福祉サービス第三者評価や保護者アンケートにおいて高い評価を受けています。これまでの実績を生かし、今後、概ね10年で20園の委託を実施していきます。併せて委託の成果をより生かす手法として、民営化を検討する考えです。
従来、産休明け保育や延長保育などの保育サービスは、民間が先頭を切って進めてきました。区としては、今後とも委託・民営化を進めることにより、民間が持つノウハウや柔軟性を十分活用し、子どもの安全とともに、保護者の多様なニーズに応じた保育を展開できるよう取り組んでまいります。
適正負担の方針では、これまで使用料算定の原価に含まれなかった建設費、大規模修繕費、高額備品などを使用料算定に含めようとしています。なぜ原価計算の基礎を変えるのか、お答え下さい。
新たな原価計算になれば使用料は跳ね上がることは目に見えています。負担イメージ図を見ると地区区民館や地域集会所、少年自然の家、体育施設などはすべて利用者負担になります。物価上昇に追いつけず実質賃金は5年連続マイナスで、年金生活者も苦しい生活を余儀なくされている中で、公的施設の果たしてきた役割を区はどう評価しているのでしょうか。負担の公平とか適正な負担の名のもと、区民への過大な負担は避けるべきです。
こうして総合管理計画を見てみると、様々な綺麗な言葉を言いながらも、区政改革の現実は、財政難を理由に民営化、負担増、お金をかけない区政・経費削減につながるのではないでしょうか。このままでは福祉増進という自治体の役割を果たせなくなってしまいます。計画を見直すべきです。お答えください。
【佐々木企画部長】
区の貸出施設等の使用料の算定方法は平成14年度に定めたもので、お話しの施設の性質に応じた負担割合のイメージ図は、現在の算定方法を示したものです。施設の維持運営経費は、利用者が負担する使用料と区民全体が負担する税金で賄っています。今後、多くの施設の改修や改築が必要となるなど状況の変化を踏まえ、施設のコスト等のデータを分かりやすく公表し。適正な負担のあり方を区民の皆様とともに検討してまいります。負担増ありきではありません。
公共施設等総合管理計画は、将来を見据え、区民ニーズに応えるサービスを実現しつつ、持続可能性を確保し、区民福祉の増進をめざすものです。そのために、区議会・区民の皆様との議論を積み重ねています。ぜひ、対案も含め、具体的で前向きなご意見をいただくようお願いいたします。
次に、学校統廃合について伺います。
今回素案が示された総合管理計画では、区立施設の総延べ床面積の約半分を小中学校が占めているとして個別計画を策定するとしています。これは、今後の改修・改築費用の圧縮の主要課題が小中学校の統廃合にあると考えていることの現れであり、子ども達の教育環境にとって大きな問題をはらんでいます。
第1に光が丘第四中学校の閉校についてです。
区は光が丘第四中学校が2009年度から概ね6学級で推移し、今年度の入学者が24人、学校全体で4学級になり、今後も過小規模が続くとして7月に検討会を立ち上げ、わずか3回の会議を経て9月には閉校の方針案を決定してしまいました。こうした区のやり方に対し、「意欲の喪失や戸惑いが広がっている。」「教育委員会の都合で閉校を決めるのは大人の勝手だ」など生徒や保護者などから怒りの声が挙がり、光四中のPTA役員や多くの元PTA会長からは閉校方針の見直しを求める陳情や要望書が出されています。にもかかわらず、区はそうした声には耳を傾けず閉校を押し付けようと12月には光四中の適正配置計画素案を策定するとしています。このようなやり方は、あまりに乱暴です。文科省が2015年に策定した適正配置等に関する手引きでは、「学校規模の適正化」は「行政が一方的に進める性格のもの」ではなく、「地域住民の十分な理解と協力を得るなど…丁寧な議論」が必要だとしており、この手引きとも矛盾しているのではありませんか。区は今回の光四中の閉校方針に対して地域住民の理解と協力が得られていると考えているのでしょうか。お答えください。
そもそも、光四中は閉校すべき学校ではありません。学校選択制が区の言う過少校へ追い込み、適正配置の名のもとに閉校方針を押し付けたのです。この間、光四中の通学区域内の学齢簿には毎年100人前後が登録されていたにもかかわらず、過小規模が続いてきました。これは、選択制によって子どもが地元の学校に通わなくなってしまっているためであり、2014年に出された区立中学校選択制度検証委員会の答申でも指摘されています。
