有馬豊議員

 私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。
 最初に、区長の基本姿勢として、コロナ対策についてです。

 緊急事態宣言が再延長され、多くの国民は我慢を重ね疲弊しています。このまま抜本的な対策もとらなければ、私たちの暮らしも事業者の経営も壊れてしまいます。今こそ区としてできうる対策の強化が必要です。

 第1は、オリンピックについてです。オリンピックが開催されれば、医療関係者が1万人、消防が3万人、子どもたちも90万人規模で動員され、救急車も一会場あたり2台配備するとされています。海外からも大会関係者が数万人来日することになります。これでは感染が拡大し、医療機関がさらにひっ迫することになると現場からも中止を要請する声があがっています。区として、こうした声に応え、オリンピックを中止するよう関係機関に求めるべきです。ご答弁下さい。

森田企画部長

 私から、オリンピック・パラリンピック大会、事業見直し等についてお答えします。

 オリンピック・パラリンピック大会について、IOCに対して、何らかの対応をするのは、国と東京都であり、区として関係機関に求める考えはありません。
 来月17日には聖火リレーが行われます。デンマークのオリンピック射撃選手団、エクアドルのパラリンピック陸上・水泳選手団が安心して滞在できるよう、準備を整えてまいります。

有馬豊議員

 第2に、検査についてです。5月から高齢者と障害者の施設において、週1回のPCR検査が始まったことは重要です。しかし、検査の期間は6月までと一時的です。それにとどめず、継続し、対象を保育や医療機関に広げることを求めます。2点お答え下さい。

 コロナ感染の6割は、無症状者からの感染です。この特性を考え感染が広がりかねない地域へのモニタリング調査や、無症状でも希望すれば検査できる体制を作るべきです。
 また、クラスターが発生した事業所を一週間前に利用した高齢者が濃厚接触者と認められず、念のためPCR検査をしたところ陽性が判明した事例もあります。

 国の定義では、発症の2~3日前から感染性があるとされますが、それ以外でも陽性者が出ている事実を踏まえ、濃厚接触の定義を拡大し、従来よりも広く検査を行うべきです。
 そもそも東京都は、一日あたり6万8千件の検査能力があるのに、実際には平均6千4百件程度しか行われていません。大幅に検査数を引き上げるよう国や都に求めるべきです。2点答弁を求めます。

前川燿男区長

 区はこれまでも、国や都と連携して、最大限の努力を続けてきました。感染拡大の防止、医療提供体制の充実、区民・事業者の支援、社会インフラの維持など様々な分野で独自の対策に取り組んでいます。

 コロナ対策の切り札はワクチンしかなく、新規感染者数が減少傾向にある今こそ、ワクチン接種体制「練馬区モデル」の本格的な出番だと考えています。

 今月から、診療所での個別接種が始まりました。集団接種と合わせて、国の目標水準を上回る毎週4万6千回の接種が可能となり、7月中旬には練馬区モデルで想定した、高齢者65%への2回目の接種が終了する見通しです。そこでスケジュールを前倒しして、基礎疾患のある方、高齢者施設の従事者、60歳から64歳の方の接種券を今月22日に送付します。子どもたちをコロナウイルスから守るため、練馬区独自の対応として保育所、幼稚園、小中学校、学童クラブ、児童館などの従事者をこれに加えます。

 続いて6月29日には40歳から59歳の方、7月6日には12歳から39歳の方への接種券を発行する予定です。

 引き続き、練馬区医師会、練馬区薬剤師会などの皆さんと力を合わせ、「練馬区モデル」により全国を先導して、希望する全区民への接種を早期に実施したいと考えています。現在のペースで進むと、遅くとも10月中旬には、練馬区モデルで想定した、区民65%への接種が終了する見通しです。

 私からは以上です。その他の質問につきましては、技監および関係部長から答弁いたします。

佐古田健康部長

 はじめにPCR検査についてです。

 東京都は、7月以降も入所系の高齢者施設などの職員を対象とした検査を継続することを発表しました。都の対象となっていない高齢者・障害者事業所の利用者や従事者に対して、区独自のPCR検査が継続できるよう検討してまいります。

