2015年第3回定例会一般質問答弁付き/2015年9月8日/とや英津子
私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。
最初に、先の第2回定例会で区長は、わが党の有馬区議の質問のうち、昨年6月に改定された教育行政改革の問題で、区議の名誉を傷つけるような発言を行うなど、議員のみならず議会の品位を著しく傷つける回答をされました。この問題について改めて厳しく抗議し、撤回を求める立場から質問します。
区長は答弁で「私が実質的に政治的中立性が脅かされる、教育行政の改悪を容認する答弁をしているとのご指摘でありますが、まったく理解できない」と非難されました。
しかし、地方教育行政法の改定については、2014年2定のわが党の質問に対して、区長自らが答弁で「今度の改定は、教育委員長と教育長を一本化して行政の責任を明確化、選挙で示された民意を教育に反映させるため」などと評価し「この改革により、教育行政における新しい役割が私に与えられたものと考えております」としています。これは、教育「大綱」の策定が首長に義務付けられたことで改悪されたものですが、区長はそれを実質容認しているではありませんか。区議に対する非難を取り消すべきです。ご答弁ください。
区長は「改悪の論証がまったくない」と述べていますが、昨年の2定の質問とともに、今年2定でも3つの要素を挙げて論証しています。
第1に、教育委員会制度を見直し、合議機関の民主的運営を危うくする
第2に、首長に「大綱」策定の大きな権限を与え、教育委員会の民主的運営を破壊する危険
第3に、首長と教育委員会の平等な協議体として総合教育会議を設置したが首長の暴走になる恐れがある
ということです。区長は、これだけの論証があるのに、なぜ「論証がまったくない」などと相手を中傷するようなことをしたのか、納得できる明確な答弁を求めます。
さらに、事実上答弁を拒否し、わが党が抗議と発言の撤回、謝罪の申し入れを行いましたが、「回答しないことが回答」だと切り捨てるような対応をされています。「まったく理解できない」と言いますが、前もって質問を渡していることを考えれば、事前に聞くことは十分にできたもので、まさに言いがかりと言われても仕方がありません。
これでは、選挙で選ばれた区民の代表である議員の意見を端から聞かないと言っていることと同じでありませんか。同時に、議会で答弁を拒否し、審議ができないということになれば議会の役割も果たせなくなってしまいます。
また、地方自治法第132条及び133条の立場から見ても、区長答弁は議会の品位を傷つけるものです。これが練馬区政を司る区長のすることでしょうか。謝罪と撤回を強く求めるものです。ご答弁ください。
【黒田副区長】
私から、第二回定例会での区長答弁に関するご質問にお答えいたします。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が、本年4月1日に施行されました。この改正は、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任体制の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長と教育委員会との連携強化等を目的としたものであります。
答弁は、この改正された法律に基づき区長としての責務を果たす立場から、考えを申し上げたものであります。
改めて申し上げるまでもありませんが、質問された議員の名誉と区議会の品位を、傷つける意図での答弁ではありません。
次に、戦争法案について伺います。
この間、党区議団は定例会ごとに集団的自衛権など安倍政権のすすめる「戦争する国」づくりについて区の姿勢を質問してきました。
これに対し、区は安全保障の問題は、高度な政治判断を要する課題であるとして、区の認識を示すことを避けてきました。しかし、今すすめられているのはアメリカの戦争の後方支援に、自衛隊だけでなく練馬区を含む地方自治体をも駆り出す準備も含まれているのです。
現在、審議されている安保関連法制は、本年4月に改定された日米防衛協力の指針(日米新ガイドライン)の実効性を確保し、切れ目なくアメリカの戦争に協力させるためのものに他なりません。
この新ガイドラインでは、地方自治体に関わって2つの改悪が行われました。第1に、これまで日本周辺のみと位置付けてきた「周辺事態」を「地理的に定めることはできない」として、地球の裏側のできごとであっても自治体を動員できる仕組みとしたことです。
