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議会報告
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[一般質問]2015年第1回定例会-とや英津子

2015年第1回定例会一般質問/2015年2月10日/とや英津子

 日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

 初めに区長の基本姿勢についてです。

 今安倍首相は、総選挙での比例の得票率が33%で、小選挙区制のおかげで政権与党が多数をしめたのに、消費税10%増税や集団的自衛権の行使、原発再稼働、TPP推進など、国民の多くが反対している課題も信任されたかのように、暴走を続けています。

 また、沖縄では、名護市辺野古への米軍新基地建設に対して、名護市長選、名護市議選、沖縄県知事選、衆院選挙のすべての選挙区と4回連続で「オール沖縄」勢力が勝利し、新基地建設反対の民意を示しています。ところが国は沖縄県民の圧倒的な声を無視し、翁長知事が、前知事の辺野古埋め立て承認を検証するまで工事の中止を要求したにもかかわらず、海中へコンクリートブロックを投入する作業を強行し、民意に背き推進する姿勢が露わになっています。

 選挙で選ばれた地方自治体の長として、区長はこのような改革と称して民意に背き民主主義を否定するような姿勢に対してどのような認識でしょうか。答弁を求めます。

 【横野総務部長】

 私から、国政に関するご質問についてお答えします。

 集団的自衛権などさまざまな課題が、国民の代表である国会など国政の場で、論議されております。これらの課題は、国際情勢などを含めて、高度な政治判断を要する課題であり、区としての認識を申し上げる考えはありません。

 

 

 次に、2015年度予算編成の問題についてうかがいます。

 区は予算案の冒頭で、区財政を取り巻く状況は、厳しい財政運営を強いられると予測しています。一方、国の’15年度予算案は、大企業には法人税減税、軍事費の連続増加、国民には医療、年金など社会保障の大削減です。こうした大企業優遇、消費税増税路線のアベノミクスこそが地方自治体の財政を危うくしている元凶ではないでしょうか。この点で今、区の予算編成にどのような姿勢で臨むかが鋭く問われています。

 第一に、区が地方自治体として悪政から区民を守る姿勢に確固として立つことです。

 区は、この一年、消費税増税と原発再稼働について容認の態度をとりました。また、社会保障の問題の質問には「消費税増税と社会保障切り捨ては持続可能な社会保障制度確立のため必要な措置」と答弁されています。

 地方自治体が国の法令等に従うことは当然です。しかしそれは、いわゆる「国のいいなり」ではなく、地方自治法をみても地方自治の本旨にもとづき、区民の実態などとともに一定の見解を国に反映することは十分可能です。多数の区民が今の安倍暴走に不満をもっている今日、悪政から区民を守る姿勢で予算を組むこと、また改めて消費税10%に反対すること。以上2点についてご答弁ください。

 第二は、財政状況が厳しい時こそ、地方自治法に定められている「住民の福祉の増進を図ることを基本とする」という自治体本来の原点にたって、暮らしと福祉・社会保障を守ることを第一に据えた予算を組むことです。「基本とする」ということは、他の課題と横並びではなく、優先しながら総合的に実施するということです。

 この点で、区が冒頭の予算編成の考え方第二項で「ビジョンに掲げる戦略計画の推進を最優先とした」とし、しかも予算の中で最優先課題に据えているのは、「福祉を基本とする」地方自治法の指摘に反した誤りと言わなければなりません。ビジョンの戦略計画のうち、真の福祉と異なるものをのぞき、暮らし、福祉・社会保障は優先の対象になりますが、それ以外は対象になりません。もともと計画は目標が五年後に据えられたものです。それを、自治体の原点を無視し、区民の意見を聞く期日を大きく残しながら、いきなり予算上の緊急度をすべての区民施策の上に据えることは、率直に言って傲慢で独裁的な違和感を持たざるを得ません。ビジョン計画最優先は撤回し、福祉優先に正すよう求めます。ご答弁下さい。