 医療機関については、クラスター化しやすい精神科や療養型の病院に都が定期的な検査を導入しています。また、区内の医療従事者へのワクチン接種はおおむね完了しています。

 保育園での定期検査は、区独自の取り組みとして保育士等へワクチンの優先接種を行うことから、現時点では考えておりません。

 区は、国や東京都に協力し、先月下旬に駅頭でのモニタリング調査を実施しました。また、多くの民間検査機関や、クリニックでPCR検査等を実施しており、自主的に検査を希望する方への検査体制は整備されているものと考えています。

 次に、濃厚接触者についてです。保健所は、発生状況等を総合的に勘案して、濃厚接触者を特定しています。必要に応じて広く検査をするなど、無症状者を含めた感染者の発見に努めています。国や都に検査の拡充を求める考えはありません。

有馬豊議員

 第3に、医療機関への支援についてです。この間、区内の診療所などで話を伺いました。その中で、外来の減少が大きく、とりわけ総合内科や小児、歯科などでは大きな影響を受けているとのことです。結果、減収規模は10%を超え、20%以上になっているところもあると聞いています。区として、診療科目ごとに診療所の状況を調査し、必要に応じて支援することを検討すべきです。ご答弁下さい。

 さらに深刻なのは、病床のある病院や老健施設などです。複数の自治体をまたがって経営するある医療法人では、病院が大幅な赤字となっており、東京都から5億円の融資を受けたが、昨年度だけで半分を使い、返済できる見通しが立たないとしています。

 区は、国の診療報酬の見直しに加え、新型コロナ対応病床の確保で支援が行われているから新たな支援は行わないとしていますが、現状の支援だけでは不十分だとの声があがっています。とりわけクラスターが発生した医療機関は深刻です。区は改めて、区内の病院についても経営状況を調査し、必要があれば支援を行い、国と東京都に減収補填するよう求めていただきたい、答弁願います。

佐古田健康部長

 新型コロナウイルスの感染拡大により、診療所の経営に影響を及ぼしています。区ではこの間、過度な受診控えは健康リスクを高めることから適正受診を促すとともに、一時休止していた各種健診も再開しています。

 ワクチン接種「練馬区モデル」も全面展開となり区内診療所の経営状況は改善の方向にあると考えています。ワクチン接種については、診療所の支援経費を本定例会に補正予算として提案しています。

 感染症が及ぼす病院経営への影響については、この間、数次にわたる診療報酬の見直しや、国や都による補助金の拡充などが行われました。クラスター発生時の休止病床に対する支援は一般医療機関にまで対象を拡げています。区独自の患者受入れ実績に応じた支援も継続しています。これらの支援は病院経営に寄与していると伺っています。引き続き区内医療機関の経営状況を注視し、必要に応じて国や都へ更なる支援を要望してまいります。私からは以上です。

有馬豊議員

 第4に、事業者支援です。国は現在、飲食店を始めとする事業者が業種転換等を行うための再構築支援補助金を実施しています。しかし、新たな業種に転換しても、すぐに売り上げが上がるわけではありません。売り上げが安定するまでの一定期間、事業者に対して、家賃などの固定費を一時的に援助する仕組みを作るべきと国に求めていただきたい。また、新宿区は、店舗等家賃減額助成を行っています。練馬区としても何らかの支援をすべきです。2点答弁を求めます。

 この間、国が実施した緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金が実施され、事業者の命綱となっています。これから4月~6月分が支給されることになり、東京都はこれに5万円を上乗せします。事業者からは3万円でも区が上乗せしてくれたらとの声も寄せられています。こうした声に応え、少しでも底上げを図っていただきたい、答弁願います。

関口産業経済部長

 国は、緊急事態宣言等の影響緩和措置として、売り上げが減少した事業者を対象に、業種や地域を問わず家賃等の固定費にも充てることができる一時支援金を、60万円を上限に中小法人等に給付しています。
 今年度からは、月次支援金として、ひと月20万円を上限に給付します。また、都では独自支援策として、国の月次支援金の対象となる中小法人等に対し、ひと月5万円を上限に加算給付を行う予定です。区では、区内事業者を支援するため、昨年からの特別貸付に加え、先月から融資枠を拡大した借換特別貸付を開始しました。