第2に、「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」が新たに加えられました。「後方支援」と称した兵站活動として「日米両政府は・・・中央政府及び地方公共団体が有する機能並びに民間が有する能力を適切に活用する」とされ、アメリカが自国の戦闘のために直接地方自治体を利用できる文言に変更されたのです。こうしたもとで、自衛隊が主催し東京都が「協力者」となった実踏訓練が「防災訓練」と称して行われています。
アメリカの戦争の後方支援に練馬区が駆り出されかねない危険性がある以上、安全保障問題に対して「他人事」のような姿勢をとることは許されません。区長は、このような危険性をどのように認識されているでしょうか。お答えください。
参議院の質疑を通じて、自衛隊が自衛とは無関係な非人道兵器や、さらには核兵器の輸送をすることまで法文上は可能なことや、自衛隊が米軍の指揮下に組み込まれる「軍軍間の調整所」の設置まで検討していることが内部文書で明らかになりました。
こうした法案の問題点や危険性が浮きぼりになる中で、国民の間で戦争法案への怒りが広がるのは当然です。
法案提出後、全国で265の地方議会が戦争法案に「反対」を表明したり、「廃案」「慎重審議」などを求める意見書を提出しています。さいたま市は、自民、公明、民主、共産の各党で「慎重審議」を求める意見書を共同提出し全会一致で可決するなど党派を超えた共同が行われています。
8月30日には全国1,000か所以上で戦争法案に反対する集会やパレードが行われ、国会包囲行動には12万人が集まるなど、戦争法案反対の世論は立場を超えて国民多数へ広がり続けています。この戦争法案は廃案しかありません。練馬区としても国へ意見を挙げるべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
【横野総務部長】
平和主義を堅持しながら、我が国そして国際社会の平和と安全をどうやって守るか、そのためにどのような安全保障の仕組みが必要であるかについては、世界情勢と国際関係についての十分な情報と、周到な分析に基づく高度な政治判断が必要です。
現在、国民の代表である国会など国政の場において、まさに、その論議がされているものと考えます。
区といたしましては、審議の動向を注視してまいります。国へ区としての意見を申し上げる考えはありません。
次に生活保護制度に関連して伺います。
第1に、保護基準の引き下げについてです。
保護基準が2013年8月から連続で切り下げられ、わずか1年8か月の間に生活扶助が平均6.5%、最大で10%も削減されました。2013年4月と現在の保護費を比較すると、練馬区では夫婦と子2人の4人世帯で13,740円も減額となっています。
食事を1日2食で済ませる人、夜になっても電気もつけずテレビもないという人。また、節約のため人付き合いを制限せざるを得なくなり、孤立にもつながっています。道理のない切り下げを許さず、国に対し基準の改善を要求し、その財政措置を求めていくべきではありませんか。答弁を求めます。
住宅扶助費も本年7月から改定され、2人世帯が64,000円に、5,800円も減額されました。住まいは人権です。国交省が示した「最低居住面積水準」では、生活に必要不可欠な水準として、単身者は25㎡、2人世帯で30㎡などとしています。この最低水準に適した住宅での生活が、新しい扶助基準のもとで保障できるのか、扶助基準を理由に、劣悪な住環境を押し付けることにならないのでしょうか。区の考えをお聞かせください。
住宅扶助の削減に対する批判が広がり、厚労省から経過措置をとるよう通知が出されています。区はこの通知内容に沿った対応を行っているようですが、今後も遵守するとともに、経過措置終了後も個別の実情に即した柔軟な対応を取るよう求めます。また転居する場合には最低居住面積水準を満たす物件へ転居できるよう支援することを求めます。
【大羽福祉部長】
生活保護費の基準の改定については、国が社会保障審議会の検証結果を踏まえ、社会経済情勢を総合的に勘案して実施しており、不当な水準であるとは認識しておりません。国に改善を要求する考えはありません。
都市部には、国土交通省の「住生活基本計画」上の、「最低居住面積水準」を満たさない住居が数多く存在していますが、その全てが劣悪な住環境にあるとはかぎりません。区といたしましては、住宅扶助費の範囲内で、適切な住居を確保できるものと考えております。
