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議会報告
REPORT

[一般質問]2016年第2回定例会-とや英津子

2016年第2回定例会一般質問答弁付き/2016年6月3日/とや英津子

 日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

 質問に先立ち、熊本地震で犠牲となられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆さまに心からお見舞い申し上げます。

 また、昨日の一般質問で練馬区議会公明党の、うすい民男議員が議会ルールに違反する発言を行ったことに抗議します。うすい議員の発言は、本来行政の姿勢をただすべき本会議質問の場で、答弁や反論ができない他党・他会派に対し、一方的な批判を浴びせ中傷を行うというものです。その内容は事実無根のものも含まれており、日本共産党練馬区議団は、この不適切な発言の撤回を求めるものです。それでは質問に入ります。

 まず憲法問題に関わって、区長の基本姿勢をお伺いします。

 この間、我が党は安保法制に関連して、この法律が憲法の平和主義をくつがえし、日本を戦争をする国に変える違憲立法であること、憲法によって権力を縛るという立憲主義を乱暴に破壊するものであることを述べ、区長の認識を質してきました。しかし、区の答弁は、「平和安全法制は、平和主義を堅持しながら、…成立し」「立憲主義に反するとの認識は持って」いないということを重ねて表明するもので、この認識に至った区としての理由は述べられませんでした。

 これは、安倍政権が強行した戦争法をそのまま認めることであり、自治体の長として日本国憲法に対する姿勢が厳しく問われる問題です。安保法制の成立により、日本の自衛隊が、戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出すという危険が現実のものとなっています。そして参議院選挙で自民・公明・おおさか維新などの改憲勢力は3分の2以上の議席を目指すとし、明文改憲への執念をむき出しにしています。

 すでに明らかになっている「自民党改憲案」は、憲法9条2項を削除し、「国防軍」の創設を明記しています。また「緊急事態条項」の創設で、首相が「緊急事態の宣言」を行えば、内閣が立法権を行使し、国民の基本的人権を停止することが可能とし、さらに憲法13条の「個人として尊重」を「人として尊重」という表現に置き換え、個人の尊厳という憲法の基本原理を抹殺するなど、「憲法によって権力を縛る」から「国民を縛る」ものへと根本的に変質させようとしています。

 このもとで、5月3日付「朝日新聞」の世論調査によれば、「憲法を変える必要はない」が55%、「必要がある」が37%と、3年前の世論と真逆の結果になっています。

 この日本国憲法に対する攻撃が戦後かってないものとなり、国民世論がこれに対して危機感を持っているもとで、自治体の長として日本国憲法を守る立場を鮮明にし、今の安倍政権の主張に対して反対の意思を示す必要があるのではありませんか。答弁を求めます。

 【小西総務部長】

 平和安全法制は、平和主義を堅持しながら、我が国と国際社会の平和と安全をどうやって守るか、そのためには、どのような安全保障の仕組みが必要か、などの審議を経て成立したものです。

 憲法や国会法の手続きに従って、憲法解釈も含め審議された結果、可決・成立した法律であり、立憲主義に反するとの認識は持っておりません。

 憲法についての論議は、国民の代表である国会など国政の場においてなされるべきものではあり、区として意志を示す考えはありません。

 また国政に関わって消費税増税の延期が正式に表明されましたが、アベノミクスの失敗は明らかであり、消費税は延期ではなくきっぱりと断念すべきです。区長の見解をお聞きします。

 【佐々木企画部長】

 政府は世界経済の下振れ懸念があることなど、新たな危機を回避するため、消費税増税の再延期を決断したものと認識しております。

 区では、子育て支援や高齢者福祉の充実が待ったなしであります。増税を先送りするからには、政策と財政の新たな展望を明示してほしいと考えております。今後、国の動向を注視しながら、延期に伴う区財政への影響を見極め、的確な財政運営に努めてまいります。

 次に、区政改革計画素案についてです。

 素案の取組を見ると、ひとり親家庭の実態調査の実施や、バリアフリーの充実、国や都に対する税財政制度の見直しの要求など、区民の意見をくみ取ったわが党の要求してきた内容も少なからず反映されており、職員が区民生活の現場に出向くことを推奨するなど大事な考え方も含まれています。同時に、「地域包括ケアシステム」の推進や、保育園の委託・民営化、施設使用料の見直しなど、今後しっかり点検・評価し、改善が必要な内容も少なくありません。