 こうしたことから、国に家賃等の固定費の支援を求めることや、区独自の上乗せ助成等を行う考えはありません。私からは以上です。

有馬豊議員

 国民健康保険料や介護保険料については、コロナ減免を継続することになったのは重要ですが、対象は主たる生計者の収入が前年と比べ3割減少する見込みの場合です。
 2020年度は、すでにコロナの影響で大幅に減収になっていました。そこからさらに3割減っていなければ対象とならないのでは酷な話です。一時支援金では2019年との比較も可としています。保険料のコロナ減免も、2019年との比較でも可能とすべきです。

 また、対象も国保に加入している方が3割減になっていても、主たる生計者でない場合、減免の対象となりません。この点も改善するよう国に求めるべきです。2点ご答弁下さい。

森田企画部長

 国民健康保険料・介護保険料のコロナ禍の減免は、新型コロナ感染症により、世帯の主たる生計維持者の死亡や、前年の10分の3以上という急激な収入減など、困窮している世帯を特例的に支援する制度です。

 国民健康保険は世帯を単位とし、主たる生計維持者を中心とした制度です。
 減免についても、世帯の主たる生計維持者の収入減少を要件とする仕組みです。

 保険料の納付が困難な場合は、分割納付や徴収猶予などの活用により、加入世帯の個別の状況に応じ丁寧に対応しています。国に改善を求めることは考えていません。

有馬豊議員

 次に、補助給付的事業についてです。
 区は、コロナによる財政難を理由に、高齢者いきいき健康事業など、高齢者や子どもに関わる9つの事業を縮小・廃止しました。私たちのもとには、なぜこうした事業が切り捨てられるのかと怒りの声があがっています。

 今回、見直しで削られた予算額はわずか3.2億円で、予算全体のわずか0.1%程度に過ぎません。寝具クリーニング事業もわずか100万円削減して負担増にしました。こうした事業を削ったからとどれほどの効果があるといえるのでしょうか。しかもどれも区民の暮らしにかかわる事業ばかりです。

 区は、予算編成のポイントとして、区民の生命・健康、安全・安心を守る事業を最優先するとしていますが、この観点から見ても、優先順位が間違っているのではありませんか。

 さらに、高齢者いきいき健康券では、対象を65歳から75歳以上に引き上げた理由について、区は就労している高齢者が多いこと、この間の調査で高齢者だと思う年齢が75歳が多いことを挙げています。しかし、74歳以下での就労は5割にとどまっており、健康券を使うことで高齢者がいつまでも元気でいられるように後押しすることこそ必要であり、75歳未満を対象から外す理由にはなりません。2点、区の見解を求めます。

 しかも最も利用の多い映画鑑賞は対象から外されていますが、楽しみを奪うことは、「高齢者がますます健康でいきいきと社会参加できるように支援する」という本来の目的と逆行するのではないでしょうか。

 高齢者への紙おむつの支給についても毎日使用するものであり、これまでのように利用できなくなれば死活問題です。入院の際も紙おむつ代は保険の対象外で、課税世帯はすべて自己負担です。この間、介護も医療も保険料が引き上げられ、介護保険は利用料も年収280万円以上は2割負担になるなど、高齢者への負担は増しています。これ以上負担を増やすことは許されません。

 見守り配食サービスも事業者が5つから7つに増え、回数制限はなくなりましたが、利用料は1食150~250円ほど負担が増えています。この間行った介護事業者アンケートでは、事業者が、配食サービスを復活してほしいと声を寄せています。サービスの削減で負担を増やすのではなく、むしろ拡充こそ求められているのではありませんか。ご答弁願います。

 第3子誕生祝金についても、少子化の中で、第3子以降に限定せずにすべての子どもたちに支給すべきで、減額などもってのほかです。

 区は、今回の緊急対策について、景気が回復しても元に戻す考えはないとしています。これでは緊急対策ではなく、災害に便乗した区民サービスの削減ではありませんか。財政的な効果も限定的で、とりわけ高齢者に大きな負担を強い、しかも根拠も不明確な補助給付的事業の削減は撤回すべきです。お答えください。

