坂尻まさゆき議員

 私は日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。

質問を行う坂尻まさゆき区議(2021年11月30日、本会議)

 はじめに区長の基本姿勢として、来年度予算の編成について伺います。令和4年度予算編成に関する基本方針では、「歳入一般財源の不足を補うため、基金・起債合わせて約270億円を活用する予定だが、今後数年で基金残高は底をつき、区の起債残高も莫大な金額に達する懸念もある」「区の主要な一般財源である特別区財政調整交付金は、…減少となっており、依然として厳しい財政状況が続いている」と区財政の厳しさを強調しています。
 そのうえで、来年度予算編成にあたり「不要不急の歳出削減に取り組まなければならない。」「緊急対策として中止・延期した事業の再整理や社会情勢の変化に対応した施策の見直しを徹底する必要がある」としています。

 区は財政の危機を強調しますが、今年度上半期の財政状況では、1,000億円を超える基金を維持し、決算状況を伝える区報でも区財政は健全な状態と区自身が認めています。数年で基金残高が底をつく等の記述は過度に財政危機を煽っていると感じますが、区の認識をお答えください。

 先日、発表された2021年7~9月期の国内総生産の速報値は、個人消費の冷え込みもあり、年率換算で3%の下落となり、新型コロナにより日本経済が深い傷を負っている姿が改めて浮き彫りになりました。
 もともと日本経済は、コロナ禍以前から、「アベノミクス」で格差と貧困が広がり、2回にわたる消費税増税で消費不況に陥っていました。さらに、コロナ禍で現役世代・大学生を含めて、失業や雇止め、休・廃業など深刻な状態になり、高齢者も保険料の値上がり、年金の引き下げで暮らしの厳しさが増しています。

 にもかかわらず練馬区では今年度、補助・給付的事業で約3億円の予算が削減されました。削られたいきいき健康券事業は、その目的の1つが「リフレッシュを図り、健康でいきいきと生活すること」ですが、対象年齢が75歳以上に引き上げられ、映画館がメニューから外されたため、私たちのもとには「使えるお金が減る中、楽しみにしていた映画も行けなくなった」などの声が寄せられています。
 高齢者紙おむつ支給事業の変更に対しても、「自己負担が増えて、自分で買いに行くことになるのは大変」といった切実な声が寄せられています。暮らしに密接にかかわるこうした事業こそ復活し、充実すべきです。不要不急の事業を見直すのならば、大二中にかかわる補助135号・232号など住民合意のない都市計画道路や再開発、事業決定がされた後から積み立てても間に合う大江戸線延伸基金などを見直すべきです。2点、お答えください。

森田部長

 私から、区財政についてお答えします。

 今年度上半期の財政状況として公表した、基金現在高1,036億円余のうち、財政状況に応じて、弾力的に活用できる財政調整基金は、483億円余です。今年度当初予算および補正予算における歳入一般財源の不足を補うため、130億円以上の取り崩しを見込んでいます。

 他の基金は、病床の確保や区立施設の改修・改築等、特定の目的のために積み立てているものであり、自由に使途を定めることはできません。
 区の歳出は、社会保障経費がこの10年間で倍増し、区の判断で抑制・削減が困難な義務的経費が5割以上を占めています。区立施設の改修・改築経費も増加する見込みです。

 一方、歳入は、最も大きな割合を占める特別区財政調整交付金が、国の税制改正の影響を受けて、年々、減少しています。 
 区は、リーマンショック時の教訓から、計画的に基金を積み立ててきうており現時点では、必要な財源を賄えていますが、今年度と同様のペースで基金の取り崩しを続けると、今後数年で基金が底をつく懸念があります。

 区は、こうした状況を、財政パンフレット「練馬区のおさいふ」等により、区民の皆様にお伝えしてきました。「過度に財政危機を煽っている」とのご指摘は当たりません。近々お示しする、改定アクションプラン素案にも、巻末資料に区財政の状況を掲載しています。

 次に、事業の見直しについてです。
 今年度当初予算編成では、コロナ禍の危機的状況にあっても、区民生活の安全安心を守り、持続可能な財政運営を堅持するため、緊急対策として事業の見直しを行いました。

 当初予算額は、前年度比約1億円の減となる中、暮らしに密接にかかわる事業は最優先とし、全体の7割を占める子育て・教育・福祉・医療の関連予算は、15億円の増としています。

 引き続き、財政の持続可能性を確保するため、不断の見直しに取り組んでいきます。
 また、都市計画道路や大江戸線延伸等の都市インフラ整備は、これまで何度も申し上げているとおり、練馬区が将来に向け、さらに発展していくために不可欠な事業です。整備には長い時間を要するため、計画的に必要な経費を予算化し、着実に取り組んでまいります。