 第一章の「今なぜ区政改革」かでは、その大きな理由の一つとして少子・高齢化問題について述べています。先の我が党の一般質問で、この問題の捉え方や基本的立場をお聞きしましたが、区は、その原因や解決方法についてまったく答えませんでした。しかし、原因や結果を正しく認識してこそ、正しい対策が打ち出せます。改めて少子・高齢化問題の原因・認識をお聞きします。

 また、素案をつくる前提となっている財政の現状の捉え方についても問題があります。財政指標で見る区財政の状況は、経常収支比率も実質収支比率、財政力指数、公債費比率など区も認めている通り健全で改善傾向にあります。

 ところが、児童、高齢者、障害者、生活困窮者などを支援するための経費、いわゆる扶助費が予算全体の3割を占めることを問題視し、国の税制改正による都区財調が大きく減少する見込みを示し、危機感を煽りたてています。

 しかし実際には、2016年度で見れば都区財調は‐3.6%ですが、地方消費税の増額など一般財源全体では増減率はゼロであり、扶助費が増えるのも少子高齢化社会の到来の中で区民の視点、要求、実態からみても必要な支出であり、問題視すべきことではありません。

 区立施設の更新も区のこれまでの無計画な態度がまず問われるべきで、区民に負担を押し付けるべきではありません。こうした危機感をあおりたてたもとでは、正しい改革の方向性も見えてこないのは当たり前です。

 将来の見通しが楽観できないというのであれば、区民サービスを切り下げる前に不要不急の道路建設費などに必要以上に予算を割くのをまずやめるべきです。区政改革は福祉や暮らし、営業を最優先したあり方に根本的に切り替えることを強く求めます。

 【森田区政改革担当部長】

 まず、少子高齢化についてであります。申し上げるまでもなく、高齢化の最大の要因は、死亡率の低下に伴う平均寿命の延伸と、少子化による若年人口の減少であります。

 少子化は、我が国の社会・経済や労働、国民意識の変化など、様々な要因が関係しており、特定の政策に起因するものとは考えていません。この認識は、第一回定例会における一般質問において明確にお答えしています。少子化へ抜本的に対応するには、国をあげて総合的に取り組むことが必要です。区政改革計画素案においては、根本的な取組を国に求めながら、区として子育ての支援に全力で取り組むことをお示ししています。

 将来を見通した改革を進めるため、素案では、概ね10年先の財政環境の変化を見越しています。今後、少子高齢化の進行に伴う社会保障関係経費の増加や、施設の改修・改築経費の増大は不可避です。税制改正により財政調整交付金がマイナスの影響を受けることは明白です。このような事実を区民の皆さまに正確に伝え、いかにすべきかを共に考えることが重要です。直近の財政指標のみを根拠に、区の見通しは危機感をあおるとのご指摘は当たらないものと考えます。

 区民サービスには、福祉・医療や子育て支援、教育のように現在の区民の求めに応えるものと、都市インフラの整備のように将来のための投資となるものがあります。社会変化を見据え、この2つのバランスをどう構成するか考えなければなりません。前者のみを優先することは、安全なまちを残すという次世代への責任を放棄するものであります。財政状況が厳しいなか、区民サービスの向上と持続可能性を両立させるために、この両面にわたって改革に取り組みます。

 次に高齢者施策についてお聞きします。

 区は区政改革計画素案の中で地域包括ケアシステムの確立を掲げています。しかし、これが本当に実効あるものになっているのでしょうか。

 私たちは、この間、実施された介護報酬の切り下げについて、その影響を調査するよう求めましたが、区は報酬の改定は国の責任で行われるべきものとして、実態調査の実施を拒否しました。実態も分からないのに有効な対策を打つことができるでしょうか。私たちの聴き取りでも、すでに複数の通所事業所が要支援者の受け入れをやめたとしています。

 区は区政改革の中で職員が現場に出向くことを奨励しており、区と事業者との会議体だけでなく、また高齢者基礎調査を待たず、現場の実態を早急に調査したうえで対策を講じるべきです。答弁を求めます。