新たな住宅扶助費基準の適用に当たっては、車椅子使用の障害者の場合等、世帯の状況に応じて設定されている特別基準や、新たな基準の適用を契約更新時まで猶予できる経過措置が設けられていることを踏まえ、きめ細かな対応に努めてまいります。経過措置終了後は住宅扶助費の範囲内で、適切な住居が確保できるよう必要な支援を行っていきます。
なお、この経過措置につきましては、当初の改定内容に含まれており、基準改定後に設けられたものではありません。
第2に、子どもの貧困についてです。
私どもは前定例会で、今年度は保護基準引き下げの影響が必至なことから、就学援助基準の引き上げを求めましたが、区は答弁しませんでした。懸念した通り今年の就学援助認定者は、昨年比で約800人も減少しています。これだけ多くの子育て世帯が影響を受けていることについて、区の認識と援助が打ち切られた世帯への対応を改めてお答えください。
さらに、制度から排除される世帯を生み出さないために、基準を1.3倍~1.5倍に引き上げることを求めます。
【中村教育振興部長】
就学援助費の認定基準は、生活保護基準にもとづいているため、認定数は変化することとなります。保護基準の変更にともなう措置や認定基準の変更については、現在のところ考えておりません。
また、区は前定例会で子どもの貧困について「調査を行う考えはない」と答弁されました。
ケースワーカーや生活サポートセンターでの相談等を通じて個別の困窮状況や原因を把握しているからとのことですが、それでは保護家庭や相談に来た人だけに対象が限られてしまい、不十分です。
この問題で、足立区では小学1年生を対象に実態調査に乗り出しました。これは保護者の経済状況と子どもの生活習慣との関連や、貧困が子どもに与える影響など掴み、明らかになった課題に取り組むというものです。区は「貧困の連鎖を断つことが重要」とも答弁され、今定例会の所信表明では、学習支援と相談機能の拡充を明らかにしました。しかし実効ある手立がどうすればできるのか、実情に合った対策を取るためにも、実態調査をすべきです。答弁を求めます。
【大羽福祉部長】
生活困窮世帯の子どもへの支援は、重要な課題と認識しております。
現在、生活サポートセンター等において、庁内関係部署やハローワーク、民生委員等と連携して、直接相談に来る方だけでなく、生活困窮家庭の早期発見に幅広く取り組むとともに、決め細かな相談対応により、個別の困窮状況や原因の把握に努めております。
個人情報の保護や、実態把握の精度などの課題があり、さらに検討を深める必要があることから、現時点で、調査を実施する考えはありません。
次に介護保険制度について伺います。
2015年の介護保険制度改定は、介護報酬引き下げによるサービス利用抑制、利用者負担増など、次から次へと介護保険利用者をはじめ高齢者の暮らしを脅かし、各地で「介護崩壊」というべき事態を招きかねないものです。
その第一が、介護予防・日常生活支援総合事業です。
練馬区は今年4月他自治体に先駆けて日常生活・支援総合事業を開始し、4月利用で約200人が移行しています。
新制度の対象となった当事者からは、「今まで通りのサービスが受けられる保障が何もない」「知らない間に違う制度になっていた、担当も変わってしまう」と怒りや不安の声が寄せられています。
ところが厚労省は、サービスをボランティアへ移行させる方針を持ち、現行の事業者によるサービスについては、認知症など「専門的サービスが必要と認められる人」に限定しようとしています。
現在区では、サービスの大部分は既存の事業者による国基準相当のサービスが提供されていますが、ガイドラインでは「一定期間後のモニタリングに基づき、可能な限り住民主体の支援に」切り替えるとしています。練馬区はボランティアによるサービスを来年度以降開始するとして準備をしていますが、利用者に対し現行相当サービスを抑制することのないよう強く要求します。答弁を求めます。
今年4月、通所サービスはすでに報酬が20%以上もの引き下げで、事業者の中には体制変更や、要支援者の受け入れを控えるなどの動きが出ています。これでは、事業者も利用者も救われません。区として財政支援などの対策を講じ、事業者の報酬を改訂前の予防給付事業と同等にすることを求めます。お答え下さい。
多くの自治体が実施を先送りしている中、練馬区は新総合事業の実施に踏み切りましたが、利用者・家族の混乱と、サービス低下は明らかであり、総合支援事業は中止すべきです。お答え下さい。
【古橋高齢施策担当部長】
はじめに、介護予防・日常生活支援総合事業にいついてです。ボランティアやNPO団体等による多様な担い手によるサービスの提供を検討しているところですが、引き続き、ケアプランにもとづき、利用者本人が必要なサービスを選択することからサービスを抑制することにはなりません。