坂尻まさゆき議員

 次に住まいの支援について質問します。
 コロナ禍の長期化に伴い、失業や不安定雇用で収入が減少し、家賃が払えず住居を失う恐れのある人が増えています。

 区内でフードバンクを実施している団体によると、収入が激減し家賃が払えない20代から40代の単身者や、劣悪な環境のシェアハウスに住み続けるワーキングプアの女性など、都市部での困窮の多くは住まいの問題とリンクしているといいます。住宅への支援さえあれば困窮に陥らなかったのではという言葉は、心に突き刺さりました。「住まいの貧困」を打開するためには、公的住宅の抜本的拡充と家賃補助の両輪が必要です。

 1つ目は、公的住宅の拡充についてです。日本は公営住宅が極めて少なく、都営住宅は22年間、新規建設がないうえ制度改悪によって月収15万8,000円以下などの限られた低所得者しか入居できないにも関わらず、希望者が多く入居は困難な状況です。

 私たちはこの間、都営住宅の新設を都に求めるよう要求してきましたが区は、その考えは無いとの答弁でした。しかし昨年4月国会において、公営住宅等に関する我が党議員の質問に、赤羽国交大臣が「住宅困窮者の居住の安定確保のためのセーフティネットの根幹が公営住宅だ」と答弁しています。都に都営住宅の新設を求めるべきです。また区営住宅の整備基金を37億8,500万円に増やしていますが、区営で困窮者住宅を建てるなど早急に公営住宅を増やす施策が必要ではないでしょうか。2点お答えください。

 豊島区では、2020年度には1億6千万円余の予算を充てて、民間住宅を借り上げて、住宅に困窮している人に貸与する「安心住まい提供事業」に取り組んでおり、この制度は、豊島区では歴史のある制度で、現在159戸借り上げています。そのうち130戸が入居していますが、入居者の居ない確保分の家賃は区が全額負担していて、国や都の補助は入っていません。練馬区でも住宅困窮者支援の一つとして、区内の空き家を活用するなど民間住宅の借り上げを行っていただきたい。区の見解を伺います。

 2つ目は、家賃補助についてです。この間私たちが、低所得者の家賃補助を求めたところ、区は、住宅確保要配慮者への専用住宅があることを理由に消極的でした。国の「住宅セーフティネット制度」では、条件を満たせば家賃を補助する仕組みがあり、入居者を拒まない登録住宅は、全国で約60万戸まで増えましたが、うち家賃低廉化補助の対象となる専用住宅は全国でわずか4,000戸程度です。都内では練馬区と、世田谷区や八王子市など5自治体しかありません。住宅困窮者が多い大都市でもわずかしかないなか、練馬区に専用住宅があることは重要ですが、区の実績は、現在わずか1戸となっています。区はこれで役割を果たせていると考えているのでしょうか。区の認識を伺います。

 一方八王子市では、専用住宅が2020年度末で41戸、現在は45戸まで増えています。増えた理由の1つは、市営住宅の補完としてセーフティネット住宅を位置付け、入居者要件も募集方法も市営住宅と同様にしたことです。
 2つ目に、市が直接貸主に対して、この制度の趣旨や改修費補助金のことを伝えたことです。練馬区では、専用住宅の制度周知に際し、不動産団体に協力依頼しているとのことですが、八王子市でも以前は同様でした。しかし、不動産会社までは伝わっても、貸主の多くは制度を知らず、情報が届いていませんでした。そこで、市発行の公報で「貸主の方へ」と呼び掛けたところ、問い合わせが増え、なかには「収入にはこだわっていない」「福祉的に協力したい」という貸主も現れたそうです。

 そもそもこの制度は、自治体にも貸主にも財政的支援が貧弱なことや、家賃低廉化補助の対象が入居者でないなど、大幅な改善は不可欠だと思います。国、都に制度設計の見直しを求めるとともに、八王子市のようにできることを創意工夫して、専用住宅の登録戸数を増やすよう取り組むべきです。そして同時に、今住んでいる住居を活用できるよう、区独自に入居者への家賃補助を行っていただきたい。3点お答えください。

宮下技監

 私から住宅施策についてお答えします。
 現在、区内には、区営住宅が20団地35棟801戸あります。これらの区営住宅はすべて、都営住宅から移管されたものであり、昭和50年代から60年代に建設されたものが9団地あります。今後建て替え時期を迎えることから、整備基金は、建て替え費用として積み立てているものです。基金を活用するなどして新たな区営住宅を整備する考えはありません。

 なお、単身高齢者の入居希望が多いことから、3DKの住戸を単身高齢者向けの2戸に増やすペアリフォーム工事を行っています。
 民間住宅を借り上げた住宅の提供については、特に住まい確保に苦慮している高齢者を対象とした集合住宅として、すでに平成3年から実施しています。4住宅4棟140戸借り上げて、国の補助制度も活用し運営しています。