 実際に予算案では、例えば保健・福祉費が2.5%増で大きな変化はなく、この3年間の各款の予算構成比も保健福祉費含め、すべての款がほぼ同じ水準であることなど「福祉」優先の方針はとられていません。

 そして、区民の実態をみると、練馬にとっても大事な中小業者は、物価上昇と消費税増税による不況で「跡取りの子どもと一緒に、もう資金繰りで身が細る思い」という人や倒産寸前の業者も少なくありません。ところが予算案では、中小企業振興費を減らし、中小企業、商店対策は、事業費補助を若干増やして振興公社任せです。区は役割を終えたとしてきたプレミアム商品券やゼロ金利融資の復活、また住宅リフォーム助成など中小業者を直接応援する事業を増やすべきです。

 福祉・社会保障では、2千数百人の待機者がいる特養ホーム増設が’14年度より少ない1カ所、90床だけです。待機者の中には要介護4,5や病気の人などもおり、計画で340床整備としていますが、とてもそれでは間に合いません。待機者を本当になくす計画でやるのかどうかが問われています。

 高齢者住宅で区は8割が自宅所有だからと、高い家賃に苦しむ低所得層の住宅対策には目も向けません。対策を立てて取り組むことが喫緊の課題です。

 医療問題では病床増の計画が5年で190床程度は低く、’17年度の都の保健医療計画見直しまでの大きな目標を決め、機能病院整備、他区からの移転実現など積極的計画の実行と必要な予算で都と交渉すべきです。

 以上、質問であげた施策については補正予算も組んで解決するよう求めます。答弁を求めます。

 【前川区長】

 ただいま、ご質問を聞かせていただきましたが、そもそもお話の趣旨をどう理解すればよいのか困惑しております。

 申し上げるまでもありませんが、地方自治法における福祉とは、特定の行政分野に限定されるものではなく、住民生活全体を指す幅広い概念であります。ご質問の出発点自体が誤解によるものであります。

 お話の狭義の福祉施策についても、区政運営の新しいビジョンにおいては、18の戦略計画のうち7つがそれにあたります。ビジョンが、福祉優先でなくして何でありましょうか。

 「予算の緊急度をすべての区民施策の上に据える」というご批判については、どういう意味なのか全く理解できません。

 また、議員のおっしゃる理論に従えば、教育、環境、みどり、中小企業・商店街の支援などは優先の対象とはならなくなります。それでいいのでありましょうか。

 私は、長期にわたり共産党さんの皆さんと議論を交わしてきました。立場の相違はあれ、おっしゃる理論は理解できました。しかし、今お話した点を含め、ご質問の趣旨が理解困難であり、正直言って、ただただ驚いております。

 【中村企画部長】

 平成27年度当初予算編成にあたりましては、区政運営の新しいビジョンに掲げた戦略計画の推進を最優先とすることにより、区民のリアルな行政ニーズに応え、区民福祉の増進を図る予算としました。

 消費税率が10%に引き上げられた場合、引き上げ分は全て社会保障の充実・安定化の財源となります。区としても、今後増大する社会保障関係経費の財源を確保するためには、消費税率の引上げはやむを得ないものと考えています。

 平成27年度当初予算案では、保健福祉費とこども家庭費の合計が一般会計歳出の5割を超えており、教育費を加えると6割を超えます、福祉、子育て、教育に十分配慮した予算であると考えております。

 なお、ご質問で述べられている個別の課題については、必要な経費を当初予算に計上したところであり、27年度の補正予算で対応する考えはありません。

 第三は、不要あるいは不急の事業を削減、先送りすることです。

 区は、都市計画道路が遅れていると、70年、50年前の計画道路4本の整備をまちづくり計画と一体で、街路新設改良費で4本の都市計画道路をそれぞれ予算にのせています。

 もともと都市計画は、終戦後の復興計画で決められたもので、1981年の時点で建設大臣が「35年前の計画を持ってきたからハイよと認可するのはなじまない」と言って戻したというものです。それでも強行したところでは「高校のど真ん中を突き抜ける」「学校のプールがつぶされる」「2つの公園をつきぬけるのか」など各地で大反対運動が起きたという問題の多い計画です。