答申では、保護者・生徒の希望や特色ある学校づくりに効果があると選択制の継続を望ましいとしています。しかし、答申に先立って行われたアンケートでは、学校を選択する理由として教育活動・方針を挙げる割合は少なく、噂や風評などによって選択するという回答が最も多いなど学校や保護者が魅力ある学校づくりに努力しても生徒数が増加しない事態や風評で希望者が激減することが起こりえます。実際、これまで光四中では秋の陽小や光八小とのつながり作りや地域交流会の実施など努力を重ねてきたにも関わらず、今年度単学級となったことからも明らかです。
等しく充実した教育を受けられるようにすべき公教育に競争原理を持ち込み、学校間に格差をつくり、教員や保護者の努力も踏みにじる学校選択制をまずやめるべきです。答弁を求めます。
区はこれまで光四中へ支援を行ってきたと言いますが、学力向上支援講師や部活動外部指導員の配置といった支援は他校に対しても行ってきたものばかりです。そんななかでも、光四中では一人ひとりに目が行き届いた個別指導やすべての子どもに活躍の場をつくるなど小規模校の良さをいかした教育環境をつくってきました。光四中の生徒や卒業生、保護者からも他校でうけることができない貴重な教育環境であるとの声が出されています。区はこうした小規模校の教育上の利点をどのように評価しているのか。お答えください。
また、併設されている情緒障害等通級指導学級(よつば学級)も閉級の方針が出されています。区は、2019年度以降は中学校でも特別支援教室の導入を予定していると問題視しませんが、移行すれば教育の質の後退を招き子どもたちに悪影響を及ばすことからも通級指導学級は存続させるべきです。
光四中は転入により新3年生は来年度2学級が見込まれ、今年の学校説明会には60人が参加したことから、区が拙速な閉校方針を出さなければ光四中は4学級を脱した可能性さえあります。光四中の閉校方針は撤回し、小規模校の利点を活かし教育をさらに推進できるよう支援すべきです。答弁を求めます。
第2に、旭丘小・小竹小・旭丘中の小中一貫校への再編についてです。
旭丘小・中の過小規模の解消のために児童数が増加し、適正規模になりつつある小竹小が廃止される区の方針が地域間の対立を招いています。
区はよりよい教育環境のために今回の方針を定めていますが、小中一貫校の目的は学校統廃合にあり、小学5,6年生の活躍の場の消失やいじめ・不登校で事態の悪化を招くなど問題が国会の参考人質疑で有識者から指摘されています。
また、避難拠点である小竹小の廃止によって地域防災力の低下を心配する声に対して、今後の状況などを踏まえて検討していくと区民の不安に応えることもできていません。h地域間の対立が生じ、今定例会に2,700人を超える署名が出されているもと、期限ありきで進めることは許されません。旭丘小・小竹小・旭丘中の小中一貫校への再編はリーディングプロジェクトから除外し、地域住民の十分な理解と協力が得られるよう丁寧な議論を行うべきです。答弁を求めます。
【大羽教育振興部長】
練馬区学校管理基本計画(素案)では、適正配置の進め方について、過小規模校は統合・再編を基本に検討し、過大規模校は通学区域の変更を基本に検討するとしています。
学校は、集団生活を通して、児童生徒の豊かな人間性や社会性を育て、学力や体力の向上を図る場です。光が丘第四中学校は、練馬区教育委員会で適正規模を定めた平成17年度以降過小規模校となっており、平成21年度から概ね6学級、今年度は4学級となりました。この間の生徒数の減少傾向等を踏まえると、今後も生徒数・学級数の回復は見通せない状況です。小規模校には、一人ひとりに目が届き、きめ細かな指導を行えるなどの特長がありますが、一方で、交友関係が固定化しやすく、多様な物の見方・考え方に触れる機会が少なくなり、学習面や学校行事等において、指導の選択肢が狭まるなど制約が生じることは明らかです。在籍している生徒には最善の教育を行いますが、将来の子供たちに、良好な教育環境を保障するため、教育行政の責任において閉校という対応方針案をお示ししたものです。
対応方針案については、保護者などを対象とした説明会を6回、地域を含めた説明会を2回開催してきました。現1年生は卒業させるべきであるなど、いただいたご意見を踏まえ、閉校の時期を現在の1年生が卒業する平成30年度末としました。引き続き丁寧な説明に努めます。対応方針案を撤回する考えはありません。
