陳情第11号「平和安全法制の慎重審議を求めることについて」の不採択に反対する討論/2015年10月16日/島田拓
私は、日本共産党練馬区議団を代表して、陳情第11号「平和安全法制の慎重審議を求めることについて」の願意に賛成し、不採択に反対の立場から討論いたします。
この陳情の願意は、立憲主義を侵し、自衛隊員の命を危険にさらす10本もの法案を一まとめにして通そうとしていることへの不安、アメリカと一緒に戦争を行うことによって日本がテロの対象となることへの危惧、沖縄の辺野古基地建設強行や横田基地へのオスプレイ配備など平穏な市民生活を脅かし、この法案でそれがさらに助長されることへの懸念、なによりこれだけの法案を国民合意がないまま強行しようとしていることへの危機感から安保法制の慎重審議を求めるものです。
ところが陳情の審議では、これらの願意どころか、請求した資料も出されず、問題となっている法案の中身についての審議も行われませんでした。そして不採択の理由としたのは、第二回定例会で5会派13名が共同提出した「安全保障関連法案の今国会での成立を断念するよう求める意見書」と今回不採択となった陳情11号が同趣旨であるという理屈、および請求した資料が委員会に出されても国の問題であるから区が答弁することができないということでした。
しかし、第二回定例会で出された意見書は今国会での成立を断念することを求めるものであり、陳情11号の慎重審議を求めることと同趣旨であるとは言えません。さらに区が答弁できないからという理屈も、この間、国や東京都など、区が当事者とならない問題について区議会で審議してきた経過からみても矛盾しています。なにより陳情11号は、区議会としてすでに受理され、委員会に付託されており、審議できないと撥ね付けることは、陳情権の侵害と言われても仕方ありません。
こういったことは今回だけではありません。前期の区議会でも同じ団体が提出した「集団的自衛権に関する従来の憲法解釈を変更しないよう国に求める」陳情第161号について、私たちは早期に結論を出すように繰り返し求めましたが、国論を二分する問題などと理屈をつけ、審議を先延ばし、審議未了のまま廃案としてしまいました。
そもそも今回の陳情の中で問題となった安保関連法案は、多くの憲法学者、弁護士、歴代内閣法制局長官、最高裁元判事までもが憲法違反であると断定しました。さらに6~7割に上る国民が今国会での成立に反対し、8割に上る国民が説明不足であると答え、安倍首相も国民の理解が得られていないということを認めました。これは立憲主義だけでなく、憲法に示された国民主権、民主主義、平和主義を乱暴に踏みにじるもので、慎重審議を求める区民の声は当然の要求だと考えます。
私たちは、練馬区議会として区民の陳情権を誠実に保障し、憲法を守り、民主主義を守るため、陳情第11号「平和安全法制の慎重審議を求めることについて」を採択すべきことを強く求め、討論といたします。