 区政改革では、介護人材の育成・定着を進めるとして、就職面接会の開催や研修への助成などを実施するとしていますが、実態はこうした対策で済むような生易しいものではありません。そもそも介護を担っているヘルパーの仕事は、老老介護や認知症が増え、対応が複雑化しています。その上、この間の制度改悪で、介護時間が削られ、膨大な事務処理に脚を取られ、研修すらまともにできません。低賃金のため人が集まらず、慢性的な人手不足に陥っています。この現状を改善する手立てこそ区政改革に盛り込むべきです。

 区は、こうした状況を放置したまま、さらに要支援者の生活支援についても、区基準にすべて移行させようとしています。区基準は国基準を緩和し、利用料は安くなるものの担い手を有資格者から、わずかな研修を行った無資格者に切り替えるなど、安上がりなサービスに切り替えるものです。これは今でも不十分なサービスをさらに切り下げるものに他なりません。少なくとも国基準は維持すべきです。お答えください。

 私たちは、前回の一般質問で、地域包括ケアの要となる地域包括支援センターについて、実態に即した体制強化を求めました。これに対し区は昨年4月に増員したことを理由に適正に運営されていると答えましたが、私たちが聴き取りを行ったのは増員後であり、理由になりえません。区政改革の中でも相談窓口の強化を言うのであればそれに応える体制の強化を早急に行うべきです。答弁を求めます。

 区の言う地域包括ケアシステムは、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう医療や介護などが一体的に提供されるしくみです。そのためには現場の厳しい状況を改善することがどうしても必要ですが、区政改革はこれらに本気で応えるものになっていません。しかも、区は、さらなる介護サービスの切捨てとなる国の制度改悪を、持続可能なしくみのためには必要であると容認しています。これでは高齢者の暮らしは守れません。今こそ国の改悪に本気で反対すべきです。お答えください。

 【中田高齢施策担当部長】

 始めに、介護報酬についてです。

 平成27年度の報酬改定は、複雑化・多様化する介護ニーズに応えるため、中・重度の要介護者や認知症高齢者への対応を強化した場合に、基本報酬に加算して算定できる仕組みとなっています。単に減額だけを行ったものではありません。

 区は、これまで通り介護事業者への実地指導などを通じて、事業者ニーズの把握に努め、今年度実施予定の高齢者基礎調査と合わせて、事業運営上の課題を把握し、その対策の検討を進めてまいります。

 次に、要支援者の生活支援についてです。

 区は、介護事業者の意見を十分に踏まえた上で、今年度からアドバイザー派遣など、新たな人材確保事業を複数開始することとしており、人手不足の現状を放置しているという実態はありません。

 介護予防・日常生活支援総合事業は、地域で高齢者を支える体制を構築するため、自治体がサービス提供を工夫できる仕組みになっています。区は、今年度から、元気な高齢者が、支援を必要とする高齢者を支える仕組みとして、シルバー人材センターによる新たな家事援助サービスの提供を開始しました。また、要支援者の多くは生活援助のみを利用していることから、生活援助に特化した新たなサービスも実施しています。こうしたことから、要支援者へのサービス低下という指摘はあたりません。

 次に、高齢者相談センターの体制についてです。

 高齢者相談センターでは、新規事業の実施に合わせた増員やスキルアップのための研修を行っており、4つの本所と25か所の支所が連携することで、きめ細やかな相談体制を整えています。区民サービスは適切に提供されており、業務が滞っている実態はありません。今年度から、谷原出張所内に支所を移転し、併せて、街かどケアカフェをオープンするなど、地域と連携して高齢者を支援する取組を強化しています。

 今後、支所をより身近で利用しやすい窓口とするため、区民の皆様の意見を伺いながら出張所跡施設などへの移転を検討する他、本所と支所の役割分担を見直し、相談機能を更に充実してまいります。

 次に、介護保険制度についてです。

 高齢者が安心して暮らすためには、持続可能な制度が必要であり、国に見直しを求める考えはありません。区は、今後、第7期高齢者保険福祉計画・介護保険事業計画の策定に向け、高齢者基礎調査を実施して、課題を整理し、持続可能な地域包括ケアの仕組みを確立してまいります。以上であります。