中学校選択制度は、保護者と生徒の学校を選びたいという希望や意思を尊重する制度です。生徒が希望する学校に入学することができ、アンケートでは満足感が向上するとともに、学校生活の充実につながっているという結果が出ています。今後も適切に選択制度を運営してまいります。
併設の情緒障害等通級指導学級は、中学校の閉校と同時に閉級となりますが、在籍している1年生は卒業まで指導を受けることができます。今後は卒業まで指導を受けることができます。今後は全校に特別支援教室を設置し、生徒の状況に応じた指導を在籍校で行います。子供たちに悪影響を及ぼすことはありません。
旭丘小学校、小竹小学校、旭丘中学校の3校は、平成23年度から小中一貫教育の取組を進めており、平成27年度からは地域の大学と連携した芸術分野の教育プログラム等の研究を行っています。また、いずれの学校も過小規模校であり、築50年を超え、今後改築の時期を迎えます。小中一貫教育の推進、過小規模の解消、学校施設の改築という複合的な課題を総合的に解決するために、地域の新しいシンボルとなる施設一体型小中一貫教育校の設置をめざしてまいります。
次に、子どもの貧困、とくにひとり親家庭への支援についてお聴きします。
区は7月にひとり親家庭を対象としたニーズ調査を実施しました。それによると、手当を受けたとしても総収入は非就労者で平均18.1万円、パートアルバイトで20.7万円、正社員でも26.4万円と十分とは言えません。養育費ゼロの世帯も72%に上ります。
こうした経済的な厳しさに区はどう応えようとしているでしょうか。区長は、「練馬区ひとり親家庭自立支援プロジェクト」を来年度から始動させると述べましたが、委員会の資料では、相談支援体制の整備、支援施策の総合的な提供を実施したいと明記されています。区はそのために具体的にどのような施策を実施・拡充しようとしているのか。さらに今後、どのような方向で支援を拡充したいと考えているのか、2点お答えください。
もちろん相談体制等の整備等は必要と考えますが、それに加え、いま必要なのはひとり親世帯の生活を下支えする財政的支援だと考えます。
例えばニーズ調査では、経済的な悩みとして「家賃の負担」を40%の世帯が上げています。生活面の悩みとしても26%の世帯が「部屋が狭く、快適でない」と答えています。ところが区は、ひとり親家庭に対する家賃補助等の支援を、児童扶養手当や生活保護等の経済的支援を行っていることを理由に拒み続けてきました。しかし、思春期の子どもが一人になれるスペースがなくプライバシーが守れないなど、狭小な住宅が子どもたちにも強いストレスを与えています。住まいは人権であり、家賃補助を創設して、こうした状況を改善すべきです。お答えください。
また、収入状況をみれば学費負担が重くのしかかっていることは明らかです。自由意見欄にも「保育や教育費等について助成してほしい」という声が紹介されています。区は就学援助の前倒し支給を実施する考えはないとしていますが、他自治体の多くで実施、あるいは前向きに検討されており、制度上拒む理由は何もありません。あとは区のやる気次第であり、援助品目、援助額、対象世帯の拡充を行うとともに、前倒し支給を早急に行うべきです。答弁を求めます。
そもそも手当そのものが貧弱であり、国や東京都に手当等の引き上げを求めるとともに、必要ならば区独自でも予算をつけ、財政的な支援を行うべきです。お答えください。
財政的な支援は単に経済的な問題ではなく生活の中での時間的、精神的な余裕を作り出し、子どもたちの成長にとっても不可欠です。区は区政改革の中で、児童、高齢者、生活困窮者などを支援する扶助費の増大が問題かのような書き方をしていますが、扶助費こそ区民の生活を支える重要な予算であり、少子高齢化が進む中で拡充こそ求められています。
なお国は母子加算の廃止を狙っています。廃止はひとり親世帯の13%を占める保護世帯だけでなく、就学援助の対象世帯を狭めるなど、広くひとり親世帯にも影響を与えることから、国に対し母子加算の廃止をやめるよう強く求めるべきです。お答えください。
【前川区長】
ひとり親家庭は、家計と子育てを一人で担うため、親の負担が大きいだけでなく、子どもの未来にも大きな影響を与えます。各家庭の努力だけでは、限界があり、ひとり親家庭を支え、自立を実現するには、行政と地域が力を合わせることが必要であります。