吉岡高齢施策担当部長

 高齢者いきいき健康事業は、外出のきっかけを作ることにより、高齢者の社会参加を支援する目的で平成19年度に開始しました。

 第1回高齢者基礎調査を行った平成17年では、前期高齢者の「仕事をしている」割合は、3割台でしたが、現在は、5割まで増加しています。前期高齢者では、仕事をしていないが就労したい、身近な場所で活動したいなどの声も多く、外出のきっかけ作りを行う事業の意義は、薄れていると判断しています。区では、ニーズを踏まえ、就労支援を始め、高齢者の活躍を応援する事業を引き実施していきます。

 高齢者等紙おむつ等支給事業は、在宅での介護を支援する事業です。国の通知を受け、本年度から利用対象者等を見直しましたが、区は、影響緩和策を講じ、必要な方に提供しています。

 昨年度まで実施してきた配食サービスは、今年度から、見守り配食に見直し、高齢者在宅生活あんしん事業のメニューとして利用できるようにしました。事業者の登録制に移行したことで、事業内容の選択肢が増え、配食の利用回数の上限もなくなりました。また、事業者が直接、警備員の駆けつけサービスを要請できるようにし、質・量の面で、高齢者の見守りを充実するなど、区として、必要な拡充を行っています。

 区は、元気な方の介護予防や活躍の場の確保を支援するとともに、介護が必要な方へは、介護保険等のサービスや医療につないでいきます。団塊の世代がすべて後期高齢者となる令和7年、その先の団塊ジュニア世代が高齢者となる令和22年を見据えて、今後も、すべての事業を検証し、高齢の方が希望する暮らしを継続できるように取り組んでまいります。

森田企画部長

 令和3年度予算編成に当たり、コロナ禍の危機的状況にあっても、区民生活の安全安心を守り、持続可能な財政運営を堅持するため、緊急対策として事業の見直しを行いました。

 当初予算額は、前年度比約1億円の減となるなか、全体の7割を占める子育て・教育、福祉・医療の関連予算は15億円の増としました。有馬議員をはじめ、区議会から強くご要望いただいた、高齢者補聴器購入費助成や、多胎児家庭、ひとり親家庭への支援充実、高齢者みんな健康プロジェクト、ICTを活用した学校教育の充実などを盛り込んでいます。また、新型コロナ対策として、感染拡大防止、医療提供体制の充実、困窮する区民・事業者への支援など、計34億円も計上しています。

 限られた財源の中、必要な施策は時機を逸することなく着実に実施できるよう、補助・給付的事業も含め、全ての事業を必要性・緊急性の観点から見直したものであり、撤回する考えはありません。

有馬豊議員

 次に、ケア労働の問題についてです。コロナ禍は、社会保障と福祉を削り、自己責任を押し付けてきた新自由主義の矛盾を噴出させました。同時に、保育や介護、医療などケア労働に関わる処遇の実態を問いかけるものになっています。

 私たちは、介護事業所に緊急アンケートを行ない、480件送付し、53通の返答をいただきました。
 アンケートでは利用控えなどで減収が40万円から500万円に及んでいる事業所があります。介護報酬ではコロナ対応の上乗せがありますが、わずか0.05%。また、利用者数が5%以上減少している場合に3%上乗せできる措置が取られましたが、もともと低い介護報酬の減少の穴埋めにすぎず、厳しい運営は変わりません。

 国に対しコロナによる介護事業所の減収補てんをする抜本的な対策、同時に介護報酬の引き上げを求めるとともに、区としても減収補てんの対策が必要ではないでしょうか。お聞きします。

 また、感染防止の必要経費が増大、または物資が不足しているということです。区では物資にかかる補助を2月分までで終了しました。コロナ禍が続くもと、実態を把握し、支援を継続するべきです。答弁願います。

 アンケートには、今の介護報酬では職員に人並みな待遇を提供できない、職員が定着しない、との声が寄せられました。
 区の高齢者保健福祉計画にも「慢性的に人材が不足」「2025年には約1700人、40年には約3100人不足する」としています。

