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[一般質問]2015年第4回定例会-島田拓

2015年第4回定例会一般質問/2015年12月2日/島田拓

 私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

 最初に区長の基本姿勢として社会保障解体ともいえる大改悪と消費税大増税についてお聞きします。

 政府は、2017年4月から消費税を10%に引き上げようとしています。昨年4月に消費税率が8%に増税された際、増税前の駆け込み需要の反動で4~6月期は景気が落ち込むが、その後は回復し、景気は上向くとしていましたが、政府の「想定」は見事に外れました。2015年4~6月期の実質国内総生産(GDP)伸び率は、前期比マイナス0.5%と、昨年4月の8%増税時に続き3四半期ぶりのマイナスとなっています。国民負担率も財務省の試算で2015年は過去最高の43.4%となりました。もし増税されれば消費はさらに冷え込むことは明らかです。区は増税でどのような影響が出ると認識していのるか、またそのために区としてどのような対策を講じようとしているのかお答え下さい。

 軽減税率の導入も検討されています。しかし、品目を絞り込み、税率を8%か9%にするだけでは家計にほとんど恩恵はありません。むしろ複数税率による中小業者の事務負担が増えることが問題で、結果的に増税されることに変わりありません。

 政府は、「消費税の増税分はすべて社会保障に充てる」と説明し、「社会保障が良くなるなら」と増税に賛成した人も少なくありませんでした。ところが増税分が社会保障の充実にあてられるのはわずか16%にすぎません。

 さらに安倍内閣は、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2015」を閣議決定し、増税の口実であった社会保障を「歳出改革の重点分野」と位置付け、社会保障関係経費の伸びを集中改革期間の「3年間で1.5兆円」、年平均5千億円を「目安」に抑え込む方針を明記しました。具体的には、社会保障制度改革推進法以来の社会保障費抑制を「成果」として大きく評価したうえで、それ発展させ、医療、介護、生活保護、年金、障害者福祉、保育など制度改悪を横並びに総合的に実施し、そのために44項目の改革項目とその「工程表」まで明示して推進しようというのです。これは公約とも矛盾しており、なにより国民の暮らしが立ち行かなくなってしまいます。

 消費税創設以来26年間で、その税収は282兆円にものぼりますが、同時期に法人3税は254兆円も減りました。不況による税収の落ち込みに加え、大企業への減税が繰り返されてきたからです。その結果、実質負担率が中小企業は25%に対し大企業は14%と、いちじるしい不平等になっています。一方の所得税は、本来、所得が高いほど負担率が高くなるはずなのに、実際には所得が1億円程度を超えると逆に負担率が下がっています。これは富裕層への優遇税制があるためです。こうした不公平税制をあらため、「能力に応じた負担」の原則に立った税制改革をすすめれば、公共事業や軍事費などの浪費をなくすこととあわせて、消費税増税に頼らず財源を確保できます。

 東京新聞の6月の調査でも消費税の増税に反対は7割にのぼっています。国は国民の声に耳を傾けるべきです。区として国の社会保障の大改悪と消費税増税に対して、中止を強く求めるべきです。お答えください。

 【中村啓一企画部長】

 消費税率引き上げの趣旨は、今後、増加が見込まれる『社会保障4経費』といわれる年金、医療、介護および子ども・子育て支援施策に要する経費の財源確保にあります。景気や人口構造の変化に左右されにくく、税収が安定している消費税を財源とすることで、社会保障の充実・安定化を図ると同時に、将来世代の負担を軽減させようとするものです。

 長期にわたり赤字が継続している、わが国の財政とその大宗を占める社会保障制度が、現状のままでは立ち行かないことが明らかであることから、経済・財政一体改革の取組の強化が必要とされています。国の経済・財政再生計画における歳出改革の中でも社会保障は重点分野であり、給付の増加を抑制することは、個人や企業の保険料等の負担の軽減につながるものとされています。

 区としても、今後ますます増加が見込まれる社会保障に対処するには、給付の伸びの抑制と財源確保が不可欠であり、社会保障改革と消費税増税は、必要かつ、やむを得ないものと認識しています。

