2015年第3回定例会・決算反対討論/2015年10月16日/坂尻まさゆき
私は、日本共産党練馬区議団を代表して、議案第74号から77号までの2014年度練馬区一般会計、国民健康保険会計、介護保険会計及び後期高齢者医療会計の4決算に反対の立場から討論を行います。
反対理由の第一は、経済対策が的確に機能していないということです。
2014年度は、安倍政権による異常な円安と物価上昇に加え、4月から消費税増税が強行されたことで、GDPが実質でマイナス1%になり、特に個人消費が大きく後退しました。
2014年度予算は増税直前に組まれたものであり、それだけに区が区民の暮らし、営業をどう守るのかが問われました。しかし、力を入れたという経済対策は、産業経済費全体で執行率は79.9%にとどまり、なかでも産業融資制度は補正で減らしたうえに5500万円も不用額を出しています。商店街振興でも、いきいき商店街支援事業など主要事業で3,900万円も使い残し、的確な支援になっていません。
区は事業者の努力を強調しますが、区自身が主体性をもって、地域経済に何が必要かを現場からつかみ、力を尽くすべきです。また、住宅リフォーム助成制度導入も公契約条例も拒否し続け、さらに現場労働者の賃金がほとんど上昇していないという実態があるのに調査も否定しています。
反対理由の第二は、区民に負担を強いた決算であるということです。
区は国民健康保険料の滞納世帯が3万件、資格証の発行も約4千世帯というなかで、高額療養費を保険料に算入しさらに値上げしました。区民負担はもう限界なのに、区は収納強化を言うだけで独自の負担軽減策にも背を向けています。介護保険料も値上げし、制度開始時の約1.9倍にもなりました。特養ホームの増設は140床にとどまり、待機者解消には程遠い結果です。そのうえ本年4月から総合支援事業で軽度者を保険から外し、利用者から怒りや不安の声が上がっています。
保育園待機児童の問題で、認可で1,374人の定員拡大を行ったことは前進です。しかしそれでも認可園希望で入れなかった子どもは約800人にのぼります。99%の人が認可園を希望しているのに、今後は小規模など安上がりな保育で済ませようという姿勢です。学童クラブの待機児も増設で解決する道を放棄し、ひろば事業との一体化・大規模化で、保育の質を後退させようとしており、保護者の不安を呼んでいます。暮らしを守るはずの社会保障が、区民を痛めつける結果になっているのです。
第三は、「財政の硬直化」など厳しさを強調しながら、不要不急の開発事業は拡大していることです。都市整備費だけは前年比68%増と突出させ、外環の2地上部街路、関越高架下の高齢者センター、教育環境を破壊する補助135号線など、区民が反対、あるいは合意のないものを強引に進めようとしています。都市計画道路で延焼遮断帯など防災効果を強調しますが、感震ブレーカーについては検討を繰り返すばかりです。10年後に整備率8割などと都市計画道路に傾倒しながら、一方で区民要望が強い生活幹線道路の整備・改善については100年かかるという逆さまぶりです。今後、既存の公共施設の維持・更新だけでも莫大な経費が必要とされているもとで、区民不在の都市計画道路を進めることには合理性がありません。
そうした無駄遣いの一方で行革によって職員削減が進められてきました。その犠牲になるのは、結局区民です。生活保護世帯が12922世帯と増え続ける下で、ケースワーカーに過重負担を押し付け、精神疾患や母子保健の困難事例が増加し、保健師の受け持ち件数が格段に増えているのに、人員補充をしていません。ことさらに危機意識をあおって行革をさらにすすめ、区職員の削減、委託化をすすめれば区民サービスの低下を招くことは明らかです。行き過ぎた行革は見直すべきです。
区財政が厳しいといいますが、区民はもっと厳しい状況にあるのです。区側の意向ばかりを押し付け、区民にこれ以上の負担をかけることは許されません。開発優先を見直し、福祉、暮らしのリアルな区民要望に最大限応えることを求め、日本共産党練馬区議団を代表しての反対討論といたします。