 区は資格取得費用助成など行なってきましたが、高齢者基礎調査では、処遇改善加算の取得をしていない事業所は約3割、その理由として、「書類の手続きが煩雑」の回答が4割以上ありました。書類が多く、介護職と兼務の場合もあり、手が付けられないのではないでしょうか。事務負担軽減の対策や書類の簡素化などに取り組み、加算が取れるよう支援を求めます。

 加えて慰労金支給の要望がありました。昨年、介護従事者特別給付金を支給していますが、2回、3回と支給し、不安や緊張のなかで働いている職員に報いることを求めます。2点答弁を求めます。

 保育士もコロナ禍で懸命に仕事をしていますが、賃金は依然として全産業平均を大きく下回っています。
 その背景には、私立保育園への委託費が弾力運用で流用や積み立てできる仕組みがあり、そのもとで処遇改善等に見合った賃金になっていません。

 こうした中、国は全国を8つの地域区分別に分け、予算積算上の人件費額を示しました。
 これによれば23区の保育士賃金は、公定価格で年額442万円です。処遇改善加算などを加えると最大で565万円になります。

 しかし実際の平均は381万円で、差は184万円にもなるのです。各園で働く保育士の人数などに違いがあり単純ではありませんが、これをもとに、委託費と実際の賃金に差がある場合は、説明を求め、改善を促し、処遇改善等が保育士に行き届くよう、区として取り組んでもらいたい、そして、委託費がすべて本来の目的に使われるよう弾力運用の仕組みは失くすべきです。2点お答え下さい。

 社会を支えるエッセンシャルワーカー、中でも医療や介護、保育、障害福祉などケア労働の重要性がコロナ禍で浮き彫りになりました。
 一方でこの間、報酬の引き下げや制度改悪が繰り返されたこともあり、現場はギリギリの運営を強いられています。ケア労働は、どれも欠かせない仕事ですが、その多くは女性が無償で担わされてきた歴史があります。現代では社会的に担われる職業になりましたが、依然、そうした仕事は安価な報酬で構わないという考えが残っており、その価値を正当に評価されていません。結果、多くのケア労働は低賃金、不安定就労など粗末な扱いを受けています。こうした認識を改め、社会の存続に欠かせない重要な仕事として、評価や処遇を高めていくことが政治・社会に求められていると思いますが、区の認識を伺います。

吉岡高齢施策担当部長

 医療、介護、保育、障害福祉などの業務は、社会経済活動を支える基盤であり、必要不可決です。従事する人材を確保し、その質の向上を図るためには、処遇改善が重要です。
 区は、国に対し、処遇改善の取組を更に進めていくことを要望しています。

 次に、コロナ禍での介護従事者への対応についてです。
 昨年度、初めての緊急事態宣言という特殊な状況下で区民に必要不可欠な福祉サービスの提供を継続した事業者に対し、区は、介護等従事者特別給付金を国に先駆けて給付しました。現時点では、再度の給付は考えていません。

 介護報酬は、原則3年に一度、国が改定しています。令和3年4月の改定では、コロナ禍への対応として、9月末まで基本報酬に上乗せをする特例などが定められたところです。区として変更を求める考えはありません。

 介護事業所の減収に対する更なる支援は、制度設計をした国が行うべきであり、引き続き、国および都に要望していきます。
 処遇改善加算等について、国は、報酬改定に合わせ、活用しやすいよう、要件を緩和したほか、申請様式に自動計算機能を付加するなど、手続の負担軽減を図っています。加算取得のため、区は、社会保険労務士による事業所向けセミナーや個別相談会を実施しています。その結果、区内事業所の処遇改善加算等の取得率は向上しています。

 感染予防に必要な衛生用品について、昨年度、区は、購入経費の補助事業を実施しました。現在は、国から定期的に使い捨て手袋を、東京都からはマスクの提供を受け、区から配布しています。事業所が緊急に必要とする場合には、事業所の状況を確認し、区の備蓄物資を提供しています。区は、国や東京都に衛生用品等の供給確保の支援を引き続き、要望していきます。

