【坂尻まさゆき議員】
私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。
最初に、区長の基本姿勢としてオスプレイの横田基地配備について伺います。
安倍政権の戦争する国づくりの一環として、戦争法案と並行して全国で進む米軍と自衛隊基地強化の中で、日米両政府は5月12日、首都東京の横田基地に米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイを配備することを発表しました。この間、日米の司令部一体化が進められ、C130輸送機の低空・編隊飛行など訓練の激化が住民を脅かしてきた横田基地にオスプレイが加われば、いっそう危険が拡大することは明らかです。
オスプレイは、戦争の最前線で急襲作戦に従事する特殊作戦機ですが、墜落事故が相次いできました。
5月18日にもハワイ・オアフ島で着陸に失敗・炎上し、2名が死亡する事故をおこし、米兵の死者は累計40人に達しています。今回墜落したのは沖縄に配備されているMV22という機種ですが、横田基地に配備されようとしているCV22はMV22の3倍以上の事故率を記録しているものです。
また、オスプレイはプロペラの方向を替える際に機体が不安定になりやすい問題や、オートローテーション機能がないなど重大な構造上の問題を指摘されており、米軍機には適用されないものの日本の航空法では飛行が禁じられている機体です。区長は欠陥機とも言われるオスプレイの危険性についてどう認識しているのでしょうか。お答えください。
この問題で、横田基地にかかわる立川市、瑞穂町など5市1町が一昨年7月に配備撤回を求めるよう国に申し入れを行い、日本共産党も防衛省と外務省に抗議し撤回を申し入れました。まともな説明もしないまま政府決定がなされ、周辺自治体と住民の声を無視して配備強行しようという動きについて、自治体の長としてどのような認識をお持ちでしょうか。答弁を求めます。
すでに沖縄のMV22が頻繁に飛来し住民を脅かしていますが、横田基地にオスプレイが配備されれば、同基地周辺だけでなく首都圏の上空一帯が騒音被害はもとより、墜落事故の深刻な危険に一層さらされることになります。2010年に朝霞駐屯地で行われた観閲式に米軍機が飛来したことがあり、2つの自衛隊駐屯地がある練馬区にもオスプレイが飛来する可能性が充分考えられます。
住民の命と安全を守る責務を負う自治体の長として、どのような認識でしょうか。非核都市練馬区宣言で「軍縮についても積極的役割を果たす」としていることを鑑み、練馬区としてもオスプレイの横田基地配備に対し、日米両政府に撤回を求めるよう、強く求めます。お答えください。
【横野総務部長】
米軍機の配備については、我が国の平和をどう守るかという、国防上の課題であると考えています。
国際情勢についての十分な情報と分析に基づく高度な政治判断が必要です。区として意見を申し上げる考えはありません。
【坂尻まさゆき議員】
次に子どもの貧困についてです。
子どもの貧困率が16.3%、6人に一人にのぼり過去最高となっています。特にひとり親家庭の貧困率は高く、54%にも及びます。
子ども5人を連れて離婚した女性は、調停中一日600円で一家6人が食べていました。中学からずっと奨学金を受け、借金が1千万円という人もいます。
特に女性は収入が低く、不安定で預金を取り崩しながら暮らしており、深夜労働やダブル、トリプルワークで働いているため、育児時間も1日23分で、ドイツの78分と比較しても極端に短いのが現状です。多くが夫や親、交際相手からのDVを受けており、この被害は子どもにまで及び、貧困の一番の犠牲は子どもたちです。
練馬区でも生活保護受給世帯の子どもは約1,500人、うち母子は1,042人と約7割を占めます。就学援助は、小学校で5人に1人、中学では3人に1人と深刻な状況は明らかです。
さらに深刻なのは、制度から漏れた潜在的な貧困家庭です。先週末には千葉県の県営住宅の家賃滞納で、住む場所を失いかけ長女を殺害した母親の判決が出ました。生活困窮と行政の不作為が事件の背景にあったと言われています。親が自らの手で子どもの命を絶つような事態に追い込まれても行政が何の手も打たなかった結果です。