 都営住宅については、都では老朽化が進んだ既存施設の建て替えを進め、既存ストックの有効活用に取り組んでいることから、新規建設を求める考えはありません。

 次に、家賃補助についてです。
 区では、独自に、公営住宅への入居を希望する高齢者に対して、民間賃貸住宅に入居している一定期間、家主に対する補助を実施しています。
 また、令和元年6月から、高齢者等の住宅確保配慮者向けの専用住宅を対象として、家主に対する家賃補助も実施していますが、現時点では登録が1戸となっています。

 専用住宅の登録を増やすためには、家主の理解が欠かせません。このためには、広報による周知ではなく、直接働きかけることが重要です。家主の状況や意向は、常日頃まちで営業活動を行っている不動産店の方が、一番良く知っています。区では、制度の概要を記載したチラシを作成し、各不動産店の協力をえて、家主へのチラシの配布および制度の周知・理解に取り組んでいます。

 専用住宅への国や都からの家賃補助制度については、補助額などを特別区の実情に合わせたものとするよう、すでに意見を提出しているところです。
 これらに加え新に、区独自の家賃補助を行う考えはありません。

 低所得者のみならず、住まい探しに困っている方は様々いらっしゃることから、区では、既存の民間住宅を活用した住まい確保支援事業を実施しているところです。本事業では、区内不動産団体の協力を得て、高齢者や障害者、ひとり親家庭が、民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、空き室情報を提供しています。あわせて、見学や契約手続きに同行して住まい探しを支援する伴走型支援を、昨年6月から施行し、この4月から本格実施しています。

 より多くの方が、民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、引き続き取り組んでまいります。

坂尻まさゆき議員

 次にジェンダー平等、女性の働き方についてお聴きします。コロナ禍であらためて雇用の面でのジェンダー不平等が明らかになりました。総務省の労働力調査によると、2020年の年間平均完全失業者数は210万人と前年より28万人増加し、2020年の月ごとで合算すると、非正規雇用者は898万人減少しており、そのうち594万人が女性となっています。これは非正規雇用の女性が雇用の調整弁にされていることを示しています。

 女性は非正雇用者が56%と男性の22%と比べても2倍以上になります。なぜ女性に非正規雇用が多いのか。1つは、この間の規制緩和によって非正規雇用が増やされてきたことです。それによって正規雇用につきたくても大幅に枠が減りました。練馬でも会計年度任用職員と呼ばれる非正規雇用が職員の4割近くに達し、その86%が女性です。

 2つは、正規職員の長時間労働によって、産休、育休、介護休暇などが取りにくく、仕事との両立が難しいことです。区が2019年度に行った人権・男女共同参画に関する意識と労働実態調査によると、正規職員以外の就業形態を選択している理由として最も多いのが「拘束時間が短いから」が女性で43.3%となっていて、「育児や子どもの教育のため」も13.3%となっています。

 こうした状況を改善するには、正規職員の長時間労働を減らし、産休、育休、介護休暇、生理休暇などを取りやすくすることが必要です。それは出産などのライフステージにおいて女性の負担を減らすとともに、男性が家事、育児、介護などに参加しやすい条件を作り出すことになります。区職員の育休の取得率は女性が100%であるのに対し、男性は33%といまだ大きな落差があります。長時間労働の是正と男性の育休取得率をどう引き上げるのか、お聞きします。

 また、家事などは女性が行うべきといったジェンダーバイアスを無くしていくことも必要です。性別役割分業が仕事との両立を難しくしているからです。さらに非正規という働き方を減らしていくことも求められています。区の会計年度任用職員の中には図書館司書や精神保健福祉支援員、DV相談員など経験と知識が必要な職員が多く含まれています。こうした恒常的業務を担う職員は、正規職員として雇用すべきです。お答えください。また、少なくとも5年という上限を撤廃すること、経験加算を行うこと、正規職員の勤勉手当相当の報酬を加算することの3点を求めます。お答えください。

 同時に公契約条例を制定し、委託事業者の雇用条件を保障するとともに、事業者を選定する際にも総合評価の項目に正規職員の割合を設定するなど、正規雇用を増やしていく取り組みの強化が求められていると思いますが、いかがですか。

 区はこの間の答弁で、委託によって非正規労働者を増やしてきたことについて「(委託事業者の職員が)柔軟な働き方に対応するという意味合いでは、非常勤の有資格者を採用することは必ずしも悪いことではない」と労働者のニーズであるかのような認識を示しています。しかし、指摘してきたように様々な理由から非正規雇用を選択せざるを得ない状況が広がっています。認識を改めていただきたいと思いますが、いかがですか。