 しかも計画先行で、改めて地域の事情をよく調査し、住民の声も聞き、そして可能・不可能の判断をしていない、まったく住民不在のやり方です。そんな予算は絶対認められません。練馬区は、住宅地域と農地など練馬の歴史らしいまちが発展してきました。まちづくりの主役は区長が言うような道路ではなく住民です。古い都市計画をそのままつくる暴挙はきっぱりやめ、予算案から削るよう強く求めます。ご答弁下さい。

 【宮下都市整備部長】

 私から、都市計画道路の整備および西武新宿線の立体化についてお答えいたします。最初に都市計画道路の整備についてです。

 都市計画道路は、円滑な都市活動を支えるとともに、区民の日常生活の面からも、重要な役割を担っており、着実に整備を進める必要があります。都は、昭和21年の戦災復興計画以降、社会情勢の変化を踏まえ、数次にわたり、都市計画道路の見直しを行ってきました。都と特別区は、概ね10年間で整備する道路を定め、住民の理解を得ながら、計画的、効率的に整備を推進しています。区内の整備率は23区の平均を大きく下回っています。5年後には23区平均の整備率6割となることを目標とし、整備を進めます。

 道路整備に際しては、発想を転換し、街路樹等による緑化や無電柱化、自転車レーンの整備など快適な都市環境の創出を目指します。道路と調和した沿道のまちづくりを進め、都市生活を支ええ良質な空間を形成します。

 次に、区長の福祉改革の考え方についてです。

 区長は先の定例会での保育園問題での質問に対し、福祉改革の考え方として、第一に「家庭が崩壊したり、虐待された子どもたち、言われなき貧困に苦しむ方々など、本当の意味での社会的弱者には行政が直接責任を持つ」と述べました。

 これは一見、当然のことですが、区長は続けて、例えば保育の問題として、多大な利用者、多様なサービス内容などでサービスが届くようにするには別の視点が必要などと、対象を二つに分け、制度設計や運営などには行政が責任を持つとしながらも、サービスに差をつけています。

 もともと保育だけでなく社会保障は「国民の生存権の確保を目的とする保障」であり、憲法25条は「社会の各員が人間らしい生存をまっとうする権利」と明記し、国、行政は、「この社会保障をすべての生活面で向上、増進に努める」ことを義務づけているのです。

 現在国民は、国の制度のもとで、必要に応じた選択で社会保障をうけることができます。同時に国・行政はこれらの整備・運営に責任を負っており、対象が多いからとかサービス硬直の心配などの場合も、行政の責任で解決すべきことで、国民の権利を阻害すべきではありません。まして、その考え方では、病気や貧困などの場合は該当の社会保障をうけるわけで、対象を無理に二つにわけて差をつけるべきではありません。

 また、区長が第二の考え方とする利用者の選択、事業者の競い合い、地域の3点をみると、とくに利用者の選択は自己責任強化につながって格差を生み、事業者の競い合いは福祉の営利事業化を生み、給付削減と国民負担増となります。これらは現に安倍政権のもとで各種社会保障の事業ですでに起きており、国と行政の責任を放棄するものだと言わなければなりません。区長は全体の奉仕者であり、行政の長としての政治姿勢が問われるものです。改めて「福祉の二つの考え方」に関する見解をお答え下さい。

 

【大羽福祉部長】

 第4回定例会で、区長がお答えした内容は、次の通りです。

 「行政が福祉サービスに責任を持つ方法は、対象となる方々により異なると考えています。家庭が崩壊したり虐待された子ども達、言われ無き貧困に苦しむ方々など本当の意味での社会的弱者には、行政が直接責任を持つべきであります。