 わが国の景気は、平成29年4月の消費税率引き上げの前後において、いわゆる駆け込み需要とその反動による影響を受けることが予想されます。今後とも景気動向を注視し、的確な見通しを立てながら財政運営に努めてまいります。

 次に練馬光が丘病院についてお聞きします。

 現在、光が丘病院が担っている医療は、日大から引き継いだ際の混乱から脱し、患者数が増加傾向にあります。2014年度の実績をみると、日大の運営していた2010年度との比較で救急車搬送数やICU・CCU、人工透析などの数が日大を上回っていますが、入院患者延数、外来患者延数、手術室件数および分娩数は少なく、小児については半分以下に止まっています。

 こうした中で区は、光が丘病院の改築にかかる基本構想策定懇談会で検討を重ね、提言(案)をまとめました。そこでは、「超」高齢社会が到来する中で、新病院に求められる医療機能として、これまで提供してきた機能は堅持しつつ、区内に不足している回復期リハビリや地域包括ケア病床を導入し、高齢期に多い循環器系疾患や整形外科などの診療科を充実させるべきと強調しています。光が丘病院の役割を大きく変えようしているのでしょうか。しかし、不足しているのは高齢期の医療だけではないのは、急性期の順天堂練馬病院の稼働率が97%と高い状況であることからも明らかです。

 地域医療振興協会と区が取り交わした基本協定書には光が丘病院は地域の中核的な役割を果たす病院と位置付けられ、救急、小児、周産期、災害の4つの重点医療を行うこと、高度で専門的および総合的医療機能を持つこととされています。こうした医療機能の現状をまず検証し、充実させることが必要ではないでしょうか。答弁を求めます。

 区は、さらに区民・事業者・行政の協働による練馬区独自のモデルとなる様々な意見を集約し、提言をまとめたとしています。しかし、集約したのは一部の区民に限られ、多くの区民は説明会さえ行われず、検討内容さえ知らされていません。どのような医療機能が必要なのか、日照権や騒音など住環境への配慮はどうするのか、当事者の声をまともに聞かないまま基本構想を策定することは許されません。区は、基本構想(素案)の策定時に、パブリックコメントを実施し、要望があれば区が出向いて説明したいとしていますが、こうした消極的な対応ではなく、一般区民・住民・利用者を広く対象とした説明会を早急に複数回開くべきです。お答えください。

 光が丘団地には建築基準法上の一団地認定の課題があり、新たな建物の建設にあたっては関係権利者の合意が必要ですが、実際に影響を受けるのはさらに広い人たちです。ところが区は直接的な権利者や新病院建設地に隣接する第三アパート自治会にしか、一団地認定について説明していません。今後の光が丘のまちづくりを展望して、都営住宅や賃貸入居者、またその他の光が丘住民に対して、丁寧な説明をすべきではありませんか。答弁を求めます。

 最後は差額ベッドについてです。現在光が丘病院では差額ベッドはわずか数%に抑えられています。順天堂練馬病院は4割程度となっていますが、光が丘病院は基本協定書に明記されている通り区内の中核的な病院であり、多くの区民がより利用しやすいよう差額ベッドの割合を現行通り低く抑えるべきです。お答えください。

 【新山健康部長】

 練馬光が丘病院は、日本大学が赤字を理由に一方的に撤退したあと、区の医療空白をなくすために、公益社団法人地域医療振興協会が運営を引き継いだ病院であります。

 引き継ぎを行う過程においては、病院がなくなってもよいような動きが一部にあり、悪意に満ちた風評の下、患者の引継ぎ用のカルテも提供されないというマイナスからの出発となりました。にもかかわらず、わずか3年余りで区の中核的病院としての役割を果たすよう努力してこられた練馬光が丘病院お皆さまには、深く敬意を表したいと思います。

 練馬光が丘病院は、区との基本協定に基づき、救急・小児をはじめとする4つの重点医療を担っております。平成24年4月に開院以来、救急患者数や小児の入院・外来患者数等、4つの重点医療に係る実績は、年々増加しています。特に、小児救急については、区内で最も多くの患者を練馬光が丘病院が受け入れています。その他の医療機能についても、協定に沿って着実に実施しており、あらためて検証するまでもなく、区の中核的病院としての役割を果たしております。