次に、介護報酬についてです。今回の改定は、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の強化、介護人材確保対策の推進などサービス提供体制の構築という基本的な考えに基づき報酬の見直しが行われたものであります。介護報酬の改定は、国の責任でおこなわれるものであり、区としては、引き下げた分を補填する考えはありません。
次に、総合事業については、平成29年4月までに、全ての自治体での実施が法律により定められています。区は、地域の実情に即した介護予防サービスを早期に展開するため本年4月から開始しました。実施にあたっては、利用者が円滑に移行できるよう、事業の周知徹底を図るとともに、事業者とも意見交換を行いながら進めてきました。総合事業を開始したことで、利用者は多様なサービスを選定することが可能になるなど、サービスは向上することとなります。従いまして、総合事業の中止は考えていません。
第二に、施設利用者の食費・部屋代補助の厳格化の問題です。
低所得者は自宅外で介護を受ける場合、これまで居住費と食費の補助があり、自己負担が軽減されてきました。ところが制度改定で8月からは対象要件が改定され、世帯分離しても戸籍上夫婦であれば配偶者が住民税課税の場合や低所得でも預貯金が一定額あれば対象としないという厳しい内容が課せられました。
もし、新たな要件に抵触して給付が打ち切られれば、食費と部屋代が一挙に全額自己負担になり、施設から出て行かざるを得なくなる人や、ショートステイの利用を控える人が続出することになりかねません。
年金月5,000円、老健施設に入所中で、夫と世帯分離して補足給付を受けていた80才女性は、夫が課税のため対象外になり、月6万3,000円の利用料が13万円になって年80万円の負担増です。夫の利用料10万円との合計は20万円の年金を超えてしまいます。低所得者ほど補助が縮小される影響は大きく、しかも給付を外されて入所が続けられなくなった人の救済策はありません。
さらに申請手続は、変更前は申請書のみで済んだものが、利用者と配偶者の通帳の写しや金融機関に対する残高照会承諾書を添えることが要件で、配偶者の承諾書まで提出させるなど厳しいやり方になりました。
練馬区では、「預金を役所に晒すくらいなら」と諦めている人たちもおり、昨年度の申請者数は3,964人であったものが、今年7月末現在2,929人と約1,000人も減ってしまいました。このような事態を区はどのように認識しているのでしょうか。お答え下さい。
この間高齢者の暮らしを破壊し尊厳を奪うようなやり方に対し、国民の批判が広がり、厚労省は7月に申請書類が揃わなくても支給決定するなどの対応改善を、自治体に通知しています。対象者への周知を徹底するべきです。合わせて区として国に断固抗議し、中止を要求するべきです。答弁を求めます。
【古橋高齢施策担当部長】
今回の見直しは、住宅で暮らす方や保険料を負担する方との公平性を高めるために実施されたものです。
区は、対象となる利用者や事業者に対して、見直しの内容を周知するとともに説明会を開催するなど、様々な情報提供を行ってまいりました。
現時点での申請者数は、制度の内容を区民の皆様にご理解いただき、該当と思われる方が申請された結果と認識しております。
区では、7月移行、随時、申請を受付けており、丁寧な対応を行っています。今後も、施設サービス事業者を通じて、引き続き周知に努めてまいります。
今回の見直しは、高齢化に更なる進展に伴い、今後さらに介護費用の増加が見込まれるなかで、制度の持続可能性を高めるために必要であり、国に中止を求める考えはありません。
次に、保育園待機児解消について伺います。
アクションプランでは、認可園は今年度新設5カ所や定員拡大で660人分、来年度は新設2カ所など約300人分を整備する計画が示され、区長は、第2回定例会の党区議団の質問に対し、2017年4月に向けて待機児解消をすると答弁しました。
しかし今年、一歳児の申請が急増したことや、入園申請のほぼ全員が認可希望で、不承諾件数が1,200件を超えた一次選考状況を踏まえると、2か年の整備量は不十分だと言わざるを得ません。認可保育園の整備目標を大きく引き上げることを強く求めます。
そのためには、整備目標の重要な指標となる待機児の実態を正確にとらえる必要があります。区は従来基準で「どこにも入れていない」375人を待機児とし、国の新基準では176人と公表しています。国の新たな定義は、預けられず育休を延長した人や特定園のみ希望者などを除外し、少なく見せかけているものです。