「貧困状態に置かれた子どもたちを探し出してでも救い出す」、それこそが国と自治体に求められているのではないでしょうか。区として貧困家庭の実態調査をするべきです。答弁を求めます。
児童憲章に明記された、「全ての子どもは、心身ともに、健やかに生まれ、育てられ、その生活を保障される」環境がまさに根底から壊されている現状について区長の認識をお聞きします。お答え下さい。
貧困率が急増する背景には、政府が進めてきた雇用、福祉、社会保障の切り捨てによる「貧困と格差の拡大」があります。
こうしたもと昨年は、国の消費税の引き上げが強行されました。さらに2013年から15年にかけ生活保護基準の引き下げが強行され、子どもが2~3人の世帯での減額幅が大きくなっています。母と2人の子がいる世帯では月4,360円の保護費減額、今年は住宅扶助まで手がつけられ69,800円から64,000円へと減額が押しつけられます。しかもこの改悪は生活保護世帯を「蔑む」風潮に拍車をかけました。
保護申請をためらう、諦める、前述の千葉の事件のように行政が保護申請を回避しようとするなどの事態も起きています。「自己責任」などの議論もあります。しかし、子どもについていえば、絶対に「自己責任」を押し付けてはならない、保護者の生活が崩れていたとしても、それを理由に子どもを放置することは許されません。
保護基準の引き下げは就学援助世帯にも影響を及ぼすことになります。就学援助は経済的理由で就学困難な小中学生への援助を目的とするものです。保護基準に連動して、このままでは打ち切られる人が出ることは必至であり、そうした事態を生まないために現在生活保護基準の1.2倍程度としている援助基準を1.3~1.5倍に引き上げるべきです。答弁を求めます。
さらに区が現在やっていない部活動への援助品目の拡大、単価の引き上げを行い、支援すべきです。以上2点お答え下さい。
子どもたちが安全で安心できる環境を保障するうえで、重要なのは「生活の安定」です。この点で、高い家賃は多くの一人親家庭が重い負担を抱えています。
練馬区でも2DKを借りれば、7万円からの家賃となります。家賃負担が減ればパートの時間を減らして子どもと一緒に過ごせる方も多いのです。区として空き家の借り上げや家賃補助制度を創設し支援することを求めます。
さらに、区議会でも度々取り上げられ他の自治体でも実施されている、婚姻歴のない母子家庭の母親に対する「寡婦控除」のみなし適用を実施すべきです。2点答弁を求めます。
【大羽福祉部長】
まず、実態調査についてです。ご指摘を受けるまでもなく、生活困窮世帯の支援や子どもの虐待防止を重要な課題として認識しております。
区は、他自治体に先駆け、昨年4月に、生活困窮者自立支援のための相談窓口として生活サポートセンターを設置し、庁内関係課やハローワーク等の関係機関と連携して、生活困窮者の早期発見および包括的な相談支援に取り組んでおります。
各家庭の実態については、生活保護におけるケースワーカーの家庭訪問や、生活サポートセンター等におけるきめ細かな相談対応により、個別の困窮状況や原因を把握しております。改めて、実態調査を行う考えはありません。
次に、ひとり親家庭への支援についてです。
子どもの貧困を解消するためには、貧困の連鎖を断つことが需要です。そのため、子どもの能力や可能性を高めていくための学習支援や、親への就業支援に優先して取り組んでいます。
合わせて、ひとり親家庭に対し、児童扶養手当等の支給や生活保護等により経済的な支援を行っていることから、空き家の借り上げや家賃補助の支援を行う考えはありません。
また、寡婦控除のみなし適用については、本来、税制の改正等によるべきことが原則であると考えております。
【坂尻まさゆき議員】
次に、保育園の待機児解消と子ども・子育て支援新制度の問題について伺います。
第一に、2014年度の待機児解消の取り組みです。認可保育所については1,374人分の定員増という、東京で一番の実績をあげました。しかし4月1日時点の結果では、375人の待機児が生まれています。認可保育園希望で入れなかった子どもは、わが区議団の調査で約800人に及びます。