 また、現在改築を検討している新病院においては、4つの重点医療をはじめ、高齢化に伴って求められる急性期を脱した後の医療など、さらなる機能の拡充をめざしています。練馬光が丘病院改築に係る基本構想策定懇談会からも、同様の趣旨の提言をいただいております。

 次に、区民への説明会等についてです。

 基本構想策定懇談会の内容は、区議会に報告のうえ、各回の会議資料や会議録を、全て区ホームページで公開しております。また、基本構想の策定にあたっては、パブリックコメントを実施し、広く区民の皆さまのご意見を反映させてまいります。

 今後も、病院の建設に際しては、説明会を開催するとともに、引き続き区議会ならびに区民の皆さまから、広くご意見を伺ってまいります。

 次に、建築基準法上の一団地認定についてです。

 区はこれまで、区域内における関係権利者の皆さまに対し、説明を重ねてまいりました。今後も引き続き理解が得られるよう、丁寧な説明を心掛けてまいります。

 次に、特別療養環境室料、いわゆる差額ベッド代についてであります。

 新たな病院における差額ベッド代については、区民の皆さまにご利用いただきやすくする一方で、病院の経営が持続できるようにすることも考慮する必要があります。今後、地域医療振興協会と協力してまいります。

 次に都の地域医療構想について伺います。

 現在東京都は「誰もが質の高い医療を受けられ安心して暮らせる東京」をと、2025年に向け医療機能ごとに医療需要と病床の必要量を推計し定める、新しい地域医療構想の検討を進めています。

 これに対し練馬区と区議会は意見書等で、私ども共産党は要望書で、練馬の医療過疎を解決するため「新医療構想は従来の二次医療圏単位でなく、自治体(練馬区)を単位とする」ということを求めてきました。

 ところがこの10月の段階で、東京都から新しい構想区域は従来の二次医療圏単位で行くという考えが示されました。まだ決定ではありませんが、自治体単位でなければ練馬の医療過疎は解決できなくなります。こうした状況にあって、区民に安心できる医療を届けるため、共同で当初の目標を実現する運動を起こすことを呼びかけ、以下質問させていただきます。

 厚労省のガイドラインでは、新構想区域設定に当たっては、あらかじめ人口規模、患者の受療動向など4点の要素を勘案し、検討をした上で「現在の二次医療圏と異なる構想区域の設定」を可能としています。練馬の現状をみれば、検討すべき4点のうち、全都2位の人口規模となっていること、病床数は23区平均の1/3で、7割が区外の病院という患者の受療動向、さらに公共交通空白地域が区内17か所で、南北の交通軸が主にバスとなっており、交通の不便さがあること。この3点だけをみても新構想区域は自治体を単位とすべきことは明白です。しかし、将来の区西北医療圏について、もっぱら医療圏だけを視野に入れたものとなっており、圏内の自治体の実態が考慮されていません。

 その結果、練馬の病床過疎解決状況をみると、1991年から2012年の約20年間に人口10万人あたりの病床数は6床減りました。もともと医療圏は国の病床削減政策で生まれたもので、本来のあり方は自治体単位です。国がさらなる病床削減を行おうとしているだけに東京都は都民に一番近い自治体の実情をよく聴き、医療過疎のところには少しでも多く病床を増やすべきですが、実際にはそうなっておらず、自治体や区民の声に背くものとなっています。

 今日、地域包括ケアシステムの構築が重要課題となっており、日常生活圏域での医療と介護の提供者が連携する在宅ネットワークの構築や在宅療養の病床が必須となっています。そのためには、区民医療の責任を果たせるよう自治体を単位とした構想区域を設定し、地域に必要な病床数を確保することが不可欠です。これは災害時に自治体が区民の命と健康を守る責任を果たす上でも重要です。これらの課題を本当にやり抜く立場に立つなら23区平均の病床数と3,640も格差のある練馬を4つの医療圏に組み込むなどと到底言えないことではないでしょうか。