 次に、保育園の委託・民営化について伺います。

 区政改革素案の中では、区立保育園の委託・民営化を推進するとし、区長は、民営化が究極の目標などとまで発言しています。

 なぜ、区立保育園を委託・民営化することに問題があるのでしょうか。

 保育事業は、かかる経費の約8割が人件費です。民間委託や民営化で経費を下げられるのは、もともと低い保育士給与がさらに下げられ、経験のない保育士の雇用や非正規雇用を増やすなど人件費を大幅に削るからです。専門性が求められる保育士が長期に安定的に勤められない職場環境では、保育の質が下がらざるを得ません。

 区は、質の高いサービスを提供できるとして、早朝や延長、休日などの保育サービスを挙げますが、これは保護者へのサービスであり保育の質の問題ではありません。むしろ事業者にとってはこうした事業を広げるほどそのしわ寄せは保育士の待遇に関わらざるを得ず、保育の質を低下させることにもつながります。

 また、委託などにより大幅に保育士が交代すれば子どもたちの成長に影響を及ぼします。特に企業経営の場合、業績が悪ければ、事業からの撤退も十分にあり得ることです。実際に経営破たんによる閉園などの事例が全国で多発しています。こうした問題を区はどう考えているのでしょうか。お答えください。

 区が強調する「持続可能な仕組み」も、全国で委託・民営化が進められてきた結果、保育士全体の賃金が下がり、保育士が確保できない事態を引き起こしています。潜在保育士は全国に約80万人いるのに、来年度末までに約9万人の不足が見込まれています。関係者の調査でも資格ある求職者が保育士につくことを希望しない理由は、「賃金が希望と合わない」が47.5%でトップです。

 小さな子どもの命を預かる責任の重さに比べ低すぎる賃金や、トイレに行く暇もないほどの忙しさが、保育士を選ばない人が増えた原因だと指摘されている通りです。練馬区でも委託園などでは保育士が見つからず、園長が独自のつながりでやっと見つけている事例など聞いていますが、その一方で、区の保育士を含む福祉2類の採用の倍率は2015年度で13.6倍、5年間の平均でも11.94倍。こうした事態を作り出した大きな要因の1つに委託・民営化があり、持続可能な仕組みとして導入してきたことが、実際には持続できない事態を作り出しているのではありませんか。区の見解を求めます。

 同時に、地方自治体が保育園の委託・民営化に踏み出した背景には、国の失政による大幅な借金財政があり、その負担を地方に押し付けるために、税制改正と称して地方交付金を減らし、公立保育園予算を一般財源化してきたことがあります。さらに、今度は、東京富裕論で東京からも財政を取り上げようという中で、いまの区財政の将来不安を引き起こしていることを考えると、委託・民営化方針は、国の失政のつけを子どもたちに負わせているようなものではありませんか。

 国の身勝手なやり方にくみせず、しっかりと責任を果たすよう強く求めるとともに、これ以上の委託・民営化はやめるべきです。お答えください。

 【堀こども家庭部長】

 

 まず、委託化・民営化についてです。区立保育所の委託化については、本年4月で計画した20所の運営委託を完了しました。

 委託化にあたっては、保育水準を維持しながら延長保育などサービスの充実を図ってきました。また、円滑な委託を行うための準備委託に一年間の十分な引き継ぎ期間を設けています。事業者の選定においては、事業者の経営状況などを的確に把握するとともに、運営委託料の算定は、各事業者の給与規定を踏まえた適切な運営費を見積もっていますので、当区においては、ご懸念はあたりません。

 保育士不足は、委託化・民営化の進行により生じている問題ではなく、首都圏における保育需要と保育士供給の不均衡に起因するものと認識しています。また、お話のあった倍率は保育士だけでなく、福祉、児童指導を含むものであります。運営委託を開始した以降の数値を見ても、委託の実施と採用の倍率の因果関係はありません。

 委託化・民営化は、保育水準を維持しながら保育サービスの向上を図るとともに財政効果を生み出すことを目的として、区が実施するものであり、国の施策に起因するものとは考えておりません。委託した保育所では、東京都の第三者評価や保護者の満足度アンケートでも高い評価を得ています。区ではこれまでの成果を踏まえ、引き続き委託化を進めるとともに、民営化についても、更なるサービスの充実が図られる手法として具体的に検討を行ってまいります。

