議案第73号 練馬区子ども・子育て会議設置条に対する反対討論/2015年6月29日/米沢ちひろ

 日本共産党練馬区議団を代表して、議案第73号  練馬区子ども・子育て会議設置条例に反対の立場から討論を行います。
 練馬区子ども・子育て会議は、子ども・子育て支援法に基づき、東京都、自治体に努力義務として設置されるものです。当該会議は、

  ①幼稚園、保育園、認定子ども園など施設ごとに、設置者が申請する利用定員に対し意見を述べること

  ②国の「基本指針」に即して「子ども・子育て支援事業計画」の策定をおこなうこと

  ③当該施策の実施状況を調査審議すること

 反対理由の第1は、子ども・子育て新制度そのものの問題点についてです。
 子ども子育て新制度は、その本質が、自治体が保育の実施義務を負っている現在の保育制度の解体を狙う内容であり、福祉としての保育が、介護保険や障害者総合支援法のような利用者補助方式、直接契約方式で保護者の自己責任による利用へと仕組みを大きく変えることに、日弁連をはじめとする有識者・保育関係者から大変厳しい批判が上がっています。

 また新制度では、「すべての子どもの育ちのため」としながら、契約原理、市場原理を前提とする仕組みであり、必要な子どもに対する福祉の意義と役割が薄められてしまいます。虐待を受けている子どもや生活困窮世帯の子ども、障害を持っている子どもなど契約原理・市場原理にのれない「特別な支援を必要とする子ども」に対応するためには特別な仕組みを別枠で用意するしかなく、子どもたちに差別と格差を持ち込むことにつながります。

 反対理由の第2は、新制度が規制緩和を大前提とし、現行制度水準を後退させる危険性をはらんでいることです。
 この間の議論は、党区議団が何度も質問で取り上げてきたように、保育の市場化、企業参入の促進、保育士配置基準や面積基準の引き下げなど規制緩和を前提に制度設計が行われてきました。

 安倍首相は、新制度は横浜方式をお手本にして待機児解消と新制度設計をすすめる考えを明らかにしています。横浜方式での待機児解消は、市独自で0歳~1歳の子ども一人あたりの面積を狭めて切り下げ、詰め込み保育をおこない、園庭やプールをつぶして園舎増築する、保育士の大量退職など、保育環境が悪化しています。

 本来、保育園でも幼稚園でも学童クラブでも、子ども一人ひとりの豊かな成長と発達のためによりよい環境をつくり、保育水準を維持・向上させることを目的に営まれている施設です。安定した運営と従事者の処遇改善が子どもの最善の利益に通じるよう、現行制度は国と自治体に保育への責任を明確に義務付けているのです。
 公的責任の後退と、規制緩和や最低基準の引き下げを容認する新制度は、保育の質の低下を招き、子どもたちの安全や生命にも危険を及ぼすことから、絶対に認めることはできません。

 反対理由の第3は、子ども・子育て会議の役割と位置づけが明確でないことです。
 区の子ども・子育て会議は、認可保育園と認可外保育園、幼稚園、学童クラブ、学校応援団それぞれの事業者代表と利用者代表の公募区民、有識者など15名で構成され、子ども子育て支援事業計画の策定に携わると言います。

 会議では、計画の性格上、各事業、子育て支援の幅広い分野の取り組みを一つ一つ丁寧に実情をつかみ議論すべきであり、関係者・利用者からの意見を取り入れながら、充実の方向性を議論することこそ求められますが、素案策定までの期間が約半年と短く、区が示したスケジュールでは議論をすすめるための実態調査を行うこともできず、審議を尽くす機会も始めから十分に保障できないことは明らかです。

 さらに、支援事業計画の「基本指針」は国から示されていない中で、「基本指針」に基づいて計画策定するということだけ決められているのです。「基本指針」が子どもたちの育ちを、総合的に制度の充実を図りたいという現場や区民の願いに反している場合でも、水準の引き下げや規制緩和を会議で認める、お墨付きを与えることになりかねません。会議そのものの位置づけと権能、区民への責任が問われます。

 国いいなりに、子ども・子育て支援法と新制度導入を急ぐのではなく、現行制度のもとで拡充とさらなる支援の充実に自治体としての責任を果たすことを強く求めて、日本共産党練馬区議団を代表しての討論とします。