 地方自治法は自治体の自主性および自立性が十分発揮されるようにするものとしています。東京都は自らも顧みて、区市町村にこうした対応をされることを強く望むものです。以上の趣旨を踏まえて、ご意見をいただきたいと思います。

 地域医療構想は最終的には東京都の次期医療計画と整合性を持たせることになりますが、都が従来の医療圏単位でいくと決めてしまえば手遅れになります。東京都が結論を出す前に、出来るだけ早期に交渉や働きかけを行うことが必要だと考えます。区がその先頭に立たれるよう強く要望します。お答え下さい。

 【前川区長】

 病床の確保は、練馬区の最も重要な課題の一つであると考えています。特に今後、地域包括ケアシステムを構築していくためには、回復期・慢性期の病床を身近な地域に確保することが必要となっています。それに対し現行の医療圏の設定には問題があると考えます。

 改めてご指摘をいただくまでもなく、これまで区長就任以来、東京都に対して様々な働きかけを行ってまいりました。7月には、地域医療構想策定に関して、区議会とともに要請も行っております。

 今後、この区としてあらゆる機会を捉え、意見を述べ、働きかけてまいります。

 なお、一言付け加えますと、病床の確保には、医療圏の設定に加えて、病院経営の採算確保という問題があります。東京のような交通網の発達した街で、現行の医療制度を前提として新たな病院を設置して健全な経営を確保するのは、極めて難しい課題であります。ぜひ抽象的な批判ではなく、建設的で具体的なご意見をいただきたいと思います。

 次に、国民健康保険について伺います。

 この間、保険料は毎年値上がりを続けてきました。夫婦と子供2人の年収300万円の世帯の場合、2009年度に約15万6千円だった保険料は、2015年度には約31万3千円と、国民の所得が増えていないのに、国保料は2倍近くもの値上げがされ、収入の1割に達するまでになりました。

 区は国保以外に加入している区民との公平性を強調しますが、サラリーマンが加入する協会けんぽの加入者一人当たりの保険料負担率は7.6%、公務員が加入する共済組合の一人あたりの負担率は5.5%です。公平性を言うのであれば、異常なまでに高額となった国保の負担こそ軽減すべきです。

 来年度は、高額療養費の賦課額の3/4を保険料へ算入する事が既定方針となっており、このままでは値上げが必至です。値上げにつながらないよう力を尽くすとともに、来年度保険料の検討状況を広く区民に知らせるべきです。答弁を求めます。

 区も認めてきたように、国保料の値上げには構造的な問題があり、国はその解決のために今年度より国費を投入しています。これを活用し被保険者の負担軽減のため以下2点提案します。

 第一は、多子世帯への均等割の減免措置を導入することです。23区では、2011年に「住民税方式」から「旧ただし書き」方式へ変更になったため、子育て世代など世帯人数が多いほど負担が大きくなっています。今年度の均等割は44,700円です。これでは、子どもが生まれるほどに負担が増してしまい、子育て世代の負担が増すばかりです。昭島市では同世帯に18歳以下の加入者が2人以上いた場合は均等割半額、3人目以降は9割軽減を独自に行っています。23区統一保険料方式も区独自の減免措置を禁じたものではありません。練馬区においても認定こども園の保育料など、多子軽減が実施されています。この考えに立って多子世帯への均等割減免を実施すべきです。答弁を求めます、

 第二が、介護保険制度では定められている「境界層措置」の実施です。年収230万円の30代の夫婦と子供一人の3人世帯の場合、収入から年20万10円の国保料を差し引くと、手持ち金209万9,990円となります。この世帯が生活保護を受給した場合、保護費は210万700円となり、国保料を支払うことによって、生活保護基準以下に落ち込んでしまいます。

 このような場合、介護保険制度には、保険料を賦課されて生活保護基準以下となった場合は保険料を減免する「境界層措置」が設けられていますが、国保制度では実施されていません。「境界層措置」の実施は国の責任で行うべきものですが、全国で685自治体が独自に実施しています。国に対して国保への境界層措置の実施を求めるとともに、当面の間は区独自に実施すべきです。以上2点答弁を求めます。