このたびの調査により、多くの家庭は、家計、就労、子育てなど、日々の生活で複合的な問題を抱えていることが明らかとなり、従来の区の縦割りによる相談支援体制では限界があることが分かりました。
現在の施策や支援体制を大きく見直し、自立支援策をパッケージ化して各家庭に提供する「練馬区ひとり親家庭自立応援プロジェクト」を来年度から始動いたします。私からは以上であります。
副区長、教育長、関係部長に答弁いたさせます。
【福島福祉部長】
ひとり親家庭への支援についてです。
来年度から実施する「練馬区ひとり親家庭自立応援プロジェクト」では、総合相談窓口を新設し、ライフプラン設計等の専門相談員を配置するとともに、夜間や休日の相談にも対応していくこととしています。また、事業効果の高い、高等職業訓練促進給付金等事業の給付額の充実や、ホームヘルプサービスの拡充などの具体的な施策を検討していきます。
区としては、プロジェクトによる家庭全体への総合的な取組により、ひとり親家庭の自立や、子どもの健全育成を支援していきます。現時点では、新たに家賃補助を実施する考えはありません。
また、母子加算については、直近の社会保障審議会において、子どもの貧困対策を踏まえた扶助・加算の検証を行うとされていますが、廃止の方向性が示されているとは認識しておりません。
今後も審議会の動向を注視してまいります。
【大羽教育振興部長】
区の就学援助は、援助費目、支給額、対象について、いずれも23区と同程度であり、妥当な水準だと考えています。
また、前年度の要保護世帯には修学旅行費等について、費用負担が生じる前に給付を行っております。
準要保護世帯については、対象の認定を行うために、所得の確定が必要となることから、7月以降の支給としています。適切に制度の運用を行ってまいります。
【堀こども家庭部長】
ひとり親家庭への手当の支給についてです。
子どもの貧困の解消には、貧困の連鎖を断つことが重要です。そのために、区では、学習支援や保護者への就業支援とともに、生活保護の他、特にひとり親家庭に対しては、医療費の助成、児童扶養手当、都独自の制度である児童育成手当の支給を行っています。また、多子世帯については、本年8月分から児童扶養手当を加算し、さらなる経済的負担の軽減を図っています。現時点では、手当等の引き上げを行う考えはありません。
次に、病院と医療問題について伺います。
第1に、7月に策定された東京都地域医療構想についてです。策定にあたり、「二次医療圏とは異なる構想区域の設定」も可能であったことから、昨年の6月から7月にかけて区が要望書を、区議会も意見書を、それぞれ都に提出しました。
要望では、回復期慢性期は自治体単一で区域に設定することや、病床偏在をなくすことなどを求めています。しかし、策定された医療構想を見ると「練馬区は病床の数が少ない」という意見の記載があるだけで区域は見直されず、病床偏在についても、今後設置される地域医療構想調整会議での協議次第です。区長は、練馬の要望は全くと言えるほど反映されなかったこの結果をどのように受け止めているでしょうか。答弁を求めます。
今回、構想区域は変えられませんでしたが、しかし、2018年の次期保健医療計画策定に併せて、都は見直しを検討するとしています。区は、病床増のため同一医療圏から病院誘致を進めるとのことですが、根本的解決は練馬を単独の区域にすることであり、都に対し区域の見直しをいっそう強力に働きかけることを求めます。お答えください。
第2に病院整備についてです。練馬区はこの間、人口10万人当たりの病床数を、当面23区平均の2分の1にすることを目標に、順天堂練馬病院で増床する計画など推進してきました。
しかし、順天堂の増床分を除くと、大泉学園に建設中の新病院、さらに高野台運動場用地に誘致したいという病院など、どれも急性期ではなく、回復期・慢性期の病床ばかりです。回復期リハビリテーション病棟協会では回復期リハビリ病床は人口10万人あたり50床を目標にしており、練馬に当てはめると350床程度です。
同時に、救急の6割が区外搬送の現状からして急性期の病院が必要なことは言うまでもありません。区は病床増を目指す中で、練馬全体での急性期、回復期などの病床数と病院整備のバランスをどのように考えているのでしょうか。また、500床の急性期病院整備計画について、変わっていないとのことですが、重点課題として明確に位置付けているのでしょうか。さらに光が丘病院の改築に際しては急性期病床の拡充もはかるべきです。3点、お答えください。