 一方で、保育については、多数の利用者があり、利用者それぞれが求める内容も多様なため、サービスの質と量を充実するためには、別の取組みが必要になります。行政の直接介入が行き過ぎると、かえってサービスの硬直化をもたらす恐れがあります。行政の役割は、全体の制度や運営に責任を持つことが、中心になります。福祉改革のいま一つの視点として、選択、競い合い、地域の三点を基本原則としたのは、そのためです。」

 議員のお話は区長の答弁を誤解するものであります。今後とも区長がお答えした考えに基づいて行政の責任を果たしていきます。

 次に国民健康保険について伺います。

 初めに、国保広域化への対応を伺います。そもそも国健康保険法第1条に「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と明記されているように国保制度は社会保障制度の一つです。その内容は先の福祉改革の問題で述べましたが、その義務の具体化のために第3条では、医療供給体制など各自治体の条件に対応するよう、市町村および特別区が運営を行い、第4条で国と都道府県の責任が明記されています。

 来年度から高額医療費を扱う保険財政共同安定化事業の対象が拡大し、保険給付費が都道府県単位化され、国保の財政運営を実質的に都道府県が担うことになります。

 埼玉県の例では、2年前から保険財政共同安定化事業の対象となる医療費を増やし、1件10万円超となっています。そこでは、給付費が増えているのに一般会計からの繰り入れで国保税を据え置いている自治体があります。反対に、最も多い繰り入れをしている自治体の国保税が県平均の約半分となっていることを県が問題視し、長期にわたる法定外繰り入れは好ましくないと指導するなど、国保料の更なる値上げの動きもでています。

 広域化は財政基盤強化のためと説明されていますが、そもそも国保財政の困難の原因は、国が国庫負担を大幅に削減してきたことにあり、その解決のためには国庫負担を元に戻すことが必要です。広域化によって国や都道府県の責任を後退させ負担を国民に押し付けるべきではありません。今こそ、国や都の負担を抜本的に増額するよう求めるとともに、広域化に明確に反対すべきです。お答えください。

 次に、来年度の国民健康保険料について伺います。来年度の保険料は国の予算編成等の遅れのために現在調整中と聞いております。しかし、昨年度に引き続き高額療養費の一部が保険料賦課総額へ算入されるため更なる値上げが予想されます。

 もともと国民健康保険は、加入者のうち60歳以上の高齢者が約4割を占め、中小零細事業者や非正規労働者、失業者など低所得者が多く、練馬区では国保加入世帯のうち年間所得200万円以下の世帯が約8割を占めています。他の医療保険と比べ経済的基盤が不安定で弱く、医療費水準も高くなるという構造的な問題を抱え、国や自治体の財政支援なしには成り立ちません。

 そんな中、保険料は毎年値上がりを続け、夫婦と子供2人の年収300万円の世帯で2009年度に約15万6千円だった保険料は、2014年度には約27万3千円と、5年間で10万円以上の値上げです。被保険者の負担はもう限界です。消費税増税によってくらしの厳しさが増す現状では、保険料の引き上げではなく引下げこそが強く求められています。一般財源からの繰り入れや拡充された国の保険者支援制度を活用するなど被保険者の負担軽減のための手立てをとるべきです。答弁を求めます。

 

 
【齊藤区民部長】

 国民健康保険を都道府県化することは、安定的な財政運営や事務の平準化・効率化が期待されます。保険者広域化による一体的な取組みで、医療費適正化も期待されます。国は、広域化を進めるため、平成27年度に、新たに1900億円を国民健康保険へ公費投入をするなど、国民健康保険の財政運営を強化していく方針としています。区は、国民健康保険の広域化の準備に着実に取り組んでまいります。

 区は、国民健康保険料軽減のために、一般会計から毎年、国民健康保険会計へ繰入を行っております。平成27年度予算では、96億5千8百万円を計上しています。被保険者一人あたりにすると5万1千円余です。

 区の国民健康保険の被保険者は、平成21年度末には、20万人を超えていましたが、25年度末には、18万千人弱と約3%近く減少している状況です。被保険者の減少傾向の中、国民健康保険加入者以外の方との公平性の観点から、一般会計からの繰入れをこれ以上増やすことは困難です。