 次に保育所待機児解消について伺います。

 第一に今年度の待機児の状況についてです。

 今年4月、保育所等に入れなかった子どもたちは874人、昨年の756人を118人も上回りました。

 私たちのもとにも「保活のストレスで夫婦ともに疲れ切ってしまった」「やむなく育休を延長した」「二次募集でやっと内定した小規模は給食もなく困っている」などたくさんの声が寄せられ、昨年以上の深刻な事態が浮き彫りになりました。

 今、待機児問題は保育園に落ちた親による怒りのブログをきっかけに一気に社会問題化し、これまで以上に注目されています。練馬でも集会やパレード、区に対する申し入れや異議申し立てなどが取り組まれ、この間保護者や関係者からは、一刻も早く対策を出して欲しい、待機児の数を明らかにして欲しいと強い要望が寄せられてきました。

 ところが区は正確な数字は未だ出ない、時間がかかるなどと待機児の数は明らかにせず、しかも認可保育所に入れず仕方なく認証に入った人や育休を取得した人を除いた数を公表し、待機児は166人としました。これに対し「実態とかけ離れた数を出すために時間をかけるくらいなら、苦しんでいる保護者の思いに寄り添い、一人でも、二人でも預け先をつくることこそすべきだったのではないか」という声も上がっています。

 今回の待機児の状況についての認識を伺います。

 練馬区が待機児を解消できない大きな要因は、一つには待機児の見込みの甘さがあります。そもそも区は2015年4月の時点で「待機児はゼロになる」と言ってきました。「子ども・子育て支援事業計画」の年度別需給計画で待機児はなくなり、逆に708人分も過剰になり、今年度は1,267人分保育園の定員が余ると言っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この予測や計画は、全くでたらめと言わざるをえません。二つには区立・認可保育所が決定的に不足しています。区は待機児対策を認可中心の整備から小規模園や練馬こども園の整備へ転換しています。しかし一次募集時点の第一希望の0~2才でみると、小規模保育を希望した人の倍率は0.2倍、0~2才まで実施の認可保育所は0.1倍、それと比較して就学前まで保育を実施している認可保育所は1.69倍と、保護者は就学前まで一貫して保育を実施する認可保育所を希望していることは数字の上でも明らかです。

 三つ目には保育士の不足です。保育士が不足し、保育スペースはあっても定員一杯受け入れることができない保育所もあります。以上三点についてどのような検証をしているのでしょうか、お答えください。

 第二に、待機児ゼロに向けた対策についてです。

 安倍政権は世論の高まりに押され、3月に緊急対策を打ち出しました。しかし認可保育所の増設や保育士の処遇改善などの抜本的な解決の方向は盛り込まれず、受け入れ枠を広げた「詰め込み」によって乗り切ろうとするものです。

 こうしたもと、区は保育所待機児童ゼロ作戦を発表し、国の基準緩和に与せず今年度中に450人分の追加を含め1,000人の定員拡大を行うこととしました。一日千秋の思いで待っていた人にとっては朗報と言えますが、一方で課題もあります。

 特に都の制度を活用した区立の保育所や幼稚園の一才児一年保育の実施です。これはあくまで一年以内に限定した預かり保育で、2才児以降は入園した保育園に在籍することも、その後の行き先の保障もなく子どもたちに対応の格差がでるのではないかと、心配の声が上がっています。対象児童の保育を就学前までどう保障するのか。また保育士の負担をどのように軽減するのか。2点お答えください。

 今、練馬区には待機児童を出さない抜本的な対策が求められています。保護者や関係者の願いはなによりも、子どもにとっての環境・条件が整い、居住地近くの通える範囲で、5才まで通い続けられるような施設です。つい最近も都内の無認可施設で一才の男の子の死亡事故がありました。犠牲になった子どもたちの多くが認可園の待機児でした。

 まずはアクションプランを見直し実態に見合った公立・認可保育所の整備計画とすること。また、どこにも入ることのできなかった子どもたちの状況を区として調査し、一人の子どもも行き場がない状況をなくすこと。以上2点答弁をもとめます。

 【前川区長】

 先ほど、とや議員のご質問の始めの部分で、私が区長に就任して以来初めて、ちょっぴりお褒めをいただきました。期待をしておりましたが、具体的な質問内容はこれまでと殆んど変わらないかなと、少しがっかりいたしました。