特に今回は、11時間認定なのに8時間保育の小規模保育・保育ママなどに内定されたために、やむなく申請を辞退した事例が多く出ていますが、その件数の把握すらしていません。これでは実態が反映されず、待機児ゼロをこの練馬で達成することはできないのではありませんか。区として、整備目標の基礎とする待機児数は、「認可保育園に入れなかった子どもの数」を待機児として明らかにすること、そのうえで整備計画を立てることを求めます。2点、ご答弁ください。
【河口教育長】
区では、認可保育所だけでなく、小規模保育事業などの保育施設の整備を行うことにより、待機児童対策を進めています。今後、平成27年度および28年度の2か年をかけて、アクションプランで示した整備目標に基づき、待機児童が多い0歳から2歳児に特化した認可保育所や小規模保育事業の整備等を行うこととしています。とりわけ待機児童が集中している1歳児の定員を拡大し、平成29年4月に待機児童の解消を図っていきます。
次に待機児童数の算定についてです。
従前の国の基準では、自治体によって参入や除外する項目に差異があり、それが、待機児童数の差にもなって表れていました。
こうした状況を踏まえ、国は、今年度から待機児童数の算定基準を変更し、区もそれに沿って算定を行いました。本区の算入項目は、標準的かつ妥当なものであり、認可保育園に入園しなかった子どもの数のみを待機児童数として捉えるのは適当ではないと考えています。
区としてはアクションプランに掲げた整備目標達成に向けた取り組みとともに、練馬こども園の認定園拡大などを進め、多様な保育サービスを提供することにより、子育て家庭のニーズに応えながら、保育所待機児童の解消を図ってまいります。以上であります。
次に、小規模企業支援についてお尋ねします。
第一は、小規模企業振興基本法の具体化についてです。
今、小規模企業の経営環境が悪化しています。その原因の第1は、事業者人口の減少と海外との競争の激化、地域経済の低迷といった構造変化の中で、売り上げや事業者数が減少していること。第2は、経営者層が高齢化し、後継者もいないことです。この課題に総合的かつ計画的に関係者が一丸となって取り組み、新たな施策体系を作り上げていくために、中小企業基本法とは別に小規模企業振興基本法が2014年6月に制定されました。
その推進のために、国は小規模企業についての振興計画を策定し、地方自治体は地域特性を踏まえた「小規模企業振興計画」を策定して実行していくこととされています。私どもも小規模企業振興にとって地方自治体の果たす役割はますます重要になってきていると認識しています。
しかし、区が策定した「みどりの風吹くまちビジョン」の計画13の「地域特性を活かした企業支援と商店街の魅力づくり」では、新たな基本法を区としてどう具体化していくのかが見えません。区の考えをまずお聞きします。お答えください。
第二に、「小企業者」を施策の中心に位置づけるという問題です。
基本法では、個人事業者はじめ小規模企業事業者の多数を占める従業員5人以下の「小企業者」を初めて施策の中心に位置づけました。しかも優良企業とか意欲ある創業者の対策だけでなく、事業を継続することへの対策が必要になっているとしています。
当時の茂木経済産業大臣は、「成長発展だけではなくて、現下の厳しい経営環境の中で、事業を継続する、雇用を維持すること、また、技術を伝承していく、こういったこと自体も重要で、事業の持続的な発展を新たな基本原則として位置付けた」と答弁しています。区の資料では、5人以下の「小企業者」は区部で54.6%であるのに対して練馬区は62.0%と高い比率となっていることと、基本法と経産大臣答弁の立場にたって政策を充実させるためには、まず景況調査だけでなく、本格的な地元中小企業者の実態を調査し、広く小規模事業者、小企業者を計画策定に参加させることが大事だと考えますが、区の認識をお答えください。
区は、ビジョンで創業支援と新たな創業融資制度や新たな商店街の魅力づくりの支援などを提案していますが、同時に小企業に焦点をあて、事業の持続的な発展のための施策の充実も必要です。その立場から以下要望します。
1つは、小企業者資金繰りへの抜本的支援策として「返済の凍結」「新規融資付きの借り換え」などの対策をすること。
2つは、公共施設の防災や老朽化対策工事など含め公共工事を地元優先で分離分割発注すること。そのためにも低単価の歯止めともなる公契約条例を制定すること。