 国の保険者支援制度は現段階では詳細が示されておりません。保険者支援制度の活用については、これからの検討課題と考えております。

 次に、介護保険改悪についてです。第1は、新総合事業についてです。

 前定例会のわが党の一般質問で、「介護予防・日常生活支援総合事業」の問題を取り上げました。新総合事業が要支援1,2の訪問・通所介護を保険給付から外し、自治体に丸投げすることにより、介護給付費の自然増分を抑え込む目的での改悪であることを明らかにし、国に法撤回と国庫負担引き上げを求め、認識を質しました。

 ところが区は、区民の介護サービスを切り捨てるこの問題に対して、何ら認識を示さないばかりか、「制度改正の趣旨を踏まえ、準備を進める。法律の撤回を求める考えはない」と答弁しました。これでは区民は救われません。同時に、区は国に財政負担の引き上げを求めていると答えていますが、これは今でも介護サービスを維持・向上する上で財政上問題があることを認識しているからではないでしょうか。その意味でも、今回国はあけすけに介護給付費を減らすことを言明し、その手法まで言っていることに対してどう認識し、対応しようとしているのか示すべきです。答弁ください。

 第2は、特養ホームについてです。

 法改定で特養ホーム入所は原則「要介護3以上」と改悪されました。要介護1,2でも規定された「勘案事項」に該当していれば、「特例入所」ができる方針です。
区はこれまで、約2600人の待機者のうち「必要度」の指数11点以上の約700人を目標に整備を進めてきましたが、国の特例入所活用のため、在宅生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点化する見直しを行い、必要度指数を13に引き上げました。しかし、指数を引き上げても入所対象者は約700人もいます。ところが区の新ビジョンの重点施策では触れられておらず、介護保険計画でも整備目標は340床にすぎません。

 区は、希望する全ての人が入所できるよう整備計画を立てるべきです。当面、少なくとも区自らが必要度が高いと判断している必要度13以上の700人は入所できる計画とし、ビジョンでもしっかりと位置付けるべきです。お答え下さい。

 【大羽福祉部長】

 次に、介護予防・日常生活支援総合事業についてです。

 団塊の世代が全て75歳以上となる平成37年には、生活支援の必要な高齢者は一層増加します。地域の実情に応じて、高齢者の介護予防と日常生活の自立を支援するサービスを提供し、持続可能な介護保険制度とするため、総合事業が創設されました。介護保険の改悪というご批判は当たらないものと考えます。

 この介護保険法の改正の趣旨を踏まえ、区は全国に先駆け、来年度から総合事業を実施し、国基準のサービスに加えて、多様な担い手による区独自のサービスを充実し、効果的・効率的な提供体制の改革を進めます。

 平成27年度から始まる第6期練馬区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画素案に、総合事業の実施を明確に位置づけました。

 次に、特別養護老人ホームの整備についてです。

 平成25年度に実施した練馬区高齢者基礎調査により、特養の入所基準に基づき入所の必要が高いと考えられる入所待機者約700人のうち、早期入所を希望する待機者は260人と推計しています。加えて、今後3年間で早期入所を希望する方が、80人増加すると見込んでます。

 これらをあわせて、第6期練馬区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画素案では、3か年の整備目標数を340床と設定しました。

 早期入所のご希望に確実に応えてまいります。

 

 

 

 次に、新制度のもとで始まる「練馬こども園」について伺います。

 4月から子ども・子育て支援新制度がスタートします。これまでの国と自治体が保育に責任を持ってきた公的保育制度を崩し、基準が様々な保育サービスの導入、さらなる営利企業の拡大、幼稚園との統合など、保育に対する国・自治体の責任を後退させるものです。