 私は、保育に限らず、質の高い福祉サービスを提供するには、事業者が地域の中で競い合って、サービスを提供し、それを住民が選択できることが大事だと考えています。

 民間の力を基本にしなければ、福祉サービスの充実はあり得ません。行政がすべてを管理して提供し、サービス内容まで決めるというやり方がどういった結果をもたらすか、20世紀の歴史を見れば明らかだと思います。

 所信でも申し上げましたが、認可保育所以外の保育室、家庭福祉員、認証保育所は、23区と都が大都市特有の多様な保育ニーズに応えるため、国の反対を押し切って創設し育ててきた制度であります。特に、保育室と家庭福祉員は、美濃部都政時代に制度化したとき共産党の皆さんも一緒に国と戦ったはずですが、いつから認可保育所のみが保育所だという考えにお変わりになったのか、不思議な気がしています。

 また、本来は、子育て支援は、国が育児休業などの労働政策や児童手当などの所得政策を含めた総合的な政策として取り組むべきものであります。確か共産党の皆さんも国に同じ要求をされていたはずです。にもかかわらず、なぜ自治体の保育行政だけを問題とされるのか、中でも都内で最大の定員増を行っている練馬区をお責めになるのか誠に不思議であり、本末転倒ではないかと考えております。私からは以上であります。その他の質問につきましては、関係者が答弁をいたします。

 【堀こども家庭部長】

 まず、待機児童の状況についてです。

 今年4月の待機児童数166人の内訳をみると、0歳から2歳、とりわけ1歳児が122人を占めています。これは修学前児童人口の増加とともに、入園申請数が前年に比べ314件増加したことが大きな要因と考えています。

 区はこの間、平成27年度までの3年間だけでも定員枠を都内最大となる2,600人以上増やしました。また本年4月には、練馬区独自の幼保一元化施設である「練馬こども園」を開設し、3歳児から5歳児の枠として926人確保しました。「予測や計画がでたらめ」との指摘はまったくあたらないと考えております。

 次に、区立保育所が不足とのことですが、大都市における保育サービスは、公立の認可保育所だけでなく、民間による多様な保育サービスで成り立っています。様々なニーズに応じた、多様な保育サービスを提供することこそ必要であり、0歳から5歳までのフルセットの区立認可保育所を今後増やしていく考えはありません。

 次に、保育士の確保についてです。私立保育所に対しては、都のサービス推進事業を活用して、延長保育、休日保育等の助成を行うとともに、保育士の処遇を改善する都のキャリアアップ助成などを活用し、保育士を確保しやすくするための支援を充実してきました。また、昨年度からハローワーク池袋のご協力いただき、区主催による練馬区保育士就職支援説明会を開催するなど、保育士の確保に努めており、現時点では、不足は生じていないと認識しています。

 次に、一歳児一年保育についてです。

 これは、一歳児に限定して、区立保育所や全区立幼稚園の遊戯室や空き教室あるいは私立保育所の一時預り室などを活用して保育を行う新たな取り組みです。

 最も待機児童が多い1歳児に最大限の定員枠を確保するための、暫定的な取り組みです。

 2歳児になる際の受け入れ先については、今回の待機児童ゼロ作戦による保育施設の整備等により確保していく考えです。保護者の要望を十分にお聞きしながら、対応してまいります。

 また、この取り組みは、現行の保育水準を維持することを前提としており、保育士の負担が新たに増えるわけではありません。

 区立認可保育所の整備計画については、策定する考えはありません。

 待機児童を解消するために、待機児童ゼロ作戦に全力で取り組んでまいります。現時点で、子どもたちの状況を調査する考えはありません。

 次に震災対策について伺います。

 4月14日に発生した熊本地震は、死者49人、住宅被害は11万棟を超える大きな被害をもたらしました。甚大な被害が予想される首都直下地震への対策は急務となっています。

 練馬区では2014年に修正した「練馬区地域防災計画」において、区内の大部分で震度6弱を1回観測することを想定しています。また、「練馬区耐震改修促進計画」に基づき耐震化を進めています。
熊本地震の震度7の揺れが2回発生し、被害が拡大した事態を踏まえ計画の見直しが必要ではないでしょうか。答弁を求めます。

 区政改革計画素案で、区民の防災意識を高め地域での活動につなげることで、安心して暮らせる地域をつくるとしています。こうした災害応急対策が大切なことは言うまでもありませんが、同時に早急な予防対策も必要です。