区は、14年度に1,300人規模の定員増をして待機児解消をめざすと公約し、区長も「14年度並みの申込者を加味しても、待機児の解消を図れるものと見込んで」いると述べ、数回の定例会での区の答弁も自信や見通しがあると受け止められるものでした。
区は375人の待機児を生んだことについて、区民と議会に対し、区長の見込みの甘さと誤りを認め、その原因、教訓を明らかにすること、また、375人は15年度の早い時期に、今年度予算で決めた目標数とは別個に認可保育園を増やし解消することを表明すること、以上2点、答弁を求めます。
第二に、4月から始まった子ども・子育て支援新制度での当面する状況と課題の問題です。ある会社事務員の女性は、1歳の女の子を保育園に入れようと申し込んだが一次で入れず、区の保育課に、「2次の希望は『小規模保育や保育ママを優先にし、認可は後にしたら』と言われました。小規模は保育時間と就業時間が合わず認証に入所したが、入ってみると、保育する人員は不足、それも担任が辞めたり交替したりなど子どもの保育がとても不安」で早く認可に入りたいと言います。こうした例はたくさんあります。
問題の一つは、区が、ニーズが一番多い認可保育園ではなく、小規模を勧めていることです。もともと、新制度のために改定された児童福祉法は、従来と同じく「その擁護すべき乳児、幼児…は保護者から申し込みがあったときは…保育所において保育しなければならない」と自治体の責任を義務づけています。
法律がいう保育所は当然認可保育所です。これを曖昧にしたら新制度そのものが成り立ちません。区は当然「認可保育所を必要とするすべての子どもが入所できるようにすべき」です。この認識について伺います。また、増設計画、目標を今年度の見直しも含め、必要な子どもすべての入所にふさわしいものとすること。以上2点についてご答弁ください。
二つには、新制度で新たにできた事業の状況を見ると、認可保育所不足の一方で、小規模保育事業に入った人が211人と、昨年より65人、45%も増えています。これは、今年度の認可定員463人の整備目標を見ても認可保育所を抜本的に増やさず、安上がりな小規模保育などで済ませる姿勢の表れと言わざるを得ません。
これは今、全国的に批判されている問題で、中には小規模の安上がりさを利用して、ビル一室を借りるとかプレハブ型の施設、会社の駐車場跡地利用など、特に保育の安全に強い危惧が寄せられています。保育条件や環境の違いは低年齢児の命をも左右し、この10年間で起きた死亡事故は認可で50件に対し、認可外は110件です。
認可を押さえ小規模を増やす姿勢は公的責任の後退であり、区の方針を改め、責任を果たすべきです。区の認識と対策など伺います。答弁を求めます。
第3は、施設利用の調整の問題です。
児童福祉法24条では、保育の需要に応じる特定の事業が不足するなど必要と認められる場合には、それぞれの利用について調整を行うことができる、としています。その際は、
①あくまで利用者の希望を尊重し、ただ空きの有無で判断したり、押し付けるようなことはしない
②そのためにも、各施設の内容をよく知らせ、行ってみたら大変な状況ということにしない、特に施設の利用料、保育の質の格差がある場合は慎重に行うことなど徹底するよう求めます。答弁を求めます。
【堀子ども家庭部長】
今回の待機児童の発生については、1歳児の入園申請件数が、当初の予測より大幅に増加したことが、主な原因と考えています。この入園申請件数の急増は、1歳児のみに現れた現象であり、当初の段階で予測することが非常に困難でありました。
一方、3歳児から5歳児までの待機児童はほぼ解消するとともに、0歳と2歳の待機児童は昨年度と比較して半減しました。これは、昨年度に実施した都内最大級となる1,371人の定員拡大の効果であると考えています。
今回の状況を踏まえ、これまでの計画を前倒しするとともに、従来とは異なる方策で取り組みます。待機児童の多い0歳から2歳までに特化した対策を講じ、とりわけ待機児童が集中している1歳児に重点を置き、平成27・28年度の2ヶ年で定員を拡大し、平成29年4月に向けて、待機児童を解消していきます。