 4月を前に保育現場でも説明が不十分で、新制度に対する疑問や不信感は一層深くなっています。

 こうしたもとで、練馬区は新ビジョンの目玉として「練馬こども園」を創設するとして、予算案では関連経費として約1億円が計上されています。

 ビジョンでは、幼稚園での預かり保育の拡大、認証保育所などとの提携、職員間交流・研修の3つの事業を行う幼稚園を「練馬こども園」として認定し、多様なニーズに応えていくことを示しました。

 これらの事業で特に懸念するのは、認証保育所と幼稚園の預かり保育との連携による保育の質の低下と公的責任の問題です。

 現在認証保育所利用者は、多くが認可を希望したが入所できなかった家庭です。
東京都が独自の基準を設け認証した施設であり、児童福祉法上の施設である認可保育所と保育水準に大きな差があります。保育料の高さはもとより施設の狭さ、有資格者6割など、子どもが長時間過ごす場所として成長、発達を保障できるか問われます。現在の保育水準のまま活用されるのでしょうか。お答え下さい。

 一方、幼稚園預かり保育については認可の基準と同等にするとはいえ、多様な保育時間を持ち込むことは、保育に大きな支障が出ることになり、集団保育を行う上でも決して好ましい環境とは言えません。保育の事業でもっとも大事なことは、保護者の要求を良く聞き、子どもが安全に成長できる権利を最大限に尊重することです。

 このように認証保育所と幼稚園が提携することが、保護者の願いを尊重し、どの子にも公的に保育を保障するという自治体の実施責任を果たすといえるのでしょうか。

 保育の実施責任とは、保育の量を確保するとともに質の確保にも責任をもつということです。この点で、認証保育所も幼稚園も区のあっせん・調整の対象でもなく、保育水準も問題があります。

 あくまで認可希望者の受け皿としての役割をもつ認証保育所と幼稚園の幼保一元化を保育施策の大きな柱に据えることは、保護者の願いをくみ取ったとは到底いえず、公的責任を果たしているとはいえないのではありませんか。お答え下さい。

 東京都は新都知事のもとで、認証から認可保育所整備へと施策の重点を変化させています。区としても認証保育所など無認可施設が認可へ移行できるよう施設整備の負担の軽減、保育士確保や資格取得などを支援し、保育条件の改善をはかることこそ優先し、ゼロ才~5才まで一貫した保育を保障すべきです。お答えください。

 【堀こども家庭部長】

 認証保育所の保育水準について、児童一人あたりの面積や保育職員数は、認可保育所の基準と同等です。保育資格を有する職員は、6割以上を基準としていますが、区として、保育士資格取得者数を向上させるための支援を継続する考えです。

 次に、「練馬こども園」との連携についてです。

 認証保育所は、単に認可保育所希望者の受け皿ではなく、多様なニーズに応える独自の保育施設です。主に2歳児までを保育対象とするため、いわゆる「3歳の壁」の解消を目的として、「練馬こども園」と連携を行うものです。3歳からは預かり保育のある幼稚園に通わせたいという保護者のニーズにも応えて創設する制度であり、ご指摘は当たらないと考えます。

 認証保育所の認可保育所への移行については、認可保育所の設備や職員配置基準を満たすための国や都の制度を活用し、改修費や人件費の補助を行っています。

 また、認証保育所として運営を継続する事業者や小規模保育事業に移行する事業者にも、区として、財政措置を含めた支援を行っていきます。

 次に、学童クラブと全児童対策について伺います。

 区長は、「新ビジョン」で、「学童クラブと学校応援団ひろば事業の運営を統合し、すべての小学生が安全かつ充実した放課後を過ごすことができる環境を整備」すると述べています。しかし、その方向性で今日の諸問題が根本的に解決できるでしょうか。

 質問の第1は、学童クラブの現状を改善する問題です。

 現在、学童クラブでは92か所4066人が利用し、弾力枠運用の定員超過は471名、待機児は29カ所174名(2014年4月)にのぼります。保護者の間では、過度の詰めこみで子どもたちが落ち着いて過ごせない状態を憂慮し、施設の増設を求める陳情も複数出されています。何年もこうした運営が続いて子どもたちの疲労は限界であり、過密化の原因である弾力枠受け入れを解消することが急務です。この現状について、区の認識を伺います。答弁ください。