  「首都直下地震緊急対策推進計画」では、建物の耐震化率を100%にし、感震ブレーカー等の出火防止対策を行なえば人的・物的被害を約9割、経済被害を約5割も減少させられると明記し、予防対策の重要性を強調しています。

 区は「密集市街地整備事業」や延焼遮断帯として都市計画道路の整備を推進していますが、都市計画道路は必要性の検証が整備ありきで行われ、いずれも完了までには多大な事業期間と事業費が必要です。所信表明では自助・共助を強調していますが、区民の命と財産を守るためには、区による支援が重要です。その立場で以下提案します。

 第1に区の耐震助成制度の拡大についてです。阪神淡路大震災では新耐震基準の木造住宅でも多数倒壊し、命に係わる被害が発生しました。これを受けて建築基準法が2000年に大幅改正されました。趣旨を踏まえて耐震助成の対象を新耐震基準の建物まで拡大すべきです。

 第2は、家具転倒防止器具の配布事業についてです。今年度、区は防災への動機づけのために家具転倒防止器具の配布を始めました。しかし、対象は高齢者・障害者世帯のみで支給世帯数も抽選で約2000世帯と限定し、しかも単年度の事業では有効な施策とはなり得ません。港区では、全ての区民を対象とし、ファミリー層へ繰り返し周知を行い、啓発をすすめています。配布を来年度以降も継続し、対象をすべての区民へ拡大すべきです。

 第3に感震ブレーカーの普及についてです。この間、我が党は感震ブレーカーの普及促進を求めてきました。区は感震ブレーカーの有効性は認めるものの、国が行うモデル事業の動向を注視しつつ、認証製品の情報を収集し、普及促進についての検証を行うとしています。モデル事業の結果が今年3月に取りまとめられ、世田谷区や文京区などでは普及促進事業が始まりました。検討状況を明らかにするとともに、特に密集市街地を中心に簡易型やコンセント型の普及を早急にすすめるべきです。以上3点お答えください。

 【小暮危機管理室長】

 始めに、地域防災計画についてです。

 熊本地震を検証し、区の防災体制をより実効性の高いものとするため、地域防災計画の見直しを検討してまいります。

 次に、耐震改修促進計画についてです。

 現在、国土交通省では、熊本地震による建築物被害の分析を行い、建築基準のあり方を含め耐震性の確保・向上方策について検討を進めております。区としましては、今後の国の動向を注視し、適切に耐震改修促進計画に反映してまいります。

 次に、耐震助成制度についてです。

 昭和56年に改正された新耐震基準では、震度6強でも人的被害が生じることがないように設定されています。区内には、この基準を満たさない旧耐震基準による建築物が多数あります。現在のところ、対象の拡大は考えていません。

 次に、家具転倒防止器具等配布事業についてです。

 区は、これまでも、防災訓練や防災用品あっせん事業などを通じ、区民の防災意識の啓発に努めてまいりました。本事業は、室内の安全対策に関する動機づけを目的として実施しているものです。また、いわゆる災害弱者を支援する観点から、高齢者や障害者を対象としています。本事業の趣旨から、現在のところ、本事業の対象者の拡大や来年度の継続の考えはありません。

 次に、感震ブレーカーについてです。

 大地震の際、電気に起因する火災を防止する手段として感震ブレーカーは大変有効です。しかしながら、消防防災製品等の推奨を受けた製品は、本年3月現在、簡易タイプ2製品を含む3製品に留まっている状況です。また、国のモデル事業において、簡易タイプの感震ブレーカーであっても、普及に向けた課題も明らかになっていることから、今後も、国の動向や新たな製品の開発状況を注視しながら、普及促進について検討してまいります。

 

 次に、主権者教育についてうかがいます。

 この夏の国政選挙から18歳選挙権が適用されます。この間、低投票率が問題となってきましたが、中でも20代は低く3割から4割台です。選挙年齢拡大はこうした現状を変えるチャンスです。一過性のキャンペーンに終わらないよう、学校教育がその役割を発揮することが求められています。

 投票意欲を高めるには、政治的知識や、自主的な批判力・判断力を養うことが有効です。しかし、これまでの政治教育は、法律や制度など形式的な知識を教えるばかりで、公民の授業や総合的な学習も、区が行う主権者教育事業も、その範囲に留まります。これだけでは未来の有権者に主権者意識と政治的教養を育むことは困難です。

