議案第52号「練馬区個人情報保護条例の一部を改正する条例」に対する反対討論/2015年6月29日/島田 拓

 私は日本共産党練馬区議団を代表して、議案第52号「練馬区個人情報保護条例の一部を改正する条例」に反対の立場から討論を行います。

 今回の条例改定は、マイナンバー制度導入にともない、特定個人情報等に係わる規定を加えるものです。
 マイナンバーは、国民一人一人に12桁の番号を付け、社会保障・税などの情報を国が管理し、行政手続きなどで活用するものとされています。本年10月には番号が割り振られ、来年1月から運用開始となり、練馬区でも、各種証明書の交付から社会保障の手続きなど広範にわたってマイナンバーを利用・管理することになります。

 反対の第一は、マイナンバー制度により多岐に渡る個人情報が集積され、情報漏えいのリスクが高まることです。マイナポータルで自分の情報をコントロールできるとのことですが、高齢者や障がい者などすべての人が自己情報を適切に保護・管理できる保障はありません。
 また民間事業者も従業員等のマイナンバーを扱うことになりますが、法人企業の約9割、366万社が中小企業です。これら事業者すべてが番号を適正に管理することができるでしょうか。人間が係わるものである以上、情報漏えいを防ぐ完全なシステム構築は不可能です。日本年金機構が不正アクセスを受け125万人もの個人情報を流出させたことが、それを証明しています。集積された個人情報が悪意を持って盗まれ、売買され、不正利用されれば取り返しがつきません。

 第二は、練馬区でどう管理・運用するのか、具体的な中身が何も決まっていないことです。「練馬区におけるマイナンバー制度の活用に向けた取り組み方針」の素案では、情報セキュリティの強化、職員及び受託業者への教育、本人確認の徹底などを行うとしています。しかし、例えば委託業者に対して特定個人情報をフラッシュメモリで提供するケースもあり、その消去については報告書を提出するだけです。これで確実な安全管理が担保できるのでしょうか。

 第三は、マイナンバー導入の狙いが、税の徴収強化や社会保障給付の削減にあることです。国民への管理・監視を強め、所得や資産を掌握することで税金の徴収強化や社会保険料の負担増をするとともに、社会保障削減の手段にしようとしているのです。預金口座への利用拡大や、麻生財務相がわが党の質問に「社会保障制度を維持するため負担能力に応じた負担が必要」と述べていることからも、これは明らかです。

 第四は、民間事業者もマイナンバーを管理・運用する義務を無償で負うことです。マイナンバーに対応する費用は事業所の規模によって40万から約100万円かかると推計されています。2万をこえる練馬の中小業者も厳しい経営のなかで大変な負担を被ることになります。マイナンバーのためにお金も人もかけられるのは一部の大企業だけです。
 加えて、利用範囲は制限されるとしながら、刑事事件の捜査、租税に関する事件の調査等に該当するときは規制の対象外とされ、警察や税務署は何の制限もなく使い放題です。

 これだけの問題がありながら、国民にメリットはほとんどありません。年金や福祉の申請で書類をそろえる手間が省けるとの宣伝がありますが、多くの人にとっては年に一度あるかないかの手続きです。一方でネットワーク構築には初期費用3,000億円、維持費に年300億円かかるとされており、これらはすべて国民負担です。内容を知っている国民は政府の行った調査で28%しかおらず、7割の国民がよく理解しないまま、情報流出リスクを高め、憲法が保障する基本的人権の侵害にも直結しかねない制度を導入するべきではありません。

 練馬区は、住民を守る見地に立って、政府に制度廃止へむけた検討と議論を行うことを求めるべきです。以上の立場から日本共産党練馬区議団を代表しての反対討論とします。