 区の管理職の女性の割合は20%程度と低いことも課題とされていますが、長時間労働の是正など働きやすい環境を作ることが女性の管理職を増やしていくことにもつながるのではないでしょうか。厚生労働省のガイドラインよれば、男女の賃金格差が大きい理由として、女性の勤続年数や職階が男性よりも低いことを指摘しており、昇任を増やすことは女性の賃金を増やすことにもなります。ぜひ働きやすい環境を作って、女性が昇任しやすい環境を作っていただきたいと思います。ご答弁願います。

小渕人事戦略担当部長

 私から、会計年度任用職員などについてお答えいたします。
 会計年度任用職員制度は、従来の臨時・非常勤職員の任用および処遇上の課題等に対応するため、創設されたものです。区では、制度改正の趣旨や総務省から発出された「事務処理マニュアル」に沿って制度を構築し、現在まで適正に運用しています。

 会計年度任用職員は、職務の内容や責任の程度・度合いが、常勤職員の職と異なるため、常勤化する考えはありません。また、任用における成績主義や平等取扱いの原則から、公募によらない無期限の任用を行うことは適切でないため、上限回数を撤廃する考えはありません。報酬額は職務内容などを勘案した上で設定しており、再度の任用の際に職務内容等に特段の変更がない限り水準を変える必要はないことから、経験加算についても考えておりません。勤勉手当の支給につきましては、法改正が必要となることから、国の動向を注視してまいります。

 次に、超過勤務の縮減と男性職員の育児休業についてです。
 区では、「過重労働対策基本指針」に基づき、過重労働を行った職員への産業医等による保健指導、超過勤務の多い職場の所属長ヒアリングなどを実施しています。男性職員の育児休業取得については、子育て関係の休暇制度を周知するとともに育児休業を取得した職員の体験談を紹介するほか、上司による取得勧奨なども行っています。今後も、超過勤務の縮減と男性職員の育児休業取得を進めてまいります。

 次に、女性職員の登用についてです。
 区は、男女を区別することなく、勤務成績等による厳正な昇任選考に基づき公平・公正校正に職員を登用しています。能力ある女性職員が様々な分野で活躍しており、能力主義、成績主義の下、女性職員の能力が最大限発揮できるよう、努めてまいります。

 次に、公契約条例についてです。
 民間事業者の従業員の労働条件の基本は、法律で定めるべきものであり、区として、公契約条例を制定する考えはありません。
 事業者選定のプロポーザルにおいては、適正な履行の確保のため、人員配置の妥当性などを評価しています。雇用形態を評価項目とする考えはありません。
 最後に、働き方についてですが、国の調査では、非正規の職員・従業員に就いている主な理由として「自分の都合の良い時間に働きたいから」との回答が最も多くなっています。柔軟な働き方の一つとして選択されているものと考えています。「正規の職員・従業員の仕事がないから」の割合は1割程度です。

坂尻まさゆき議員

 次に性教育について質問します。コロナ禍で望まない妊娠や性感染症、セクハラ、デートDV、スマホで性的画像をやりとりするなどの性暴力が増加しています。その背景にはリプロダクティブ・ヘルスへの社会的な認識不足があり、性や生殖に関わる知識や権利意識を育てるためには性教育の土台が不可欠です。

 『教科書にみる 世界の性教育』では「日本の学習指導要領は性教育をなるべく具体的に扱わないという姿勢が表れている一方、欧米では避妊法や性感染症について多くのページを割いて詳述している。避妊グッズの入手場所、使用法、緊急避妊薬にも言及し親身で実用的な中身がある」と説明されています。先進諸外国と比べ日本の性教育はおおきく立ち遅れ、国連は「思春期の性と生殖に関する教育を必修カリキュラムとして確保を」と日本に勧告しているほどです。

 性の知識やスキルだけでなく、人権やジェンダー観、多様性、幸福を学ぶ「包括的性教育」の導入が不可欠ではないでしょうか。日本学校保健会は、小中高校の保護者の70%以上が「思春期の体の変化」「妊娠や避妊法」「感染症とその予防」に立ち入って学校で教えてほしいと望んでいるとしています。

 学習指導要領には妊娠の経過を扱わないとする「歯止め規定」があり、これがあるべき性教育の妨げになっています。しかし、日本思春期学会幹事の茂木輝順(てるのり)氏は「学習指導要領はおおよその教育内容を定めた大綱的基準にすぎない。特別活動や総合的な学習の時間を性教育の核の時間にして、保健体育や理科、家庭科、社会科で基本や関連事項を教えるなどして充実した性教育のカリキュラムを構築できる」と主張しており、そもそも学習指導要領の総則には「学習内容について指導要領の範囲を超えて教えることができる」とも書かれています。現場や保護者の声を聞き、性教育の国際的水準まで足を踏み出すべきだと考えますが、助産師などを招いた性教育の出前授業を積極推進することも含め、区の見解をうかがいます。