【新山地域医療担当部長】
東京地域医療構想についてです。
都は、構想区域について、現在の二次保健医療圏と同じ区域としています。構想の策定にあたり、区と議会が一体となって、地域医療構想策定に関する要請書を都に提出しました。今後、平成30年に東京都保健医療計画の見直しが行われることから、区の現状を示し、意見を述べてまいります。
次に、病院整備についてです。
救急患者の約6割の方は区外に搬送されており、区内には急性期の病院が不足していることから、「みどりの風吹くまちビジョン」に新たな急性期病院の整備について掲げています。病院整備には土地の確保など様々な課題がありますが、支援制度等を活用し、引き続き病院誘致に取り組んでまいります。練馬光が丘病院については、改築にあたり、救急をはじめとする急性期医療の充実を検討してまいります。
第3に、小児医療についてです。
小児救急事業は、2015年度は2万692人の患者数になっており、2011年以前より6千人ほど減少しています。患者数が減少した原因は何か、区外に流れていないかなど実態を調べる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
島村記念病院では医師の確保ができず、夜間小児救急がこの10月から週1日になってしまいました。週2日でも月4、50人の患者数があり必要性は高く、少なくとも週2日以上は実施できるようにするべきです。また、光が丘病院の27年度の小児救急患者は5,392人、診療体制は常勤換算11名で、8000人の患者があった日大当時と比較して同等の水準には達していないと思います。
区として人材確保など両病院に対する支援が必要ではありませんか。お答えください。
第4に周産期医療では、順天堂病院で拡充するとともに、光が丘病院で改築に合わせ拡充を検討としていますが、改築の基本構想策定が遅れている状況です。区内で分娩できる場所はこの間9か所で変わらず、医療機関の連携をはかるセミオープンシステムの実績は区内約6000人の出生数に対し2015年度登録21人、分娩は19人に過ぎず、区民の不安やリスクが解消されているとはとても言えません。
区民の出産場所をはじめ、周産期の現況を適宜つかむとともに、既存の診療所への支援など、安心して出産できるよう対策を打つべきです。お答えください。
【新山地域医療担当部長】
小児救急患者数が減少した主な理由は、平成24年から国立埼玉病院の二次小児救急が拡大され、地元での受診が増加したことによるものと考えております。区としては、実施調査を行うことは考えていません。区では、夜間に小児科医を配置する小児救急医療事業を区内の医療機関に痛くしており、必要な人材を確保できるよう、支援を行っています。診療日数が欠ける実態がある医療機関については、必要な診療日数を確保できるよう、引き続き強く求めてまいります。
次に、周産期医療についてです。
区民の出産場所については、必要に応じて調査を行っています。また、練馬光が丘病院では、健診や分娩の役割について診療所と連携を図る周産期セミオープンシステム事業に取組んでおり、診療所等からの紹介件数は年間400件を超えています。今後も、区民が安心して出産できる体制を整えてまいります。
次に、石神井公園駅南口西地区再開発事業についてお聞きします。
石神井公園駅周辺のまちづくりについては、大手ディべロッパーと地元権利者の方々を中心に一昨年3月に再開発準備組合が設立され、事業主体として都市計画決定に向け再開発計画の検討をしてきましたが、当初の130mの高層ビルが110mになったことと、地権者の9割程度が再開発に賛成していること以外、その中身は明らかにされていません。
しかし、今後の流れを見ると計画案が決まり、住民説明会が開かれたら、都市計画決定で決まってしまうことになります。計画案が出されてから都市計画決定までの期間は一般的にどのくらいかかるものなのか、また、出された計画が区民の意見を聞いた結果変わることがあるのか、2点お答えください。