 【唐澤区民部長】

 まず、高額療養費の保険料賦課額への算入についてです。平成26年度から段階的に実施しているものですが、算入にあたっては、保険料の値上げ抑制にも配慮した、算入の方法を検討しています。

 また、来年度保険料の検討途中での公表は、国から示される諸係数等を順次反映させ変動しているため困難です。算定後は、区のホームページなどで丁寧に説明をしてまいります。

 次に、多子世帯への均等割減免や境界層措置などの軽減措置の実施についてです。区は、国保会計の赤字を補てんするため、毎年度50億円程度を一般会計から繰入れています。一方で、国民健康保険の被保険者は、平成22年度に、20万人を超えていましたが、近年、毎年5千人程度が減少している状況です。被保険者数が減少傾向の中、国保加入者以外の方との公平性の観点からも、一般会計からの繰入れ増に繋がる「多子世帯への均等割の軽減措置」や「境界層措置」等の新たな軽減措置を区が独自で導入することは、困難です。

 23区統一保険料の趣旨からも、区独自の減額策の実施は考えておりません。また、独自の減額策をしている特別区もありません。

 なお、子供に係る均等保険料の軽減措置と国保の境界層措置の導入については、地方からの要望と本年5月の国保法改正に対する国会の附帯決議を受け、国が検討を行っていると聞いております。課長会等で改めて、実施の申し入れをする予定はありませんが、区は、その動向に注視してまいります。

 次に、精神保健について伺います。

 

 区長は所信表明で「障害者差別解消法」の施行を挙げて、そのための相談窓口や地域協議会の設置など障害者施策を「今後とも充実に努めていく」と表明しました。障害者の人間としての尊厳を守り、障がい者の願いを反映した施策を進めることが重要です。

 障がいは知的・身体・精神の3つに分けられますが、精神障害の施策については、現状、当事者やご家族は他の障害と比較して格差を感じています。例えば医療費では、精神疾患の場合は自立支援医療となり、助成は精神に関する医療のみで、入院は対象外です。しかし、心の病は身体も悪化させることも多く、精神疾患以外にも医療費はかかります。なぜ他の障害と同様の助成を受けられないのか、当事者やご家族が考えるのも当然ではないでしょうか。障害の違いによる無用な格差はなくしていくべきと考えますが、区の認識を伺います。

 区が行っている施策でも、心身障害者福祉手当と福祉タクシーの対象に精神障害者が入っていません。対象に加えることを求めますが、いかがでしょうか。お答えください。

 区では、今年度から石神井と豊玉の保健相談所に地域精神保健相談員をそれぞれ1名配置し、訪問支援を強化しています。これまで主に保健師が担っていた業務を相談員が専門的に行うことで、訪問回数が2014年度12回から今年は8月までで18回に増えました。一歩前進と言えます。

 保健相談所では支援のため、年間300件の訪問を目標としています。対象者への訪問は事前・事後の検討や医療支援など、継続した対応が求められており、相談員には家族を支援するという役割もあります。さらに潜在的対象者をどう見つけ出し、支援するかという課題もあります。こうしたことを考えれば、区の言う300件という目標に対し、精神保健相談員2名で充分と言えるのでしょうか。

 相談員の増員について区は、検証・検討を行なっていくとのことですが、アクションプラン3か年計画では、2017年度まで、現状の2名配置に留まっています。この目標を見直し、すべての保健相談所に精神保健相談員を配置するよう求めます。また、相談員は非常勤となっていますが、安定的、継続的に働けるよう、常勤とするべきです。2点ご答弁ください。

 前定例会で、私どもが相談体制と相談時間の拡充を求めたところ、区は文京区の24時間安心相談サポート事業の成果を研究しながら、体制を検討しているとお答えになりました。その後の検討状況がどうなっているかお答えください。

 区では現在、障害者地域生活支援センター4ヶ所で夜8時まで電話相談を行っています。しかし、時間が短く、電話回線は大泉のセンターが2回線ある他は1回線しかありません。私どもが実際、電話してみたところ、なかなか繋がりませんでした。さしあたり夜12時までの延長と回線の増設が必要ではありませんか。2点答弁を求めます。