 性教育の貧困はそれに付随するさまざまな問題をより深刻にしており、その一つが「生理の貧困」と言われる社会問題です。過去1年間に金銭的理由で生理用品の入手に苦労した若者が5人に1人という調査結果もあります。この解決は喫緊の課題ですが、同時に女子生徒への実態調査によれば経済的理由以外にも「自分で買う」ことや「親に頼む」のが恥ずかしい、「父子家庭で相談できない」などで入手困難となっているケースも多いと聞きます。生理やそれに関わる事柄を恥ずかしいと考えること自体、性教育が適切にされてこなかった表れではないでしょうか。

 練馬区では、98小中学校の保健室に生理用品の準備はありますが、生徒らに配布した分の「返却」を求めている学校も12校あることが分かりました。返却を求められれば、金銭的に入手困難な子が利用しづらくなりかねません。全校で返却不要の配布に統一すべきです。また、NHK調査によれば、ある公立中学校では「生理用品を置いてほしい場所」はトイレ87%、保健室1%でした。こういう声からも生理用品は保健室とともに、女子トイレ個室にも設置すべきです。同時に、生徒らへの調査をして、正確な実態とニーズをつかむべきだと考えます。3点、区の見解を求めます。

木村教育振興部長

 私から、性教育に関するご質問にお答えします。
 小中学校では、性教育に限らずかぎらず、あらゆる教育活動を通じて、人権の尊重や男女平等に関する指導を実施しています。
 また、学習指導要領に基づき、子どもたちが性に関する正しい知識を身に付け、適切な意思決定や行動選択ができるよう、発達段階に応じた指導を行っています。

 性行為や避妊などの学習指導要領に示されていない内容を扱うことは、児童生徒の身体的・。精神的発達や性に関する知識の個人差に十充分配慮すべきであり、すべての学校が一律に実施するものではありません。校長の判断により実施する学校には、平成31年3月に東京都教育委員会が配布した「性教育の手引き」に基づき、児童生徒の実態を十分踏まえ、保護者に丁寧な説明をした上で、理解・了解を得て実施するなどの慎重な対応を促しています。
 外部講師と連携した授業は、すでに産科医、助産師およびNPO等を招いて実施している学校があり、保護者の理解を十分得ながら進めております。実施した学校の成果を情報発信するなど、引き続き取組が広がるよう働きかけてまいります。
 また学校での生理用品の配布は、持参を忘れたなどの理由が多く、返却を求めている例もありましたが、今後は返却不要といたします。

 保健室で配布することが、児童生徒から様々な相談を受けたり、養護教諭が本人や家庭の状況を把握する契機にもなっているため、トイレに配備する考えはありません。
 各学校では、保健室での生理用品の配布や日常的に受けている各種相談の中で実態を把握し、適切に対応していることから、改めて実態調査を行う考えはありません。以上であります。

坂尻まさゆき議員

 次に、保育園の委託・民営化についてお聞きします。

 保育事業は、かかる経費の約8割が人件費であり、民間委託や民営化で経費が下げられるのは、もともと低い保育士給与が下げられ、経験の少ない保育士の雇用や非正規雇用を増やすなど人件費を大幅に削るからです。専門性が求められる保育士が長期に安定的に勤められない職場環境では、保育の質が下がらざるを得ません。こうした理由から、委託・民営化は止めるよう、繰り返し求めてきました。

 これに対し、区は委託化にあたっては、保育水準を維持しながら、延長保育などサービスの充実を図ってきた、運営委託料の算定は、各事業者の給与規定を踏まえた適切な運営費を見積もっており、懸念には及ばないと答弁しています。しかし、高いサービスとして挙げている延長、休日などの保育は、保護者へのサービスであり、保育の質の問題ではありません。各事業者の給与規定を踏まえていることをもって、保育士の処遇が低く、働き続けられない環境になっていることへの回答にもなりません。保育士の給与水準や経験年数は保育の質に直結する以上、委託した園がその点でどうなっているか、しっかりと示し、本当に保育水準が下がっていないことを示すべきです。お答えください。

 区長は、自身が若い頃英国に滞在し、その経験から、「民間の力を基本にしなければ、福祉サービスの充実はない」と民間が担うことを当然視していますが、本当にそうでしょうか。