次に、児童福祉法第24条は、第1項から第3項までを論理的に解釈すると保育を必要とするすべてを認可保育所で保育することまでは求めていません。従って、すべての保育需要を認可保育所でのみ賄うのが当然であるとのご指摘は全く当たらないものと考えています。
また、認証保育所の保育人員は、東京都の基準を満たしており、あたかも認証保育所が劣悪な保育環境であるかのようなご指摘は事業者に対しても、通われている子供たちに対してもまことに失礼であります。
さらに、小規模保育事業は、新制度において区の認可事業となり、区が定めた基準に基づき運営されています。小規模保育事業の環境が安全でないかのような表現はきわめて不適切であります。
小規模保育事業は、子育て世帯の多様なライフスタイルや働き方に応じて選択できる保育サービスの一形態であるとともに、待機児童を解消するための有効な方法であります。
今後、認可保育所と小規模保育事業の整備とを並行して拡充していきます。このことが公的責任の後退とは全く考えていません。
保育課窓口では、保護者の意向を十分にお聞きし、保育施設の種別ごとの特徴などを具体的にご説明しています。従って、保護者の意向に反する対応を行うことはありません。
今後も引き続き、保護者の意向を十分に把握し、わかりやすく丁寧にご案内していきます。
【坂尻まさゆき議員】
次に特別養護老人ホーム待機者についてです。
練馬には今、2,477人の待機者がいますが、この間ずっと、区は待機者を「なくすことはできない」と言ってきました。しかし憲法25条では、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を持つとし、国、行政に社会福祉、社会保障の増進に努めることを義務づけています。これにもとづけば、待機者は「なくす」「つくらない」が大原則です。
区は今後3年間の増設目標を340とし、その根拠は待機者の中で「必要度の高い指数11点以上の方で、すぐに入所を希望しているもの」です。待機者をなくせないと言ってきたもとで、これでは適当な予算規模で、増床数を抑制しようとしているとしか思えません。区は数年前に、待機者数を減らすため指数を10から11に引き上げましたが、結果は待機者が増え続け、ついに2000台になってしまったのです。この過ちをまた繰り返そうというのでしょうか。
増床計画の最高の基準は憲法です。始めに待機者をなくす目標を据え、それをいつまでに、10年先か15年先か長期の計画を決め、そこから逆算して短期の目標を決めるべきです。それをやり抜くため、計画の基準をその時の待機者の実情に即した基準で決めて実行するべきです。答弁を求めます。
第二の問題は、待機者は様々な苦労をして自宅介護や他の養護施設で介護されていることです。この状況は、国が行うべき社会保障が切り捨てられ、自己責任が介護分野で進められていることを示しています。区も昨年、わが党の質問に対して、国の社会保障切り捨てを容認しています。この認識のもとでは、本当に待機者をなくしてみんなが安心して介護を受け、家族も安心して暮らすことはできないでしょう。
区は、待機者の暮らしに身を寄せ、親身になって人的、経済的支援をすべきです。
待機者が増える大本には貧困な高齢者の激増があります。国民年金の平均受給額は月4.9万円、厚生年金も女性で平均10万円程度です。今こそ特養ホームの抜本的増設に舵を切り、少なくとも必要度の高い人の入所を保障するため、この3年間の目標を700床に修正し、早急に整備すべきです。答弁を求めます。
第三に、 区が特養整備に消極的になっている背景には、安倍政権の医療・介護総合法など介護制度の大改悪があります。多くの高齢者を介護サービスから外し、入院患者を強引に「在宅」に戻し、施設にも入れず安上がりなサービスへ流し込む制度が押しつけられています。こうしたもとで、練馬区は今後「地域包括ケアシステム」の名の下に、在宅介護を推進すると言っています。
しかし、在宅での介護サービスは充実してきたのでしょうか。