 精神障害者の保健と福祉施策は、身体障害・知的障害と比べ遅れをとってきたという問題があります。しかし、この間、練馬区では関係者の努力で一歩ずつ前進してきました。それをさらに推進するために、今後は精神障害に関する施策の見直しや新たな施策を立てるにあたって、検討の場に必ず当事者・家族も招き、その意見を反映させるべきです。そうしてこそ、精神疾患への偏見をなくして地域社会で共生するという目標に向けて着実に進められると考えます。答弁を求めます。

 【大羽福祉部長】

 精神障害のある方への医療費助成等についてお答えします。

 精神障害のある方への自立支援医療は、精神疾患に係る医療費助成の仕組みです。精神疾患に係る通院を制限なく対象としています。精神疾患に係る入院やそれ以外の医療費については、所得に応じて自己負担額の上限が設けられているなど、他制度による支援があります。身体、知的に障害のある方への医療費助成は、通院・入院ともに、対象や所得などの制限があります。従って、格差があるとは考えていません。

 精神障害のある方への心身障害者福祉手当等については、財源の確保と支給の管理などの課題があることから、現時点で対象とすることは困難であります。

 障害者地域生活支援センターは、土曜日・日曜日を含め、午後8時まで開館しています。すでに東京都や民間施設と連携することで、24時間の相談体制が整備されています。また、生活実態を把握することが支援に役立つことから、訪問による相談を積極的に実施しています。現時点では、センターの開館時間の延長や電話回線の増設が必要であるとは考えておりません。

 精神障害のある方や家族については、傷害者計画策定懇談会や傷害者自立支援協議会に委員として参画いただくなど、すでに機会を捉えて、障害者施策への意見を伺っています。

 【新山健康部長】

 健康および地域医療に関する質問にお答えします。はじめに、精神保健相談についてです。

 本年4月から、保健相談所2か所に地域精神保健相談員を配置しました。相談員は、精神疾患がありながら治療が中断していたり、未治療である方を適切な医療につなげて、安定した地域生活を送れるよう支援を行っています。今後、訪問支援の実績や効果を検証した上で、相談体制や支援のあり方について検討してまいります。また、現在のところ常勤化については考えておりません。

 電話等での相談体制については、他区の事例を参考にして検討してまいりましたが、施策の効果など様々な課題があります。そのため、区独自に24時間の相談体制を実施する予定はありません。

 次に、石神井公園駅南口地区再開発事業についてお聞きします。

 区は、石神井公園駅周辺のまちづくりについて、この間3回にわたり懇談会を開いていてきました。しかし、出された意見の大半は大型道路や高層ビルに対する批判や懸念となっています。我が党も今年の第1回定例会でこの問題を取り上げました。

 その時点でも、地域住民から130mの高層ビルと16mの都市計画道路の計画案の検討に対して「住環境や商環境へのダメージ、景観への影響、商店街の分断など」異論や疑問の声が出されています。区は「地元権利者で設立した再開発準備組合で事業計画案を検討している段階で、決まったわけではない、同時に整備される都市計画道路232線についても理解していない住民がいて、周知と合意形成を図り進める」などと答えています。

 現在、準備組合が設立されていますが、そこで決められる内容は関係住民に示されていません。しかし、実際には準備組合が、再開発事業の都市計画が決定される前に行政からの補助金等の内諾をとり、主導するディベロッパーとの覚書や契約の締結などを行い、保留床処分計画、地元権利者への権利証の配分などを計算し、計画を立てます。これは都市計画に係わる自治事務であり、多額の公費が投入されること、この計画が都市計画決定されれば原則、後戻りできないことなどを考えれば、現時点で情報公開をしっかりと行い、地権者や議会に示し、そのあり方を検証する時間的猶予を十分確保すべきと考えますが、区の認識をお答えください。