 保育の先進国とされる英国では、確かに8割が民間で保育を担っているようですが、何も民間が担っているから、優れているわけではありません。
イギリスでは、2006年にチャイルド・アクトという法律がつくられ、「全ての子どもは、人生の始まりにおいて最高のスタートを保障されなければならない、また、自分の潜在的な能力を実現できるサポートも保証されなければならない」と明記され、地方行政は全ての子どもが保育施設に通える環境を保障しなければならず、目標が達成できるようサポートしなければならないなど教育・保育を受ける権利が確立されています。

 その上で、オフステッドと呼ばれる教育監査機関に保育園や学校、自宅で子どもを預かる方も含めて全て登録しなければならず、保育士は例外を除いて全て資格がなければなりません。登録していない団体や個人が子どもを預かると犯罪として罰金を科せられ、場合によっては刑務所に送られることもあります。無資格でも保育ができる日本とは大違いです。

 オフステッドによる保育施設の監査では、「子どもたちの幅広いニーズを満たしているか」「子どもたちの健康と安全に貢献しているか」「有効に国が定めた法的フレームワークと教育カリキュラムを実践しているか」の3分野について評価され、「不可」の結果が出た場合には改善案が示され、改善されないなどひどい場合には認可を取り消されるケースもあり、その結果をウェブサイトで公開しています。

 こうしたもとで、イギリスでは保育士1人がみられる子どもの数が、0歳児は日本と同じ3人ですが、1歳児は3人、2歳児は4人、3、4歳児は8人となっており、日本の最低基準の3歳児20人などと比べて明らかに手厚く保育できる体制が確立されているのです。現在では一部後退しているものもあるようですが、こうした制度があるもとで公立、民間を問わず保育の質が守られているのであって、民間だから良い保育ができるということではありません。

 もちろん、月額24万円など高すぎる保育料や貧富の格差によってすべての子どもがフルタイムで保育を受けられないなど、区長が言われるように英国の保育制度が全て良いとは言えませんが、保育理念や仕組みなどは学ぶべきところがあります。

 私どもは、これ以上委託・民営化すべきではないと考えますが、少なくともすでに委託された園で質を上げる取り組みに力を尽くす必要があると考えます。区ではその取り組みとして全ての保育施設に、園長経験者による巡回指導を行っていますが、園ごとで見れば年一回であり、これだけでは不十分です。

 世田谷区では2015年に、保育の質を向上させる目的で「世田谷保育の質ガイドライン」がつくられました。厳しい安全基準を設け、区が求める保育の質と、それを守るための厳しいルールを明文化したものです。認可施設だけでなく、認証園も含め区内全ての保育施設に適用されます。

 以前、区に同様の取り組みを要求したところ、保護者アンケートや東京都福祉サービス第3者評価で高い評価をされていることをもって、ガイドラインを策定する考えはないとしています。しかし、区内の保育園の中で、第3者評価では「ゆとりある職員体制を維持し、保育内容の充実や働きやすさの向上につなげている」など良い評価を得ていた園でも、責任者クラスの保育士が急に6人入れ替わるような問題が起きており、評価自体にも疑問を持たざるを得ない状況が現にあります。練馬区でもこれまでの取り組みでよしとせず、優れた取り組みを参考に、保育の質を向上させる取り組みを積極的に取り入れ行うべきです。区の見解をお聞きします。

 また、国では介護職や保育士など、低い給与水準だった職種の給与を引き上げることが検討されていますが、引き上げられた給与が確実に、保育士に全額わたる仕組みとなるよう区としても意見を挙げるべきです。お答えください。この項の最後に、区は保育園を民間委託する際には、1年の準備期間を設け丁寧にやっているとしていましたが、今回区は計画になく議会に報告もないまま谷原保育園の閉園を突然決め、保護者に知らせました。こうしたやり方はあまりに乱暴であり、強く抗議するとともに、閉園の撤回を求め、次の質問に移ります。

前川区長

 お答えいたします。保育行政についてです。 

 私の英国での経験が、曲解されていることに戸惑っています。
 私は昭和50年から51年にかけて、英国に滞在し、ヨーロッパの社会福祉行政と教育行政の関係について調査したことがあります。とりわけ、保育所と幼稚園については詳しく調べました。どの国でも、保育と教育は、社会構造や文化と密接に絡み合っています。

 当時の英国では、中産階級と労働者階級が、依然としてはっきり分かれていました。日本の認可保育所にあたるものが極めて少ないことにも驚きましたが、そうしたなかで、労働者階級の若い母親達が、自発的に組織を作って、ガレージや個人住宅などでお互いの子供の面倒を見る、プレーグループという保育活動が目覚ましく成長していました。