小暮こども家庭部長

 区が、私立認可保育所に支給する保育委託費の単価である公定価格は、国が、保育所運営に必要な経費の積算根拠となる標準として示したものです。保育所ごとに、保育士の人員数や経験年数、賃金体系等が異なるため、公定価格で示される人件費と実際に支払われる給与の差額のみをもって、給与水準の適否を判断できるものではありません。
 区では昨年度から、保育所における処遇改善加算状況の報告において、保育士一人ひとりの賃金を把握し、不適切な設定となっていないかを確認しています。

 そもそも保育委託費の弾力運用は、賃金改善を行う原資に充てたり、将来の建物改修経費等を確保できるよう、予算の流用や積立を可能とする仕組みとなっています。国から、弾力運用が可能な使途の範囲や金額の制限が明確に示されています。保育所運営事業者の経営努力や創意工夫を促進するために必要な制度であると考えます。

有馬豊議員

 次に、デジタル関連法についてです。先の国会で成立したこの法律は、デジタル化を利用して、あらゆるデータを集積し、行政が持つ膨大な個人情報を企業などが利活用しやすい仕組みにしようというものです。

 いま国は、政府が管理・運営しているウエブサイト「マイナポータル」を入り口として、行政だけでなく民間サービスも含めた個人情報の連携を進めようとしていますが、このサイトを利用するにはマイナンバーカードの機能が必要なため、その普及策をなりふり構わず打ち出しています。この法律では、マイナンバーカードの機能をスマホへの搭載を可能とすることも盛り込まれています。今後、マイナポータルを通じて行政機関から本人に提供された個人情報を民間事業者へ提供する仕組みが歯止めなく拡大する危険性があります。

 最大の問題は、個人情報の保護という観点が欠落し、プライバシー権を侵害する内容となっていることです。

 個人情報保護法制は、2015年、16年の法改悪で匿名加工などをすれば、個人情報を本人の同意なく第3者に提供できるようになっています。実際、独立行政法人の住宅金融支援機構から民間の住信SBIネット銀行へ、年収・家族構成・職業・郵便番号など約118万人分の加工された個人情報が住宅ローンのAI審査モデルの構築のために、本人同意なく提供された実態が明らかになっています。

 今回の法律は、こうした個人情報の利活用をさらに促進するため、民間、国の行政機関、独立行政法人をそれぞれ対象とした3つの個人情報保護法を一元化し、自治体が独自に制定する保護条例に縛りをかけるものです。

 特に問題となるのは、匿名加工した個人情報の利活用案の募集を都道府県や政令市に義務付ける「オープンデータ化」と、自治体の条例による個人情報のオンライン結合の禁止を認めないことです。現在練馬区では、オンライン結合による個人情報の提供をする場合は、個人情報保護運営審議会に諮問することになっていますが、法律ではこうした自治体独自の取り組みを掘り崩すものでしかありません。

 個人情報は個人の人権の尊重の理念のもとに慎重に扱われるべきで、プライバシー権は憲法が保障する基本的人権です。しかし、現在の社会では、本人の知らないところで個人情報がやり取りされ、ビックデータやAIを利用したプロファイリングやスコアリングによって、個人の人生に大きな影響を与える事態を引き起こしています。いま求められているのは、むしろ情報の自己コントロール権を保障する仕組みではないでしょうか。区の見解をお聞きします。
 いまひとつ重要な問題は、自治体の独自施策を抑制する仕組みです。

 関連法の中心をなすデジタル社会形成基本法では、国と自治体の「情報システムの共同化・集約の推進」を掲げ、デジタル庁が整備し統括・管理する全国的なクラウドの仕組みを全省庁だけでなく、全国の自治体に使わせようとしています。これは情報システム標準化法案と相まって、自治体の業務内容を国のシステムに合わせていく問題をはらんでいます。

 現在でも、総務省が推進している「自治体クラウド」を複数の自治体が共同で使っていますが、富山県上市町の町議会では、「3人目の子どもの国保税減免」などの町議の求めに対し、「自治体クラウド」を使っているため、システム変更できないと拒否された事例があり、すでに住民の多様なニーズに応えるための仕様変更を認めないことが問題となっています。このように今後、全国的なクラウドの使用が押し付けられれば、自治体独自の施策の抑制につながることは明らかで、住民の多様なニーズに応える立場から多くの施策に取り組んでいる練馬区としては、見過ごすことはできない内容ではありませんか。区の認識をお聞きします。
 設置されるデジタル庁は、データの利活用を強力に進めるための司令塔で、国の省庁にとどまらず、補助金を出している自治体、医療機関、教育機関と言った準公共部門に対しても予算配分やシステム運用に口を挟むことができるようになります。しかもデジタル庁発足時の人員は、約500人ですが、そのうち100人以上を民間出身者とし、兼業、副業、リモートワークも可能にするとしています。これでは、特定企業に都合が良いルールづくりや予算執行など、更に官民の癒着が広がる恐れすらあります。