3つは、2014年時点で全国628自治体が実施している住宅リフォーム助成制度の経済効果は23倍から29倍にもなるといわれています。現在の区の住宅施策との関わり合いを整理して、実施することです。全国の施策から学べば、店舗や工場の改装やそれに伴う設備の経費を助成する「リニューアル助成」制度が極めて重要です。こうした施策の充実への提案をします。それぞれお答えください。
【前川区長】
「みどりの風吹くまちビジョン」では、「地域特性を活かした企業支援と商店街の魅力づくり」を戦略計画として位置づけました。これは、人口が多く都心に近接しているという練馬区のポテンシャルを活かして、中小企業の事業活動の活性化と商店街の魅力づくりに取り組もうとするものであります。
企業活動の主役は事業者自身であり、各自が創意工夫を重ねながら事業を発展させることが基本となります。区の役割は、事業者の自立した活動に対し、適切な支援を行うところにあります。
小規模企業振興基本法は、中小企業基本法の基本理念「独立した中小企業者の自主的な努力が助長されること」これに則るものであります。わたくしの方針と合致するものと考えております。
【市村産業経済部長】
はじめに、小規模企業振興基本法の具体化についてです。
企業規模の大小にかかわらず、経営の主体となるのは事業者自身です。区では、住宅都市という地域特性を踏まえて、72万という人口が持つ活力を活かすこと、まちづくりと連携した取り組みを進めること、個々の事業者の強化と事業者間の交流・連携を推進すること、この3つを基本方針として、産業振興に取り組んでまいります。
こうした取り組みによって、この基本法の趣旨である地域の雇用を支え、新たな需要にきめ細かく対応できるという小規模事業者の特色が発揮できるようになるものと考えております。
小規模企業が事業を継続していくためには、販路の拡大などにより利益の出る経営と、事業の継承者を確保することが必要です。区では、企業連携による新商品開発や産業見本市の開催、後継者不足に悩む事業者と起業者とのマッチングを図るなど、事業継続に向けた支援に取り組んでいます。なお、小規模企業に特化した計画を策定する予定はありません。
また、「返済の凍結」および「新規融資付き貸し付け」を実施する考えはありません。
次に、公共工事については、これまでも区内事業者への優先発注・優先指名を原則として実施しています。分離・分割発注についても、工事内容などを勘案し、できる限りの対応を図っています。民間事業者の従業員の賃金等の労働条件の基本は、法律で定めるべきものであり、公契約条例を制定する考えはありません。
次に、住宅リフォーム助成制度等についてです。
既に「住宅修繕資金融資あっせん事業」や「住宅改修費の給付事業」を実施しています。住宅リフォームの助成等を行う考えはありません。
最後にまちづくりについてお聞きします。
区は現在、都市計画マスタープランの中間見直しを行っていますが、そこで位置づけられたまちづくりの方針や考え方を見ると問題点が多く見受けられます。
第一に都市計画道路の整備率目標を初めて位置づけ、都市計画道路整備を強力に推進することを示したことです。具体的には5年後に整備率を6割、さらに5年後には8割にするというものです。
しかし、なぜ今都市計画道路の整備率を引き上げることが必要なのか、どの道路を整備するのか、どれだけの財源を必要とするのか、財源の裏付けはあるのかなど、具体的な根拠・データが示されていません。まず、これらをお示しください。
私たちはこの間、都市計画道路の必要性や実現性、住民合意など、しっかりとした検証・見直しを行うべきと主張してきました。これに対し区は、前定例会で「これまで過去三回にわたって…適時適切に路線の必要性の検証を行ってきました」と述べています。具体的にどのような見直しが行われてきたのか、廃止・ルート変更・幅員変更したそれぞれの路線数をお答えください。
区は変更案の中で、これまで蓄積された都市基盤の経年劣化が進み、維持保全および更新費用が増大するとしています。さらに依命通達の中で、区財政の硬直化を声高に叫び、無駄を徹底的に省くことを強く求めています。にもかかわらず、なぜ都市計画道路だけが聖域扱いなのでしょうか。区は、区の単費ではないから大丈夫だとしています。しかし、国や都の財源であっても同じ税金であり、その影響は社会保障の削減など区民にも大きな影響を与えます。
今回の方針はまちづくり施策の中心に都市計画道路整備を位置づけるものです。しかも、まともな検証もなく、まさに整備率ありきで推進するものに他なりません。こういった目標は撤回すべきです。お答えください。