 総務省と文科省の高校向け指導資料でも言及しているように、現実の政治・社会問題を扱うことが重要です。現実に論争のある問題や地域課題などを学び、他者の意見も聞きながら理解を深める取り組みこそ政治的教養を育みます。小中学校から、日常的継続的にそうした教育を行うことが必要ではないでしょうか。区の見解をお聞かせください。

 日本国憲法についての学びも大切です。最高法規である憲法から国民主権や基本的人権、平和主義などを学ぶことは、立憲主義の観点からも重要であり、政治的中立をなんら侵すものではないと考えます。区の見解をお聞かせください。

 文科省は昨年、高校での政治教育と生徒の政治活動に関わる、新たな通知を出しています。通知の対象は高校ですが、いずれ進学する小中学生にも関わります。その点を踏まえ、以下伺います。

 文科省通知では生徒による政治的活動は「必要かつ合理的な範囲内で制約を受けるもの」とし、学校への届け出制を容認している点で重大です。どこでどんな活動をするのかを届け出ることになれば、政治的信条を学校側に明らかにすることになり、生徒は委縮してしまいます。憲法では思想・信条の自由を保障しており、年齢制限などありません。憲法に反し、法律にもないことを、文科省は学校長の判断で出来るというのです。これは主権者教育の妨げにしかなりません。自ら考え、行動できてこそ社会の形成者として成長できると考えます。お答え下さい。

 また通知は、指導上の留意事項として「教員は個人的な主義主張を述べることは避け」ることとしています。昨日の公明党の質問では、赤旗を教材として配布することを問題視していましたが、教員が自身の意見も述べながら授業を進めることは、政治教育が盛んなドイツをはじめ、諸外国では指導法の一つとして認められています。生徒に意見を押し付けることは許されませんが、教員の意見表明を一律に禁止することは、現場を委縮させてしまうのではないでしょうか。生徒も教師も自由闊達に政治や社会について語り合えることが、政治教育で大事なことと考えます。区の考えをうかがいます。

 投票意欲を高めるとともに投票しやすい環境整備も重要です。区立施設を活用するなどして期日前や当日の投票所の増設を求めます。また、区内大学内にも期日前投票所の設置を検討してはいかがでしょうか。

 これから先、政治教育を盛んにすることは民主主義にとって重要な課題です。教育行政は、生徒や現場の教師が生き生きと政治教育・学習活動ができる環境整備をするよう求めて、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

 【大羽教育振興部長】

 将来の有権者となる小中学生に対する主権者教育が重要であることは言うまでもありません。

 現在小中学校では、主に社会科において、政治の意味や役割を学んでいます。

 その中で、現実の社会では様々な立場や意見があること、自分の考えを持つことの大切さを、発達段階に応じて学べるように指導しています。また、憲法の理念や国民生活とのかかわりについては、学習内容にしっかりと位置付けています。

 昨年、文部科学省から出された高校生の政治活動に関わる通知文の内容は承知しています。これは高等学校等に対し、教育活動の円滑な実施に支障がないよう、生徒による政治的活動等を必要かつ合理的な範囲で制限または禁止し、適切に指導を行うことを求めているものです。

 授業における教師自身の意見表明については、政治的中立を確保するという観点から制限を受けると考えます。教員はあくまでも公正かつ中立な立場で指導し、児童・生徒が主体的に考え判断できるようにすることが大切であります。

 教育委員会といたしましては、将来、児童・生徒が有権者として自らの判断で選挙権を適切に行使することができるよう、引き続き主権者教育の推進に努めてまいります。私からは以上です。

 【阪田選挙管理委員会事務局長】

 期日前投票所については、区内7か所にバランス良く配置し、多くの皆様にご利用いただいております。

 増設に当たっては、セキュリティやバリアフリーへの配慮、財源や職員体制、施設利用者への影響など、様々な課題があります。大学内への設置は、選挙時に会場が確実に確保できる安定性も考慮しなければなりません。
増設については、現在考えておりません。

 当日投票所については、投票区の有権者数、施設利用の可否や利便性、地域コミュニティの範囲などの要素を考慮し、71か所としております。当面変更の考えはありません。

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