 区長は、所信表明で「区民の皆様、現場の声を真摯に受け止め、課題の実相を見極めて、目先ではなく、将来につながる施策を重点的・機動的に実施してきた」と言われましたが、企業の利益のために区民の個人情報保護の仕組みを取り除き、自治体独自の施策を抑制する法律に対して、実相を見極めて、目先の利益ではなく、区民の利益を守り、将来の地方分権につなげる立場から国に対して反対意見を挙げていくべきではないでしょうか。同時に23区区長会とも共同しデジタル関連法の撤回のため力を尽くすべきです。ご答弁下さい。

森田企画部長

 近年、官民や地域の枠を超えたデータの利活用の必要性が高まっており、新型コロナウイルス感染症対策においても、迅速かつ正確な情報の伝達、共有が求められています。

 今回の個人情報保護法改正により、個人情報の取扱いの運用等の統一が図られ、公衆衛生や災害等に際して適切かつ迅速な対応が可能となります。

 区では、今後、国から示されるガイドライン等を踏まえ、個人情報の適切な取扱いと効果的な活用について、取り組みを進めてまいります。

 改正法に規定された匿名加工情報は、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報であり、その活用に問題はありません。
 情報システムの標準化は、自治体に共通する17業務についてオンラインサービスを前提とした標準システムを利用することによって、住民の利便性向上と行政運営の効率化を図ることを目的としています。 

 国は、標準システムの仕様書作成にあたり、各自治体に丁寧に意見聴取を行っています。自治体独自のサービスについては、機能の改変や追加ができるとしており、自治体の施策を制限するものではないと認識しています。

 区は、標準システムに移行することで、システム開発・運用に係る多大な経費や人的負担の軽減、業務の効率化、セキュリティ対策の強化等が期待できると考えています。デジタル改革関連法に反対する考えはありません。

 なお、ご質問の「自治体クラウド」は、複数自治体がクラウド化された情報システムを共同利用するものです。今回の法律に基づく取組とは別のものとご理解ください。

有馬豊議員

 次に、外環道についてです。国等事業者は、昨年10月に発生した道路陥没や空洞の原因、再発防止策など有識者委員会が審議した内容について4月に沿線区市で説明会を開きました。

 今回の陥没・空洞の推定メカニズムは、東京外環道全体でも3つの条件に該当する特殊な地盤条件のもとで、シールドマシンのカッターが回転不能になり、それを解除するための特別な操作をしたことが原因とし、再発防止対策としては、陥没・空洞個所と類似する地盤4ヵ所でボーリング調査をし、採掘土量を見直すなどを実施するということです。

 しかし、これで工事を再開してよいのでしょうか。通常、ボーリング調査は100m~200m毎に行うことが望ましいとされ、国等事業者は、事業区域周辺で86本のボーリング調査を実施し、平均調査区間は167m程度だとしています。しかし、

 ボーリングが大深度地下のトンネル下面まで達し、計画線上で調査しているのは24本にすぎません。これでは約666m間隔であり、特に練馬区部分では、大深度地下までボーリング調査したのは、西武新宿線と新青梅街道の間、2ヵ所のみです。土地利用が複雑化、高度化している外環道沿線では、ボーリング調査の箇所数を増やすのも困難です。専門家は1mずれるだけで地下の様相は変化するとしており、そもそも地中の様子を十分掴めていないのではないでしょうか。