 一方、日本では、急速に認可保育所の整備が進むなかで、保育の更なる充実を専ら行政に要求する運動が盛んに行われていました。こうした日本と違って英国では、市民の自発的な運動が保育を支えている姿に強い印象を受けたのです。日本より英国が優れていると思ったことは一度もありません。
 私は、日本の保育行政は、当時から今に至るまで、質・量ともに欧米をはるかに凌駕していると思っています。すべてに行政が責任を持ち、国や自治体の手厚い補助のもとで行われています。何をもって英国を保育の先進国と仰るのか分かりませんが、何事においても欧米に比べて日本は遅れているといった、明治時代に刷り込まれたような発送は、遅まきながら改めるべきではないでしょうか。

 これまで利用者の視点に立って、長時間保育や産休明け保育など、日本の保育サービスを、先頭を切って充実してきたのは民間の保育所です。認可保育所以外の保育室、家庭福祉員、私が福祉局長になって創設した認証保育所は、民間事業者と23区、東京都が大都市特有の多様な保育ニーズに応えるため、国の反対を押し切って創設し、育ててきた制度です。誰もが安心して利用できることは言うまでもありません。

 本年4月に達成した待機児童ゼロも、私立認可保育所の整備や「練馬こども園」の創設など、民間事業者の努力なくしては成し得なかったと考えています。
 私からは以上です。そのほかの質問につきましては、技監および関係部長から答弁いたします。

小暮こども家庭部長

 私から、保育園の委託・民営化についてお答えします。
 はじめに、委託園の保育士の給与水準や経験年数と保育水準についてです。

 毎年度、事業者の給与規程を確認し、委託料に占める人件費の提示を求めています。これまでの間、保育士のキャリアアップ補助等に伴う委託料人件費の増額や宿舎借り上げ補助など、委託園職員の処遇改善にも可能な限り取り組んできました。

 経験年数については、仕様書において、園長や主任などの職種別に一定の実務経験を条件とし、毎年度、確認しています。
 委託園の運営状況については、区立保育園の園長・副園長経験者が、3か月に1回以上の巡回支援を行うほか、保護者・園・区の3者による運営委員会を開催し、必要に応じて指導を行っています。

 毎年度モニタリングを行い、委託1年目に利用者アンケートを実施、2年目と4年目には、東京都福祉サービス第三者評価を受審し、その結果をホームページで公表しています。東京都福祉サービス第三者評価は、専門の評価機関が、保育所職員の自己評価や利用者アンケート調査を行った上で、現場の確認や職員へのヒアリングにより、サービス内容や組織運営について、総合的に分析した客観的で信頼度の高い評価であると認識しています。

 昨年度から、保育人材の確保・育成に取り組む専管係を保育課内に設置し、委託園を含む、すべての区内保育施設を対象に、専門知識の習得やレベルアップを図る研修を体系的に実施しています。また、すべての認可保育所を対象に、専門家が障害児保育の巡回支援を行い、障害児への支援方法等について指導・助言しています。

 区があらためてガイドラインを策定する考えはありません。
 なお、国が検討している、保育など現場で働く方々の収入の引き上げについては、今後示される実施方法等に基づいて対応してまいります。
 谷原地区における保育所用地の取得については、手続きの過程で、民間保育所を整備した上で、谷原保育園を閉園する考えを在園児の保護者にお知らせしました。本定例会中に具体的な計画案を、議会に報告する考えです。私からは以上です。

坂尻まさゆき議員

 次に、地球温暖化・気候危機対策についてお聞きします。今月、英国で国連気候変動枠組み条約締約国会議COP26が開かれました。世界気象機関は、産業革命前より世界の平均気温が約 1.1度上昇したこと、このままでは今世紀末までに2度を超えて上昇すると警告しました。気候危機を乗り越えるには、気温上昇を1.5度未満に抑えなければならず、2030年までに、温暖化ガスを2010年度比で50~60%減らすことが絶対に必要です。日本を含め、温暖化ガスを大量に出してきた先進国の責任は重大です。しかし岸田首相は撤退を求められている石炭火力発電に固執し、世界の環境NGOから化石賞を受賞するという恥ずべき姿勢です。こうしたもとで、自治体の取り組みも求められています。

第1に、区内の状況調査やそれに基づく目標と計画についてです。脱炭素社会に向けて、新たな環境基本計画を策定するとのことですが、2013年度比26%削減の目標を引き上げ、それとともに専門の研究者、団体に依頼して、区内の家庭・業務など部門ごとのエネルギー利用量やCO2などの排出状況と、そこからどれだけ排出を減らし、再生可能エネルギーの利用を拡大できるか、調査してはどうでしょうか。それに基づいて、さらに公共施設、公共事業、自治体業務での削減目標も加え、地球温暖化対策推進計画を策定するよう求めます。2点、お答えください。

 また、区内で再エネ設備の設置が可能な建物の屋根や未利用地の把握、その所有者と再エネを中心とする発電事業者をマッチングさせる窓口の開設、発電所を設置した所有者への固定資産税の減免等優遇策を国や都に求めることなども要望します。