 また、待機児については、学童クラブ需要の急増が明らかにもかかわらず、区はこれ以上の施設整備は困難と増設をほとんど行っていません。そのため、まず何年も連続して定員の1.5倍受入れの学童クラブを優先的に改善し、待機児が生じている施設も含め抜本的に増設を行うことを求めます。答弁を求めます。

 第2は、「(仮称)ねりっこクラブ」についてです。

 この新事業は、すべての小学生の放課後の居場所づくりとして学童クラブと学校応援団との事業運営の一体化をすすめるものです。

 保護者から「わが子が待機になるよりは…」との声もありますが、「ねりっこクラブ」内の学童クラブは、民間事業者に委託して行われる新規事業であることから、基準を引き下げた新条例が適用され、今までより水準の低い運営体制になります。

 委託学童クラブの多くで、従事者は低賃金・不安定雇用のなか、3年程度で職員が入れ替わって定着せず、子どもや保護者、学校との信頼関係、ひろば事業との連携など看過できない弊害が生じています。区の実施責任を放棄した安上がりな委託方針はやめるべきです。お答えください。

 区は「学童クラブは基本的に変わらない」と言いながら、「待機児解消」のために定員を廃止する方向で、専用クラブ室でなく、学童クラブ登録人数に応じて学校施設のタイムシェアによるスペースの確保で代用する考えです。

 特に、「ねりっこクラブ」では学童定員が廃止され、おおむね40人とする「支援の単位」の考え方も不明確なまま、子ども一人一人に目が行き届かず、生活の場としての機能が保証できません。待機児を数字上なくすだけの事業統合は撤回し、定員の廃止は絶対にすべきでありません。お答えください。

 他区では、全児童対策の名のもと良質な民間事業者でも運営費が頭打ちされ、経験のある職員確保や安定的雇用が困難で、定員廃止により大規模化に歯止めがかからず、学童保育機能が大きく損なわれてしまいました。練馬においては、学童クラブと学校応援団ひろば事業をそれぞれ充実し連携することで、子どもたちのより豊かな放課後の生活の場としての保育環境を将来にわたって発展させることを強く求めます。お答えください。

 【堀こども家庭部長】

 学童クラブの受入人数は、近年の入会需要の増加を受け、施設の規模に応じた運用を図っており、必要な職員数を配置し、安全な保育環境を確保しています。

 学童クラブの増設については、教室の転用や学校敷地内での施設整備の手法だけで保育需要に対応することは困難であります。今後は、学校内の教室を弾力的に活用する「(仮称)ねりっこクラブ」を拡大しながら、学童クラブの需要に応えていきます。

 次に、学童クラブの委託化についてです。

 委託化によって延長保育などのサービス拡充を図りながら、経費の削減が可能であり、委託の効果は大きいものと考えます。また、受託事業者の移動は、これまでの実績では年間6分の1程度であり、保護者や学校との対応、学校応援団との連携について、支障はないものと考えます。今後とも、サービスの拡充と効果的な運営確保の観点から、学童クラブの委託を進めていきます。

 次に、「ねりっこクラブ」における学童クラブ事業についてです。

 本定例会に提出している「練馬区放課後児童健全育成事業の設備および運営の基準に関する条例」に基づき実施する事業であり、利用定員を定める必要があります。従って、「ねりっこクラブ」への移行により学童クラブの定員が廃止となるというご指摘は当たらないものと考えます。

 「ねりっこクラブ」は、学童クラブと学校応援団ひろば事業の機能を維持しながら一体的に運営する仕組みです。すべての小学生が安全で充実した放課後を過ごせるよう、「ねりっこクラブ」事業を進めてまいります。私からは以上でございます。