 地上部には一切迷惑はかけないとした大深度法の前提が崩れているもとで事業を継続すること自体、無理があります。
 同時に、この間、事業費は当初の1.5倍、2兆3500億円に膨らみ、青梅街道ICの工法変更や陥没・空洞事故の補償費など更なる増額は確実です。また、小池都知事と自民、公明、都民ファーストは、現在の事業区間から羽田空港までの延長も求めています。その場合、整備費はさらに3兆円かかることになります。コロナ禍のもとでも事業費が増え続け、住民の安全も脅かす外環道は中止し、コロナ対策にこそ予算を充てるべきです。区の考えを伺います。

 また、国等事業者は、調布市での陥没事故は外環道の工事に原因があると認め、補償をするとし、説明会では、補修工事のために住宅を解体する地盤補修予定範囲と、住宅の補修を行う補償対象地域が示されました。
 しかし、地盤の緩みの状況を調べるためのボーリング調査の内、トンネルルート上を大きく外れた場所でのボーリング調査は1ヵ所のみです。これでは、補償範囲が適当かわかりません。不十分な調査の結果、補償を受けられる人が対象外となるような先例をつくってはいけません。練馬区からも、陥没地周辺の地盤状況をしっかり調査したうえで補償の範囲を改めるよう求めるべきです。ご答弁ください。

 関連して、外環の2についてですが、東京都は、コロナを理由に説明会も開催せず、上石神井3丁目~石神井町8丁目の区間の測量を6月から行うと発表しました。都は、これまでの経緯を踏まえ、オープンハウスを別途開催するとしていますが、測量を先に始め、住民への説明は後にするというのは、あまりに乱暴な進め方です。

 昨年5月に副知事名で出された依命通達では、「・・・未着手、未発注、一時停止が可能な事業は、原則延期又は中止すること・・・」とされ、補助133号線の成田東区間では、新型コロナの感染状況を理由に3月に発表していた用地測量の延期を決めています。
 依命通達が出された時よりも感染状況が深刻化する中で説明会も開かず測量をしなければいけない道理はありません。
 このような性急な進め方で住民の理解が得られると区はお考えでしょうか。少なくとも、測量はコロナ収束後に説明会を開催した上で実施するよう都に求めるべきです。2点お答え下さい。

 以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

宮下技監

 調布市の外環工事現場付近で発生した陥没・空洞については、東京外環トンネル施行等検討委員会有識者委員会において検討され、本年3月に報告書が取りまとめられました。

 原因究明のために実施したボーリング調査等の結果から、地盤状況に関する事前調査は適切に行われていたことが確認されています。また、追加ボーリング調査のみならず、物理探査の結果や推定メカニズムに基づき、地盤の緩みが生じている範囲はトンネル直上と推定されました。

 事業者は、トンネル直上部に加え、その周辺部を含め補償の対象地域としていますが、範囲外についても申し出があった場合は、個別に対応することとしています。地盤の補修や補償は、事業者の責任において対応するべきものであり、調布市内で発生した本件について、区から補償の範囲を改めるよう求める考えはありません。

 外環は、首都圏全体のネットワークを形成し、渋滞や混雑緩和、移動時間の短縮などに資する重要な道路です。区内においても生活道路への車両の流入を抑制するなど、交通環境の改善に大きな効果が期待されます。

 区は、事業者に対し再発防止対策を十分に検討し、区民への丁寧な周知、説明を行った上で、安全・安心に万全を期して、着実に外環事業を進めていくよう求めていきます。

 外環の2は、区西部で特に特に整備が遅れている南北方向の都市計画道路であり、災害時における緊急車両の通行や延焼遮断帯の形成、石神井公園につながるみどりのネットワークなどにも資する重要な道路です。早期に事業着手し、整備を進めていくことが不可欠です。

 施行者である東京都は現況測量の開始にあたり、事業概要や測量作業について、細かく記載したパンフレット等を作成し、沿線の方々に配布しています。個別の相談にも随時対応するとともに、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、オープンハウスの開催を検討するなど丁寧な対応に努めています。

 東京都は、コロナ禍においても、計画的に事業への取り組みを進めており、区から、測量実施の延期を求める考えはありません。

 事業の円滑な実施のためには、地域の方々の理解や協力が必要です。今後、事業の進展に応じた、必要な説明を行うとともに、意見を伺う機会を設けていくなど、引き続き丁寧な対応を東京都に求めていきます。