実際、この間いくつかの提案が関係権利者にはされているようですが、その中身は明らかにされず、公共施設は入るのか、入った場合どのくらいの区の負担が生じるのか、現在建築用資材は高騰しているが、住宅が販売されるオリンピック後の景気は厳しい見通しが示されている中で、採算が取れる事業となるのか、採算が取れない場合に区民負担になることはないのかなど、区民全体に関わる多くの疑問があります。また、1割とは言え反対している地権者がいるのに、住民を追い出すような計画を法律上クリアしているからと区としてお墨付きを与えるのか、商店街など地権者以外の住民の合意はどう考えているのか、高度利用とはどのくらいがふさわしいと考えているのかなど、一定時間をかけて話し合うべき課題が含まれています。区としては以上述べた点をどう考えているのかお示しください。
区はこの間、6回にわたってテーマを分けて懇談会を開き、地域住民など区民の意見を聞いてきましたが、こうした声を踏まえて再開発組合に対して地域にふさわしい計画となるよう指導するとしています。
こうした中で、10月には準備組合が進めようとしている110mの高層ビル建設と16mの都市計画道路整備の計画に反対する住民集会が開かれ、180人が参加しました。「さらに110mのビルが建てば、高層ビルが林立することになる」「西口を出たら壁のようにビルが立ち並び、石神井公園のイメージがまるでない」また、道路についても「1日2万台も通るような大きな道路が駅前にあったら、駅と商店街、公園を分断する」など異論が多数出され、同時に地域住民からまちづくりの提案もありました。
その中身は、1つは、交通網については、232号線に代えて現況道路の改善で対応する。2つは、まちの顔づくりは超高層ビルではなく、表通りの街並み整備で。3つは再開発計画エリアも既存の路地や大鷲神社など既存資産の再整備でなじみのあるものに。4つは、商店街と市民の共同で地域の中核機能を果たせる商店街の再生を図る。5つは、公園に連なる住宅は地域の誇りとして自ら文化活動や景観整備に取り組むなどです。
私どもは、こうした声を生かし、まちづくりを進めるべきだと考えますが、区としてはどういう立場で指導しようとしているのか、また地域にふさわしい計画とはどういう計画なのか明らかにすべきです。2点お答えください。
確かに、地権者の多くは、長い間、建築制限をかけられるなど建替えもできずに不便をかけられてきただけに早く進めてほしいという思いはありますが、現時点で漏れ伝わってくる中身は、とても周辺住民の合意が図られているとは言えず、水とみどり豊かな石神井公園がある駅にふさわしいまちづくりとも言えません。準備組合に対しては、高層ビルや大型道路ありきではない計画となるよう強く指導すべきです。区の答弁を求めます。
以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【宮下技監】
本地区では、現在、再開発準備組合を設立し、事業の施工を想定している区域内の関係者間において、検討を行っている段階です。施設計画の概要など、準備組合としての計画案がまとまりましたら、地域の皆様へお示しし、ご意見を伺うことを予定しています。
事業は、組合施工を予定しており、事業収支を含め事業の実施の判断と責任は、施行者である組合となります。また、再開発事業の特徴は、従前の権利者が、事業後も引き続き居住や営業を続けられる仕組みであることです。「不採算による区の追加負担」の懸念はなく「住民の追い出し」でもありません。
権利者の合意形成や地域の皆様との意見交換に要する期間は、各々の地域の状況により異なります。また、法令に基づく都市計画決定手続きには、縦覧や審議会への諮問などに六か月程度の期間を要します。こうした過程において、地域や関係の皆さまから頂いたご意見は、内容を勘案し、必要に応じて計画に反映していきます。
石神井公園駅周辺は、地域住民の日常生活を支え、その活動と交流の中心的な役割を果たす地域拠点です。
再開発事業は、個々の建物の共同・不燃化により防災性を高め、安全で豊かなみどりの歩道の整備や、高度利用により商業業務・公共公益・住宅など、立地の利便性を活かした施設の整備が期待できます。まちの魅力や機能をより一層高めるまちづくり手法であり、今後も事業の実施に向けて準備組合を支援・指導していきます。
また、再開発事業の検討と併せて、補助232号線や商店街通りの整備にも取り組んでいるところです。石神井公園駅周辺地区では、まちづくり全体構想の基づき、段階的に整備を進めてまいりました。今後も、地域の皆様のご意見を伺いながら、駅周辺地区の安全で賑わいのあるまちづくりを進めてまいります。私からは以上であります。