「地域包括ケア」の目玉である24時間対応の「定期巡回サービス」は高齢者基礎調査では、介護認定者のうち中重度で全体の2.6%、夜間対応型サービスは1.0%と低く、夜は家族の介護かサービスなしで暮らしていることが窺えます。家族の介護・看護を理由にした離職者はこの間年8万~10万人にのぼります。また全国では看護師が全体の2%、3万人しかおらず、介護職員は100万人も不足しています。
ところが、練馬区は介護資源の実態を把握もしていません。これでは誰もが必要な在宅介護サービスを受けられる保証はありません。少なくとも介護資源について実態を把握すべきです。お答え下さい
また区長は昨年の第三回定例会で、医療・介護など一体的に提供される仕組みを作るため「拠点となる高齢者施設の整備を進める」「公共施設や住宅ストックの活用」を進めると述べました。これらはどのように実行されているでしょうか。答弁を求めます。
今、自治体の老人福祉は大きく後退し困難を抱えた高齢者が急増しているのに、機能が弱まり本来の役割が果たせていません。区の職員を増員し介護保険や民間では対応できない人を区が責任持って対応し、福祉施設の増設、在宅医療を担う診療所や訪問看護ステーションを応援するなど、医療と介護の両方を必要とする人を支える体制づくりを早急に確立するべきです。答弁を求めます。
【古橋高齢施策担当部長】
特別養護老人ホームの整備についてです。
平成26年3月練馬区高齢者基礎調査では、介護が必要になった場合の生活場所として、約4割の方が自宅で暮らしたいと答えています。自宅で安心して暮らし続けることができるよう在宅サービスの充実を進め、施設サービスと在宅サービスをバランスよく提供していきます。
住み慣れた地域で安心して暮らせることこそ、多くの高齢者が望んでいるものです。
次に、特別養護老人ホームの整備目標数についてです。練馬区高齢者基礎調査では、入所を希望する方のうち、約7割の方が既に有料老人ホームなどに入所済みでした。
また、入所を希望する理由では、「将来の介護に不安を感じるため」と答えた方が約5割、入所は可能となっても「すぐに入所できる」と答えた方は約4割でした。このことから2,477人という数字は、特別養護老人ホームに直ちに入所が必要な数を示しているものではありません。現時点で早期に入所が必要な方と、今後3年間で新たに入所の必要性が高い方を見込んだ340床の整備に平成29年度末までに取り組みます。さらに、将来の高齢者の増加に対応できるよう、今後も着実な整備に向けて努めてまいります。したがって、現時点において、目標数を修正する考えはありません。
区では、事業者に対して人材の確保状況等について調整しています。また、事業者団体とも定期的に意見交換を行うなど、介護資源の実態把握に努めています。
次に医療・介護など一体化的に提供される仕組みについてです。まず、拠点となる高齢者施設の整備ですが、大泉学園町に平成29年度新病院を開設する医療法人との間で、地域包括ケアシステムの一翼を担っていただくため協定を締結しました。また、医療・介護・健康の相談等を行う「街かどケアカフェ」を、公共施設である谷原出張所を活用して28年度に開設します。
次に医療と介護の両方を必要とする方を支援する体制づくりについてです。区はこれまでも、在宅療養相談窓口の開設、在宅療養推進協議会の設置など在宅療養推進のための取組を進めてきました。本年4月からは、相談体制をさらに充実させるため、高齢者相談センター本所4か所に、医療と介護の相談窓口を開設し、医療・介護連携推進員を1名ずつ配置しました。推進員は、支所が行う「医療・介護連携チーム」の編成を支援し、高齢者一人ひとりの心身の状況等に応じた、切れ目のない医療・介護の提供を図っていきます。自治体の老人福祉は大きく後退しているとの主張ですが、練馬区においては、そのようなことはありません。
【坂尻まさゆき議員】
次に道路施策についてお聴きします。
東京都は今後10年間で優先的に整備する路線を定める第四次事業化計画を来年度から施行するとして、練馬区も含め協議を行っています。