 第2に、省エネを進める施策についてです。区は、断熱窓への改修に補助を行っていますが、窓のほか、壁や屋根など、建築物全体の断熱強化を促進することが重要です。品川区や足立区では遮熱性塗装に補助を行っていますが、省エネ性能の向上のため、こうしたものも含めて検討し拡充していただきたい。お答えください。

 また、都営住宅では建て替えに合わせて「断熱性の向上や高効率な設備機器の設置により省エネ化を図るとともに、原則全ての住棟に太陽光発電設備を設置」するとしています。区営住宅でも、太陽光パネルの設置、断熱窓への改修など、省エネ、再エネ化を強化すべきです。いかがですか。

 いま各地で営農型太陽光発電の利用が進んでいます。昨年3月時点で、全国で2653件許可されています。発電した電気を営農に利用したり、災害時に電源として活用したりできます。2019年、台風15号で長期停電が起こった千葉県で、地域住民に電気を提供した実例もあります。しかし生産緑地では、これができないということです。生産緑地でも可能となれば、CO2削減とともに農地の保全、売電収入等による経営強化や、災害時にも役立ちます。都市部では知られていませんが、可能となれば利用する農家も現れるのではないでしょうか。区は営農型太陽光発電についてどう考えているか、お聞かせください。

 また生産緑地であっても、例えば、ビニールハウス栽培などで、ハウス内の温度や湿度の管理などのための電力を太陽光発電でまかなうために生産緑地に太陽光パネルを設置することができないでしょうか。

 宅地化農地であれば、支柱を立てる部分の一時転用を申請・許可されれば可能だと思います。営農の適切な継続、周辺住民の理解や協力が欠かせませんが、そうしたことも含めて農業者に周知することができないでしょうか。お聞きします。

 多くの人が一度に利用できる公共交通を充実させることも車の利用を減らし、温暖化ガス削減になります。みどりバスに排出削減、脱炭素を進める観点を取り入れ、増便やコースの新設など拡充へ取り組んでいくこと、またディーゼルから電気バス等への転換も進めるべきです。2点、お答えください。
 以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

市村環境部長

 私から、地球温暖化対策等についてお答えします。
 住宅や事業所等の温室効果ガス排出量推計に必要となるデータは、経済産業省をはじめ様々な団体による調査・研究が進んでおり、広く公開されています。また、東京都下の区市町村が共同で集計した温室効果ガス排出量の統計資料が整備されており、区が独自に調査を行うことは考えていません。
区の事務事業における温室効果ガスの削減については、平成23年度から練馬区独自の環境マネジメントシステムに基づき目標を設定し、全庁をあげて取組を推進してきました。来年度、国の地域脱炭素ロードマップ等に基づき、区の温暖化対策に関することを含め、新たな環境基本計画を策定し、脱炭素の取組を進めます。

 再生可能エネルギー・省エネルギー設備設置補助制度では、限られた財源をできるだけ効果的に活用できるよう、毎年度、補助メニューを選定しています。住宅における熱の出入の6割から7割は窓など開口部からであり、この部分の断熱を強化していくことが効果的です。また、遮熱性塗料は、天井や壁に断熱材を使用している住宅では大きな削減効果が期待できないため、現時点では補助対象とすることは考えていません。
区立施設への再生可能エネルギー・省エネルギー設備の導入は、アクションプランや環境マネジメントシステムに位置付け、積極的に推進しています。平成30年度からは、区立小・中学校や区立施設の改修・改築時に、太陽光発電設備と蓄電池の導入を進めています。区営住宅についても、改修・改築時に検討することとしています。

 次に、みどりバスについてです。
 鉄道やバスなどの公共交通の利用を推進することは、環境負荷軽減に有効です。区内には狭隘道路しかなく、バスの運行に課題のある地域もあります。このため、都市計画道路や交通広場など都市インフラ整備を積極的に進め、交通環境の充実強化を図っていきます。
また、環境配慮型車両の導入には、充電設備等の新たなインフラ整備やコスト面での課題があります。バス事業者は、バイオ燃料の活用や燃料電池バスの試験運行などの取り組みを進めていると聞いています。こうした動向を注視し、検討していきます。以上です。

 次に、営農型太陽光発電についてです。
 生産緑地に設置ができる営農型太陽光発電設備は、電動農具や施設電源など農産物の生産のために使用する場合に限られ、充電を伴うものは設置出来ません。また、宅地化農地において設置する場合でも、区内の農地は狭小な面積であることも多く、住宅と近接した環境であることから、反射光による近隣への影響も課題となります。農業者からも、設置の要望はほとんどありません。こうしたことから、区としては農業者に対して周知する考えはありません。