第二に区民への説明や住民合意が不十分なことです。区はマスタープランについて、区報や説明会などで周知を行っていますが、都市計画道路の整備目標については明確な説明がありませんでした。変更案の中では見出しにもかかげず、文面にわずか4行で書かれているだけです。これだけ大きな問題にもかかわらず、区民に明確に説明しない。これは区民軽視と言われても仕方ありません。実際、この間、住民合意がない都市計画道路の整備がいくつも進められています。
変更案では以前あった「区民とともに進めるまちづくり」という項目がなくなるなど、区民主体のまちづくり方針が後退しています。マスタープランの中身を区民に正確に周知するとともに、区民を基本とするまちづくり方針へ改善・強化すべきです。お答えください。その他にも防災対策として延焼遮断帯などの効果をあげていますが、実際の災害時の対応としては現実的でないなど、不十分と言わざるを得ません。
いま必要なのは予算の使い方を都市計画道路から区民の暮らし、福祉第一に切り替えることです。また、今後、増大する都市基盤の保全・更新を実態に合わせて計画的に進めることです。
以上で一般質問を終わります。
【宮下技監】
まず、都市計画道路についてです。
都市計画道路は、円滑な都市活動を支えるとともに、環境・防災・景観など都市生活に不可欠な機能も担っています。街路樹をはじめ、豊かで質の高いみどりを楽しむ舞台ともなります。明確な目標を掲げ、計画的、効率的に整備を進める必要があります。
現在事業中の路線は、速やかな整備を進め、これらにより整備率を約6割とします。
第四次事業化計画の策定においては、都および関連区市町との連携のもと、指標を定め、優先整備路線を選定していきます。区では、整備の進む、先行区と同水準の整備状況を目指して計画策定に取り組みます。
個別路線の事業化に際して、国や都からの交付金等の財源確保を図り、整備を進めます。
なお、第三次事業化計画で、区部において見直し候補とされた区間のうち一区間が既に廃止され、区内においても第三次事業化計画策定後、4路線が幅員や区域の変更を行っています。
都市計画道路の整備について、現在掲げている目標を変更する考えはありません。
次に、都市計画マスタープランの改定についてであります。
この度の改定にあたっては、検討の準備段階から案の策定に至るまで、多様な区民参加と意見聴取に取り組みました。都市構造図において、都市軸や交通軸を示し、都市計画道路についても、様々な意見交換をしました。
まちづくりでは、区民を始め様々な主体が協働して多様な地域活動に取組む環境を整えていくことが重要と認識しており、「まちづくりの基本的な進め方」の項目の中でこの旨を明記しました。
従いまして、「区民に明確に説明をしていない」「区民主体のまちづくり方針が後退している」などのご指摘は、当たらないと考えます。私からは以上です。
【とや議員の再質問】
再質問いたします。
まず、戦争法案の問題です。
4月に改定された日米新ガイドラインは、アメリカが地球の裏側で行う戦争であっても、自治体を駆り出す危険性を含んだものです。
答弁は、高度な政治判断、審議の動向を注視するとして、危険性の問題について、一切答えていません。再度こうした危険性への認識を伺います。
もう一点伺います。小規模企業支援についてです。私どもとしましては、小規模に特化した計画は立てないということですが、現在ある事業者をやる気にさせる施策は、持続して営業をしていけるような対策という意味で、考え方をお聞きしました。さらにリニューアル助成制度についてもお答えいただいておりませんので、お答え下さい。
もう一点、生活保護基準が下がれば、減るのは当然ということで、就学援助の問題については、お答えになっていません。排除された子どもたちが800人もいるので、それで構わないと区はお考えになっているのでしょうか。
三点お答えください。
【横野総務部長】
ご質問にありました平和安全法制のご質問の項目については、現在国会など、国政の場でも議論がされているものでございます。引き続き審議の動向を注視してまいります。
【市村産業経済部長】
私から小規模企業振興基本法に基づくご質問について、お答えさせていただきます。
先ほどもお話しましたように、私どもといたしましては、ビジョンに基づきまして、企業規模に関わらず、経営主体となるのは、事業者自身、こういった取り組みについて応援をする、支援をするというスタンスで取り組んでございます。それから、リニューアル助成制度につきましては、実施するつもりはございません。