中間まとめによれば、慢性的な交通渋滞が、都市環境の悪化や産業の高コスト構造を招き、東京の国際競争力を低下させていると断定し、「世界一の都市・東京」を実現していくためとして、ことさら道路整備の必要性を強調しています。しかし、なぜ世界一にならなければならないのか、道路整備でどれほどの影響があるのか、まともなデータさえ示されないなど具体的な根拠に乏しく、説得力がありません。
中間まとめの中には未着手の都市計画道路を対象に15項目におよぶ検証項目を設定して、必要性が確認されなかった路線については廃止を含めた検討を行うとしています。しかし、検証項目が曖昧で、例えば「避難場所へのアクセスの向上」や「延焼遮断帯の形成」という項目を使えば、どんな道路でも必要とみなすことができる仕組みです。
実際、昨年3月までの都道府県別の都市計画道路の見直し数をみると大阪府は301路線、福岡県123路線、兵庫県125路線であるのに対し、東京はわずか1路線に止まり、まともな見直しも行っていません。
名古屋市では2004年、未着手都市計画道路整備に関する検討委員会が提言をまとめました。それによれば、見直しの基本的な考え方として、公園や緑地を分断する路線、商店街の存続に影響を与える路線など、道路整備上の具体的な課題を抽出し、その解決策を示したうえで、実現可能性と必要性を見極めることが適当と結論づけました。名古屋市ではこの提言を踏まえ実際に見直しを行っています。
これに対し、練馬区では半世紀以上前に作られた道路計画がほとんど検証もなく進められています。例えば、戦後すぐに決定された補助135号線のように学校のど真ん中に交差点をつくるなど、教育環境を壊すような前代未聞の計画が進められようとしています。
石神井公園駅前の再開発事業と一体で行われる232号線の整備では、商店街を分断し34階建てのビルが建つなど、住・商環境を一変させる計画が、見直しを求める地権者を排除し、進められようとしています。
これら2つの道路はすでに優先整備路線に指定されていますが、135号線では区民が求めた住民説明会さえ開かないなど、住民への説明も不十分なままです。まちづくりの主人公は住民であり、整備にあたっては住民合意を得ることは必須条件で、これを無視した計画などありえません。
区はこういった姿勢を改め、第4次事業化計画に向けて、予算も含めた実現性、地域コミュニティーや商店街への影響、道路の必要性、最優先すべき福祉施策とのバランスなど、しっかりした検証を行うべきです。そして、その検証をもとに優先整備路線について見直しを行うことが必要です。
少なくとも現時点で新たな路線は追加すべきではありません。3点について区の答弁を求めます。
【黒田副区長】
現在、都と区で検討を進めている第四次事業化計画は、広く都民からの意見も聴いた上で検証項目を定め、必要性の検証や優先整備路線を選定致します。
区内の都市計画道路の整備率は23区の平均を大きく下回り、とりわけ西部地域の整備が遅れています。
このため、外環の2など南北の道路やこれらとネットワークを形成する都市計画道路を優先道路として選定し、積極的に整備に取り組んでまいります。
都と区は、これまで過去三回に渡って、社会経済情勢の変化に応じて適時適切に路線の必要性の検証を行ってきました。区内の都市計画道路のまともな見直しがされていないというご指摘は当たりません。
また、ご質問の中の補助135号線や補助232号線の事業化については、ご指摘されるまでもなく地域住民に粘り強く説明し、協力をいただきながら事業を進めてまいります。住民の意向を聞くことなく進めるとのご指摘も当たりません。
【坂尻まさゆき議員】
次に防災についてです。まず感震ブレーカーについてお聴きします。
南海トラフ地震や首都直下型地震などの大規模な地震が予想されている中で、それを裏付けるように、東京でも地震が頻発しており、さらに箱根や口永良部島など火山活動も活発化するなど、区民の中に不安が広がっています。こうした中で、わが党は感震ブレーカーの普及と建築物の耐震化の推進について繰り返し求めてきました。
昨年策定された首都直下地震緊急対策推進基本計画では、建物の耐震化が100%達成され、感震ブレーカーなどの出火防止対策などを実施すれば、人的・物的被害は約9割、経済被害も約5割減少されると明記されました。