 再開発の基本的な仕組みは、開発前の権利者が土地建物を提供する代わりに再開発ビルの床、いわゆる権利床を与え、それ以外の床は保留床として大手ディベロッパーなどが確保、購入し、売却して、事業費を賄うというものです。地権者組合は、地元の地権者や借地権者の3分の2以上の同意で設立され、同意しなかった地権者も再開発組合に強制加入させられ、再開発前の土地の所有権、借地権は本人の意思にかかわらず新たなビルの床の所有権に権利変換させられるか、補償金を得て転出させられることになります。土地は物理的に減ることはありませんが、再開発ビルの床の資産価値は年月とともに下がることから、地権者は減少する床の価格を回収する高い収益力がなければビルには入れず、多くの地権者はビルから出ていかざるを得なくなります。組合運営も多くはコンサルタントや大手ディベロッパーからの出向による事務局によって取り仕切られます。結局、ビルの大部分を外部の大手不動産業者が不動産事業に活用するというのが実態なのです。

 練馬区でも組合施行によって大泉学園駅北口や石神井公園駅北口で再開発が行われてきました。大泉学園北口では野村不動産、石神井公園北口では鹿島建設がディベロッパーとして参加組合員となり、保留床を取得し、野村不動産は、総事業費161億円に対して保留床処分金は51%、77億円。鹿島建設は総事業費323億円に対して保留床処分金61%、198億円となりました。これはあくまで評価額で等価変換時の金額であり、ディベロッパーは市場価格で分譲するとさらに巨大な利益を得ることになります。全国市街地再開発協会の資料によれば、少なくとも25件の再開発事業をみると利益率の平均は約25%となっており、仮に大泉学園北口再開発にあてはめれば約19億円、石神井公園北口では50億円が利益としてディベロッパーに渡ったことになります。そして、その利益は高層になればなるほど、容積率がアップすればするほど旨みが増すため、風害や日照権などを脅かしてまで、より高層化しようという力が働くのです。ちなみに大泉学園北口には総事業費のうち補助金など公費が53.4%、86億円、石神井公園北口でも35%、114億円が投入されています。補助金はさしずめ大手開発企業の利益保証制度と言っても過言ではありません。

 区は、多額の公費を投入しながら、地元住民を追い出し、大企業の儲けのために行うようなまちづくりで本当に良いとお考えでしょうか。また現在、工事費が高騰していますが、オリンピックを前後して価格が下落した場合に準備組合が考えている資金計画通りにいかなくなり、公的資金投入で穴埋めすることにならないのかも危惧されますが、いかかでしょうか。2点について区の認識をお答えください。

 補助232号線については49年前に机上でつくられた道路計画であり、今回、石神井公園駅前開発に伴って一部が整備されることになります。計画線上には現在、住宅や公園、学校などが建ち並び、すぐ近くに並行して富士街道が走り、しかも一部拡幅も予定されています。多くの住民を立ち退かせ、学校を分断するような大型道路に多額の税金を投入し、住民の反対を押し切って進める必要が本当にあるのでしょうか。補助232号線については、第4次事業計画で優先整備路線にすべきではありません。答弁を求めます。

 以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

 【宮下技監】

 再開発事業においては、まずは事業者自らが採算性を精査し、事業計画を立案することが必要です。

 区は法令等に基づき、道路等の公共施設整備の負担金と共同施設整備に対する補助金を交付しますが、その他の事業経費は保留床処分金で確保することになります。

 デベロッパーが参加組合員として事業へ参画することは、保留床処分に係る事業のリスクをデベロッパーが負担することとなり、事業の安定化を図る上で有効です。
区は、地域の発展に寄与する事業計画案がまとめられ、都市計画決定へと進む際に、区民の皆様に計画をお示しをし、ご意見を伺ってまいります。

 再開発事業は、従前権利者が事業後も当該地において住居や営業を続けられることをメリットとする事業です。住民を追い出し、大企業を儲けさせるために行うというご指摘は全く当たらず、事業の仕組みを今一度、深くご理解頂きたいと思います。

 次に、補助232号線についてです。

 道路は、区民生活に欠くことのできない最も基本的な都市基盤です。都市計画道路の整備の遅れは、地域の発展や防災上の観点から大きな妨げとなっています。そのため、補助232号線をはじめ、必要な都市計画道路は着実に整備する必要があります。第四次事業化計画については、今年度末の策定に向けて、都や区市町と連携して取り組んでいるところであります。

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