 次に、西武新宿線立体化促進についてです。

 区は、1月25日に西武新宿線立体化促進協議会の結成大会を行いました。

 西武新宿線では、区内に13か所の踏切が存在し、交通渋滞の発生や、環境悪化、踏切事故の危険性、地域の分断やまちづくりの遅れなど多くの問題を引き起こし、立体化の実現は多くの区民の切実な要求となっています。

 ところが今回、区が主導して行った立体化に向けた促進協議会の結成宣言を見ると、その目的の半分が「外環の2」を始めとした南北道路の整備と沿線地域のまちづくりを図るためとなっており、区民や区議会の中でも賛否を二分する大型道路の問題を持ち込んだことによって、鉄道の立体化には賛成なのに協議会や運動に参加できない事態をつくりだしています。

 実際、区議会でも48人の議員のうち立体化促進協議会の役員・構成員になっているのは34名と、全議員参加にならず、立体化促進議連も1つの議会に2つできる異常な事態となっています。また、地域でも今回の協議会の結成に向けての準備会で、「外環の2」などを持ち込んだことで自治会長や商店会長から批判の声が上がったり、役員を引き受けられない人が生まれています。

 目的達成のため、区民全体の運動をつくる際、1人でも多くの区民が参加できる中身にすることが最低限求められ、結成宣言でも「区民、区議会、区が一体となって、地域の力を結集し、区をあげて取り組むことが重要である」と言っている通りです。運動を分断させ、住民同士を対立させるようなやり方は改めるべきです。

 もともと、「外環の2」計画は、当初、高架構造の外環本線に多くの地域住民の反対があがり、計画を凍結していたところ、地下構造にすることで地上部には迷惑をかけないと言って再開した経過があります。それなのに地上部にも22mにわたる大型道路をつくることを決めてしまい、まさに区民を欺くようにして進められ、住民合意が得られていない計画です。また、協議会の目的にある南北道路の整備の中には、大泉第2中学校を分断する前代未聞の都市計画道路も含まれており、むしろ、今回の動きはこうした住民合意が得られていない都市計画道路を進めるために、鉄道の立体化を持ち出したと言われても仕方がないのではありませんか。

 西武新宿線の立体化を本気で少しでも早く実現していこうというのであれば、大型道路の整備は切り離し、鉄道立体化の一点で全ての区民が参加できる協議会にしていくべきです。同時に、まちづくりはそこに住む住民が参加し、合意の上で進めていくことは当たり前であり、行政が思惑をもって押し付けるようなやり方は絶対にやめるべきです。区長の見解を求めます。お答えください。

 【宮下都市整備部長】

 井荻から東伏見駅付近は、5本の都市計画道路と交差しており、これらの路線は、南北交通の円滑化に資するとともに、環境面、防災面からも重要です。本区間は、都が連続立体交差事業の事業候補区間に選定しています。

 連続立体交差事業は、道路整備の一環として施行される都市計画事業です。道路と交差している鉄道を一定区間連続して立体化することで、多数の踏切を除却し、新たに整備する道路との立体交差を一挙に実現します。

 鉄道立体化の実現に当たっては、本事業の効果を最大限に発揮することが必要であり、周辺の道路整備や駅前広場の整備など、沿線のまちづくりを一体的、総合的に進めることが重要です。上井草、上石神井、武蔵関の3駅周辺地区では、地域住民によるまちづくり協議会において、南北道路の整備など、鉄道立体化を見据えたまちづくりの方向性が取りまとめられました。区は、これを受けて、各駅周辺地区の「まちづくり構想」を策定し、構想の実現に向けたまちづくりの検討を地域の皆様と一緒に進めてまいります。

 鉄道立体化を早期に実現するためには、区民、区議会、区が一体となり、区を挙げて取り組むことが重要であります。先月末、鉄道立体化の早期実現と、沿線地域のまちづくりを推進するため、地域の力を結集して「西武新宿線立体化促進協議会」を結成しました。今後も、外環の2など南北道路の整備にあわせた沿線地域のまちづくりを積極的に推進し、鉄道立体化の早期実現を都に働きかけてまいります。

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