区は感震ブレーカーの普及について、その有効性は認めるものの、各製品の有効性や電気遮断による影響への対策等が明確でないとして検討するにとどまっています。
しかし、今年になって、性能評価の考え方や使用にあたっての留意点をまとめた感震ブレーカー等の性能評価ガイドラインなどが出され、この中で、区が指摘するリスクへの対応が明記されました。
区の懸念への対応が示された中で、感震ブレーカーのタイプやリスクをよく区民に周知した上で、区として助成制度を創設し、普及を強力に推進すべきではありませんか。特に密集市街地を優先し、普及しやすい簡易型やコンセント型などを早急に設置させるべきです。答弁を求めます。
次に耐震化についてです。
耐震化はあらゆる防災対策の前提となっており、効果という点を見てもその推進は待ったなしです。区は耐震化を進めるとして、今年度予算額も増やしました。これは一歩前進です。
その上で、区が耐震改修促進計画で掲げた、今年度末までに民間建築物の耐震化率を90%にするという目標はその達成が厳しい状況にあります。すでに区は、他会派への答弁で、達成できるのは86%にとどまるとの見通しを明らかにしました。
さらにこの間の実績をみると耐震診断、設計、工事はいずれも減少傾向にあります。積極的勧奨を行っている特定緊急輸送道路沿道地域も例外ではありません。
この状況を打開するために、実績がわずか4件にとどまっている一般緊急輸送道路沿道建築物についての助成制度の積極的勧奨を強め、区民への周知を図るべきです。さらに緊急輸送道路沿道地域以外の建築物に耐震化についても助成額の拡充、積極的勧奨、耐震化の重要性や必要性の顕在化、費用の適正化など、体制を強化するとともに、建替えについても促進することを求めます。3点答弁を求めます。
区は延焼遮断帯として道路を推進してきましたが、昨年策定された首都直下地震緊急対策推進基本計画でもその効果が明確に位置づけられていないなど、防災効果は決して高くありません。区民の命と財産を守るため、道路よりも効果的で、緊急性の高い感震ブレーカーの普及や耐震化を早急に進めるべきです。
以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。
【福島危機管理室長】
私から感震ブレーカーについてお答え致します。
大地震の際、電気に起因する火災を防止する手段として感震ブレーカーは大変有効です。今年2月には、国から「感震ブレーカー等の性能評価ガイドライン」が公表されました。まだ、認証製品は少ない状況ですが、今年度、国はモデル事業を実施すると聞いています。区と致しましては、国の動向を注視しながら、認証製品の情報収集に努め、普及促進について検討してまいります。
【宮下都市整備部長】
私から建築物の耐震化についてお答えいたします。
特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は喫緊の課題であります。区内の対象建築物101棟全棟について、耐震診断が夏頃に完了します。補強設計、耐震化工事についても25年度に較べ26年度は着実に進んでおります。
特定以外の緊急輸送道路沿道建築物の耐震化につきましては、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の目途が立った後に、体制や財源等の問題を検討した上で取り組むこととしております。
さらに戸建て住宅については、無料簡易耐震診断や耐震相談会の開催などの支援事業を行っています。
分譲マンションへは、耐震化の必要性や助成制度の活用について個別に管理組合等への周知を図るとともに、専門家を派遣する等の支援をしています。必要に応じて建替えの相談についても行っています。
今後も、東京都や関連団体等と連携して啓発活動を行い、耐震化を推進してまいります。
首都直下地震緊急対策推進基本計画では、道路は効果が明確に位置づけられていないとのご指摘ですが、同計画では延焼防止や避難路の確保等のため、整備の推進が必要であるとされています。